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入退室管理システムの耐用年数とは?導入前に知っておきたい基礎知識と選び方【徹底解説】

小島 伸介

【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介

株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。

導入

企業のセキュリティ基盤であり資産管理ツールでもある入退室管理システム。その導入や更新時「耐用年数」は重要な検討事項です。「法定耐用年数と実際の寿命は?」「いつ買い替えるべき?」「長く使えるシステムの選び方は?」こうした疑問は管理部門や決裁者にとって共通の課題でしょう。

入退室管理システムの耐用年数は、機器の寿命だけでなく予算策定、資産管理、会計処理、セキュリティレベル維持、将来の更新計画に直結する経営要素です。特に管理部門、情シス、総務、そして決裁者の皆様には、耐用年数に関する正確な知識が最適なシステム選定長期的なコスト管理(TCO)リスク管理の鍵となります。

この記事では、入退室管理システムの導入・更新を検討する担当者様、決裁者様向けに以下の点を網羅的かつ分かりやすく解説します。

  • 耐用年数の基本(法定と物理的の違い)
  • システムの実際の寿命を左右する要因
  • 買い替え・リプレイスのサインとタイミング
  • 耐用年数を踏まえた賢い選び方(決裁者視点)
  • システムの寿命を延ばすメンテナンスと運用のポイント

本記事が、貴社のセキュリティ強化と効率的な資産運用、計画的なIT投資戦略の一助となれば幸いです。

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入退室管理システムの「耐用年数」とは?法定と物理的の違いを理解する

入退室管理システムにおける「耐用年数」は主に二つの意味で使われます。①税法上の「法定耐用年数」②実際に使用可能な「物理的耐用年数(実質的耐用年数)」です。これらを混同すると予算や更新計画を誤るため、違いを正しく理解することが極めて重要です。

① 法定耐用年数:税務会計上のルール

法定耐用年数とは税法で定められた減価償却資産の使用可能期間の見積もりです。企業が設備投資した際、取得費用をこの期間にわたって分割し費用化(減価償却)します。入退室管理システムは構成要素により、主に以下の勘定科目に分類され、法定耐用年数が定められます。

  • 建物附属設備: サーバーや制御盤などが該当し、多くの場合6年
  • 器具・備品: カードリーダー、認証端末、PCなどが該当。「事務機器、通信機器」なら5年または6年など種類による。

重要点として、法定耐用年数はあくまで税務会計上の計算期間であり「その期間しか使えない」という意味ではありません。課税所得計算や固定資産税評価のための数値と認識してください。

【決裁者視点】法定耐用年数に基づく減価償却費は企業の損益計算書に費用として計上され、利益に影響します。導入計画時にはこの財務への影響も考慮が必要です。

② 物理的(実質的)耐用年数:実際の使用可能期間

物理的耐用年数とはシステム構成機器が物理的な故障や性能低下で使用不能になるまでの実際の期間、メーカー想定寿命や経験則上の寿命を指します。これは法定耐用年数と異なり、以下の様々な要因で変動します。

  • 機器の種類や品質
  • 設置環境(温度、湿度、屋外/屋内等)
  • 利用頻度(通行人数、開閉回数等)
  • メンテナンス状況

例えば精密な生体認証リーダーは環境の影響を受けやすく、屋外や劣悪環境では寿命が短くなる可能性があります。高頻度利用の電気錠も摩耗が進みやすいです。物理的耐用年数は法定耐用年数と必ずしも一致せず、多くの場合法定より長いですが、逆もあり得ます。

また入退室管理システムはカードリーダー、認証端末、電気錠、制御盤、ソフトウェア等複数の要素で構成され、それぞれ物理的耐用年数が異なります。ソフトウェアはハードより早く陳腐化する場合もあります。システム全体の更新計画は最も寿命の短い要素を考慮する必要があります。

法定耐用年数とメーカー保証期間の違い

もう一つ注意すべきは「メーカー保証期間」です。これは通常使用での不具合に対しメーカーが無償修理等を行う期間で、法定耐用年数とは全く別です。保証期間1年でも法定耐用年数6年、逆もあります。システム選定では法定耐用年数、物理的期待寿命、メーカー保証期間(と有償保守)をそれぞれ区別して評価しましょう。

耐用年数の基礎知識の正しい理解は、適切な予算・更新計画、そして長期的なセキュリティレベル維持に不可欠です。

システムの寿命はどれくらい?物理的耐用年数と影響要因

企業が最も気にするのは「このシステムはあと何年使えるか」という物理的耐用年数でしょう。前述の通り、この寿命は一律ではなく様々な要因で変動します。長期運用計画や更新予算のため、寿命への影響要因を具体的に把握することが重要です。

物理的耐用年数を左右する主な要因

システムの物理的な寿命は主に以下の要因で決まります。これらを理解し導入時の機種選定や設置場所、運用方法の検討に役立てましょう。

  • 【要因1】機器の種類と品質
    • メーカー信頼性: 実績あるメーカーの高品質な製品は耐久性が高い傾向があります。
    • 認証方式:
      • 接触型: 物理的摩耗あり。
      • 非接触IC: 摩耗少ないが電子部品寿命あり。
      • 生体認証: 精密センサーは汚れや経年劣化リスク。指紋は接触摩耗も。
    • 電気錠: 電磁石式は可動部少なく高耐久、モーター式は機械的摩耗あり。
  • 【要因2】設置環境
    • 屋内 vs 屋外: 屋外は雨風、温度変化、紫外線、砂塵等で劣化が格段に早い。
    • 温度・湿度: メーカー推奨範囲を守ることが重要。高温多湿、極低温、結露は故障原因。
    • 粉塵・塩害等: 工場や沿岸部では異物混入や腐食が進みやすい。
    • 対策: 特殊環境では適切な防水・防塵性能(IP等級)の機器選定や保護ボックス使用が必要。
  • 【要因3】利用頻度
    • 通行人数・開閉回数: 利用が多い出入口の機器は部品摩耗や疲労が進みやすい。
    • 利用頻度の低い場所: 役員室等、限られた利用の機器は比較的長持ちする傾向。
  • 【要因4】メンテナンス状況
    • 定期点検: 専門業者による点検は異常の早期発見や予防保全に繋がる。
    • 清掃: 認証部の汚れは精度低下や故障の原因。定期清掃が必要。
    • 消耗品交換: バッテリー等は適切な時期に交換。
    • 怠慢のリスク: 適切なメンテナンスを怠ると小さな不具合が大きな故障に発展し寿命を縮めます。メンテナンスはコストではなく投資と考えるべきです。

システムタイプによる違い:「後付け型」と「交換型」

導入形態によっても耐用年数や考慮事項が異なります。「後付け型」と「交換型」があります。

  • 後付け型システム
    • 特徴: 既存ドアノブ等に機器を設置。導入が比較的容易。
    • メリット: 導入工事が容易初期コスト抑制可能。現状復旧が必要な賃貸物件にも適す。
    • デメリット: 既存ドアに依存し安定性・耐久性が左右される。環境影響受けやすく耐用年数が相対的に短い傾向。保守頻度増の可能性。
  • 交換型システム
    • 特徴: 既存錠前等を電気錠やリーダー組込済みのものに交換。扉ごと替える場合も。
    • メリット: 一体設計で安定性高く、耐用年数も長い傾向。デザイン性良く高セキュリティ維持容易。包括的保守を受けやすい。
    • デメリット: 導入工事が大掛かり初期投資が高額になりやすい。

これらの要因やタイプによる違いを理解し、自社の環境、利用状況、予算、セキュリティレベル等を総合的に勘案して最適なシステム構成を検討することが、長期安定運用とコスト効率最大化に繋がります。

買い替え・リプレイスの判断基準:見逃せないサインとタイミング

入退室管理システムはいずれ買い替え(交換)やシステム全体の入れ替え(リプレイス)が必要です。物理劣化や技術陳腐化が理由です。問題は「いつ、どう判断するか」。適切な更新を怠るとセキュリティリスク増大、業務効率低下、予期せぬシステム停止といった重大問題に繋がりかねません。ここでは更新を検討すべき具体的なサインとタイミングを解説します。

なぜシステム更新が必要になるのか?

主な理由は以下です。

  • 物理的な老朽化・故障
  • 技術の陳腐化
  • セキュリティ要件の変化(ポリシー変更、新脅威、法規制)
  • 運用ニーズの変化(事業規模拡大、他システム連携)
  • メーカーサポートの終了(最重要理由の一つ)

買い替え・リプレイスを検討すべきサイン

以下の兆候はシステムの更新検討開始のサインです。複数が重なれば早急な対応が必要です。

  • 【サイン1】故障頻度の増加・不具合の多発
    • 読み取りエラー頻発、認証時間増、電気錠動作不良、ソフトウェア不安定等
    • → 物理劣化や寿命が近い可能性大
  • 【サイン2】性能の低下
    • システム全体のレスポンス低下、管理データ容量限界
    • → 処理能力限界、あるいは陳腐化
  • 【サイン3】メーカーサポートの終了(EOS/EOL)
    • EOS (End of Sale): 販売終了
    • EOL (End of Life / End of Support): 保守サポート終了
    • 【最重要】EOLになると…
      • セキュリティパッチ提供停止: 新たな脆弱性が修正されず不正アクセスリスクが極めて高まる(最大リスク)
      • 修理困難化: 交換部品供給停止で修理不能の可能性。
      • 互換性喪失: 最新OS等への対応不可で運用支障の可能性。
    • → EOL告知後は計画的リプレイスは必須と考えるべき。
  • 【サイン4】セキュリティ要件の変化
    • より高度な認証方式(生体認証等)への移行必要性
    • 業界基準や法規制(個人情報保護法改正等)への対応要求
    • 内部統制強化(詳細ログ、監査証跡)の必要性
    • → 現行システムでは要求レベルを満たせない
  • 【サイン5】運用ニーズの変化
    • 管理対象(扉、従業員)増で現行システムのキャパシティ超過
    • 他システム(勤怠、監視カメラ等)との連携必要性
    • 拠点増設・統廃合によるシステム構成見直し
    • → 現行システムでは新運用形態に対応できない
  • 【サイン6】新技術・新機能の登場
    • より利便性の高い認証方式(顔、スマホ等)導入意向
    • クラウド化による管理負担軽減や利便性向上意向
    • 付加価値機能(来訪者管理等)利用意向
    • → 業務効率化や利便性向上の観点から新システム移行を検討

買い替え時期の一般的な目安

明確な「〇年」基準はありませんが、以下を総合的に考慮します。

  • 法定耐用年数(例: 6年): 税務上の参考情報として捉える。
  • 物理的耐用年数: 一般的に7年~10年程度で更新検討時期を迎えることが多いが、環境や保守状況で大きく変動。
  • メーカーサポート期間(保証+有償保守): 最も現実的で重要な判断基準。特にEOL(サポート終了)時期はリプレイス計画のデッドラインとして強く意識。EOL通知後は余裕をもって更新計画を開始推奨。

これらのサインや目安を参考に自社システム状況を定期的に評価し、計画的な更新を行うことがセキュリティリスク低減と安定した事業継続に不可欠です。

耐用年数を踏まえた賢い選び方:決裁者が押さえるべきポイント

入退室管理システム導入・更新は重要な投資判断です。現在の機能や価格だけでなく、システムの耐用年数を考慮し、長期的な視点で最適な選択をすることが管理部門や決裁者には求められます。ここでは耐用年数を踏まえ、将来コストやリスクも見据えた賢い選び方について、決裁者が押さえるべきポイントを解説します。

長期的な視点:TCO(総所有コスト)で判断する

システム選定で最も重要な考え方の一つがTCO(Total Cost of Ownership:総所有コスト)です。導入時の初期費用だけでなく、システムの耐用年数全体にわたるコストの合計です。

  • 初期導入費用: 機器代、ライセンス料、工事費、設定費等
  • 運用・保守費用(ランニングコスト): 保守契約料、クラウド利用料、消耗品費、電気代、管理者の人件費(間接)等
  • 将来的な費用: バージョンアップ費、機能追加費、更新・リプレイス費用

初期費用が安くても、ランニングコストが高い、耐用年数が短く頻繁な更新が必要等で結果的にTCOは高額になり得ます。逆に初期費用が高くても耐久性やサポートが良く長期安定運用できればTCOを抑えられる可能性があります。決裁者は目先の価格だけでなく必ずTCOとROI(投資利益率)の視点からコストパフォーマンスを評価すべきです。

システム選定で考慮すべき重要ポイント

TCOを意識しつつ長期視点でシステムを選ぶため、以下のポイントを多角的に評価・比較検討することが重要です。

  • 【ポイント1】導入目的との適合性
    • 導入目的(不正侵入防止、内部不正抑止等)を明確化し、目的に合った機能・性能・認証方式か確認。過剰機能はコスト増、機能不足は目的未達に。
  • 【ポイント2】システムタイプ(オンプレミス/クラウド)の選択
    • オンプレミス: 自社設置。カスタマイズ性高いがハードウェア耐用年数管理・保守体制構築必要。初期投資高め、ランニングコストは比較的抑制傾向。
    • クラウド: サービス利用。初期投資抑制、管理負担少。月額/年額利用料継続発生、サービス提供者の信頼性・継続性重要。機能自由度は劣る場合あり。
    • 自社ITポリシー、予算、管理体制、セキュリティ要件に合わせ選択。
  • 【ポイント3】メーカー・ベンダーの信頼性と実績
    • 企業の安定性: 長期サポート継続可能な信頼できる企業か。経営状況や事業継続計画も確認推奨。
    • 導入実績: 同規模・同業種への豊富な導入実績は信頼性の指標。
  • 【ポイント4】サポート体制と保証期間
    • サポート内容: トラブル時対応(受付時間、速度、オンサイト有無、代替機等)は十分か。ハード・ソフト両保守カバーか。
    • 保証期間と保守契約: 保証期間の長さ、終了後の有償保守内容・費用確認。長期保守契約可否も重要。
  • 【ポイント5】システムの拡張性・柔軟性
    • 将来の事業規模拡大(従業員増、拠点増)や管理対象増に柔軟に対応可能か。
    • 他システム連携(勤怠、監視カメラ等)の可否、実績、API連携等の柔軟性確認。
  • 【ポイント6】ソフトウェアのアップデート・将来性
    • ソフトウェアが定期的にアップデートされ、セキュリティ脅威やOS進化に対応するか。頻度、費用、方法確認。
    • 将来技術トレンド(モバイル認証等)への対応計画有無。陳腐化しにくいシステム選定視点も。
  • 【ポイント7】セキュリティ対策
    • 通信暗号化、不正アクセス対策、データ保護等、最新セキュリティ基準準拠か。
    • 脆弱性への対応方針・実績確認。

比較検討プロセスの推奨

これらのポイントについて複数の候補製品・ベンダーをリストアップし客観的に比較検討することが不可欠です。「比較チェックリスト」作成し、各項目を評価・整理すると判断しやすくなります。デモやトライアルも有効です。

決裁者は現場報告だけでなく客観的比較データに基づき、TCO、リスク、将来性を総合判断し企業価値最大化に繋がる投資となるシステムを選定する責任があります。

システムの寿命を延ばすために:メンテナンスと運用の勘所

高性能で信頼性の高いシステムを選んでも、その後の運用とメンテナンスを怠れば性能を発揮できず、物理的耐用年数を縮めることになりかねません。システムは導入して終わりではなく、日々の適切な管理こそが価値を最大化し、長期安定稼働させる鍵です。ここではシステムの寿命を延ばし、トラブルやコスト発生を防ぐためのメンテナンスと運用の勘所を解説します。

なぜ運用・保守が重要なのか?

適切な運用・保守は以下の効果をもたらします。

  • 物理的耐用年数の最大化: 機器劣化を抑制し、本来の寿命まで、あるいはそれ以上に使い続けることを可能に。
  • 安定稼働の維持: 故障や不具合を未然に防ぎ、ダウンタイムを最小化、業務影響を回避。
  • セキュリティレベルの維持: 常にシステムを最新状態に保ち、セキュリティホールを塞ぎ、リスクを低減。
  • TCO(総所有コスト)の削減: 計画的保守により突発的高額修理や早期交換リスクを減らし、ライフサイクルコストを最適化。

耐用年数を延ばすための具体的なポイント

システムの長寿命化と安定稼働のため、以下を継続的に実施することが重要です。

  • 【ポイント1】適切な設置環境の維持
    • 温湿度管理: メーカー推奨の動作温湿度範囲を遵守。特にサーバー室や制御盤設置場所の空調管理。
    • 設置場所選定: 直射日光、雨風、極端な温度変化、多粉塵・油煙、振動が多い場所は避ける。
    • 保護対策: 屋外や特殊環境下では防水・防塵性能(IP等級)機器を選び、必要なら専用保護ボックスで物理保護。
    • 安定電源供給: 電圧変動や瞬断は故障原因。重要機器にはUPS(無停電電源装置)導入検討。
  • 【ポイント2】定期的なメンテナンスと点検
    • 清掃: カードリーダー読み取り部、認証端末センサー部等は汚れで性能低下するため定期清掃。
    • 動作確認: 電気錠動作、ランプ点灯等の日常的目視確認も有効。
    • 消耗品交換: バッテリー等はメーカー推奨時期に定期交換。ICカードも劣化状態確認。
    • 専門業者による定期点検: 専門技術者による定期点検が非常に有効。機器内部点検、ソフトウェア診断、動作調整等。
    • 保守契約の活用: メーカーや保守業者との保守契約締結を強く推奨。通常以下の内容を含み安心感が向上。
      • 予防保守: 定期点検による故障未然防止。
      • オンサイト修理: 現地駆けつけ修理。
      • 部品交換: (契約内容による)
      • ソフトウェアアップデート支援:
      • ヘルプデスク: 問い合わせ対応。
  • 【ポイント3】正しい運用方法の遵守
    • 取扱説明書遵守: メーカー指定の正しい操作方法を守り、無理な力や想定外使用を避ける。
    • ソフトウェアアップデート適用: メーカー提供のソフトウェア・ファームウェアアップデートは機能改善、セキュリティ強化、不具合修正に重要。速やかに適用を徹底。OS等との互換性も考慮し計画的に。
    • アクセス権限の適切な管理: システム管理権限を適切に設定し不正操作・設定変更を防止。

運用体制の整備と決裁者の役割

システムを適切に維持管理するには社内の運用体制整備も重要です。

  • 専任担当者の配置(推奨): 日常管理、一次対応、連絡窓口担当を決める。
  • 定期的な稼働状況チェック: ログ確認やアラート監視で異常早期発見。
  • 緊急時対応フロー確立: システムダウン等発生時の連絡体制・対応手順明確化。

【決裁者視点】 決裁者は保守・運用計画がコスト削減対象として安易に削られず確実に実施されているかを定期レビューする役割があります。保守契約内容・費用がリスクに見合うか評価し、将来の更新時期や追加費用を含めた長期的なライフサイクルコストの見通しを立て、必要予算確保も重要責務です。適切な保守運用は導入したシステム投資効果を最大化する不可欠要素です。

まとめ

本記事では入退室管理システムの「耐用年数」を軸に基礎知識、実際の寿命、買い替えサイン、選び方、寿命を延ばす運用保守まで解説しました。

重要点をまとめると以下です。

  1. 耐用年数には「法定(税務)」と「物理(実際)」があり意味が違う。
  2. 物理的寿命は機器品質、環境、利用頻度、保守で大きく変動。
  3. 故障頻発、性能低下、特に「メーカーサポート終了(EOL)」は更新検討の重要サイン。
  4. 選定は初期費用だけでなく「TCO」で判断し、信頼性、サポート、拡張性、セキュリティ等を多角評価。
  5. 適切な「環境整備」「定期メンテ」「正しい運用」が寿命を延ばし安定稼働とコスト削減に繋がる。

入退室管理システムは重要セキュリティインフラであり固定資産です。導入・運用・更新は場当たり的でなく耐用年数を意識した計画的アプローチが不可欠です。

今後のアクションとして管理部門・決裁者様には以下ステップを推奨します。

  • 自社導入目的とセキュリティ要件を再確認・明確化。
  • 既存システム現状(使用年数、保守状況、問題点)把握。
  • 本記事の選定ポイントに基づき複数候補を比較検討(TCO試算含む)。
  • 導入後の運用保守体制、将来更新計画まで含めた長期運用戦略策定。

これらを通じ貴社に最適なシステムを選定・導入し投資効果を最大化されることを願います。具体的製品選定や計画でアドバイスが必要な場合は信頼できる専門ベンダーへの相談をお勧めします。

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