セキュリティ診断でコスト削減!費用対効果を高める効率的な進め方【企業向け】

【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介
株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。
企業のデジタル化が進む現代において、サイバー攻撃は事業継続やブランド信頼性に直結する喫緊の経営リスクです。このリスクを正確に把握し、効果的なセキュリティ対策を講じるためには、セキュリティ診断が不可欠な投資となります。しかし、セキュリティ診断にかかる費用は、特に管理部門や経営層にとって無視できないコスト課題であり、「費用対効果をどう判断するか」「もっと効率的に実施できないか」といった懸念を抱いている企業も少なくありません。セキュリティ診断は、その内訳や影響要因を理解し、効率的な進め方を戦略的に選択することで、コストを削減しつつ最大のセキュリティ効果を得ることが可能です。本記事では、企業のセキュリティ診断において、コストを削減・最適化するための具体的な方法、費用対効果を高めるための考え方、そして実践的な管理方法について、BtoB管理部門・決裁者の皆様がすぐに活用できる要点を分かりやすく解説します。無駄を省き、賢く診断を進めることが、費用対効果の高いセキュリティ対策を実現する鍵となります。
おすすめの不正侵入検知サービス一覧
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会社名 | サービス名 | 特長 | 費用 | 主なサービス |
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株式会社サイバーセキュリティクラウド
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攻撃遮断くん |
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1サイト月額11,000円~ ※別途、初期導入費用がかかる お問い合わせ |
攻撃検知AIエンジン搭載 サイバー攻撃対策 サイバー保険付帯 |
株式会社AndGo
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Aikido Security |
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ベーシック:52,500円/月 プロ:105,000円/月 カスタム:要お問い合わせ |
Webアプリケーション診断 プラットフォーム診断 クラウド診断 手動脆弱性診断 伴走サポート |
株式会社スリーシェイク
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Securify(セキュリファイ) |
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ASMプラン:お見積り BASICプラン:10万円/月額 STARTERプラン:5万円/月額 Freeプラン:0円/月額 ※契約は年単位 お問い合わせ |
ASM Webアプリケーション診断 Wordpress診断 SaaS診断 |
トレンドマイクロ株式会社 | TippingPoint |
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要お問い合わせ | 要お問い合わせ |
株式会社東計電算 | Total Security Function Service |
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月額600円~/1台 | ウィルス対策機能 マルウェア対策機能 ファイアウォール ヒューリスティック分析 デバイス制御 など |
Broadcom Inc. | Symantec Endpoint Security |
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要お問い合わせ | 脆弱性の修復 デバイス制御 マルウェアの防止 ファイアウォール 分析・調査 など |
エクスジェン・ネットワークス株式会社 | L2Blocker |
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オンプレミス版:25,000円~ クラウド版:月額3,000円~ |
社内端末の管理機能 利用状況の可視化 不正に接続した端末への通知 未登録機器の利用申請 レポート分析 など |
株式会社セキュアソフト | SecureSoft Sniper IPS |
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要お問い合わせ | リアルタイムモニター 統合報告書 システム監査 環境設定 セキュリティ設定 など |
ソフォス株式会社 | Sophos Firewall |
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要お問い合わせ | ディープパケットインスペクション ゼロデイ対策 SD-WAN接続 セグメンテーション機能 レポート機能 など |
株式会社IDCフロンティア | 不正侵入検知/防御サービス |
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要お問い合わせ | 検知レポート 機器監視 設定管理 故障時機器交換 変更監視 など |
ソースネクスト株式会社 | ZERO スーパーセキュリティ |
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4,950円~ |
マルウェア検出 メール検査 ファイアウォール 迷惑メール対策 詐欺対策 など |
フォーティネットジャパン合同会社 | FortiGuard IPS |
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要お問い合わせ | ネットワーク保護 OT保護 リアルタイム展開 IOT保護 保護ライフサイクル など |
NTTスマートコネクト株式会社 | クラウド型UTM |
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月額38,500円~(税込) ※初期費用110,000円(税込) |
ファイアウォール機能 IPS(不正侵入防御)機能 アンチウィルス(アンチマルウェア)機能 アンチスパム機能 Webフィルタリング機能 など |
サクサ株式会社 | サクサのUTM |
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要お問い合わせ | Webフィルタリング機能 アンチウイルス機能 迷惑メールブロック機能 侵入検知・防止機能 |
パロアルトネットワークス株式会社 | PA-SERIES |
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要お問い合わせ | 脅威防御 SD-WAN URLフィルタリング WildFireマルウェア分析 DNSセキュリティ など |
Google LLC | Google Cloud IDS |
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要お問い合わせ | ネットワークベースの脅威検出 トラフィックの公開設定 コンプライアンス目標の支援 脅威警告の優先順位の提供 アプリのマスカレード検出 など |
1. セキュリティ診断の費用構造とコストに影響する要因
セキュリティ診断の費用を効果的に管理するためには、まずその費用がどのように構成され、どのような要素によって変動するのかを理解する必要があります。診断費用は、単一の要素で決まるのではなく、複数の要因が複雑に絡み合って形成されています。経営層や管理部門は、見積もりを評価する際にこれらの要素を把握しておく必要があります。
セキュリティ診断費用の主な構成要素としては、診断を実施するセキュリティエンジニアの専門的な人件費が中心となります。脆弱性発見や分析、ペネトレーションテストといった高度な作業には、経験と知識が豊富な専門家が必要であり、そのスキルレベルに応じたコストがかかります。また、診断に使用する専用ツールのライセンス費用や開発・保守費用も含まれます。診断結果を分かりやすく整理し、対策に繋げるための報告書作成費用、そして結果を関係者と共有するための報告会にかかる費用も費用の一部となります。これらに加え、診断プロジェクト全体の管理や品質保証にかかる間接的な費用も計上されます。
診断費用を大きく左右する主な影響要因は多岐にわたります。最も影響が大きいのは、診断対象の範囲と規模です。診断するWebサイトのページ数や機能の複雑さ、ネットワーク上のサーバーやデバイスの数、アプリケーションの種類や技術構成など、対象が広範囲で複雑であるほど、診断にかかる工数や時間が増加し、費用が高くなります。例えば、Webサイト診断では、URL数や認証が必要なページの有無、機能の複雑さ(会員機能、決済機能など)によって費用が大きく変わります。
次に、診断手法と深度も重要な要因です。自動診断ツールによるスキャンは比較的安価ですが、システム固有の脆弱性や複雑なロジックの欠陥を見つけるためには、経験豊富な専門家による手動診断や、実際の攻撃を模倣するペネトレーションテストが必要となり、これらは高い技術力と時間を要するため費用が高くなります。どこまで深く、細かく診断するかという検査レベル(深度)も費用に影響します。
その他にも、診断を依頼してから報告書が納品されるまでの期間(納期)が短い場合、ベンダーはリソースを集中させる必要があるため費用が高くなる傾向があります。また、依頼するベンダーの知名度や実績、提供するサポートの範囲(診断後の質疑応答、改修アドバイス、再診断など)も費用に影響する要因となります。これらの費用の内訳と影響要因を正確に理解することで、見積もり内容を正しく評価し、どこで費用削減が可能かを見出すことができるようになります。
セキュリティ診断費用に影響する主な要因
- 診断対象の範囲と規模: URL数、システム数、機能の複雑さなど
- 診断手法と深度: ツール vs 手動/PT、検査レベル
- 診断対象の技術難易度: 特殊な技術/構成、システムの古さ
- 納品までの期間: 短納期は高額化
- ベンダーの知名度/実績/サポート範囲: 高いほど費用に影響
2. コストを削減・最適化する具体的な戦略と実践方法
セキュリティ診断の費用を単に削減するだけでなく、費用対効果を最大化するための「コスト最適化」を目指すことが、経営資源を有効活用する上で重要です。無駄を省きつつ、必要なセキュリティ効果を確実に得るためには、いくつかの具体的な戦略と実践方法があります。管理部門や経営層は、これらの方法を組み合わせて導入を検討すべきです。
1. 診断範囲・対象の最適化:
- リスク評価に基づき、診断対象範囲を絞り込むことが、コスト削減の最も効果的な方法の一つです。全てのシステムを網羅的に診断するのではなく、自社のビジネスにおいて最もリスクの高いシステム(例:顧客情報を扱う、外部公開されている、事業継続に不可欠など)や、過去に脆弱性が見つかりやすい傾向にある部分に焦点を当てて診断範囲を限定します。リスクが低いと判断されるシステムについては、診断頻度を下げたり、より簡易な診断手法を選択したりすることでコストを抑えられます。
- 診断対象システムに含まれる不要な機能や設定、使用していない古いバージョンなどを事前に削減・整理しておくことも有効です。診断対象が減ることで、診断にかかる工数や時間が削減され、結果として費用を抑えることができます。
2. 診断手法・種類の適切な選択:
- 診断対象のリスクレベルや目的に応じて、ツール診断と手動診断を使い分けることがコスト最適化に繋がります。既知の脆弱性の網羅的なチェックには自動診断ツールが効率的かつ安価ですが、複雑な脆弱性やビジネスロジックの欠陥の検出には手動診断やペネトレーションテストが必要です。リスクが低いシステムにはツール診断を活用し、リスクの高い重要なシステムには手動診断を組み合わせるなど、メリハリをつけましょう。
- 継続的な脆弱性管理ツールを導入し、日常的な簡易チェックを内製化することも、高頻度な診断の一部をカバーし、外部委託コスト削減に貢献する場合があります。
3. 診断頻度・スケジュールの最適化:
- システムのリスクや変更頻度に応じた適切な診断頻度を設定することで、不要に高頻度な診断にかかるコストを削減できます。変更が少ない安定したシステムは診断頻度を低く、頻繁に更新されるシステムは診断頻度を高くするなど、システム特性に合わせて調整します。
- 複数のシステムに対する診断をまとめて依頼したり、ベンダーの比較的リソースに余裕がある時期(閑散期)に依頼したりすることで、割引交渉を行うことが可能な場合があります。
- 複数年契約を検討することも、年間あたりの診断費用を抑える有効な方法です。長期契約により、ベンダーとの関係構築や価格交渉もしやすくなります。
4. ベンダー選定と効果的な交渉:
- 複数のベンダーから詳細な見積もりを取得し、内容を比較検討することは基本中の基本です。提示された費用が診断範囲や内容に見合っているか、不要な項目が含まれていないかを確認しましょう。
- 単に費用が安いベンダーを選ぶのではなく、費用対効果を重視してベンダーを選定する視点が不可欠です。安すぎるサービスにはリスクが潜むことを理解し、診断品質とコストのバランスが良いベンダーを選びましょう。
- 見積もり内容について、不明瞭な点を解消するためにベンダーと積極的にコミュニケーションを取り、費用に関する交渉を行うことも重要ですし、自社の状況や予算感を正直に伝えることで、ベンダーからより適切なプラン提案を受けられることもあります。
5. 事前準備と社内連携の徹底:
- ベンダーがスムーズに診断を進められるよう、診断に必要な情報(システム構成、アカウント情報など)を事前に正確かつ網羅的に整理し、迅速に提供します。情報提供の遅延は診断期間の延長や追加費用に繋がり得ます。
- 診断対象の環境を事前に整備し、ベンダーからの質問に速やかに回答できる体制を整えておくことも、診断工数削減に貢献します。
- 社内担当者(システム運用、開発担当者など)との役割分担を明確にしておくことで、ベンダーとのやり取りや診断中の対応がスムーズになり、無駄な時間を削減できます。
6. 診断報告書の活用と対策の効率化:
- 診断報告書を単に受け取るだけでなく、内容を正しく読み解き、リスクレベルに基づいた対策の優先順位を明確にすることが、改修コストの最適化に繋がります。全てを同時に改修するのではなく、リスクの高い部分から優先的にリソースを投入します。
- 発見された脆弱性への対策を、開発や運用の定常的なプロセスに組み込み、効率的に改修を進める体制を構築します(Shift-Leftの考え方など)。
- 改修後の再診断を効果的に活用します。全ての診断項目を再実施するのではなく、修正した脆弱性が確実に解消されたかを確認するための限定的な再診断を依頼することで、費用を抑えられます。また、再診断の回数が契約に含まれているかなども事前に確認しましょう。
これらの方法を組み合わせることで、セキュリティ診断の費用を削減・最適化しつつ、必要なセキュリティ効果を確実に得ることが可能となります。コスト最適化は、単なる支出削減ではなく、戦略的なリスク管理の一環として位置づけるべきです。
3. コスト削減とセキュリティ効果のバランス:費用対効果と効率的なプロセス構築
セキュリティ診断のコストを削減することは経営資源の有効活用として重要ですが、費用を削りすぎることによって必要なセキュリティ効果が得られず、かえってリスクを高めてしまう危険性があります。コスト削減とセキュリティ効果のバランスを適切に取り、診断を費用対効果の高い投資とするためには、単に診断費用を抑えるだけでなく、診断プロセス全体を効率化し、得られた結果を最大限に活用する視点が不可欠です。経営層や管理部門は、このバランスを見極める必要があります。
安易な費用削減が招く最も危険なリスクは、重要な脆弱性を見落としてしまうことです。例えば、診断範囲を不適切に絞り込みすぎたり、費用を抑えるためにツール診断のみに頼りすぎたりした場合、システムに存在する高度な脆弱性、システム固有の複雑なビジネスロジックの欠陥、あるいは複数の脆弱性を組み合わせた攻撃シナリオによるリスクなどを見逃してしまう可能性があります。これらの診断漏れが原因でインシデントが発生すれば、その損害は診断費用をはるかに上回ります。低品質な診断は、費用が無駄になるだけでなく、誤った安心感を与え、より大きな損害を招くリスクがあります。
また、ベンダーの技術力や診断手法、診断後のサポート体制を軽視し、価格だけでサービスを選定することも危険です。技術力の低いベンダーは、精度の低い診断しか提供できない可能性が高く、診断漏れのリスクを高めます。診断報告書が不十分であったり、診断後のサポートがなかったりすれば、診断結果を対策に活かすことが困難になり、結局診断費用が無駄になってしまいます。費用対効果を評価する際には、診断品質、ベンダーの信頼性、診断手法(特に手動診断の割合)、報告書の質、そして診断後のサポートを含めた全体像で判断する必要があります。
特に、最もリスクの高いシステムへの適切な投資は、コスト削減の対象とすべきではありません。顧客の機密情報を取り扱うシステム、決済システム、事業継続に不可欠な基幹システムなどは、万が一のインシデント発生時の影響が非常に大きいため、多少費用がかかっても、経験豊富で信頼できる専門家による質の高い診断(手動診断やペネトレーションテストを含む)を適切な頻度で実施すべきです。ここで費用を惜しむことは、将来的な多大な損害リスクを許容することと同義であり、経営判断として賢明ではありません。
経営層や管理部門は、「必要な投資」と「無駄なコスト」を見分ける視点を持つことが重要です。セキュリティ診断は、サイバー攻撃による潜在的な損害コストと比較すれば、多くの場合、はるかに低い費用でリスクを低減できる有効な「投資」です。診断によって得られる「リスクの可視化」や「リスク低減」という価値を正しく評価し、どこまでがビジネスに必要な「投資」であり、どこからが過剰な「無駄なコスト」なのかを見極める必要があります。安易な費用削減ではなく、リスク評価に基づいた優先順位付け、費用対効果の高い診断手法やベンダー選定、そして診断プロセス全体の効率化(事前準備、社内連携、迅速な改修、運用管理など)によってコストを最適化することが、効果的なセキュリティ対策を実現するための鍵となります。費用対効果を最大化することが、最も賢明なセキュリティ投資判断と言えます。
費用対効果を高める視点と効率化のポイント
- 費用削減のリスク理解: 安易な削減は診断漏れ・品質低下を招く。
- 適切な投資の重要性: リスクの高いシステムには必要な投資を行う。
- 費用対効果評価: 診断コスト vs 潜在損害コスト、リスク低減価値。
- プロセス効率化: 事前準備、社内連携、迅速な改修、運用管理。
4. まとめ:コスト最適化されたセキュリティ診断で、費用対効果を最大化
今日の増大するサイバー攻撃リスクに対し、企業のシステムやネットワークの脆弱性を客観的に把握するセキュリティ診断は、リスク管理と事業継続のために不可欠な「投資」です。診断にかかる費用は決して無視できませんが、その内訳や影響要因を理解し、戦略的に効率化を進めることで、コストを削減しつつ最大のセキュリティ効果を得ることが可能です。
費用対効果の高い診断を実現するためには、リスク評価に基づいた診断範囲の最適化、診断対象の整理、目的やリスクレベルに応じたツール診断と手動診断の適切な使い分け、適切な頻度・スケジュールの設定、複数のベンダーからの見積もり取得と比較検討、そして診断に必要な事前準備と社内連携の徹底といった、多角的なアプローチが不可欠です。しかし、安易な費用削減は診断漏れや品質低下を招き、かえって大きなリスクに繋がる危険性があることを理解し、特にリスクの高いシステムへの投資は惜しまず、費用対効果という視点から判断することが重要です。
セキュリティ診断から得られる結果を最大限に活用し、脆弱性改修を効率的に進め、診断プロセス全体を円滑に管理することも、費用対効果を高める上で非常に重要な要素です。セキュリティ診断におけるコスト最適化は、単に支出を減らすことではなく、費用対効果を最大化し、ビジネスに必要なセキュリティレベルを最も効率的に達成するための経営判断です。管理部門や経営層の皆様には、本記事で解説した具体的な方法や注意点、費用対効果の考え方を参考に、無駄なコストを省きつつ、自社にとって費用対効果の高いセキュリティ診断戦略を策定・実行していただくことを強く推奨いたします。費用対効果の高い診断の継続こそが、変化するサイバー脅威への最良の備えとなり、企業の持続的な成長を支える基盤となります。