更新日:2025/01/07
リーガルチェックとは?重要性や依頼先、費用相場などを解説
【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介
株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。
契約書は企業間の取引条件を定める法的文書ですが、契約書には思わぬ落とし穴やリスクが潜んでいるケースも少なくありません。そこで重要なのが、契約書の内容を精査する「リーガルチェック」です。
この記事ではリーガルチェックとは何か、その必要性や依頼先など企業の担当者が知っておくべき情報を網羅的に解説します。契約書作成に不安がある方や法的なリスクを最小限に抑えたい方は、ぜひ参考にしてください。
【比較】おすすめのリーガルチェックツール一覧
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サービス名 | 特長 | 費用 | 主な機能 |
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LegalForce |
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要お問い合わせ (初期費用+月額費用) |
リスク検知支援、リサーチ、文書編集、ナレッジ共有、案件受付・管理機能など |
GVA assist |
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要お問い合わせ (アカウント費用(月額)+初期費用,オプション費用) |
不足条文、推奨条文、チェックポイント/解説、条文検索、表記ゆれの一括置換、条番号の統一、新旧文書比較、ひな型ダウンロード/ドラフトなど |
LeCHECK |
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要お問い合わせ (ライトプラン 基本プラン プロフェッショナルプラン) |
契約書AIチェック機能、契約書作成支援機能、契約書保管管理機能、英文契約書対応機能、オプション機能など |
LAWGUE |
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要お問い合わせ (初期費用+月額費用) |
データベース化、クラウド編集機能、AI検索、AIレビューアシスト、ナレッジ管理、AI-OCRなど |
LawFlow |
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要お問い合わせ | 文書比較機能、ノウハウ共有、法務部を超えた審査フロー、取引先フィルターなど |
インテリジェント契約チェッカー |
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要お問い合わせ | 必要な条項の有無、注意すべき条項などチェック項目表示機能、リスク判定など |
ContractS CLM |
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要お問い合わせ (初期費用+月額基本料金+オプション) |
契約書の作成・交渉・レビュー、承認・締結、更新・変更・管理など |
CLOUDSIGN |
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要お問い合わせ | AIリスクチェック、自社基準チェック、文書比較、テンプレートなど |
リーガレッジ |
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要お問い合わせ | 契約書自動解析・登録、契約書検索、条文検索、Wordアドイン、契約更新管理、ロール管理、電子サインサービス連携など |
MNTSQ CLM |
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要お問い合わせ | 案件検索・リスト表示、案件担当状況の可視化、ステータス管理、依頼フォームの作成、更新時のメール通知、参考ナレッジ提案、台帳/契約書の一覧表示、関連契約書の紐づけなど |
この記事の目次はこちら
リーガルチェック(法務確認)とは?
リーガルチェックとは企業が作成する契約書や官公庁に提出する書類、議事録などの法律文書を法務担当者や顧問弁護士が内容を精査し、法的な問題点がないかを確認する作業です。
特に当事者を法的に拘束する契約書の場合、 契約書に不当な条項や抜け漏れがあると後に予期せぬ不利益を被ってしまう可能性があります。締結前のリーガルチェックはこのようなリスクを事前に回避し、企業を法的なトラブルから守るため非常に重要です。
リーガルチェックが必要になるシーンには、以下のような項目があります。
- 売買契約、賃貸借契約、業務委託契約書など
- M&A(合併・買収)
- 新製品・サービスの開発・販売(特許、商標、著作権など)
- 雇用契約、労働協約など
- 官公庁の許認可関係、補助金関係など
- 定款、社内規定の改定
企業にとってリーガルチェックが重要な理由
企業にとってリーガルチェックが重要な理由は、主に以下の点が挙げられます。
- 法令違反になる可能性があるから
- 不利な条件で契約してしまうことがあるから
- 事前にトラブルを避けられるから
- 取引をスムーズに行えるから
それぞれ詳しく解説します。
法令違反になる可能性があるから
リーガルチェックは法的なリスクを未然に防ぐための重要な手段です。企業の契約当事者は、必ずしも法律の専門家ではありません。そのため契約書に違反する条項が含まれていても、それに気付かず契約を締結してしまう可能性があるのです。
もし契約書に法令違反が発見された場合、契約が無効となるだけでなく行政処分や多額の罰金、社会的信用の失墜といった深刻な結果を招く可能性があります。
消費者契約法に基づくクーリングオフ制度が適用される場合、契約解除に伴う損害賠償を請求されるリスクも考えられます。
不利な条件で契約してしまうことがあるから
リーガルチェックは、不利な条件で契約してしまうのを防止するためにも重要な作業です。
契約書は一度締結してしまうとその内容に則って取引が進んでいき、契約書に記載された条項は原則として守らなければなりません。つまり契約締結後に「この条項は損だ」と気付いても変更するのはほぼ不可能です。
隠された不当な条項を事前に見つけ出し、取引先との交渉を通じてより公平な条件に修正してもらうためにも必要な作業です。
事前にトラブルを避けられるから
契約書には、取引中にトラブルが発生した場合の対応手順やルールが定められているのが一般的です。しかしこれらの規定が実際に起こり得る全てのトラブルに対応できるよう十分に網羅されているとは限りません。
想定外のトラブルが発生した場合、契約書に記載された対応手順が不十分であったり、そもそも対応策が定められていなかったりすると、紛争が長期化したり解決が困難になったりする可能性があります。
リーガルチェックは契約書に記載された規定を詳細に分析し、想定されるトラブルに対して適切な対応が取れるよう修正を行えます。
取引をスムーズに行えるから
契約書は取引におけるルールブックのような書類で、お互い取り決めた内容が一致しているかを確認するためにも機能しています。例えば契約書に記載された納期と実際に納品された時期が異なれば、取引先からクレームを受け、信頼関係が崩れることも考えられるでしょう。
リーガルチェックによって実際の取引でお互いに食い違いがないかを精査し、必要に応じて修正することで円滑なビジネス遂行を可能にします。
リーガルチェックをしないことのリスク
リーガルチェックを怠ると、企業はさまざまなリスクに晒されます。主に考えられるのは以下の通りです。
- 法律違反になり契約が無効になる可能性がある
- 会社の社会的信用が失墜する可能性がある
- 罰金を受けることがある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
法律違反になり契約が無効になる可能性がある
契約書は法律に準拠していなければなりませんが、法律の専門家でない方が契約書を作成すると、知らず知らずのうちに強行法規に違反する内容が含まれてしまうケースがあります。
もし契約書に法令違反が発見された場合、その契約は全てまたは一部が無効となる可能性があります。無効になると企業は予定していた収益を得られずに損失を被るだけでなく、取引先との関係も悪化してしまい、その後のビジネスに大きな支障をきたすことも考えられるでしょう。
リーガルチェックは法令違反となる可能性のある条項を事前に発見・修正し、契約の有効性を提示するために必要な措置です。
会社の社会的信用が失墜する可能性がある
契約書は企業間の信頼関係を築く上で重要な書類です。無効な契約書や法律違反の契約書を提示してしまうと、取引先に多大な迷惑をかけ企業の信頼を大きく損なうことにつながります。
さらに事前に契約書の不備が発見された場合でも会社の信用は失墜しかねません。「この会社は契約書の内容すら確認していない」と疑われ、取引を中止されてしまう可能性も十分に考えられます。取引停止は企業の収益だけでなく、場合によっては企業の存続を危うくする可能性があるのです。
法的なリスクを最小限に抑えて取引先との健全な関係を築くためにも、リーガルチェックは不可欠と言えるでしょう。
罰金を受けることがある
法令に違反する契約書を作成・締結してしまうと、行政から厳しい処分を受ける可能性があります。具体的には罰金の支払いや企業名を公表されるといったペナルティが課されるケースです。
行政処分は企業の社会的信用を大きく損なう結果につながりかねません。取引先から信頼を失い、新たな取引の獲得が難しくなるだけでなく、金融機関からの融資が受けられなくなるなど企業活動にも多大な支障をきたす可能性があります。
そのためリーガルチェックによって、法令違反となり得る条項を発見・修正することが大切です。
リーガルチェックの主なポイント
リーガルチェックでは、内容面と形式面の両面から契約書を精査します。どのような内容を確認するのか見ていきましょう。
内容面でのチェックポイント
まずは契約書の内容面について確認方法を説明します。
- 各条項の確認
- 不利益条項の確認
- 不明瞭な表現の確認
各条項とは契約期間、料金、解約条件など、契約の基礎となる事項が適切に記載されているかを確認する項目です。また「契約内容が現行法や判例に照らして違反していないか」「不当な内容が含まれていないか」を注意深くチェックする必要があります。
不利益条項の確認は、一方的な契約解除や過度な損害賠償責任を負うといった、自社に不利な条項がないかの精査です。相手方が新たに条項を追加してきた場合は、さらに慎重に検討する必要があります。
また「できる限り」や「適当な」などの曖昧な表現が含まれていないかもチェックしましょう。こうした記載は後々のトラブルの原因となる可能性があるため、明確な表現にすることが重要です。
形式面でのチェックポイント
契約書の形式面では、以下の点を中心にチェックします。
- 必須事項の確認
- 署名・捺印の確認
- 保管方法の確認
- 形式的な誤りの確認
必須事項とは当事者の氏名や住所、契約年月日など必ず記載しなくてはならない内容です。これらの事項が漏れなく記載されているか、当事者全員が署名・捺印しているかを確認します。
電子契約の場合は電子署名法などの関連法規に適合している必要があるため、手続きや署名に不備がないかも精査します。
契約書の紛失や改ざんや情報漏洩を防ぐために、適切な保管場所の確保とバックアップ体制を整えておくことも重要です。そして誤字脱字、数字の書き間違いなど形式的な誤りがないかも改めて確認しましょう。
リーガルチェックの依頼先
リーガルチェックを依頼する先は、弁護士事務所や社内の法務部などの選択肢があります。それぞれの依頼先に特徴があり、メリット・デメリットも異なるため把握した上で検討しましょう。
弁護士
弁護士にリーガルチェックを依頼する最大のメリットは、豊富な実務経験に基づいた的確なアドバイスを提供してもらえる点です。客観的な視点で契約書に潜むリスクを事前に把握し、トラブルを未然に防ぐための適切な条項を設定することができます。
一方で弁護士への依頼は、費用と時間がかかるのがデメリットです。依頼すると着手金や成功報酬など一定の費用がかかり、スケジュールによってはチェックに時間がかかります。特に複雑な契約書の場合、より多くの時間と費用が必要です。
社内の法務部
社内の法務部へリーガルチェックを依頼する最大のメリットは、外部の弁護士よりも費用や時間などの負担を抑えられる点です。また会社の事業内容や内部事情に精通しているため、適切なアドバイスが受けられます。
一方で専門性に限界があるのがデメリットです。複雑かつ法的な問題、専門性の高い分野に関しては対応が難しいケースも考えられます。社内で行う場合はファーストレビューを法務部門で行い、その後、外部弁護士に依頼するという形が望ましいでしょう。
リーガルチェックの費用相場
リーガルチェックの費用は、契約の内容や複雑さによって大きく異なります。一般的な定型契約書であれば5万円程度で済むケースが多いですが、複雑な内容を含む契約書や、会社の事業内容を深く理解する必要がある契約書の場合は10万円から15万円程度が相場と考えられるでしょう。
また依頼する弁護士事務所や弁護士の経験・専門性によっても費用は変動し、より専門性の高い弁護士に依頼する場合や緊急性を要する場合などは費用が高くなる傾向にあります。
リーガルチェックの費用を抑えたい場合は、AIによるリーガルチェックの導入を検討してみるのも一つの方法です。詳細は以下の記事を参考にしてください。
リーガルチェック(契約レビュー)の費用相場とは?料金を抑えるコツと依頼の流れを解説
リーガルチェックの流れ
リーガルチェックは、契約書に記載された内容が法的に問題ないか、自社の利益に合致しているかなどを確認するプロセスです。外部委託と内部での実施では、プロセスが若干異なります。
外部に依頼する場合
外部へリーガルチェックを依頼する場合の流れは、以下のようになります。
- 弁護士事務所への依頼
- 弁護士によるチェック
- 結果報告とアドバイス
- 契約書の修正・交渉
- 最終的な承認・契約締結
契約書を作成したら弁護士事務所に提出し、チェックを依頼します。弁護士は法的な観点から内容を精査し、チェックの結果と共に改善点や交渉に関するアドバイスを提供してくれます。
その修正を踏まえ、営業担当者は必要に応じて弁護士を伴い交渉を行います。それらを繰り返して契約内容に問題がないことを確認し、最終的な承認を得られれば契約は成立です。
自社で行う場合
自社で行う場合の流れは以下の通りです。
- リーガルチェックの依頼
- 担当者によるヒアリング
- 契約書の内容の精査
- 専門家への相談(必要に応じて)
- 修正・交渉
- 最終的な承認
まず契約書類を作成したら、社内の法務部門などにリーガルチェックを依頼します。次に法務部の担当者は契約の目的や条件など内容を確認するため、ヒアリングを行うのが一般的な流れです。
その後内容面・形式面それぞれ精査し、必要に応じて外部の弁護士などへ相談します。改めて契約書の内容を修正し、取引相手と交渉・合意を得て承認となります。
自社でリーガルチェックを行う際の手順や注意点など、詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
>>社内でリーガルチェックを行うメリット・デメリットとは? 締結までの流れを解説
自社で効率的にリーガルチェックを行いたいならツールの利用を検討しよう
自社での効率性を重視するなら、AIを活用したリーガルチェックツールの導入がおすすめです。このツールは契約書をアップロードするだけで人工知能が自動的に内容を精査し、潜在的な法的リスクや間違いを特定する便利なサポートシステムです。
複雑な法律用語や条項の見落としを防げ、法務の専門知識がない場合でも簡単に活用できます。ツールの導入で契約書のチェックにかかる時間や労力を大幅に削減し、業務効率化が図れる他、企業にとって重要なコンプライアンス強化、人件費の抑制、リスク管理の向上などを同時に実現することが可能です。
ただしAIツールは万能ではありません。あくまで補助的な役割として使用し、最終的な判断や細部の確認は社内の法務担当者が責任を持って行う必要があります。AIと人の力を組み合わせれば、より精度の高いリーガルチェックを実現できるでしょう。
まとめ
リーガルチェックは「契約書に法的問題がないか」「自社の利益に合致しているか」などを確認する作業です。弁護士または社内の法務部に依頼するケースがありますが、どちらを選ぶかは契約書の重要性や複雑さ、自社の状況などを総合的に判断する必要があります。
株式会社ジオコードでは、企業の課題となる業務の効率化、収益化のサポートを行っており、契約書のリーガルチェックに関する相談も承ります。
詳細な情報やリーガルチェックサービスの比較をご希望の方は、以下の記事も参考にしてください。それぞれのサービスの特徴や料金体系など、表形式でポイントを分かりやすくまとめています。
【2024年最新比較表あり】おすすめのリーガルチェック・AI契約書レビュー10選! 選び方のポイントを徹底解説
【比較】おすすめのリーガルチェックツール一覧
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