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SFA JOURNAL by ネクストSFA

経理のDXは何からやればいい?DX化のメリットや進め方について解説

小島 伸介

【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介

株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。

現代のビジネス環境は、デジタル化の加速、働き方の多様化、インボイス制度や電子帳簿保存法など法制度の変化により、大きな転換点を迎えています。こうした中、企業の経営基盤を支える経理部門も、従来の手作業中心の業務からの脱却が急務となっています。特にBtoB取引における請求・入金管理は、非効率やミスが多く、キャッシュフローや経営判断に悪影響を及ぼしかねません。そこで注目されているのが「経理のDX(デジタルトランスフォーメーション)」です。

本記事では、経理DXのメリットや実践の第一歩として何から始めるべきかを、分かりやすく解説します。

 

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MakeLeaps 月額 取引先追加ライセンス(501~1000社)
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経理のDXとは何か? – 本質と目的の再確認

「経理DX」とは、単なるデジタルツールの導入(デジタイゼーション)や部分的な業務効率化(デジタライゼーション)を超え、デジタル技術を前提として経理業務プロセス全体、さらには組織や働き方までを変革し、新たな価値を創出する取り組み(デジタルトランスフォーメーション)です。

従来の紙やExcel、手作業を中心としたアナログな経理業務は、時間的・人的コストの浪費、ミスの発生、属人化によるリスク、情報共有の遅延といった多くの課題を抱えていました。経理DXは、これらの課題を根本から解決することを目指します。具体的には、請求管理システム、会計システム、経費精算システム、ERP等を連携させ、データがシステム間をシームレスに流れ、多くの処理が自動化される仕組みを構築します。

この自動化によって得られる最大の価値は、経理担当者が単純な反復作業から解放され、予算策定・管理、財務分析、経営戦略の立案支援、内部統制強化といった、より高度で付加価値の高い業務に集中できるようになることです。また、データがリアルタイムで一元管理・可視化されることで、経営層は迅速かつ正確な情報に基づいた意思決定が可能となり、企業全体の競争力向上に繋がります。経理DXは、経理部門をコストセンターから、企業の成長を支える戦略的なバリューセンターへと進化させるための重要な経営改革なのです。

なぜ今、経理のDXが急務なのか? – 避けられない背景要因

経理DXが「推奨」ではなく「急務」とされる背景には、企業を取り巻く複数の避けられない環境変化と内部課題があります。

法制度改正への対応(コンプライアンス)

電子帳簿保存法(電子取引データの電子保存義務化等)やインボイス制度(適格請求書の発行・保存義務化)への対応は、従来の紙ベースのプロセスでは極めて困難、あるいは不可能です。法的要件を満たしたシステム導入とプロセス変更は、コンプライアンス遵守のために必須となっています。

人手不足と属人化リスク

労働人口の減少により、経理部門も人材確保が困難になっています。少ない人数で業務を回すためには、非効率な手作業を削減し、特定の担当者に依存しない標準化されたプロセスを構築することが不可欠です。DXは業務の標準化を促進し、属人化リスクを低減させます。

働き方改革とリモートワークの普及

柔軟な働き方を実現するためには、場所に縛られずに業務を遂行できる環境が必要です。クラウドベースのシステムを活用した経理DXは、リモートワークを可能にし、従業員満足度向上や人材確保にも繋がります。

BtoB取引の複雑性と効率化要求

複雑化する企業間取引において、手作業による請求業務はミスや遅延のリスクを高め、キャッシュフローや取引先との信頼関係に悪影響を及ぼします。競争力維持のためにも、請求プロセスの効率化・自動化が強く求められています。

経営判断の迅速化とデータ活用の必要性

変化の激しい市場で勝ち抜くためには、リアルタイムで正確なデータに基づいた迅速な経営判断が不可欠です。経理DXによるデータ可視化は、データドリブン経営の基盤となります。

経理DXのメリットとは?業務効率化だけじゃない5つの効果

経理DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、経理業務におけるアナログな作業をデジタル化・自動化し、効率性・正確性・戦略性を高める取り組みです。ここでは、経理DXがもたらす代表的な5つのメリットについて解説します。

1. 業務効率の大幅な向上

手作業・紙のやり取りを削減

請求書発行、仕訳入力、帳簿作成、紙資料の保管など、従来の経理業務には時間と労力がかかる作業が多く存在します。DXにより、これらの業務をクラウド型ツールや自動連携機能で効率化できます。

【効果例】

  • 請求書発行業務を月20時間削減
  • 社内承認フローを紙→システム化で即時対応が可能に

2. ヒューマンエラーの削減と正確性の向上

計算ミス・転記ミスを自動化で防止

手作業による入力や仕訳はミスの原因になりますが、会計システムや請求管理ツールを導入することで、取引データの自動反映や金額計算が可能となり、ミスのリスクを大幅に減らせます。

【効果例】

  • 入力ミス率が90%減少
  • 経理部門のチェック作業が半減

3. コンプライアンス強化と法令対応の自動化

電子帳簿保存法・インボイス制度にもスムーズに対応

経理DXは、法改正への柔軟な対応も可能にします。対応済みのクラウドシステムを使えば、記録保存・タイムスタンプ・検索要件なども自動対応でき、法令違反のリスクを最小化します。

【効果例】

  • 電帳法の保存要件を満たしたままPDF請求書を自動保管
  • インボイス対応の請求書をテンプレートで簡単に発行

4. 経営判断に活用できるデータの可視化

売上・費用・キャッシュフローがリアルタイムで見える

経理データがシステム上で一元管理されることで、月次決算の早期化や、財務状況のリアルタイム分析が可能になります。経理が「報告部門」から「経営支援部門」へと進化します。

【効果例】

  • 月次決算の完了が10営業日→2営業日に短縮
  • 営業や経営層と共有できるダッシュボードを構築

5. 働き方改革と経理部門の付加価値向上

リモートワーク対応や人材確保にも寄与

クラウドシステムの導入により、場所に縛られない働き方が可能になり、経理部門の生産性や満足度が向上します。また、単純作業を自動化することで、本来注力すべき分析や提案業務に集中できます。

【効果例】

  • リモート勤務体制でも経理業務が継続可能に
  • 作業時間を分析・改善提案にシフトし業務の質を向上

経理DXの進め方|失敗しないための6ステップ

経理業務のデジタル化(DX)を成功させるには、ただシステムを導入するだけでなく、業務全体の見直しや関係部署との連携も欠かせません。ここでは、経理DXを着実に進めるためのステップを具体的に解説します。

ステップ1:現状の業務フローを可視化・整理する

最初の一歩は「現状を正しく知る」こと

経理DXの第一歩は、現在の業務フローや課題を明確にすることです。請求書発行、仕訳入力、帳票作成など、どこで手作業が多いのか、どこにミスが発生しているかを把握しましょう。

チェックポイント

  • 紙・Excelで処理している業務を洗い出す
  • 作業時間やエラー発生箇所を定量的に把握
  • ヒアリングで現場の課題感を吸い上げる

ステップ2:課題と改善目標を明確に設定する

「何をどう改善したいのか」を定める

DXの目的が不明確なまま進めると失敗の原因に。業務効率化、ミス削減、法令対応、月次決算の早期化など、達成したいゴールを具体的に定めます。

チェックポイント

  • 「請求業務を〇〇時間短縮したい」など定量目標を設定
  • 部門ごとに期待する効果を明確に
  • 中長期で目指す理想の経理像を描く

ステップ3:必要な機能とシステム要件を定義する

自社に本当に必要な機能を見極める

請求書発行、仕訳自動化、経費精算、電子帳簿保存対応など、課題に合った機能を洗い出し、選定基準を明確にしておくことが大切です。

チェックポイント

  • 法令対応機能(インボイス制度・電子帳簿保存法)は必須
  • 他システムとの連携性(会計・販売管理など)を確認
  • 操作性やサポート体制も要件に含める

ステップ4:候補システムを比較・選定する

複数のサービスを比較検討

クラウド型・オンプレミス型、業種特化型など、様々な経理システムがあるため、自社の要件に合うものを資料請求やデモで確認します。

チェックポイント

  • ベンダーの導入実績や評判を調査
  • 無料トライアルやデモで実務に合うか確認
  • 費用対効果(初期費用・月額費用)も比較

ステップ5:一部の業務から小さく試して導入する

いきなり全体導入せず“パイロット導入”が効果的

いきなり全社導入せず、特定業務や一部部署で試験運用を行うことで、現場の反応や課題点を事前に把握できます。

チェックポイント

  • まずは請求書発行や経費精算など単独業務から着手
  • 操作研修・マニュアル作成も並行して準備
  • 現場からのフィードバックを収集し改善へつなげる

ステップ6:運用定着と継続的な改善を図る

システム導入は“ゴール”ではなく“スタート”

導入後は運用状況を定期的に確認し、活用度や効果を見える化。必要に応じて運用ルールや業務フローの改善も継続して行います。

チェックポイント

  • KPI(例:作業時間、エラー数、処理件数)で効果測定
  • 利用率が低い場合は追加研修・サポート強化
  • 法改正や新機能追加に対応しながら最適化

経理DXの第一歩は「請求業務の見直し」から

経理DXの重要性が高まる中で、多くのBtoB企業が共通して直面しているのが、請求業務に関する根深い課題です。請求書の作成や送付、入金確認といった日常業務には、非効率やミス、法令対応の負担といったボトルネックが集中しています。これらの課題を正しく把握することが、請求管理システム導入の必要性を理解し、経理DXを成功に導く第一歩となります。
本稿では、請求業務に潜む代表的な課題について詳しくご紹介します。

請求書作成・発行の手間とミスのリスク

手作業でのデータ入力や計算は時間がかかる上に、金額間違い、宛先間違いなどの人的ミスが発生しやすく、再発行の手間や信用の低下を招きます。インボイス制度対応も手作業では煩雑です。

郵送作業のコストと時間

紙の請求書の印刷、封入、切手貼り、投函といった作業は、件数が増えるほど大きな負担となり、郵送費や紙代などの物理的なコストもかさみます。また、郵送には時間がかかり、不達のリスクもあります。

入金確認・消込作業の非効率と遅延

銀行への入金を目視で確認し、どの請求に対する入金かを特定して消し込む作業は、非常に煩雑で時間がかかり、ミスも発生しやすい領域です。特に振込名義違いや合算入金の場合は特定が困難で、未入金の把握や督促が遅れがちになり、キャッシュフローに影響します。

請求漏れ・二重請求のリスク

Excelや手作業での管理では、ステータス管理が徹底できず、請求すべき案件を忘れたり(売上損失)、誤って同じ請求書を再度発行したり(信用失墜)するリスクが常に存在します。

過去情報の検索性の低さ

紙で保管された過去の請求書を探し出すのは時間がかかり、問い合わせ対応や監査時の効率を著しく低下させます。

属人化による業務継続性の問題:

特定の担当者しか業務を把握していない場合、その担当者の不在時に業務が滞るリスクがあります。引き継ぎも困難になりがちです。

経理DXの中核「請求管理システム」導入による変革と効果

請求業務の課題を解決し、経理DXを推進する上で最も効果的なツールの一つが「請求管理システム」です。導入により、以下のような多岐にわたる変革と効果が期待できます。

  • 請求書発行・送付の自動化と効率化: 販売データ等と連携し請求書を自動生成。電子送付(メール、Web)や郵送代行により、手作業による時間とコスト、ミスを大幅に削減します。担当者はより付加価値の高い業務に集中できます。
  • 入金消込の自動化と精度向上: 銀行API連携等で入金データを自動取得し、請求情報と自動照合・消込。名寄せ機能等で精度を高め、手作業による時間とミスを削減。未入金を早期に把握し、迅速な督促を可能にすることで、キャッシュフローを改善します。
  • 請求状況のリアルタイム可視化: 請求・入金状況、売掛金残高、滞留債権などをダッシュボードで一元管理・可視化。経営層や関連部署は常に最新情報を把握でき、迅速な意思決定や部門間連携を促進します。
  • リスク軽減とコンプライアンス強化: 請求漏れ・二重請求をシステムで防止。インボイス制度や電子帳簿保存法といった法制度にも、システムのアップデートによりスムーズに対応可能となり、コンプライアンス体制を強化します。
  • ペーパーレス化によるコスト削減: 電子請求書の活用により、紙代、印刷費、郵送費などの直接コストを削減。保管スペースや管理の手間も不要になります。
  • 業務標準化と属人化からの脱却: システム化により業務プロセスが標準化され、特定の担当者に依存しない体制を構築。業務の継続性を確保し、引き継ぎも容易になります。
  • 内部統制の強化: 承認フローのシステム化や操作ログの記録により、業務プロセスの透明性が向上し、不正リスクを低減させます。

請求管理システムの導入は、単なる業務効率化に留まらず、企業の財務基盤強化、リスク管理、ガバナンス向上、そして従業員の働きがい向上にも貢献する、戦略的な一手となり得ます。

BtoB向け請求管理システムの選び方:失敗しないための重要ポイント

数ある請求管理システムの中から自社に最適なものを選ぶためには、以下のポイントを慎重に評価・比較検討することが不可欠です。

機能要件の合致度

自社の請求業務の課題を解決し、目指す業務フローを実現できる機能(複雑な課金対応、他システム連携、インボイス制度対応、承認フロー等)が過不足なく備わっているか。将来の拡張性も考慮します。

費用対効果 (ROI) の検証

初期費用、月額/年額利用料、オプション費用、サポート費用を含めた総コスト(TCO)と、導入によって見込める効果(人件費削減、直接コスト削減、キャッシュフロー改善等)を比較し、投資対効果を中長期的視点で評価します。無料トライアルでの検証も有効です。

操作性 (ユーザビリティ) と定着の容易さ

経理担当者が直感的で容易に操作できるか。インターフェースは分かりやすいか。マニュアルやサポート情報は充実しているか。導入・学習にかかるコストや時間も考慮します。

セキュリティ対策の堅牢性

機密情報を扱うため、データ暗号化、アクセス制御(二要素認証等)、インフラの安全性、第三者認証(ISMS等)などを確認し、十分なセキュリティレベルが確保されているかを厳しくチェックします。

サポート体制とベンダー信頼性

導入支援の内容、運用中の問い合わせ対応(チャネル、時間、質)、障害発生時の対応体制は十分か。ベンダーの導入実績、事業継続性、開発力(法改正対応等)も重要な判断材料です。

経理DX実現へのロードマップ:請求管理システム導入のステップと成功の鍵

最適なシステムを選定した後、導入プロジェクトを成功させ、経理DXを実現するための具体的なステップと、その過程で留意すべき点を解説します。

請求管理システム導入ステップ

請求管理システム導入のステップは、以下の8項目に分かれます。

  • 目的・目標の明確化と共有
  • プロジェクト体制構築
  • 現状分析と新業務設計 (As-Is/To-Be)
  • システム設定とデータ移行
  • テスト運用と評価
  • トレーニングとマニュアル展開
  • 本稼働(ゴーライブ)と安定化
  • 効果測定と継続的改善 (PDCA)

経理DXを成功させるには、まず導入目的やKPIを明確にし、経営層を含む関係者全体で共通認識を持つことが重要です。そのうえで、経理・情報システム・関連部門によるプロジェクト体制を構築し、業務全体の可視化と課題抽出を行います。現状(As-Is)の業務プロセスを分析し、理想の業務設計(To-Be)を描いたうえで、システム設定やデータ移行を計画的に進めます。実務に即したテスト運用で課題を洗い出し、十分なトレーニングとマニュアル整備によって現場での定着を支援します。稼働初期は手厚いサポート体制を敷き、スムーズな本格稼働を実現。導入後も効果を定期的に測定し、業務改善サイクル(PDCA)を回すことで、経理DXの持続的な効果を最大化していきます。

経理DXを実現するための注意点

  • 経営層のコミットメント: 変革を推進する強いリーダーシップが不可欠。
  • 現場の巻き込み: 利用者である現場担当者の意見を尊重し、主体的な参加を促す。
  • システム間連携の重視: 会計等、他システムとのスムーズな連携を計画段階から考慮する。
  • セキュリティ対策: 技術的な対策と従業員の意識向上の両輪で取り組む。
  • 業務改革意識: システム導入を機に、既存の非効率なプロセスを見直す。
  • チェンジマネジメント: 変化に対する丁寧なコミュニケーションとサポートを徹底する。
  • ベンダーとの協業: 信頼できるベンダーと良好なパートナーシップを築く。

これらを着実に実行することが、導入プロジェクトを成功に導き、経理DXの価値を最大化します。

経理DXの未来:AI・データ連携が拓く戦略的経理への道

請求管理システムの導入は、経理DXの重要な一歩ですが、ゴールではありません。テクノロジーの進化、特にAIやデータ連携技術の発展は、経理業務の未来をさらに大きく変えていきます。

  • AIによる高度化: 仕訳の自動化精度向上、異常取引・不正検知、高精度なキャッシュフロー予測など、AIは経理業務の自動化レベルと分析能力を飛躍的に高めます。
  • 全社データ連携: 経理データが販売、購買、在庫などのデータとリアルタイムで統合され、経営ダッシュボードを通じて可視化されることで、データに基づいた迅速かつ的確な意思決定(データドリブン経営)が加速します。
  • 経理部門の役割進化: 定型業務は自動化され、経理部門や担当者の役割は、データ分析に基づくインサイトの提供、経営戦略への提言、事業部門のサポートといった、より戦略的で付加価値の高いものへとシフトしていきます。これに伴い、データ分析スキルやITリテラシー、ビジネス理解力が不可欠となります。

企業は、これらの技術動向を注視し、継続的に経理DXを推進していく必要があります。最新技術を積極的に取り入れ、全社的なDX戦略の中で経理部門の変革を進めることが、将来の競争優位性を確立する鍵となるでしょう。

まとめ

本稿では、「経理DX」を主軸に、請求管理システム導入を検討中の管理部・責任者の皆様へ、その本質から必要性、導入効果、システム選定、導入ステップ、注意点、そして未来像までを解説しました。法改正、人手不足、働き方改革など、企業を取り巻く環境が激変する中、経理DXはもはや選択肢ではなく、持続的成長のための必須戦略です。特に請求管理システムの導入は、煩雑な請求業務を劇的に効率化・自動化し、コスト削減、リスク低減、コンプライアンス強化を実現する強力な一手となります。

しかし、その真価を発揮するには、自社に最適なシステムを選定し、経営層の強いリーダーシップのもと、現場を巻き込みながら計画的に導入を進め、単なるツール導入に終わらせず業務プロセスそのものを変革する意識が不可欠です。導入後も効果測定と継続的な改善(PDCA)を回し続けることで、経理DXの価値は最大化されます。自動化によって生まれた時間とデータを活用し、経理担当者がより戦略的な役割を担うことで、経理部門はコストセンターから、企業の意思決定を支え、価値創造に貢献するバリューセンターへと進化します。

AIやデータ連携技術の発展は、その進化をさらに加速させるでしょう。請求管理システムの導入は、その輝かしい未来への扉を開く、確かな第一歩です。本稿が、貴社の経理DX推進と、その先にある企業成長の一助となることを心より願っております。

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