AI搭載型XDRで進化するセキュリティ運用

【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介
株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。
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AI搭載型XDRとは?概要と特徴
近年、サイバー攻撃は多層化・ステルス化が進み、従来のEDRやSIEMだけでは対応が困難になっています。AI搭載型XDR(Extended Detection and Response)は、AI/機械学習を中核に据え、エンドポイント、ネットワーク、クラウド、認証、アプリケーションなど多様なセキュリティレイヤーからリアルタイムにログを収集・分析し、以下の機能を統合して提供する次世代プラットフォームです。
- AIネイティブアーキテクチャ
- XDRプラットフォーム自体がマイクロサービスやコンテナ技術で構成され、大量ログの急増にも自動スケールで対応
- 常時高精度な分析を維持し、運用負荷を最小限に抑制
- XDRプラットフォーム自体がマイクロサービスやコンテナ技術で構成され、大量ログの急増にも自動スケールで対応
- 多層データ収集能力
- エンドポイントEDR(Windows/Linux/macOSなど)
- ネットワークNDR(L2~L7フローログ、パケットキャプチャ)
- クラウド監査ログ(AWS CloudTrail、Azure Monitor、GCP Audit Logs)
- 認証ログ(Active Directory、IDaaS)
- アプリケーションログ(Webサーバー、SaaS監査ログ)
- エンドポイントEDR(Windows/Linux/macOSなど)
- 高度な相関・振る舞い分析エンジン
- シグネチャベース検知とAI/機械学習モデルをハイブリッド実装し、未知のマルウェアやゼロデイ攻撃を検出
- 複数レイヤーの微弱な異常イベントを自動的に結びつけ、攻撃キャンペーン全体像を可視化
- シグネチャベース検知とAI/機械学習モデルをハイブリッド実装し、未知のマルウェアやゼロデイ攻撃を検出
- 自動化ワークフロー連携
- アラートの優先度付け、チケット自動発行、エンドポイント隔離、通信遮断といった対応をポリシーベースで自動実行
- セキュリティオーケストレーション(SOAR)プラットフォームとのシームレスな連携
- アラートの優先度付け、チケット自動発行、エンドポイント隔離、通信遮断といった対応をポリシーベースで自動実行
- リアルタイムKPIダッシュボード
- MTTD(平均検知時間)/MTTR(平均対応時間)/誤検知率などを常時可視化
- 管理部・経営層も一目で運用状況を把握できる経営層向けレポートをワンクリック生成
- MTTD(平均検知時間)/MTTR(平均対応時間)/誤検知率などを常時可視化
- 継続的チューニング機能
- 運用データを基にAIモデルが自己学習し、検知ルールやシグネチャを自動更新
- PDCAサイクルを運用ワークフローに組み込み、検知精度と効率を継続的に改善
- 運用データを基にAIモデルが自己学習し、検知ルールやシグネチャを自動更新
これらにより、AI搭載型XDRは単なる可視化ツールから「学習し続けるセキュリティオペレーション基盤」へと進化し、限られたSOCリソースで最大限の成果を実現します。
おすすめの不正侵入検知サービス一覧
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会社名 | サービス名 | 特長 | 費用 | 主なサービス |
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株式会社サイバーセキュリティクラウド
![]() |
攻撃遮断くん |
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1サイト月額11,000円~ ※別途、初期導入費用がかかる お問い合わせ |
攻撃検知AIエンジン搭載 サイバー攻撃対策 サイバー保険付帯 |
株式会社AndGo
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Aikido Security |
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ベーシック:52,500円/月 プロ:105,000円/月 カスタム:要お問い合わせ |
Webアプリケーション診断 プラットフォーム診断 クラウド診断 手動脆弱性診断 伴走サポート |
株式会社スリーシェイク
![]() |
Securify(セキュリファイ) |
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ASMプラン:お見積り BASICプラン:10万円/月額 STARTERプラン:5万円/月額 Freeプラン:0円/月額 ※契約は年単位 お問い合わせ |
ASM Webアプリケーション診断 Wordpress診断 SaaS診断 |
トレンドマイクロ株式会社 | TippingPoint |
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要お問い合わせ | 要お問い合わせ |
株式会社東計電算 | Total Security Function Service |
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月額600円~/1台 | ウィルス対策機能 マルウェア対策機能 ファイアウォール ヒューリスティック分析 デバイス制御 など |
Broadcom Inc. | Symantec Endpoint Security |
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要お問い合わせ | 脆弱性の修復 デバイス制御 マルウェアの防止 ファイアウォール 分析・調査 など |
エクスジェン・ネットワークス株式会社 | L2Blocker |
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オンプレミス版:25,000円~ クラウド版:月額3,000円~ |
社内端末の管理機能 利用状況の可視化 不正に接続した端末への通知 未登録機器の利用申請 レポート分析 など |
株式会社セキュアソフト | SecureSoft Sniper IPS |
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要お問い合わせ | リアルタイムモニター 統合報告書 システム監査 環境設定 セキュリティ設定 など |
ソフォス株式会社 | Sophos Firewall |
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要お問い合わせ | ディープパケットインスペクション ゼロデイ対策 SD-WAN接続 セグメンテーション機能 レポート機能 など |
株式会社IDCフロンティア | 不正侵入検知/防御サービス |
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要お問い合わせ | 検知レポート 機器監視 設定管理 故障時機器交換 変更監視 など |
ソースネクスト株式会社 | ZERO スーパーセキュリティ |
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4,950円~ |
マルウェア検出 メール検査 ファイアウォール 迷惑メール対策 詐欺対策 など |
フォーティネットジャパン合同会社 | FortiGuard IPS |
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要お問い合わせ | ネットワーク保護 OT保護 リアルタイム展開 IOT保護 保護ライフサイクル など |
NTTスマートコネクト株式会社 | クラウド型UTM |
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月額38,500円~(税込) ※初期費用110,000円(税込) |
ファイアウォール機能 IPS(不正侵入防御)機能 アンチウィルス(アンチマルウェア)機能 アンチスパム機能 Webフィルタリング機能 など |
サクサ株式会社 | サクサのUTM |
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要お問い合わせ | Webフィルタリング機能 アンチウイルス機能 迷惑メールブロック機能 侵入検知・防止機能 |
パロアルトネットワークス株式会社 | PA-SERIES |
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要お問い合わせ | 脅威防御 SD-WAN URLフィルタリング WildFireマルウェア分析 DNSセキュリティ など |
Google LLC | Google Cloud IDS |
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要お問い合わせ | ネットワークベースの脅威検出 トラフィックの公開設定 コンプライアンス目標の支援 脅威警告の優先順位の提供 アプリのマスカレード検出 など |
XDRにおけるAIの主要機能
AI搭載型XDRが実際に提供する、セキュリティ運用を大きく変革する主要なAI機能は以下の通りです。
- 高度な脅威・異常検知
- 振る舞い分析(UEBA):ユーザーやデバイスの通常行動をAIが学習し、業務時間外の大規模データダウンロードや異常な認証失敗などを検知
- 未知脅威検知:シグネチャ非依存の機械学習モデルでゼロデイ攻撃やファイルレスマルウェアを特定
- 相関分析:エンドポイント・ネットワーク・クラウド各レイヤーの微弱な異常を繋ぎ合わせ、巧妙な多段階攻撃を浮き彫りに
- 振る舞い分析(UEBA):ユーザーやデバイスの通常行動をAIが学習し、業務時間外の大規模データダウンロードや異常な認証失敗などを検知
- アラート優先度付け・ノイズ削減
- インテリジェントトリアージ:資産重要度、過去類似インシデント、脅威インテリジェンスをAIが自動統合し、緊急度・重要度をスコアリング
- 誤検知フィルタリング:False Positiveの傾向を学習し、ノイズとなるアラートを削減
- インテリジェントトリアージ:資産重要度、過去類似インシデント、脅威インテリジェンスをAIが自動統合し、緊急度・重要度をスコアリング
- 調査・分析支援
- 関連情報自動集約:特定アラートに紐づくログイベント、ユーザー情報、資産情報を複数ソースから自動収集
- 攻撃ストーリー可視化:時系列や因果関係で侵入経路を図示し、インシデントの全体像を直感的に把握
- 次ステップ推奨:過去類似事例やナレッジベースに基づき、アナリストが取るべき調査手順をAIが提示
- 関連情報自動集約:特定アラートに紐づくログイベント、ユーザー情報、資産情報を複数ソースから自動収集
- 自動対応最適化支援
- SOAR連携自動化:検知→リスク評価→対応アクション(隔離、通信遮断、プロセス停止)を自動実行
- 対応プレイブック最適化:過去の対応効果を学習し、類似インシデントへの最適なプレイブックを生成
- SOAR連携自動化:検知→リスク評価→対応アクション(隔離、通信遮断、プロセス停止)を自動実行
- 継続的学習・自己進化
- モデル再学習:運用データや新たな脅威インテリジェンスを取り込み、定期的にAIモデルをアップデート
- 環境適応:自社固有のIT環境やビジネスプロセスに合わせた検知ルールを動的に最適化
- モデル再学習:運用データや新たな脅威インテリジェンスを取り込み、定期的にAIモデルをアップデート
これらの機能により、AI搭載型XDRは検知の精度・速度・効率を飛躍的に向上させ、従来の運用負荷を大幅に削減します。次節では、AI搭載XDRがもたらす主要メリットと、導入時に重視すべき要件について解説します。
なぜAI搭載型XDRなのか?セキュリティ運用にもたらす五大メリット
AI搭載型XDRは、従来型セキュリティツールの限界を突破し、システムと運用を次のレベルへと押し上げます。その主要なメリットを整理します。
1迅速かつ精度の高い未知脅威検知
機械学習モデルは、膨大なログから通常パターンを自動学習し、シグネチャ未登録のゼロデイ攻撃ファイルレス攻撃内部不正を高精度で検出します。従来のルールベースでは、見逃しがちな微弱な異常を捕捉し、早期封じ込めを可能にします。
2アラート疲れの大幅軽減と運用効率向上
AIは、アラートの相関情報資産重要度過去対応履歴などを総合評価し、真の脅威を優先順位づけ誤検知を自動フィルタリングします。SOCアナリストは、煩雑なトリアージ作業から解放され、高度分析や脅威ハンティングに注力でき、運用コストとストレスを大幅に削減します。
3MTTDおよびMTTRの半減
AIによる自動検知からSOAR連携したワークフローによる封じ込め、プロセス自動実行により平均検知時間MTTDと平均対応時間MTTRを従来比で50%以上短縮可能です。迅速な初動対応は被害拡大を抑え事業継続性を確保します。
4セキュリティ人材不足への対応と専門家能力の最大化
定型的なアラートトリアージ初期調査は、AIに委ねることでアナリストは、より高度なインシデント分析脅威ハンティングフォレンジック調査に集中できます。専門家のスキルをフル活用し組織としてのセキュリティ成熟度を着実に高めることが可能です。
5継続的学習による自己進化と将来適応
AIモデルは、運用データや脅威インテリジェンスを継続的に学習し、環境変化と新たな攻撃手法に応じて自己チューニングを行います。時間の経過とともに検知精度と対応力が向上し、将来の未知脅威にも柔軟に適応し続けます。
これら五大メリットにより、AI搭載型XDRは単なる検知ツールを超え、企業のセキュリティ運用基盤そのものの効率化と高度化を牽引します。
AI搭載型XDRのAI能力をどう見極めるか?選定時の六つのチェックポイント
市場には多数のAI搭載XDR製品が出回っていますが、同じ「AI搭載」を謳っていても、実力には大きな差があります。導入検討時には以下六つの観点で厳しく見極めましょう。
1適用AI技術と透明性
- 教師あり・学習教師なし・学習深層学習UEBAなどどの技術が脅威検知相関分析対応自動化に使われているか
- アルゴリズムのブラックボックス化状況と説明可能性XAI機能の有無
2検知能力の実績
- MITRE ATT&CK Evaluationsなど第三者評価結果の有無
- 未知脅威検知率誤検知率のPoC定量データ
3誤検知抑制とチューニング柔軟性
- 誤検知削減効果の定量評価
- 自社環境へのモデル再学習や閾値調整の工数とスキル要件ベンダー支援範囲
4調査支援機能の具体性
- 関連イベント自動集約や攻撃ストーリー可視化
- 次ステップ推奨やコンテキストエンリッチメントの精度
5学習プロセスとデータ要件
- モデル学習に必要なログ量と提供方法
- プライバシーとデータガバナンス対応
6パフォーマンスとスケーラビリティ
- AI分析負荷がSIEM全体のパフォーマンスに与える影響
- 将来のデータ増加にも耐える弾性スケール
これらのチェックポイントで複数ベンダーを比較し、PoC実施で自社環境における有効性と運用負担を定量評価することが成功の鍵です。
AI搭載型XDR導入運用における考慮事項と限界
AI搭載型XDRは強力ですが、万能ではありません。その効果を最大化するためには、以下の注意点と限界を踏まえる必要があります。
1データ品質と量の前提
機械学習モデルは、学習データの質量に依存します。偏りや欠落ノイズの多いデータを学習させると誤った検知を誘発します。多層ログ収集戦略とデータガバナンス体制の構築が必須です。
2継続的チューニングと運用コスト
モデルは導入後も環境変化や新脅威に応じて、再学習とパラメータ調整を定期実施する必要があります。この運用には高度なスキルと継続的な工数が求められます
3説明可能性とガバナンス
ブラックボックスAIは、判断根拠が不透明になりがちです。規制対応や経営層説明の観点から、XAI機能を備えた製品選定と運用プロセスの設計が重要です。
4人間による最終判断の重要性
AI推奨はあくまで補助です。複雑なコンテキスト判断やビジネス影響評価は、最終的に人間が行うプロセスを必ず維持し、AI過信を避ける体制を整えます。
5敵対的AIへの備え
攻撃者はAIモデルを回避する技術を開発しています。学習データへの毒入れやノイズ挿入といったアドバーサリアル攻撃対策を講じ、AIの堅牢性評価を定期実施しましょう。
これらを計画段階から踏まえ、AIの可能性と限界を正しく理解し、期待値を管理することが導入成功の前提となります。
XDRとAIの未来:セキュリティ運用のさらなる進化
AI技術の進歩に伴い、AI搭載型XDRも以下のように進化が加速します。
1完全自律的対応の実現
将来的には、AIがインシデント検知対応封じ込めるまで、人間の介入を最小限に抑え自律完結するレベルへと進化します。
2予測的脅威インテリジェンス
過去攻撃データ環境情報を統合的に分析し、未来の攻撃タイミング手法影響を予測プロアクティブ防御策を自動提案実行
3個別最適化パーソナライズセキュリティ
組織ユーザーごとのリスクプロファイルを学習し、最適化された検知ルール対応ポリシーを動的生成適用
4運用プロセス全体の自動最適化
運用KPIやボトルネックをAIが常時モニタリングし、改善策ルール修正構成変更を自動推奨実行
5Responsible AIと倫理的運用
AI判断の公平性・透明性・データプライバシー保護を担保する責任あるAI開発運用フレームワークが標準化
これらの進化は、セキュリティ運用をよりインテリジェントかつ自律的に進化させる鍵となり、企業のサイバーレジリエンスを飛躍的に高めるでしょう。
まとめ
AI搭載型XDRは、機械学習深層学習による未知脅威検知精度の飛躍的向上アラートノイズ削減によるSOC負荷軽減自動化ワークフローでの対応時間短縮といった五大メリットを提供します。一方、データ品質チューニングコスト説明可能性過信防止敵対的AI対策といった課題もあります。導入時は、AI技術の透明性検知実績誤検知抑制チューニング柔軟性学習要件パフォーマンスを厳格にチェックし、継続的に運用改善する体制を整えましょう。将来的には、自律的対応予測インテリジェンス個別最適化運用最適化Responsible AIの実装が進み、セキュリティ運用はさらなる進化を遂げます。担当者管理部決裁者が、AI搭載型XDRの価値と限界を正しく理解し、戦略的に活用すれば限られたリソースでも防御力を飛躍的に高め、ビジネス継続性と競争優位性を確保できるはずです。