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SFA JOURNAL by ネクストSFA/CRM

組織活性化の施策を可視化し、従業員の熱量を引き出すサーベイ活用術

小島 伸介

【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介

株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。

組織活性化に取り組んでいるものの、施策の効果が見えにくく、次の打ち手に悩んでいる企業は少なくありません。感覚や経験に頼った取り組みでは、従業員の本音や現場の変化を正しく捉えることは難しいのが実情です。そこで重要になるのが、施策の成果や組織の状態を可視化できるサーベイの活用です。

本記事では、組織活性化の施策をデータで捉え、従業員の熱量を引き出すためのサーベイ活用術を解説します。

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この記事の目次はこちら

なぜ組織活性化施策は「やっているのに効かない」のか

多くの企業が陥る空回り構造と決裁者が直視すべき本質

組織活性化施策は、多くの企業においてすでに何らかの形で実施されています。社内イベントの開催、1on1ミーティングの導入、オフィス環境の刷新、表彰制度の新設など、一見すると前向きで妥当な施策が並びます。しかし現場からは「結局何も変わらなかった」「一時的に盛り上がっただけだった」という声が上がり、決裁者や管理部責任者の間でも、組織活性化施策そのものへの不信感が生まれがちです。

この空回りの最大の原因は、施策そのものの良し悪しではありません。問題は、施策を設計する前段階である課題認識と意思決定プロセスにあります。多くの組織では「組織を活性化させたい」という目的が先行し、その結果として「何かやらなければならない」という状態に陥ります。こうして施策が目的化し、本来向き合うべき組織の状態や構造的課題が十分に検討されないまま、打ち手だけが増えていくのです。

施策が目的化すると何が起きるのか

施策が目的化した組織では、次のような現象が頻発します。

  • 実施した事実が評価され、成果検証が後回しになる
  • 現場の負荷が増え、かえって不満が蓄積される
  • 「どうせまた一過性だ」という冷笑的な空気が広がる

特にトップダウンで導入される組織活性化施策は注意が必要です。経営層が良かれと思って企画した施策が、現場にとっては業務を圧迫する負担になるケースは少なくありません。交流促進を目的としたイベントが多忙な部署では敬遠されたり、画一的な表彰制度が実力主義を重視する層との間にミスマッチを生んだりすることもあります。

こうしたズレが積み重なると、「会社は現場のことを理解していない」という不信感が醸成されます。結果として、従業員は本音を語らなくなり、表面的には問題がないように見えても、内側では組織の活力が静かに失われていきます。

決裁者が見落としがちな「静かな損失」

組織活性化が停滞している状態を放置することは、企業にとって大きな経済的損失を意味します。最も象徴的なのが、いわゆる静かな離職です。これは社員が退職するわけではないものの、仕事への熱量を失い、最低限の業務しか行わなくなる状態を指します。

静かな離職が増えると、次のような影響が連鎖的に発生します。

  • 生産性が低下し、同じ人件費で生み出せる成果が減少する
  • 改善提案や新しい挑戦が生まれなくなる
  • 組織全体が前例踏襲型になり、競争力が弱まる

さらに深刻なのは、採用やリスク管理への影響です。活力のない組織では、社員が自社を他者に勧めなくなり、リファラル採用が機能しません。SNSや口コミを通じて組織の空気感は外部に伝わり、優秀な人材ほど離れていきます。また、心理的安全性が低下した組織では、不都合な情報が上に上がらず、小さな問題が大きな不祥事に発展するリスクも高まります。

決裁者や管理部責任者が理解すべきなのは、組織活性化施策は福利厚生でも現場任せの取り組みでもなく、経営リスクを管理するための戦略施策だという点です。空回りを止めるためには、まず「なぜ効いていないのか」を構造的に捉え直す必要があります。


組織が活性化しない本当の原因

表面化する問題と見えない構造を切り分ける視点

組織が活性化していない理由として、よく挙げられるのは次のようなものです。

  • コミュニケーションが不足している
  • モチベーションが低い
  • 評価制度に不満がある
  • 業務負荷が偏っている

これらは確かに無視できない要素ですが、多くの場合、結果として表に現れている症状に過ぎません。これらの症状に直接手を打っても、根本的な改善につながらないケースが多いのは、原因が別の場所にあるからです。

個人の問題にすり替えられる組織課題

組織活性化が進まない企業では、問題が個人の姿勢や能力に帰属されがちです。「主体性が足りない」「当事者意識が低い」といった言葉が使われますが、これらは本質的な原因分析を放棄している状態とも言えます。人は環境に強く影響される存在であり、組織の構造や仕組みが変わらなければ、行動も意識も変わりません。

本来、決裁者や管理部が問うべきは次のような視点です。

  • 意見を出した人が正当に評価される仕組みがあるか
  • 経営の意図や方針が現場まで正しく伝わっているか
  • 部門間で情報や意思決定が滞留していないか

これらは、社内イベントや掛け声だけでは解決できない、構造的な問題です。

活性化を阻害する「見えないボトルネック」

組織が活性化しない最大の難しさは、問題が見えにくい点にあります。管理職や人事が把握している情報は、あくまで表に出てきた声に限られます。声を上げない多数の従業員、いわゆるサイレントマジョリティの状態は、通常のヒアリングでは把握できません。

その結果、次のような判断ミスが起こります。

  • 声の大きい一部の意見に引きずられる
  • 全社平均だけを見て問題がないと判断する
  • 部門ごとの温度差に気付けない

組織活性化施策を成功させるためには、現状を感覚ではなく事実として把握する手段が不可欠です。どの層に、どのような停滞が起きているのかを把握できなければ、優先順位も投資判断も誤ります。

活性化の第一歩は「測れる状態」を作ること

ここで重要になるのが、組織の状態を定量的に把握するという考え方です。活性化しているかどうかを「雰囲気」や「印象」で判断する限り、組織改善は属人的になり、再現性を持ちません。

決裁者や管理部責任者が目指すべきは、
組織の熱量や関与度を測れる状態を作り、そのデータを基に意思決定を行う体制です。

この視点に立ったとき、初めて「どの組織活性化施策が有効なのか」「何から手を付けるべきか」という比較検討が可能になります。そして、このプロセスを支える具体的な手段として注目されているのが、エンゲージメントサーベイです。

後半では、

  • エンゲージメントサーベイが組織活性化施策に有効な理由
  • サーベイ結果を施策へ変換する実践プロセス
  • 決裁者が押さえるべき導入判断のポイント

を、選定判断・導入判断のフェーズに踏み込んで解説します。

エンゲージメントサーベイが組織活性化施策の意思決定を変える理由

感覚的な組織論から脱却し、再現性のある改善へ進むために

組織活性化施策を本気で成功させたいと考える決裁者や管理部責任者にとって、最大の壁となるのが「現状を正確に把握できていない」という問題です。多くの組織では、管理職の印象や一部の声をもとに課題が語られていますが、それでは組織全体の実態を捉えることはできません。ここで重要な役割を果たすのがエンゲージメントサーベイです。

エンゲージメントサーベイの本質的な価値は、組織の状態を共通言語としての数値に変換できる点にあります。仕事への納得感、裁量の有無、成長実感、上司との関係性、組織への信頼感といった要素を定量的に測定することで、これまで曖昧に語られてきた「熱量」や「活気」を構造として把握できます。

組織のどこに停滞が起きているのかを特定できる

決裁者にとって重要なのは、エンゲージメントサーベイが単なる満足度調査ではないという点です。全社平均だけを見るのではなく、部門別、役職別、在籍年数別といった切り口で分析することで、組織のどこに停滞が集中しているのかを把握できます。

例えば、若手層のエンゲージメントが低い場合でも、その原因が成長機会の不足なのか、評価への不信なのかによって、取るべき施策は大きく異なります。サーベイによって要因を切り分けることで、的外れな組織活性化施策を回避し、投資効果の高い打ち手に集中することが可能になります。

意思決定のスピードと質を同時に高める

組織活性化が進まない企業では、課題認識が曖昧なため、意思決定が遅れがちです。エンゲージメントサーベイは、数値という根拠を提供することで、「何から手を付けるべきか」を明確にし、意思決定のスピードを高めます。同時に、主観に左右されない判断が可能になるため、施策の質も向上します。


サーベイ結果を組織活性化施策に変換するための実践プロセス

データを集めるだけで終わらせないための考え方

エンゲージメントサーベイを導入しても、結果をうまく活用できなければ意味がありません。多くの企業が陥る失敗は、スコアを確認して終わりにしてしまい、次の行動につなげられないことです。組織活性化施策に変換するためには、結果の読み解き方とプロセス設計が重要になります。

数値の背景を読み解く視点

まず意識すべきなのは、スコアの高低だけで判断しないことです。数値が低い項目は確かに重要ですが、それが全社的な問題なのか、特定の部門や層に限定された問題なのかを見極める必要があります。また、スコアが高い項目についても、将来的な低下リスクや他部門への横展開の可能性を検討する価値があります。

課題の粒度を整理し、優先順位を付ける

次に、課題を適切な粒度に分解します。

  • 全社共通で改善すべき構造的課題
  • 特定部門や特定役職に限定された課題
  • 短期で改善可能な課題
  • 中長期で取り組むべき課題

この整理を行うことで、組織活性化施策を現実的な計画に落とし込めます。すべてを同時に解決しようとすると、施策は分散し、現場の負荷が高まります。決裁者の役割は、「何をやらないか」を明確にすることでもあります。

効果検証を前提とした施策設計

施策を実行する際には、あらかじめ評価指標を定義しておくことが重要です。どの数値が改善すれば成功といえるのかを明確にすることで、施策は検証可能な取り組みになります。エンゲージメントサーベイは、施策実行前後の変化を測定する基準として機能し、改善サイクルの精度を高めます。


組織活性化目的でサーベイを導入すべき企業と慎重に判断すべき企業

ツール導入が目的化しないための視点

エンゲージメントサーベイは強力な手段ですが、すべての企業に無条件で適しているわけではありません。導入効果を最大化するためには、自社の状況を冷静に見極める必要があります。

導入が向いている企業の特徴

  • 組織が停滞している感覚はあるが、原因を特定できていない
  • 部門ごとに活性度の差が大きい
  • 組織活性化施策の効果を検証できていない
  • 感覚や経験に依存しない意思決定を行いたい

このような企業では、エンゲージメントサーベイによって課題が可視化され、活性化施策の優先順位を明確にできます。

慎重な判断が必要なケース

一方で、サーベイ結果を活用する体制が整っていない場合、導入効果は限定的になります。結果を現場に共有せず、管理部門だけで抱え込むと、従業員の不信感を招く恐れがあります。また、改善アクションを起こす意思がないまま実施すると、「どうせ変わらない」という諦めが組織に広がるリスクもあります。

決裁者は、導入前に「誰が」「どのように」結果を活用し、改善を進めるのかを明確にしておく必要があります。エンゲージメントサーベイは目的ではなく、組織活性化施策を前進させるための手段であることを忘れてはいけません。


決裁者が押さえるべき組織活性化施策としての導入判断ポイント

機能比較ではなく経営判断として選ぶ

エンゲージメントサーベイサービスを選定する際、決裁者が重視すべきは機能の多さではありません。重要なのは、組織活性化に向けた意思決定をどれだけ支援できるかという視点です。

費用対効果と継続運用の現実性

まず確認すべきは費用対効果です。利用料だけでなく、運用にかかる工数や施策実行に必要なリソースも含めて評価する必要があります。安価でも活用されないツールは無駄なコストになりますし、一定のコストがかかっても活性化に直結するのであれば、投資価値は高いといえます。

また、エンゲージメントサーベイは継続運用が前提です。回答しやすい設計か、管理者が直感的に結果を把握できるかといった点は、長期的な活用を左右します。

管理部と現場の役割整理

導入後の混乱を防ぐためには、管理部と現場マネージャーの役割分担を明確にしておくことが不可欠です。誰が分析を行い、誰が改善アクションを主導するのかを整理することで、サーベイは単なる調査ではなく、経営管理ツールとして機能します。


まとめ

組織活性化施策は、職場の雰囲気改善にとどまらず、業績向上や人材定着に直結する重要な経営テーマです。感覚や経験に頼った施策では、活性化は一時的なものに終わってしまいます。現状を可視化し、課題を構造的に捉え、優先順位を付けて改善を進めるプロセスが不可欠です。その基盤となるのがエンゲージメントサーベイです。組織の熱量を定量的に把握し、意思決定の精度を高めることで、組織活性化施策は再現性のある取り組みへと進化します。決裁者や管理部が測れる状態を作り、改善を継続する姿勢を示すことが、従業員の熱量を引き出し、持続的に活力ある組織を実現する鍵となります。

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