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SFA JOURNAL by ネクストSFA/CRM

「エンゲージメントサーベイは無駄」と現場に言わせない!失敗原因と成果を出す運用法

小島 伸介

【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介

株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。

昨今、組織の生産性向上や離職率低下を目的にエンゲージメントサーベイを導入する企業が急増しています。しかし、現場からは「忙しい業務の合間を縫って回答したのに何も変わらない」「またこの時期が来たのか」といった、エンゲージメントサーベイは無駄だという厳しい声が上がることも少なくありません。このような状況に陥ると、組織改善どころか逆に会社への不信感を募らせる結果となってしまいます。

本記事では、なぜサーベイが形骸化し無駄だと言われてしまうのか、その根本的な原因を解明した上で、コストを無駄にせず確実に組織の成果につなげるための具体的な運用ポイントを解説します。

【比較】おすすめのエンゲージメントサーベイ一覧

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「エンゲージメントサーベイは無駄」という現場の声が上がる3つの背景

多くの企業が良かれと思って導入しているにもかかわらず、なぜ現場からは無駄だというネガティブな反応が返ってくるのでしょうか。その背景には、従業員が抱える諦めや疲弊感が深く関係しています。サーベイは本来、組織の状態を可視化するための健康診断のようなものですが、診断結果が出ても治療が行われないのであれば、患者である従業員が不満を持つのも無理はありません。ここでは、従業員がサーベイに対して無駄だと感じてしまう代表的な3つの心理的背景について、具体的な状況を交えながら掘り下げていきます。これらの背景を理解することが、改善への第一歩となります。

回答しても何も変わらない「やりっぱなし」への失望感

従業員がサーベイを無駄だと感じる最大の理由は、過去に回答した内容が一切改善に反映されなかったという経験にあります。貴重な業務時間を割いて真剣にアンケートに答えたにもかかわらず、その結果がどのように扱われたのかのアナウンスもなく、職場環境や制度に何の変化も見られない状態が続けば、従業員は会社に対して失望します。これを繰り返すことで、どうせ答えても意味がないという学習性無力感が組織全体に蔓延してしまいます。サーベイを実施すること自体が目的化し、その後のアクションプランが不在である「やりっぱなし」の状態こそが、エンゲージメントを低下させる最大の要因です。

目的が不明確なまま実施される「サーベイ疲れ(回答負荷)」

サーベイを実施する目的が従業員に正しく伝わっていない場合も、現場には徒労感だけが残ります。経営層や人事が「とりあえずデータをとりたい」という曖昧な動機で実施すると、現場はなぜこれに答える必要があるのかを理解できません。特に、設問数が多すぎて回答に30分以上かかるようなサーベイが頻繁に行われると、業務を圧迫するただの作業とみなされます。これを「サーベイ疲れ」と呼びます。目的も分からず、フィードバックもないまま負担だけ強いられる状況では、従業員が「こんなことをする意味があるのか、無駄ではないか」と反発するのは当然の反応と言えるでしょう。

スコアの増減だけに一喜一憂し、本質的な課題が見えていない

サーベイの結果として示される数値やスコアの増減だけに経営層や管理職が一喜一憂している姿も、現場を冷めさせる原因の一つです。エンゲージメントスコアはあくまで現状を表す一つの指標に過ぎませんが、その数値が下がったことに対して現場の管理職を責めたり、逆に数値が良いだけで問題なしと判断したりするのは危険です。数値の裏側にある現場のリアルな感情や、組織が抱える構造的な課題に目を向けず、表面的な数字合わせに終始している様子を従業員は敏感に感じ取ります。本質的な対話や課題解決がなされないまま数字遊びに付き合わされることを、現場は無駄だと感じているのです。

エンゲージメントサーベイが「無駄」に終わる組織の共通点

サーベイが組織改善につながらず、単なるコストや時間の無駄に終わってしまう企業には、運用面において明確な共通点が存在します。これらはツールの機能そのものの問題ではなく、それを使う側である人事担当者や経営層の意識や体制に起因するケースがほとんどです。失敗する組織は、サーベイを魔法の杖のように捉え、導入すれば勝手に良くなると誤解している傾向があります。ここでは、多くの企業が陥りがちな失敗パターンを分析し、自社がその落とし穴にはまっていないかを確認していきます。反面教師としてこれらの特徴を知っておくことは重要です。

人事・経営層が「測定すること」自体を目的にしている

サーベイ導入の失敗で最も多いのが、測定すること自体がゴールになってしまっているケースです。本来、サーベイは課題を特定し、改善策を実行するための準備段階に過ぎません。しかし、実施までの準備にリソースを割きすぎてしまい、集計が終わった時点で担当者が満足してしまうことがあります。あるいは、経営会議で「当社もエンゲージメントサーベイを導入しました」と報告することだけが目的化している場合もあります。このように手段と目的が入れ替わってしまうと、その後の分析や施策実行がおざなりになり、現場には何も還元されず、結果として費用と時間の無駄になってしまうのです。

結果(悪いスコア)に対する犯人探しや言い訳が横行している

サーベイの結果が悪かった際、その原因を建設的に分析するのではなく、特定の部署や個人の責任にする「犯人探し」が始まる組織では、サーベイは百害あって一利なしです。例えば、スコアが低い部署のマネージャーを叱責したり、人事評価に直結させたりすると、現場は正直に回答することを恐れるようになります。その結果、次回からは当たり障りのない回答をしてスコアを操作しようとする心理が働き、正確な現状把握ができなくなります。また、経営層が「うちは特殊な業界だからスコアが低くても仕方ない」といった言い訳をして現実から目を背ける場合も同様に、改善への道は閉ざされます。

現場へのフィードバックが遅い、または全くない

サーベイ実施から結果のフィードバックまでのタイムラグも、成否を分ける重要な要素です。回答から数ヶ月も経過してから「半年前の結果です」と共有されても、現場の状況やメンバーの感情はすでに変化しており、そのデータは賞味期限切れとなっています。遅すぎるフィードバックは、当時の熱量を冷ますだけでなく、会社の本気度を疑わせる要因になります。また、全社平均の数値だけをイントラネットに掲載して終わりにするなど、フィードバックの内容が薄い場合も問題です。自分たちの部署がどうだったのか、会社としてどう捉えているのかというメッセージがなければ、信頼関係は築けません。

質問項目が自社の課題やフェーズに合っていない

使用しているサーベイの質問項目が、自社の組織フェーズや抱えている課題と乖離している場合も、得られる結果は無駄になりがちです。例えば、スタートアップ企業でスピード感が求められているのに、大企業向けの重厚長大な質問項目を使用しても、実態に即した回答は得られません。また、既に人間関係が良いと分かっているのに、人間関係に関する質問ばかり繰り返しても新たな発見はありません。自社が今、何を知りたいのか、解決したい課題は離職率なのか生産性なのか、それとも企業理念の浸透なのかを明確にし、それに合致した設問設計を行わない限り、有効なデータは得られません。

サーベイを無駄にせず、組織改善につなげるための必須条件

エンゲージメントサーベイを無駄なコストで終わらせず、組織の成長エンジンとして機能させるためには、運用における意識改革と具体的な仕組み作りが不可欠です。ただ漫然と実施するのではなく、「何のために」「誰のために」「どう使うか」を事前に設計し、全社的な合意形成を図る必要があります。成功している企業は、サーベイを単なる調査ではなく、組織開発のためのコミュニケーションツールとして位置づけています。ここでは、サーベイの結果を確実にアクションにつなげ、現場の納得感とエンゲージメントを高めるために押さえておくべき4つの必須条件について解説します。

【実施前】「結果を受けて何をするか」コミットメントを明確にする

サーベイを実施する前に、経営層や人事が「結果が出たら必ず何らかのアクションを起こす」と従業員に約束することが最も重要です。これをコミットメントと呼びます。具体的には、「課題が見つかったら、予算を割いてでも改善に取り組む」「結果は包み隠さず全社員に公開する」といった方針を事前に宣言します。この事前の約束があることで、従業員は「会社は本気で自分たちの声を聞こうとしている」と感じ、信頼して率直な回答をしてくれるようになります。出口戦略のないサーベイは不安を煽るだけですが、解決への意思表示があるサーベイは希望につながります。

【分析】全社平均を見るのは無駄?部署ごとの「仮説」を立てる重要性

分析段階において、全社の平均スコアだけを見て一喜一憂するのはあまり意味がありません。組織の課題は現場ごとに異なるため、部署別や階層別といった細かい粒度でデータを見ることが必須です。例えば、営業部では「業務量」が問題になっているが、開発部では「評価への納得感」が低いなど、課題は様々です。分析の際は、単に低い項目をピックアップするのではなく、「なぜこの部署でこの数値が低いのか」という仮説を立てることが重要です。現場のマネージャーや人事担当者が数値の背景にあるストーリーを想像し、仮説を持って現場と対話することで、真の課題が見えてきます。

【対話】スコアを「評価」ではなく「対話のきっかけ」として使う

スコアを管理職の通信簿として使うのではなく、メンバーとの対話を促進するための材料として活用する意識が大切です。スコアが低いことは「悪いこと」ではなく、「そこに話し合うべきテーマがある」というサインです。この認識を組織全体で共有し、結果をもとにワークショップやミーティングを行うことを推奨します。「この項目のスコアが低かったけれど、みんなはどう感じている?」「どうすれば良くなると思う?」といった問いかけを行うことで、サーベイ結果は共通言語となり、建設的な議論が生まれます。対話を通じて自分たちで解決策を考えるプロセス自体が、エンゲージメントを高めます。

【頻度】大規模な年1回より、負担の少ないパルスサーベイを検討する

変化の激しい現代において、年に1回だけ大規模なセンサスを実施する方法では、課題への対応が後手に回ってしまうリスクがあります。そこで近年注目されているのが、質問数を絞って月1回や週1回などの短サイクルで実施する「パルスサーベイ」です。頻繁に定点観測を行うことで、組織のコンディション変化をリアルタイムに把握でき、問題が小さいうちに早期対処が可能になります。また、1回あたりの回答時間が数分で済むため、従業員の負担も軽減されます。自社の課題感に合わせて、大規模調査とパルスサーベイを適切に使い分ける、あるいは切り替える検討も有効です。

比較項目失敗するサーベイ運用(無駄)成功するサーベイ運用(成果)
実施目的測定すること、他社事例の模倣組織課題の特定と改善対話
結果の扱い管理職の評価材料、犯人探し職場改善のための対話材料
フィードバック遅い、全社平均のみ公開早い、部署ごとに詳細を開示
改善アクション人事主導で一方的、または無し現場主導で対話により決定

形骸化していたサーベイを見直し、エンゲージメント向上に成功した事例

多くの企業がサーベイの運用に苦戦する中、一度は形骸化し「無駄」だと言われた状態から脱却し、見事に組織改善につなげた事例も存在します。これらの成功事例に共通するのは、サーベイを単なるデータ収集で終わらせず、その後のプロセスを丁寧に設計し直した点です。失敗を認め、運用方針を転換した勇気ある決断が、結果として従業員の信頼を取り戻すことにつながっています。ここでは、具体的なアプローチによって壁を乗り越えた2社の事例を紹介します。自社の状況に近い事例があれば、ぜひ改善のヒントとして活用してください。

事例1:現場へのデータ開示を徹底し、自分事化させたA社

IT企業のA社では、以前はサーベイ結果を役員と人事だけで閲覧し、現場には都合の良い一部の情報しか開示していませんでした。そのため現場からは不信感が募り、回答率は年々低下していました。そこで方針を転換し、悪い結果も含めて全てのデータを全部署のマネージャーとメンバーに開示することを決定しました。同時に、結果の見方や対話の手法を学ぶ研修を実施しました。情報の透明性が確保されたことで、現場では「自分たちの問題」として捉える意識が芽生え、自発的に改善ミーティングが開かれるようになりました。結果として、コミュニケーションが活性化し、離職率の大幅な改善に成功しました。

事例2:サーベイ結果を元に「やらないこと」を決めて負担を減らしたB社

製造業のB社では、サーベイの結果、多くの従業員が「業務過多による疲弊」を感じていることが判明しました。これまでB社では、改善策として「新しい施策を追加する」ことばかりを行ってきましたが、それが逆に現場の首を絞めていたのです。そこでサーベイ結果を真摯に受け止め、トップダウンで「会議時間の半減」や「不要な報告書の廃止」といった「やらないこと」を決めるための議論を行いました。サーベイが業務削減の根拠として使われたことで、従業員は「回答すれば仕事が楽になる」というメリットを実感し、その後のサーベイに対する協力体制も劇的に向上しました。

まとめ

エンゲージメントサーベイは、導入するだけで組織が良くなる魔法の杖ではありません。目的が曖昧なまま実施したり、結果を放置したりすれば、従業員の時間は奪われ、信頼残高は減り、まさに「無駄」な施策となってしまいます。しかし、経営層が覚悟を持ってコミットし、結果を対話のきっかけとして活用できれば、組織の課題を解決する強力な武器になります。重要なのは「測定」ではなく、その後の「行動」です。もし今、サーベイが無駄だと感じているなら、まずは小さな改善を現場に還元することから始めてみてください。その積み重ねが、強い組織を作ります。

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