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SFA JOURNAL by ネクストSFA

IT資産管理のメリット徹底解説 コスト削減・セキュリティ強化効果を最大化する実践法

小島 伸介

【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介

株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。

企業のデジタルトランスフォーメーションDX、クラウドシフト、リモートワークの浸透—。こうした変化に伴い、企業が管理すべきIT資産はかつてないほど増加し、その管理は複雑化しています。PC、サーバー、スマートフォン、ソフトウェア、ライセンス、クラウドサービスアカウント…これらを正確に把握し、適切に管理することは、もはや単なる管理業務ではなく、企業経営における重要な課題です。

IT資産管理(ITAM – IT Asset Management)とは、企業が保有・利用するこれら全てのIT資産を、そのライフサイクル(調達から廃棄まで)を通じて正確に把握し、最適に管理するための一連のプロセスと活動を指します。

「IT資産管理を強化することで、具体的にどんな良いことがあるのか?」「コスト削減やセキュリティ強化にどれほど効果があるのか?」多くの管理部門や決裁者の方が、こうした疑問や期待をお持ちのことでしょう。結論から言えば、適切なIT資産管理は企業に計り知れないメリットをもたらします。

しかし、重要なのは、IT資産管理ツールを導入しただけで自動的にメリットが最大化されるわけではない、ということです。その効果を最大限に引き出すためには、戦略的な視点と計画的な取り組みが不可欠となります。

この記事では、IT資産管理を導入・実践することで得られる具体的なメリットを徹底的に解説するとともに、そのメリットを最大化するための実践的な方法について、分かりやすくご紹介します。コスト削減、セキュリティ強化、コンプライアンス遵守、業務効率化といった多岐にわたるメリットを深く理解し、自社の経営基盤強化に繋げるための一助としてください。

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シグネチャ検査(更新、設定はマネージドサービスとして提供します。)
CMS設定(WordPress、Movable Type、EC-CUBEの運用に適した設定を行います。)
アクセス制御
国別フィルタ
ダッシュボード
レポート機能
専用フォーム(各種お問い合わせは専用フォームで承ります。履歴管理も可能です。)
Amazon Web Services, Inc. AWS WAF
  • ウェブトラフィックフィルタリング
  • AWS WAF Bot Control
  • アカウント乗っ取り詐欺の防止
  • アカウント作成詐欺防止
  • フル機能 API
  • リアルタイムの可視性
  • AWS Firewall Manager への統合
Web ACL 月あたり (時間で案分) USD 5.00
ルール 月あたり (時間で案分) USD 1.00
リクエスト USD 0.60/100 万件のリクエスト (最大 1500 WCU およびデフォルトの本文サイズの検査*)
Bot Control と Fraud Control 上記のタブによる追加費用
ウェブトラフィックフィルタリング
AWS WAF Bot Control
アカウント乗っ取り詐欺の防止
アカウント作成詐欺防止
フル機能 API
リアルタイムの可視性
AWS Firewall Manager への統合
株式会社ROCKETWORKS 詳細はこちら ※IT製品の情報サイト「ITトレンド」へ遷移します。 イージスWAFサーバセキュリティ
  • Webサーバ・Webサービスへの攻撃や不審な通信を自動で徹底ブロック
  • 最短即日・再起動も不要のカンタン導入
  • AWSをはじめ最新のクラウド環境にも対応
  • 人気ECサイト、Webサービスも安心の低負荷・低遅延
  • 日本人エンジニア執筆による「読んでわかる」レポートを毎月送付
イージスサーバセキュリティタイプ
月額/50,000円

イージスDDoSセキュリティタイプ
~2Mbps 初期費用/¥98,000 月額/¥40,000
~5Mbps 初期費用/¥98,000 月額/¥60,000
~10Mbps 初期費用/¥98,000 月額/¥120,000
~50Mbps 初期費用/¥198,000 月額/¥198,000
~100Mbps 初期費用/¥198,000 月額/¥250,000
~200Mbps 初期費用/¥198,000 月額/¥450,000
200Mbps以上 別途見積もり
サイバー攻撃の検出/遮断
月次レポート
サイバーセキュリティに関するアドバイザリー
法務相談(オプション)
SBテクノロジー株式会社
詳細はこちら
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Imperva WAF
  • 自動学習機能による導入運用負荷軽減
  • 細かなポリシー設定
  • 簡単に導入可能
  • Imperva 独自の研究機関『ADC』
  • 仮想パッチの適用
- Web Application Firewall
株式会社セキュアスカイ・テクノロジー Scutum
  • かんたん導入 約1週間
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  • 安心の実績 稼働率は99.999%以上※2023年までの5年間の実績、12年連続シェアNo.1、年間500件以上の脆弱性診断
~500kbps 初期費用 98,000円 月額 29,800円
~5Mbps 初期費用 98,000円 月額 59,800円
~10Mbps 初期費用 98,000円 月額 128,000円

~50Mbps 初期費用 198,000円 月額 148,000円
~100Mbps 初期費用 198,000円 月額 198,000円
~200Mbps 初期費用 198,000円 月額 298,000円
200Mbps 初期費用198,000円 100Mbps毎に100,000円加算
1 ブロック機能 Webサイトに対する攻撃と思われる通信を遮断する機能
2 モニタリング機能 Webサイトに対する攻撃と思われる通信を記録する機能 (通信自体は遮断されません)
3 防御ログ閲覧機能 ブロック(モニタリング)した通信をログとして保存し、閲覧できる機能
4 レポート機能 下記の内容を管理画面上で報告する機能
 ・攻撃元(IPアドレス)top5
 ・攻撃種別top5
 ・防御ログの月別ダウンロード
5 ソフトウェア更新機能 防御機能等を向上させるため、ソフトウェアを更新する機能
6 防御ロジック更新機能 防御効果の向上を図るため、不正な通信パターンを随時最新の状態に更新する機能
7 特定URL除外機能 Webサイト中のWAF機能を利用したくない箇所を防御対象から除外する機能
8 IPアドレスの拒否/許可設定機能 特定のIPアドレスからの通信を拒否、もしくは特定のIPアドレスからの通信のみ許可する機能
9 脆弱性検査用IPアドレス管理機能 Webサイトへの脆弱性診断等を行う際、設定したIPアドレスからの通信についてブロック/モニタリングを行わない機能
10 SSL/TLS通信機能 暗号化された通信についても解読し、防御する機能
11 API機能 Scutumで検知した防御ログや詳細な攻撃リクエスト内容をAPI経由で取得できる機能
エヌ・ティ・ティ・スマートコネクト株式会社 SmartConnect Network & Security
  • めんどうなセキュリティ対策をまるっとおまかせ
  • 変化するビジネス要件に、柔軟に対応できる
  • 安心・セキュアを継続できる品質と実績
- UTM
WAF
DDoS
Webプロキシ
メールセキュリティ
ロードバランサ
VPN
株式会社モニタラップ AIONCLOUD WAAP
  • ひとつのコンソールで提供する統合セキュリティ
  • 進化する脅威に対応するアプリケーションセキュリティサービス
- WAF
Webアプリケーションを既存の攻撃、ゼロデイ攻撃などから防御します。

APIセキュリティ
企業のAPIに対する可視性を提供し脅威を遮断します。

ボット緩和
ボットのトラフィックを管理し、Webサイトを保護します。

DDoS保護
アプリケーション階層のDDoS攻撃から企業のWebサイトを守ります。
フォーティネットジャパン合同会社 FortiWeb
  • WEBアプリケーション保護
  • 機械学習に基づいた脅威検知
  • セキュリティ ファブリックの統合
  • 高度な分析
  • 誤検知の減災
  • ハードウェアベースのアクセラレーション
- アプリケーションのセキュリティ
コンテンツセキュリティ
デバイスのセキュリティ
NOC/SOC セキュリティ
ウェブセキュリティ
管理された検出と対応
SOC-as-a-Service
インシデント対応サービス
サイバーセキュリティの評価と準備状況
バラクーダネットワークス Barracuda Web Application Firewall
  • Web攻撃とDDoSを確実に防止
  • 悪意のあるボットの動きを完全に静止
  • APIとモバイルアプリの保護
  • きめ細かなアクセス制御と安全なアプリ配信を実現
  • セキュリティの自動化と統合
  • 攻撃とトラフィックパターンの可視化
- WebアプリケーションとAPIの保護

+ OWASPおよびゼロデイ攻撃に対する保護
+ 高度なボット攻撃からアプリケーションを保護
+ API保護
+ サーバクローキング
+ URL暗号化
+ GEO IPとIPレピュテーションチェック
+ マルウェア対策とウィルス対策
+ マルチプロトコルサポート
+ アプリケーションDDoS対策
+ 大規模なDDoSの防止
+ JSONセキュリティ
+ XMLファイアウォール
+ アクティブ脅威インテリジェンス
+ クライアントサイドプロテクション

アプリケーションデリバリ
+ アプリケーションの負荷分散と監視
+ コンテンツルーティング
+ キャッシュ、圧縮、トラフィックの最適化

データ保護とコンプライアンス
+ アウトバウンドDLP
+ コンプライアンス認証

IAM
+ SAMLサポートとSSO
+ クライアント証明書ベースの認証
+ AD FSとの統合
+ LDAP、Kerberos、およびRADIUSとの統合
+ 2要素認証

レポート
+ Barracuda Active Threat Intelligenceダッシュボード
+ 直感的なドリルダウンレポート
+ 包括的なログ
+ SIEMとの統合

管理
+ HAクラスタリング
+ ロールベースの緻密なアクセス制御
+ REST APIによる自動化とスケーラビリティ
+ 統合的なDevSecOpsの有効化
+ デフォルトのセキュリティテンプレート

中央管理
+ 単一コンソール
+ 証明書の中央管理
+ 中央管理通知とアラート

使いやすさ
+ アプリケーション学習(アダプティブプロファイリング)
+ 仮想パッチと脆弱性スキャナとの統合
+ 自動構成エンジン
セコムトラストシステムズ株式会社 マネージドWAFサービス
  • AWS、Azure 等の、各種クラウド環境でも利用することができます。
  • メーカーシグネチャに加え、個別シグネチャを迅速に作成することができます。
  • クラウド型なので直ぐにご利用いただけます。(※大規模システム向けにはオンプレミス型(マネージドWAFサービス標準型)も提供できます)
  • ストラッツ(Struts)の脆弱性対策も実施することができます。
  • クレジットカード番号の外部流出を検知し防止することができます。
  • DDoS攻撃対策も実施することができます。(オプション)
- DDoS対策
ファイアウォール
IPS
WAF
Amazon Web Services, Inc. AWS Shield
  • AWS Shield Standard
    ↳基盤となる AWS サービスの静的しきい値 DDoS 保護
    ↳インラインの攻撃緩和
  • AWS Shield Advanced
    ↳アプリケーショントラフィックパターンに基づいてカスタマイズされた検出
    ↳正常性に基づく検出
    ↳高度な攻撃緩和機能
    ↳自動アプリケーションレイヤー DDoS 緩和策
    ↳積極的なイベント応答
    ↳保護グループ
    ↳可視性と攻撃の通知
    ↳DDoS コスト保護
    ↳専門サポート
    ↳グローバルな可用性
    ↳一元化された保護管理
- AWS Shield Standard
基盤となる AWS サービスの静的しきい値 DDoS 保護
インラインの攻撃緩和

AWS Shield Advanced
アプリケーショントラフィックパターンに基づいてカスタマイズされた検出
正常性に基づく検出
高度な攻撃緩和機能
自動アプリケーションレイヤー DDoS 緩和策
積極的なイベント応答
保護グループ
可視性と攻撃の通知
DDoS コスト保護
専門サポート
グローバルな可用性
一元化された保護管理

1. まずは基本から IT資産管理とは? なぜ重要なのか?

IT資産管理のメリットを深く理解する前提として、その基本的な概念、対象、そしてなぜ現代においてこれほど重要視されるのかを整理しましょう。

IT資産管理の定義と対象範囲 IT資産管理とは、企業が業務活動のために保有または利用している全てのIT関連資産を対象とし、それらをライフサイクル全体(調達計画、購入、導入、運用、保守、契約更新、廃棄など)にわたって管理し、価値の最大化とリスクの最小化を目指す活動です。その対象範囲は非常に広範にわたります。

  • ハードウェア資産: PC(デスクトップ、ノート)、サーバー、ネットワーク機器(ルーター、スイッチ、ファイアウォール等)、プリンター/複合機、スマートフォン/タブレット、その他周辺機器(モニター、記憶媒体等)。
  • ソフトウェア資産: OS、オフィススイート、基幹業務システム(ERP、CRM、会計、人事等)、各種業務アプリケーション、開発ツール、ミドルウェア、セキュリティ対策ソフトなど、デバイスにインストールされている、あるいは利用している全てのソフトウェア。
  • ライセンス情報: 上記ソフトウェアに関するライセンス契約の種類(永続、サブスクリプション、同時接続、CPU課金等)、購入数、保有数、各デバイス/ユーザーへの割り当て状況、契約条件、有効期間、関連ドキュメント。
  • その他関連情報: ハードウェアのリース・レンタル契約、保守サービス契約、クラウドサービスの利用契約(IaaS、PaaS、SaaSのアカウント情報含む)、IPアドレス、ドメイン名など。

IT資産管理を行わないことのリスク(メリットの裏返し) 管理が不十分な場合に生じるリスクを理解することは、IT資産管理のメリットを浮き彫りにします。リスク回避そのものが大きな価値です。

  • コスト面のリスク: 遊休資産の存在、ライセンスの過剰購入や重複購入による無駄な支出。ライセンス違反による高額な罰金や訴訟リスク。計画性のない場当たり的な購入による予算超過
  • セキュリティ面のリスク: OSやソフトウェアの脆弱性放置によるサイバー攻撃被害(ランサムウェア等)。不正ソフトウェア利用によるマルウェア感染や情報漏洩。管理外デバイス(野良PC、シャドーIT)からの不正アクセスや内部不正。
  • コンプライアンス・ガバナンス面のリスク: ソフトウェアライセンス監査への対応不備。個人情報保護法などの法令遵守違反。内部統制上の不備による企業信用の失墜。IT資産のブラックボックス化による統制不能状態
  • 業務効率面のリスク: 手作業による棚卸し等の管理業務に膨大な工数を浪費。IT資産情報が不正確・不整合なため、トラブルシューティングや問い合わせ対応に時間がかかる

IT資産管理の重要性が増す背景 現代においてIT資産管理が不可欠とされる背景には、以下のような要因があります。

  • 管理対象の爆発的な増加と複雑化: デバイスの多様化(一人複数台)、ソフトウェアやクラウドサービスの急増、リモートワークの普及により、管理すべき資産の種類・数が飛躍的に増加し、その管理は極めて複雑になっています。
  • コンプライアンス要求の高まり: ソフトウェアライセンス監査の厳格化、各種データ保護規制(GDPR、改正個人情報保護法など)の強化により、企業はIT資産に関する説明責任をより強く求められています。
  • サイバーセキュリティ脅威の進化: 攻撃手法は常に巧妙化しており、脆弱性を突いた攻撃やサプライチェーン攻撃など、防御が困難な脅威が増加。管理されていない資産はセキュリティ上の弱点(アタックサーフェス)となります。
  • DX推進と戦略的IT投資: デジタルトランスフォーメーションを進める上で、現状のIT資産を正確に把握・評価し、データに基づいてIT投資の優先順位付けや最適化を行うことが、経営戦略上不可欠となっています。

これらの状況下では、Excel台帳などを用いた従来の手作業による管理では、もはや限界があります。体系的な管理プロセスと、それを支援するIT資産管理ツールの活用が、これらのリスクに対応し、次項で述べるメリットを享受するための鍵となるのです。

2. 【徹底解説】IT資産管理がもたらす5つの主要メリット

IT資産管理を適切に導入・実践することで、企業はコスト削減、セキュリティ強化、コンプライアンス遵守、業務効率化、ITガバナンス強化という、経営に直結する5つの大きなメリットを享受できます。それぞれのメリットについて、具体的に見ていきましょう。

  • メリット1:【コスト削減】見えないITコストを削減し、利益を最大化 最も直接的で分かりやすいメリットです。IT資産の「見える化」により、様々な無駄を発見し、削減することが可能になります。
    • ハードウェアコストの最適化: 使用されていないPCやサーバー、ネットワーク機器などの遊休資産を正確に把握し、必要部署へ再割り当てすることで、不要な新規購入を抑制します。また、デバイスの利用状況やスペック、保守期間などを考慮した計画的なリプレースにより、維持コストや突発的な購入費用を削減します。リース契約の台数や期間の見直しもコスト削減に繋がります。
    • ソフトウェアライセンスコストの適正化: ライセンス管理はコスト削減の宝庫です。「どのソフトが、何ライセンス、誰に使われているか」を正確に把握することで、ライセンスの過剰購入や重複購入を防止します。未使用ライセンスを回収・再利用することで、新規購入費用を大幅に削減できます。複雑なライセンス体系(サブスクリプション等)も適切に管理し、最適な契約形態を選択する判断材料を得られます。さらに、ライセンス違反による高額な罰金リスクを回避することも大きなコスト削減効果です。
    • 運用管理コストの削減: IT資産情報の自動収集棚卸し作業の自動化により、担当者の作業工数を劇的に削減します。これにより人件費を抑制できるだけでなく、担当者はより戦略的な業務に集中できます。ヘルプデスクへの問い合わせ対応も、正確な情報に基づき迅速化され、効率が向上します。
  • メリット2:【セキュリティ強化】サイバーリスクから企業を守る IT資産管理は、効果的なセキュリティ対策を実施するための基礎となります。
    • 脆弱性管理の強化: OSやソフトウェアの脆弱性は攻撃者の主要なターゲットです。「どのPCに、どの脆弱性が存在するか」「パッチは適用されているか」を迅速かつ網羅的に把握し、パッチ適用を効率化・徹底することで、攻撃されるリスクを大幅に低減します。
    • 不正利用の抑止と検知: 許可されていないソフトウェアのインストールや利用、業務に関係ないソフトウェアの使用を検知・禁止します。USBメモリなどの外部デバイスの利用を制御することで、マルウェア感染や内部からの情報持ち出しを防ぎます。管理外デバイス(野良PC、シャドーIT)の接続を検知し、管理下に置くことも重要です。
    • インシデント対応の迅速化: 万が一インシデントが発生した場合でも、影響範囲の特定や原因調査に必要な正確な資産情報が整備されているため、迅速かつ的確な対応が可能になります。操作ログなどを活用すれば、内部不正の追跡にも役立ちます。
  • メリット3:【コンプライアンス遵守】法的・契約的リスクを回避 企業の信頼性を維持し、法的リスクを回避するために不可欠です。
    • ソフトウェアライセンス監査への対応: ソフトウェアメーカーによる監査要求に対し、正確なライセンス保有・使用状況レポートを迅速に提出できます。これにより、監査対応の負担を軽減し、ライセンス違反によるペナルティリスクを回避します。
    • 法令・社内規定の遵守: 個人情報保護法などの法的要件や、業界ガイドライン、自社の情報セキュリティポリシーに基づいたIT資産の管理状況(例:データ暗号化状況、アクセス権管理状況)を確認・証明しやすくなり、コンプライアンス体制の強化に繋がります。
  • メリット4:【業務効率化】管理業務の自動化と生産性向上
    • 情報収集・管理の自動化: 手作業による情報入力、更新、集計といった煩雑な作業を自動化し、担当者の負担を大幅に軽減します。
    • 棚卸し作業の効率化: 時間と手間のかかる棚卸し作業を短縮・自動化します。
    • 情報アクセスの迅速化: 必要なIT資産情報(スペック、利用者、契約情報など)にいつでも簡単にアクセスできるため、問い合わせ対応やトラブルシューティングが迅速化します。
    • 担当者の生産性向上: 定型業務から解放された担当者は、IT戦略の企画・推進、セキュリティ対策の高度化、業務改善といった、より付加価値の高い業務に注力できるようになります。
  • メリット5:【ITガバナンス強化】戦略的なIT投資と統制
    • IT資産の可視化と統制: 全社のIT資産状況を正確に把握することで、IT環境全体に対する適切な統制を効かせることが可能になります。
    • ライフサイクル管理: 資産の導入から廃棄までを一貫して管理することで、管理の抜け漏れを防ぎ、資産価値を最大化します。
    • データに基づく意思決定: 正確な資産情報と利用状況データを基に、客観的根拠に基づいたIT投資計画や予算策定が可能となり、経営判断の精度向上に貢献します。

これらのメリットを理解し、自社の課題と照らし合わせることで、IT資産管理導入の目的がより明確になるはずです。

3. メリット享受の鍵!IT資産管理ツールの役割

IT資産管理がもたらす数々のメリットを最大限に享受するためには、IT資産管理ツールの活用が極めて有効であり、多くの場合、不可欠と言えます。手作業による管理では限界がある中、ツールがどのようにメリット実現を支援するのか、その役割を具体的に見ていきましょう。

手作業管理の限界とツールの優位性 Excel台帳などを用いた手作業によるIT資産管理は、管理対象が少ないうちは可能かもしれませんが、現代の複雑化したIT環境においては、以下のような深刻な限界に直面します。

  • 効率の限界: デバイスやソフトウェア情報の収集、入力、更新、棚卸しといった作業に膨大な時間と労力がかかります。
  • 精度の限界: 手入力によるミス、記載漏れ、更新遅延が避けられず、情報の正確性やリアルタイム性が損なわれます。不正確な情報に基づく判断はリスクを伴います。
  • 属人化の限界: 管理方法やノウハウが特定の担当者に依存しやすく、担当者の異動や退職によって管理レベルが低下したり、管理が継続できなくなったりするリスクがあります。
  • 対応力の限界: ライセンス違反の兆候やセキュリティ上の問題点を迅速に発見することが難しく、問題発生後の対応が後手に回りやすくなります。

これに対し、IT資産管理ツールは、これらの限界を克服し、以下のような優位性を提供します。

  • 自動化による効率化: インベントリ情報の収集、ソフトウェアの検出、台帳の更新、レポート作成など、多くの煩雑な作業を自動化し、管理工数を劇的に削減します。
  • データの正確性と網羅性: ネットワークを通じてデバイス情報を自動的に収集・更新するため、手作業に比べて情報の精度が高く、網羅性も向上します。
  • 一元管理と可視化: すべてのIT資産情報を単一のデータベースで管理し、ダッシュボードなどで分かりやすく可視化するため、全体像の把握が容易になります。
  • リアルタイムな監視とアラート: ライセンス違反の可能性、セキュリティパッチの未適用、不正ソフトウェアの検出などをリアルタイムに近い形で監視し、管理者にアラートで通知することで、迅速なアクションを可能にします。

ツールが各メリット実現にどう貢献するか IT資産管理ツールは、その機能を通じて、前述した5つの主要メリットの実現を具体的に支援します。

  • コスト削減: 情報の自動収集と一元管理により遊休資産や未使用ライセンスを正確に特定。ライセンス管理機能で過不足を可視化し最適化を支援。棚卸し自動化で工数削減。
  • セキュリティ強化: インベントリ収集機能で脆弱性のある端末を特定。ソフトウェア配布・パッチ管理機能で対策を効率化。デバイス制御不正ソフトウェア検知機能でリスク低減。操作ログ機能で不正抑止・追跡。
  • コンプライアンス遵守: ライセンス管理機能で違反リスクを低減し、監査対応レポート作成を支援。ポリシー監視機能で法令や社内規定の遵守を促進。
  • 業務効率化: 情報収集・管理の自動化検索機能で情報アクセスを迅速化。棚卸しやレポート作成の自動化で担当者負荷を軽減。
  • ITガバナンス強化: IT資産全体の可視化で統制を強化。ライフサイクル管理機能レポート機能でデータに基づくIT投資判断を支援。

もちろん、ツールはあくまで道具であり、その導入と活用方法が重要です。しかし、手作業では到底達成できないレベルの管理精度、効率性、そして迅速性を実現し、IT資産管理のメリットを最大限に引き出すための強力な基盤となることは間違いありません。適切なツールの選定と活用が、メリット享受の鍵となるのです。

4. IT資産管理のメリットを【最大化】するための実践的な6つの方法

IT資産管理システムを導入しただけで満足していては、そのメリットを十分に引き出すことはできません。「コスト削減効果が期待ほどではない」「セキュリティ対策にうまく連携できていない」といった状況に陥らないためには、ツール導入後の運用と改善に焦点を当てた、戦略的なアプローチが不可欠です。ここでは、IT資産管理のメリットを最大化するための実践的な方法を6つご紹介します。

  • 方法1:導入目的の明確化とKPI設定 – ゴールと成果指標を定める 何よりもまず、「なぜIT資産管理を強化するのか」「システムを導入して何を達成したいのか」という目的を具体的に定義し、経営層から現場担当者まで、関係者全員で共有することがスタートラインです。目的が曖昧なままでは、ツールの選定も運用も方向性が定まりません。「ソフトウェアライセンスコストを年間XX%削減」「脆弱性を持つPCの割合をX%未満に維持」「棚卸しにかかる工数を現状のXX%削減」といった、達成度を測定できる具体的な目標(KPI)を設定しましょう。KPIを設定することで、取り組みの進捗を客観的に評価し、目標達成に向けたモチベーションを高めることができます。
  • 方法2:自社の目的・課題に最適なツールの選定 – 道具選びは慎重に 明確になった目的とKPIを達成するために、必要な機能を過不足なく備えたツールを選定することが重要です。高機能な製品が必ずしも自社に最適とは限りません。自社の規模、業種、管理対象、運用体制、予算などを総合的に考慮し、最も費用対効果が高いと判断できるツールを選びましょう。「コストパフォーマンス重視の選び方」で解説したポイント(料金体系、機能、導入形態、使いやすさ、サポート体制など)を参考に、複数のツールを比較検討し、デモやトライアルを通じて実際の使用感を確認することが不可欠です。
  • 方法3:運用体制の構築と社内ルールの徹底 – 体制とルールを整備する ツールを導入しても、それを誰が責任を持って運用するのか、関連する社内ルールはどうするのかが明確でなければ、効果的な活用は望めません。IT資産管理の推進責任者と担当者を任命し、その役割と権限を明確にします。そして、ツールの操作手順だけでなく、ハードウェアの申請・貸与・返却プロセス、ソフトウェアのインストール・利用申請ルール、外部デバイスの利用ポリシー、廃棄時のデータ消去手順など、IT資産のライフサイクルに関わる社内ルールを整備・見直し、全従業員に対して教育・周知を徹底します。ルールの形骸化を防ぐための監査やチェック体制も検討しましょう。
  • 方法4:PDCAサイクルによる継続的な評価と改善 – 常に改善を続ける IT資産管理は「導入したら終わり」ではありません。ビジネス環境やIT環境の変化に合わせて、管理方法も進化させる必要があります。定期的にツールのレポートやKPIの達成状況を確認(Check)し、導入効果を評価します。その結果、「ライセンスの最適化が思うように進んでいない」「特定の部署でルールが守られていない」といった課題を発見したら、その原因を分析し、改善策を計画(Plan)・実行(Do)します。そして、再度効果を評価(Check)し、さらなる改善(Action)に繋げるというPDCAサイクルを確立し、継続的に運用プロセスを見直していくことが、メリットを維持・最大化する鍵となります。
  • 方法5:経営層の理解と全社的な協力 – 組織全体で取り組む IT資産管理は、情報システム部門だけの閉じた活動ではありません。経営層がその重要性(コスト削減、リスク管理、ガバナンス強化への貢献)を正しく理解し、必要な予算や人員といったリソースを確保し、全社的な取り組みとして推進するリーダーシップを発揮することが不可欠です。また、ツールの導入やルールの遵守には、各部署や個々の従業員の協力が欠かせません。なぜIT資産管理が必要なのか、従業員にとってどのようなメリットがあるのか(例:PCトラブル時の迅速な対応など)を丁寧に説明し、全社的な理解と協力体制を築くことが重要です。
  • 方法6:関連システムとの連携と拡張性の考慮 – データ連携で価値向上 IT資産管理ツールの価値をさらに高めるために、可能であれば他の社内システムとの連携を検討しましょう。例えば、Active Directoryと連携してユーザー情報を紐づける、人事システムと連携して入退社情報を反映させる、会計システムと連携して固定資産管理や減価償却に活用するなどです。システム連携により、データの整合性向上、二重入力の排除、より高度な分析やレポート作成が可能になります。また、ツール選定時には、将来的な管理対象の増加や機能拡張に対応できるスケーラビリティ(拡張性)があるかどうかも考慮しておくと良いでしょう。

これらの方法を地道に実践していくことで、IT資産管理は単なる「守り」の管理業務から、企業の経営効率と競争力を高める「攻め」の戦略的活動へと昇華させることができるのです。

5. まとめ

本記事では、IT資産管理が企業にもたらす多岐にわたるメリット、特にコスト削減効果セキュリティ強化効果に焦点を当て、さらにそのメリットを最大化するための具体的な方法について詳しく解説してきました。

複雑化するIT環境において、PC、ソフトウェア、ライセンスといったIT資産を正確に把握・管理することは、無駄なコストの抑制、コンプライアンス違反リスクの回避、サイバー攻撃からの防御、そして業務効率の向上を実現するための基盤であり、もはや企業経営に不可欠な要素です。

IT資産管理ツールは、情報の自動収集、ライセンス管理の適正化、セキュリティ対策の支援などを通じ、手作業では達成困難なレベルでの効率化と高度化を実現し、これらのメリットを享受するための強力な武器となります。

しかし、繰り返しになりますが、ツール導入はゴールではありません。IT資産管理のメリットを真に最大化するためには、明確な目的意識を持ち、自社に最適なツールを慎重に選定し、計画的な導入プロセスを経て、運用体制とルールを整備し、そして何よりもPDCAサイクルによる継続的な評価と改善を実践していくことが不可欠です。経営層の理解とリーダーシップ、そして全社的な協力体制も成功の鍵を握ります。

IT資産管理への戦略的な取り組みは、短期的なコスト削減効果だけでなく、長期的なリスク低減、ガバナンス強化、そして企業の持続的な成長と信頼確保に繋がる重要な投資です。この記事が、貴社におけるIT資産管理の重要性の再認識と、そのメリットを最大化するための具体的なアクションプランを検討する一助となれば幸いです。

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