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SFA JOURNAL by ネクストSFA

顧問契約とは?雇用契約・業務委託との違いやメリットなど徹底解説

小島 伸介

【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介

株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。

企業が専門的な知見を必要とする場面で活用される「顧問契約」。経営、法務、人事、ITなど多様な分野で外部のプロフェッショナルを迎える手段として注目されています。しかし、「雇用契約」や「業務委託契約」との違いが分かりにくく、導入に不安を感じる企業担当者も少なくありません。本記事では、顧問契約の基本から、他契約との違い、導入メリット、注意点までをわかりやすく解説します。

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顧問契約とは?~その定義と役割、法的性質~

まず、「顧問契約」とは具体的にどのような契約なのか、その基本的な定義、役割、そして法的な位置づけについて確認しましょう。

顧問契約の定義

顧問契約とは、一般的に、企業が特定の分野における高度な専門知識、豊富な経験、あるいは広範な人脈を持つ外部の個人または法人(顧問)に対して、経営や特定の業務に関する助言、指導、情報提供、意見具申などを継続的または定期的に依頼し、その対価として報酬を支払うことを内容とする契約を指します。

重要なのは、顧問はあくまで外部の独立した立場から、専門的な知見に基づいて企業をサポートする存在であるという点です。企業の従業員のように、直接的な業務執行の指示を受けたり、日常的な業務遂行の主体となったりすることは通常ありません。

顧問に期待される役割

顧問に期待される役割は、企業のニーズや顧問の専門性に応じて非常に多岐にわたります。代表的な顧問の種類と役割の例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 経営顧問: 経営戦略全般、事業計画策定、組織改革、新規事業開発などに関する助言・指導
  • 法律顧問(弁護士): 法的な問題に関する相談、契約書のレビュー・作成支援、コンプライアンス体制構築支援、紛争予防・対応に関する助言
  • 税務顧問(税理士): 税務申告、節税対策、税務調査対応、会計処理に関する指導・助言
  • 労務顧問(社会保険労務士): 人事労務管理、就業規則作成・改定、社会保険手続き、労使トラブル予防・対応に関する助言
  • 技術顧問: 特定の技術分野に関する専門知識の提供、研究開発の方向性に関する助言、技術動向調査、製品開発支援
  • その他専門顧問: 財務、M&A、マーケティング、広報・IR、ITシステム、海外進出支援、サステナビリティ経営など、特定の専門分野に関するアドバイス

これらの顧問は、企業が内部に持たない、あるいは不足している専門性や客観的な視点を補完し、経営上の意思決定の質を高めたり、特定の経営課題を解決に導いたりすることを主な目的としています。

顧問契約の法的性質

日本の法律には「顧問契約」という名称の契約類型が明確に定められているわけではありません。実務上、顧問契約は民法における「準委任契約」またはそれに近い性質を持つ「業務委託契約」の一種として解釈されるのが一般的です。

準委任契約とは

法律行為以外の事務の処理を委託する契約です(民法第656条)。受任者(顧問)は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務(善管注意義務)を負います(民法第644条)。これは、「専門家として通常期待されるレベルの注意を払って業務を行います」という意味であり、必ずしも特定の結果(例:売上〇%向上)の達成を保証するものではありません。

業務委託契約とは

広義には、委任契約、準委任契約、請負契約など、業務を外部に委託する契約全般を指します。

顧問契約の多くは、特定の「成果物」の完成を目的とするよりも、専門家としての知見に基づく助言や指導といった「事務処理行為」の遂行を依頼する性質が強いため、準委任契約に該当する場合が多いと考えられます。ただし、契約内容によっては、特定のレポート作成や調査報告などを成果物として定める場合もあり、その場合は「請負契約」の要素を含むこともあります。

契約の法的性質を理解することは、後述する雇用契約や他の業務委託契約との違いを把握し、適切な契約内容を定める上で重要となります。

顧問契約を検討すべき理由

現代はVUCA(Volatility変動性、Uncertainty不確実性、Complexity複雑性、Ambiguity曖昧性)の時代と呼ばれ、企業を取り巻く経営環境はかつてないスピードで変化し続けています。テクノロジーの急速な進化、グローバル競争の激化、国内市場の構造変化、サステナビリティへの要請、そして働き方の多様化など、経営者が向き合うべき課題はますます複雑化・高度化しています。

こうした予測困難な状況下で企業が持続的な成長を遂げるためには、変化への迅速な適応的確な意思決定が不可欠です。しかし、社内のリソースや知見だけでは、これらの高度な経営課題すべてに対応することが困難な場面も少なくありません。

特に、以下のような重要局面においては、外部の専門的な知見や客観的な視点が求められます。

  • 新規事業の立ち上げや市場参入戦略の策定
  • DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
  • M&Aや事業再編の実行
  • 海外展開における法規制・商習慣への対応
  • コーポレートガバナンスの強化とコンプライアンス体制の構築
  • 専門的な技術開発や研究に関するアドバイス

このような背景から、近年多くの企業経営者が注目しているのが「外部顧問」の活用です。外部顧問は、特定の分野において深い専門知識、豊富な実務経験、そして広範なネットワークを有しており、企業が抱える課題に対して的確な助言や実行支援を提供してくれます。

必要な時に、必要な専門性を、雇用という形態にとらわれずに柔軟に活用できる点は、経営資源が限られる中堅・中小企業にとっても大きな魅力と言えるでしょう。また、社内のしがらみがない第三者の客観的な視点は、経営者が陥りがちなバイアスを取り除き、より本質的で効果的な意思決定を後押しします。

顧問契約と雇用契約の違いとは?

顧問契約を検討する上で、最も重要かつ混同してはならないのが「雇用契約」との違いです。両者は法的性質、適用される法律、当事者間の権利義務関係が全く異なります。この違いを正確に理解しないまま顧問契約を締結・運用すると、「偽装請負」とみなされ、労働基準法違反や予期せぬ法的責任を問われるリスクがあります。決裁者として必ず押さえておくべき両者の決定的な違いを、具体的な比較ポイントと共に解説します。

雇用契約とは?

まず、雇用契約の基本を確認しましょう。雇用契約とは、労働者が使用者(企業)の指揮命令下で労働を提供し、使用者がその対価として賃金を支払うことを約束する契約です(労働契約法第6条)。

顧問契約と雇用契約の主な違い

顧問契約と雇用契約の違いは以下の通りです。

比較項目顧問契約 (準委任契約が典型的)雇用契約
指揮命令関係原則なし (独立した専門家としての助言・指導)あり (業務内容・遂行方法・時間・場所等の指示)
業務遂行の裁量大きい (専門家としての裁量に委ねられる部分が多い)小さい (使用者の指示に従う義務)
時間的・場所的拘束原則なし (業務の性質に応じ柔軟。ただし常駐等も有)あり (労働時間・勤務場所が指定される)
代替性原則なし (特定の専門家への依頼)あり (他の労働者でも代替可能な場合がある)
報酬の性質業務委託の対価 (役務提供への報酬)賃金 (労働の対価)
労働基準法等の適用原則適用なし全面的に適用あり
社会保険・労働保険原則加入義務なし (顧問自身が国民健康保険等に加入)加入義務あり (企業負担分が発生)
費用負担原則顧問負担 (業務に必要な経費)原則使用者負担 (業務に必要な経費)
契約解除(解雇)契約内容に基づく (解雇権濫用法理は適用外)厳しい法規制あり (解雇権濫用法理が適用)

上記の比較から、決裁者が特に認識すべき点は以下の通りです。

  1. 指揮命令関係の有無: これが最も本質的な違いです。顧問に対して、従業員に対するような具体的な業務指示や時間管理を行うことはできません。もし実態として指揮命令関係があると判断されると、雇用契約とみなされるリスクが高まります。
  2. 労働法規適用の有無: 雇用契約には労働基準法、労働契約法などが適用され、労働時間規制、残業代支払義務、有給休暇付与義務、解雇制限など、企業側には多くの法的義務が発生します。顧問契約(準委任契約)では、これらの義務は原則として発生しません。
  3. 社会保険・労働保険の負担: 雇用契約では、企業は従業員の社会保険料(健康保険、厚生年金)や労働保険料(雇用保険、労災保険)の一部または全部を負担する必要があります。顧問契約では、これらの企業負担は原則ありません。

顧問契約と雇用契約のメリット・デメリット

企業側から見れば、顧問契約は雇用契約に比べて人件費(社会保険料等)や労務管理コストを抑制でき、解雇規制を受けないというメリットがあります。しかし、これは裏を返せば、顧問側にとっては労働者としての保護(各種保険、解雇規制など)を受けられないというデメリットになります。

安易なコスト削減目的だけで雇用関係にあるべき業務を顧問契約に切り替えることは、「偽装請負」として労働局から指導を受けたり、訴訟リスクを招いたりする可能性があります。契約形態は、業務の実態に合わせて慎重に判断する必要があります。顧問契約を締結する際は、指揮命令関係が生じないように、業務範囲や報告方法などを契約書で明確に定め、実際の運用においてもその区別を意識することが極めて重要です。

顧問契約と業務委託契約(準委任・請負)の違い

前述の通り、顧問契約は法的には「準委任契約」またはそれに近い性質を持つ「業務委託契約」の一種と解釈されるのが一般的です。しかし、「業務委託契約」という言葉は非常に広範であり、その中には顧問契約とは性質の異なる契約も含まれます。ここでは、顧問契約(主に準委任契約を想定)と、他の典型的な業務委託契約、特に「請負契約」との違いを中心に整理し、契約形態選択の際の判断材料を提供します。

業務委託契約の主な種類

まず、業務委託契約の代表的な種類とその特徴を確認しましょう。

  • 準委任契約: 法律行為以外事務処理を委託する契約。
    • 義務: 善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務(善管注意義務)。
    • 目的: 事務処理行為の遂行そのもの。
    • 報酬: 原則として役務提供(プロセス)に対して支払われる。
    • 例: 弁護士への訴訟委任、医師への診療委任、コンサルティング契約、顧問契約
  • 委任契約:法律行為を委託する契約。基本的な性質は準委任契約と同様。
    • 例: 不動産売買の代理委任。
  • 請負契約:仕事の完成を目的とする契約。
    • 義務: 仕事を完成させる義務。完成した仕事の結果(成果物)に契約不適合(瑕疵)があれば責任(契約不適合責任)を負う。
    • 目的: 仕事の完成と成果物の引き渡し。
    • 報酬: 原則として仕事の完成(結果)に対して支払われる。
    • 例: システム開発、ウェブサイト制作、建築工事、デザイン制作。

顧問契約(準委任)と請負契約の主な違い

顧問契約をより深く理解するために、請負契約との比較を行います。

比較項目顧問契約 (準委任契約が典型的)請負契約
契約の目的専門的な助言・指導等の事務処理行為の遂行仕事の完成・成果物の納品
受託者の義務の中心善管注意義務(プロセスにおける注意義務)仕事完成義務、契約不適合責任(結果責任)
報酬の対象役務の提供(プロセス) が中心仕事の完成(結果) が中心
成果物の有無必須ではない(助言・指導が中心)必須(納品される成果物が存在する)
指揮命令関係原則なし原則なし
業務遂行の裁量大きい大きい
契約不適合責任原則負わない負う
契約解除各当事者がいつでも解除可能(損害賠償の可能性あり)仕事完成前は注文者がいつでも解除可能(損害賠償要)

理解すべきポイント

  1. 目的の違い: 顧問に依頼するのは、特定の「モノ(成果物)」を作ってもらうことではなく、専門家としての「知見やアドバイス(プロセス)」を得ることです。一方、請負契約は明確な「成果物」の納品を目的とします。
  2. 責任の違い: 顧問は、専門家として適切な注意を払って助言等を行えば義務を果たしたことになりますが(善管注意義務)、必ずしも期待通りの結果(例:業績向上)を保証するものではありません。一方、請負契約の受託者は、完成した成果物が契約内容に適合しない場合、修補や損害賠償等の責任を負います。
  3. 報酬の考え方: 顧問契約の報酬は、多くの場合、専門的な知見を提供してもらうこと自体への対価(月額固定など)です。請負契約の報酬は、成果物の完成・納品に対する対価となります。

契約形態選択の重要性

外部に業務を依頼する際には、その業務の性質(プロセス重視か、結果・成果物重視か)をよく見極め、適切な契約形態を選択することが重要です。

  • 経営戦略や法務・税務に関する継続的なアドバイスが欲しい → 顧問契約(準委任)
  • 新しい業務システムを開発してほしい → 請負契約
  • 市場調査レポートを作成して納品してほしい → 請負契約(ただし、調査プロセス自体への助言も含むなら準委任的要素も)
  • 特定の事務作業(経理入力など)を代行してほしい → 準委任契約

もし契約形態と業務実態が乖離していると、報酬の支払い基準や責任の所在を巡ってトラブルになる可能性があります。契約書を作成する際には、依頼する業務内容を具体的に記述し、それが準委任なのか請負なのか、あるいは両者の混合契約なのかを意識して、権利義務関係を明確に定めることが求められます。

顧問契約を導入するメリット

外部顧問との契約は、単に専門知識を得るだけでなく、企業経営に多岐にわたる具体的な価値をもたらします。特に変化が激しく、専門性が求められる現代において、顧問契約のメリットはますます大きくなっています。決裁者の視点から、顧問契約を導入する主なメリットを整理してみましょう。

  1. 高度な専門知識・経験・ノウハウの活用
    • 社内では獲得・育成が難しい、あるいはコストがかかる特定の分野における深い知見や実務経験を、必要な時にタイムリーに活用できます。
    • 最新の業界動向、法改正、技術トレンドなどを踏まえた、質の高いアドバイスや具体的な解決策を得ることで、自社だけでは到達し得ないレベルでの課題解決や事業展開が可能になります。
    • 例:新規事業のリスク評価と戦略策定、複雑なM&Aスキームの検討、専門的な技術課題の解決など。
  2. 客観的・中立的な視点の獲得
    • 社内の人間関係や既存の慣習、組織的なバイアスにとらわれない、第三者としての客観的な意見や分析を得ることができます。
    • 時には耳の痛い指摘も含め、現状を冷静に評価し、本質的な課題を特定する上で役立ちます。
    • これにより、経営者はより多角的で偏りのない視点から意思決定を行うことができ、判断ミスを防ぎ、より良い経営判断を導くことが期待できます。
  3. 経営リソースの最適化と柔軟性
    • 特定の専門分野を持つ人材を正社員として雇用する場合に比べて、採用コスト、固定的な人件費、教育研修費、福利厚生費などを抑制できます。
    • プロジェクト単位や期間を限定して契約するなど、企業の状況やニーズに合わせて柔軟に専門家のサポートを得ることができます。必要な時に必要な分だけリソースを投入できるため、経営の効率化に繋がります。
    • 雇用契約に伴う法的責任(社会保険加入義務、解雇規制など)を負わないため、労務管理の負担も軽減されます。(※ただし、偽装請負にならないよう注意が必要)
  4. 意思決定の迅速化と質の向上
    • 複雑な問題に直面した際、専門家からの的確なアドバイスにより、迷いや手戻りを減らし、より迅速な意思決定をサポートします。
    • 多様な選択肢のメリット・デメリットを整理し、リスク評価を行うことで、より確度の高い、戦略的な意思決定が可能になります。
  5. 外部ネットワーク・人脈の活用
    • 顧問が持つ広範な業界ネットワークや専門家人脈を紹介してもらえる可能性があります。
    • これにより、新たなビジネスパートナーの発掘、キーパーソンへのアクセス、情報収集チャネルの拡大など、事業機会の創出や課題解決の新たな糸口が見つかることがあります。
  6. 経営陣の負担軽減と相談相手の確保
    • 経営者は常に多くの課題と孤独な判断に直面しますが、信頼できる顧問は良き相談相手となり、精神的な負担を軽減してくれます。
    • 専門的な課題について顧問に相談・委任することで、経営者はコア業務やより重要な戦略的意思決定に集中することができます。

これらのメリットを最大限に引き出すためには、自社の課題や目的を明確にし、それに合致した専門性と経験を持つ、信頼できる顧問を選定することが何よりも重要です。また、顧問との良好なコミュニケーションを通じて、その知見を積極的に経営に活かしていく姿勢が求められます。

顧問契約に潜むリスクと失敗しないための注意点

多くのメリットが期待できる顧問契約ですが、一方で潜在的なリスクも存在します。これらのリスクを事前に認識し、適切な対策を講じなければ、期待した効果が得られないばかりか、かえって時間やコストを浪費したり、経営に悪影響を及ぼしたりする可能性もあります。顧問契約を成功させるために、決裁者が留意すべき主なリスクと、その対策となる注意点を解説します。

顧問契約における主なリスク

顧問契約は、専門的な知見を外部から柔軟に取り入れられる有効な手段ですが、安易な導入や運用次第では、企業にとって深刻なリスクを招く可能性もあります。とくに「期待した成果が得られない」「機密情報の漏洩」「契約トラブル」など、見落としがちなリスクには注意が必要です。

  1. 期待した成果が得られないリスク(ミスマッチリスク)
    • 原因: 顧問の専門性や能力が自社の課題や期待水準と合わない、顧問のコミットメントが低い、コミュニケーション不足で的確なアドバイスを引き出せない。
    • 影響: 報酬に見合う価値が得られない、課題解決が進まない、時間とコストの浪費。
  2. 機密情報の漏洩リスク
    • 原因: 顧問は業務上、企業の経営戦略、財務情報、技術情報、顧客情報などの重要情報にアクセスするため、意図的か過失かを問わず情報が外部に漏れる可能性がある。
    • 影響: 企業の信用失墜、競争優位性の喪失、損害賠償請求などの深刻なダメージ。
  3. 契約内容の曖昧さによるトラブルリスク
    • 原因: 依頼する業務範囲、顧問の具体的な役割・責任、報告義務、報酬体系、契約期間、解除条件などが不明確なまま契約してしまう。
    • 影響: 契約履行中に認識の齟齬が生じ、「言った・言わない」の紛争や報酬支払いを巡るトラブルに発展。
  4. 顧問への過度な依存リスク
    • 原因: 特定の顧問に頼りすぎてしまい、社内での意思決定能力や課題解決能力が育たない。
    • 影響: 顧問がいなくなった場合に業務が停滞する、社内にノウハウが蓄積されない、主体的な経営判断ができなくなる。
  5. 実態と乖離した契約による法的リスク(偽装請負リスク)
    • 原因: 契約上は顧問契約(準委任)でも、実態として企業が顧問に指揮命令を行っている。
    • 影響: 労働基準法違反として是正指導を受けたり、未払い残業代や社会保険料の遡及支払いを求められたりする可能性がある。

失敗しないための注意点(リスク対策)

上記のリスクを回避・低減するために、以下の点に注意して顧問契約を進めましょう。

【対策1】契約前の慎重な選定と期待値調整

  • 目的・課題の明確化: 顧問に何を依頼したいのか、どのような成果を期待するのかを具体的に定義する。
  • 候補者の吟味: 複数の候補者と面談し、専門性、実績、経験、そして自社との相性(価値観、コミュニケーションスタイル)を慎重に見極める。紹介サービスを利用する場合も、丸投げせず自社でしっかり評価する。
  • 期待値のすり合わせ: 契約前に、業務範囲、関与度、アウトプットイメージ、コミュニケーション方法などについて、顧問と具体的な認識合わせを行う。

【対策2】秘密保持契約(NDA)の徹底

  • 顧問契約書本体に厳格な秘密保持義務条項(秘密情報の定義、目的外利用禁止、第三者開示禁止、契約終了後の義務、罰則等)を盛り込む。
  • 必要に応じて、契約締結前に別途NDAを締結する。
  • 顧問に対しても情報管理の重要性を繰り返し伝え、意識を高めてもらう。

【対策3】契約書の明確化と詳細化

  • 業務範囲の特定: 「何をどこまで依頼するのか」を可能な限り具体的に記述する。曖昧な表現(「経営全般に関する助言」など)は避ける。
  • 役割・責任の明確化: 顧問の責任範囲と、社内担当者の役割分担を明確にする。
  • 報告義務: 報告の頻度、形式、内容などを具体的に定める。
  • 報酬: 算定根拠、支払条件、経費負担などを明確にする。
  • 契約期間と解除条件: 自動更新の有無、中途解約の可否や条件、通知期間などを明確にする。
  • レビュー依頼: 必要であれば弁護士などの専門家に契約書のレビューを依頼する。

【対策4】適切なコミュニケーションと関係構築

  • 定期的なミーティングを設定し、進捗状況、課題、懸念事項などをオープンに共有する。
  • 顧問からの報告や提案に対して、積極的にフィードバックを行う。
  • 顧問を単なる外部業者としてではなく、信頼できるパートナーとして尊重し、良好な関係を築く努力をする。

【対策5】雇用契約との明確な区別(運用上の注意)

  • 顧問に対して、従業員に対するような指揮命令(具体的な作業指示、時間管理など)を行わない
  • 業務の進め方は、基本的に顧問の専門的な裁量に委ねる。
  • 定期的に契約内容と運用実態が乖離していないか確認する。

これらの注意点を踏まえ、慎重に準備と検討を進めることが、顧問契約を成功させ、そのメリットを最大限に享受するための鍵となります。

顧問契約の報酬相場と報酬体系の種類・決定要因

外部顧問との契約を検討する上で、報酬は避けて通れない重要な要素です。「顧問の報酬はいくらぐらいが妥当なのか?」と悩む経営者・決裁者の方は多いでしょう。顧問報酬は様々な要因によって変動するため一概には言えませんが、ここでは一般的な相場観、報酬体系の種類、そして報酬額を左右する主な決定要因について解説します。

報酬の一般的な相場観(目安)

顧問の種類や依頼内容によって報酬は大きく異なりますが、あくまで目安として以下のような相場観があります。

  • 経営顧問:
    • 中小企業向け: 月額10万円~50万円程度
    • 中堅・大企業向け: 月額50万円~数百万円程度
    • ※企業の規模、課題の難易度、顧問の知名度・実績により大きく変動。
  • 法律顧問(弁護士):
    • 月額3万円~10万円程度(一般的な相談対応)
    • 月額10万円~数十万円程度(契約書レビュー、複雑な相談、簡易な案件対応を含む場合)
    • ※具体的な案件対応は別途費用が発生する場合が多い。
  • 税務顧問(税理士):
    • 月額数万円~数十万円程度(記帳代行、税務相談、申告業務を含む場合)
    • ※企業の売上規模や従業員数、取引の複雑さにより変動。
  • 労務顧問(社会保険労務士):
    • 月額数万円~十数万円程度(労務相談、社会保険手続き代行を含む場合)
    • ※従業員数や依頼業務の範囲により変動。
  • 技術顧問・専門分野顧問:
    • 月額数十万円~百万円以上
    • ※専門性の高さ、希少性、業界での実績、稼働時間により大きく変動。

【重要】 上記はあくまで一般的な目安であり、個別の契約では大きく異なる場合があります。必ず複数の情報源を確認したり、顧問候補者と直接交渉したりして、適正な報酬水準を見極めることが重要です。

報酬体系の主な種類

顧問契約で用いられる主な報酬体系には、以下のようなものがあります。

  1. 月額固定報酬(リテイナー契約):
    • 最も一般的な形態。毎月一定額の報酬を支払う。
    • メリット: 予算管理がしやすい、安定的に顧問のサポートを受けられる。
    • デメリット: 稼働時間が少ない月でも費用が発生する。
  2. タイムチャージ:
    • 顧問が実際に稼働した時間に基づいて報酬を計算する(例: 〇円/時間)。
    • メリット: 稼働時間に応じた費用支払いのため無駄がない。
    • デメリット: 稼働時間が増えると費用が高額になる、予算管理が難しい。
  3. スポット契約(プロジェクト契約):
    • 特定の課題解決やプロジェクト完了までを契約期間とし、一括または分割で報酬を支払う。
    • メリット: 目的が明確な場合に適している、費用総額が確定しやすい。
    • デメリット: 契約期間中に新たな課題が発生した場合に対応しにくい。
  4. 成果報酬:
    • 顧問の貢献によって得られた成果(売上増加、コスト削減、資金調達額など)に応じて報酬額が変動する。固定報酬と組み合わせて用いられることも多い。
    • メリット: 成果が出なければ報酬負担が少ない、顧問のモチベーションを高めやすい。
    • デメリット: 成果の測定や顧問の貢献度の評価が難しい、目標設定や基準を巡ってトラブルになる可能性がある。

報酬額を決定する主な要因

顧問報酬は、主に以下の要因を総合的に考慮して決定されます。

  • 顧問の専門性・経験・実績: 高度な専門性、希少なスキル、豊富な実績を持つ顧問ほど高額になる傾向があります。
  • 依頼する業務の範囲・難易度: 担当する業務範囲が広い、または課題の難易度が高いほど報酬は高くなります。
  • 期待される役割・責任の重さ: 経営戦略の根幹に関わるような重責を担う場合は高額になります。
  • 稼働時間・頻度: 想定される稼働時間やミーティングの頻度が多いほど高くなります。
  • 契約期間: 長期契約の場合は月額単価が抑えられる可能性があります。
  • 企業の規模・業種・経営状況: 企業の支払い能力や業界水準も考慮されます。
  • 市場環境・需給バランス: 特定分野の専門家の需要が高い場合は、相場が上昇する傾向があります。

報酬交渉のポイント

報酬額は最終的に顧問との個別交渉で決定されます。交渉にあたっては、依頼したい業務内容、期待する成果、必要な稼働時間などを具体的に提示し、報酬額の根拠について双方でしっかり協議することが重要です。複数の候補者から見積もりを取り、比較検討することも有効でしょう。予算内で最大限の効果を得るためにも、報酬体系と金額については、透明性を確保し、双方にとって納得感のある条件を見出す努力が求められます。

失敗しない顧問契約締結のポイントと契約書の重要項目

顧問契約を成功させ、そのメリットを最大限に引き出すためには、契約締結に至るプロセスと、契約書の内容が極めて重要になります。安易な契約は、後々のミスマッチやトラブルの原因となりかねません。ここでは、失敗しないための顧問契約締結のポイントと、契約書に盛り込むべき重要項目について解説します。

顧問契約締結までの重要ポイント

顧問契約を成功させるためには、契約そのものよりも「導入前の準備」が最も重要です。目的の明確化から候補者選定、事前のすり合わせ、契約内容の確認まで、どれか一つでも曖昧なまま進めてしまうと、後に大きなトラブルや期待外れにつながる可能性があります。

  1. 目的と課題の明確化【最重要】
    • なぜ顧問が必要なのか? 解決したい経営課題、達成したい目標は何か?
    • 顧問に何を期待するのか? 具体的な役割、業務範囲、期待する成果レベルは?
    • これらを可能な限り具体的に言語化し、社内で共通認識を持つことが全ての出発点です。「経営全般を見てほしい」といった曖昧な状態では、適切な顧問選定も契約もできません。
  2. 顧問候補者の慎重な選定
    • 専門性・実績の確認: 自社の課題解決に必要な専門性や実績を持っているか、具体的な経歴や過去の事例を確認します。
    • 相性の見極め: 経営陣や担当者とのコミュニケーションスタイルや価値観が合うかも重要です。信頼関係を築けそうか、率直な議論ができそうか、面談を通じて見極めます。
    • 複数候補の比較: 可能であれば複数の候補者と面談し、提案内容、人柄、費用などを比較検討します。
    • 紹介サービスの活用: 顧問紹介サービスを利用する場合は、自社のニーズを正確に伝え、推薦された候補者を鵜呑みにせず、自社でもしっかり評価・選考を行います。(※最適な顧問探しにお困りの際は、弊社の顧問紹介サービスもぜひご検討ください。 豊富なネットワークから貴社の課題に最適な専門家をご紹介します。)
  3. 契約前の十分なすり合わせ
    • 契約書の内容はもちろん、実際の業務の進め方、コミュニケーション方法(頻度、手段)、報告形式、期待する関与度などについて、契約締結前に顧問と具体的なイメージを共有し、認識の齟齬がないようにします。
  4. 契約書の内容の精査と明確化
    • 口約束は絶対に避け、必ず書面で契約を締結します。
    • 後述する「契約書の重要項目」が網羅され、かつ内容が具体的で明確になっているか、時間をかけて確認します。不明瞭な点や疑問点は、契約前に必ず解消します。
    • 必要に応じて、弁護士などの専門家に契約書のレビューを依頼することも有効です。

顧問契約書に盛り込むべき重要項目

顧問契約書は、後々のトラブルを防止し、円滑な関係を維持するための基盤となります。以下の項目は最低限盛り込み、その内容を具体的に定めるようにしましょう。

  • 契約の目的: なぜこの契約を締結するのか、背景や目的を記載します。
  • 委託業務の内容・範囲: 【最重要項目の一つ】 顧問に依頼する具体的な業務内容、役割、責任範囲を可能な限り詳細に特定します。「○○に関する助言・指導」「○○に関する情報提供」「月〇回の定例会議への出席と意見具申」など。逆に「含まれない業務」を明記することも有効です。
  • 報告義務: 報告の頻度(毎月、四半期ごと等)、方法(書面、メール、会議等)、内容などを定めます。
  • 報酬:
    • 報酬額(月額固定、タイムチャージ単価、成果報酬の計算方法など)
    • 支払条件(支払時期、支払方法)
    • 消費税の取り扱い
    • 経費負担(交通費、宿泊費などの負担ルール)
  • 契約期間:
    • 契約開始日と終了日
    • 自動更新の有無、更新手続き
  • 秘密保持義務:
    • 秘密情報の定義
    • 目的外利用の禁止
    • 第三者への開示制限
    • 契約終了後の守秘義務期間
    • 違反した場合の措置
  • 知的財産権の帰属: 業務の過程で生じた発明や著作物などの権利が誰に帰属するのかを定めます。
  • 競業避止義務・利益相反: 必要に応じて、契約期間中および契約終了後の一定期間、競合する事業を行わない、あるいは利益が相反する行為を行わない旨を定めます。
  • 契約解除:
    • 中途解約の可否
    • 解約可能な事由(債務不履行、信頼関係の破壊など)
    • 解約時の通知期間
    • 解約時の報酬の精算方法
  • 損害賠償: 一方当事者の責めに帰すべき事由により損害が生じた場合の賠償責任について定めます(責任制限条項を設けることもあります)。
  • 反社会的勢力の排除: 双方が反社会的勢力でないこと、関与しないことを表明・保証する条項です。
  • 準拠法・合意管轄: 契約の解釈にあたり適用される法律と、紛争が生じた場合の裁判所を定めます。

これらのポイントを押さえ、内容を十分に検討・協議した上で契約を締結することが、顧問契約を成功に導くための重要なステップとなります。

まとめ

本記事では、「顧問契約とは何か」という基本的な問いから出発し、その定義、役割、法的性質、そして特に誤解しやすい雇用契約や業務委託契約との明確な違いについて解説しました。さらに、顧問契約が企業経営にもたらす具体的なメリット(専門知識の活用、客観性の獲得、コスト抑制、柔軟性など)と、同時に認識しておくべき潜在的なリスク(ミスマッチ、情報漏洩、契約トラブルなど)、そして気になる報酬相場や契約締結時の重要ポイントに至るまで、決裁者の皆様が顧問活用を検討する上で必要となる情報を網羅的に提供してきました。

変化が激しく専門性が求められる現代において、外部顧問は企業の持続的成長を支える強力なパートナーとなり得ます。しかし、その効果を最大限に引き出すためには、「なぜ顧問が必要なのか」という目的を明確にし、自社の課題に本当に合致した、信頼できる顧問を選定することが何よりも重要です。

そして、契約締結にあたっては、業務範囲、責任、報酬、秘密保持といった重要事項を契約書で具体的に定め、双方の認識を一致させておくことが、後のトラブルを未然に防ぎ、良好な関係を築くための鍵となります。特に、雇用契約との違いを意識し、指揮命令関係が生じないような適切な運用を心がけることは、法的なリスクを回避する上で不可欠です。

顧問契約は、単なる外部委託ではなく、企業と専門家との長期的なパートナーシップです。本記事で得られた知識が、貴社にとって最適な顧問活用のあり方を見出し、経営課題の解決とさらなる発展に繋がる一助となれば幸いです。

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