BtoBサービス、SaaS、IT製品を徹底比較!企業のDX推進、課題を解決!

SFA JOURNAL by ネクストSFA

主要MDRサービス徹底比較:BtoB向け 機能・コスト・対応範囲から選ぶ最適解

小島 伸介

【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介

株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。

近年、サイバー攻撃は組織の規模や業種を問わず深刻な脅威となり、その手口はますます巧妙化、悪質化しています。ランサムウェアによる事業停止、機密情報の窃取と二重脅迫、サプライチェーンを悪用した侵入など、企業活動に致命的な影響を与えるインシデントが後を絶ちません。従来のファイアウォールやアンチウイルスといった境界型防御だけでは、これらの高度な脅威を完全に防ぐことは困難であり、「侵入されること」を前提とした対策、すなわち侵入後の迅速な検知と対応が不可欠となっています。

こうした背景から、WEBセキュリティサービス導入を検討する企業の管理部門や決裁者の間で注目されているのがMDR(Managed Detection and Response)サービスです。MDRは、セキュリティ専門家チームが24時間365日体制で企業のIT環境を監視し、脅威の検知、分析、そして対応支援までを提供するアウトソースサービスです。

しかし、MDRサービスは提供ベンダーによって機能、コスト、対応範囲、サポート体制が大きく異なります。自社のニーズや状況に合わないサービスを選んでしまうと、期待した効果が得られないばかりか、コストが無駄になる可能性すらあります。

この記事では、MDRサービスの導入を検討されているBtoB企業の皆様に向けて、主要なMDRサービスを比較検討する上での重要なポイント(機能、コスト、対応範囲など)を明確にし、自社に最適なサービスを選び抜くための具体的なステップを解説します。適切なMDRサービスを選定し、堅牢なセキュリティ体制を構築するための一助となれば幸いです。

おすすめのWebセキュリティサービス一覧

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通信量 40TBまで
初期費用 ¥200,000
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シグネチャ検査(更新、設定はマネージドサービスとして提供します。)
CMS設定(WordPress、Movable Type、EC-CUBEの運用に適した設定を行います。)
アクセス制御
国別フィルタ
ダッシュボード
レポート機能
専用フォーム(各種お問い合わせは専用フォームで承ります。履歴管理も可能です。)
Amazon Web Services, Inc. AWS WAF
  • ウェブトラフィックフィルタリング
  • AWS WAF Bot Control
  • アカウント乗っ取り詐欺の防止
  • アカウント作成詐欺防止
  • フル機能 API
  • リアルタイムの可視性
  • AWS Firewall Manager への統合
Web ACL 月あたり (時間で案分) USD 5.00
ルール 月あたり (時間で案分) USD 1.00
リクエスト USD 0.60/100 万件のリクエスト (最大 1500 WCU およびデフォルトの本文サイズの検査*)
Bot Control と Fraud Control 上記のタブによる追加費用
ウェブトラフィックフィルタリング
AWS WAF Bot Control
アカウント乗っ取り詐欺の防止
アカウント作成詐欺防止
フル機能 API
リアルタイムの可視性
AWS Firewall Manager への統合
株式会社ROCKETWORKS 詳細はこちら ※IT製品の情報サイト「ITトレンド」へ遷移します。 イージスWAFサーバセキュリティ
  • Webサーバ・Webサービスへの攻撃や不審な通信を自動で徹底ブロック
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  • AWSをはじめ最新のクラウド環境にも対応
  • 人気ECサイト、Webサービスも安心の低負荷・低遅延
  • 日本人エンジニア執筆による「読んでわかる」レポートを毎月送付
イージスサーバセキュリティタイプ
月額/50,000円

イージスDDoSセキュリティタイプ
~2Mbps 初期費用/¥98,000 月額/¥40,000
~5Mbps 初期費用/¥98,000 月額/¥60,000
~10Mbps 初期費用/¥98,000 月額/¥120,000
~50Mbps 初期費用/¥198,000 月額/¥198,000
~100Mbps 初期費用/¥198,000 月額/¥250,000
~200Mbps 初期費用/¥198,000 月額/¥450,000
200Mbps以上 別途見積もり
サイバー攻撃の検出/遮断
月次レポート
サイバーセキュリティに関するアドバイザリー
法務相談(オプション)
SBテクノロジー株式会社
詳細はこちら
※IT製品の情報サイト「ITトレンド」へ遷移します。
Imperva WAF
  • 自動学習機能による導入運用負荷軽減
  • 細かなポリシー設定
  • 簡単に導入可能
  • Imperva 独自の研究機関『ADC』
  • 仮想パッチの適用
- Web Application Firewall
株式会社セキュアスカイ・テクノロジー Scutum
  • かんたん導入 約1週間
  • おまかせ運用 運用不要、24時間365日フルサポート
  • 明快な料金 約3万円~
  • 安心の実績 稼働率は99.999%以上※2023年までの5年間の実績、12年連続シェアNo.1、年間500件以上の脆弱性診断
~500kbps 初期費用 98,000円 月額 29,800円
~5Mbps 初期費用 98,000円 月額 59,800円
~10Mbps 初期費用 98,000円 月額 128,000円

~50Mbps 初期費用 198,000円 月額 148,000円
~100Mbps 初期費用 198,000円 月額 198,000円
~200Mbps 初期費用 198,000円 月額 298,000円
200Mbps 初期費用198,000円 100Mbps毎に100,000円加算
1 ブロック機能 Webサイトに対する攻撃と思われる通信を遮断する機能
2 モニタリング機能 Webサイトに対する攻撃と思われる通信を記録する機能 (通信自体は遮断されません)
3 防御ログ閲覧機能 ブロック(モニタリング)した通信をログとして保存し、閲覧できる機能
4 レポート機能 下記の内容を管理画面上で報告する機能
 ・攻撃元(IPアドレス)top5
 ・攻撃種別top5
 ・防御ログの月別ダウンロード
5 ソフトウェア更新機能 防御機能等を向上させるため、ソフトウェアを更新する機能
6 防御ロジック更新機能 防御効果の向上を図るため、不正な通信パターンを随時最新の状態に更新する機能
7 特定URL除外機能 Webサイト中のWAF機能を利用したくない箇所を防御対象から除外する機能
8 IPアドレスの拒否/許可設定機能 特定のIPアドレスからの通信を拒否、もしくは特定のIPアドレスからの通信のみ許可する機能
9 脆弱性検査用IPアドレス管理機能 Webサイトへの脆弱性診断等を行う際、設定したIPアドレスからの通信についてブロック/モニタリングを行わない機能
10 SSL/TLS通信機能 暗号化された通信についても解読し、防御する機能
11 API機能 Scutumで検知した防御ログや詳細な攻撃リクエスト内容をAPI経由で取得できる機能
エヌ・ティ・ティ・スマートコネクト株式会社 SmartConnect Network & Security
  • めんどうなセキュリティ対策をまるっとおまかせ
  • 変化するビジネス要件に、柔軟に対応できる
  • 安心・セキュアを継続できる品質と実績
- UTM
WAF
DDoS
Webプロキシ
メールセキュリティ
ロードバランサ
VPN
株式会社モニタラップ AIONCLOUD WAAP
  • ひとつのコンソールで提供する統合セキュリティ
  • 進化する脅威に対応するアプリケーションセキュリティサービス
- WAF
Webアプリケーションを既存の攻撃、ゼロデイ攻撃などから防御します。

APIセキュリティ
企業のAPIに対する可視性を提供し脅威を遮断します。

ボット緩和
ボットのトラフィックを管理し、Webサイトを保護します。

DDoS保護
アプリケーション階層のDDoS攻撃から企業のWebサイトを守ります。
フォーティネットジャパン合同会社 FortiWeb
  • WEBアプリケーション保護
  • 機械学習に基づいた脅威検知
  • セキュリティ ファブリックの統合
  • 高度な分析
  • 誤検知の減災
  • ハードウェアベースのアクセラレーション
- アプリケーションのセキュリティ
コンテンツセキュリティ
デバイスのセキュリティ
NOC/SOC セキュリティ
ウェブセキュリティ
管理された検出と対応
SOC-as-a-Service
インシデント対応サービス
サイバーセキュリティの評価と準備状況
バラクーダネットワークス Barracuda Web Application Firewall
  • Web攻撃とDDoSを確実に防止
  • 悪意のあるボットの動きを完全に静止
  • APIとモバイルアプリの保護
  • きめ細かなアクセス制御と安全なアプリ配信を実現
  • セキュリティの自動化と統合
  • 攻撃とトラフィックパターンの可視化
- WebアプリケーションとAPIの保護

+ OWASPおよびゼロデイ攻撃に対する保護
+ 高度なボット攻撃からアプリケーションを保護
+ API保護
+ サーバクローキング
+ URL暗号化
+ GEO IPとIPレピュテーションチェック
+ マルウェア対策とウィルス対策
+ マルチプロトコルサポート
+ アプリケーションDDoS対策
+ 大規模なDDoSの防止
+ JSONセキュリティ
+ XMLファイアウォール
+ アクティブ脅威インテリジェンス
+ クライアントサイドプロテクション

アプリケーションデリバリ
+ アプリケーションの負荷分散と監視
+ コンテンツルーティング
+ キャッシュ、圧縮、トラフィックの最適化

データ保護とコンプライアンス
+ アウトバウンドDLP
+ コンプライアンス認証

IAM
+ SAMLサポートとSSO
+ クライアント証明書ベースの認証
+ AD FSとの統合
+ LDAP、Kerberos、およびRADIUSとの統合
+ 2要素認証

レポート
+ Barracuda Active Threat Intelligenceダッシュボード
+ 直感的なドリルダウンレポート
+ 包括的なログ
+ SIEMとの統合

管理
+ HAクラスタリング
+ ロールベースの緻密なアクセス制御
+ REST APIによる自動化とスケーラビリティ
+ 統合的なDevSecOpsの有効化
+ デフォルトのセキュリティテンプレート

中央管理
+ 単一コンソール
+ 証明書の中央管理
+ 中央管理通知とアラート

使いやすさ
+ アプリケーション学習(アダプティブプロファイリング)
+ 仮想パッチと脆弱性スキャナとの統合
+ 自動構成エンジン
セコムトラストシステムズ株式会社 マネージドWAFサービス
  • AWS、Azure 等の、各種クラウド環境でも利用することができます。
  • メーカーシグネチャに加え、個別シグネチャを迅速に作成することができます。
  • クラウド型なので直ぐにご利用いただけます。(※大規模システム向けにはオンプレミス型(マネージドWAFサービス標準型)も提供できます)
  • ストラッツ(Struts)の脆弱性対策も実施することができます。
  • クレジットカード番号の外部流出を検知し防止することができます。
  • DDoS攻撃対策も実施することができます。(オプション)
- DDoS対策
ファイアウォール
IPS
WAF
Amazon Web Services, Inc. AWS Shield
  • AWS Shield Standard
    ↳基盤となる AWS サービスの静的しきい値 DDoS 保護
    ↳インラインの攻撃緩和
  • AWS Shield Advanced
    ↳アプリケーショントラフィックパターンに基づいてカスタマイズされた検出
    ↳正常性に基づく検出
    ↳高度な攻撃緩和機能
    ↳自動アプリケーションレイヤー DDoS 緩和策
    ↳積極的なイベント応答
    ↳保護グループ
    ↳可視性と攻撃の通知
    ↳DDoS コスト保護
    ↳専門サポート
    ↳グローバルな可用性
    ↳一元化された保護管理
- AWS Shield Standard
基盤となる AWS サービスの静的しきい値 DDoS 保護
インラインの攻撃緩和

AWS Shield Advanced
アプリケーショントラフィックパターンに基づいてカスタマイズされた検出
正常性に基づく検出
高度な攻撃緩和機能
自動アプリケーションレイヤー DDoS 緩和策
積極的なイベント応答
保護グループ
可視性と攻撃の通知
DDoS コスト保護
専門サポート
グローバルな可用性
一元化された保護管理

MDRサービスとは?その基本機能と導入メリット

MDR(Managed Detection and Response)サービスとは、組織のIT環境全体(エンドポイント、ネットワーク、クラウドなど)を対象に、サイバー脅威をプロアクティブに検知・分析し、迅速に対応するためのマネージド型セキュリティサービスです。単にアラートを通知するだけでなく、セキュリティ専門家(アナリスト)がそのアラートの重要度を判断(トリアージ)し、脅威の実態を調査、そして具体的な対応策の提示や実行支援までを行う点に大きな特徴があります。

類似のサービスとの違いを簡単に整理しましょう。

  • MSSP(Managed Security Service Provider): ファイアウォール運用やログ監視など、より広範なセキュリティ運用を代行しますが、MDRは脅威検知と対応に特化しています。
  • EDR(Endpoint Detection and Response): PCやサーバーなどエンドポイントでの脅威検知・対応ツールですが、MDRはEDRを含む様々な技術やログを活用し、アナリストの分析・判断を加えたサービスです。
  • SIEM(Security Information and Event Management): ログを集約・分析し脅威を可視化するプラットフォームですが、MDRはSIEMの情報を活用しつつ、より踏み込んだ分析と対応を行います。

MDRサービスが提供する主要な機能には以下のようなものがあります。

  • 24時間365日の監視とインシデント対応: セキュリティ侵害は昼夜を問わず発生します。専門のアナリストチームが常時監視を行い、不審なアクティビティやマルウェア感染の兆候を早期に発見し、定義された手順に従って迅速に対応を開始します。リアルタイム監視、ログ分析、アラート通知が含まれます。
  • プロアクティブな脅威ハンティングと分析: 受動的にアラートを待つだけでなく、システムやネットワーク内に潜む未知の脅威や攻撃の痕跡を能動的に探索(脅威ハンティング)します。データ分析やAI・機械学習技術も活用し、通常とは異なる振る舞いを検知します。検知された脅威に対しては、根本原因や影響範囲を特定するための詳細な分析が行われます。
  • EDR/XDR等との連携・活用: 多くのMDRサービスは、EDRや、より広範なソース(ネットワーク、クラウド、メール等)から情報を収集・分析するXDR(Extended Detection and Response)と連携します。これにより、脅威の可視性を高め、より迅速かつ効果的な対応を実現します。
  • レポートティング: 定期的にセキュリティ状況、検知した脅威、対応内容などをまとめたレポートが提供され、組織内の状況把握やコンプライアンス要件への対応に役立ちます。

MDRサービス導入による主なメリットは以下の通りです。

  • 高度なセキュリティ体制の実現: 専門家による24時間監視と最新の脅威インテリジェンス活用により、高度化するサイバー攻撃への対応力を大幅に強化できます。
  • インシデント対応の迅速化と被害最小化: 早期検知と専門家による迅速な対応により、事業停止や情報漏洩などの被害を最小限に抑えます。
  • セキュリティ人材不足の解消とコスト効率: 高度なスキルを持つ人材の確保・育成や高価なツールの導入・維持にかかるコストと労力を削減できます。
  • 社内担当者の負荷軽減: 大量のアラート対応やインシデント調査から解放され、より戦略的な業務に集中できます。
  • プロアクティブな防御: 脅威ハンティングにより、潜在的なリスクを未然に発見・対処できます。

MDRサービス選定のための重要比較ポイント

MDRサービスは多種多様であり、最適なサービスを選ぶためには、いくつかの重要なポイントを比較検討する必要があります。ここでは、選定時に特に注目すべき比較ポイントを解説します。

  • 機能面:
    • 検知技術: どのような技術(シグネチャ、振る舞い検知、AI/機械学習、脅威インテリジェンスなど)を用いて脅威を検知するのか、その精度はどうか。未知の脅威やゼロデイ攻撃への対応能力は重要です。
    • 対応レベル: アラート通知と分析のみか、具体的な対応策の推奨までか、リモートでの封じ込め・駆除といった対応代行まで含まれるか。脅威ハンティングの有無やその内容も確認が必要です。
    • 基盤技術: どのようなEDR/XDR製品、SIEMプラットフォームを基盤としているか。自社の既存環境との連携性も考慮すべき点です。
    • レポート: 提供されるレポートの内容、粒度、頻度、カスタマイズ性はどうか。
  • コスト面:
    • 料金体系: 課金の単位(保護対象のエンドポイント数、ユーザー数、データ量など)やサービスレベルに応じたティア制など、様々なモデルがあります。主なモデルとして、エンドポイント単位料金制(端末数に応じ変動、中小規模向け)、月額固定料金制(予算化しやすい、大規模向け)、カスタム見積もり制(個別要件に対応、柔軟性が高い)などがあります。自社の規模や利用状況に合った、透明性の高い料金体系かを確認しましょう。
    • 費用項目: 初期費用、月額費用に加え、オプション機能(追加の分析、レポートカスタマイズ等)や追加サポートに対する費用、隠れたコストがないかを精査します。
    • 契約期間: 最低契約期間や更新条件も確認が必要です。
  • 対応範囲(スコープ):
    • 監視対象: どこまで監視・保護してくれるのかが重要です。対象はエンドポイント(PC、サーバー、モバイル)のみか、ネットワーク機器やトラフィック、クラウド環境(AWS, Azure, Google Cloud等)、さらにはSaaSアプリケーション(Microsoft 365, Google Workspace等)まで含まれるかを確認します。自社のIT環境全体をカバーできるかを見極める必要があります。
    • プラットフォーム: 対応可能なOS(Windows, macOS, Linuxなど)やプラットフォームの種類を確認します。
  • サポート体制:
    • サービス提供時間: 24時間365日対応はMDRサービスの基本ですが、サポート窓口の対応時間や言語を確認します。
    • SLA(Service Level Agreement): 脅威検知から通知、分析、対応開始までの目標時間(応答時間保証)がどの程度か。これはインシデント対応の迅速性に直結します。
    • コミュニケーション: 緊急時の連絡手段(電話、メール、専用ポータル等)や、平常時のコミュニケーション方法、報告体制を確認します。
    • 導入支援(オンボーディング): サービスの導入・設定支援や、導入後の運用サポート、トレーニングの有無、手厚さも重要です。「導入のしやすさ」は、スムーズな運用開始に影響します。
  • ベンダーの信頼性:
    • 実績と経験: MDRサービスの提供実績、特定業界や業種での経験、類似規模の企業への導入実績などを確認します。
    • アナリスト体制: どのようなスキルや経験を持つアナリストが、どの程度の規模で対応しているのか。アナリストの質はサービス品質に直結します。
    • 第三者評価: Gartnerなどの調査会社による評価や、業界の認定資格なども参考になります。

これらのポイントを自社の状況や要件(予算、保護対象、求めるサービスレベルなど)と照らし合わせ、優先順位をつけて評価することが、最適なMDRサービス選定への第一歩となります。

主要MDRサービスのタイプ別特徴と比較

MDRサービスは、提供するベンダーの出自や特徴によって、いくつかのタイプに分類できます。ここでは代表的な3つのタイプと、それぞれの一般的な傾向を解説します。これにより、自社のニーズに合ったサービスの方向性を見極める手助けとなるでしょう。なお、これは一般的な分類であり、個々のサービスは異なる特徴を持つ場合があります。

  • タイプA: 大手セキュリティベンダー提供型
    • 概要: 自社開発のEDR/XDR製品などを基盤とし、グローバルでサービスを提供する大手ベンダー。
    • 機能面: 自社製品との緊密な連携が強み。最新の脅威情報や検知技術が迅速に反映される傾向。グローバルな脅威インテリジェンスを活用した高度な分析能力や、充実した脅威ハンティング機能を持つことが多い。
    • コスト面: 比較的高価な傾向だが、機能やサポートレベルに応じたティア制が一般的。自社製品ユーザーには割引がある場合も。
    • 対応範囲: 基本は自社製品が対応する範囲だが、他社製品連携やクラウド、ネットワーク監視など広範化が進んでいる。
    • サポート体制: グローバル標準の安定したサポート体制。SLAも明確なことが多いが、日本市場へのローカライズ度は要確認。
    • 信頼性: ベンダーとしての実績、ブランド力は高い。
  • タイプB: MSSP系ベンダー提供型
    • 概要: 従来のマネージドセキュリティサービス(MSSP)の延長としてMDRを提供するベンダー。
    • 機能面: ファイアウォールやSIEM運用など、幅広いセキュリティ運用経験を活かした多様なログソースの相関分析に長ける場合がある。利用するEDR等は他社製品の場合も多く、技術の先進性はベンダーによる。
    • コスト面: 既存のMSSP契約とのバンドルや、比較的柔軟な料金プランが期待できる。中堅・中小企業向けプランを持つ場合も。
    • 対応範囲: ネットワーク機器やサーバー監視など、従来得意としてきた領域を含む広範な監視スコープを提供できる可能性がある。
    • サポート体制: 日本国内でのサポート実績が豊富で、国内の商習慣に合わせた対応が期待できる場合が多い。アナリストのスキルには差がある可能性も。
    • 信頼性: 長年の運用実績を持つベンダーが多いが、MDRサービスとしての専門性や先進性は個別に確認が必要。
  • タイプC: MDR専業・新興ベンダー提供型
    • 概要: MDRサービスを主力事業とする、比較的新しいベンダーや専業ベンダー。
    • 機能面: 最新のAI技術や自動化技術を積極的に採用し、特定の脅威検知や対応の自動化、脅威ハンティングに強みを持つ場合がある。ニッチな領域に特化していることも。
    • コスト面: 大手と比較して競争力のある価格設定や、シンプルな料金体系を提示することがある。初期費用を抑えたプランも。
    • 対応範囲: 特定のプラットフォーム(例:クラウドネイティブ環境)やエンドポイントに特化している場合があるため、自社要件との適合性確認が重要。
    • サポート体制: 少数精鋭による手厚いサポートをアピールする場合がある一方、大規模インシデントへの対応力や体制の安定性は要確認。
    • 信頼性: 実績面では他タイプに劣る場合もあるが、独自の技術力やサービスの機敏性で評価される。第三者評価や事例が判断材料。

タイプ選定のポイント: 自社の既存セキュリティ環境(特定ベンダー製品の利用状況)、重視する点(技術の先進性、コスト、国内サポート、特定領域への対応力など)、企業規模などを考慮し、どのタイプのサービスが自社に合いそうか、大まかな方向性を見定めることが有効です。

自社に最適なMDRサービスを選び抜く実践ステップ

MDRサービスの比較検討ポイントとタイプ別特徴を理解したら、次は自社にとって最適なサービスを選び抜くための具体的なステップに進みましょう。体系的なアプローチで、後悔のない選定を目指します。

  • ステップ1: 自社の状況と要件の明確化
    • 保護対象アセットの特定: 何を守るべきか?PC、サーバー、ネットワーク機器、クラウド上のデータやアプリケーションなど、保護対象を具体的にリストアップします。特に重要な情報資産やシステムを明確にします。
    • 現行セキュリティ体制と課題分析: 社内にセキュリティ担当者はいるか?スキルレベルは?既存ツール(アンチウイルス、EDR、SIEM等)との連携は?現在抱える課題(インシデント対応経験不足、アラート過多、リソース不足等)を整理します。
    • 予算規模とコスト要件: MDRサービスに割り当て可能な予算(初期費用、月額費用)を明確にし、費用対効果の判断基準を設定します。
    • コンプライアンス要件: 自社が属する業界の規制(金融、医療等)や、ISMS、PCIDSS、個人情報保護法など、遵守すべき法的・業界要件を確認し、必要な機能(ログ保管期間、レポート等)を洗い出します。
    • 求めるサービスレベル: どこまでの対応をMDRサービスに期待するか?脅威の通知のみか、分析・対応策提案までか、インシデント対応代行まで必要か。脅威ハンティングの要否なども含め、自社の運用体制に合わせて定義します。
  • ステップ2: 比較ポイントの優先順位付け
    • ステップ1で明確化した自社の要件に基づき、「機能」「コスト」「対応範囲」「サポート」「ベンダー信頼性」といった比較検討ポイントに優先順位をつけます。例えば、高度な標的型攻撃対策が最優先なら「検知技術」「脅威ハンティング」「アナリストの質」を重視。コスト最優先なら価格と機能のバランス。24時間365日の迅速対応が必須なら「SLA」「サポート体制」を最重要視します。この優先順位が、後のサービス比較と絞り込みの明確な基準となります。
  • ステップ3: 候補サービスの絞り込みと詳細情報収集
    • 設定した優先順位と、前述のサービスタイプ別特徴などを参考に、候補となるMDRサービスを複数(通常は3社程度)に絞り込みます。
    • 絞り込んだ候補サービスについて、ベンダーのウェブサイトや資料請求を通じて、サービスの詳細仕様、提供条件、SLAなどを確認します。
    • ベンダーへのヒアリングが非常に重要です。以下の点などを具体的に質問し、比較検討します。
      • 具体的な検知シナリオと対応フロー
      • 利用技術(EDR/XDR、SIEM、脅威インテリジェンス)の詳細
      • アナリストチームの経験、スキル、体制、規模
      • レポートのサンプルとカスタマイズ可否
      • 類似企業(規模・業種)での導入実績
      • 詳細な料金体系と見積もり
      • オンボーディング(導入支援)のプロセス、期間、内容
    • 導入のしやすさの確認も重要です。可能であれば、トライアルやPoC(Proof of Concept:概念実証)を実施し、実際の運用イメージ、検知能力、自社環境との適合性、サポートの質などを評価することをお勧めします。複数のベンダーと対話し比較することで、より客観的で納得のいく選定が可能になります。

まとめ

現代のビジネス環境において、巧妙化・悪質化するサイバー攻撃への対策は、もはや避けて通れない経営課題です。その有効な解決策の一つとして、MDRサービスは高度な脅威検知能力迅速なインシデント対応体制を、専門家へのアウトソーシングによって効率的に実現する手段を提供します。24時間365日の監視、プロアクティブな脅威ハンティング、専門家による分析と対応支援は、自社だけでの構築・維持が困難なセキュリティレベルを可能にします。

しかし、MDRサービスは決して万能薬ではなく、その効果は自社のニーズや状況に最適なサービスを選べるかにかかっています。本記事で解説したように、サービス選定にあたっては、機能(検知技術、対応レベル)、コスト(料金体系、総費用)、対応範囲(監視対象)、サポート体制(SLA、導入支援)、そしてベンダーの信頼性といった複数の比較ポイントを、自社の要件と照らし合わせて慎重に評価することが不可欠です。

明確な要件定義、比較ポイントの優先順位付け、そして候補ベンダーとの十分なコミュニケーションを通じて、最適なMDRサービスを選定してください。適切なMDRパートナーと共に、堅牢なセキュリティ基盤を構築し、ビジネスリスクを低減させることが、企業の持続的な成長と信頼確保に繋がります。

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