更新日:2025/07/15
AIによるDDoS攻撃対策はAIによる防御?進化するサイバー攻撃

【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介
株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。
近年、サイバー攻撃の手口はますます巧妙化しており、その中でも「DDoS攻撃」は企業のサービス継続に深刻な影響を与える脅威として注目されています。特に近年では、AI(人工知能)が攻撃手法の一部として活用され、従来とは異なるスピードと精度で攻撃が展開されています。「AIが関与するDDoS攻撃とは?」「どんな被害がある?」「企業はどんな対策を講じるべきか?」本記事では、こうした疑問に対して具体例を交えてわかりやすく解説していきます。
おすすめの不正侵入検知サービス一覧
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会社名 | サービス名 | 特長 | 費用 | 主なサービス |
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株式会社サイバーセキュリティクラウド
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攻撃遮断くん |
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1サイト月額11,000円~ ※別途、初期導入費用がかかる お問い合わせ |
攻撃検知AIエンジン搭載 サイバー攻撃対策 サイバー保険付帯 |
株式会社AndGo
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Aikido Security |
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ベーシック:52,500円/月 プロ:105,000円/月 カスタム:要お問い合わせ |
Webアプリケーション診断 プラットフォーム診断 クラウド診断 手動脆弱性診断 伴走サポート |
株式会社スリーシェイク
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Securify(セキュリファイ) |
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ASMプラン:お見積り BASICプラン:10万円/月額 STARTERプラン:5万円/月額 Freeプラン:0円/月額 ※契約は年単位 お問い合わせ |
ASM Webアプリケーション診断 Wordpress診断 SaaS診断 |
トレンドマイクロ株式会社 | TippingPoint |
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要お問い合わせ | 要お問い合わせ |
株式会社東計電算 | Total Security Function Service |
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月額600円~/1台 | ウィルス対策機能 マルウェア対策機能 ファイアウォール ヒューリスティック分析 デバイス制御 など |
Broadcom Inc. | Symantec Endpoint Security |
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要お問い合わせ | 脆弱性の修復 デバイス制御 マルウェアの防止 ファイアウォール 分析・調査 など |
エクスジェン・ネットワークス株式会社 | L2Blocker |
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オンプレミス版:25,000円~ クラウド版:月額3,000円~ |
社内端末の管理機能 利用状況の可視化 不正に接続した端末への通知 未登録機器の利用申請 レポート分析 など |
株式会社セキュアソフト | SecureSoft Sniper IPS |
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要お問い合わせ | リアルタイムモニター 統合報告書 システム監査 環境設定 セキュリティ設定 など |
ソフォス株式会社 | Sophos Firewall |
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要お問い合わせ | ディープパケットインスペクション ゼロデイ対策 SD-WAN接続 セグメンテーション機能 レポート機能 など |
株式会社IDCフロンティア | 不正侵入検知/防御サービス |
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要お問い合わせ | 検知レポート 機器監視 設定管理 故障時機器交換 変更監視 など |
ソースネクスト株式会社 | ZERO スーパーセキュリティ |
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4,950円~ |
マルウェア検出 メール検査 ファイアウォール 迷惑メール対策 詐欺対策 など |
フォーティネットジャパン合同会社 | FortiGuard IPS |
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要お問い合わせ | ネットワーク保護 OT保護 リアルタイム展開 IOT保護 保護ライフサイクル など |
NTTスマートコネクト株式会社 | クラウド型UTM |
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月額38,500円~(税込) ※初期費用110,000円(税込) |
ファイアウォール機能 IPS(不正侵入防御)機能 アンチウィルス(アンチマルウェア)機能 アンチスパム機能 Webフィルタリング機能 など |
サクサ株式会社 | サクサのUTM |
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要お問い合わせ | Webフィルタリング機能 アンチウイルス機能 迷惑メールブロック機能 侵入検知・防止機能 |
パロアルトネットワークス株式会社 | PA-SERIES |
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要お問い合わせ | 脅威防御 SD-WAN URLフィルタリング WildFireマルウェア分析 DNSセキュリティ など |
Google LLC | Google Cloud IDS |
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要お問い合わせ | ネットワークベースの脅威検出 トラフィックの公開設定 コンプライアンス目標の支援 脅威警告の優先順位の提供 アプリのマスカレード検出 など |
この記事の目次はこちら
DDoS攻撃とは?AIとの関係性も解説
DDoS(分散型サービス拒否)攻撃とは、複数の端末から標的のサーバーやネットワークに大量のリクエストを送り付け、システムをダウンさせるサイバー攻撃です。攻撃者はボットネットと呼ばれる感染デバイスの集合体を用いて、瞬間的にアクセス過多の状態を生み出します。近年ではこのDDoS攻撃にAIが加わることで、さらに高度で予測困難な攻撃が可能になっているのです。
DDoS攻撃にAIが活用される背景と進化
AI技術の進化により、DDoS攻撃においても人間では制御できない大量データの処理やパターン生成が可能になりました。これにより、従来のシンプルなDDoS攻撃よりも数段上の攻撃が展開されるようになっています。ここでは、AIがDDoS攻撃にどのように導入され、どのように攻撃精度を高めているのかを見ていきましょう。
DDoS攻撃にAIが使われる理由とは?
AIは膨大なログやネットワークトラフィックデータを瞬時に分析し、最適なタイミングで攻撃を仕掛けるアルゴリズムを生み出します。従来のスクリプトベースのDDoS攻撃と比較して、攻撃対象の脆弱性を突くタイミングやトラフィックの量、手法の切り替えが自動化され、検出を困難にしています。特にクラウドサービスを狙ったAI型DDoS攻撃は、ビジネスに甚大な被害をもたらします。
AI導入で変化したDDoS攻撃の手法と精度
AIの活用により、DDoS攻撃は「ばらまき型」から「ターゲティング型」に進化しました。攻撃対象の挙動や負荷状況をリアルタイムで解析し、より効果的にシステムをダウンさせるよう設計されています。また、AIは異常なトラフィックパターンを模倣し、セキュリティシステムによる検出を回避する機能も担っています。
少数ボットによる高効率型攻撃(ハイパーボリューム型)の台頭
これまでのDDoS攻撃では、多数の感染端末による一斉攻撃が主流でした。しかし現在では、AIが制御する少数の高性能ボットを使って効率よく攻撃を行う「ハイパーボリューム型DDoS攻撃」が登場しています。これにより、従来よりも少ないリソースで、同等かそれ以上の被害を与えることが可能になっています。
AIを活用したDDoS攻撃の具体事例
AIとDDoS攻撃の組み合わせが実際に被害をもたらした事例も多数報告されています。ここでは、過去に発生したAI関与型のDDoS攻撃について具体的に紹介し、どのような影響を与えたのかを見ていきます。
GitHubへのAI支援型DDoS攻撃(2018年)
2018年に発生したGitHubへのDDoS攻撃は、1.35Tbpsという当時史上最大規模の攻撃でした。この攻撃にはAIによって制御されたボットネットが使用され、攻撃対象の応答パターンに合わせてトラフィックの増減を自動調整していました。GitHub側はわずか数分でサービスを復旧しましたが、その背後には高度なAI対策システムの存在があったとされています。
MiraiボットネットのAIによる進化
IoT機器を乗っ取って形成された「Miraiボットネット」は、近年AIによって高度に自動化されています。AIが弱点を持つIoTデバイスを探し出し、感染させ、次々と新たな攻撃対象を確保していくという連鎖的な攻撃構造が構築されています。このような仕組みは従来の防御システムでは見破るのが困難です。
Pulse Secure VPNを悪用した攻撃とそのAI要素
2020年にはPulse Secure VPNの脆弱性を突いたDDoS攻撃が観測されました。この攻撃ではAIがVPNログイン履歴やネットワーク設定を分析し、最も効果的な攻撃タイミングを割り出していました。結果として、多くの企業がVPNサービスを一時停止し、セキュリティの再構築を余儀なくされました。
DDoS攻撃×AIによる新たな脅威
AIによるDDoS攻撃は、もはや単なる「一時的なダウン」を狙ったものではなく、ビジネスやインフラ全体を長期間麻痺させる新たな兵器としての側面を持ち始めています。
自律的に学習・適応するAIボットネット
AIを組み込んだボットネットは、自ら学習し、攻撃対象の変化に応じて柔軟に対応します。従来型の固定パターン攻撃とは異なり、検知回避・再攻撃・負荷分散といった動作が自律的に実行されるため、防御側にとっては非常に厄介な存在です。
AIによる適応型回避技術とは?
AIはファイアウォールやWAF(Web Application Firewall)による検出ロジックを分析し、回避パターンを自動生成します。これにより、攻撃は検知されにくくなり、対策が後手に回る事態を引き起こします。AIによる回避技術は今後さらに進化することが予想され、迅速な対応が求められます。
AIが生む“サイバー兵器”としてのDDoS攻撃
AIとDDoSの融合は、国家間のサイバー戦争にも応用され始めています。特定の国や企業のインフラを標的とした攻撃が発生しており、今後はサイバーセキュリティが国家安全保障の一部として扱われるようになる可能性も高いです。
DDoS攻撃に対するAIセキュリティ対策
AIによる攻撃に対しては、同じくAIを活用したセキュリティ対策が必要です。ここでは、実際に導入可能な対策や、どのように運用していくべきかについて説明します。
AIでDDoS攻撃を検知・防御する技術とは
現在では、異常トラフィックをリアルタイムで検知するAIシステムが登場しています。これらは通常のトラフィックパターンを学習し、それと異なる挙動を検知して自動的に遮断する機能を備えています。特にCDNやWAFベンダーが提供するサービスにこうした技術が組み込まれています。
トラフィック監視・ログ分析におけるAIの活用
AIは、ネットワークログや通信パターンを秒単位で解析し、攻撃の兆候を早期に発見する能力を持ちます。大量のデータから異常値を検出することが可能なため、人的リソースを使わずに高精度の監視が行えます。
脆弱性診断・ペネトレーションテストにAIを導入するメリット
AIを活用することで、企業ネットワークやWebアプリの脆弱性診断が自動化され、より短時間で広範囲のチェックが可能になります。特に、ペネトレーションテストにAIを導入することで、実戦に近いテストが実現し、現実的な対策が立てやすくなります。
企業が取るべきAI×DDoS対策の実践ポイント
AIとDDoS攻撃に関する対策は単なる技術導入だけでは不十分です。組織としての意識改革や継続的な運用体制の構築も重要なポイントです。
対策導入のためのチェックリスト
- AI型DDoS攻撃の脅威を経営層に共有しているか
- AI検知型のセキュリティソリューションを導入しているか
- 年次で脆弱性診断を行っているか
- 監視体制・運用ルールが明文化されているか
自社AIの悪用リスクとその防止策
企業自身が保有するAI資産(チャットボット、予測モデルなど)も、悪用されるリスクがあります。例えば、外部から学習データを操作される「データポイズニング」などが該当します。これを防ぐには、AI開発段階からセキュリティチェックを実施し、第三者検証を受けることが重要です。
導入しやすいAIセキュリティツールの選定基準
AIセキュリティツールを選ぶ際は、以下のような観点が重要です。
- 自社のネットワーク環境との親和性
- セキュリティイベントの自動レポート機能
- 導入実績やサポート体制の充実度
これらをもとに、PoC(概念実証)を実施してから本導入に進むのが理想的です。
まとめ
DDoS攻撃とAIの融合は、これまで以上に深刻なサイバーリスクを生み出しています。本記事で紹介したように、AIは攻撃の高度化だけでなく、防御にも有効に活用できます。今後は技術導入だけでなく、組織全体での対応体制の見直しが求められます。自社の状況を見直し、早めの対策に取り組んでいきましょう。