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SFA JOURNAL by ネクストSFA/CRM

組織課題の見つけ方とは?潜在的な問題を発見する具体的な手法とフレームワーク

小島 伸介

【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介

株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。

多くの経営者や管理職が、売上の低迷や離職率の増加といった現象を前に「何かがおかしい」と感じています。しかし、その原因を具体的に特定できているケースは稀です。組織に潜む問題は複雑に絡み合っており、感覚だけで正解に辿り着くことは困難だからです。本記事では、漠然とした不安を明確な「組織課題」として言語化するための「見つけ方」を徹底解説します。客観的な数値データや従業員の声を拾う調査手法、そして7S分析などのフレームワークを活用し、組織の見えない病巣を発見して改善への第一歩を踏み出しましょう。

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この記事の目次はこちら

そもそも「組織課題」とは?見つけ方の前に知っておくべき前提

効果的な課題発見のプロセスに入る前に、そもそも私たちが探すべき「組織課題」とは何なのかを定義する必要があります。組織課題とは、企業が目指すべき理想の状態と、現在の実情との間に横たわるギャップのことを指します。しかし、多くのリーダーはこのギャップの表面的な部分しか見ていません。根本的な解決を図るためには、事象の裏側にある構造的な問題を理解することが不可欠です。ここでは、課題を「顕在」と「潜在」の2つに分類し、なぜ多くの企業で課題の発見が遅れてしまうのか、その背景にあるメカニズムを解説します。これらの前提知識を持つことで、後の分析精度が格段に高まります。

組織課題には「顕在課題」と「潜在課題」がある

組織課題は大きく2つの層に分けられます。一つは「顕在課題」であり、これは赤字、離職率の急増、残業時間の超過など、誰の目にも明らかな数値や事実として現れる問題です。もう一つは「潜在課題」であり、これはモチベーションの低下、部署間の対立、信頼関係の欠如など、水面下に隠れている問題です。重要なのは、顕在課題の多くは潜在課題が深刻化した結果として現れるという点です。したがって、組織課題の「見つけ方」の本質は、目に見える火事(顕在課題)を消すことではなく、その火種となっている見えない要因(潜在課題)を早期に発見することにあります。

なぜ多くの企業で組織課題の発見が遅れるのか

組織課題の発見が遅れる最大の要因は、構造的な問題を個人の能力不足として処理してしまうバイアスにあります。例えば、営業成績の低迷という課題に対し、営業プロセスや商品力の欠陥を疑わず「担当者の努力不足」と片付けてしまうようなケースです。また、組織内の心理的安全性が低いことも要因となります。悪い報告をすると叱責される文化がある場合、現場の不都合な事実は隠蔽され、経営層に届く頃には手遅れの状態になっています。このように、コミュニケーションの断絶や誤った帰属意識が、課題を潜在化させ、発見を困難にしているのです。

【手法別】組織課題の効果的な見つけ方・洗い出し方

組織課題の定義を理解したところで、次は実践的な「見つけ方」のステップに移ります。漠然とした問題を明確にするためには、勘や経験則に頼るのではなく、意図的に情報を収集するアクションが必要です。情報収集には、数値を扱う「定量調査」、意識を扱う「定性調査」、そして深層心理に迫る「対話」という3つのアプローチがあります。これらを組み合わせることで、組織を立体的かつ多角的に捉えることが可能になります。ここでは、明日から実践できる具体的な調査手法やサーベイの活用方法について、それぞれの特徴とあわせて詳しく解説します。

手法特徴得られる情報注意点
定量調査客観的な数値データの分析離職率、労働時間、利益率、KPI達成度数値の背景(理由)までは分からない
定性調査サーベイ・アンケートの実施従業員満足度、エンゲージメント、組織風土本音を引き出すには匿名性の担保が必要
対話・ヒアリングインタビュー・1on1個人の感情、人間関係、定性的な不満時間と労力がかかり、主観が入りやすい

【定量調査】客観的なデータ・数値から見つける

まずは感情を排した客観的なデータを確認することから始めます。売上目標の達成率や利益率はもちろん、離職率、平均残業時間、有給休暇取得率などの人事データを時系列で分析してください。単月の数値を見るのではなく、過去数年間の推移や部署ごとの偏差を見ることが重要です。例えば、特定の部署だけ残業時間が急増している場合、そこに業務プロセスの非効率やマネジメント不全が隠れている可能性が高いです。数値は嘘をつきません。異常値(外れ値)が出ている箇所には必ず何らかの組織的な歪みが生じており、それが調査の起点となります。

【定性調査】従業員サーベイ・アンケートから見つける

数値データでは見えない従業員の心理状態を可視化するには、従業員サーベイやストレスチェックが有効です。パルスサーベイのように簡易的な質問を頻繁に行うことで、組織コンディションの変化をリアルタイムに定点観測できます。質問項目には、理念への共感度、上司との関係性、職場環境への満足度などを盛り込みます。これにより「経営層は順調だと思っていたが、現場は疲弊している」といった認識のギャップを発見できます。ただし、報復を恐れて無難な回答が並ばないよう、匿名性を担保し、回答結果を改善に活かす姿勢を示すことが不可欠です。

【対話・ヒアリング】1on1やインタビューから見つける

サーベイで大まかな傾向を掴んだら、対話を通じて深掘りを行います。1on1ミーティングや、退職予定者へのエグジットインタビューは、組織の核心的な課題を見つける宝庫です。数値やアンケートの選択肢では表現しきれない「人間関係のしこり」や「評価への納得感の欠如」といった生々しい感情は、直接対話することでしか得られません。特に、現場のキーマンやミドルマネージャーへのヒアリングは重要です。彼らが抱える現場の葛藤や経営への要望の中にこそ、組織の成長を阻害している真のボトルネックが潜んでいることが多いのです。

組織課題の漏れを防ぐ!分析・発見に役立つフレームワーク

収集した情報は、そのままでは単なるデータの羅列に過ぎません。これらを整理し、意味のある「課題」として定義するためには、適切なフレームワークを用いて分析する必要があります。フレームワークを活用する最大のメリットは、思考の死角をなくし、漏れなくダブりなく(MECE)組織の状態を俯瞰できる点にあります。ここでは、組織診断に特化した「7S分析」、環境分析の「SWOT」、原因究明の「ロジックツリー」、関係性可視化の「マインドマップ」という4つの強力なツールを紹介します。これらを使い分けることで、分析の精度を飛躍的に高めることができます。

組織の全体像を多角的に分析する「7S分析」

マッキンゼーが提唱した7S分析は、組織を構成する7つの要素から相互関係を点検するフレームワークです。ハードの3S(戦略、組織構造、システム)と、ソフトの4S(共通の価値観、スキル、人材、スタイル)に分けて分析します。組織課題の多くは、このハードとソフトの不整合から生まれます。例えば「新しい戦略(ハード)」を導入したのに、現場の「スキル(ソフト)」や「価値観(ソフト)」が旧態依然としているため実行されない、といった具合です。この7つの視点で総点検することで、制度設計だけでなく企業文化まで含めた包括的な課題発見が可能になります。

外部環境と内部環境のズレを見つける「SWOT分析」

SWOT分析は、組織の内部要因(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威)を照らし合わせる手法です。組織課題を見つける際には、特に「市場の機会(Opportunity)」に対して自社の「弱み(Weakness)」がどう影響しているか、または「脅威(Threat)」に対して現在の体制が耐えられるかという視点で分析します。例えば、市場はDXを求めている(機会)のに、社内にIT人材がいない(弱み)という状況が明確になれば、それは早急に取り組むべき組織課題となります。内部視点だけでなく、市場とのギャップから課題を逆算する際に有効です。

課題の原因を深掘りする「ロジックツリー(Whyツリー)」

表面的な事象の奥にある真因(ボトルネック)を特定するには、ロジックツリーが最適です。ある問題に対して「なぜ?」を繰り返し問いかけ、原因を樹形図のように分解していきます。例えば「残業が多い」という課題に対し、なぜ?と問うことで「業務量過多」と「処理能力不足」に分岐し、さらに「処理能力不足」を「スキル不足」と「ツールの未整備」に分解します。このように細分化することで、漠然とした悩みが「新人教育プログラムの欠如」や「古いITシステム」といった具体的なアクション可能な課題へと変換されます。

思考を可視化して相関関係を見つける「マインドマップ」

組織課題は単独で存在するのではなく、複雑に絡み合っています。マインドマップは、中心となるテーマから放射状にキーワードを書き出すことで、一見無関係に見える事象同士のつながりを発見するのに役立ちます。例えば、中心に「組織の停滞感」と置き、そこから連想される言葉を自由に広げていくと、「会議が長い」と「決断が遅い」が同じ「責任回避の文化」という根っこで繋がっていることに気づくかもしれません。論理的な分析だけでなく、直感的な発想を広げることで、数値には表れない組織の雰囲気や文化的な課題を可視化できます。

ここをチェック!よくある組織課題の発見ポイント(事例集)

フレームワークを使っても、どこから手をつければ良いか迷う場合があるかもしれません。多くの企業がつまずくポイントには共通のパターンがあります。ここでは、組織運営において特に問題が発生しやすい「人材」「組織風土」「業務プロセス」「マネジメント」の4つの領域について、チェックリスト形式で発見ポイントを解説します。これらの兆候が自社に見られないかを確認するだけでも、組織の健康診断として機能します。自社の状況と照らし合わせながら読み進め、少しでも当てはまる項目があれば、そこを重点的に深掘り調査してください。

【人材面の課題】採用ミスマッチや育成停滞の兆候はないか

人材領域では「入り口」と「成長」に注目します。入社後1年以内の離職率が高い場合、採用時の期待値調整不足やカルチャーのミスマッチ(採用課題)が疑われます。また、中堅社員のスキルが伸び悩んでいる、あるいは特定の優秀層に業務が偏っている場合は、育成システムや評価制度が機能していない(育成課題)可能性があります。次世代リーダーが育っていないという悩みもよく聞かれますが、これは場当たり的な人事異動やキャリアパスの不明確さが原因であることが多く、人材ポートフォリオ全体の歪みとして捉える必要があります。

【組織風土の課題】心理的安全性やコミュニケーション不全の兆候はないか

組織風土は目に見えにくいですが、会議や日常会話に兆候が現れます。会議で上司以外が発言しない、悪いニュースが報告されない、部門間で責任の押し付け合いが発生している、といった状況は危険信号です。これらは「心理的安全性」が欠如している証拠であり、組織の学習能力を著しく低下させます。また、経営理念やビジョンが額縁に飾られているだけで、日々の意思決定の基準になっていない「理念の形骸化」も深刻な課題です。風通しの悪さは、やがて不正や大量離職といった重大なインシデントを引き起こす土壌となります。

【業務プロセスの課題】属人化や非効率なフローが発生していないか

業務プロセスにおいては「属人化」と「ムダ」が二大課題です。「あの人がいないと業務が回らない」という状態は、プロフェッショナルに見えて実は組織のリスクです。担当者の退職が事業停止に直結するからです。また、目的の不明確な定例会議、重複した承認フロー、手作業でのデータ転記などが常態化していないかも確認してください。これらは従業員の時間を奪うだけでなく、創造性を削ぐ要因になります。業務プロセスが現状のビジネス規模やスピード感に合わなくなっていることは、成長企業で頻繁に見られる課題です。

【マネジメントの課題】管理職の機能不全や意思決定の遅れはないか

最後にマネジメント層の状態を確認します。プレイングマネージャー化が進み、管理職が現場業務に忙殺され、部下の育成や戦略立案が疎かになっていないでしょうか。あるいは、部下を信頼できず細かく指示を出しすぎるマイクロマネジメントが横行していないでしょうか。意思決定のスピードが遅いことも、管理職の権限委譲が進んでいない典型的な兆候です。管理職が機能不全に陥ると、現場の不満は増大し、経営層の意図も伝わらなくなります。組織の結節点であるマネジメント層の課題は、組織全体のパフォーマンスに直結します。

見つけた組織課題を整理し、真因を特定するプロセス

様々な手法で課題を洗い出すと、おそらく数えきれないほど多くの問題点が見つかるはずです。しかし、それら全てに一度に取り組もうとしてはいけません。リソースが分散し、結局何も解決しないまま終わってしまうからです。発見フェーズの仕上げとして、洗い出した課題を整理し、取り組むべき優先順位を決め、根本的な原因を特定するプロセスが必要です。ここでは、膨大な課題リストをどのように構造化し、真に解決すべき「センターピン」を見極めるのか、その手順を解説します。

洗い出した課題を「緊急度」と「重要度」で分類する

課題リストができたら、まずは「緊急度(今すぐやるべきか)」と「重要度(将来への影響が大きいか)」の2軸でマトリクスを作成し、分類します。「緊急かつ重要」な課題(例:コンプライアンス違反、資金繰り)は最優先で対応します。しかし、組織改革において最も重要なのは「緊急ではないが重要」な領域(例:リーダー育成、風土改革、DX推進)です。この領域は後回しにされがちですが、長期的な競争力を左右します。分類することで、目前の火消しに追われるだけでなく、未来のための投資として解決すべき課題が明確になります。

MECE(モレなくダブりなく)を意識して課題を構造化する

リストアップされた課題は、粒度がバラバラで重複していることが多いものです。これらをMECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)の観点でグルーピングし、構造化します。例えば「営業資料が古い」「商品知識が乏しい」といった個別の不満は、「営業支援体制の不備」という大項目にまとめることができます。このようにグループ化することで、個別の事象に惑わされず、組織のどの機能が弱っているのか、問題の全体像とボリューム感を把握することができます。構造化は、効果的な解決策を導き出すための必須作業です。

表面的な現象ではなく「真の原因(ボトルネック)」を特定する

分類と構造化を経たら、最後に「真の原因」を特定します。多くの課題は連鎖しており、一つの根本原因が複数の症状を引き起こしているケースが多々あります。例えば、離職率が高い(症状)原因を辿ると、評価制度への不満(症状)があり、さらに深掘りすると「経営戦略と評価基準の不一致(真因)」に行き着くかもしれません。この場合、離職対策として福利厚生を厚くしても効果は薄く、評価制度の改定こそが必要です。対症療法ではなく根治治療を行うために、論理的な分析を通じて真のボトルネックを見極めることが、発見プロセスのゴールです。

まとめ:正しい「見つけ方」が組織改善の第一歩となる

組織課題の見つけ方は、単なる不満のリストアップではなく、企業の持続的な成長を実現するための健康診断です。本記事では、顕在課題と潜在課題の違い、定量・定性調査の使い分け、7S分析などのフレームワーク、そして真因の特定プロセスまでを解説しました。重要なのは、客観的なデータと主観的な従業員の声を組み合わせ、構造的に分析することです。組織に問題があることを恐れる必要はありません。正しく見つけられた課題は、必ず解決できます。まずは小さなサーベイや1on1から始め、組織の現在地を可視化することから始めてみてください。

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