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SFA JOURNAL by ネクストSFA/CRM

成果が出るエンゲージメントサーベイ分析方法とは?4つの手法と活用の手順を徹底解説

小島 伸介

【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介

株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。

組織の現状を可視化するためにエンゲージメントサーベイを導入する企業が増えています。しかし、いざ実施してみると、集まった膨大なデータの分析方法がわからず、具体的な改善アクションにつながらないという悩みを持つ人事担当者も少なくありません。測定しただけで満足してしまい、現場へのフィードバックが遅れると、かえって従業員の不信感を招くこともあります。本記事では、エンゲージメントサーベイの正しい分析方法や読み解きのポイント、そして組織改善に活かすための具体的な手順について詳しく解説します。

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この記事の目次はこちら

エンゲージメントサーベイの分析が重要な理由と目的

エンゲージメントサーベイを実施する最大の目的は、現状の数値を把握することではなく、得られたデータから組織の課題を特定し、改善につなげることにあります。多くの企業が陥りがちな失敗は、サーベイを実施すること自体が目的化してしまうケースです。分析がおろそかになると、せっかく従業員が時間を割いて回答してくれた貴重なデータが死蔵され、組織課題が放置されることになります。ここでは、なぜ深い分析が必要なのか、その本質的な理由と目的について掘り下げていきます。

「やりっぱなし」を防ぎ、具体的な組織課題を特定する

サーベイを実施した後に最も避けるべき事態は、結果を放置する「やりっぱなし」の状態です。分析を行わずに結果だけを眺めていても、具体的にどこに問題があるのかは見えてきません。たとえば、総合スコアが平均的であったとしても、特定の部署だけ極端に数値が低い場合や、若手社員のエンゲージメントだけが低下している場合があります。詳細な分析を行うことで、漠然とした不安を明確な「組織課題」として特定することが可能になります。従業員は改善を期待して回答しているため、分析に基づいた具体的な課題特定と対策の提示は、組織への信頼を維持するためにも不可欠なプロセスです。

感覚的な人事施策から、データに基づく改善サイクルへ

従来の人事施策は、経営層や人事担当者の経験や勘、あるいは声の大きい社員の意見に左右される傾向がありました。しかし、エンゲージメントサーベイの分析結果を活用することで、客観的なデータに基づいた意思決定が可能になります。「なんとなく雰囲気が悪い」という感覚的な問題を、「コミュニケーション項目のスコアが前年比で10ポイント低下している」という定量的な事実に置き換えることができます。これにより、説得力のある改善策を立案できるだけでなく、施策実行後の効果検証も数値で行えるようになります。データに基づく改善サイクル(PDCA)を回すことが、組織力を高める近道です。

実務で使えるエンゲージメントサーベイの主な分析手法4選

エンゲージメントサーベイのデータを最大限に活用するためには、目的に応じた適切な分析手法を選択することが重要です。単に全体の平均点を見るだけでは、組織の複雑な実態を捉えきることはできません。ここでは、実務の現場で頻繁に使用される代表的な4つの分析手法について解説します。それぞれの特徴を理解し、これらを組み合わせることで、組織の強みや弱み、そして優先的に取り組むべき課題を立体的に浮かび上がらせることができます。

分析手法概要と目的
単純集計全体の傾向や平均値を把握する
属性別分析部署や役職ごとのギャップを比較する
相関分析エンゲージメントへの影響度が高い項目を特定する
経年比較過去データとの比較で変化を捉える

【単純集計】全体のスコア傾向と強み・弱みを把握する

単純集計は、回答データ全体の平均値や回答分布を確認する最も基礎的な分析手法です。まずは全社的なエンゲージメントスコア(総合点)を確認し、会社全体としてどのような傾向があるかを大まかに把握します。この際、平均値だけでなく標準偏差や回答のばらつきにも注目することが大切です。たとえば、平均点は高くても、「非常に満足」と「非常に不満」に二極化している場合、平均値だけでは見えない課題が隠れている可能性があります。まずは鳥の目で全体を俯瞰し、自社の組織状態における強みとなっている項目と、弱みとなっている項目を洗い出すことから分析をスタートさせます。

【属性別分析(クロス集計)】部署・役職・勤続年数ごとのギャップを見る

属性別分析(クロス集計)は、部署、役職、性別、年代、勤続年数などの属性データと回答結果を掛け合わせて分析する手法です。全体平均では見えてこなかった特定のセグメントにおける課題を浮き彫りにすることができます。たとえば、「営業部はスコアが高いが、開発部は低い」「管理職は意欲的だが、入社3年目の社員の数値が急激に落ちている」といった具体的な傾向を把握できます。組織課題は現場ごとに異なることが多いため、属性ごとのギャップを可視化することは、ターゲットを絞った効果的な改善施策を立案するために不可欠なプロセスといえます。

【相関分析】エンゲージメント向上に影響を与える「重要要因(ドライバー)」を特定する

相関分析は、どの質問項目がエンゲージメント(総合指標)と強い結びつきを持っているかを統計的に明らかにする手法です。多くの質問項目がある中で、全てを同時に改善することは現実的ではありません。相関分析を行うことで、「上司との関係性」がエンゲージメントに強く影響しているのか、あるいは「評価への納得感」が鍵となっているのかといった優先順位(キードライバー)を特定できます。相関係数が高い項目を重点的に改善することで、最小限のリソースで効率的にエンゲージメントスコアを向上させることが可能になり、戦略的な人事施策につながります。

【経年比較】過去データとの推移から組織の変化・兆候を捉える

経年比較は、過去に実施したサーベイ結果と今回の結果を比較し、時系列での変化を分析する手法です。組織の状態は常に変化しているため、「点(単発)」ではなく「線(推移)」で捉えることが重要です。前回と比較してスコアが大きく変動した項目があれば、その期間に実施した施策の影響や、組織改編などの環境変化が要因として考えられます。特にスコアが下降傾向にある項目は、組織が悪化している兆候である可能性が高いため、早期に対策を講じる必要があります。定期的にサーベイを実施し、変化のトレンドを追い続けることで、問題が深刻化する前に手を打つことができます。

効率的に進めるサーベイ分析の具体的ステップ

分析手法を理解したところで、次は実際に分析を進めるための手順について解説します。闇雲にデータを見始めるのではなく、一定のフローに沿って分析を進めることで、効率的に課題を特定することができます。ここでは、仮説立てから始まり、全体像の把握、詳細分析、そして定性情報の確認に至るまでの4つのステップを紹介します。この流れを意識することで、データの迷子になることを防ぎ、論理的かつ説得力のある分析結果を導き出すことができるようになります。

Step1:分析前の仮説立て(現場の肌感覚と照らし合わせる)

データを見始める前に、まずは「現在の組織にどのような課題がありそうか」という仮説を立てることが重要です。人事担当者や経営層が日頃感じている現場の肌感覚や、最近起きた離職などの事象を基に、「特定の部署で疲弊感が高まっているのではないか」「制度変更に対する不満があるのではないか」といった予測を立てます。仮説を持ってデータに向き合うことで、確認すべきポイントが明確になり、分析の効率が格段に上がります。また、仮説と実際の結果にギャップがあった場合、そこにこそ管理職や人事が気づいていない「隠れた組織課題」が潜んでいる可能性が高いといえます。

Step2:全体スコアの確認と「偏差」のチェック

仮説を立てたら、まずは全体のスコアを確認し、会社としての現在地を把握します。総合スコアだけでなく、各カテゴリ(理念共感、やりがい、人間関係など)ごとの平均値を見て、全体的な傾向をつかみます。この時、平均値を見るだけでなく「偏差(ばらつき)」にも注目してください。平均点が高い項目であっても、部署間や役職間でスコアに大きな開きがある場合は注意が必要です。偏差が大きいということは、組織内で認識や環境に不公平感が生じている可能性があります。全体を俯瞰し、どこに異常値や特徴的な傾向が出ているかを洗い出すことが、次の詳細分析への足掛かりとなります。

Step3:課題箇所のドリルダウン(属性・項目別の深掘り)

全体傾向で気になったポイントや、Step1で立てた仮説に関連する部分について、属性別分析を用いて深掘り(ドリルダウン)していきます。たとえば、特定の部署のスコアが低い場合、さらにその部署の「年代別」や「役職別」にデータを見ていくことで、問題の所在をピンポイントで特定します。「営業部全体のスコアは低いが、その要因は若手層のキャリア不安にある」といった具体的な事実が見えてくれば、打つべき施策も「営業部全体の飲み会」ではなく「若手向けキャリア面談」であると判断できます。このようにデータを細分化していく作業が、実効性のある施策立案には欠かせません。

Step4:自由記述(コメント)の分析と数値データの照合

最後に、アンケートの自由記述欄(フリーコメント)に寄せられた定性情報を分析します。数値データは「何が起きているか」を示しますが、自由記述は「なぜそれが起きているか」という背景や文脈を教えてくれます。数値が低かった項目の原因について、具体的な不満や意見が書かれていないかを確認しましょう。テキストマイニングツールなどを活用して頻出単語を抽出するのも有効です。定量データ(数値)と定性データ(コメント)を照らし合わせることで、従業員の感情や現場のリアルな状況を立体的に理解することができ、分析結果の解像度が飛躍的に高まります。

分析結果を読み解く際の注意点とNG例

エンゲージメントサーベイの分析において、データの解釈を誤ると、間違った施策を実行してしまい、かえって組織状態を悪化させるリスクがあります。数値は嘘をつきませんが、その読み取り方には人間のバイアスがかかりやすいものです。ここでは、分析結果を読み解く際に陥りやすい罠や、注意すべきポイントについて解説します。これらの注意点を意識することで、より客観的で精度の高い分析を行い、意味のある改善アクションへとつなげることができます。

スコアの「高い・低い」だけに囚われない(相関と因果の混同に注意)

スコアの良し悪しだけに一喜一憂するのは危険です。スコアが低い項目が必ずしも最優先課題であるとは限りません。たとえば、「福利厚生」のスコアが低くても、それがエンゲージメント全体との相関が低ければ、そこに投資しても組織全体の改善効果は薄い可能性があります。また、相関関係と因果関係を混同しないことも重要です。二つの事象に関連があるからといって、片方がもう片方の原因であるとは断定できません。数値の背景にある文脈を慎重に読み解き、真に解決すべき「ボトルネック」がどこにあるのかを見極める冷静な視点が求められます。

回答率の低さや回答バイアス(忖度)の影響を考慮する

分析を行う際は、データの信頼性にも目を向ける必要があります。回答率が著しく低い場合、その結果は組織全体の総意を表していない可能性があります。不満を持つ層ほど回答を拒否しているケースもあるため、高いスコアが出ても楽観視はできません。また、実名式のサーベイや、匿名性が担保されていないと感じられる環境では、従業員が会社に忖度して良い回答をする「回答バイアス」がかかりやすくなります。「心理的安全性」が確保された状態で実施されたものか、ネガティブな意見が出にくい空気がないかといった実施環境も考慮に入れた上で、数値を割り引いて解釈する必要があります。

他社平均と比較しすぎず、自社の「過去」との比較を重視する

多くのサーベイツールでは他社平均や業界平均との比較が可能ですが、これにとらわれすぎるのは禁物です。企業文化や業種、組織フェーズによって、エンゲージメントの基準値は大きく異なります。他社より数値が高くても、自社の過去と比較して下がっているのであれば、それは危険信号です。逆に他社より低くても、前回より改善しているのであれば施策の効果は出ています。重要なのは「よそはよそ、うちはうち」という視点です。外部との比較は参考程度に留め、自社の過去データとの経年比較(時系列分析)を重視し、自社独自の成長や変化のプロセスを評価することが大切です。

分析からアクションへ:結果を組織改善に活かす方法

分析はあくまでスタート地点であり、最終的なゴールは組織をより良くすることです。素晴らしい分析レポートが作成できても、それが具体的な行動につながらなければ意味がありません。分析結果を基に、経営層や現場を巻き込みながら、実際に組織を動かしていくためのプロセスが重要になります。ここでは、分析結果をどのように報告し、フィードバックし、そして具体的な改善施策へと落とし込んでいくか、その実行フェーズにおけるポイントについて解説します。

経営層へのレポート報告と課題の合意形成

分析結果が出たら、まずは経営層へ報告し、組織課題に対する共通認識を持つことが重要です。この際、単に膨大なデータを提示するのではなく、分析から導き出された「重要課題」と、それが経営に与える「リスクやインパクト」を論理的に説明する必要があります。「この課題を解決することで、離職率の低下や生産性向上にどう寄与するか」という視点を盛り込むと、経営層の納得感を得やすくなります。経営層と課題の優先順位について合意形成を図り、組織全体として改善に取り組むコミットメントを引き出すことが、プロジェクト成功の第一歩です。

現場(管理職)へのフィードバックと対話の場の設定

全社的な施策だけでなく、各現場(部署)ごとの改善活動も不可欠です。そのためには、各部署の管理職に対して、自部署のスコア結果を適切にフィードバックする必要があります。ただし、スコアが悪い管理職を責めるような伝え方は避けなければなりません。エンゲージメントは管理職個人の責任だけでなく、組織構造や環境要因も大きいためです。「より良いチームを作るための材料」としてデータを提供し、管理職とメンバーが結果について話し合う対話の場(ワークショップなど)を設定するよう支援します。対話を通じて自分たちの課題を自分たちで認識することが、自律的な改善につながります。

優先順位をつけた改善施策の立案と実行(PDCA)

課題が明らかになったら、具体的なアクションプランを策定します。全ての課題に一度に取り組むとリソースが分散し、どっちつかずになるため、相関分析などの結果を基に優先順位をつけることが大切です。「短期的に解決できること(運用ルールの変更など)」と「中長期的に取り組むこと(人事制度の改定や風土改革など)」に分け、現実的なスケジュールを組みましょう。そして、施策を実行しっ放しにするのではなく、定期的にパルスサーベイ(簡易調査)などで変化をモニタリングし、効果検証を行うPDCAサイクルを回し続けることが、エンゲージメント向上を実現する唯一の道です。

まとめ

エンゲージメントサーベイの分析方法は、単に数値を集計するだけでなく、属性別分析や相関分析、経年比較といった手法を組み合わせることで、組織の真の課題を浮き彫りにすることができます。重要なのは、分析結果を基に仮説を検証し、経営層や現場と対話を重ねながら、具体的な改善アクション(PDCA)につなげることです。データは組織を映す鏡です。まずは自社の現状を正しく理解し、優先度の高い課題から一つずつ対策を講じていきましょう。継続的な分析と改善のサイクルこそが、従業員と企業の絆を深め、強い組織を作る鍵となります。

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