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SFA JOURNAL by ネクストSFA

人事評価における業務評価とは? タイプ別人事評価システムをご紹介

人事評価における業務評価とは? タイプ別人事評価システムをご紹介

【監修】株式会社ジオコード マーケティング責任者
渡辺 友馬

従業員に対して人事評価を行う際は、あらかじめ作成した人事評価シートを使用します。

人事評価シートは成績・能力などの評価基準に基づき、業務目標達成度、課題目標達成度、企画力など複数の評価項目を記載しますが、その内容や数は企業ごとに大きく異なります。

そのため、人事評価シートを作成する際は自社に適した項目や基準を設定することが大切です。

本記事では、人事評価シートの概要や目的、評価の基準、主な項目、書き方のポイントについて解説します。

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人事評価シートとは、従業員の能力や業績などを評価する際に用いる書類のこと

人事評価シートとは、従業員が挙げた実績や保有する能力、仕事に取り組む姿勢などを評価する際に用いる書類のことです。あらかじめ定めた評価基準や評価方法に基づき、評価基準・評価項目・評価内容・評価者のコメント欄などが設けられており、評価者はその内容に沿って◯を付けたり、コメントを記入したりします。

評価シートは、評価される従業員自身が自己評価する場合と、上司(担当者)が部下を評価する場合の2通りがあり、パターンに応じてシートの項目や内容も異なります。

また、同じ評価項目でも、部門や部署によって評価の着眼点が異なるため、多くの企業では部門・部署ごとに異なる評価シートを作成し、シーンに応じて使い分けるのが一般的です。

人事評価シートを作成する目的

企業が人事評価シートを作成する目的には以下のようなものがあります。

従業員の公平な評価

日本では長らく、年齢や勤続年数に比例して昇給・昇格する年功序列制度が採用されてきました。しかし、時代を経て実力主義や能力主義、成果主義が重んじられるようになってからは、年齢や勤続年数にかかわらず、その人が挙げた実績や会社への貢献度、保有する能力などを評価すべきという考えが定着するようになりました。

ただ、能力や仕事に対する姿勢は目に見えないものなので、何をどのように評価するのか、一定の基準を定めなければなりません。このような場合、人事評価シートを使えば、一定の基準に沿って従業員を評価できるため、年齢や勤続年数などによらないフラットな人事評価を行うことができます。

評価される従業員側にとっても、均一な基準で評価されれば不公平を感じにくく、納得して受け入れることができるでしょう。

従業員の育成

人事評価シートには、評価基準や評価内容が明確に記載されているため、自社がどのような人材を求めているのか、どのような行動が評価の対象になるのかを従業員に提示することが可能です。

従業員が人事評価シートを用いて自己評価を行ったり、あるいは上司が作成したシートをチェックしたりすれば、自身の目指すべきものや改善点を把握しやすくなり、スキルアップやモチベーションアップのきっかけになるでしょう。

人事評価シートを用いた評価を繰り返せば、自社にとって必要な人材育成を効率よく行えるため、組織力の強化につながります。

人事評価の質の向上

従業員の能力や働く姿勢は目に見えないものなので、明確な評価基準を設けないまま人事評価を行うと、評価者の主観や感情に大きく左右される結果になりかねません。偏見や偏重の強い人事評価は会社に対して不信感を抱く要因となり、従業員のモチベーション低下や離職を招く恐れがあります。

人事評価シートを使用すれば、一定の基準に沿って従業員を評価できるため、人事評価の質が向上し、適正な査定を行うことができます。

評価される側にとってメリットが大きいのはもちろん、評価する側にとっても、「何をどのように評価すればいいのだろう」「この評価で大丈夫だろうか」といった不安や疑問を感じるリスクが少なくなるため、人事評価にまつわる負担の軽減を期待できるでしょう。

人事評価シートの評価基準

人事評価シートの評価基準は、大きく分けて業績評価・能力評価・情意評価の3つに区分されます。

シートではこれらの評価基準ごとに、さらに複数の評価項目を設けており、目標達成度や仕事への意欲・姿勢、能力・資格などを細かく評価できるようになっているのが一般的です。

ここでは主な評価基準について詳しく解説します。

業績評価

業績評価とは、ある期間において、その従業員が挙げた業績や成果を評価することです。ここでいう業績とは、売上や案件発注数、受注数などがあり、あらかじめ定めた目標の達成度に応じて評価を行います。

業績評価はその性質上、業績を定量化しやすい営業や販売部門に採用されるケースがほとんどです。しかし、近年は間接部門(おもに支援を担当するバックオフィス部門)においても、採用計画の達成度や経費節減率といった定量的な目標を設定することで業績評価を行う企業が増えてきています。

業績評価は他の評価基準に比べて内容が明確であることから、目標や行動指針を立てやすく、従業員のモチベーション向上につながりやすいという利点があります。また、業績評価によって実績や成果を重視すると、自然と無駄な工程が省かれるようになり、より効率的な労働体制が整っていくでしょう。

一方で、部署や役職によって評価基準が異なると不公平感が強くなりやすいという注意点もあります。不公平感が際立つとかえって従業員のモチベーション低下を招く恐れがあるため、全社的に評価基準を統一させる必要があります。

能力評価

能力評価とは、その従業員が保有する業務関連のスキルや能力を評価することです。

先に説明した業績評価とは異なり、能力評価では評価期間中に挙げた売上や成果にかかわらず、純粋にその人の能力・スキルを評価対象にするところが特徴です。

つまり、評価期間中に売上や業績を伸ばせなくても、今後会社に貢献する能力・スキルを有していると見なされれば、その従業員は一定の評価を受けることができます。

これにより、従業員側は自身の能力・スキルを認められたという納得感・満足感を得られるため、評価に対する不平・不満が出にくくなるところが利点です。

また、従業員の能力を正当に評価すれば、その人の業務適正を把握しやすくなり、適材適所の人材配置を行える他、従業員自身がどのようなスキル・能力を伸ばしていけばよいのか理解しやすくなるため、具体的なアクションを取りやすくなるでしょう。

ただ、能力評価は定量化しにくいぶん、評価の基準に公平性がないと不平や不満の原因となります。評価も曖昧になりやすいので、基準を設定するときは業務評価よりもさらに内容を精査する必要があります。

情意評価

情意評価とは、従業員の仕事に取り組む姿勢や意欲、勤務態度などを評価することです。企業が定めたルールに則って行動しているか、積極的に業務に取り組んでいるかなどを評価するとともに、周囲の従業員と協力・連携して業務に取り組めているかなども評価対象となります。

情意評価では従業員自身や直属の上司だけでなく、一緒に仕事をする同僚や部下などからの意見も参考にするため、より多角的に評価できるのが特徴です。また、従業員にあらためて自社のルールや就業規則を認知させたり、求める人材像を明確にしたりすることにも役立ちます。

一方で、能力評価同様、具体的な目標を設定しにくいことや評価が評価者の主観や感情の影響を受けるる可能性があることなどの問題点があります。

そのため、情意評価では目標や評価基準をなるべく明確に、かつ公平に設定することが大切です。

人事評価シートの主な評価項目

人事評価シートでは、前述した評価基準をさらに細分化した評価項目が設定されます。評価項目に明確な決まりはなく、企業が独自に定めることになりますが、ここでは基本的な評価項目をまとめました。

業務目標達成度

期首に定めた業務目標について、どのくらい達成できたかを評価する業績評価項目です。例えば、売上目標に対する達成度や、顧客維持率(リテンション率)の改善度などがこれに該当します。

課題目標達成度

前述した業務目標を達成するために設定した課題をどのくらい達成できたかを評価する業績評価項目です。

例えば、売上アップに向けて設定した新規営業件数や、リテンション率の改善に向けて設定した顧客応対品質の改善度(クレームを迅速に解決できたか等)などがこれに該当します。

企画・提案力

顧客ニーズに適した企画・提案を行えたかどうかを評価する能力評価項目です。

より具体的な提案を行えたか、魅力的な企画を立案できたか、などが主な評価内容となります。

理解力

自社の製品やサービスについて正しく理解できているかを評価する能力評価項目です。製品・サービスを理解するに当たって必要な知識を有しているかどうかも評価対象となります。

コミュニケーション能力

顧客や取引先と有意義なコミュニケーションを取れたかを評価する能力評価項目です。

単にコミュニケーションを取るだけでなく、相手と信頼関係を結べたか、協力体制を構築できたかなどの結果が評価されます。

なお、上司や同僚、社内の他部門とのコミュニケーションに関しては、後述する協調性(情意評価)に包括されるのが一般的です。

実行力

目的や目標を達成するための計画を設定し、確実に行動したかどうかを評価する能力評価項目です。

達成可能な目標および計画を立案する力があるか、論理的思考が身に付いているかなども評価対象となります。

積極性

与えられた仕事はもちろん、それ以外の仕事についても積極的に取り組んだかどうかを評価する情意評価項目です。

スキルアップや業務の効率化について意欲的に取り組んでいるかどうかも評価に含まれます。

規律性

企業が定めたルールや就業規則、理念に則った行動を取れているかを評価する情意評価項目です。

ルールから逸脱した行動をしたり、就業規則に反する態度を取ったりするとマイナス評価となります。

協調性

同じ組織で働く従業員と協力して仕事に従事できたかを評価する情意評価項目です。

直属の上司や同じ部署の同僚だけでなく、他部門・他部署との連携が取れているかどうかも評価のポイントになります。

責任感

従事している仕事について、責任を持って取り組めたかどうかを評価する情意評価項目です。

例えば、何らかのトラブルがあったときにしっかり対応・フォローできているかなどが評価対象となります。

人事評価シートの書き方のポイント

人事評価シートの書き方は、評価を受ける側と、評価する側で書き方のポイントが異なります。

ここではそれぞれの立場における人事評価シートの書き方のコツを説明します。

評価を受ける側の書き方

評価を受ける側が人事評価シートを書く際は、自己評価という形になります。

自己評価する際は以下の4つのポイントを押さえてシートに記入しましょう。

ありのままの事実を記載する

人事評価シートは賃金査定や昇進・昇格などに関わる重要な書類なので、自身にとって有利な内容を記載したくなることもあるでしょう。

しかし、人事評価シートは公平な評価を目的としたものなので、あくまで客観的な評価が求められます。過大評価し過ぎると、他の人の評価との間に不自然な差が生じてしまう可能性がある他、将来的に実際の能力に見合わない実績を期待されてしまい、プレッシャーになる恐れがあります。

そのため、人事評価シートで自己評価を行う際は定量化できる業績や、自己研鑽のために参加した研修やセミナーの回数・内容を参考にするなど、できるだけ客観的なデータに基づいて評価するようにしましょう。

反省点・課題点を記載する

人事評価シートには良い面だけでなく、期間中に感じた反省点や課題点も記載することが大切です。

問題や課題を提示すると評価がマイナスになるのではないかと不安に感じるかもしれませんが、自身を省みて、その問題を解決する意欲があると見なされれば、むしろ自己アピールにつながります。

反省点や課題点を挙げるときは、合わせて具体的な解決策を提示し、仕事に対する真摯な態度を見せるとよいでしょう。

内容は簡潔に、かつなるべく具体的な数字を用いる

人事評価シートの内容は、相手に正確に伝わらなければ意味がありません。誤解を防ぐためにも、曖昧な表現や難しい言い回しは避け、誰にでも分かりやすい簡潔な書き方を心掛けましょう。

また、売上や目標達成度など定量化できる項目については、具体的な数値を出すと説得力が増して効果的です。

評価をする側の書き方

人事評価シートで部下を評価する場合は、公平な評価を心掛けるのはもちろん、相手のモチベーションを向上させる表現を意識することが大切です。

ここでは評価する側の人事評価シートの書き方のコツをまとめました。

評価の結論→根拠の順に記載する

全体を簡潔かつ分かりやすくまとめるには、まず評価の結論から先に述べ、その後に根拠や理由を説明する構成がおすすめです。先に結論を伝えておけば、「結局何が伝えたいのか分からない」と「評価がはっきりしない」という問題が起こりにくくなるからです。

ただ、根拠の書き方が明確でないと「なぜこの評価になったのか分からない」という別の問題が浮上するので、評価の理由は具体的な数値などを挙げつつ、簡潔かつ客観的な内容にまとめるようにしましょう。

プロセスについてもコメントする

人事評価シートでは、業績評価だけでなく、能力評価や情意評価も行われます。

これらは売上や実績といった結果よりも、そこに至るまでのプロセスで評価されるものなので、コメントを記載する際は結果だけにフォーカスするのではなく、その間のプロセスについても触れることが大切です。

成長を促進する表現を用いる

評価する側にとって、人事評価シートはその従業員の成長やスキルアップを促す手段でもあります。ただ現状を評価するだけでなく、課題や問題を指摘した上で解決のためのアドバイスを提供するなど、従業員の成長につながる表現も採り入れることが大切です。

なお、課題や問題をあげつらうだけではただ非難しているだけと受け取られかねないので、「こうすればもっと良くなる」「次回はこうなっていることを期待している」などポジティブな言い方を心掛けると従業員のモチベーションアップにつながるでしょう。

評価エラーの知識を採り入れておく

評価エラーとは、評価する側の思考や価値観などに引きずられ、正当な評価が行われないことを指します。別名バイアスとも呼ばれるこの現象は、故意ではなく無意識に発生するケースが多いため、知らない間に評価エラーを起こしていることも少なくありません。

具体的には、ハロー効果(一部の目立った特徴に引きずられて全体の評価が歪んでしまう心理的傾向)や寛大化傾向(批評価者に対する心象などが影響して実態よりも甘い評価を下してしまう心理的傾向)などのエラーが挙げられます。

こうした評価エラーを防ぐためには、どのようなエラーがあり、どういった原因で発生するのか、基本的な知識を押さえておく必要があります。

その上で、各々のエラーを防ぐにはどのようなことを心掛ければよいのかをチェックしておけば、評価エラーの発生率を減らすことができるでしょう。

人事評価シートは評価基準や項目をしっかり定め、適切に記載しよう

人事評価シートは従業員の賃金査定や人事査定、人材成長などさまざまな要素に関わる重要な書類です。人事評価シートを適切に使用すれば、従業員を正当に評価できるのはもちろん、従業員のモチベーションアップや育成などにも役立つので、適切な評価基準・項目を設定してシートを作成することが大切です。

ただ、部署や部門に合わせて評価シートを作成するのはかなりの手間と時間が掛かります。従業員が多いほど人事評価シートに関連する業務の負担も大きくなるので、より効率良く人事評価を行いたい場合は、人事評価シートの作成や配布、回収などを手軽に行える人事評価システムの導入を検討してみましょう。

人事評価システムはサービスによって機能やサポート、料金に違いがあるので、複数のシステムを比較して自社に適したものを選ぶことが大切です。

こちらのサイトでは最新の人事評価システムを機能面や料金面などから比較しているので、ぜひ参考にしてみてください。

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