更新日:2025/07/16

SOARとは?重要視されている理由や導入で実現できること、導入時のポイントを徹底解説

【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介
株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。
サイバー攻撃が高度化・巧妙化し、従来のセキュリティ対策では企業の重要な情報を守りきれないケースが増えています。情報漏洩やシステム停止などのリスクを低減し、事業継続性を確保するためには、迅速な脅威検知・対応が不可欠です。その解決策として、セキュリティ運用を自動化・効率化するSOARの導入が注目されています。
本記事では、[2025年最新情報]に基づき、SOARの基礎知識、導入メリット、さらには【比較表】を用いた製品選びのポイントまで徹底解説します。
おすすめのSOAR一覧
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会社名 | サービス名 | 特長 | 費用 | 主な機能 |
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パロアルトネットワークス株式会社 | CORTEX XSOAR |
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要お問い合わせ | ワークフローの自動化 インシデント調査 監査レポート作成 脅威インテリジェンス管理 オンボーディング支援 など |
フォーティネットジャパン合同会社 | FortiSOAR |
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要お問い合わせ | NOC対応・最適化 セキュリティインシデント管理 OTセキュリティの自動化 資産管理 脆弱性管理 など |
Logpoint | SOAR |
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要お問い合わせ | 自動アラートトリアージ 脅威インテリジェンス管理 エンドポイントマルウェア対策 自動フィッシング調査・対応 など |
日本アイ・ビー・エム株式会社 | QRadar SOAR |
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要お問い合わせ | プレイブック オートメーション データ侵害への対応 など |
Sumo Logic ジャパン株式会社 | Cloud SOAR |
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要お問い合わせ | ワークフローの自動化 アラート機能 モニタリング機能 ポートフォリオ機能 など |
Splunk Services Japan合同会社 | Splunk SOAR |
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要お問い合わせ | 自動化プレイブック アプリケーション統合 セキュリティ自動化機能 ケース管理 インテリジェンスの活用 など |
Sumo Logic ジャパン株式会社 | Sumo Logic Enterprise Security |
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要お問い合わせ | 包括的なセキュリティポートフォリオ ワークフローの自動化 セキュリティモニタリング インシデントのライフサイクル全体を自動化 など |
SentinelOne | SentinelOne |
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要お問い合わせ | 要お問い合わせ |
ゾーホージャパン株式会社 | ManageEngine Log360 |
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559,000円~ | ネットワークデバイス監査 Active Directory変更監査 Microsoft 365監査 統合コンプライアンス監査 UEBA など |
株式会社マクニカ | Swimlane |
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要お問い合わせ | データ取り込み 情報付与・照合 承認・確認 チケーットクローズ ケース管理ダッシュボード など |
この記事の目次はこちら
SOARとは?~セキュリティ対策自動化の仕組み~
SOAR(Security Orchestration, Automation and Response)とは、セキュリティインシデントの検知、分析、対応を自動化・効率化し、セキュリティチームの負担を軽減するプラットフォームです。
SOARの主な目的は、セキュリティインシデントが発生したときの対応をスムーズに行うことです。セキュリティインシデントとは、サイバー攻撃や情報漏えいなど、セキュリティ上で問題があるトラブルを指します。
通常セキュリティインシデントが起こった際には、担当者は詳しい調査や関係機関への共有、情報収集などの対応をしなければなりません。しかし、SOARを活用すればインシデントの状況確認から共有までの自動化が可能です。システムの自動化により、担当者は手作業で対応する必要がなくなり、業務の負担が軽減されます。
また、SOARは複数のセキュリティツールを一括管理できるため、セキュリティ運用の効率を向上させるだけでなく、全体的なセキュリティの強化につながる利点も持っています。
セキュリティを専門とする人材が減少している中、SOARは企業の重要な顧客情報や機密情報を効果的に保護するために不可欠な存在です。
SOARが重要視されている背景
SOARが重要視されている背景は、以下の通りです。
- 深刻化するセキュリティ人材不足 – SOARで属人化解消へ
- サイバー攻撃の発生件数が増えている
- 働き方の変化でセキュリティ運用の重要性が上がった
深刻化するセキュリティ人材不足 – SOARで属人化解消へ
セキュリティ人材が減少傾向にあるのも、SOARが重要視されている要因の一つです。セキュリティ人材とは、セキュリティ分野の専門知識を持つ人材を指します。
情報処理推進機構(IPA)の「情報セキュリティ白書2024」によると、2023年のセキュリティ人材は約48万人で、約11万人が不足している状態です(※)。
「人材教育にかけるリソースが確保できない」「セキュリティ人材の進むべきキャリアが明確でない」などの理由から、セキュリティ人材の確保が難しくなっています。結果的にサイバー攻撃などのネットワークトラブルを十分に対策できない状態に陥っているのです。
SOARを活用することで、専門知識の有無にかかわらず迅速かつ効果的にセキュリティ対策を実施できるようになります。
※参考:独立行政法人情報処理推進機構(IPA).「情報セキュリティ白書2024」
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-security/eid2eo0000007gv4-att/2024_ALL.pdf ,(2024-10-12).
サイバー攻撃の発生件数が増えている
サイバー攻撃の発生件数の増加も、SOARが求められる理由の一つです。
警視庁の「令和5年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢について」によれば、2023年に発生したコンピューター犯罪の件数は2097件で、前年より378件の増加が見られました(※)。
サイバー攻撃の手法も多様化しており、最近ではランサムウェア被害も発生しています。ランサムウェア被害とは、ネットワーク内のデータを暗号化してファイルを閲覧できなくし、その復旧作業のための金銭を支払うよう指示するといった攻撃手法です。2023年の発生件数は197件と前年より減少しましたが、大企業の件数は8件増加しています(※)。
SOARを使うことで迅速に攻撃を検知し、対応を自動化できるため、企業の重要な情報資産を保護できる可能性が高まります。
※参考:警視庁.「令和5年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢について」.
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/cyber/joho/info_security.files/graph.pdf ,(2024-04-05).
※参考:独立行政法人情報処理推進機構(IPA).「情報セキュリティ白書2024」
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-security/eid2eo0000007gv4-att/2024_ALL.pdf ,(2024-10-12).
働き方の変化でセキュリティ運用の重要性が上がった
新型コロナウイルスによってリモートワークの普及が急激に進み、企業の働き方変化したこともSOARが重要視されている背景の一つです。
情報処理推進機構(IPA)の「情報セキュリティ10大脅威 2024(組織)」では、「テレワーク等のニューノーマルな働き方を狙った攻撃」が9位にランクインしています。これは4年連続でランクインしており、テレワークが普及する中で新たなセキュリティ脅威が浮上していると分かります(※)。
テレワークで扱う情報量や使用するシステムが増えている今だからこそ、SOARで情報を守るための仕組みを構築することが重要です。
※参考:独立行政法人情報処理推進機構(IPA).「情報セキュリティ10大脅威 2024(組織)」.
https://www.ipa.go.jp/security/10threats/10threats2024.html ,(2024-07-29).
SOARとSIEMは何が違う?
SOARとSIEM(Security Information and Event Management)は、どちらもセキュリティ運用で重要な役割を果たしますが、脅威の対応ができるかできないかに違いがあります。
SIEMは、主にセキュリティ情報の収集や分析、監視を行うツールです。SOARのように脅威を検出した後、具体的な対応まで実行する機能は持っていません。
対してSOARは、情報収集から分析、監視、具体的な対処方法までを自動的に実行するシステムです。
つまり、SIEMが「何が起きているか」を把握するツールだとすれば、SOARは「何をすべきか」まで踏み込んで対処するものになります。
SOARの主な機能
SOARには、主に以下の4つの機能が備わっています。
機能 | 機能の解説 |
脅威の検出・判定 | システム内で起こったサイバー攻撃の予兆を検出し、サイバー攻撃かどうか判定する |
影響範囲の調査 | 他システムへの影響やユーザーへの被害状況を調査する |
初動対応 | プレイバックと呼ばれるワークフローを活用して、サイバー攻撃が発生した直後に対策を実行する |
トリアージ | 発生した攻撃の中で何を優先的に対処すべきか判断する |
このように、SOARはサイバー攻撃が起こった際の脅威の検出からトリアージまでの一括管理が可能です。
SOARを導入するメリット
SOARを導入すると、以下のようなメリットが期待できます。
- セキュリティ体制を強化できる
- セキュリティシステムの自動化で業務効率が上がる
- インシデントや脅威情報の一元管理ができる
セキュリティ体制を強化できる
SOARを導入することで、セキュリティ人材不足によって低下したセキュリティ体制を強化できます。
セキュリティ人材が十分に確保できないと、サイバー攻撃への対応が遅れたり、手動作業によるミスが増えたりするリスクがあります。しかし、SOARでサイバー攻撃の検出から対処まで自動化すれば、少人数体制でも効果的なセキュリティ対策を実行することが可能です。
セキュリティシステムの自動化で業務効率が上がる
セキュリティシステムの自動化で、セキュリティ業務を担当する従業員の業務を効率化できます。
これまでは、セキュリティの異常の感知や情報収集、対応策の実行などのプロセスを手作業で行っていたため時間と手間がかかっていました。SOARなら一連の流れが自動で行われ、検出から対処までわずか数秒で完了できる場合があります。
結果的に業務時間が短縮され、担当者はより戦略的な業務や高度な分析に時間を割けるようになります。
インシデントや脅威情報の一元管理ができる
SOARを活用すれば、インシデントを脅威情報の一元管理が可能になります。
SOARには、インシデントの処理を担当している従業員や現在の状況をリアルタイムで確認できる他、システム上でメッセージを共有する機能も備わっています。
また過去に発生した脅威の記録と分析を行うことで、新たな攻撃手法に対抗するためのシステムを構築できるのも利点です。
SOARの効果を引き出すためのポイント
SOARの効果を引き出すためにも、以下のポイントを意識しながら導入を進めましょう。
- 既存のセキュリティシステムと連携できるか確認する
- 少しずつ導入を進める
- 従業員への教育を実施する
- 自社の導入目的を実現できる製品を選ぶ
既存のセキュリティシステムと連携できるか確認する
既存で使用しているセキュリティシステムとSOARが連携できるか確認しましょう。
必ずしも全てのシステムがSOARと連携できるとは限りません。連携ができれば、システム全体の効率性が向上し、セキュリティ対策が強化されます。既存のセキュリティシステムをリストアップし、効果的な導入を進めていきましょう。
また、社内独自で開発したシステムの場合は、API(異なるソフトウェア同士を接続するシステム)を別で用意しなければならない可能性もあります。
少しずつ導入を進める
SOARを活用したシステムを一度で全て整えるのではなく、少しずつ導入を進めていきましょう。
一度に全て実装しようとすると、従業員が操作方法に混乱してしまったり、通常業務に集中できなくなったりする可能性があります。
まずは効果が見込める部門から導入を開始し、成功事例を重ねながら徐々に適用範囲を拡大していくのがおすすめです。導入の過程で生じた問題を解決しながらシステム構築を行いましょう。
従業員への教育を実施する
SOARを効果的に活用するためには、実際にSOARを操作する従業員への教育が重要となります。
例えば、事前に操作マニュアルを配布したり、研修時間を設けて実際に操作してもらったりと従業員が操作方法に迷わないように教育する必要があります。
自社の導入目的を実現できる製品を選ぶ
SOARを導入する際には、自社のセキュリティニーズや導入目的を実現できる製品を選びましょう。目的を果たすための機能が付帯していない場合は、SOARの効果を十分に感じられない可能性があります。
SOAR製品を選ぶ際に見るべきポイントは、以下の通りです。
- どのようなシステムと連携できるか
- 強みがある分野(脅威の検知が早い・操作が簡単など)
- 運用形式
- サポート体制の手厚さ
セキュリティ対策の向上のためにも、上記のポイントを重視してSOAR製品を選びましょう。
SOARの導入でセキュリティの課題を解決しよう
SOARは、サイバー攻撃などの脅威の検知から対処方法までを自動化できる技術です。
年々増加傾向にあるサイバー攻撃に対処するためには、よりスピード感のある脅威の検出や対処できるシステムの構築が必要です。SOARを導入することで、セキュリティ対策の効率化が図れ、脅威の検出や対応のスピードの向上が期待できます。
巧妙化するサイバー攻撃から企業の情報資産を守り、事業継続性を高めるために、今こそSOAR導入を検討しましょう。【無料相談】や【資料請求】で、貴社に最適なSOAR製品を見つけてください。
おすすめのSOAR一覧
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会社名 | サービス名 | 特長 | 費用 | 主な機能 |
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パロアルトネットワークス株式会社 | CORTEX XSOAR |
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要お問い合わせ | ワークフローの自動化 インシデント調査 監査レポート作成 脅威インテリジェンス管理 オンボーディング支援 など |
フォーティネットジャパン合同会社 | FortiSOAR |
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要お問い合わせ | NOC対応・最適化 セキュリティインシデント管理 OTセキュリティの自動化 資産管理 脆弱性管理 など |
Logpoint | SOAR |
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要お問い合わせ | 自動アラートトリアージ 脅威インテリジェンス管理 エンドポイントマルウェア対策 自動フィッシング調査・対応 など |
日本アイ・ビー・エム株式会社 | QRadar SOAR |
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要お問い合わせ | プレイブック オートメーション データ侵害への対応 など |
Sumo Logic ジャパン株式会社 | Cloud SOAR |
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要お問い合わせ | ワークフローの自動化 アラート機能 モニタリング機能 ポートフォリオ機能 など |
Splunk Services Japan合同会社 | Splunk SOAR |
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要お問い合わせ | 自動化プレイブック アプリケーション統合 セキュリティ自動化機能 ケース管理 インテリジェンスの活用 など |
Sumo Logic ジャパン株式会社 | Sumo Logic Enterprise Security |
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要お問い合わせ | 包括的なセキュリティポートフォリオ ワークフローの自動化 セキュリティモニタリング インシデントのライフサイクル全体を自動化 など |
SentinelOne | SentinelOne |
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要お問い合わせ | 要お問い合わせ |
ゾーホージャパン株式会社 | ManageEngine Log360 |
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559,000円~ | ネットワークデバイス監査 Active Directory変更監査 Microsoft 365監査 統合コンプライアンス監査 UEBA など |
株式会社マクニカ | Swimlane |
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要お問い合わせ | データ取り込み 情報付与・照合 承認・確認 チケーットクローズ ケース管理ダッシュボード など |