ICカード入退室管理システムの全体像と選び方―管理部門向け完全ガイド

【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介
株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。
近年、企業の情報セキュリティへの関心が高まる中、オフィスの入退室管理は企業運営の要ともいえる重要なテーマです。特に、ICカードを利用した入退室管理システムは、従来の物理的な鍵やパスワード管理に比べ、セキュリティレベルが飛躍的に向上し、業務の効率化やコスト削減にも大きく寄与します。本記事では、管理部門の意思決定者の方々が、ICカード入退室管理システムの導入を検討する際に必要な情報―システムの仕組み、ICカードの種類、導入メリット・デメリット、選定ポイント、導入プロセス、運用方法、さらには今後の技術動向―を網羅的に解説します。
【比較】おすすめの入退室管理システム
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サービス名称 | 特徴 | 初期費用 | 月額費用 | 導入期間 | サポート体制 | 機能 |
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RemoteLOCK
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100,000円~ | 1,650円~ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ |
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iDoors
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583,000円~ | 11,000円〜 | 最短1カ月 | サポート窓口あり |
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SECURE AC |
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有料 or デバイスと取付工事により変動 |
10,000円~ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ |
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bitlock PRO |
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無料 | 5,000円~ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ |
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Akerun |
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無料 | 要お問い合わせ | 最短3日 |
24時間サポート 製品無償交換 |
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BIVALE |
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要お問い合わせ | 7,500円~ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ |
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カギカン |
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無料 | 4,500円~ | 最短3日 |
メールサポート 備品無料交換 導入オンラインサポート 製品無料交換 |
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この記事の目次はこちら
1. はじめに:市場背景とシステム導入の必要性
企業がオフィスの入退室管理に注力する背景には、テレワークの普及やオフィス環境の多様化、そして内部・外部からの不正侵入リスクの高まりがあります。従来の紙ベースや物理的な鍵による管理では、管理工数や紛失・盗難リスク、情報漏洩の危険性が指摘され、より高度なセキュリティ対策が求められるようになりました。ICカード入退室管理システムは、社員ごとに固有の識別情報を利用し、正確かつ迅速な入退室記録を実現。さらに、システム連携によって勤怠管理や他のセキュリティシステムとの統合が可能となるため、企業全体のリスクマネジメントや業務効率化に寄与します。
2. ICカード入退室管理システムとは?
2.1 システムの基本概念
ICカード入退室管理システムとは、ICカードを鍵として利用し、建物や特定エリアへの入退室を管理・記録するシステムです。具体的には、オフィスの各出入口に設置されたICカードリーダーに社員がICカードをタッチすることで、認証と解錠が行われ、入退室の記録が自動的にシステムに蓄積されます。これにより、物理的な鍵の管理に伴う煩雑さやリスクを解消するとともに、リアルタイムなセキュリティ監視が可能になります。
2.2 システムの主要構成要素
- ICカードリーダー:
各出入口に設置され、カード情報を読み取る機器。高耐久性と精度を有し、不正利用や偽造カード対策も施されています。 - ICカード:
社員に発行されるカードで、固有の識別番号が埋め込まれており、これにより各個人の入退室記録が正確に紐づけられます。 - 管理サーバー:
各リーダーから送信されるデータを一元管理する役割を持ち、オンプレミスまたはクラウド上に構築され、リアルタイムでデータ更新やバックアップが行われます。 - 管理ソフトウェア:
管理部門の担当者が操作する管理画面。入退室データの確認、レポート作成、アラート設定など、運用に必要な機能が搭載されています。
2.3 技術的特徴と連携性
ICカード入退室管理システムは、最新の暗号化技術やセキュリティプロトコルを採用しており、カード情報や通信データの漏洩リスクを低減します。また、多くのシステムは、既存の勤怠管理システムや人事システム、さらにはその他のセキュリティシステムとの連携が可能なAPIを提供しているため、企業全体のシステム統合が容易に実現されます。
3. ICカードの種類と特徴
ICカードは、セキュリティレベルやコスト、運用環境に応じて選定する必要があります。主に利用される種類は以下の通りです。
3.1 FeliCa (フェリカ)
ソニーが開発した非接触型ICカード技術で、高いセキュリティ性と高速なデータ処理が特徴です。SuicaやPASMOなどの交通系ICカードや、企業の社員証としても広く採用されており、重要なオフィスセキュリティ用途に適しています。
3.2 Mifare (マイフェア)
NXPセミコンダクターズが開発した技術で、世界中で普及しています。コスト面では有利ですが、セキュリティレベルに関してはFeliCaに比べやや劣る場合があります。中小規模のオフィスやコストを重視する場合に適しています。
3.3 その他のICカード
HID、iCLASSなど、特定のメーカーが提供するICカードもあり、用途や連携システムに合わせた独自の仕様がある場合があります。自社のセキュリティポリシーや導入目的に応じて、最適なカードを選定することが重要です。
4. ICカード入退室管理システムの導入メリット
4.1 セキュリティ強化
- 不正侵入の防止:
許可されたICカードを持つ人のみが入室可能となるため、外部からの不正アクセスが大幅に低減されます。さらに、カードの無効化措置により、紛失や盗難時の不正利用リスクも最小限に抑えられます。 - 入退室履歴の記録と追跡:
誰がいつどこに入退室したかを正確に記録でき、異常な動きがあった場合は迅速な原因追跡と対策が可能です。 - アンチパスバック機能:
1回の認証で1人分の入室のみを許可する機能により、不正な共連れ入室を防ぎます。
4.2 管理業務の効率化
- 自動化による記録管理:
入退室の記録が自動で収集・整理されるため、手作業の管理負担が大幅に軽減され、データの正確性が向上します。 - 勤怠管理との連携:
多くのシステムが勤怠管理システムと連携可能で、入退室データを労働時間管理に活用することで、給与計算などの業務効率が向上します。 - 物理鍵の管理負担軽減:
従来の鍵管理に伴う紛失・盗難リスクや管理コストが不要となり、全体の運用効率が高まります。
4.3 コスト削減
- 人件費削減:
自動化されたシステムにより、受付業務や警備業務の一部を省略でき、特に夜間や休日の管理コストを低減できます。 - 鍵交換コストの低減:
紙や物理的な鍵の管理が不要となり、カードの再発行や無効化で済むため、定期的な鍵交換にかかる費用を削減できます。
4.4 その他のメリット
- 社員証との一体化:
社員証とICカードの機能を統合でき、利便性が向上します。 - 来訪者管理の効率化:
来訪者用のICカードを利用することで、訪問者の入退室管理も簡易かつ正確に行えます。 - 企業イメージ向上:
高度なセキュリティ対策を実施していることは、企業の信頼性やブランドイメージの向上にも寄与します。
5. ICカード入退室管理システムのデメリットと注意点
5.1 導入・運用コスト
初期費用として、ICカードリーダー、電気錠、制御盤、ソフトウェアなどの機器費用や設置工事費用が必要です。さらに、ICカード発行費用やシステムの保守費用、電気代などのランニングコストも発生します。これらのコストは、規模や導入する機能により変動します。
5.2 停電時の対策
停電時にはシステムが動作しなくなる可能性があるため、非常用電源(UPS)や非常解錠装置の導入など、緊急時の対策が求められます。
5.3 カード紛失・盗難時のリスク
ICカードの紛失や盗難が発生した場合、不正利用リスクが高まります。迅速なカード無効化手続きや、定期的なカード管理(棚卸し)などの運用上の対策が必要です。
5.4 システム障害への対応
システム障害が発生すると、入退室管理が一時的に停止する可能性があります。導入前にベンダーのサポート体制や、障害時の対応マニュアルを確認し、リスクを最小限に抑える準備が求められます。
5.5 個人情報保護の対応
入退室の記録は個人情報に該当するため、個人情報保護法に基づく適切な管理が必須です。利用目的の明確化、安全管理措置、データの暗号化、アクセス権限の厳格な管理などが必要となります。
6. 自社に最適なICカード入退室管理システムの選び方
管理部門の担当者がICカード入退室管理システムを選定する際に、特に注目すべきポイントを以下にまとめます。
6.1 必要な機能の明確化
- 入退室管理と勤怠連携:
単なる入退室記録に留まらず、勤怠管理システムとの連携が可能なものを選ぶことで、打刻漏れや不正打刻の防止が可能です。 - 来訪者管理:
来訪者用のカード発行や、滞在時間の管理が必要な場合は、その機能が充実しているシステムを選びます。 - 細かい入退室制限:
部署や役職、時間帯ごとのアクセス権限設定が可能であることが、セキュリティレベルの向上に直結します。
6.2 セキュリティレベルとカードの種類
- FeliCa vs. Mifare:
高いセキュリティが求められる場合はFeliCa、コスト重視や中小規模の場合はMifareを選ぶなど、企業のセキュリティポリシーに応じたカードを選定します。 - 不正開錠対策:
タンパー検知やこじ開け検知機能が搭載されているシステムは、より高いセキュリティ対策が施されています。
6.3 システム規模と拡張性
- 管理対象人数・ドア数:
小規模オフィス向け、中規模オフィス向け、大規模施設向けといった運用規模に合わせたシステム選定が必要です。 - 将来的な拡張性:
今後の人員増加や拠点増設に対応可能な、柔軟な拡張性を持つシステムを選ぶことで、長期的なコストメリットが期待できます。
6.4 連携性とシステム統合
- 既存システムとの連携:
勤怠管理、人事システム、さらには入館ゲート等との連携が容易であれば、管理業務全体の効率化が実現できます。
6.5 導入・運用コストとサポート体制
- 初期費用とランニングコスト:
機器費用、設置工事費用、カード発行費用などを総合的に比較検討し、総コストで判断します。 - ベンダーのサポート体制:
導入支援、トラブル対応、定期保守、管理者研修など、万一の際に迅速に対応してくれる体制が整っているかを必ず確認します。
6.6 ベンダーの信頼性
- 実績・評判:
導入事例は除外しますが、業界での実績やユーザーからの評価、ベンダーの安定性は、システム選定の重要な判断基準となります。
7. ICカード入退室管理システムの導入プロセスと運用の流れ
ICカード入退室管理システムの導入は、以下のプロセスで進めると効果的です。
7.1 現状分析と要件定義
現状のオフィス環境、セキュリティリスク、運用課題を把握し、管理部門や現場担当者の意見をもとに必要な機能や性能を定義します。これにより、導入後に期待される効果やシステムの必要条件が明確になります。
7.2 システム選定とベンダー比較
複数のベンダーから提案を受け、機能、費用、導入実績、サポート体制を総合的に比較します。自社のセキュリティポリシーや運用フローに最適なシステムを選定することが重要です。
7.3 導入計画の策定と実装
選定したシステムに基づき、導入計画を策定します。計画には、各拠点での設置スケジュール、役割分担、システム稼働前のテスト項目、リスクマネジメントの項目を含め、具体的な実装手順を定めます。その後、ICカードリーダーの設置、管理サーバーの構築、ソフトウェアの設定を行います。
7.4 システム稼働テストと運用開始
全ての設置および設定が完了した後、システム稼働テストを実施し、不具合がないか確認します。問題が解消された後、正式に運用を開始し、定期的なデータチェックやメンテナンス、システム監視を実施します。
7.5 効果測定とPDCAサイクル
導入後は、入退室異常検知件数、管理工数の削減、ROIなどのKPIを基に効果測定を行います。定期的な評価とフィードバックを通じ、PDCAサイクルを回してシステム運用の最適化を図り、継続的な改善に努めます。
8. まとめ
ICカード入退室管理システムは、企業のセキュリティ強化と業務効率化を実現するための必須ツールです。高度な認証技術と自動記録機能により、不正侵入や内部不正のリスクを低減し、管理負担を大幅に軽減します。選定の際は、必要な機能、セキュリティレベル、連携性、運用コスト、拡張性、サポート体制などを総合的に評価することが重要です。導入プロセスは現状分析、システム選定、実装、稼働テスト、運用開始、効果測定とPDCAサイクルを回すことで、常に最適な運用環境を維持できます。最新技術の導入により、今後もさらなるシステムの高度化とコスト削減が期待され、企業全体のリスク管理と信頼性向上に大きく寄与するでしょう。