更新日:2024/09/18
会社売却に効果的な税金対策8選! 税金の基礎知識や注意点も解説
【監修】株式会社ジオコード マーケティング責任者
渡辺 友馬
会社売却では、納得できる価格で売却できるかどうかに加えて、税金対策を考慮することも重要です。会社売却で課される税金としては、所得税や住民税、法人税などが挙げられます。税金や制度に関する理解を深め、適切な方法で会社売却に取り組みましょう。
本記事では、会社売却に効果的な税金対策の方法を解説します。注意点も紹介するので、税金対策を始める前にポイントを押さえましょう。
大手&上場しているM&A仲介会社 比較10選
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会社名 | 特徴 | 手数料体系 | サービス対応範囲 |
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株式会社日本M&Aセンター |
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相談:無料 着手金:有 報酬:レーマン方式 |
事前コンサルティング M&Aサービス~戦略立案~ M&Aサービス~マッチング~ アフターサービス |
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 |
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相談:無料 着手金:無料 報酬:株価レーマン方式 |
譲渡売却 譲受買収 企業評価 M&Aマッチングサービス |
株式会社ストライク |
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相談:無料 着手金:無料 報酬:レーマン方式 |
成長加速型M&Aコンサルティング 事業承継型M&Aコンサルティング 経営支援コンサルティング |
株式会社M&A総合研究所 |
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年間問い合わせ5,000件以上 譲渡企業様は着手金中間金無料の完全成功報酬制 東証上場の信頼とM&A支援の豊富な実績 最短49日のスピード成約 AIマッチングシステムの活用 |
M&A仲介 事業譲渡 AIマッチングシステム 資料事業計画書の作成 面談指導 |
名南M&A株式会社 |
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譲渡企業報酬体系 着手金(アドバイザリー契約締結時): 5億円以下 66万円 5億円超~20億円以下 110万円 20億円超 220万円 成功報酬(クロージング時): 5億円以下の部分 5.5% 5億円超~10億円以下の部分 4.4% 10億円超~50億円以下の部分 3.3% 50億円超~100億円以下の部分 2.2% 100億円超の部分 1.1% (最低報酬1,100万円) 譲受企業報酬体系 情報提供料(アドバイザリー契約締結時): 10億円以下 66万円 10億円超~50億円以下 110万円 50億円超 220万円 成功報酬(クロージング時): 5億円以下の部分 5.5% 5億円超~10億円以下の部分 4.4% 10億円超~50億円以下の部分 3.3% 50億円超~100億円以下の部分 2.2% 100億円超の部分 1.1% (最低報酬1,100万円) |
事業承継 譲渡 譲受 |
株式会社オンデック |
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要お問い合わせ |
事業承継型M&A イグジット型M&A MBO支援 ターゲット選定 簡易企業評価 |
株式会社ペアキャピタル |
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着手金:なし 中間報酬:手数料の10% 成約時:残りの90% |
M&Aアドバイザリー 事業承継コンサルティング 業務提携コンサルティング 企業再生支援 資本政策経営計画コンサルティング 資産運用コンサルティング |
セレンディップホールディングス株式会社 |
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事業承継支援事業 経営コンサルティング事業 M&Aアドバイザリー事業 企業再生支援事業 コーポレートアドバイザリー事業 プロ経営者派遣事業 その他付帯する事業 |
ブティックス株式会社 |
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着手金:なし 最低手数料:100万円 報酬:レーマン方式 |
展示会事業 M&A仲介事業 人材採用支援事業 |
株式会社スピカコンサルティング |
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着手金:なし 成功時の報酬:成功時の報酬は、譲渡対価に対して計算される 譲渡オーナーは完全成功報酬 |
完全業界特化型M&A仲介 バリューアップコンサル |
大手企業傘下&上場企業傘下M&A仲介会社 比較11選
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会社名 | 特徴 | 手数料体系 | サービス対応範囲 |
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株式会社M&Aサクシード |
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中間手数料:無し 譲渡対価の5%~ 詳細については要お問い合わせ |
M&Aマッチングサービス 譲渡・譲受の仲介 |
株式会社Innovation M&A Partners |
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着手金:なし 中間手数料:なし 完全成功報酬型 |
M&Aサービス 初期コンサルティング 簡易株価算定 アドバイザリー契約締結 企業概要書(IM)の作成 経営者同士の面談のセッティング デューデリジェンス 条件交渉 最終契約締結 株式譲渡や資産の移管等を実施(クロージング) |
ABNアドバイザーズ株式会社 |
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着手金:原則無料 成功報酬型:取引金額に対するレーマン方式 |
M&A総合アドバイザリー業務 M&A仲介事業 事業成長戦略、事業承継戦略、事業再建戦略等の立案助言および実行サポート M&A戦略立案、検討、実行に係るアドバイザリー PMI戦略のサポート その他経営全般に係る助言サポート |
信金キャピタル株式会社 |
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着手金:なし 取引金額に応じた完全成功報酬制 |
M&A仲介 投資育成 |
株式会社DYM M&Aコンサルティング |
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M&A事業 投資育成事業 |
株式会社マイナビM&A |
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着手金:なし 手数料:株式価値に応じて手数料率を乗じ金額を算定 成功報酬制 |
M&Aに関する仲介、斡旋、コンサルティングおよび アドバイザリー業務 |
レバレジーズM&Aアドバイザリー株式会社 |
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成功報酬型:レーマン方式 |
M&Aアドバイザリー 企業評価の実施 資本政策経営計画コンサルティング |
エムレイス株式会社 |
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着手金:無料 アドバイザリー手数料:無料 中間報酬:基本合意契約締結時に200万円(消費税別) 最終報酬:取引金額に応じて定められた成功報酬を頂戴致します。 (レーマン方式により算出) |
M&A支援事業(M&A仲介、M&Aアドバイザリー業務) スカウト型M&A 事業承継サポート 後継者スカウト PMI(経営統合)サポート 企業価値評価 |
株式会社MJS M&Aパートナーズ |
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着手金:あり 成功報酬:レーマン方式 |
中小企業の事業承継事業再生等に関するサポート事業 税理士をはじめとする士業の事業承継支援事業 |
M&A BASE 株式会社 |
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着手金:なし 成果報酬型 |
M&Aアドバイザリー事業 サーチファンド事業 サーチファンド設立の目的、5つの強み、チームメンバー、サーチャーを紹介 |
株式会社ウィット |
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着手金:なし 完全成功報酬型 |
M&A仲介事業 |
中小企業向けM&A仲介会社 比較15選
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会社名 | 特徴 | 手数料体系 | サービス対応範囲 |
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株式会社M&Aコンサルティング |
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相談:無料 着手:無料 成功報酬:レーマン方式(M&A成立時) |
スケール型M&A 事業承継支援 不動産M&A |
株式会社M&Aベストパートナーズ |
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着手金:なし 中間報酬:あり 成功報酬型 手数料率:5% |
中堅中小企業におけるM&A仲介 |
株式会社fundbook |
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相談:無料 着手金:無料 成功報酬:レーマン方式 |
譲渡サービス 譲受サービス |
株式会社CBパートナーズ |
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着手金:なし 中間報酬:なし 完全成功報酬 |
M&A仲介事業 医療介護福祉業界M&A支援サービス 医師開業支援サービス |
インテグループ株式会社 |
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相談:無料 成功報酬:5億円以下の部分 5% 5億円超~10億円以下の部分 4% 10億円超~50億円以下の部分 3% 50億円超~100億円以下の部分 2% 100億円超の部分 1% (最低額1,500万円) |
M&A仲介アドバイザリー ディールファインディングサービス(買い手企業向け案件発掘サービス) MBO支援 |
株式会社経営承継支援 |
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着手金:なし 成功報酬型:基本合意時 100万円 最終契約締結時 :合計から100万円を控除した残額 |
中堅中小企業の円滑な事業承継のためのコンサルティング業務 中堅中小企業の継続発展に資するM&A仲介助言業務 |
株式会社M&A DX |
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企業提携に関する仲介 企業提携に関するファイナンシャルアドバイザリー(FA) セカンドオピニオン(第三者視点のM&Aアドバイス) 財務税務調査業務(DD) 株式価値算定(Valuation) PMI(Post Merger Integration)支援 PPA(Purchase Price Allocation)支援 MBO(Management Buy Out)支援 CVC(Corporate Venture Capital)運営支援 スナイパーサービス(M&A戦略立案投資候補先開拓) 不正調査 相続相続税対策支援 富裕層向け財産サービス 資本政策策定支援 ストックオプション構築算定支援 組織再編プランニング実行支援 |
Growthix Capital株式会社 |
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基本合意の締結時:手数料の10% 受諾と決済時(クロージング):支払い:残額全て |
アドバイザリー契約の締結 M&A戦略の立案 対象企業へアプローチ 価格の条件交渉 基本合意の締結 買収監査(デューデリジェンス) 売買契約の締結 受諾と決済(クロージング) |
Byside株式会社 |
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着手金:なし 完全成功報酬型の手数料体系 |
M&Aアドバイザリー(FA業務) M&A仲介事業 |
M&Aロイヤルアドバイザリー株式会社 |
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着手金:なし 中間報酬:なし 完全成功報酬型 |
M&A仲介事業 M&Aアドバイザリーサービス(譲渡売却) セカンドオピニオンサービス MALAパートナープログラム |
株式会社NEWOLD CAPITAL |
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着手金:なし 中間報酬:あり 成功報酬型 |
M&A仲介及びM&Aアドバイザリー事業 経営、プロフェッショナル人材の紹介事業 M&A業務及びM&A関連人材の教育研修事業 |
株式会社 M&Aフォース |
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成約時に手数料の100% 成功報酬の一部を着手金中間報酬として頂戴する場合あり |
事業承継診断 成⻑戦略コンサルティング 提携仲介契約締結 企業概要書作成 マネジメントインタビュー 財務/ビジネス分析 株価/企業価値算定 会社の雰囲気調査 マッチング 候補企業への提案 トップ⾯談 基本合意契約 買収監査 会計/法務監査 最終契約成約 |
ゴエンキャピタル株式会社 |
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着手金:なし 中間報酬:なし 成功報酬型:譲渡価格の5% |
M&Aコンサルティング事業 PMIコンサルティング事業 プライベートエクイティファンドの運営 |
株式会社クラリスキャピタル |
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着手金なし 成功報酬のみで200万円から |
M&A仲介アドバイザリー事業 |
株式会社INNOVATION LEADERS |
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手数料 0円 中間手数料:報酬の10% 報酬(残りの90%) |
M&A仲介事業 |
業界特化 おすすめM&A仲介会社 15選
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会社名 | 特徴 | 手数料体系 | サービス対応範囲 |
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株式会社ウィルゲート |
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完全成功報酬型 着手金・中間手数料なし |
M&A仲介事業 |
株式会社パラダイムシフト |
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M&Aアドバイザリー CVC運営支援 事業開発 金融イノベーション |
株式会社エイスリー |
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着手金:なし |
アドバイザリー契約の締結 M&Aの戦略立案 M&Aサービス -マッチング- 買手候補を一社選定 成約クロージング |
xxx(エイジィ)株式会社 |
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成功報酬:レーマン方式(※成功報酬の最低額は1,000万円) |
簡易審査個別相談 M&Aスキームのご提案 必要書類の準備 買手候補の選定 買手候補への提案 面談設定 条件交渉成約 PMI(M&A後の更なる企業価値向上、成長支援策の提案) |
株式会社エムズ |
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秘密保持契約の締結 M&A事業承継の可能性の検討 提携仲介契約の締結 具体的資料の提出/法人の評価額の算定 マッチング 譲渡価格などの条件交渉 基本合意契約の締結 買収監査の実施 最終条件交渉と譲渡契約の締結 クロージング対価の授受 |
株式会社シードコンサルティング |
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中小企業への財務力強化、資金調達、コスト削減、経営全般に関するコンサルティング業 相続事業承継に関するコンサルティング業務 建設業特化型スモールM&Aアドバイザリー仲介業務、M&Aに関する調査コンサルティング業務 生命保険、損害保険代理店業務、各種金融商品、生命保険の活用法、資産運用、資産防衛に関するコンサルティング業務 |
株式会社 バシラックス |
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売り手手数料 0円~ 書いて手数料 200万円~ 面談、基本合意手数料 0円~ |
条件交渉 TOP面談 契約締結 買収監査(デューデリジェンス) クロージング |
MACアドバイザリー株式会社 |
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原則有料(完全成功報酬型) 着手金:なし 中間金:なし |
調剤薬局ドラッグストア専門M&Aアドバイザリー 仲介事業企業再生再編支援コンサルティング業務 企業経営調剤薬局の運営に関するコンサルティング業務 薬価差の改善業務 |
株式会社アウナラ |
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完全成果報酬型 仲介手数料200万円~ |
M&A仲介 薬剤師様独立支援 ドクター誘致支援 人材紹介事業 |
株式会社希望の星 |
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清掃経営(支援)コンサルティング 清掃独立開業支援 清掃業M&A 清掃技術研修 |
早稲田M&Aパートナーズ株式会社 |
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初期相談料:無料 営業提案活動費:無料 着手金:無料 面談設定費:無料 完全成功報酬型 |
ベンチャー企業のM&A(株式譲渡売却資本提携事業譲渡等)の仲介業務 ベンチャー企業の資金調達支援及びファイナンシャルアドバイザリー業務 ベンチャー企業の株式価値算定及びデューデリジェンス業務 ベンチャー企業の経営コンサルティング業務 |
株式会社コルウスパートナーズ |
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国内最大級のネットワークを活用し信頼性の高いマッチングを実現 完全成功報酬制+業界最安値水準の料金体系 専門コンサルタントによる安心のサポート |
M&AアドバイザリーM&A仲介 経営コンサルティング PMIコンサルティング その他、上記に付帯する業務 |
株式会社エクステンド |
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着手金:なし 中間金:なし 成功報酬型:レーマン方式 |
お問い合わせヒアリング 提案 マッチング先の選定紹介 トップ面談 |
株式会社エスエムエス |
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着手金:なし 中間報酬:なし 成約基本料 100万円 成功報酬型:レーマン方式 |
マッチング トップ面談 基本合意 デューデリジェンス(リスク調査) 最終合意 |
株式会社M&A Properties |
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着手金:なし 中間報酬:なし 成功報酬型 |
ヒアリング初回面談 個別案件の初期検討 及び 意向表明書の提出 懸念点などのすり合わせ及び解消 投資回収シミュレーション 現地視察 デューディリジェンスのサポート 譲渡契約書の締結サポート クロージングのサポート |
この記事の目次はこちら
会社売却には株式譲渡と事業譲渡の2種類がある
会社売却には、大きく分けて株式譲渡と事業譲渡の2種類があります。
株式譲渡では、会社が保有する株式を個人または法人の第三者に売却します。買い手は売り手の株式を100%保有することで、経営権を完全に取得できるのが特徴です。株式譲渡はM&Aの一般的な手法であり、中小企業の会社売却でよく採用されています。
対して、事業譲渡は売り手企業が持つ事業の一部または全てを売却する方法です。事業譲渡では株式の譲渡は一切行われず、事業に関連するノウハウや人材、設備が買い手に引き継がれます。
株式譲渡と事業譲渡の違いは、売り手企業に経営権が残るか否かです。事業譲渡では経営権が残るため、譲渡利益を得つつ会社の運営が続けられます。
また、株式譲渡の売り手には個人事業主と法人の2パターンがあります。しかし、事業譲渡の売り手は法人の場合がほとんどです。
株式譲渡で会社売却する際の税金と計算方法
株式譲渡で会社売却する場合、個人事業主と法人で税金の種類や計算方法が異なります。原則として税金は売り手にのみ発生し、買い手が支払う必要はありません。
中小企業でよく採用される手法から押さえましょう。
- 個人事業主の株式譲渡で支払う税金
- 法人の株式譲渡で支払う税金
それぞれ詳しく解説します。
個人事業主の株式譲渡で支払う税金
個人事業主が株式譲渡で利益を得た場合、譲渡所得に税金が課されます。株式譲渡で支払う税金は以下の3種類です(※)。
- 所得税:15%
- 復興特別所得税:0.315%
- 住民税:5%
譲渡所得と支払う税金の金額は以下の計算式で算出できます。
- 譲渡所得の金額=譲渡価格‐必要経費(取得費+委託手数料等)
- 支払う税金の金額=譲渡所得の金額×20.315%
例えば保有する株式を1億5,000万円で売却し、必要経費が2,000万円の場合、譲渡所得金の額は1億3,000万円です。1億3,000万円に税率20.315%を掛けて、個人事業主が支払う税金の額は2,640万9,500円となります。
また、個人事業主には概算取得費の特例が認められており、売却した株式の取得費が不明の場合は、売却価格の5%を株式の取得費とできるのが特徴です(※)。
※参考:国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」.“税率”.https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1463.htm ,(参照2024-07-03)
※参考:国税庁「No.3258 取得費が分からないとき」.https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3258.htm ,(参照2024-07-03)
法人の株式譲渡で支払う税金
法人が株式譲渡で利益を得た場合には、譲渡益を本業の損益に含めて計算するのが特徴です。また、売却益に対して法人税等がかかります。
- 法人税
- 地方法人税
- 法人住民税
- 法人事業税
- 特別法人事業税
譲渡益と支払う税金の金額を算出するための計算式は以下のとおりです。
- 譲渡益の金額=譲渡価格‐必要経費(取得費+委託手数料等)
- 支払う税金の金額=(譲渡益+本業の利益)×実効税率
例えば株式の譲渡益が1億2,000万円、本業の利益が8,000万円、実効税率が30%の場合、支払う税金の額は6,000万円となります。
法人税は総合課税であり、本業の利益と合算して税金を計算するのが特徴です。本業でマイナスが出ている場合は譲渡益と相殺するため、支払う税金が安くなる可能性があります。
また、法人税の実効税率は会社の住所がある自治体や会社の規模によって異なっており、30〜40%前後に収まるのが一般的です。
株式を発行会社に売却する際に支払う税金
株式を発行会社に売却する場合は個人事業主・法人を問わず、発行会社から見て自己株式の取得となります。そのため、売り手に支払われる対価は、みなし配当金として取り扱うのが一般的です。
- 個人事業主が支払う税金
- 法人が支払う税金
みなし配当金は所得または利益となるため、税金が課されます。
個人事業主が支払う税金
個人事業主が株式を発行会社に売却する場合、みなし配当金は配当所得に区分されます。配当所得は総合課税として扱われ、確定申告が必要です。
売却した株式が上場されている場合、所得税・復興所得税・住民税を合算した税率は20.315%です。非上場株式を売却した場合は20.42%が源泉徴収され、配当所得には他の所得との合計金額に応じた税率がかかります。
また、配当所得を申告する際は配当控除が受けられ、通常の株式配当と同じように源泉所得控除を適用できるので覚えておきましょう。
法人が支払う税金
法人が株式を発行会社に売却した場合、みなし配当金は受取配当金として営業外利益として計上されます。そのため、発行会社側でみなし配当金の額に応じて源泉徴収されるのが特徴です。
また、みなし配当金から徴収された源泉所得税額は、二重課税を防ぐために法人税額から控除できます。
事業譲渡で会社売却する際の税金と計算方法
株式譲渡と同様に、事業譲渡で会社売却する際の税金の種類と計算方法は、個人事業主と法人で異なります。また、事業譲渡でのみ発生する税金もあるので、しっかり押さえておきましょう。
- 個人事業主の事業譲渡で支払う税金
- 法人の事業譲渡で支払う税金
- 事業譲渡で発生するその他の税金
それぞれ解説します。
個人事業主の事業譲渡で支払う税金
個人事業主が事業譲渡を行うと、売却益は譲渡所得に分類されます。ただし、譲渡した資産の種類によって税額が変動するため注意してください。
譲渡所得の税金には譲渡した資産によって、分離課税と総合課税の2種類があります。
分離課税の譲渡資産 | 株式・建物・土地 |
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総合課税の譲渡資産 | 株式・建物・土地を除いた資産 |
分離課税の譲渡資産を売却した際の税額は他の所得と区別し、租税特別措置法に規定された税率で計算するのが特徴です。総合課税の譲渡資産を売却した場合は他の所得と合算し、所得税法に規定された累進税率で計算します。
一般的に、分離課税では税額が低くなりやすく、総合課税は分離課税よりも高くなる傾向があると覚えておきましょう。
法人の事業譲渡で支払う税金
法人の事業譲渡では法人税が課せられ、譲渡益は総合課税として税金を計算します。法人税等の内訳は以下のとおりです。
- 法人税
- 地方法人税
- 法人住民税
- 法人事業税
- 特別法人事業税
譲渡益は事業の売却価格から取得費や経費を差し引いた額です。資産より負債が多い場合、また取得費と経費が譲渡価格より大きい場合は原則として課税されません。
支払う税金の算出には実行税率が用いられます。また、取得費は譲渡資産によって計算方法が異なります。事業譲渡では税金の計算が株式譲渡よりも複雑になるので、M&A仲介会社や税理士などの専門家にサポートしてもらいましょう。
法人が全部譲渡を行った場合に支払う税金
法人が事業の全部譲渡を行う場合、売却益に対して法人税等が課税されます。また、法人税は会社にかかるのであり、株主にはかかりません。
法人税等の算出に用いる計算式は以下のとおりです。
- 譲渡益の金額=譲渡価格‐(譲渡資産‐譲渡負債)
- 支払う税金の金額=(譲渡益+本業の利益)×実効税率
例えば譲渡価格が1億円、譲渡資産が5,000万円、譲渡負債が2,000万円の場合、譲渡益の金額は7,000万円です。本業の利益を1億円、実効税率を30%とすると、支払う税金の金額は5,100万円になります。
事業譲渡は資産と負債の売買取引であり、譲渡益を算出する際に譲渡価格から資産と負債の差額を差し引きます。そのため、差額がマイナスになった場合、法人税の軽減が可能です。
事業譲渡で発生するその他の税金
株式譲渡とは異なり、事業譲渡では法人税等の他にも税金が発生します。各税金の具体的な計算方法を確認しておきましょう。
- 消費税
- 印紙税
それぞれ解説します。
消費税
会社売却で事業譲渡を選択すると、課税対象の資産があった場合に消費税がかかります。譲渡した資産の対価を受け取る際に消費税を含めた金額が支払われ、消費税を納付するのは売り手の役割です。
事業譲渡では以下の資産が課税対象となります。
課税対象の資産 | 土地以外の有形固定資産ソフトウェアのれん棚卸資産特許権商標意匠権 |
非課税の資産 | 土地有価証券売掛金、貸付金などの債権 |
消費税は課税資産×10%で計算可能です。譲渡した中に非課税の資産が含まれている場合は、全て除外して計算します。
印紙税
事業譲渡では、作成した契約書に対して印紙税がかかります。印紙税の額は譲渡した資産の額によってさまざまです。税額は1万円以上10万円以下の資産を譲渡した際は200円、10万円を超え50万円以下の場合は400円と段階的に上がっていき、50億円を超える場合は60万円課せられます。
一方、株式譲渡の契約書は印紙税法で定められた課税文書には当たらず、印紙税の支払いが不要です。ただし、法人が株式を売却した際の代金受領書については、価格が5万円を超えた場合に200円の印紙税がかかります(※)。
※参考:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」.“第1号文書から第4号文書までの印紙税額の一覧表”.https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7140.htm ,(参照2024-07-03)
※参考:国税庁「No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書」.“売上代金以外の受取書の場合”.https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7105.htm ,(参照2024-07-03)
会社売却で税金対策を行う方法8選
一般的に、会社売却を行う際はどの手法を選択しても税金がかかります。会社売却後の負担を押さえ、売却益を多く確保するには税金対策がおすすめです。
ここでは、会社売却で税金対策を行う8つの方法を紹介します。
- 役員退職慰労金を活用する
- 概算取得費の特例を適用する
- 第三者割当増資を利用して経営権のみを譲渡する
- 会社分割を活用して不要な資産を移転する
- 買い手のニーズに合った資産のみを売却する
- 売却益を抑えるために事業譲渡を選ぶ
- 売却益を経費で相殺する
- 配当控除を適用する
それぞれ解説するので、自社に合った方法で税金対策に取り組みましょう。
1. 役員退職慰労金を活用する
事業継承を目的とした会社売却を実施する際は、役員退職慰労金を活用した税金対策の実施がおすすめです。会社売却の対価として得た譲渡益の一部を役員の退職金として受け取れば、譲渡益を相殺し納税額を軽減できます。
具体的な流れは以下のとおりです。
- 経営者が譲渡益に相当する役員退職金を受け取る
- 譲渡企業の評価額から役員退職金の分を差し引く
- 残額を譲渡の対価として受け取る
ただし、経営者が役員退職金を受け取った場合、所得税がかかります。退職所得税は以下の式で計算可能です。
退職所得税=(退職金支給額‐退職所得控除額)×1/2×税率‐控除額
退職所得税は累進課税であり、税率が5~45%で変動します(※)。受け取る金額が大きいほど、納税額も大きくなるので注意してください。
※参考:国税庁「退職金と税」“令和5年分所得税の税額表〔求める税額=A×B-C〕”.https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/02_3.htm ,(参照2024-07-03)
2. 概算取得費の特例を適用する
個人事業主が会社売却する際に売却する株式の取得費が不明な場合、概算取得費の特例を適用できます。
概算取得費の特例を適用すると、取得した時期が古く、かかった費用が不明である場合などに、譲渡価格の5%相当額を取得費とすることが可能です。実際の取得費が譲渡価格の5%以下であっても、概算取得費の特例を適用できます(※)。
例えば、取得費不明の株式を1億円で譲渡した場合、概算取得費の特例を適用し取得費は5%相当額の500万円とできます。実際の取得費が100万円の場合は、売却益を400万円も削減可能です。
ただし、概算取得費の特例を適用できるのは個人事業主のみなので、法人の方は注意してください。
※参考:国税庁 確定申告書等作成コーナー「退職金と税」“取得費がわからないとき(概算取得費の特例)”.https://www.keisan.nta.go.jp/r2yokuaru/ocat3/ocat31/cid1007.html ,(参照2024-07-03)
3. 第三者割当増資を利用して経営権のみを譲渡する
第三者割当増資を利用して会社の経営権のみを譲渡すれば、税金対策につながります。
第三者割当増資とは、自社の株式を新たに発行して第三者が保有することです。第三者が株式の過半数を保有していれば、経営権のみを移転できます。
会社売却とは異なり株式の売買を行っていないため、個人・法人を問わず税金が発生しません。第三者に株式を購入してもらうので、資金不足の解消が期待できます。
ただし、新株発行により株式の価値が低下するため、既存株主にとってはデメリットになるかもしれません。
また、第三者が経営に関わるので、良好な関係を築く必要があります。経営者が完全なリタイアを考えている場合には、向かない手法と覚えておきましょう。
4. 会社分割を活用して不要な資産を移転する
会社分割を活用して不要な資産を移転すると、税金対策になります。特に、不要な資産まで買い手に引き継がれる株式譲渡を実施する際に効果的です。
会社分割はグループ会社の組織再編で利用されており、会社売却で対象外となる資産を別会社に移転させる方法はヨコの会社分割と言われています。
例えば、節税のために会社名義で保有している社長の社宅や車などは、買い手にとって不要な資産です。会社分割を活用し新たに設立した会社に資産を移転すれば、譲渡資産の売却益が減り、売り手は納税額を軽減できます。
また、買い手も不要な資産を購入せずに済むため、双方にとって利益が見込める税金対策となるでしょう。
5. 買い手のニーズに合った資産のみを売却する
会社売却では譲渡益が大きいほど、納税金額も大きくなります。そのため、買い手のニーズに合った資産のみを売却するのもおすすめの税金対策です。
例えば、事業譲渡の場合は全部譲渡するのではなく、買い手のニーズに合った事業を選定して譲渡すれば売却益を抑えられます。株式譲渡の場合はニーズの低い資産をあらかじめ処分することで、譲渡益が減り節税が可能です。
売却する資産は、買い手と交渉する中で擦り合わせるとよいでしょう。
6. 売却益を抑えるために事業譲渡を選ぶ
会社売却の際に事業譲渡を選択すると、税金対策になるケースがあります。
事業譲渡は法人税等に加えて消費税がかかり、税負担が大きい手法です。しかし、事業譲渡は営業権の対価として譲渡益を受け取るため、株式譲渡よりも譲渡益が小さくなる可能性があります。
例えば出資金が3,000万円で、会社の純資産が1億円、営業権が5,000万円の場合、株式譲渡で会社売却すると譲渡益は1億2,000万円です。対して、事業譲渡の売却益は営業権の5,000万円であり、7,000万円の差が出ます。
単純に売却益を抑えるだけでも、節税効果が期待できるでしょう。また、役員退職慰労金や経費の活用によって利益を抑えるという方法もあります。一般的に、事業譲渡の税負担は大きいイメージですが、ケースによるので自社にとってどの方法が適しているのか検討してみてください。
7. 売却益を経費で相殺する
法人が株式譲渡で会社売却する場合、売却益を経費で相殺すれば節税効果が期待できます。
個人事業主とは異なり法人は総合課税であり、税金は会社売却の譲渡益と本業の利益を合算した額に対して課されるのが原則です。そのため、会社売却の譲渡益を多額の経費で相殺すれば、支払う税金を軽減できます。
例えば、会社売却で5,000万円の譲渡益を得た場合、同額の設備投資を実施することで完全に相殺でき、税金を支払う必要はありません。
ただし、経費による相殺で税金対策を行うと、キャッシュアウトが発生します。結果として手元に残る現金が減少するので、費用対効果を吟味した上で税金対策を行いましょう。
8. 配当控除を適用する
個人事業主の株式譲渡による会社売却では、配当控除の適用により支払う税負担を軽減可能です。確定申告の際に総合課税を選択して配当金を申告すると、配当控除の適用が受けられます。
株式譲渡で事前配当なしの場合、株式の簿価と売却価格の差が譲渡益です。通常は譲渡益の金額に応じて税金が課されます。
一方、事前配当ありの場合、株式の譲渡益から一定の割合を配当金として受け取れば、課税対象となる譲渡益を減額し納税額を軽減可能です。
ただし、ご自分の他にも株主がいる場合は全ての株主に配当金を支払わなければならないので注意しましょう。
株式譲渡と事業譲渡ではどちらの節税効果が高い?
節税効果を期待する場合、株式譲渡と事業譲渡のどちらを選択すべきかはケースバイケースです。売り手が個人事業主か法人かによって、取り組める税金対策も異なります。
個人事業主の場合、譲渡益に20.315%の税金が課されます。役員退職慰労金の活用や概算取得費の特例を適用することで、税負担の軽減が可能です。また、一般的に事業譲渡はプロセスが複雑なため、株式譲渡が選択されています。
法人の場合は、株式譲渡と事業譲渡のどちらを選択しても、税率は変わらず30〜40%前後です。会社分割の活用や経費による相殺を利用し譲渡益を抑えれば、節税効果が期待できます。
取り組むべき税金対策は会社の形態や譲渡する資産によるため、会社売却の専門家に相談するとよいでしょう。
会社売却で税金対策を行う際の4つの注意点
会社売却の売り手は税金対策に取り組むことで、税金の支払いを軽減できる可能性があります。ただし、適切な方法で税金対策を実施しないと、リスク発生するため注意してください。
税金対策を始める前に4つの注意点を把握しましょう。
- 棚卸資産によって支払う税金が変動する
- 低価格で事業譲渡すると税負担が増加する場合がある
- 退職金が適正な額でないと認められない場合がある
- 誤った税金対策による税務リスクがある
それぞれ解説します。
1. 棚卸資産によって支払う税金が変動する
課税事業者では棚卸資産に対して消費税が課され、支払う税金が変動する可能性があるため注意してください。
棚卸資産とは、会社が営業目的で仕入れた商品や原材料が、販売されないまま在庫として社内に留まっている資産の総称です。会計処理では期末に在庫残高として計算され、資産に計上されます。
実際に会社売却した日の棚卸資産が当初の資産よりも増加している場合、消費税の負担が大きくなるため注意が必要です。また、棚卸資産が値下がりする可能性もあるので、定期的に評価を実施しましょう。
2. 低価格で事業譲渡すると税負担が増加する場合がある
事業譲渡の際に評価額よりも低い価格で譲渡すると、贈与あるいは譲渡と見なされ、買い手に贈与税や譲渡税が課される可能性があります。そのため、後で買い手とのトラブルに発展しないよう、適正価格で事業譲渡することが重要です。
また一般的に、評価額よりも低い価格で譲渡した場合、時価で会社売却をしたと見なされます。評価額との差額は買い手に寄付したことになり、寄付金として費用計上されます。
法人税法では、寄付金の範囲が決められており、一定額を超える部分の金額は損金として算入できません。譲渡益を抑えるために低い価格で譲渡すると、法人税等が増加する場合があるため注意してください(※)。
※参考:国税庁「No.5281 寄付金の範囲と損金不算入額の計算」.https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5281.htm ,(参照2024‐6‐28)
3. 退職金が適正な額でないと認められない場合がある
役員退職慰労金を活用する際に、退職金の額が多すぎると損金として認められない場合があるので注意しましょう。
退職金の計算方法は特に決められていませんが、一般的には以下の計算式を使用するとされています。
役員退職金額=最終報酬月額×勤続年数×功績倍率
経営者の功績倍率は判例を基に、多くの会社が3.0を目安としています。退職金額が適正ではないと判断された事例は、大きすぎる功績倍率が原因です。
適正でないと判断された金額は損金に算入できず、法人税等の負担が増えるので注意しましょう。
4. 誤った税金対策による税務リスクがある
会社売却では税金対策により、売り手が支払う税金を軽減できます。しかし、誤った税金対策の実施には追徴課税のリスクがあるため注意が必要です。
税務調査が入った際に税金対策が認められなければ、当初の試算よりも税負担が増える可能性があります。また、税金対策の手法が悪質であると判断された場合は、重加算税が課せられるかもしれません。
会社売却で税金対策を実施する際は税務リスクを把握し、必要であれば専門家のアドバイスを受けましょう。
会社売却の税金と注意点を把握して適切な税金対策を行おう
会社売却の際には個人事業主・法人を問わず、税金を課されるのが一般的です。株式譲渡と事業譲渡のどちらを選ぶかでも、発生する税金額が異なります。
税負担を軽減したいなら、税金対策を行うのがおすすめです。会社売却の譲渡益を抑えられれば、支払う税金を減らせる可能性があります。
ただし、税金対策にはいくつかの注意点があります。誤った方法で税金対策を実施すると、税務リスクが発生しかねません。
会社売却に関する税金の知識と注意点を把握して、適切な方法で税金対策に取り組みましょう。