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SFA JOURNAL by ネクストSFA

【管理部・決裁者向け】ファイアウォール比較:失敗しない選び方と押さえるべき5つのポイント

小島 伸介

【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介

株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。

はじめに:増大するサイバー脅威とファイアウォール選定の重要性

現代ビジネスはデジタル化の波に乗り急速に変化していますが、同時にサイバー攻撃のリスクもかつてないほど高まっています。巧妙化する標的型攻撃やランサムウェアは、規模の大小を問わずあらゆる企業にとって現実の脅威です。情報漏洩やシステム停止といったセキュリティインシデントが発生すれば、顧客からの信頼失墜、事業継続の危機、さらには巨額な損害賠償責任につながる可能性も否定できません。このような状況下で、企業ネットワークの安全を守る要となるのがファイアウォールです。外部ネットワークと内部ネットワークの境界で不審な通信を遮断し、不正アクセスやマルウェアの侵入を防ぐ基本的なセキュリティ対策です。しかし市場には様々な機能や形態のファイアウォール製品・サービスが存在し、自社のビジネス環境やニーズに最適なものを選ぶことは容易ではありません。安易な選定は、必要なセキュリティレベルを確保できないだけでなく、導入後の運用で予期せぬコスト増や負担を招く原因となります。本記事は、WEBセキュリティサービス導入を検討されている管理部や決裁者の皆様に向け、「ファイアウォール 比較」の際に必ず押さえるべき5つの重要ポイントと、導入失敗を防ぐための具体的な選び方について解説します。適切なファイアウォール選びは、貴社の重要なビジネス資産を守り、安心安全な事業継続のための基盤を築く第一歩です。

おすすめの不正侵入検知サービス一覧

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会社名 サービス名 特長 費用 主なサービス
株式会社サイバーセキュリティクラウド 株式会社サイバーセキュリティクラウド 詳細はこちら 攻撃遮断くん
  • 一社通貫の万全なサポート体制で、稼働率99.999%・解約率約0.97%の圧倒的な運用力を誇る
  • 20,000サイト以上の豊富な導入実績あり! SBI証券や厚生年金基金などの金融機関からANA、PARCO、代ゼミまで規模や業界問わず幅広く対応
  • 万が一サイバー攻撃により損害を受けた場合に、最大1,000万円を補償する保険を付帯可能
1サイト月額11,000円~
※別途、初期導入費用がかかる
お問い合わせ
攻撃検知AIエンジン搭載
サイバー攻撃対策
サイバー保険付帯
株式会社AndGo 株式会社AndGo 詳細はこちら Aikido Security
  • さまざまな脆弱性診断機能をオールインワンツールで提供、幅広いセキュリティ課題に包括的に対応
  • SaaS事業者からオンプレミスインフラを扱うエンタープライズまで世界3,000社で導入実績あり
  • アラートの自動トリアージ機能により、誤検知や過検知による重要アラートの見過ごしを防止
ベーシック:52,500円/月
プロ:105,000円/月
カスタム:要お問い合わせ
Webアプリケーション診断
プラットフォーム診断
クラウド診断
手動脆弱性診断
伴走サポート
株式会社スリーシェイク 株式会社スリーシェイク 詳細はこちら Securify(セキュリファイ)
  • 初期費用0円・最短1営業日でワンストップのセキュリティ対策を開始できる
  • 簡単3ステップで、3300項目以上の診断を実施
  • シンプルかつストレスフリーな操作性
  • リリースやアップデート時に課金なしで何度も診断可能
  • 【新機能リリース】攻撃対象になり得るIT資産を自動で棚卸し、管理できるASMを搭載!
ASMプラン:お見積り
BASICプラン:10万円/月額
STARTERプラン:5万円/月額
Freeプラン:0円/月額
※契約は年単位
お問い合わせ
ASM
Webアプリケーション診断
Wordpress診断
SaaS診断
トレンドマイクロ株式会社 TippingPoint
  • 機械学習による脅威の検知によりネットワーク全体を防御
  • 拡張性の高いシステム構成で大容量のネットワークに対応可能
  • 高性能な検知と対応の優先度を提供
要お問い合わせ 要お問い合わせ
株式会社東計電算 Total Security Function Service
  • 高機能、高セキュリティのマルウェア対策サービスが低コストで利用可能
  • 自社データセンターを活用したSaaS型サービス
  • ヒューリスティック分析の多層防御で未知のマルウェア対策が可能
月額600円~/1台 ウィルス対策機能
マルウェア対策機能
ファイアウォール
ヒューリスティック分析
デバイス制御 など
Broadcom Inc. Symantec Endpoint Security
  • 全体のセキュリティ強化で日々の業務を維持
  • 持続性の高い脅威を検出修復しAD資格情報の窃盗を防ぐ
  • 一元管理により作業負荷を軽減
要お問い合わせ 脆弱性の修復
デバイス制御
マルウェアの防止
ファイアウォール
分析・調査 など
エクスジェン・ネットワークス株式会社 L2Blocker
  • 不正端末を排除し低コストでセキュリティレベルの向上を実現
  • シンプルなアプライアンス構成のため簡単に導入ができる
  • 2005年の販売開始より、10,000センサー以上の出荷実績あり
オンプレミス版:25,000円~
クラウド版:月額3,000円~
社内端末の管理機能
利用状況の可視化
不正に接続した端末への通知
未登録機器の利用申請
レポート分析 など
株式会社セキュアソフト SecureSoft Sniper IPS
  • 高スループット高検知性能で適切なセキュリティ対策を実現
  • 完全日本語化対応かつ直感的に操作ができるように設計
  • バイパス機能を内蔵し障害時も通信の継続が可能
要お問い合わせ リアルタイムモニター
統合報告書
システム監査
環境設定
セキュリティ設定 など
ソフォス株式会社 Sophos Firewall
  • 高度な脅威を分かりやすく表示し、ネットワークを適切に制御
  • 次世代型の強力な保護テクノロジーにより未知の脅威を阻止
  • 脅威の拡散を防ぐため感染したシステムを即座に隔離可能
要お問い合わせ ディープパケットインスペクション
ゼロデイ対策
SD-WAN接続
セグメンテーション機能
レポート機能 など
株式会社IDCフロンティア 不正侵入検知/防御サービス
  • 導入時間の短縮と社内で必要なセキュリティ要員の縮小が可能
  • 増え続けるインターネット上の脅威を迅速に遮断し、不要なダウンタイムを回避
  • セキュリティ専門家による24時間体制でのセキュリティ運用最適化を実現
要お問い合わせ 検知レポート
機器監視
設定管理
故障時機器交換
変更監視 など
ソースネクスト株式会社 ZERO スーパーセキュリティ
  • 期限延長や契約更新が不要で高いコストパフォーマンスを実現
  • 世界的な第三者機関による性能テストで防御力を高評価
  • 充実の機能とサービスで使いやすさに定評あり
4,950円~
マルウェア検出
メール検査
ファイアウォール
迷惑メール対策
詐欺対策 など
フォーティネットジャパン合同会社 FortiGuard IPS
  • 豊富なIPS機能を提供し悪意のあるトラフィックの検知阻止が可能
  • 効率的なアーキテクチャを基盤に、大規模データセンターのパフォーマンスを確実に安定
  • リアルタイムで侵入防御シグネチャを分析展開し、連携したネットワーク対応を実現
要お問い合わせ ネットワーク保護
OT保護
リアルタイム展開
IOT保護
保護ライフサイクル など
NTTスマートコネクト株式会社 クラウド型UTM
  • UTMログ保管インターネット接続高度セキュリティオペレーションをワンストップで提供
  • 安価で簡単なセキュリティ対策が可能
  • オンプレミスの設定をクラウド移行可能
月額38,500円~(税込)
※初期費用110,000円(税込)
ファイアウォール機能
IPS(不正侵入防御)機能
アンチウィルス(アンチマルウェア)機能
アンチスパム機能
Webフィルタリング機能 など
サクサ株式会社 サクサのUTM
  • サイバー攻撃によるデータの破壊や流出から、メール誤送信などのヒューマンエラーまで対策可能
  • セキュリティ状況の見える化で、社内のセキュリティ意識を向上
  • 情報システム担当がいなくても導入運用できる充実したサポート体制
要お問い合わせ Webフィルタリング機能
アンチウイルス機能
迷惑メールブロック機能
侵入検知・防止機能
パロアルトネットワークス株式会社 PA-SERIES
  • 世界中の65,000件以上に信頼できるサービスとして選ばれている実績あり
  • 顧客からのフィードバックのみに基づいて決定されるカスタマーズチョイス賞を受賞
  • 簡単に導入運用が可能でセキュリティの簡素化と強化を実現
要お問い合わせ 脅威防御
SD-WAN
URLフィルタリング
WildFireマルウェア分析
DNSセキュリティ など
Google LLC Google Cloud IDS
  • 組織のニーズに基づいたトラフィックの検査が可能
  • 脅威分析エンジンと調査チームにより新しい脅威や検出メカニズムを特定
  • IDSを活用してコンプライアンス目標の達成をサポート
要お問い合わせ ネットワークベースの脅威検出
トラフィックの公開設定
コンプライアンス目標の支援
脅威警告の優先順位の提供
アプリのマスカレード検出 など

なぜファイアウォール比較検討が企業に不可欠なのか?

企業ネットワークが多様化し、クラウドサービスの利用、リモートワークによる外部からの接続、拠点間VPNなどが一般化する現代において、ファイアウォールは依然として重要な役割を果たしますが、その選定は複雑化しています。単に「設置すれば安全」ではなく、自社の環境や変化する脅威に対応できる性能と機能を備えた製品を選ぶことが不可欠です。なぜなら、ファイアウォール選びを誤ると、以下のような様々な問題が発生し、ビジネスに深刻な影響を及ぼす可能性があるからです。

まず、性能不足による業務阻害が挙げられます。ファイアウォールはネットワーク通信を検査するため、その処理能力(スループットや同時セッション数)が低いと、通信速度の低下やVPN接続の不安定化を引き起こし、日常業務の遅延や顧客対応への支障を招きます。次に、防御機能の不一致です。従来のファイアウォール機能だけでは、アプリケーション層を狙う攻撃や、暗号化された通信に潜むマルウェアなど、高度化・巧妙化する脅威には対応できません。自社のセキュリティリスクに見合わない機能の製品を選んでしまうと、重要な防御線に穴が開き、情報漏洩やシステム侵害のリスクが高まります。さらに、運用管理の負荷増大も深刻な問題です。製品によっては、設定変更の複雑さ、管理画面の分かりにくさ、ログ監視の手間などが大きく異なり、IT担当者の負担を過剰に増やし、人的ミスによるセキュリティ設定の不備を招く可能性があります。リソースが限られている企業にとっては特に致命的です。また、拡張性や連携性の不足も将来的な課題となります。事業規模の拡大、新たなシステムの導入、クラウド環境への移行など、IT環境の変化に対応できないファイアウォールは、早期のリプレイスが必要となり、計画外のコスト発生やセキュリティ体制の再構築といった負担を強いることになります。そして、コストモデルのミスマッチも見逃せません。初期費用だけでなく、ライセンス形態、保守費用、運用にかかる隠れたコストを含めた総所有コストTCOで比較検討しないと、長期的に見て想定以上の費用がかかり、投資対効果が得られない結果になる可能性があります。これらの理由から、企業の管理部や決裁者は、現状と将来を見据え、多角的な視点からファイアウォール製品やサービスを比較検討し、自社に最適な一台を慎重に選定することが必須と言えます。

ファイアウォール選びで押さえるべき「5つの重要ポイント」

自社にとって最適なファイアウォールを選定するために、技術的な詳細だけでなく、ビジネスや運用面から評価すべき5つの重要な比較ポイントがあります。これらのポイントをしっかりと把握し、候補製品を比較検討することで、導入後のリスクを低減し、投資対効果を最大化することが可能です。

ポイント1:必要なセキュリティ機能を見極める

ファイアウォールの核となるのは、外部からの脅威をどの程度防ぐことができるかというセキュリティ機能です。基本的なパケットフィルタリングやステートフルインスペクションに加え、今日のサイバー脅威に対応するためには、より高度な機能が求められます。次世代ファイアウォールNGFWが提供する機能がその代表例です。例えば、アプリケーション制御は、業務に関係のないアプリケーションの利用を制限し、帯域幅の無駄遣いやリスクのある通信を防ぎます。不正侵入防御システムIPSIDSは、既知および未知の攻撃パターンを検知し、ネットワークへの侵入を自動的に防御します。アンチマルウェア機能サンドボックスは、ファイルや通信に含まれるマルウェアを検知・隔離し、感染拡大を防ぎます。Webフィルタリングは、業務上不適切なWebサイトへのアクセスを制限し、情報漏洩やマルウェア感染のリスクを低減します。VPN機能は、テレワークや拠点間の安全な通信を暗号化して保護するために不可欠です。これらの機能は、自社の事業内容や従業員の働き方、扱う情報資産の種類など、具体的なセキュリティリスクに合わせて必要なものを洗い出し、優先順位をつけて比較することが重要です。必要以上の多機能性は運用を複雑にし、コストを増加させる可能性があります。逆に、必要な機能が不足していれば、肝心な脅威を防ぐことができません。各候補製品が自社の要件を満たす機能を備えているか、そしてそれらの機能が最新の脅威にどれだけ効果的に対応できるかを、技術的な情報だけでなく、提供ベンダーのセキュリティに関する知見や対応力と合わせて評価する必要があります。

ポイント2:将来を見据えた性能と拡張性を評価する

ファイアウォールはネットワークの交通整理役であるため、その処理能力(パフォーマンス)がビジネスの継続性に直結します。性能不足のファイアウォールは、通信の遅延や不安定化を引き起こし、業務効率の低下や顧客満足度の低下を招く可能性があります。特に、インターネット回線の高速化やクラウドサービスの利用拡大に伴い、企業のネットワークトラフィックは増加の一途をたどっています。ファイアウォールの性能を評価する上で重要な指標には、単位時間あたりに処理できるデータ量を示すスループットや、同時に処理できる通信セッションの数を示す同時セッション数があります。これらの指標が、自社の現在のピーク時のトラフィック量に対して十分な余裕を持って対応できるかを確認することはもちろん、将来的な事業拡大、従業員数の増加、新たなITサービスの導入などによるトラフィック増加を見越した拡張性があるかどうかが非常に重要です。例えば、ライセンスの追加や機器の増設によって容易に性能をスケールアップできるか、あるいはより上位モデルへの移行がスムーズに行えるかなどを確認します。また、近年増加しているSSL/TLS暗号化通信の検査(SSLインスペクション)は、ファイアウォールに高い処理負荷をかけるため、このSSL/TLS復号性能も重要な比較ポイントです。十分な性能と拡張性を備えていない場合、数年後にリプレイスが必要となり、想定外のコストが発生する可能性があります。現在のニーズを満たすだけでなく、将来のIT戦略や事業計画を十分に考慮し、長期的な視点で最適な性能と拡張性を持つファイアウォールを選択することが、コスト効率の高い賢明な投資と言えます。

ポイント3:運用管理の容易さとサポート体制を確認する

ファイアウォールは導入して終わりではなく、日々変化するサイバー脅威や社内環境の変化に対応するために、継続的な運用管理が必要です。セキュリティポリシーの更新、脅威情報の監視、ログの分析、ソフトウェアのアップデートなど、これらの運用管理にかかる手間やコストは、製品によって大きく異なります。特にIT専任担当者がいない、あるいはリソースが限られている中小企業にとって、運用管理の容易さは製品選定における極めて重要な要素となります。管理画面の視認性操作性ポリシー設定の分かりやすさ複数の拠点を一元管理できる機能ログの検索やレポート作成機能などが運用効率に大きく影響します。直感的で分かりやすいインターフェースを備えた製品を選ぶことで、担当者の負担を軽減し、設定ミスによるセキュリティリスクを防ぐことができます。また、万が一のセキュリティインシデント発生時や機器のトラブル発生時に、迅速かつ適切なサポートを受けられるかどうかも、事業継続の観点から非常に重要です。提供ベンダーや販売代理店のサポート体制(対応時間:平日のみか24時間365日か、日本語でのサポートの可否、技術的な対応レベル、オンサイト保守の有無など)を事前に詳細に確認しておく必要があります。自社の運用体制やITリソースを考慮し、自社での運用が現実的か、あるいはセキュリティ専門ベンダーによる運用代行サービスManaged Security ServiceProvider MSSの利用を検討すべきかを含めて判断することが推奨されます。信頼できるサポート体制は、非常時の迅速な対応を可能にし、企業の安心感を高める上で不可欠です。製品の機能や価格だけでなく、導入後の運用にかかる負荷や、困ったときに頼れるパートナーがいるかどうかも、重要な比較検討ポイントです。

ポイント4:最適な導入形態とコスト構造を理解する

ファイアウォールには、主にハードウェアアプライアンス型、ソフトウェア型、そしてクラウド型FWaaSFirewall as a Serviceといった様々な導入形態があり、それぞれに特徴とコスト構造があります。ハードウェアアプライアンス型は、専用機器を設置するため初期投資が必要ですが、高性能で安定した処理能力を持ちます。設置スペースや電力、メンテナンスが必要です。ソフトウェア型は、既存のサーバーにインストールして利用するため比較的安価に導入できる場合がありますが、サーバーのリソースに依存し、別途そのサーバーのセキュリティ対策も必要です。クラウド型FWaaSは、サービスとして提供されるため自社での機器管理が不要で、インターネット経由で利用します。拡張性が高く、運用負荷軽減のメリットが大きい一方、サービスの安定性やセキュリティレベルは提供事業者に依存します。これらの導入形態を選択する際には、単に製品の購入費用やライセンス費用だけでなく、設置費用、運用にかかる人件費や外部委託費、保守費用、電気代などを含めたTCOTotal Cost of Ownership:総所有コストで比較検討することが極めて重要です。一見初期費用が安価でも、ランニングコストや運用コストが高い製品やサービスを選ぶと、長期的に見て総コストが高くなることがあります。自社の予算、IT環境、運用体制、そして将来的なIT投資計画を踏まえ、最適な導入形態とコストバランスを見極めることが、費用対効果の高いファイアウォール投資につながります。複数のベンダーから詳細な見積もりを取り、各項目(初期費用、ライセンス費、保守費、サポート費など)を比較検討し、5年スパンや7年スパンといった中長期的な視点でTCOを算出することをおすすめします。

ポイント5:提供ベンダーの導入実績と信頼性を確認する

ファイアウォールは企業のネットワークセキュリティの基盤となるため、提供するベンダーや販売代理店の信頼性も製品選びにおいて非常に重要な要素となります。セキュリティ分野は脅威が常に進化しており、最新の脅威情報への対応力や、それに基づいた製品アップデートの迅速さが求められます。長年の導入実績があり、特に自社と同業種や同規模の企業での導入実績が豊富なベンダーは、その分野における知見やノウハウを持っている可能性が高いと言えます。また、ベンダーの技術力、セキュリティに関する専門知識、インシデント発生時の対応力なども重要な評価ポイントです。ベンダーが公開している技術情報やセキュリティレポート、取得している第三者機関の認証なども参考になります。信頼できるベンダーは、単に製品を提供するだけでなく、企業のセキュリティ課題に対して適切なアドバイスやソリューション提案を行うことができる、ビジネスパートナーとなり得ます。セキュリティインシデントはいつ発生するか予測できません。万が一の事態が発生した際に、迅速かつ的確なサポートを受けられるかどうかが、被害を最小限に抑える鍵となります。そのためには、日頃から信頼関係を築けているベンダーの存在が不可欠です。製品の機能や価格だけでなく、提供ベンダーの信頼性、サポート体制、そして長期的なパートナーシップを築けるかどうかを総合的に判断することが、企業のセキュリティ対策を成功させるための重要な要素となります。

失敗しないための具体的な選定プロセスとチェックポイント

適切なファイアウォールを選び、後悔しない導入を実現するためには、計画的かつ体系的な選定プロセスを経ることが推奨されます。以下に、具体的なステップと、その際に確認すべきチェックポイントを示します。

  1. 現状分析とリスク評価:
    • チェックポイント:
      • 現在のネットワーク構成(拠点数、ユーザー数、デバイス数、利用サービス)は正確に把握できているか?
      • 取り扱う情報資産の種類と重要度は定義できているか?
      • 過去に発生したセキュリティインシデントや、想定されるリスクシナリオ(標的型攻撃、内部不正など)は洗い出せているか?
      • 遵守すべき法令や業界ガイドライン上のセキュリティ要件は明確か?
  2. 要件定義:
    • チェックポイント:
      • 上記リスクを踏まえ、ファイアウォールに必須となるセキュリティ機能(NGFW機能、VPN、フィルタリングなど)は具体的にリスト化できているか?
      • 必要な通信性能(最大スループット、同時セッション数)は現在のトラフィック量と将来予測に基づき定義できているか?
      • 想定される運用体制(担当者のスキル、リソース)に基づき、運用管理の要件は明確か?
      • 将来的な事業拡大やIT環境変化に対応できる拡張性に関する要件はあるか?
  3. 製品・サービスの情報収集と一次比較:
    • チェックポイント:
      • 複数のベンダーから、上記要件を満たしそうな製品・サービスの情報を収集しているか?
      • 提供ベンダーの信頼性や実績(特に自社に近い規模・業種での)は確認できているか?
      • 提供されるサポート体制(対応時間、内容)は自社のニーズに合っているか?
      • 初期費用だけでなく、ライセンス形態や保守費用も含めたコスト情報を収集しているか?
  4. 詳細評価とPoC(Proof of Concept):
    • チェックポイント:
      • 候補製品について、仕様書やデモだけでなく、可能であれば評価機やトライアル環境で実際の管理画面や操作性を確認しているか?
      • 実際のネットワーク環境に近い条件でPoCを実施し、定義した性能要件(スループット、SSL復号性能など)や、必要なセキュリティ機能が期待通りに動作するか検証しているか?
      • PoCを通じて、導入後の運用管理負荷や設定の複雑さを具体的に把握できているか?
  5. TCO算出と最終決定:
    • チェックポイント:
      • 初期費用、ライセンス費、保守費、運用費、サポート費などを考慮したTCOが正確に算出できているか?
      • 複数の候補製品/サービスのTCOを比較し、費用対効果を評価しているか?
      • TCOとセキュリティ上のメリット(リスク低減効果)を社内で説明し、関係者の合意形成は図れているか?
      • 契約内容(サポート範囲、SLAなど)に不明点はないか?

これらのステップとチェックポイントを丁寧に進めることで、カタログスペックだけでは分からない部分を明確にし、自社にとって最適なファイアウォールを、納得感を持って選定することが可能になります。

まとめ:適切なファイアウォール選択が強固なセキュリティ基盤を築く

今日の複雑で危険なサイバー環境において、ファイアウォールは企業のデジタル資産を守る上で極めて重要な役割を担います。しかし、その選定は容易ではなく、自社のビジネスニーズや環境に合致しない製品を選んでしまうと、十分なセキュリティを確保できないばかりか、運用上の負担増やコスト増といった問題を引き起こす可能性があります。本記事では、「ファイアウォール 比較」を行う管理部や決裁者の皆様が、失敗しない製品選びをするために押さえるべき5つの重要ポイントとして、「セキュリティ機能」「性能と拡張性」「運用管理の容易さとサポート体制」「導入形態とコスト」「導入実績とベンダー信頼性」を解説しました。これらのポイントは、製品の機能や価格だけでなく、導入後の運用や将来的な変化への対応力、そしてパートナーとなるベンダーの信頼性といった、ビジネス継続の観点から不可欠な要素を含んでいます。また、ご紹介した選定プロセスとチェックポイントに沿って検討を進めることで、自社の状況を正確に把握し、必要な要件を定義し、複数の候補製品を多角的に評価することが可能です。適切なファイアウォールを選択することは、単なるIT投資ではなく、企業を脅威から守り、信頼性を維持し、持続的な成長を支えるための重要な戦略投資です。ぜひ本記事の内容を参考に、貴社にとって最良のファイアウォールを見つけ出し、強固で信頼できるセキュリティ基盤を構築してください。

SFAは活用されてこそ意味がある

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