クラウド型IT資産管理ツール導入ガイド 選び方の完全解説と成功の秘訣

【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介
株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。
企業のデジタルトランスフォーメーションDX、クラウド活用、リモートワークの浸透により、IT資産管理の対象と複雑性は増大しています。PC、サーバー、ソフトウェア、ライセンス、そしてクラウドサービスアカウントなど、多岐にわたるIT資産を正確に把握し、適切に管理することは、現代企業の経営に不可欠な課題です。
IT資産管理(ITAM)とは、これら企業が保有・利用するIT資産をライフサイクル全体を通じて正確に把握し、最適に管理する活動です。管理不備は、見えないコストの増大、コンプライアンス違反、セキュリティインシデントのリスクを高めます。
「Excel管理の限界」「コスト削減やセキュリティ強化を図りたい」といった課題に対し、クラウド型IT資産管理ツールは有効な解決策です。これは主にSaaSとして提供され、インターネット経由で利用する形態です。導入の手軽さや運用負荷の軽減から、特に中小企業や柔軟な運用を求める企業に注目されています。
しかし、「クラウド型のメリット・デメリットは?」「セキュリティは大丈夫?」といった疑問も多いでしょう。この記事では、クラウド型IT資産管理ツールの導入を検討する皆様へ、その特徴、メリット・デメリット、失敗しない選び方、そして導入成功のポイントを網羅的に解説します。最適なツールを選び、メリットを最大化するための一助となれば幸いです。
おすすめの不正侵入検知サービス一覧
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会社名 | サービス名 | 特長 | 費用 | 主なサービス |
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株式会社サイバーセキュリティクラウド
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攻撃遮断くん |
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1サイト月額11,000円~ ※別途、初期導入費用がかかる お問い合わせ |
攻撃検知AIエンジン搭載 サイバー攻撃対策 サイバー保険付帯 |
株式会社AndGo
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Aikido Security |
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ベーシック:52,500円/月 プロ:105,000円/月 カスタム:要お問い合わせ |
Webアプリケーション診断 プラットフォーム診断 クラウド診断 手動脆弱性診断 伴走サポート |
株式会社スリーシェイク
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Securify(セキュリファイ) |
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ASMプラン:お見積り BASICプラン:10万円/月額 STARTERプラン:5万円/月額 Freeプラン:0円/月額 ※契約は年単位 お問い合わせ |
ASM Webアプリケーション診断 Wordpress診断 SaaS診断 |
トレンドマイクロ株式会社 | TippingPoint |
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要お問い合わせ | 要お問い合わせ |
株式会社東計電算 | Total Security Function Service |
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月額600円~/1台 | ウィルス対策機能 マルウェア対策機能 ファイアウォール ヒューリスティック分析 デバイス制御 など |
Broadcom Inc. | Symantec Endpoint Security |
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要お問い合わせ | 脆弱性の修復 デバイス制御 マルウェアの防止 ファイアウォール 分析・調査 など |
エクスジェン・ネットワークス株式会社 | L2Blocker |
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オンプレミス版:25,000円~ クラウド版:月額3,000円~ |
社内端末の管理機能 利用状況の可視化 不正に接続した端末への通知 未登録機器の利用申請 レポート分析 など |
株式会社セキュアソフト | SecureSoft Sniper IPS |
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要お問い合わせ | リアルタイムモニター 統合報告書 システム監査 環境設定 セキュリティ設定 など |
ソフォス株式会社 | Sophos Firewall |
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要お問い合わせ | ディープパケットインスペクション ゼロデイ対策 SD-WAN接続 セグメンテーション機能 レポート機能 など |
株式会社IDCフロンティア | 不正侵入検知/防御サービス |
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要お問い合わせ | 検知レポート 機器監視 設定管理 故障時機器交換 変更監視 など |
ソースネクスト株式会社 | ZERO スーパーセキュリティ |
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4,950円~ |
マルウェア検出 メール検査 ファイアウォール 迷惑メール対策 詐欺対策 など |
フォーティネットジャパン合同会社 | FortiGuard IPS |
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要お問い合わせ | ネットワーク保護 OT保護 リアルタイム展開 IOT保護 保護ライフサイクル など |
NTTスマートコネクト株式会社 | クラウド型UTM |
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月額38,500円~(税込) ※初期費用110,000円(税込) |
ファイアウォール機能 IPS(不正侵入防御)機能 アンチウィルス(アンチマルウェア)機能 アンチスパム機能 Webフィルタリング機能 など |
サクサ株式会社 | サクサのUTM |
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要お問い合わせ | Webフィルタリング機能 アンチウイルス機能 迷惑メールブロック機能 侵入検知・防止機能 |
パロアルトネットワークス株式会社 | PA-SERIES |
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要お問い合わせ | 脅威防御 SD-WAN URLフィルタリング WildFireマルウェア分析 DNSセキュリティ など |
Google LLC | Google Cloud IDS |
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要お問い合わせ | ネットワークベースの脅威検出 トラフィックの公開設定 コンプライアンス目標の支援 脅威警告の優先順位の提供 アプリのマスカレード検出 など |
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1. クラウド型IT資産管理ツールとは?オンプレミス型との違いを理解する
クラウド型IT資産管理ツールを理解するために、まずその仕組みと従来のオンプレミス型との違いを見ていきましょう。どちらが自社に適しているかを見極める基礎知識となります。
クラウド型(SaaS型)の仕組み クラウド型IT資産管理ツールは、多くの場合SaaS(Software as a Service)として提供されます。ソフトウェアやデータはベンダー管理のサーバー上で稼働し、ユーザーはインターネット経由でWebブラウザ等から機能を利用します。ライセンス購入ではなく、月額・年額等の利用料を支払うサブスクリプション形式が主流です。サーバー管理やアップデート等は基本的にベンダーが行います。
オンプレミス型との比較 オンプレミス型は自社サーバーにソフトウェアをインストールする形態です。主な違いは以下の通りです。
- 初期費用: クラウド型は低い(サーバー不要)、オンプレミス型は高い(サーバー購入・構築等)。
- 導入スピード: クラウド型は早い、オンプレミス型は時間がかかる。
- 運用・保守負荷: クラウド型は軽い(ベンダー依存)、オンプレミス型は重い(自社対応)。
- カスタマイズ性: クラウド型は制限あり、オンプレミス型は自由度高い。
- アクセス場所: クラウド型は場所を問わない、オンプレミス型は社内限定(社外アクセス要設定)。
- 費用形態: クラウド型は継続費用(サブスクリプション)、オンプレミス型は初期費用中心(買い切り+保守料)。
- セキュリティ: クラウド型はベンダー依存(データ外部)、オンプレミス型は自社管理(データ内部)。
- サービス継続性: クラウド型はベンダー依存、オンプレミス型は自社コントロール。
クラウド型が適している企業像 以上の比較から、クラウド型は特に以下のような企業に適しています。
- 初期投資を抑えたい企業(特に中小企業、スタートアップ)
- IT専任担当者が少ない、または不在の企業
- サーバー管理等の運用負荷を軽減したい企業
- 迅速に導入したい企業
- 多拠点展開やリモートワーク中心の企業
- 常に最新機能を利用したい企業
ただし、高度なカスタマイズ要件や、データを社外に置くことへの強い懸念がある場合、長期的な総コスト比較によってはオンプレミス型が有利な場合もあります。自社の状況、要件、予算、セキュリティポリシーを総合的に考慮し選択することが重要です。
2. クラウド型IT資産管理ツール導入の【5大メリット】
クラウド型IT資産管理ツールを選ぶことには、オンプレミス型と比較して明確なメリットがあります。ここでは、企業がクラウド型導入によって得られる主要な5つのメリットを解説します。
- メリット1:初期コストの大幅抑制 – 導入のハードルが低い クラウド型(SaaS)の最大の利点は、導入時の初期費用を大幅に抑えられることです。オンプレミス型で必要となる高価なサーバー機器の購入・設置やライセンス一括購入が不要です。多くの場合、月額または年額の利用料を支払うサブスクリプション契約で利用を開始できます。これにより、特に予算に限りがある中小企業でも、高度なIT資産管理システムを導入しやすくなります。スモールスタートし、効果を見ながら投資判断することも可能です。
- メリット2:迅速な導入と容易な拡張性 – ビジネススピードに対応 オンプレミス型では環境構築に数週間~数ヶ月かかることもありますが、クラウド型はベンダー提供の環境をすぐ利用できるため、申し込みから利用開始までの期間が非常に短いのが特徴です。これにより、IT資産管理体制の構築を迅速に進められます。また、企業の成長や管理対象デバイス数の増減に合わせて、利用ライセンス数やプランを比較的容易に変更できる高いスケーラビリティもメリットです。ビジネスの変化に柔軟に対応できます。
- メリット3:運用・保守負荷の劇的軽減 – IT担当者の負担減 サーバー監視、OS・ミドルウェア更新、パッチ適用、障害対応、バックアップといったオンプレミス型での煩雑な運用・保守業務は、クラウド型では基本的にベンダーが実施します。ツール自体のバージョンアップも自動で行われることが多く、企業側の運用負荷は大幅に軽減されます。これにより、IT担当者はツールの活用やデータ分析など、より戦略的な業務に集中でき、IT人材不足に悩む企業にとって大きな助けとなります。
- メリット4:常に最新機能を利用可能 – 機能陳腐化のリスク低減 SaaSとして提供されるクラウド型ツールは、ベンダーが継続的に機能改善や新機能追加を行うため、ユーザーは特別な追加費用や作業なしに、常に最新版の機能を利用できることが多いです。オンプレミス型のようにバージョンアップに伴うコストや手間が少ないため、機能が陳腐化するリスクを低減できます。最新のIT環境の変化やセキュリティ脅威への対応力も維持しやすくなります。
- メリット5:場所を選ばないアクセスと管理 – 多様な働き方を支援 クラウド型ツールは、インターネット接続があれば場所を問わず管理画面にアクセスできます。これはリモートワークやハイブリッドワークを導入している企業にとって大きな利点です。社外デバイスの管理も行いやすく、多様な働き方を支える基盤となります。また、多拠点を持つ企業でも、各拠点のIT資産を一元的に管理しやすくなります。
これらのメリットにより、クラウド型IT資産管理ツールは、多くの企業にとって導入しやすく運用しやすい、非常に合理的な選択肢となっています。
3. クラウド型IT資産管理ツールの注意点とデメリット
多くのメリットを持つクラウド型IT資産管理ツールですが、導入検討時には注意すべき点や潜在的なデメリットも理解しておく必要があります。これらを把握し、対策を検討することが導入後のミスマッチを防ぐ鍵です。
- カスタマイズ性の制限 – オンプレミスほどの自由度はない クラウド型は標準機能の提供が中心となるため、オンプレミス型ほど自由なカスタマイズが難しい場合があります。自社独自の複雑な業務プロセスや既存システムとの特殊な連携が必要な場合、標準機能や提供されるAPIで対応できるか、事前の確認が不可欠です。場合によっては業務フローの見直しが必要になることもあります。
- セキュリティへの懸念と確認事項 – データ管理はベンダー依存 企業の重要情報を外部のクラウド環境に預けるため、セキュリティは最重要検討事項です。以下の点をベンダーに徹底的に確認し、自社のポリシーに適合するか評価する必要があります。
- データ保管場所とデータセンターの安全性: データセンターの場所(国内/海外)、物理的セキュリティ、災害対策は十分か。
- ベンダーのセキュリティ体制と認証: ISO27001(ISMS)やSOC2などの第三者認証取得状況はどうか。
- データ暗号化: 通信経路および保管データの暗号化は適切に行われているか。
- アクセス管理: 多要素認証(MFA)対応、詳細な権限設定は可能か。
- 脆弱性対応: ベンダー側の脆弱性対応プロセスと迅速性。 自社のセキュリティ基準を満たすか、厳しく評価することが求められます。
- ランニングコストの継続発生 – 長期的なコスト試算を 初期費用は抑えられますが、月額または年額の利用料が継続的に発生します。利用期間が長くなると、オンプレミス型よりも総コスト(TCO)が高くなる可能性があります。利用予定期間やデバイス数増減を考慮し、長期的な視点で総コストを試算し、オンプレミス型と比較検討することが推奨されます。
- サービス継続性とベンダー依存リスク – 事業撤退の可能性 クラウドサービスの利用はベンダーの事業継続性に依存します。万が一のベンダー倒産やサービス終了リスクを考慮し、ベンダーの経営安定性や事業継続計画(BCP)、サービス終了時のデータ移行ポリシーなどを確認しておくと安心です。
- インターネット接続が必須 – オフライン利用の制約 クラウド型ツールはインターネット接続が前提です。ネットワーク障害時や接続が不安定な環境では、管理業務が滞る可能性があります。エージェントからの情報送信も遅延する可能性があります。
これらの注意点やデメリットを理解し、自社の状況や許容度を考慮した上で、クラウド型ツールの導入を判断することが重要です。
4. クラウド型IT資産管理ツールの主な機能と特徴
クラウド型IT資産管理ツールは、クラウド提供形態によるメリットに加え、IT資産を効率的かつ安全に管理するための多様な機能を提供します。基本的な機能はオンプレミス型と共通ですが、クラウドならではの特徴もあります。
基本的なIT資産管理機能 多くのクラウド型ツールで標準的に提供される基本機能です。
- IT資産台帳管理: PC、サーバー等のハードウェア情報、OS、アプリ等のソフトウェア情報を自動収集し、一元管理。
- インベントリ情報収集: 各デバイスの詳細な構成情報(CPU、メモリ、インストールソフト、パッチ状況等)を自動収集。
- ソフトウェアライセンス管理: 保有ライセンスと利用状況を自動突合し、過不足を可視化。コンプライアンス遵守とコスト削減を支援。
- ソフトウェア配布・パッチ管理: OSアップデートやセキュリティパッチ、アプリ等をリモートで一括配布・適用。
- セキュリティ関連機能: USBメモリ等の外部デバイス制御、不正ソフトウェア検知・禁止、操作ログ取得、ウイルス対策ソフト連携等。
- レポート機能: 資産状況、ライセンス状況、セキュリティ状況等のレポートを自動生成。
クラウド型ならではの機能や特徴 クラウドの利点を活かした機能や特徴も増えています。
- 他クラウドサービス連携: Microsoft 365、Google Workspace等のSaaSライセンス・アカウント管理連携。Azure AD等のIDaaS連携。
- モバイルデバイス管理(MDM/EMM)統合: スマートフォン等のモバイルデバイス管理機能を統合提供。
- AI活用: 収集データをAIが分析し、故障予兆やセキュリティリスク等を予測・通知。(一部ツール)
- 導入・運用の容易性: クラウドからの簡単なエージェント配布・自動更新など。
クラウド環境自体の資産管理 近年は、AWS、Azure、GCP等のIaaS/PaaS環境のリソース(仮想マシン、ストレージ等)や、SaaSの利用状況・コスト・アカウント自体もIT資産として管理するニーズが高まっています。これらに対応する機能を持つツールや、専門ツール(CSPM/SSPM)との連携機能も登場しています。自社のクラウド活用状況に応じて、これらの機能の有無も確認すると良いでしょう。
ツール選定時には、これらの基本機能とクラウドならではの特徴の中から、自社の課題解決に必要なものを明確にすることが重要です。
5. 【失敗しない】クラウド型IT資産管理ツールの選び方:6つのチェックポイント
数あるクラウド型IT資産管理ツールから自社に最適なものを選ぶには、慎重な比較検討が必要です。特に重視すべき6つのチェックポイントを解説します。
- ポイント1:機能要件との適合性 – 目的は達成できるか? まず自社の導入目的(コスト削減、セキュリティ強化等)を明確にし、それを達成するために必要な機能を洗い出します。候補ツールが必要機能を標準で備えているか、オプションで対応可能かを確認します。「インベントリ収集の精度」「ライセンス管理の対応範囲」「求めるセキュリティ機能」「必要なレポートの種類」などを具体的にチェックし、過不足のないツールを選びましょう。多機能すぎても使いこなせなければ意味がありません。
- ポイント2:コストと料金体系の明確性 – TCOで比較する クラウド型は継続費用が発生するため、コスト評価は重要です。
- 料金体系: ユーザー数課金、デバイス数課金など、自社の利用状況に合ったコスト効率の良い体系かを確認します。
- 総コスト(TCO): 月額/年額利用料に加え、初期設定費用、オプション費用、サポート費用などを含めたトータルコストで見積もり、比較検討します。長期的な視点での試算が重要です。
- 透明性: 料金体系が分かりやすく、隠れたコストがないか確認しましょう。
- ポイント3:セキュリティと信頼性 – 最重要項目! 重要情報をクラウドに預けるため、セキュリティ確認は最優先です。以下の点をベンダーに徹底確認しましょう。
- ベンダーのセキュリティ認証: ISO27001(ISMS)やSOC2などの第三者認証取得状況。
- データセンター: 場所(国内推奨)、物理的セキュリティ、災害対策。
- データ保護: 通信経路および保管データの暗号化方式、バックアップ体制。
- アクセス管理: 多要素認証(MFA)対応、詳細な権限設定。
- 脆弱性・障害対応: ベンダー側の対応プロセス、迅速性、SLA(サービス品質保証)。 自社のセキュリティ基準を満たすか、厳しく評価してください。
- ポイント4:サポート体制とSLA – 安心できるパートナーか? 導入後も安心して利用できるかは、サポート体制にかかっています。
- 日本語サポート: マニュアル、問い合わせ窓口が日本語に完全対応しているか。
- 導入支援: 初期設定、データ移行、トレーニング等の導入支援メニューは充実しているか。
- 対応品質・時間: 問い合わせへの対応スピードや解決能力。サポート対応時間帯。
- SLA: サービスの稼働率保証や障害時の目標復旧時間(RTO)などが明確か。
- ポイント5:連携性と拡張性 – 将来性を見据える
- 他システム連携: Active Directory、主要SaaS、人事・会計システム、セキュリティツール等との連携実績やAPI提供があるか。
- 拡張性(スケーラビリティ): 将来的なデバイス数増加や機能追加に柔軟に対応できるか。
- ポイント6:無料トライアル・デモでの実践的評価 – 実際に試す 資料だけでは分からない実際の操作性、管理画面の見やすさ、機能の適合性などを、必ず無料トライアルやデモで評価しましょう。担当者自身が触ってみることが、導入後のミスマッチを防ぐ最善の方法です。
これらのチェックポイントに基づき、複数のツールを客観的に比較し、自社に最適なツールを選定しましょう。
6. クラウド型IT資産管理ツールの導入を成功させる5つのポイント
最適なクラウド型IT資産管理ツールを選定した後、その導入を成功させ、メリットを最大限に引き出すためには、計画的かつ組織的な取り組みが重要です。ここでは、導入成功のための5つのポイントを解説します。
- ポイント1:導入目的の再確認と社内での明確な合意形成 ツール選定を経て、改めて「なぜ導入するのか」「何を達成したいのか」という目的を関係者(経営層、情シス、利用部門)で再確認し、明確な合意を形成します。目的意識の共有は、導入プロジェクトの推進力となり、後の効果測定や改善活動の基盤となります。クラウド化によるメリットだけでなく、運用ルールの変更など、従業員に協力を求める事項についても丁寧に説明し、理解を得ることが重要です。具体的なKPI(目標指標)も最終確認し、共有しましょう。
- ポイント2:ベンダーとの密な連携と導入支援の積極的な活用 クラウド型は導入が比較的容易とはいえ、初期設定、データ移行、エージェント展開など、専門的な作業も伴います。ベンダーが提供する導入支援サービス(コンサルティング、設定代行、トレーニング等)を積極的に活用しましょう。ベンダー担当者と密に連携し、計画に基づき、不明点を解消しながらスムーズに導入作業を進めることが成功への近道です。特に既存データの移行は、事前に手順や注意点をしっかり確認しておく必要があります。
- ポイント3:セキュリティ設定の徹底と最適化 クラウドサービスの安全な利用には、適切なセキュリティ設定が不可欠です。利用開始前に、ツールの管理者権限、ユーザー権限、認証方式(MFA有効化)、データ暗号化設定、アラート通知設定などを、自社のセキュリティポリシーに基づき最適化し、設定内容を確認することが極めて重要です。初期設定のまま運用せず、自社環境に合わせてセキュリティレベルを高める設定を行いましょう。
- ポイント4:クラウド利用を前提とした運用ルールの策定・周知 新しいツールの導入は、既存の運用プロセスを見直す好機です。デバイス登録・削除手順、ソフトウェア利用申請フロー、データアクセス権限管理、リモートワーク時の利用ルールなど、クラウド環境での運用を前提とした明確なルールを策定・文書化し、全従業員に分かりやすく周知・教育しましょう。ルール遵守を促す仕組みや定期的なリマインドも有効です。
- ポイント5:導入効果の測定と継続的な改善(PDCA)の実践 ツール導入はゴールではなく、継続的な改善活動のスタートです。導入時に設定したKPIに基づき、定期的に導入効果(コスト削減額、ライセンス遵守率等)を測定・評価します。その結果から課題を発見し、運用ルールやツールの設定・活用方法を見直すPDCAサイクルを確立しましょう。「レポートをどう活用するか」「アラートにどう対応するか」といった具体的な運用プロセスを常に改善していく意識が、ツールの価値を最大化し、持続させる鍵となります。
これらのポイントを確実に実行し、技術的な導入だけでなく、組織的な準備と継続的な取り組みを行うことが、クラウド型IT資産管理ツールの導入を成功に導きます。
7. まとめ
本記事では、「IT資産管理 クラウド」というキーワードに基づき、クラウド型IT資産管理ツールの導入を検討する企業の管理部門や決裁者の皆様へ、その特徴からメリット・デメリット、選び方のポイント、そして導入成功の秘訣までを解説しました。
クラウド型ツールは、初期コスト抑制、迅速な導入、運用負荷軽減、場所を選ばない利便性といったメリットにより、特にリソースに制約のある中小企業や、変化の速い現代のビジネス環境に適したソリューションです。適切に活用すれば、コスト削減、セキュリティ強化、コンプライアンス遵守、業務効率化に大きく貢献します。
しかし、導入にあたっては、セキュリティへの懸念、カスタマイズ性の制限、継続的なコストといった側面も理解し、対策を講じる必要があります。特にセキュリティに関しては、ベンダーの信頼性と対策状況を厳しく評価することが不可欠です。
成功の鍵は、明確な導入目的に基づき、機能、コスト、セキュリティ、サポートなどを多角的に比較し、自社に最適なツールを慎重に選定すること。そして、ツール導入をゴールとせず、計画的な導入プロセスを経て、適切な運用体制とルールを構築し、継続的な効果測定と改善(PDCA)を行っていくことにあります。
クラウド型IT資産管理ツールの適切な導入と活用は、企業のITガバナンスを強化し、より安全で効率的な事業運営を実現するための重要なステップです。この記事が、貴社にとって最適なクラウド型ツールの選定と、導入プロジェクト成功の一助となれば幸いです。