契約書管理システムの費用相場を徹底解説|料金体系・比較ポイントと賢い選び方

【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介
株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。
契約書管理システムの導入を検討する際、多くの方が最も気になるのがその「費用」です。システムの機能や効果は理解できても、具体的な料金体系や費用相場が不明確なため、予算策定や導入判断に踏み切れないケースは少なくありません。「高機能なシステムは高額なのでは」「月額費用以外にも隠れたコストがあるのでは」といった不安を抱える管理部門や決裁者の方も多いでしょう。
本記事では、契約書管理システムの一般的な費用構造、料金体系の種類、価格帯の相場、そして費用を左右する要因について網羅的に解説します。さらに、単純な価格比較だけでなく、費用対効果(ROI)の考え方や、費用を抑えつつ効果を最大化するポイント、自社に適したシステムを選ぶための具体的な比較検討の視点も提示します。この記事が、費用面の不安を解消し、賢明な投資判断を下すための一助となれば幸いです。
業務効率化に役立つ! おすすめの契約書管理システム
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サービス名 | 特長 | 費用 | 主な機能 |
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Hubble
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要お問い合わせ |
・全自動バージョン管理 ・ドキュメントリスト(契約台帳)の作成 ・OCR機能 ・電子帳簿保存法対応 ・柔軟な権限設定機能 など |
Scalebase
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要お問い合わせ |
契約管理 /商品マスタ管理 /販売管理/売上管理/顧客管理 請求管理/請求書発行/従量料金計算/入金管理 サブスクリプション販売管理/SaaS販売管理 |
クラウドリーガル
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・ブロンズ:11,000円/月 ・シルバー:55,000円/月 ・ゴールド:110,000円/月 ※詳細は要お問い合わせ |
弁護士・専門士業への法務・労務相談、法令調査、社内規程整備・作成、契約書の自動作成、独自のカスタム契約書のドラフト作成、契約書レビュー、電子契約・契約管理、新規会社設立や登記変更、商標登録、AIラボなど |
楽々Document Plus |
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要お問い合わせ |
・全文検索-ビューワ ・フォルダツリー-文書表示 ・簡単登録-登録自動化 ・セキュリティ ・ワークフロー など |
ドキュサイン |
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要お問い合わせ |
・契約書作成 ・ワークフロー自動化 ・文書の一元管理 ・AI分析機能 ・外部システム連携 など |
ContractS CLM |
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要お問い合わせ |
・テンプレート ・Word編集 ・ダッシュボード ・関連契約書-添付ファイル ・契約審査 など |
WAN-Sign |
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月額10,000円~ 1件100円~ |
・電子証明書 ・メール認証 ・文書詳細情報登録 ・文書検索(電子帳簿保存法対応) ・リマインドメール送信機能 など |
LegalForceキャビネ |
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要お問い合わせ |
・契約書の一括/個別アップロード ・類似振り分け ・管理台帳の自動生成-出力 ・契約書一覧検索 ・更新期限の自動リマインド など |
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なぜ投資する?契約書管理システム導入の費用対効果(ROI)とは
契約書管理システムの導入には費用が発生しますが、これは企業の生産性向上やリスク軽減に繋がる戦略的投資です。システム導入による主な効果と、費用対効果(ROI)の考え方を解説します。
システム導入で期待できる主な効果 ・業務効率の大幅な向上
契約書検索時間の劇的短縮、作成・承認プロセスの迅速化、期限管理の自動化が実現し、担当者はコア業務に集中できます。ファイリングや郵送といった物理的作業も削減されます。
リスクマネジメント体制の強化
契約更新・解約漏れをアラートで防止し、不利益な契約更新や機会損失を回避します。アクセス権限設定や操作ログ記録により、情報漏洩リスクを低減し、内部統制を強化。電子帳簿保存法など法改正への対応も支援します。
直接的なコスト削減効果
ペーパーレス化により、印刷費、郵送費、ファイル代、保管スペース費用(オフィス賃料、倉庫代)などが大幅に削減されます。
内部統制の強化と監査対応の効率化
契約締結プロセスの標準化・可視化、アクセス権限管理、ログ記録により内部統制レベルが向上。監査時の資料提出も迅速かつ正確になり、対応コストを削減できます。
費用対効果(ROI)の考え方と算出のポイント
ROIは投資対効果を示す指標です。算出には「投資額」と「効果額」の明確化が必要です。
- 投資額: 初期費用(導入設定費、データ移行費、カスタマイズ費、研修費など)と、一定期間(例:3~5年)のランニングコスト(月額・年額利用料、保守費など)の合計。
- 効果額: ・定量的効果: 人件費削減(検索時間短縮分など)、直接コスト削減(印刷費など)、機会損失回避額(更新漏れ防止による利益確保)などを金額換算。
- 定性的効果: セキュリティ向上による信用維持、従業員の業務負荷軽減、コンプライアンス違反リスク低減などを評価。金額換算が難しくとも重要な価値です。
- ROIの計算式: 一般的に「ROI (%) = (効果額 – 投資額) ÷ 投資額 × 100」。
- 投資回収期間: 「投資額 ÷ 年間の純効果額」で、何年で投資を回収できるか試算。 ROIは導入後も定期的に効果測定し、システムの活用度を高めていくことが最大化の鍵です。
契約書管理システムの主な料金体系と費用の内訳
契約書管理システムの費用は、主に「初期費用」「月額または年額の利用料」「オプション費用」の3つで構成されます。これらの内訳を理解することが、正確な予算策定の第一歩です。
1. 初期費用(イニシャルコスト)
システム導入時に一度だけかかる費用です。
- システム導入・設定費: 基本的な環境構築や初期設定作業の費用。クラウド型では低額か無料の場合も。
- データ移行費: 既存の契約書情報やファイルを新システムへ移行する作業費。データ量や形式、作業の複雑さで大きく変動します。紙契約書の電子化(スキャン、OCR処理)を伴う場合は特に高額になる可能性があります。
- カスタマイズ費: 標準機能で対応できない企業独自の要件を実現するための追加開発費。高額化しやすいため、標準機能での運用を優先的に検討すべきです。
- 導入コンサルティング費: 業務フロー分析や要件定義支援など、専門コンサルタントに依頼する場合の費用。
- 研修費用: 管理者・利用者向けの操作研修費用。
2. 月額または年額利用料(ランニングコスト)
システムを継続利用するために定期的に発生する費用で、特にクラウド型(SaaS)で一般的です。
- ユーザー数課金モデル: 利用するアカウント数に応じて料金が発生(例:「1ユーザー月額〇〇円」)。課金対象ユーザーの定義(アクティブか登録か等)を確認。
- 契約書保管容量・件数課金モデル: 保管データ総量や管理契約書件数に応じて料金変動。上限超過時の追加料金に注意。
- 機能・プラン別課金モデル: 提供機能の範囲で複数の料金プラン(例:ベーシック、スタンダード)があり、選択プランで料金が変動。自社に必要な機能を見極めることが重要。 これらの課金モデルは単独、または組み合わせて提供されます。オンプレミス型では、ソフトウェアライセンスの年間保守料やサーバー運用管理費が主なランニングコストです。
3. オプション費用
基本プランや標準機能に含まれない追加機能やサービス利用時に発生します。
- 高度な機能追加: AI-OCRによる情報自動抽出、電子契約サービス連携、外部システム(ERP、CRM等)とのAPI連携など。
- サポートプランのアップグレード: 標準サポート(メール等)以上の手厚いサポート(電話、専任担当者など)を希望する場合。 オプションは利便性を高めますが、費用対効果を慎重に検討する必要があります。
提供形態で費用はどう違う?クラウド型 vs オンプレミス型 コスト比較
契約書管理システムには主に「クラウド型(SaaS)」と「オンプレミス型」の2つの提供形態があり、費用構造や特徴が大きく異なります。自社の状況に最適な形態を選ぶことが重要です。
1. クラウド型(SaaS)契約書管理システム
インターネット経由でサービスを利用する形態です。
- 費用構造: ・初期費用: 比較的低額または無料が多い。設備投資不要。
- 月額(年額)費用: サブスクリプションモデルが一般的。
- メリット:
- 導入が迅速
- サーバー管理不要、アップデートはベンダー任せでIT部門の負荷軽減
- 場所を選ばずアクセス可能、リモートワークに適している
- スモールスタートしやすく、拡張性が高い
- デメリット:
- ランニングコストが継続的に発生
- カスタマイズの自由度が低い場合がある
- インターネット接続が必須
- セキュリティをベンダーに依存する側面がある
2. オンプレミス型契約書管理システム
自社サーバーにソフトウェアをインストールして利用する形態です。
- 費用構造: ・初期費用: ソフトウェアライセンス費、サーバー構築費などで高額になる傾向。
- 月額(年額)費用: システム保守契約料、ハードウェア維持費などが中心。
- メリット:
- 高度なカスタマイズが可能で、既存システムとの連携が柔軟。
- 自社のセキュリティポリシーに合わせた厳格な運用が可能。
- オフライン(社内ネットワーク限定)での利用も可能な場合がある。
- デメリット:
- 高額な初期投資が必要
- 導入期間が長い
- 専門知識を持つIT担当者と運用リソースが必要
- アップデートやメンテナンスを自社で行う必要がある
どちらを選ぶべきか?
企業の規模、予算、IT体制、セキュリティ要件、カスタマイズの必要度などを総合的に比較検討して判断します。近年は導入の容易さや柔軟性からクラウド型が主流ですが、機密性の高い情報を扱う場合や大規模なカスタマイズが必須な場合はオンプレミス型も依然として有力な選択肢です。
契約書管理システムの費用相場 – 企業規模と機能レベル別目安
契約書管理システムの費用は、企業規模や求める機能レベルによって大きく変動します。ここではクラウド型システムを中心に、一般的な費用相場の目安を示します。ただし、これらはあくまで目安であり、実際の費用は個別見積もりで確認が必要です。
1. 小規模企業向け(従業員数:~50名程度/ユーザー数:~10名程度)
- 主なニーズ・機能レベル: 基本的な契約書台帳の電子化、キーワード検索、シンプルな期限アラート、アクセス権限設定。
- 月額費用相場: 数千円 ~ 5万円程度。無料プランや低価格プランも存在。
- 初期費用相場: 無料 ~ 30万円程度。簡単な設定なら無料の場合も。
- 特徴: 機能は限定的だが、迅速に導入可能。まずは試したい企業向け。
2. 中規模企業向け(従業員数:50名~300名程度/ユーザー数:10名~100名程度)
- 主なニーズ・機能レベル: 上記に加え、ワークフロー承認、全文検索、詳細なアクセス権限、版管理、一部外部連携など。
- 月額費用相場: 5万円 ~ 30万円程度。機能範囲やユーザー数で変動。
- 初期費用相場: 30万円 ~ 200万円程度(データ移行や設定支援含む)。
- 特徴: 機能とコストのバランスが重要。標準機能でどこまで対応できるかの見極めが必要。
3. 大規模企業向け(従業員数:300名以上/ユーザー数:100名以上)
- 主なニーズ・機能レベル: 複雑なワークフロー、基幹システム連携、高度なセキュリティ(SSO等)、AI-OCR、多言語対応、詳細な監査ログなど。
- 月額費用相場: 30万円 ~ 数百万円以上(個別見積もりが一般的)。 ・初期費用相場: 数百万円 ~ 数千万円規模(大規模カスタマイズやデータ移行含む)。
- 特徴: カスタマイズやシステム連携が前提となることが多く、コンサルティングを含めたトータルソリューションとして提供される。
費用を左右する主な要因(再確認)
- 利用ユーザーアカウント数
- 契約書の登録・保管容量の上限
- 搭載機能の範囲と高度さ(AI、電子契約連携、APIなど)
- サポート体制のレベル
カスタマイズの有無とその規模 これらの要素を総合的に考慮し、自社のニーズと予算に合ったシステムを選定することが重要です。
失敗しない!契約書管理システムの費用比較7つの重要ポイント
契約書管理システムの導入は大きな投資です。費用対効果を最大化し後悔しないためには、慎重な比較検討が不可欠です。以下の7つのチェックポイントを押さえましょう。
- 自社の「必須機能」と「付加機能」を明確に切り分ける :課題解決に直結する機能を「必須」とし、予算と効果を見ながら「付加機能」を検討します。不要な機能に過剰なコストを支払わないことが賢明です。
- 最低3社以上のベンダーから見積もりを取得し、詳細項目まで比較する:見積総額だけでなく、初期費用、月額費用、オプション、サポート費など内訳を細かく確認し、サービス範囲を精査します。
- 初期費用とランニングコストを含めた「総所有コスト(TCO)」で比較する:特にクラウド型とオンプレミス型を比較する場合や複数年利用を前提とする場合、3~5年程度のTCO試算が重要です。
- 料金プランに含まれるユーザー数、ストレージ容量、機能の上限を確認する:将来的な拡張性も考慮し、上限超過時の追加料金やプラン変更の柔軟性を把握します。
- オプション機能の費用体系と、将来的に必要になりそうな追加コストを把握する:現時点で不要でも、将来的に必要となる可能性のある機能(例:電子契約連携)の価格を事前に確認し、予算超過リスクを避けます。
- 無料トライアルやデモンストレーションを活用し、操作性と費用対効果を実体験する:機能一覧だけでは分からない使い勝手や自社業務への適合性を確認します。現場担当者の意見も取り入れ、費用に見合う効果が得られるか評価しましょう。
- 契約期間、中途解約条件、SLA(サービス品質保証)、サポート体制の内容と費用を厳密に確認する:最低利用期間や解約金、システムの稼働率保証、サポート範囲(問い合わせ方法、時間など)とそれが標準か有償かを確認することは、長期的な運用コストと安心感に直結します。
費用を抑えつつ効果を最大化するヒントと注意すべき「隠れコスト」
契約書管理システムの導入費用は工夫次第で抑制しつつ、効果を最大限に引き出せます。賢いコスト管理とシステム活用のヒント、そして見落としがちな「隠れコスト」と対策を解説します。
費用を抑えつつ効果を最大化するヒント
1. スモールスタートを検討し、段階的に拡張する
特定部門や限定機能から開始し、効果を検証しながら利用範囲を拡大。初期投資とリスクを低減できます。クラウド型は段階的導入に適しています。
2. システムの標準機能を最大限に活用し、安易なカスタマイズを避ける
業務プロセスをシステムに合わせることも検討。過度なカスタマイズは費用増と将来のアップデート問題を招く可能性があります。
3. クラウド型(SaaS)の特性を理解し、コストメリットを引き出す
初期投資を抑え、必要な機能やユーザー数に応じて柔軟にプラン変更できるサービスを選び、無駄なコストを防ぎます。
4. 長期契約による割引や期間限定キャンペーンを確認する
年間契約や複数年契約で月額費用が割引される場合や、導入キャンペーンを利用できることがあります。
5. 導入後の運用体制を整備し、システムを「使いこなす」
社内研修やマニュアル整備、利用促進策を通じて全社的な活用を目指し、定期的な効果測定と改善で投資効果を高めます。
注意すべき「隠れコスト」とその対策
- 教育・トレーニング費用: 初期研修以外の追加研修(新入社員向け等)費用。対策:ベンダーの無料オンライントレーニング活用。
- スタマイズ・追加開発費用: 導入後の業務要件変更や特殊連携に伴う開発費。対策:導入前の詳細な要件定義、標準機能での代替検討。
- 運用保守に関わる社内人件費: 管理者による日常メンテナンスや問い合わせ対応工数。対策:運用ルールの自動化・標準化、サポートが充実したシステムの選定。 これらの隠れコストを事前に認識し、予算計画に組み込むことが重要です。
まとめ
契約書管理システムの費用は、提供形態、機能範囲、企業規模、ユーザー数、サポート体制など、多岐にわたる要因で大きく変動します。料金体系には一般的に初期費用、月額または年額のランニングコスト、オプション費用が含まれ、これらの構造を正確に理解することが不可欠です。
システム選定においては、単純な価格の安さだけでなく、3年から5年程度の利用を想定した「総所有コスト(TCO)」と、導入によって得られる業務効率化やリスク低減効果を金額換算した「費用対効果(ROI)」で多角的に比較検討することが極めて重要です。自社の課題を明確にし、必要な機能を洗い出した上で、複数のシステムを比較し、無料トライアルやデモンストレーションを通じて実際の操作性や適合性を確認することで、費用に見合う価値があるかを見極めることができます。
費用を抑える工夫も大切ですが、セキュリティ対策の信頼性、サポート体制の充実度、将来的なシステムの拡張性など、価格だけでは測れない本質的な価値も見落とさず、自社にとって最適なバランスのシステムを選定することが、長期的な業務効率化とリスク低減、そして最終的な企業価値の向上に繋がります。本記事が、皆様の契約書管理システム導入における費用面の不安を少しでも解消し、賢明な投資判断を下すための一助となれば幸いです。