管理職の選抜・育成に適性検査を利用する方法
【監修】株式会社ジオコード マーケティング責任者
渡辺 友馬
管理職の選抜や育成は、人事部門のみならず企業や組織全体にとって重要な課題です。そんな重要な課題の選抜や育成において、近年注目されているのが適性検査を利用する方法です。
そこで、今回は、管理職の選抜や育成に適性検査を利用する方法や、メリット・デメリットなどを解説します。
この記事の目次はこちら
管理職の選抜・育成に適性検査を利用する方法
管理職向けの適性検査は、組織以外の第三者によって客観的な方法かつ公平な視点を用いて、社員の管理職への選抜や育成への適性を評価するものです。
近年は、かつて勤続年数や経験から管理職の選抜を行っていた頃とは異なり、業績やそれぞれの人柄よって管理職の選抜や育成を行う企業が増えています。とはいえ、業績や人柄の評価が高くとも、必ずしもその人材に管理職が向いているとは限りません。
従来の人事評価は、人事部ではなく直属の上司が判断をすることが多く、上司と部下の関係性によって評価が左右されることも珍しくはありませんでした。そこで、そのようなリスクを減らし、適切な管理職の選抜や育成に役立つのが適性検査を利用する方法です。
従来の人事評価と適性検査の違い
従来の人事評価による管理職の選抜や育成と適性検査を利用する方法の違いは、人の感情や考え方によるものではなく、あくまでも公平で客観的な視点から判断が可能なことです。
これまでの人事評価では、業務の評価と直属の上司の主観的な評価が混じりあったものでした。直属の上司の主観的な評価が入ると、どうしても上司と部下の日々の関係性が評価に影響を及ぼすことが避けられませんでした。
また、営業部門のように実績が明確な部門と、管理部門のように数字による実績が出にくい部門では、それぞれの比較が難しく、管理部門の社員の方が評価に納得しづらいということも少なくなかったのです。
一方、適性検査では、直属の上司の主観的な評価によっておこるブレや、公平な判断が難しいといったことを避けられます。評価をする側だけではなく評価をされる側も、第三者による客観的な評価であるため、結果に納得しやすいといった違いがあるのです。
管理職の選抜や育成に適性検査を利用することのメリット
管理職の選抜や育成に適性検査を利用することには、次のようなメリットがあります。ここからは、それぞれのメリットについて解説します。
客観的な評価が可能になる
従来の人事評価制度では、直属の上司の主観的な評価が入ることが少なくありませんでした。適性検査であれば、第三者の視点から企業が求める人材であるかを分析し評価するため、客観的な評価が可能です。
昇進・昇格におけるミスマッチが防げる
管理職の選抜や育成を適切に行うには、その人物が新たな役職で期待通りのパフォーマンスを行えるかどうかの見極めが欠かせません。適性検査を利用した方法であれば、あくまでも客観的な観点による評価のため、昇進・昇格におけるミスマッチを防げることが期待できます。
人材配置の最適化ができる
新しい部署やプロジェクトを立ち上げる際にも、適性検査による評価は役立ちます。他の管理職による主観的な判断よりもより公平な人材配置が可能となるでしょう。
人材発掘のきっかけになる
自ら管理職になることを希望していない人物でも、実は管理職へのポテンシャルが高いということも大いにあり得ます。適性検査はこれまで企業や本人が自覚をしていなかった管理職への適性を明らかにし、適切な人材発掘のきっかけにもなります。
自己開発のきっかけになる
適性検査を行うことで、目指すべき自分の姿と、客観的現状とのギャップを知ることになる社員もいることでしょう。客観的な評価は、それぞれの社員の人材開発のきっかけになる可能性もあります。
管理職の選抜や育成に適性検査を利用することの注意点
管理職の選抜や育成に適性検査を利用する方法は、さまざまなメリットがある一方、注意すべき点もあります。以下では、特に注意すべき3つのポイントを解説します。
評価基準や評価項目を明確に定める
適性検査では、社員一人ひとりの管理職としてのポテンシャルを評価することはできるものの、価値観や感情といった人間性による部分の適性を判断することはできません。
そのため、管理職の選抜や育成においては、求める人物像や人間性の部分を明確にしておくことで、適性検査の結果を適切に反映させることができるでしょう。
時間と労力が発生する
適性検査にはさまざまなものがあり、所要時間も適性検査の種類によってさまざまです。しかし、ずれにせよ適性検査には時間と準備のための労力が発生することはたしかです。
人事部が適性検査を導入・運営する場合には、従来の業務に加えて時間と労力が発生することを理解しておく必要があります。
社員が理想の人物像を演じる可能性がある
管理職の選抜や育成に適性検査を導入する場合は、企業が求める人物像をあらかじめ設定しておく必要があります。
しかし、管理職を希望する社員が企業が求める人物像になりすます可能性もあります。仮になりすましをし、晴れて管理職になったとしても、結果としてミスマッチが生じ、企業に損失をもたらす可能性がある点には注意が必要です。
管理職の選抜や育成に適性検査を活用しよう
管理者の選抜や育成において、適性検査を活用する企業は増えています。適性検査にはさまざまなものがあるため、まずは自社が求める人物像を明確にした上で、その人物像にマッチする人材を見出せる適性検査を選ぶことが大切です。
適性検査を有効に活用しながら、それぞれの社員が持つ能力を最大限に活かせる環境づくりを行いましょう。