【完全ガイド】入退室管理と勤怠管理システムの連携で業務効率と精度を最大化

【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介
株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。
入退室管理システムと勤怠管理システムの連携は、現代企業の労務管理とセキュリティ体制を最適化する上で、極めて重要なテーマです。多くの企業で未だに利用されるタイムカードや自己申告による勤怠管理は、打刻漏れや不正打刻のリスク、集計作業の煩雑さといった課題を抱え、正確な労働時間把握を困難にし、コンプライアンスリスクや管理部門の負担増に繋がっています。
特に働き方改革関連法の施行により、企業には客観的な方法による正確な労働時間管理が法的に義務付けられました。この背景から、ICカードや生体認証などを用いた物理的な入退室記録を、信頼性の高い勤怠打刻データとして活用するシステム連携が注目されています。この連携はヒューマンエラーを排除し、勤怠記録の正確性を飛躍的に向上させると同時に、データの自動取り込み・集計により管理業務の大幅な効率化を実現します。
本記事では、「入退室管理システム 勤怠管理」の連携導入を検討中の管理部門や決裁者の皆様に向け、連携が求められる背景、仕組み、メリット、注意点、システム選定、導入ステップまでを網羅的に解説します。連携の価値を理解し、自社の労務管理強化と業務効率化を実現するための一助となれば幸いです。DXが進む現代、客観的データに基づく効率的な管理体制は、企業の成長と競争力強化に不可欠です。
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連携が求められる背景と市場動向
入退室管理と勤怠管理のシステム連携が重要視される背景には、従来の管理手法の限界と、変化する社会・法制度への対応があります。
1. 従来手法の限界と課題:
- 不正確さ: タイムカードの押し忘れ・代理打刻、自己申告の記憶違い・改ざんなど、人為的なミスや不正のリスクが常に存在します。これは不適正な給与計算や、サービス残業の温床となり得ます。
- 非効率: データ収集、転記、集計、確認、修正といった手作業は膨大な時間と労力を要し、管理部門の大きな負担となっています。ヒューマンエラーも避けられません。
2. 法改正とコンプライアンス遵守:
- 働き方改革関連法: 客観的な労働時間把握が法的に義務化され、時間外労働の上限規制も厳格化されました。違反時の罰則リスクもあり、正確な勤怠管理は必須です。
- 労働安全衛生法改正: 従業員の健康確保の観点からも、客観的な労働時間把握の重要性が増しています。
- 社会的要請: コンプライアンスや企業の社会的責任(CSR)への関心が高まり、不適切な労務管理はレピュテーションリスクにも繋がります。
3. 働き方の多様化とDX推進:
- 多様な働き方: テレワーク、フレックスタイムなどが普及し、従来の画一的な勤怠管理では対応が困難になっています。柔軟かつ正確な管理体制が不可欠です。
- DX(デジタルトランスフォーメーション): 業務のデジタル化が進む中、勤怠・入退室管理も例外ではありません。システム連携による自動化・効率化はDX推進の重要な要素です。
これらの課題や要請に応える有効な解決策として、物理的な入退室記録(客観的データ)を勤怠管理に活用するシステム連携が急速に普及しています。ICカードや生体認証でのドア通過時刻を、そのまま出退勤時刻として自動記録する仕組みです。
連携による主な解決効果:
- 正確性の向上: 打刻漏れや不正打刻を大幅に削減し、信頼性の高い勤怠データを確保できます。
- 効率化の実現: データ入力や集計作業の自動化により、管理部門の業務負担を劇的に軽減します。
- コンプライアンス強化: 法令が求める客観的な労働時間管理を確実に実現できます。
市場では、クラウド型のシステムが増加し、API連携などを活用したリアルタイム連携も可能になっています。もはやシステム連携は単なる効率化ツールではなく、企業のコンプライアンス、リスク管理、働き方改革を支える基盤として、その導入の必要性が高まっています。管理部門や決裁者は、この連携の価値を正しく評価し、導入を検討することが求められます。
連携の仕組みと主な方式
入退室管理システムと勤怠管理システムは、どのように連携し機能するのでしょうか。基本的な仕組みと主な連携方式を解説します。
基本的な仕組み:
連携の核となるのは、「入退室管理システムが記録した客観的なログデータ(誰が、いつ、どこに入退室したか)を、勤怠管理システムが打刻データ(出勤・退勤時刻)として自動的に取り込む」ことです。
これにより、従業員の打刻作業は不要となり、オフィスへの入退室行為自体が勤怠記録の根拠となります。打刻忘れや二重打刻といったミスを効果的に防止できます。
主な連携方式:
連携を実現する主な技術的方式は以下の通りです。
- API連携 (Application Programming Interface):
- 仕組み: システム同士がプログラムを通じて直接情報をやり取りする「接続口(API)」を利用。入退室イベント発生時に、情報がAPI経由で勤怠管理システムへ送信され、打刻データとして登録されます。リアルタイムまたは定期的な連携が可能です。
- メリット:
- リアルタイム性: 勤怠状況をほぼ遅延なく把握可能。
- 高度な自動化: 管理者の手間を最小限に抑えられます。
- データ精度: システム間直接通信のため、転記ミスがありません。
- デメリット/注意点:
- 導入・設定の複雑さ: API仕様の互換性確認や設定に専門知識が必要な場合あり。
- コスト: API利用や連携開発に追加コストが発生する可能性。
- 互換性: 全てのシステム間で連携可能とは限りません。
- CSV連携 (Comma Separated Values):
- 仕組み: 入退室管理システムからログデータをCSVファイルとして出力し、勤怠管理システム側で手動または自動で取り込む(インポートする)方式。
- メリット:
- 導入の容易さ: 多くのシステムがCSV入出力に対応しており、比較的導入しやすい。
- 低コスト: API連携より追加コストが少ない傾向。
- 既存システムへの影響: システム間の直接接続ではないため、影響を抑えやすい。
- デメリット/注意点:
- タイムラグ: データの反映に時間がかかります(ファイル出力・取り込みのタイミング次第)。
- 運用の手間: 手動取り込みの場合は定期的作業が発生。自動でもエラー対応などが必要。
- フォーマット調整: システム間でCSVフォーマットが異なる場合、調整が必要なことも。
- その他(専用モジュール等):
- 特定のシステム間専用の連携ソフトウェアやモジュールが提供されている場合もあります。連携は確実ですが、システムの選択肢が限定されます。
方式選定のポイント:
最適な方式は、リアルタイム性の要求度、予算、運用負荷、既存システムの仕様、社内の技術的知見などを総合的に考慮して決定します。
連携設定の重要性:
単に連携できるだけでなく、「自社の勤怠ルールに合わせて柔軟に設定できるか」が極めて重要です。以下の点などを確認しましょう。
- 打刻対象とする場所(デバイス)の指定
- 時刻の丸め処理(切り上げ/切り捨て等)
- 休憩時間の自動控除
- 多様な勤務形態(シフト、変形労働時間制等)への対応
正確で信頼性の高い連携のためには、両システムの機能と設定を深く理解し、自社の運用に合わせた適切な設定が不可欠です。ベンダーのサポートを活用しながら進めることが推奨されます。
連携による5つの主要メリット
入退室管理システムと勤怠管理システムの連携は、企業の労務管理や業務プロセスに多大なメリットをもたらします。管理部門や決裁者にとって特に重要な5つの主要メリットを解説します。
メリット1:勤怠打刻の正確性・客観性の飛躍的向上
- ヒューマンエラー排除: ICカードや生体認証による客観的な入退室記録は、タイムカードの押し忘れ・間違いや自己申告の記憶違い・改ざんといった人為的ミス・不正リスクを根本から排除します。
- なりすまし打刻防止: 物理的な入退室と連動するため、代理打刻は極めて困難になります。特に生体認証との組み合わせは信頼性を最大限に高めます。
- 実態に基づいた労働時間把握: 「いつ、誰が、どこにいたか」という客観的記録により、実労働時間を正確に把握でき、適正な給与計算やコンプライアンス遵守の基礎となります。
メリット2:勤怠管理業務の大幅な効率化
- 打刻・入力作業の自動化: 従業員の打刻作業が不要になり、管理者のデータ収集・手入力・転記といった煩雑な作業から解放されます。
- 集計・確認作業の削減: データが自動連携・集計されるため、月末月初の締め作業工数を劇的に削減できます。エラーチェックや修正作業の負担も大幅に軽減されます。
- コア業務への集中: 定型作業から解放された管理者は、勤怠データの分析、労働環境改善、人事戦略立案といった、より付加価値の高いコア業務に注力できます。
メリット3:労務コンプライアンス体制の強化
- 客観的な労働時間記録: 信頼性の高い勤怠データは、サービス残業や隠れ残業の抑止力となり、長時間労働の是正や従業員の健康管理にも繋がります。
- 法令遵守の徹底: 働き方改革関連法等が求める客観的な労働時間把握義務を確実に履行できます。法改正への対応も容易になります。
- 監査・調査への迅速対応: 監査や調査の際に、信頼性の高い勤怠データを迅速かつ正確に提出でき、企業の正当性を証明しやすくなります。これは労務リスク管理上、非常に重要です。
メリット4:オフィスセキュリティレベルの向上
- 不正アクセス抑止: 「誰がいつ社内にいたか」が明確になるため、権限のない人物の侵入や不正な立ち入りなどを早期に検知・抑止する効果が期待できます。
- 所在確認の精度向上: 緊急事態発生時に、従業員の安否確認や最終在館状況の把握を迅速かつ正確に行えます。
- 情報漏洩リスク低減: 機密情報エリアなどへのアクセス管理と勤怠データを連携させることで、内部からの情報漏洩リスクに対する抑止力を高めます。
メリット5:トータルコストの削減
- 人件費削減: 勤怠管理にかかる管理部門の工数(人件費)を大幅に削減できます。特に集計・確認作業の自動化効果は大きいです。
- ペーパーレス化: タイムカードや紙の申請書が不要になり、消耗品費や保管スペースを削減できます。
- 残業代適正化: 正確な労働時間把握により、不必要な残業代の支払いを抑制し、人件費全体の適正化に貢献します。
- リスク対応コスト削減: 労務トラブルやコンプライアンス違反発生時の訴訟費用や信用失墜といった潜在的なリスクコストを低減できます。
これらのメリットは相互に関連し、複合的に作用することで、企業全体の生産性向上、リスク低減、健全な経営基盤構築に大きく貢献します。
導入・運用における注意点と対策
システム連携は多くのメリットをもたらしますが、導入・運用を成功させるには、いくつかの注意点を理解し、適切な対策を講じることが重要です。
1. 導入コスト:
- 注意点: 初期費用(ハードウェア、ソフトウェア、連携費用、設置工事費等)とランニングコスト(月額利用料、保守費等)が発生します。
- 対策:
- 費用対効果試算: 削減工数やコスト、生産性向上効果を試算し、投資対効果(ROI)を明確化します。
- 複数ベンダー比較: 見積もりを取得し、機能、サポートを含めたコストパフォーマンスを比較します。
- 補助金活用: IT導入補助金などの活用を検討します。
2. 連携設定・技術的ハードル:
- 注意点: API連携などは専門知識が必要な場合があり、設定ミスはトラブルの原因となります。
- 対策:
- サポート体制確認: 導入・運用サポートが充実したベンダーを選びます。
- 互換性検証: 利用中システムとの連携実績や互換性を確認。可能ならトライアルを実施します。
- 社内連携: 情報システム部門など専門部署との連携体制を構築します。
3. 運用上の課題とルール整備:
- 注意点: 休憩・中抜け時間の管理、直行直帰・テレワーク等、連携だけではカバーできないケースへの対応が必要です。システムエラー時の代替打刻方法も必要です。
- 対策:
- 運用ルール明確化: 休憩時間の打刻ルール、多様な働き方への対応、イレギュラー時の対応フローなどを定め、周知徹底します。
- システム機能活用: 勤怠管理システムの申請・承認ワークフローなどを活用します。
- 柔軟なシステム選定: 多様な働き方に対応できる柔軟な設定が可能なシステムを選びます。
4. 既存システムとの相性:
- 注意点: 既存の勤怠・人事給与システム等との連携がスムーズに行えない場合、改修やリプレイスが必要になる可能性もあります。
- 対策:
- 連携実績確認: 導入候補システムが、利用中システムとの連携実績を持つか確認します。
- 段階的導入: スモールスタートで一部から導入し、効果を確認しながら展開する方法も有効です。
5. 従業員への説明と合意形成:
- 注意点: 入退室記録の勤怠利用に対し、従業員が監視感やプライバシー懸念を抱く可能性があります。説明不足は不信感や反発を招きます。
- 対策:
- 丁寧な説明: 導入目的、メリット、運用ルール、個人情報取り扱いについて事前に説明し、理解と合意を得ます。
- 質疑応答: 説明会などで質問や懸念に真摯に対応します。
- プライバシーポリシー明示: 個人情報の利用目的や管理方法を明確にし、周知します。
6. システム障害・セキュリティリスク:
- 注意点: システム障害は勤怠記録に影響を与えます。データ連携にはセキュリティリスクも伴います。
- 対策:
- バックアップ・復旧計画: 定期バックアップと障害時の復旧手順を確認・整備します。
- 代替運用フロー: システムダウン時の代替打刻方法を定めます。
- セキュリティ対策確認: 通信暗号化、アクセス権限設定など、ベンダーの対策を確認し、自社ポリシーに適合か評価します。
これらの注意点と対策を事前に検討し、計画的に導入を進めることが成功の鍵です。
連携可能なシステムの選定と比較ポイント
自社のニーズに最適な連携システムを選定することが、導入成功の鍵となります。特に重要となる比較・選定ポイントを解説します。
1. 連携実績と対応システムの豊富さ:
- 最重要: 導入候補の入退室管理システムが、利用中または導入予定の勤怠管理システムと確実に連携できるか、連携実績は豊富かを確認します。
- 確認点: ベンダーのウェブサイトや導入事例で、特定の勤怠管理システムとの連携実績を確認。対応システムの種類が多いほど将来的な変更に柔軟に対応できます。API公開の有無も確認ポイントです。
2. 連携方式と機能の柔軟性:
- 方式選択: API連携とCSV連携のどちらが自社に適しているか(リアルタイム性、コスト、運用負荷等を考慮)判断します。両対応ならより柔軟です。
- 機能柔軟性: 単に連携できるだけでなく、自社の勤怠ルールに合わせた細かい設定(打刻対象場所指定、時刻丸め、休憩自動控除、雇用形態別ルール等)が可能か確認します。エラー通知やログ確認機能も重要です。
3. 入退室管理システム自体の機能と性能:
- 認証方法: ICカード、生体認証、暗証番号、スマホ等から、運用やセキュリティレベルに合ったものを選びます。認証精度と認証速度は従業員の利便性に直結します。
- セキュリティ機能: アンチパスバック、共連れ検知、ドアこじ開け検知アラーム等、求めるレベルに応じた機能を確認します。
- 管理機能: ログ保存期間、検索機能、権限設定、複数拠点一元管理機能なども比較します。
- 拡張性: 将来的な拠点増設や他システム(監視カメラ等)連携の可能性も考慮します。
4. 連携先(勤怠管理システム)の機能評価:
- 基本機能: シフト管理、休暇申請・管理、残業自動計算、アラート機能、多様な働き方への対応など、自社の労務管理に必要な機能が十分か再確認します。
- 法改正対応: 労働関連法の改正に迅速に対応できるか、アップデート体制を確認します。
- 他システム連携: 給与計算システム等へのデータ連携がスムーズかも重要です。
5. サポート体制の充実度:
- 導入支援: 初期設定、連携設定サポート、操作トレーニング等の提供有無を確認。特に連携設定サポート力は重要です。
- 運用サポート: 障害時対応、問い合わせ窓口の可用性、FAQ・マニュアルの充実度などを確認します。
6. コスト体系と費用対効果:
- コスト内訳: 初期費用、月額/年額利用料(ライセンス形態)、保守費、サポート費、オプション費等を詳細に把握します。
- トータルコスト比較: 単純価格だけでなく、機能、サポートを含めたトータルコストと費用対効果(ROI)を総合的に判断します。隠れコストにも注意しましょう。
選定プロセス:
- 情報収集と比較表作成。
- 候補を絞り込み、デモやトライアルで確認。
- 見積もり取得と比較検討。
- 最終決定。
慎重なシステム選定が、連携導入成功の基盤となります。
連携導入の具体的な進め方
システム連携導入を成功させるには、計画的かつ段階的なアプローチが不可欠です。具体的な導入ステップとポイントを解説します。
ステップ1:現状分析と目的の明確化
- 課題洗い出し: 現在の勤怠・入退室管理の問題点(打刻漏れ、集計負荷、セキュリティ等)を具体的にリストアップし、可能なら数値化します。
- 目的設定: 連携で何を達成したいか(例:勤怠記録の正確性向上、業務効率化、コンプライアンス強化等)具体的な目標を設定します。
ステップ2:連携要件の定義
- 連携データ特定: どの入退室ログを勤怠データとして利用するか定義します。
- 連携ルール策定: 打刻対象場所、時刻丸め、連携タイミング、休憩時間の扱い、多様な働き方への対応などを明確にします。
- その他要件: セキュリティ要件、他システム(人事給与等)連携の要否も定義します。
ステップ3:情報収集と比較検討
- ベンダーリサーチ: 設定した目的・要件に基づき、連携可能なシステムの情報を収集します。
- 比較表作成: 選定ポイントに基づき、候補システムの比較表を作成します。
- 候補絞り込みと確認: 候補を3~5社程度に絞り、デモやトライアルで実際の操作感や機能を確認します。
ステップ4:ベンダー選定と契約
- 総合的評価: 機能、コスト、サポート、実績、将来性などを総合的に評価し、最適なベンダーを選定します。
- 見積もり・交渉: 詳細見積もりを取得し、必要に応じて交渉します。
- 契約内容確認: サービス範囲、SLA、保守、解約条件などを十分に確認し、契約します。
ステップ5:導入準備
- プロジェクト体制構築: 社内に導入プロジェクトチームを立ち上げ、役割分担と責任者を明確にします。
- 導入計画策定: 詳細な導入スケジュールを作成します。
- 社内規定整備: 就業規則、勤怠管理規定、プライバシーポリシー等の見直し・改訂を行います。
- 従業員への周知・説明: 導入目的、メリット、新運用ルール、スケジュール等を説明し、理解と協力を得ます。
ステップ6:システム導入・設定・テスト
- 環境構築: ベンダーと協力し、ハードウェア設置、ソフトウェアインストール等を行います。
- 連携設定: 定義した連携要件に基づき、システム間の連携設定を行います。
- データ移行: 必要に応じて、既存システムからのデータ移行を実施します。
- テスト運用: 実際の運用を想定したテスト(打刻、連携、集計、エラー等)を入念に行います。パイロット運用(試行導入)も有効です。テスト結果に基づき設定やルールを調整します。
ステップ7:本格運用開始と効果測定・改善
- 本格運用開始: テストで問題がないことを確認し、本格運用を開始します。
- 運用サポート: 運用開始直後のサポート体制を整え、マニュアル等を整備します。
- 効果測定: 設定した目標(KPI)に基づき、導入効果(エラー削減率、工数削減時間等)を定期的に測定・評価します。
- 継続的改善: 従業員フィードバックや効果測定結果を踏まえ、設定や運用ルールを継続的に見直し、改善を図ります。
計画的なステップを踏むことで、導入リスクを最小限にし、連携効果を最大化できます。
まとめと今後の展望
入退室管理システムと勤怠管理システムの連携は、単なる効率化策に留まらず、企業の労務管理の質を向上させ、コンプライアンス体制を強化し、セキュリティレベルを引き上げるための重要な戦略的投資です。この連携により、勤怠記録の客観性と正確性が担保され、管理部門の業務自動化が進み、コスト削減にも繋がります。
導入にはコストや運用ルールの整備といった検討事項もありますが、適切なシステム選定と計画的な導入により克服可能です。自社の課題と目的を明確にし、多角的な視点で最適なシステムを選ぶことが重要です。
今後、IoTやAI技術の進化により、連携システムはさらに高度化するでしょう。異常な勤怠状況の自動検知や、従業員のコンディション管理との連携など、新たな価値創出が期待されます。多様化する働き方を支える上で、システム連携の重要性はますます高まります。
この連携は、企業の透明性、信頼性、効率性を高め、企業価値向上と持続的成長の基盤となります。ぜひこの機会に導入を具体的に検討し、未来を見据えた労務管理体制の実現に向けた一歩を踏み出すことをお勧めします。