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施工管理ツールのICT化とは?建設DXのメリット・課題・導入ステップを徹底解説

小島 伸介

【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介

株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。

建設業界は、人手不足高齢化生産性の伸び悩みといった喫緊の課題に直面しています。加えて働き方改革への対応も急務です。従来の紙やExcel、電話を中心としたアナログ管理では、情報共有の遅延、記録作業の負担増、データ活用の困難さといった問題が避けられません。

これらの課題を解決し、業界の持続的成長を支えるのが「施工管理ツールのICT化」です。これは単なるデジタル化ではなく、業務プロセスを変革し、生産性・品質・安全性を向上させる建設DXの中核をなす取り組みです。

しかし、「ICT化」の具体的な内容やメリット・デメリット、導入の進め方について、不安を感じる管理部・決裁者の方もいらっしゃるでしょう。

本記事では、施工管理ツールICT化の基本から、メリット、課題、導入ステップ、ツール選定ポイントまで、意思決定に必要な情報を要点を絞って分かりやすく解説します。貴社のDX推進の一助となれば幸いです。

【比較】おすすめの施工管理ツール一覧

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サービス名 特長 費用 主な機能 無料トライアル
CONOC-コノック-
  • 画面が分かりやすくシンプルで直感的なため、操作しやすい
  • テンプレートを使用した書類作成が可能で、事務業務を時短
  • 従業員の実績を可視化でき、適切な評価やフォローが可能
月額5,000円~ ・工程表作成・共有
・スケジュール管理
・グループチャット機能
・入退場管理
・現場カメラ配信
・クレーム報告管理
・画像・図面共有
・地図・駐車場共有 など
要お問い合わせ
現場一番
  • 現場をよく知る大工出身の開発者が必要な機能を厳選し、感覚的に使用可能
  • 職人専用と現場監督専用に分けて使えるメニュー
  • 操作の教育も取扱説明書の熟読も必要なく、操作性が高い
ライトプラン:月額9,800円
スタンダードプラン:月額19,800円
ハイクラスプラン:月額29,800円
・工程表作成・共有
・スケジュール管理
・グループチャット機能
・現場カメラ配信
・クレーム報告管理
・画像・図面共有
・地図・駐車場共有 など
有(1現場のみ)
ダンドリワーク
  • 施工現場に関する全ての情報をクラウド上で一元管理
  • ユーザーのニーズに応えて画面デザインを常に使いやすくアップデート
  • 全てのユーザーに個別アカウントを付与し、円滑な運用を実現
初期費用:200,000円~
利用料:月額19,800円~
・現場情報管理・共有
・写真・図面・資料共有
・社内掲示板
・工程表作成・共有
・受発注管理
・報告書作成 など
要お問い合わせ
ANDPAD
  • 現場業務の効率化から経営改善まで多岐にわたる業務を一元管理
  • 専門工事から大規模工事まで幅広く対応
  • 施主との情報を共有できるプラットフォーム
要お問い合わせ ・施工情報集約・共有
・チャット機能
・写真・図面管理・共有
・稼働管理・手配
・黒板作成・写真撮影
・受注管理
・施主への情報共有
・3Dスキャン
・請求管理 など
要お問い合わせ
サクミル
  • シンプルで使いやすい操作性
  • 経営に必要な情報をダッシュボードに全て自動表示
  • 顧客や案件ごとに情報を蓄積可能
初期費用:0円
月額費用:4,000円~
・顧客管理
・案件進捗管理
・ファイル管理
・スケジュール管理
・日報作成
・写真台帳作成 など
現場ポケット
  • 協力会社も含む利用可能アカウント・データ容量・現場登録数が定額で無制限
  • サポートセンター完備
  • 現場数が多くてもリアルタイムで現場状況を把握可能
初期費用:0円
月額費用:11,880円(年間契約した場合)
・報告書作成
・日報集計
・勤怠管理
・写真・資料共有
・グループチャット機能
・工程管理機能 など
有(最大2ヶ月間の無料使用)
アイピア
  • 建築業に特化しており、営業・事務経理・経営者全ての部署で活用可能
  • 要望に合わせたカスタマイズで、システムに合わせたデータ管理から脱却
  • 操作に関するリモート研修は無料かつ無制限で実施
初期費用:120,000円~
月額費用:10,000円~
・顧客管理
・見積作成
・発注書作成
・請求管理
・工程管理
・帳票作成
・現場日報管理 など
要お問い合わせ
ビルディーノート
  • 工務店が牽引して作成したシステムであるため、使いやすい仕様に加え運用ノウハウを提供
  • 現場のスケジュールや動きをガントチャート化
  • 成果にこだわった機能とサポート体制が充実しており、業務効率化をサポート
要お問い合わせ ・工程表作成・管理
・スケジュール管理
・顧客管理機能
・検査機能
・原価管理機能
・電子受発注機能 など
要お問い合わせ
Kizuku
  • 簡単に進捗報告が可能
  • 各パートナー企業とも製品を使用した気軽な会話が可能
  • パソコン版のトークアプリも採用しているため、会社での業務中にも確認しやすい
初期費用:110,000円~
月額費用:22,000円~
・グループチャット機能
・スタンプ機能
・図書・写真管理
・現場管理
・プロジェクト管理
・入退場管理
・パソコン版トークアプリ など
要お問い合わせ
SITE
  • 必要な機能に絞ったミニマルな作りのシステム
  • 情報共有に特化しており、業務の無駄を削減
  • 建設業界出身のスタッフによる操作説明会や活用方法の提案などサポート体制が充実
初期費用:33,000円
年額費用:99,000円
・案件管理
・チャット機能
・Web会議
・スケジュール管理
・タスク管理
・工程表作成 など
要お問い合わせ
KANNA
  • 最新の現場情報や図面にワンクリックでアクセスできる
  • 写真のみの報告書で、事務作業に対する負担を削減
  • 複数現場の統合管理や機能をカスタムできる柔軟性
初期費用:0円
月額費用:要お問い合わせ
・複数現場の統合管理
・現場管理
・写真・資料の共有
・写真台帳の作成
・チャット機能
・カレンダー機能
・電子小黒板
・工程表・ガントチャート作成 など
要お問い合わせ
クラフタ
  • 完全無料で利用できる
  • LINEに似たシンプルな作りで操作しやすい
  • 導入までの期間が最短3日で、スムーズに利用可能
完全無料 ・現場管理機能
・メッセージ機能
・写真管理機能 など
テラ施工管理
  • 無料で始められるため、導入へのハードルが低い
  • 導入後すぐに活用しやすいシンプルな構造
  • オンライン面談による、利用者に寄り添ったサポート体制
完全無料 ・トーク・チャット機能
・現場登録機能
・写真ストレージ無料無制限
・報告書作成機能
・地図登録
・日報報告 など
プロワン
  • スマホを活用して書類作成や最新の案件確認ができる
  • 各案件の状況をリアルタイムに把握可能
要お問い合わせ ・顧客管理
・営業管理
・見積作成
・発注管理
・収支管理
・受電システム
・勤怠管理 など
要お問い合わせ
eYACHO
  • タブレットを活用して、野帳と同じように手書きで自由に資料へ書き込める
  • 各案件の状通話をしながら書き込んでいる情報を共有できるため、遠隔地とのやり取りでも齟齬が生じにくい況をリアルタイムに把握可能
  • 各種資料作成が現場からできるように
初期費用:330,000円~
年間利用ライセンス:31,680円~
月額利用ライセンス:3,520円~
・手書き入力
・音声録音機能
・動画共有
・報告書作成機能
・画像認識AI など

建設業界が直面する課題とICT化の緊急性

施工管理ツールのICT化がなぜ急務なのか。その背景にある業界特有の課題と外部環境の変化を理解することが重要です。

1. 人手不足と高齢化: 技能労働者の不足と高齢化は深刻で、将来の担い手確保、技術承継が危ぶまれています。少ない人員で成果を出すには、労働集約型からの脱却、つまり業務効率化が不可欠です。

2. 働き方改革への対応: 時間外労働の上限規制等が適用され、労働時間管理の厳格化が求められます。紙ベースの作業や移動時間は長時間労働の原因であり、ICTによる効率化は労働環境改善に直結します。これは人材確保・定着にも重要です。

3. 生産性向上の必要性: 他産業に比べ生産性向上が遅れていると指摘されており、改善が急務です。ICTによる情報連携の迅速化データの可視化業務自動化は、無駄を削減し生産性を高める大きなポテンシャルを持ちます。

4. 品質・安全要求の高まり: インフラへの要求水準向上に伴い、品質・安全管理の徹底は企業の信頼に関わります。ICTは検査記録の標準化危険情報のリアルタイム共有などを可能にし、ヒューマンエラー削減と管理レベル向上に貢献、リスクを低減します。

5. i-Constructionの推進: 国土交通省が進めるi-Constructionは、建設プロセス全体でのICT活用を推進しています。ドローン、BIM/CIM、ICT建機などを効果的に活用する基盤として、施工管理ツールのICT化は重要です。対応の遅れは競争力低下に繋がる可能性があります。

これらの複合的な要因により、施工管理ツールのICT化は、もはや選択肢ではなく、企業の持続的成長のための必須戦略となっています。早期の取り組みが求められています。

施工管理ツールのICT化とは?-基礎知識と技術要素-

「施工管理ツールのICT化」とは、具体的にどのような状態を指すのでしょうか。ICT(情報通信技術)を活用し、従来の紙や電話中心のアナログ管理から脱却する取り組みです。これを支える主要な技術要素を解説します。

1. クラウドコンピューティング: ICT化の基盤です。プロジェクト情報をクラウドサーバーに一元管理します。

  • 特徴: 場所やデバイスを問わず最新情報にアクセス可能。サーバー管理不要なSaaS形式が主流で導入しやすい。関係者間での安全な情報共有が容易。

2. モバイル技術: スマートフォンやタブレットを現場で活用し、リアルタイムな情報入力・確認を実現します。

  • 特徴: 現場写真の撮影・自動整理、電子帳票の入力・承認、図面閲覧、チャットなどが可能。オフライン機能も重要。

3. IoT(モノのインターネット): 建機、資材、現場環境等にセンサーを取り付け、データを収集・活用します。

  • 特徴: 建機稼働状況の監視、現場環境モニタリング(安全管理)、構造物の状態監視などに活用。

4. API連携とiPaaS: 異なるシステム間でデータを連携させる仕組みです。

  • API: 会計、勤怠、BIM/CIM等と連携し、二重入力を削減し業務を自動化。
  • iPaaS: プログラミングなしでシステム連携を構築できるプラットフォーム。

5. AI(人工知能)とデータ分析: 蓄積されたデータを分析し、付加価値を生み出します。

  • 特徴: リスク予測、画像解析による検査補助、ダッシュボードによる状況可視化などに活用。

施工管理ツールのICT化とは、これらの技術を組み合わせ、情報収集から共有、活用までのプロセス全体を最適化し、時間と場所の制約を取り払い、データに基づいた高度な管理を実現することを目指すものです。これにより、従来の施工管理のあり方を根本から変革します。

ここが変わる!ICT化された施工管理ツールの主要機能

ICT化された施工管理ツールは、従来の課題を解決し、業務を効率化・高度化する様々な機能を備えています。代表的な機能をカテゴリー別に紹介します。

1. 情報共有・コミュニケーション機能 目的: 情報を一元化し、リアルタイムな連携を実現する。

  • データ一元管理: 図面、書類、写真等をクラウドで管理。常に最新版にアクセス。
  • リアルタイム共有: 現場状況をスマホ等から即時共有。
  • コミュニケーション効率化: チャット等で迅速・確実に連絡。履歴も保存。
  • 関係者連携: 協力会社等と安全に情報共有。

2. 工程・進捗管理機能 目的: スケジュール管理を効率化し、遅延リスクを低減する。

  • 工程表作成・共有: ガントチャート等で簡単に作成・共有。変更も即時反映。
  • 進捗の可視化: グラフ等で進捗状況を把握。遅延箇所を早期発見。
  • タスク管理: 担当者への割り当て、リマインダー、アラート機能で作業漏れ防止。

3. 図面・書類管理機能 目的: ペーパーレス化を推進し、情報アクセスを迅速化する。

  • ペーパーレス: 紙の保管スペース、印刷コストを削減。
  • 高速検索: 必要な図面や書類をキーワード等で瞬時に検索。
  • 版管理: 改訂履歴を自動管理し、常に最新版を参照。
  • 電子承認: 申請・承認プロセスを電子化し、時間短縮と状況可視化。

4. 写真管理機能 目的: 現場写真の整理・共有・活用を効率化する。

  • 自動整理: 撮影写真を工種や場所と紐付けて自動整理・アップロード。
  • 電子小黒板: アプリ内で電子小黒板付き写真を撮影。
  • 報告書作成支援: 整理された写真を活用し、写真台帳等の作成を効率化。

5. 安全・品質管理機能 目的: 管理プロセスを標準化し、記録の質と共有を強化する。

  • 帳票電子化: 安全パトロール記録、KYシート、検査帳票等をモバイルで入力・管理。
  • リスク情報共有: ヒヤリハットや是正指示を写真付きで即座に共有し、迅速な対応を促進。
  • 管理レベル標準化: 統一フォーマットで記録のばらつきを抑制。

6. データ活用・分析機能 目的: 蓄積データを活用し、客観的な状況把握と意思決定を支援する。

  • ダッシュボード: プロジェクト状況(進捗、コスト等)をリアルタイムに可視化。
  • レポート自動生成: 定型レポート作成を自動化。
  • データ分析(高度機能): リスク予測や工数最適化などに活用。

これらの機能により、アナログ管理の非効率性を解消し、建設プロジェクト全体の質と生産性を向上させます。

導入効果を最大化!施工管理ツールICT化の具体的メリット

施工管理ツールのICT化は、コスト削減や効率化に留まらず、企業の競争力や従業員の働きがい向上にも繋がる多くのメリットをもたらします。決裁者視点で特に重要な効果を解説します。

1. 生産性向上とコスト削減: 最も直接的な効果です。

  • 時間的コスト削減: 情報共有の迅速化、移動時間の削減、書類作成・管理時間の大幅短縮。
  • 物的コスト削減: ペーパーレス化による紙・印刷・郵送・保管コストの削減。
  • 間接コスト削減: 手戻り削減による再作業コスト抑制、工期短縮による現場経費圧縮。

2. コミュニケーション円滑化と意思決定の迅速化: 組織の連携力を高めます。

  • 情報伝達の精度向上: 認識齟齬や伝達漏れを防止し、責任の所在も明確化。
  • 問題の早期発見・対応: 現場の問題点をリアルタイムで把握し、迅速な対策検討が可能に。手戻りリスク低減。
  • データに基づく判断: プロジェクト状況の可視化により、経験や勘だけでなく客観的データに基づいた的確な判断を支援。

3. 品質と安全性の向上: 企業の信頼性を高め、リスクを低減します。

  • 管理プロセスの標準化: 電子チェックリスト等で作業手順や検査基準を統一し、ヒューマンエラーを削減、品質を安定化。
  • 危険情報の迅速共有: ヒヤリハット情報等のリアルタイム共有で注意喚起を徹底し、労働災害リスクを低減。
  • コンプライアンス強化: 正確な電子記録により、法令遵守の証明や監査対応が容易に。

4. 働き方改革の推進と人材確保・定着: 魅力的な労働環境を創出します。

  • 長時間労働の是正: 非効率な作業削減により、残業時間短縮に貢献。
  • 柔軟な働き方の促進: テレワークや直行直帰など、場所を選ばない働き方を支援。
  • 従業員満足度向上: 煩雑な作業から解放され、コア業務に集中できる環境がモチベーションを高め、人材確保・定着に繋がる。

5. データ活用による経営改善: 蓄積データが将来の資産となります。

  • 継続的な業務改善: データ分析によるボトルネック特定と改善策の実施。
  • 計画精度の向上: 実績データに基づく精度の高い工期・コスト見積もり。
  • 経営状況の可視化: 複数プロジェクト状況の横断的把握による迅速な経営判断。

これらのメリットを最大限享受するには、ツール導入と併せた業務プロセスの見直しや教育が重要です。ICT化は未来への戦略的投資と捉えるべきです。

事前対策が鍵!ICT化における課題と注意点

施工管理ツールのICT化には多くのメリットがありますが、導入・運用には課題も伴います。事前にこれらを把握し、対策を講じることが成功の鍵です。

1. コスト(初期投資とTCO): 導入には費用が発生します。

  • 内訳: ライセンス料、導入支援費、デバイス購入費、ネットワーク整備費、運用保守費など。
  • 対策: 長期的なTCO(総所有コスト)を試算し、費用対効果(ROI)を評価。複数ツール比較。補助金活用検討。

2. 従業員のITリテラシーと教育・定着: 全従業員が使いこなせるかが重要です。

  • 課題: ITスキル格差、変化への抵抗感、操作習得の負担。
  • 対策: 経営層からの丁寧な説明と推進。計画的な教育・研修プログラム。社内サポート体制構築。業務プロセス見直し

3. ネットワーク環境への依存: 通信環境が利用を左右します。

  • 課題: 電波の届きにくい現場での利用。大容量データ通信による速度低下。
  • 対策: オフライン機能の確認。現場Wi-Fi環境整備検討。データ圧縮機能等の活用。

4. 既存システムとの連携: 他システムとの連携が課題になることも。

  • 課題: API連携の可否・互換性。連携開発コスト。データ形式の不一致。
  • 対策: API仕様・実績確認。iPaaS活用検討。データ形式標準化、運用フロー見直し。

5. セキュリティとコンプライアンス: 機密情報を扱うため対策は必須です。

  • 課題: 情報漏洩・不正アクセスリスク。法的要件・顧客要求への対応。
  • 対策: セキュリティ機能(暗号化、アクセス権限等)の確認。ベンダー信頼性(第三者認証等)の確認。社内ポリシー策定と従業員教育。ログ管理体制。

これらの課題への事前検討と対策計画への盛り込みが、プロジェクト失敗リスクを大幅に低減します。

失敗しないためのICT化推進ステップ

施工管理ツールのICT化は、計画的かつ段階的に進めることが成功の秘訣です。ここでは、失敗リスクを抑え、着実に成果を出すための推進ステップを解説します。

ステップ1: 現状分析と目標設定(計画) 目的: ICT化の方向性を定め、合意形成を図る。

  • 現状把握: 現行業務フローを分析し、課題・ボトルネックを特定する。
  • 目標設定: 具体的かつ測定可能なKPI(例:書類作成時間〇%削減)を設定する。課題に優先順位をつける。
  • 体制構築: 推進体制を整備し、経営層のコミットメントを得る。

ステップ2: パイロット導入(試行) 目的: 小規模でツールを試し、課題抽出と効果検証を行う。

  • 範囲選定: 対象現場や利用機能を限定する。
  • ツール試用: 担当者に実際に使ってもらい、操作性等を評価する。
  • 評価と改善: フィードバックを収集し、問題点を洗い出し改善策を検討する。

ステップ3: 段階的な展開(拡大) 目的: パイロット結果を踏まえ、対象範囲を徐々に拡大する。

  • 展開計画: 導入拠点や機能を段階的に広げる計画を立てる。
  • 教育・サポート: 対象者への計画的な教育とサポート体制を強化する。
  • 進捗管理: 導入状況やKPI達成度を定期的に測定・評価する。

ステップ4: 全社展開と定着化(定着) 目的: ツール利用を日常業務として定着させ、効果を持続・最大化する。

  • 利用促進: 利用状況をモニタリングし、フォローアップを行う。成功事例を共有する。
  • 効果測定と改善: KPIを継続測定し、目標未達の場合は改善策を実施する。
  • 運用ルールの定着: 運用ルールが守られているか確認し、必要に応じ見直す。

ステップ5: 継続的な改善と拡張(進化) 目的: ICT化の効果を持続させ、さらなる価値創出を目指す。

  • フィードバック収集: ユーザー要望を定期的に収集する。
  • 新技術の活用: ツールのバージョンアップ対応、IoT・AI活用等を検討する。
  • ベンダーとの連携: サポート品質評価や将来計画について情報交換を行う。

このPDCAサイクルに基づいた段階的アプローチにより、導入リスクを抑え、着実にICT化を推進できます。

自社に最適解を導く!ICT施工管理ツールの選定ポイント

多数存在するICT施工管理ツールの中から、自社に最適なものを選ぶための重要な評価軸を7つ紹介します。これらを基に客観的に比較検討しましょう。

1. 必須機能の充足度: 確認点: 自社の課題解決に必要なコア機能が揃っているか?過不足はないか?

  • 課題解決への合致度
  • コア機能(情報共有、工程管理、安全管理等)の有無
  • 業種・プロジェクト特性への適合性

2. 操作性(UI/UX)と現場での使いやすさ: 確認点: ITに不慣れな人でも直感的に使えるか?モバイルアプリは使いやすいか?

  • 直感的なインターフェース
  • モバイルアプリの操作性・視認性
  • オフライン機能の有無と使いやすさ
  • 無料トライアル等での実機評価が必須

3. 拡張性・連携性: 確認点: 将来の事業変化や他システム連携に対応可能か?

  • ユーザー数・データ量増加への対応力(スケーラビリティ)
  • 既存システムとのAPI連携の可否・実績
  • iPaaS対応、外部サービス連携の可否

4. コスト(TCOと費用対効果): 確認点: 費用体系は明確か?長期的なコストと効果は見合うか?

  • 料金体系(初期、月額/年額、課金単位、オプション)の明確性
  • 3~5年のTCO(総所有コスト)試算と比較
  • 導入効果(定量)との比較による費用対効果(ROI)評価

5. セキュリティとコンプライアンス: 確認点: 機密情報を安全に管理できる信頼性があるか?

  • セキュリティ機能(暗号化、アクセス権限、認証等)の充実度
  • ベンダー信頼性(第三者認証取得状況等)
  • 法令・顧客要求への対応
  • ログ管理・監査機能

6. サポート体制: 確認点: 導入・運用時に十分なサポートを受けられるか?

  • 問い合わせ対応(チャネル、時間、質)
  • サポート内容(導入支援、教育、マニュアル等)
  • SLA(サービス品質保証)の有無と内容

7. 導入実績と信頼性: 確認点: 市場で評価され、安定利用されているか?

  • 同業種・同規模企業での導入実績
  • ユーザー評価・レビュー
  • 継続率(解約率の低さ)

これらのポイントで候補ツールを客観的に点数化・比較し、トライアルでの現場評価も加味して、最適なツールを選定しましょう。

まとめ

本記事では、「施工管理ツールのICT化」について、その必要性からメリット、課題、導入ステップ、選定ポイントまで、管理部・決裁者向けに要点を絞って解説しました。

人手不足や生産性向上、働き方改革といった建設業界の重要課題に対し、ICT化は業務効率化、コスト削減、品質・安全向上、迅速な意思決定などを実現する不可欠な戦略です。これは単なるツール導入ではなく、企業の競争力強化に繋がる経営改革です。

導入にはコストや教育等の課題がありますが、明確な目標設定、段階的な導入、そして自社に最適なツールの慎重な選定により克服可能です。重要なのは、ICT化をDX戦略の一環と捉え、経営層主導のもと全社で取り組むことです。

ツール選定では、本記事の7つの評価軸を参考に客観的に比較し、トライアルで現場適合性を確認することが成功の鍵です。

施工管理ツールのICT化は未来への投資です。本記事が、貴社のICT戦略策定と建設DX推進の一助となれば幸いです。

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