メール配信で顧客管理(CRM)を効率化!一元管理で実現する効果的なマーケティング

【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介
株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。
企業の管理部や決裁者が注目すべきは、メール配信システムとCRM(顧客管理システム)を連携し、顧客情報を一元化することで得られるマーケティングROI向上と業務効率化です。本記事前半では、まずメール配信×顧客管理の全体像と現状課題を整理し、次に連携によって得られる主要メリットを詳しく解説します。
【比較】おすすめのメール配信ツール一覧
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サービス名 | 特長 | 費用 | 主な機能 | 無料トライアル |
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WEBCAS e-mail |
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ASP型:月額1万円~/初期費用3万円~ SaaS型:月額10万円~/初期費用20万円~ パッケージ導入型:ライセンス費用 240万円~/別途保守費 |
大量メール配信、パーソナライズ配信、A/Bテスト、配信履歴分析、外部システム連携など | 有 |
Sansan |
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要お問い合わせ | 名刺管理、企業情報管理、営業履歴共有、情報共有促進など | 要お問い合わせ |
WiLL Mail |
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シンプルプラン:4,000円〜 プレミアムプラン:10,000円〜 |
HTMLメール作成エディタ、配信結果分析、ヒートマップ機能、スマートフォン対応など | 有 |
オートマーケ |
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ライト:月額8,980円/初期費用33,000円 スタンダード:月額14,980円/初期費用33,000円 プレミアム:月額29,800円/初期費用33,000円 |
一斉メール配信、ステップメール、到達率の高い配信、会員制サイト作成など | 要お問い合わせ |
ORANGE MAIL |
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ビジネス版プラン2000:2,980円 ビジネス版プラン5000:4,980円 ビジネス版プラン10000:9,980円 エンタープライズ版:3万円(初期費用1万2,800円) |
メール一斉配信、ステップメール、フォーム作成、A/Bテスト、開封率・クリック率計測など | 要お問い合わせ |
kMailer |
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スタンダード:1万5,000円 プレミアム:2万4,000円 ※初期費用無料 |
メール作成・送信、自動送信、kintone連携、添付ファイル送信、レポート機能など | 有 |
Mail Publisher |
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要お問い合わせ | メール配信、ファイルベース配信、システム間連携、A/Bテストなど | 要お問い合わせ |
AutoBiz |
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スーパーライト:1,980円 ライト:3,520円 スタンダード:5,990円 プロ:9,900円 ハイエンド:4万9,500円 |
メール配信、LINE連携、自動化、高到達率など | 無 |
blastengine |
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メール10,000通:3,000円 メール30,000通:8,000円 メール50,000通:12,000円 メール100,000通:16,000円 メール200,000通:30,000円 |
SMTPリレー、API連携、一斉配信、トランザクションメール、IPレピュテーション管理、運用・メンテナンスなど | 有 |
Cuenote SR-S |
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ライトプラン:7万5,000円 スタンダードプラン:9万円 ※初期費用:1万50,000円 |
メールリレー、エラー解析、API提供、高セキュリティ、高速配信など | 要お問い合わせ |
acmailer |
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無料 | メール配信、空メール、デコメール、不着メール自動削除、フリーライセンスなど | 要お問い合わせ |
メール配信×顧客管理(CRM)の全体像と現状課題
メール配信システムはリードナーチャリングやニュースレター配信に特化し、CRMは商談から顧客対応までの一連の顧客接点を管理します。しかし、多くのBtoB企業ではこれらが別々に運用され、以下のような現状課題が顕在化しています。
- データサイロ化による顧客理解の不足
- マーケティング部門が持つ「メール開封率」「クリック履歴」
- 営業部門が管理する「商談ステータス」「購買履歴」
- サポート部門が把握する「問い合わせ履歴」
これらが別々のシステムに分散し、顧客の全体像を把握できない。
- マーケティング部門が持つ「メール開封率」「クリック履歴」
- 二重登録・更新ミスのリスク
- 顧客情報をCRMに、配信対象リストをメール配信システムに手動で登録
- 名寄せ漏れや更新忘れが発生し、重複配信や情報漏れを招く
- 顧客情報をCRMに、配信対象リストをメール配信システムに手動で登録
- 画一的配信によるエンゲージメント低下
- セグメントが「業種」「地域」「役職」程度に限定的
- 顧客の過去行動や検討段階に即したパーソナライズが困難
- セグメントが「業種」「地域」「役職」程度に限定的
- 施策効果の局所的把握
- メール配信システム側では「到達率」「開封率」「クリック率」
- CRM側では「商談化」「受注率」「LTV」
これらを一貫して分析できず、真のROIが見えない
- メール配信システム側では「到達率」「開封率」「クリック率」
- 部門間連携の非効率
- マーケティングが創出したホットリード情報が、営業へタイムリーに伝わらない
- 営業が得た商談結果がマーケティングへフィードバックされず、施策改善に活かせない
- マーケティングが創出したホットリード情報が、営業へタイムリーに伝わらない
これらの課題は顧客体験を低下させるだけでなく、機会損失や無駄なコストを生み出します。顧客情報を一元管理し、部門横断的に共有することで、E2E(エンドツーエンド)の顧客ジャーニーを最適化する必要があります。
メール配信と顧客管理連携がもたらす主要メリット
メール配信システムとCRMをAPI連携や標準コネクタで統合すると、以下の6つの主要メリットを享受できます。
- 高精度なターゲティングと動的セグメント
- CRMの「企業規模」「業種」「商談ステータス」「過去購入履歴」「Web行動履歴」を活用
- 「過去3ヶ月以内に◯◯資料をダウンロードした製造業の課長」など、細かな条件抽出で的確なリストを生成
- CRMの「企業規模」「業種」「商談ステータス」「過去購入履歴」「Web行動履歴」を活用
- パーソナライズメール配信の自動化
- 顧客属性や行動に応じた動的差し込み(氏名、企業名、検討製品など)
- トリガーメール機能で「問い合わせ後24時間以内」「未開封リマインド」など自動送信
- 顧客属性や行動に応じた動的差し込み(氏名、企業名、検討製品など)
- 360度ビューによる顧客理解の深化
- メール開封・クリック履歴をCRMに自動同期し、行動ログを一元管理
- マーケティングと営業、サポート部門が同じデータにアクセスでき、全社で顧客状況を共有
- メール開封・クリック履歴をCRMに自動同期し、行動ログを一元管理
- ROI可視化とレポートの一貫性
- メール配信の到達率から、商談化率、受注率、LTVまでをダッシュボードで一元可視化
- KPI設定(開封率▶︎商談化率▶︎受注金額)に沿った経営層向けレポートが自動生成
- メール配信の到達率から、商談化率、受注率、LTVまでをダッシュボードで一元可視化
- 部門間の迅速な連携強化
- マーケ部門が作成したホットリードリストを即座にCRMに同期し、営業担当者へプッシュ通知
- 営業部門の活動履歴や失注理由をマーケ施策にリアルタイム反映
- マーケ部門が作成したホットリードリストを即座にCRMに同期し、営業担当者へプッシュ通知
- 業務フローの効率化とエラー防止
- 顧客リストのエクスポート/インポート作業を廃止し、自動同期で常に最新データを保持
- 手動更新ミスや二重配信を抑制し、担当者は戦略立案や施策最適化に注力
- 顧客リストのエクスポート/インポート作業を廃止し、自動同期で常に最新データを保持
これらのメリットを実現するためには、双方向データ連携の容易さや動的セグメント機能、リアルタイムレポートなど、システム選定時に重視すべき要件を満たすことが不可欠です。次回後半では、管理部・決裁者が押さえるべきシステム選定ポイントと導入ロードマップを詳しく解説します。
管理部・決裁者が押さえるシステム選定のポイント
メール配信システムとCRMを連携し、一元管理を実現するためには、単なる機能比較以上に以下の6点を重視してください。
1 双方向データ連携の容易さ
- 標準コネクタの有無:Salesforce、Dynamics 365、HubSpotなど主要CRMとのプリビルト連携があるか
- API/Webhook対応:顧客データ取得・更新、配信トリガー、開封・クリックイベントの双方向同期が可能か
- iPaaS対応:ZapierやMakeなどの連携プラットフォームを介した接続もサポートしているか
2 動的セグメント&パーソナライズ機能
- 動的セグメント生成:CRM上の属性や行動履歴に基づきリストをリアルタイムで更新できるか
- 動的差し込み:件名・本文に顧客名や検討製品、過去のアクションを自動挿入できるか
- ステップ/シナリオ配信:開封/非開封、クリック有無などをトリガーにフォローアップ配信を自動化できるか
3 分析レポートとKPI可視化
- ダッシュボード柔軟性:到達率・開封率・クリック率のみならず、商談化率・受注率まで一画面で俯瞰できるか
- カスタムレポート:GUIで自在に指標を組み合わせ、特定キャンペーンやセグメント成果を抽出できるか
- 自動レポート配信:日次/週次/月次で関係者にダッシュボードやPDFを自動送付できるか
4 セキュリティとガバナンス
- 暗号化:TLS/SSLによる通信暗号化と静止データの暗号化に対応しているか
- アクセス権限管理:ユーザー/グループごとに配信権限・レポート閲覧権限を細かく設定できるか
- 監査ログ:「誰が」「いつ」「何を操作したか」を長期保管し、インシデント時に追跡可能か
- 第三者認証:ISO27001、SOC2、プライバシーマークなどの取得状況を確認
5 ベンダー間サポート体制
- 責任分界点:問題発生時にどのベンダーに問い合わせるかが明確か
- 連携トラブル対応:APIエラーや同期失敗など連携障害発生時に両社が協力する体制があるか
- 導入支援:PoC段階から構築運用まで一貫して支援してくれるか
6 トータルコスト
- 初期費用・開発費:標準機能で実現できる範囲と、追加開発コストを見積もる
- ランニングコスト:SaaS利用料、APIコール超過料金、iPaaS利用料などを含む
- 保守運用費:連携部分のメンテナンスやバージョンアップ対応のコストを評価
これらをチェックリスト化し、複数ベンダーへ同一基準で評価することで、最適なシステムを選定できます。
導入から運用までのロードマップ
メール配信×CRM連携プロジェクトはフェーズごとに要点を絞り、短期かつ確実に進めることが成功の鍵です。
1 要件定義フェーズ(1~2週間)
- 現状フロー可視化:マーケ/営業/サポートの顧客情報運用フローを図化
- 課題整理:データサイロ、手動二重登録、情報遅延の原因を明確化
- KPI設計:到達率・開封率・クリック率・商談化率・受注率など定量目標を共有
- RFP作成:連携要件と評価ポイントを要件定義書に落とし込み、複数ベンダーへ提示
2 ベンダー選定・契約フェーズ(2~4週間)
- デモ/トライアル:API連携設定や動的セグメント生成を実操作で検証
- PoC(概念検証):限定キャンペーンで配信×CRM連携を動作確認
- ベンダー評価:機能性・サポート・セキュリティ・コストを総合判断し契約
3 構築・初期設定フェーズ(4~6週間)
- データマッピング設計:CRMのフィールドと配信リスト項目を詳細に紐付け
- 連携設定:API認証情報設定、Webhook受信エンドポイント構築
- ワークフロー設定:原稿作成→テスト配信→承認→本番配信の自動化
- テンプレート&セグメント構築:動的差し込みテンプレートと初期セグメント定義
4 パイロット運用フェーズ(4週間)
- 限定配信テスト:顧客リストの一部に対してステップメールやトリガーメールを実施
- 効果測定:KPIを追跡し到達率から受注までの一貫性を確認
- フィードバック会議:初期設定の微調整、テンプレート改善、承認フロー見直し
- 社内トレーニング:運用マニュアル作成とハンズオン研修の実施
5 本格運用フェーズ
- 全社展開:部門横断でシナリオメールやナーチャリングシナリオを本格稼働
- 定例レビュー:週次・月次でKPIダッシュボードとアラートをチェック
- 継続的改善:ABテストや新規シナリオを定期的に実行し、PDCAサイクルを回す
まとめ
メール配信システムと顧客管理(CRM)を一元管理することで、顧客理解の深化、高精度セグメント、パーソナライズ配信、ROI可視化、業務効率化という相乗効果を得られます。管理部や決裁者は「双方向連携の容易さ」「動的セグメント機能」「柔軟なレポート機能」「堅牢なセキュリティ」を評価基準とし、要件定義からパイロット運用まで計画的にプロジェクトを推進しましょう。まずは現状フローの可視化と課題整理から始め、最適なベンダーを選定したうえで連携構築のロードマップを描いてください。メール配信×CRMの連携は、顧客エンゲージメント向上と事業成果最大化への第一歩です。