採用DXとは? DXに重要な2つの要素や取り組むメリット、おすすめツールを解説
【監修】株式会社ジオコード マーケティング責任者
渡辺 友馬
採用DXとは、デジタル技術を用いて採用活動を改革し、業務の自動化や候補者とのマッチング精度向上を図る取り組みです。
売り手市場の中で自社にマッチする人材を確保するためには、他社とは違う採用戦略を考える必要があります。採用市場の変化に適応するためにも、採用DXを意識した取り組みの実施が重要です。
本記事では、採用DXとは何か、採用DXが求められるようになった背景、採用DX向上のために必要な2つの要素、成功のポイントなどを詳しく解説します。
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この記事の目次はこちら
採用DXとは?
採用DXとは、デジタルツールやITツールを駆使して採用業務を効率化し、理想の人材の獲得や定着を目指す取り組みです。
DXは、デジタルトランスフォーメーションの頭文字を取ったものであり、経済産業省によって以下のように定義されています(※)。
“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること”
※出典:経済産業省.「デジタルガバナンス・コード3.0~DX経営による企業価値向上に向けて~」p3.https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc3.0.pdf ,(2024-09-17).
つまりDXは、データやデジタル技術を使ってビジネスモデルや業務効率、組織体制などを変革し、時代とともに変わるビジネス環境の変化に順応するための取り組みを指します。単に「ツールを導入した」「これまで手作業だった業務を自動化させた」などの取り組みだけではDXとは言えません。導入によって市場での競争で優位に立つことこそが定義になります。
採用DXは、上記のようなDXの定義を採用活動に当てたものです。採用候補者を集める段階から入社までの流れをデジタル技術で効率化し、より自社にとってより有意義な採用活動の仕組み作りを行うことが採用DXの根本的な考え方です。
採用DXが求められるようになった背景
採用DXが求められるようになった背景には、以下の4つの要因が関わっています。
- 採用活動のオンライン化が急速に進んだ
- 政府によるDX推進が発表された
- SNSの利用者数が年々増加している
- 採用市場が変化している
採用活動のオンライン化が急速に進んだ
新型コロナウイルスの影響によって、採用活動のオンライン化が急速に進みました。
感染対策として不要不急な外出を控えるよう求められる中、これまで対面で実施していた企業説明会や面接をオンラインで行わなければならなかったためです。
オンライン化が進む前は、応募者が企業に直接出向いて面接をするのが一般的でしたが、新型コロナウイルスの影響でオンラインに移行せざるを得ない状況となりました。その影響でリモート面接やオンライン説明会が多くの企業で実施されるようになり、DXがより求められるようになったのです。
政府によるDX推進が発表された
政府によるDX推進の呼びかけも、DXが求められるようになった要因です。
経済産業省の「DXレポート 〜ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」によると、企業がデジタル化を進めずに従来のITシステムをそのまま使い続けていた場合、2025年以降に最大12兆円の年間損失額が生じると言われています(※)。
この問題は2025年の崖と呼ばれており、12兆円は現在の3倍にも上る額です(※)。2025年の崖を突破できない場合、以下のようなダメージを与えると予想されています。
- 膨大なデータを処理しきれず、市場での競争力が低下する
- 災害やサイバー攻撃などによる情報漏えいのリスクが上がる
- 技術的負債が発生し、業務の存続が困難となる
- 新しいビジネスモデルの開発にリソースを奪われ、成長機会を逃す
なお、技術的負債(Technical Debt)とは、長期的な視点でシステムを構築しなかったことが原因で、本来不要な運用・保守コストが掛かってしまうことです。
このようなリスクを回避するためにも、企業は現在の採用活動のプロセスや使用ツールを見直し、業務効率化を図る必要があります。
※参考:経済産業省.「DXレポート 〜ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」p28. https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_03.pdf.(2018-09-07).
SNSの利用者数が年々増加している
SNSの普及も、採用DXが求められるようになったきっかけの一つです。
総務省の「令和5年 情報通信に関する現状報告の概要」によると、2028年のSNS利用者数の予想人数は、60億3,000万人です。2024年の利用者数の予想が51億7,000万人のため、2028年にかけて8億6,000万人の増加が見込まれています(※)。
このようにSNSの利用者が年々増加していることを受け、企業は新卒・中途採用の両方でSNSを積極的に活用することが重要視されています。
また候補者は、企業のホームページだけでなく企業のSNSや口コミなども情報収集の一環として活用しています。そのため、SNSを通じて自社の価値観や魅力を効果的に伝えるなど、ツールを取り入れた採用活動を推し進めることが重要です。
※参考:経済産業省.「令和5年 情報通信に関する現状報告の概要」.”第2部 情報通信分野の現状と課題2 第7節 ICTサービス及びコンテンツ・アプリケーションサービス市場の動向” https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/html/nd247100.html(2024-09-20).
採用市場が変化している
採用市場の変化も、採用DXが意識されるようになった理由です。
かつての日本では、リーマンショックや世界情勢変化によって就職氷河期が続いていました(※)。この期間は求人の数よりも求職者の数が多く、有効求人倍率が1以下になるほどの買い手市場だったのです。そのため、積極的に採用活動をしなくても自然と候補者が集まる状況でした。
しかし、現在は求職者の数が求人の数を上回ることは少なくなっており、企業が求人媒体で求人を掲載するだけでは、十分な人材を確保するのは難しくなっています。
求職者のニーズも多様化しているため、企業は採用DXを活用して求職者との接点を増やし、自社の魅力を伝えていくことが重要です。
※参考:厚生労働省.「就職氷河期とは」.https://www.mhlw.go.jp/shushoku_hyogaki_shien/about/ ,(2024-09-24).
採用DXを構築するための2つの要素
採用DXを取り入れるときに重要な要素は、CX(候補者体験)とEX(従業員体験)の2つです。
CXとEXの両方を強化してDXを構築することにより、企業は求める人材を効果的に集めることができ、従業員は企業の価値を感じながら業務を遂行できます。
それでは、以下でCXとEXの意味を見ていきましょう。
CX(候補者体験)
CXとは、Candidate Experienceの略であり、候補者が企業を認識してから全ての選考過程が終了するまでの体験を指します。例えば、これまで現地で行っていた面接をオンラインに切り替えたことで、候補者が参加しやすくなり、エントリー数がアップしたなどはCX向上の事例です。
選考で候補者が企業に対して不安さや不信感を抱いてしまうと、企業の印象が下がってしまう可能性あります。
EX(従業員体験)
EXとはEmployee Experienceの略であり、従業員が自社での業務を通して得た体験のことです。
従業員が業務で良い体験をすると、仕事のモチベーションが上がるのはもちろん、会社に対する満足度も向上します。例えば、ワークライフバランスを整えるために充実した休暇制度やフレックスタイム制を導入したことで、より働きやすくなり、離職率が低下したといった場合がEX向上の一例です。
逆にEXが低い場合は、会社への満足度が下がって離職者が増加したり、悪い評判が広がって候補者が集まらなかったりします。EXを高めれば、企業の雰囲気の良さが採用候補者にも伝わるため、CXの向上にもつながります。
採用DXを重要視するメリット
採用DXを重要視するメリットは、以下の通りです。
- 採用活動の効率化が図れる
- 採用候補者のデータ化ができる
- 求める人材とマッチングしやすくなる
- 企業価値の向上が見込める
採用活動の効率化が図れる
採用DXを高めることで、採用活動の効率化が図れます。採用活動では、面接日程調整や応募書類のチェック、求人媒体への掲載など多くのタスクをこなさなければなりません。全てをアナログ式で進めていては、業務の遂行に膨大な時間と労力が掛かってしまうでしょう。
しかし、採用DXで業務をオンライン化できれば時間やコストが大幅に短縮されるため、スムーズに選考を進められます。採用担当者の負担も軽減され、効率的に業務が進む点もメリットです。
採用候補者のデータ化ができる
採用DXが進むことで得られる2つ目のメリットは、過去や現在の採用候補者の情報をデータ化できることです。
候補者の情報だけでなく、これまでどのような人材が自社の選考を受けたのか、今までにどのような人材を採用したのかなどの傾向までデータとして蓄積できます。DX化で集めたデータを分析すれば、より自社の採用の方向性が明確化できるでしょう。
また候補者の情報をデータ化していれば、万が一欠員が出た際に採用したい人材を迅速にピックアップできるため、すぐさまスカウトメッセージを送信するなどの訴求が可能です。採用業務を担当者間で引き継ぐ際も、過去の採用実績が残っているので、新しい担当者が実態を把握しやすくなります。
求める人材とマッチングしやすくなる
採用DXは、求める人材とのマッチングにも役立ちます。その理由は2つあります。
一つ目の理由は、求職者のニーズにマッチした情報提供やCX向上によって応募者の増加が期待できるからです。前述したようにSNSを活用すれば、多くの候補者の中から自社に求める人材を選びやすくなります。
2つ目の理由は、候補者の情報や採用実績のデータ化により、採用担当者の主観的な判断ではなく、データに基づいた正確な選考ができるようになるからです。応募者を増やし、ミスマッチ採用のリスクを軽減できれば、、自社の採用要件にフィットした人材を確保できる可能性が高まるでしょう。
企業価値の向上が見込める
採用DXを導入することで、企業価値の向上が期待できます。この取り組みは単なる採用プロセスの効率化にとどまらず、組織全体に好影響をもたらす可能性が高いです。
まず、採用DXによってデータ駆動型の意思決定が可能になり、より適切な人材を採用できるようになります。これにより、採用後のミスマッチを大幅に減少させ、長期的な人材定着率の向上につながるでしょう。
さらに、デジタル技術を活用した透明性の高い採用プロセスは、応募者からの信頼を獲得しやすくなります。この信頼関係の構築は、CXの強化にも直結し、企業ブランドの向上に寄与します。
結果として、優秀な人材の確保、従業員満足度の向上、そして顧客からの好評が相まって、企業の評判が高まるでしょう。
採用DXのデメリット
採用DXには、採用活動の効率化やデータベースの構築などのメリットがありますが、その一方でデメリットもあります。
以下で解説していきます。
導入コストや時間が掛かる
採用DXを進めるには、DXを向上させるためのツール導入やシステムの整備が必要です。
クラウド型のツールの場合は、利用者の人数に応じて月額費用が発生するのが一般的です。導入するときは、掛けたコストと時間に見合う成果が見込めるかどうかを慎重に判断する必要があります。
また、採用DXを進めるにはCXとEXの分析が不可欠です。まずは、求職者のニーズや採用プロセスの現状、課題などを把握することが重要です。入念な分析をしてから導入に移るため、想像以上に時間が掛かる可能性があります。
CXの分析を効率的に進める方法として、キャンディデイトジャーニーマップの活用が有効です。キャンディデイトジャーニーマップとは、採用候補者が自社を認知してから入社するまでの行動を図式化したものです。入社するまでの各フェースで候補者が感じたことをマップで整理することで、より候補者視点に立った施策を考えられるようになります。
DXを取り入れた環境に慣れる必要がある
採用DXを導入すると従来の採用プロセスが大きく変化するため、従業員は新しいツールやシステムの使い方を習得する必要があります。ツールのマニュアルや研修が必要な場合は、そのリソースも確保しなければなりません。
企業によって導入するツールの数は異なりますが、できるだけワンストップで管理できるソリューションを選ぶことで、新しい環境に適応しやすくなります。
採用DXの取り入れ方
採用DXを取り入れるときは、以下の手順で準備を進めていきましょう。
- 採用したい人材の特徴を明確化する
- 現時点のCXの状態と問題点を整理する
- 現時点のEXの状態と問題点を整理する
- 問題を改善できる施策やツールを考え、導入する
- 採用DXを定期的に見直す
1. 採用したい人材の特徴を明確化する
採用DXの第一歩は、採用したい人材の特徴を明確にすることです。求める人物像が明確になっていないと、たとえDX推進のためのツールを導入しても面接者側の合否の判断基準が曖昧になるため、理想的な人材が集まりづらくなります。
まずは、自社の業務をこなすのに必要なスキルや能力、人柄、価値観などを具体的に設定していきましょう。設定するときは、自社で仕事のパフォーマンスが優れている人材をピックアップして分析したり、企業のビジョンを達成するために求められるスキルなどを検討することが重要です。
2. 現時点のCXの状態と問題点を整理する
採用したい人材の特徴が明確になったら、次は現時点でのCXの状態と問題点を整理しましょう。
採用DXを推進する上で、候補者が選考過程でどのような体験をしているか、その体験からどのような価値を提供できているかを考えるのが重要です。具体的には、以下の項目を確認していきます。
- 応募したきっかけ
- 自社を認知した背景
- 入社の決め手
- 選考過程で不安を感じた出来事
- 選考過程で特に印象に残った出来事
実際の従業員にインタビューやアンケートをして、選考当時に感じていたことを聞き出しましょう。インタビューやアンケートが難しければ、架空の候補者を設定して分析しても構いません。CXの現状や課題を丁寧に洗い出すことで、DX向上のための施策を考えやすくなります。
3. 現時点のEXの状態と問題点を整理する
CXの分析ができたら、EXの現状や問題点を整理していきましょう。
EXの向上は、DXを進めていく上で重要なポイントです。従業員が業務を通して得た満足感や不満、直面している課題などを分析すれば、職場環境の現状や活躍している人材の共通点などが明確になります。
分析方法は、従業員にアンケートを取ったり、企業の口コミサイトで調査したりするのが有効です。EXの現状と問題点を明確にし、具体的な施策を考えるためのデータを収集していきましょう。
4. 問題を改善できる施策やツールを考え、導入する
CXとEXの現状や問題点を洗い出せたら、分析で明らかになった課題を改善するための具体的な施策やデジタルツールを考え、実際に導入していきましょう。
ツールには、それぞれ使える機能や見込まれる成果が異なります。複数のツールを比較検討し、自社の採用の課題を解決できそうなものを選びましょう。
また、同業他社の導入事例を参考にするのもおすすめです。自社と類似の課題を解決した事例を参考にすることで、成功のための具体的なアプローチや効果的な施策を見出しやすくなります。
導入後は、初めに抱えていた課題が解決されているかを確認することが重要です。まずは従業員に選考ステップを体験してもらい、率直な感想や違和感を感じた部分をヒアリングしていきましょう。
効果を感じられたら、実際の選考フローに導入していきます。
5. 採用DXを定期的に見直す
採用市場の変化に柔軟に対応するためには、採用DXを定期的に見直すことが重要です。
ツールを導入しただけで終了ではなく、ツールを通してどのような効果が見られたか、採用候補者の反応はどうだったのかを確認する必要があります。
具体的に確認する項目の例は、以下の通りです。
- 応募者の返信率
- エントリー数
- 面接通過率
各要素を数値化し可視化することで、最初に掲げた求める人材の確保が達成できているかを確認できます。定期的な見直しを行い、採用DXの推進を段階的に進めていきましょう。
採用DXに効果的なおすすめツール
採用DXの促進のために、何らかのツールを導入したくても何を導入すればよいと悩む場合もあるのではないでしょうか。
以下は、採用DXに効果的なおすすめツールです。
- 採用プロセス管理ツール
- 面接スケジュール管理ツール
- オンライン会議システム
- ダイレクトリクルーティングサービス
- 内定者とのコミュニケーションツール
それぞれの特長やメリットを以下でまとめています。ぜひツール導入の検討の際にご活用ください。
ツール | 特長 | 導入のメリット |
採用プロセス管理ツール | 応募から内定までの一連の流れを管理するツール | ・採用活動の日程調整や進捗管理をシステム内で一元化でき、業務効率化が図れる |
面接スケジュール管理ツール | 面接日程の調整を簡素化するツール | ・候補者側で空いている枠を選んで面接日を予約することで、採用者側の調整の手間を省ける |
オンライン会議システム | リモートでの面接や説明会ができるツール | ・幅広い候補者に自社の魅力を伝えられる ・遠方にいる候補者ともつながれる |
ダイレクトリクルーティングサービス | 自社に合った候補者を直接スカウトできるサービス | ・求める人材とマッチする候補者に直接アプローチができる ・ミスマッチ採用が防げる |
内定者とのコミュニケーションツール | 選考が終了した内定者とコミュニケーションが図れるツール SNS型やeラーニング型などがある | ・内定者の入社意欲の向上や入社手続きを効率的に進められる ・入社前の導入研修もシステム内で実施できる |
採用ツールは、既に使っているツールとの連携ができるか、操作しやすいか、セキュリティ面の対策をしているか、採用業務に関連したサポートをしてくれるかなどを考慮して選びましょう。
また、どの採用形態に強いかも確認するとよいです。ツールといっても、新卒採用に強いツールや中途採用に特化したツールなどがあります。採用DXを効果的に進めるためにも、自社の課題を解決できるものを選びましょう。
採用DXを成功に導くためのポイント
採用DXを成功させるためにも、以下の4つのポイントを意識しましょう。
- 採用DXを通して達成したい目標を明確にする
- EXで従業員体験の向上を図る
- オンライン採用を積極的に進めていく
採用DXを通して達成したい目標を明確にする
採用DXの導入には、まず自社が達成したい具体的な目標や解決すべき課題を明確にすることが重要です。
例えば、採用に掛かる時間の短縮、求める人物像とマッチしている人材の確保、採用コストの削減などが挙げられます。目標や課題が明確になっていれば、自社に最適なツールの選定だけでなく、導入後の効果検証も効率的に進めやすくなります。
EXで従業員体験の向上を図る
EXを分析、改善し、従業員が現在の業務に満足を感じながら働けるようにするのも重要です。
例えば、これまで手作業で行っていた候補者のリスト作成を自動化することで、従業員の負担を軽減できたり、残業時間を削減できたりします。また、自社独自のEX向上施策を実施すれば、求職者に自社の魅力を効果的に伝えられます。
オンライン採用を積極的に進めていく
ITツールを活用した採用サイトの制作や面接の日程調整にとどまらず、オンラインでの採用活動を増やしていきましょう。
例えば、説明会や面接をオンラインで行うことで、会場の手配や移動の時間の短縮が可能です。候補者も現地に出向くことなくオンラインで簡単に参加できるため、就職活動や転職活動をより効率的に進められます。
ただし、オンライン化には企業の雰囲気を感じ取りにくいデメリットもあります。候補者が、画面越しでも自社の雰囲気を感じられるようなプログラムを考えていきましょう。
採用DXの導入で質の高い採用活動を実施しよう
採用市場は時代とともに変化しており、それと同時に求職者が求めている情報やニーズも変わります。ビジネス発展に貢献する優秀な人材を確保するためにも、企業は採用DXを意識した取り組みを行うことが重要です。
採用DXの取り組みでCXやEXの向上を図れば、候補者が選考で満足感を得やすくなったり、従業員が働きやすくなったりします。結果的に企業価値を高めることにもつながります。まずは採用活動の一部をオンライン化したり、自社の目標に合った採用管理ツールを導入したりしながら、採用プロセスのDX化を進めていきましょう。
以下の記事では、採用DXの向上につながる「採用管理システム」を紹介しています。
「どのツールを選べばよいか分からない」とお悩みの方は、ぜひご活用ください。
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