【2025年最新比較表あり】固定資産管理システム比較15選!
【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介
株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。
固定資産管理は、経理・財務部門にとって最も複雑かつリスクの高い業務の一つです。毎年の税制改正への対応、複雑化するリース会計基準(IFRS 16)、そして償却資産申告。これらの業務を未だにExcel(エクセル)で管理している企業は少なくありません。しかし、手作業による管理は、計算ミスによる「税務リスク」や、現物と台帳の不一致といった「ガバナンスリスク」と常に隣り合わせです。
この記事では「固定資産管理システム 比較」を検討している決裁者・管理部責任者の方々へ向けて、Excel管理の限界とシステム化の経営メリットを解説します。さらに、導入で失敗しないための「選び方の5選」、特に重要な「会計ソフト連携」と「リース管理」のポイント、そして最新のおすすめシステム15選を徹底的に比較・解説します。
この記事の目次はこちら
- なぜ今、Excelでの固定資産管理に限界がきているのか?
- 固定資産管理システムの選び方
- 2025年以降の重要トレンド:法改正(IFRS16・電帳法)への対応要件
- おすすめ固定資産管理システム比較15選
- 株式会社ビジネス・アソシエイツ「Plaza-i 固定資産管理システム」
- 株式会社TKC「FAManager」
- 株式会社マネーフォワード「マネーフォワード クラウド固定資産」
- 株式会社オービック「OBIC7 固定資産管理システム」
- ピー・シー・エー株式会社「PCAクラウド 固定資産」
- 三井住友ファイナンス&リース株式会社「総合資産管理サービス A.S.P Neo 3.0」
- 株式会社プロシップ「ProPlus 固定資産システム」
- 株式会社ワークスアプリケーションズ「HUE Asset」
- 株式会社アセットメント「Assetment Neo」
- 株式会社オービックビジネスコンサルタント「固定資産奉行クラウド」
- 株式会社ネットレックス「Convi.BASE」
- 三菱電機ITソリューションズ株式会社「会計指南」
- 弥生株式会社「弥生会計 Next」
- 株式会社クレオ「ZeeM 固定資産管理」
- 株式会社バルテック「MOT/HG 固定資産管理」
- 固定資産管理システムで失敗しないための注意点
- まとめ:自社の「会計ソフト」と「管理範囲」をに、税務リスクを回避するシステムを選ぼう
なぜ今、Excelでの固定資産管理に限界がきているのか?
多くの企業で長らく「当たり前」とされてきたExcelによる固定資産管理は、なぜ今、限界を迎えているのでしょうか。その背景には、決裁者や管理部責任者が見過ごすことのできない「4つの経営リスク」が存在します。
1. 税務リスク(追徴課税の脅威)
固定資産管理の根幹は、税法と会計基準に基づいた正確な減価償却計算と、それに基づく税務申告です。しかし、税制は毎年のように改正されます。例えば、少額減価償却資産の特例や、一括償却資産の扱い、償却方法の変更など、最新の法令を正確にキャッチアップし、Excelの計算式にミスなく反映し続けることは至難の業です。もし計算ミスや改正漏れがあれば、償却資産申告書の誤りや、法人税の過少申告につながりかねません。税務調査で指摘されれば、追徴課税や延滞税といった直接的な金銭的損失(=経営コストの増大)が発生する重大なリスクとなります。
2. 業務逼迫と属人化のリスク(決算遅延の要因)
固定資産管理業務は、特定の時期に極度に集中します。特に、償却資産申告書の提出期限である毎年1月末に向けて、経理・管理部門の業務は逼迫します。Excel管理の場合、資産の増減、異動、除却の情報を手作業で集計し、膨大な資産データと格闘しながら申告書を作成する必要があります。このプロセスは特定のスキルを持つベテラン担当者に依存しがち(=属人化)であり、その担当者が退職・休職すれば業務が即座に停滞するリスクを抱えます。決裁者から見れば、この非効率な業務プロセスに毎月・毎年、貴重な人的リソース(人件費)を投入し続けることは、経営の最適化とは程遠い状態です。
3. ガバナンス・内部統制のリスク(監査対応のボトルネック)
Excel台帳は、経理部門が管理する「会計上の資産」と、総務や情報システム部門が管理する「現物(PC、什器、車両など)」が分離しているケースが散見されます。その結果、Excel台帳上は存在するはずの資産が実際には廃棄されていたり(除却漏れ)、逆に、利用実態のない遊休資産が放置されていたりといった「台帳と現物の不一致」が常態化します。これは、内部統制の観点から極めて脆弱な状態です。 さらに、電子帳簿保存法の改正により、請求書や契約書といった証憑の電子保存と検索要件の確保が必須化しています。Excel台帳と証憑ファイルがバラバラに管理されていては、監査対応時に膨大な工数がかかり、監査法人からの指摘(不備事項)を受ける原因となります。
4. 戦略的意思決定の阻害(IFRS 16・データ活用の遅れ)
現代の経営では、資産データに基づいた意思決定が求められます。しかし、Excel管理ではデータがリアルタイムに更新されず、遊休資産の可視化や設備投資のROI評価が困難です。 特に深刻なのが、新リース会計基準(IFRS 16号など)への対応プレッシャーです。原則オンバランス計上が求められる中、Excelで複雑な使用権資産やリース負債の計算、契約変更時の再評価を行うことは現実的ではありません。この対応の遅れは、決算開示の信頼性を揺るがし、投資家からの評価に直結します。 これらの「税務」「業務」「ガバナンス」「戦略」という4つのリスクを根本から解消し、管理部門の業務を「守り」から「戦略」へとシフトさせるために、今まさに固定資産管理システムの導入が急務となっているのです。
固定資産管理システムの選び方
固定資産管理システムの導入で失敗しないために、決裁者・管理部責任者は何を基準に比較すべきでしょうか。価格や知名度だけで選ぶと「既存システムと連携できない」「IFRSに対応できない」といった致命的な失敗に繋がります。ここでは、導入効果を最大化するための「5つの選定」を、決裁者視点で解説します。
1:既存の「会計ソフト」と連携できるか(最重要)
最も重要な選定であり、導入の成否を分ける分岐点です。固定資産管理システムで計算した減価償却費や資産の増減情報は、最終的に仕訳として会計システムに登録されます。この連携がスムーズでない場合、管理部門は「固定資産管理システム」と「会計システム」それぞれに同じ情報を二重入力するという、最悪の非効率作業を強いられることになります。
- 確認ポイント:
- 連携のレベル: API連携(自動で仕訳データがリアルタイムに流れる)か、CSV連携(手動でデータをエクスポート/インポートする)か。API連携の方が望ましいですが、CSV連携でも業務は大幅に改善されます。
- 対応ソフト: 自社が現在使用している会計ソフト(例:勘定奉行 OBC、PCA会計、MJS、弥生会計、freee会計、マネーフォワード クラウド会計、SAP、Oracleなど)への対応実績が豊富かを確認します。
2:リース資産管理とIFRS対応の「深さ」
本テーマの核となるポイントです。「リース管理に対応」と謳っていても、その「深さ」は製品によって全く異なります。
- レベル1:台帳管理のみ: 単なるリース契約の台帳(契約期間、リース料)として管理できるレベル。
- レベル2:J-GAAP対応: 日本基準(GAAP)に基づくリース資産の会計処理、仕訳作成ができるレベル。
- レベル3:IFRS 16対応: 大企業や上場準備企業に必須のレベル。原則オンバランス計上のため、使用権資産・リース負債の複雑な計算、利息法による費用配分、契約変更(再測定・モディフィケーション)への自動対応、複数帳簿管理(会計/税務/IFRS)まで完結できるかを見極める必要があります。Excelでの管理は不可能な領域であり、ここに対応できるかが決裁の大きな判断材料となります。
3:法令・税制改正への対応(申告業務の自動化)
固定資産管理の目的は、正確な税務申告の完遂です。システムが以下の機能に「自動で」対応しているかは最低条件です。
- 減価償却計算: 定額法、定率法、旧定額法、200%定率法、増加償却、圧縮記帳など、多様な償却方法に自動で対応できること。
- 申告書作成: 償却資産申告書(種類別明細書含む)、法人税申告書別表(特に別表十六)の作成・出力機能、e-Tax/eLTAXへのデータ連携。
- 自動アップデート: クラウド型(SaaS)システムであれば、ベンダー側が最新の税制改正に合わせてシステムを自動でアップデートしてくれます。これにより、管理部門が自ら改正内容を細かく追う負担とリスクを大幅に軽減できます。これは「法令遵守コスト」の削減に直結します。
4:現物管理(物品管理)と棚卸の「範囲」
経理部門の「会計上の資産」管理と、総務・情シス部門の「物品(現物)」管理は、多くの企業で分断されています。この二つを一元管理できるシステムを選ぶことで、全社的な業務効率化とガバナンス強化が実現します。
- 管理項目: 会計情報(取得価額、耐用年数)だけでなく、物品情報(設置場所、利用者、部門、PCスペック、資産の写真、契約書や請求書などの証憑ファイル)まで紐づけて登録できるか。
- 棚卸機能: バーコードやQRコード、あるいはICタグ(RFID)を資産ラベルとして発行・貼付し、スマートフォンアプリや専用リーダーで読み取ることで、棚卸作業を劇的に効率化できる機能があるか。台帳との差分抽出や差異レポートが自動で作成されるかも重要です。
5:導入形態とTCO(総所有コスト)
最後に、自社のセキュリティポリシーとコスト感に合わせた導入形態を選びます。
- クラウド(SaaS)型: 低コスト(初期費用無料~、月額制)で迅速に導入可能。税制改正の自動アップデート、リモートワーク対応が強みです。
- オンプレミス型: 初期費用は高額ですが、自社サーバーで運用するため、独自のセキュリティポリシーに厳格に対応できます。また、既存の基幹システム(ERP)との複雑なカスタマイズ連携に向いています。 決裁者は、目先の初期費用や月額料金だけでなく、ライセンス体系(ユーザー数課金か、資産点数課金か)、保守費用、アップデート費用を含めた3年~5年単位の「総所有コスト(TCO)」と、先に挙げた4つので得られる「リスク削減効果」を総合的に評価し、経営判断を下す必要があります。
2025年以降の重要トレンド:法改正(IFRS16・電帳法)への対応要件
固定資産管理システムの比較検討において、2025年以降、決裁者・管理部責任者が特に注視すべき法令トレンドが「新リース会計基準(IFRS 16号の日本版)」と「電子帳簿保存法」です。この2点への対応可否が、システムの選定を大きく左右します。
1. IFRS 16・新リース会計基準への対応要件
2027年4月以降の適用が見込まれる(早期適用は2025年4月以降可能)新リース会計基準は、固定資産管理のあり方を根本から変えます。
- 原則オンバランス化: これまでは費用処理(オフバランス)できていた多くのオペレーティングリースも、原則として「使用権資産」と「リース負債」を貸借対照表(BS)に計上する必要があります。Excelでの管理は、この時点でほぼ不可能です。
- 複雑な計算と契約変更への対応: システムは、リース期間、割引率、延長オプションなどを考慮して使用権資産・リース負債を自動計算できなければなりません。さらに、リース契約は途中変更(賃料変更、期間延長など)が頻繁に発生します。この「再測定(再評価)」をイベント発生時に自動で再計算し、仕訳まで連携できる機能が必須です。
- 複数帳簿(マルチブック)構造: 日本基準、税務基準、IFRS基準の3つの帳簿(台帳)をシステム内で並行して管理し、その差異を明確に把握できる「複数帳簿機能」が、特に上場企業やグローバル企業には求められます。
2. 電子帳簿保存法(電帳法)への対応要件
固定資産の取得や除却には、契約書、請求書、検収書、廃棄証明書など、多数の証憑が伴います。これらは電帳法の「電子取引」や「スキャナ保存」の対象です。
- 証憑保存と検索要件の確保: システムは、これらの電子証憑を固定資産台帳に紐づけて保存できる必要があります。さらに、電帳法の要件である「取引日付・金額・取引先名」などで即座に検索できる機能が求められます。
- 台帳と証憑のシームレスな連携: 監査対応の観点から、決裁者が最も重視すべき点です。監査官から「この資産の請求書はどれか」と問われた際に、固定資産台帳の画面からワンクリックで関連する請求書のPDFを開けること。この「台帳と証憑のリンク設計」が、監査工数を劇的に削減し、内部統制の評価を高めます。
- 改ざん防止とログ管理: 電子データの削除・訂正履歴の自動保存(ログ管理)や、タイムスタンプ機能(または同等の措置)に対応し、データの真正性を担保できることが必須です。
これらの法改正は、もはや「経理部だけの問題」ではなく、システム投資を伴う「経営課題」です。選定するシステムがこれらの要件に標準機能で、かつ追加コストを抑えて対応できるかは、決裁者の重要な判断材料となります。
おすすめ固定資産管理システム比較15選
ここからは、BtoB向けに実績があり「会計ソフト連携」「リース管理」「現物管理」などの観点から比較すべき、最新の固定資産管理システム15選を紹介します。自社の会計ソフトや企業規模(中小企業向けか、IFRS対応が必要な大企業向けか)と照らし合わせながらご確認ください。
株式会社ビジネス・アソシエイツ「Plaza-i 固定資産管理システム」
- 特徴
- 建設仮勘定・ソフトウェア仮勘定・減損処理・リース会計・資産除去債務・IFRS会計など、複雑な会計・税務要件に対応。
- クラウド/オンプレミスを選択可能で、ERPの一部または単独モジュールとして導入できる柔軟な構成。
- 経理用・税務用など複数帳簿で耐用年数・償却方法・残存価額を管理し、管理会計・実務会計の双方を支援。
- 費用
- 要お問い合わせ
- 公式サイト
株式会社TKC「FAManager」
- 特徴
- データ連携により、固定資産台帳の登録から会計・税務・申告書作成まで一貫処理可能。
- クラウド提供により、サーバ設備や税制改正対応の追加投資が不要。
- リース会計・減損会計・資産除去債務など、高度な会計要件を標準対応。シミュレーション機能も搭載。
- 費用
- 要お問い合わせ
- 公式サイト
株式会社マネーフォワード「マネーフォワード クラウド固定資産」
- 特徴
- 固定資産の取得・除却・異動を、写真・証憑・設置場所履歴まで含めて一元管理可能。
- 償却資産申告書・法人税別表16などの帳票出力機能を搭載し、法改正にも自動対応。
- API/CSV連携で他の会計ソフトと連携でき、総務・経理・情シス部門の業務を効率化。
- 費用
- 要お問い合わせ
- 公式サイト
株式会社オービック「OBIC7 固定資産管理システム」
- 特徴
- 登録から分割・売却・除却・休止・資本的支出など資産のライフサイクルを包括的に管理。
- 日本基準・IFRSの両方に対応し、海外拠点を含むグループ管理が可能。
- 契約書・図面・写真など関連資料もまとめて管理できる任意台帳機能を搭載。
- 費用
- 要お問い合わせ
- 公式サイト
ピー・シー・エー株式会社「PCAクラウド 固定資産」
- 特徴
- リース資産・遊休資産・除去債務・減損処理など幅広い会計基準に対応。
- API連携・他社会計ソフトとの連動で、仕訳や償却処理を自動化。
- クラウド型でサーバ保守負担を軽減し、内部統制・アクセス制御も強化。
- 費用
- 1ID:月額18,480円(税込)
- 公式サイト
三井住友ファイナンス&リース株式会社「総合資産管理サービス A.S.P Neo 3.0」
- 特徴
- 取得から廃却まで、会計・税務処理をオールインワンでサポート。
- 減損・資産除去債務など高度な会計機能を標準搭載し、追加費用なしで利用可能。
- 月額固定制で初期投資不要、保守・改正対応も全て料金内でカバー。
- 費用
- 要お問い合わせ
- 公式サイト
株式会社プロシップ「ProPlus 固定資産システム」
- 特徴
- 会計・税務・IFRSなど複数帳簿を設定し、帳簿間差異や別表十六調整に対応。
- 多様な償却方式(定率法・圧縮記帳・増加償却など)をサポート。
- 複数会社・グループの異なる会計方法を統一管理でき、海外拠点にも対応。
- 費用
- 要お問い合わせ
- 公式サイト
株式会社ワークスアプリケーションズ「HUE Asset」
- 特徴
- 建設仮勘定・リース資産・棚卸・減損など多機能をオールインワンで一元管理。
- 経理だけでなく現場担当者にも使いやすいUIで入力・報告を効率化。
- 法改正・基準変更にも無償バージョンアップで対応。
- 費用
- 要お問い合わせ
- 公式サイト
株式会社アセットメント「Assetment Neo」
- 特徴
- 固定資産・備品・IT機器などをバーコード/QR/RFIDで一元管理。
- 棚卸業務をスマホ対応で効率化し、作業工数を約1/5に削減。
- 少数向け「Light」から数万点規模の「Enterprise」まで柔軟に対応。
- 費用
- 要お問い合わせ
- 公式サイト
株式会社オービックビジネスコンサルタント「固定資産奉行クラウド」
- 特徴
- 固定資産・リース資産を一元管理し、償却額・支払額・台帳・申告書まで対応。
- 資産の移動・売却・遊休などを詳細に管理可能。
- 拠点・税理士・会計士とリアルタイム共有でき、業務スピードを向上。
- 費用
- iEシステム:初期費用0円/月額4,750円(資産100件まで)
- iAシステム:初期費用50,000円/月額14,750円(資産1,000件まで)
- iSシステム:初期費用70,000円/月額22,000円~
- 公式サイト
株式会社ネットレックス「Convi.BASE」
- 特徴
- バーコード/QR/ICタグで現物と台帳を紐付け、正確な現物管理を実現。
- スマホ・タブレットでの棚卸で「誰が・いつ・どこで」を記録。
- 備品・消耗品などを含む包括的な物品管理をクラウドで一元化。
- 費用
- 初期費用0円/月額55,000円~
- 公式サイト
三菱電機ITソリューションズ株式会社「会計指南」
- 特徴
- 固定資産管理を含む会計サブシステムとして、台帳管理から申告書作成まで対応。
- 帳票・分析機能が豊富で、部門別・組織横断の管理会計を支援。
- クラウド・オンプレ両対応で、内部統制にも配慮された設計。
- 費用
- 要お問い合わせ
- 公式サイト
弥生株式会社「弥生会計 Next」
- 特徴
- 固定資産台帳機能を標準搭載し、取得・除却・償却を自動計算。
- 会計・経費・請求管理などクラウドで一括管理。
- エントリー/ベーシック/プラスの3プランで規模に応じて選択可能。
- 費用
- エントリープラン:34,800円/年
- ベーシックプラン:50,400円/年
- ベーシックプラスプラン:84,000円/年
- 公式サイト
株式会社クレオ「ZeeM 固定資産管理」
- 特徴
- 会計・税務・IFRSなど複数帳簿に対応し、償却費即時算出・資産除去債務にも対応。
- 減価償却シミュレーションで最大10年先まで予測可能。
- クラウド/オンプレの導入形態を選択可能で、柔軟な運用が可能。
- 費用
- 要お問い合わせ
- 公式サイト
株式会社バルテック「MOT/HG 固定資産管理」
- 特徴
- バーコード・QR・ICタグで現物と台帳を紐付け、資産・備品・物品を管理。
- スマホ・タブレットによる棚卸機能で作業工数を大幅削減。
- 備品・貸出物品・重要書類なども横断的に台帳管理。
- 費用
- スタンダード:初期費用29,800円~/月額5,980円
- ミドルプラン:初期費用44,000円~/月額15,000円
- スタンダード拡張版:初期費用98,000円~/月額52,000円
- 公式サイト
固定資産管理システムで失敗しないための注意点
高機能なシステムを選定しても、導入プロジェクトが失敗しては意味がありません。決裁者・管理部責任者が契約前に必ず確認し、プロジェクトに織り込むべき「4つの注意点」と対策を解説します。
1. 注意点:既存のExcel台帳からの「データ移行」の壁
最も多くの企業がつまずくポイントが「データ移行」です。長年Excelで管理してきた台帳は、フォーマットが統一されていなかったり、必須項目が欠落していたり、過去の償却計算のロジックが複雑化・属人化していたりすることがほとんどです。
- よくある失敗: 「データ移行は導入ベンダーがやってくれるだろう」と楽観視し、いざ蓋を開けると膨大なデータクレンジング(整備・清掃)作業が発生。経理部門のリソースが足りず、導入スケジュールが大幅に遅延。最悪の場合、移行を諦めExcelと二重管理になる。
- 対策(決裁者の視点): 決裁者は、システム費用だけでなく「データ移行サポート費用」も予算に組み込むべきです。ベンダーのサポート範囲(移行ツール提供のみか、データクレンジング作業まで代行してくれるか)を契約前に明確に確認してください。また、管理部責任者は、新システムで管理したい「必須項目」(カスタム項目)を追加できるかどうかも、デモ段階で確認必須です。
2. 注意点:「現物管理」の範囲と社内体制の不備
固定資産管理の効率化は、経理部門だけでは完結しません。「現物管理」や「棚卸」の効率化を目指す場合、総務部門や情報システム部門(情シス)との連携が不可欠です。
- よくある失敗: 経理部門が「会計上の資産」管理のためにシステム導入を進めた結果、総務・情シス部門が管理する「物品(PC、什器、ライセンスなど)」の情報と連携できず、棚卸作業が全く効率化されない。結局、部門ごとに別の台帳が残り続ける。
- 対策(決裁者の視点): 決裁者は、導入プロジェクトの初期段階(RFP作成時)から、経理・総務・情シスの3部門を必ず参加させてください。そして「どの資産・物品を」「どの部門が」「どの粒度で(会計情報だけでいいのか、設置場所や利用者まで管理するのか)」管理するのか、全社的な運用ルール(RACI)を定義することが、導入成功の鍵となります。
3. 注意点:ベンダーの「サポート体制」の専門性
固定資産管理は、税法と会計基準が絡む極めて専門的な領域です。システムの操作方法だけでなく、業務そのものへの理解がベンダー側に求められます。
- よくある失敗: 導入後、特殊な償却計算(増加償却や圧縮記帳)の設定方法や、IFRS対応の具体的な設定方法が分からず、サポート窓口に問い合わせても「仕様です」「マニュアルを見てください」と回答され、システムを使いこなせない。
- 対策(決裁者の視点): 価格の安さだけでベンダーを選ばず、税理士や会計士による専門的なサポート窓口があるか、あるいは固定資産管理業務に精通したコンサルタントが導入を支援してくれるかを確認してください。特に、税制改正やIFRSのような重要な法令改正時に、適切な情報提供やセミナーを実施してくれるベンダーは、長期的なパートナーとして信頼できます。
4. 注意点:「費用対効果(ROI)」の試算の甘さ
決裁者として、導入コストに対するリターンを明確にする必要があります。
- よくある失敗: システムの初期費用や月額費用(ランニングコスト)だけを見て「高い」か「安い」かを判断してしまう。
- 対策(決裁者の視点): 決裁者が試算すべきROIは「削減できるコスト(定量効果)」と「回避できるリスク(定性効果)」の合計です。
- 削減できるコスト(KPI): 償却資産申告書作成にかかる工数(人件費)、棚卸にかかる工数(人件費)、Excelメンテナンス工数、監査対応工数。
- 回避できるリスク(KPI): 税務申告ミスによる追徴課税額(リスク額)、監査法人の指摘件数、除却漏れ資産の維持コスト(遊休資産比率の改善)。 これらの「見えないコスト」や「潜在的リスク」を金額換算し、システム投資がそれを上回るリターンを生むか(例:3年で回収できるか)を定量的に判断することが重要です。
まとめ:自社の「会計ソフト」と「管理範囲」をに、税務リスクを回避するシステムを選ぼう
本記事では、BtoB企業の決裁者・管理部責任者の視点から、Excelによる固定資産管理の限界と、システム導入で失敗しないための「選び方の」5選、そして具体的な15のシステムを解説しました。
固定資産管理システムは、単なる台帳ツールではありません。それは、企業の「税務リスク」を回避し、「内部統制」を強化し、管理部門の業務を「手作業」から「標準化・自動化」へと変革するための経営基盤(インフラ)です。
比較検討の際、機能の多さや価格の安さだけに目を奪われてはいけません。最も重要なのは「自社が今解決したい経営課題は何か」という原点に立ち返ることです。
- 既存の「会計ソフト」とシームレスに連携できるか?
- 複雑な「リース資産(IFRS 16)」の管理まで必要か?
- 「現物管理(棚卸)」までを一元化したいのか?
- 自社のセキュリティポリシーは「クラウド」か「オンプレミス」か?
この記事で紹介した「選び方の」と「導入の注意点」を参考に、まずは自社の「会計ソフト」と「管理したい資産の範囲」を明確にしてください。そして、候補となるシステムの資料請求やデモンストレーションを申し込み、自社の課題を本当に解決できるパートナー(システム)であるかを見極めることから始めることを、強くお勧めします。
