更新日:2024/09/18
労務管理とは? 目的や基本業務、行う際のポイントを簡単に解説
【監修】株式会社ジオコード マーケティング責任者
渡辺 友馬
従業員が安心して働ける職場環境を作り、健全に事業を運営していくには、労務管理が欠かせません。労務管理の業務は多岐にわたる上、複雑な内容も多いですが、どのようなポイントを押さえておけば、効率良く労務管理が行えるのでしょうか。
本記事では労務管理の概要や目的、基本業務、労務管理で押さえておくべきポイントをご紹介します。適切な労務管理を行うにはどのような業務があるかを理解し、それぞれの業務を正確に行うことが大切です。本記事を参考に適切な労務管理を行って、職場環境を改善して従業員のモチベーション向上や業務効率アップを目指しましょう。
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この記事の目次はこちら
労務管理とは?
労務管理とは、従業員に労働に関するさまざまな内容を管理するバックオフィス業務を指します。
従業員は企業と労働契約を結び、業務に従事しています。契約には労働時間や給与・賞与、休日・休暇、福利厚生などさまざまな取り決めがありますが、従業員が働きやすい職場環境を作るために、これらを整備して管理するのが労務管理です。また従業員の健康対策やハラスメント対策などを行うことも、労務管理の業務の一環です。
適切な労務管理を行うことは、コンプライアンス遵守につながります。そのため、労務管理を適切に行えば、法令や社会的ルール違反によって起こるさまざまなリスクから企業を守ることにもつながるでしょう。
人事管理との違い
労務管理と混同されやすいのが人事管理です。労働管理も人事管理もバックオフィス業務で、従業員にまつわる管理を行うという点では同じですが、管理する内容が異なります。
人事管理は採用や人材育成、人事評価など、個々の人材を管理するものです。一方、労務管理は前述した通り、労働に関する条件などを管理し、組織全体の職場環境を整えます。
人事部が労務管理も人材管理も行うケースもあれば、労務管理は労務部や総務部が行い、人事管理は人事部が行うケースもあり、どの部署が業務を担当するかは企業によって異なります。
労務管理の目的
労務管理を行う目的は主に2つあります。どのような目的があるのかを見ていきましょう。
法令違反によるリスクの回避
労務管理を行う目的の一つは、法令違反によるリスクの回避です。
労働法では就業規則や従業員の労働条件・健康維持、職場環境などに関してさまざまな決まりがあります。法律にのっとってこれらを整備することは、企業が果たさなければならない社会的責任です。
法令を遵守し、企業のブランド力や信頼を維持するには、適切な労務管理を徹底することが欠かせません。
生産性の向上
生産性の向上も労務管理を行う目的です。
適切な労務管理が行えておらず、働きやすさや健康に配慮した職場環境が整備されていなければ、従業員の労働意欲が低下して生産性が下がってしまいます。逆に適切な労務管理が徹底できれば、働きやすさが向上して従業員の労働意欲を維持できるため、企業全体の生産性がアップするでしょう。
生産性が高まれば企業のブランド力も向上するので、人材確保がしやすくなり、さらなる生産性向上や業績アップにつながります。
労務管理の基本業務
労務管理の業務は多岐にわたります。具体的にどのような業務があるのかを見ていきましょう。
労働(雇用)契約書・労働条件通知書の作成業務
労務管理の業務の一つに、労働(雇用)契約書・労働条件通知書の作成業務があります。
労働契約書とは、民法第623条に基づいて従業員と企業が取り決めた労働条件に合意し、契約した内容を証明する書類です(※1)。一般的に労働契約書には、以下の項目を盛り込む必要があります。
- 労働契約期間
- 就業場所
- 業務内容
- 始業時間・終業時間
- 交代制のルール
- 所定労働時間を超えた労働の有無
- 休憩時間
- 休日・休暇
- 賃金の決定・計算・支払方法・締切日・支払日
- 昇給に関する事項
- 退職に関する規定
またパートタイム労働者に対しては、以下の項目も盛り込まなければなりません。
- 昇給の有無
- 退職手当の有無
- 賞与の有無
- 相談窓口の担当者の部署・役職・氏名
労働契約自体は口約束でも成立するものですが、トラブルを防ぐために労働契約書を作成し、企業と従業員の双方が署名捺印するのが一般的です。
一方労働条件通知書は、労働条件を従業員に通知する書類です。労働基準法第15条では、企業などの使用者は労働者に対して労働条件を明示することが義務付けられており、労働条件通知書の交付も義務となっています(※2)。労働条件通知書は入社日に渡すケースもありますが、内定時に渡すケースが一般的です。
労働契約書と労働条件通知書は重複する部分も多いので、労働条件通知書兼雇用契約書を作成するケースも少なくありません。
※1 参考:e-GOV 法令検索.「民法(明治二十九年法律第八十九号)」.https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089#Mp-Pa_3-Ch_2-Se_8 ,(参照 2024-09-11).
※2 参考:e-GOV 法令検索.「労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)」.https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049#Mp-Ch_2-At_15 ,(参照 2024-09-11).
就業規則の作成・管理業務
就業規則の作成や管理業務も、労務管理の重要な基本業務です。
就業規則とは、従業員の労働条件や雇用に関する社内ルールなどをまとめた書類を指します。労働基準法第89条では、常時10人以上の労働者を使用する企業は就業規則を作成し、行政に届け出ることを義務付けています(※)。また労働時間や賃金・昇給に関する事項、退職に関する事項などを変更した際も就業規則を作成し、届出を行わなければなりません。
就業規則には、全ての企業が記載する必要がある「絶対的必要記載事項」と、ルールを設けた際に必要に応じて記載しなければならない「相対的必要記載事項」、企業が任意で記載を決められる「任意的記載事項」があります。
絶対的必要記載事項は、以下の3点です。
- 労働時間に関する規定
- 賃金に関する規定
- 退職に関する規定
相対的必要記載事項には、以下のものがあります。
- 退職金に関する規定
- 最低賃金・賞与などの臨時賃金に関する規定
- 従業員が負担する食費・作業用品などに関する規定
- 従業員が遵守すべき安全衛生に関する規定
- 義務付けられた教育訓練に関する規定
- 災害時や業務外での病気・けががあった場合の手当に関する規定
- 表彰・制裁に関する規定
- その他に関する規定
任意的記載事項の項目の例は以下の通りです。
- 企業理念
- 社訓
- 採用・異動に関する規定
- 服装に関する規定
- 人事に関する規定
各種保険の管理業務
労務管理では、各種保険の管理業務も行います。
該当する保険は以下の通りです。
- 健康保険
- 厚生年金保険
- 労災保険
- 雇用保険
従業員が入社した際の資格取得のための手続きや退職時の資格喪失の手続きの他、育児休業給付金など各種給付金の手続きなどを行う必要があります。さまざまなタイミングで手続きが必要になるため、その都度対応しなければなりません。
※参考:e-GOV 法令検索.「労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)」.https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049#Mp-Ch_2-At_15 ,(参照 2024-09-11).
勤怠の管理業務
勤怠の管理業務も労務管理の重要な業務の一つです。
具体的に管理するのは以下の内容です。
- 始業時刻
- 終業時刻
- 遅刻
- 早退
- 欠勤
- 時間外労働時間数
- 休日労働時間数
- 年次有給休暇
勤怠管理を適切に行うことは、給与計算や従業員の健康維持に欠かせません。
厚生労働省は、適切に労働時間を把握するために「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を示しています(※)。
※参照:厚生労働省.「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」.https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000149439.pdf ,(参照 2024-09-11).
給与計算・給与明細の発行業務
労務管理では、給与計算や給与明細の発行業務も行います。
給与計算は前述した勤怠管理のデータを元にして、従業員の給与や時間外労働・休日労働の割増賃金、手当、社会保険料、雇用保険料、税金などの計算を行うものです。勤怠データや保険料率・税率などを元に正確な計算を行うことが求められるため、専門知識が必要な業務です。従業員数が多い場合や働き方の選択肢が多い場合は、特に業務負担が大きくなりやすいでしょう。
また計算した給与を元に、従業員ごとの給与明細を発行します。
年末調整計算・法定調書の作成業務
年末調整計算・法定調書の作成業務も、労務管理業務の一環です。
企業に所属する従業員は、給与や賞与から所得税がその都度天引きされています。しかし天引きされる時点では一年間の収入や控除額は確定していないので、正しい所得税額が引かれているわけではありません。そのため収入や控除額が確定した時点で所得税を計算し、過不足を調整する年末調整を行う必要があります。
法定調書とは、各種税法の規定によって税務署への提出が義務付けられている書類の総称です。法定調書は63種類あり、具体的には給与所得や退職所得の源泉徴収票や、報酬・料金・契約金・賞金などの支払い調書などがあります(※)。年末調整の計算を行ったら各種法定調書を作成した上で、各種法定調書を集計した「給与所得者の源泉徴収票等の法定調書合計表」を作成しなければなりません。
※参考:国税庁.「No.7401 法定調書の種類」.https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hotei/7401.htm ,(参照 2024-09-11).
福利厚生の管理業務
福利厚生の管理業務も労務管理で行わなければならない業務です。
福利厚生とは、企業が従業員やその家族に提供する給与・賞与以外の報酬を指します。福利厚生は大きく分けて法定福利厚生と法定外福利厚生があり、前者は法律で定められている福利厚生です。
法定福利構成には、以下のものが該当します。
- 健康保険
- 介護保険
- 厚生年金保険
- 雇用保険
- 労災保険
- 児童手当拠出金 など
一方法定外福利厚生には、以下のようなものがあります。
- 通勤手当
- 家賃補助
- 社宅
- 家族手当
- 健康診断補助
- 社員食堂
- 社員旅行
- 育児支援
- 資格取得支援 など
充実した福利厚生を提供することは、従業員の満足度向上やモチベーション維持に欠かせません。労務管理では自社に合う福利厚生の検討や導入、運用・管理などを行います。
法定三帳簿の作成・管理業務
法定三帳簿を作成し、管理することも労務管理の重要な業務です。法定三帳簿とは、「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」の3つで、労働基準法で事業場ごとにこれらの作成および保存が義務付けられています。それぞれどのような帳簿なのかを見ていきましょう。
労働者名簿
労働者名簿とは、事業場ごとに作成する労働者の名前や生年月日などを記載した帳簿のことです。労働基準法第170条で、労働者名簿の作成が義務付けられており、記載事項に変更があった場合はその都度遅延なく訂正を行わなければなりません(※)。
日雇い労働者に関しては記載する必要がありませんが、社員はもちろん、パートやアルバイトを1人でも雇っている場合は労働者名簿の作成が必要です。労働者名簿以外に社員名簿や従業員名簿という名称で作成している企業もありますが、法律で定められた項目を漏れなく記載しているのであれば、どの名称で作成しても問題ありません。
労働者名簿に記載しなければならない法律で定められている項目は以下の通りです。
- 氏名
- 生年月日
- 履歴
- 性別
- 住所
- 従事する業務の種類
- 雇用年月日
- 退職年月日とその理由
- 死亡年月日とその原因
上記の項目は法律によって記載が義務付けられていますが、これに加えて任意で連絡先や社会保険に関する内容などを記載しても構いません。ただし電話番号は個人情報に該当するため、記載する場合は労働者の同意を取る必要があります。
労働者名簿は、労働者の退職日・解雇日・死亡日を起算日として、3年間保存しなくてはなりません。
※参考:厚生労働省.「労働者を雇用したら帳簿などを整えましょう」.https://jsite.mhlw.go.jp/okinawa-roudoukyoku/library/okinawa-roudoukyoku/04rouki/houteichoubo.pdf ,(参照 2024-09-11).
資金台帳
賃金台帳とは、事業場ごとに作成しなければならない賃金計算の基礎になる事項や賃金額、賃金の支払い状況などを記載した帳簿のことです。賃金台帳の作成は労働基準法第108条で義務付けられています(※)。賃金の支払いを行ったら、その都度遅延なく記入を行わなければなりません。
賃金台帳に記載しなければならない法律で定められている項目は以下の通りです。
- 氏名
- 性別
- 賃金の計算期間
- 労働日数
- 労働時間数
- 時間外労働時間数
- 深夜労働時間数
- 休日労働時間数
- 基本給・手当などの種類と額
- 控除項目と額
賃金台帳は、各労働者の賃金に関する記入を行った日を起算日として3年です。
労働者名簿は日雇い労働者の記入は不要ですが、賃金台帳の場合は日雇い労働者も含めて記入を行わなければなりません。ただし日雇い労働者の場合、賃金の計算期間の記載は不要です。
※参考:厚生労働省.「労働者を雇用したら帳簿などを整えましょう」.https://jsite.mhlw.go.jp/okinawa-roudoukyoku/library/okinawa-roudoukyoku/04rouki/houteichoubo.pdf ,(参照 2024-09-11).
出勤簿
出勤簿は事業場ごとに各労働者の労働時間を記録する帳簿のことです。
労働基準法では直接的に出勤簿の作成を義務付けた規定はありません。ただし労働基準法第9条の「賃金その他労働関係に関する重要な書類」で、出勤簿の保存は義務付けられているため、作成が必要です(※)。
法律で定められた記載事項はありませんが、一般的に以下の項目を記録します。
- 出勤日
- 労働日数
- 始業時間
- 終業時間
- 休憩時間
- 日別の労働時間
- 時間外労働をした日付・時刻・時間
- 深夜労働をした日付・時刻・時間
- 休日労働をした日付・時刻・時間
出勤簿は労働者が最後に出勤した日を起算日として、3年保存しなければなりません。
※参考:厚生労働省.「労働者を雇用したら帳簿などを整えましょう」.https://jsite.mhlw.go.jp/okinawa-roudoukyoku/library/okinawa-roudoukyoku/04rouki/houteichoubo.pdf ,(参照 2024-09-11).
安全衛生管理業務
安全衛生管理業務とは、職場の安全衛生を確保するための措置や従業員の健康維持のための措置・対策を講じる業務のことです。労働安全衛生法によって、安全衛生管理業務の実施が義務付けられています。
雇用時や年1回の健康診断を実施したり従業員に対する安全衛生教育を行ったりする他に、職場の規模や職種に応じて以下の人員を専任しなければなりません(※)。
- 総括安全衛生管理者
- 安全管理者
- 衛生管理者
- 安全推進者
- 衛生推進者
- 産業医
- 統括安全衛生責任者
- 店社安全衛生管理者
- 元方安全衛生管理者
- 安全衛生責任者
※参考:厚生労働省.「労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう~労働者の健康確保のために~」.https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000103900.pdf ,(参照 2024-09-11).
職場環境・業務の改善業務
職場環境・業務の改善業務も労務管理の基本業務の一つです。
具体的な職場環境・業務の改善業務には、以下のようなものがあります。
- ハラスメント対策
- 高齢者活躍推進
- 障害者雇用推進
- 女性の活躍推進
2020年6月1日に「改正 労働施策総合推進法」が施行され、事業主に対してパワーハラスメント防止措置が義務化されました(※1)。当初は中小企業の事業主は対象外でしたが、2022年4月1日から、中小企業の事業主にもパワーハラスメント防止措置が義務化されています。また男女雇用機会均等法第11条では、事業主に対して職場でのセクシュアルハラスメント防止措置を取ることが義務付けられています(※2)。
※1 参考:厚生労働省.「労働施策総合推進法に基づく「パワーハラスメント防止措置」が中小企業の事業主にも義務化されます!」.https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000855268.pdf ,(参照 2024-09-11).
※2 参考:厚生労働省.「職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました!」.https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000611025.pdf ,(参照 2024-09-11).
労務管理で押さえておくべきポイント
労務管理を効率良く行う上で、どのようなポイントを押さえておけば良いのでしょうか。労務管理で押さえておくべき6つのポイントをご紹介します。
多様化する働き方に対応する
労務管理を行う際は、多様化する働き方に対応することが必要不可欠です。
国を挙げて働き方改革が推進され、関連する法律も改正が進められている今、テレワークやフレックスタイム、時短勤務、育児休業・介護休業、副業・兼業など、従来の働き方とはことなる働き方を選択する従業員も増えてきました。そのため、これまでの一律な働き方を前提とした労務管理では十分に対応できません。
多様な働き方に対応する就業規則の見直しや福利厚生の整備を行い、新しい価値観に沿った労務管理を行うことが求められています。
コンプライアンスの遵守を徹底する
労務管理を行う上では、コンプライアンスの遵守を徹底することも大切です。
労務管理は労働基準法といったさまざまな法律・法令に沿って行う必要があります。時代の変化に合わせて法律や法令は改正されるため、その都度最新の情報に沿って柔軟に対応しなければなりません。
コンプライアンス遵守を徹底するには、法律に関する知識を深め、都度アップデートしていくことが必要です。知識不足で改正内容を認識していないと、法令違反になったり労災問題やハラスメント問題が起こったりするリスクがあります。
従業員の情報をしっかり管理する
適切な労務管理を行うには、従業員の情報をしっかりと管理することも大切です。
労務管理では、従業員に関するさまざまな情報を管理しなければなりません。従業員の氏名や住所、給与、電話番号、マイナンバーなど重要な個人情報を扱う機会も多いため、情報管理には責任が伴います。近年はデジタルデータで従業員情報を管理する企業も増えてきました。デジタルデータは検索性の高さなどのメリットがありますが、情報漏えいのリスクも問題となっています。
大切な情報をきちんと管理するためには、セキュリティ対策を徹底し、適切なアクセス権限の設定などを行うことが大切です。万が一情報漏えいが起きてしまうと、企業の信頼は失墜してしまいます。適切な情報管理ができるように、必要な対策や措置を講じましょう。
ハラスメントへの対応・対策を明確にする
ハラスメントへの対応・対策を明確にすることも、労務管理を行う上では欠かせません。
ハラスメントへの意識は年々高くなっており、前述した通り2022年4月1日から、中小企業の事業主に対しても、パワーハラスメント防止措置が義務化となりました(※)。ハラスメントを防止するためにどのような対策を取るかはもちろん、万が一発生した際にどのような方針で対応するのかなどを明確にし、全従業員に周知徹底することは、今や労務管理の重要なポイントの一つです。
単に防止策を考えるのではなく、相談窓口を設置するなど従業員がいつでも相談できる環境を整備することも求められています。
※参考:厚生労働省.「労働施策総合推進法に基づく「パワーハラスメント防止措置」が中小企業の事業主にも義務化されます!」.https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000855268.pdf ,(参照 2024-09-11).
手続きのミスや抜け漏れを防ぐ
労務管理を行う際は、手続きのミスや抜け漏れを防ぐように対策を取ることも大切です。
解説した通り労務管理の業務にはさまざまなものがあり、複雑なものや専門知識が求められるものも少なくありません。手続きのミスや抜け漏れがあると、法令違反になったり従業員にマイナスな影響が出てしまったりして、トラブルになってしまいます。
手続きやミスの抜け漏れを防いで正確に業務を行えるように、業務手順の見直しやチェック体制を強化する必要があるでしょう。
労務管理システムを導入して効率化を図る
労務管理システムを導入して効率化を図ることも、労務管理で押さえておきたいポイントです。
労務管理システムは、効率的な労務手続きや勤怠管理、給与計算などをサポートしてくれるシステムです。前述した通り労務管理はさまざまな業務に対応しなければならず、複雑な内容も多いため、担当者の負担が大きくなりやすい傾向にあります。労務管理をアナログで対応している企業も少なくありませんが、アナログでの作業は手間がかかる上、ミスも起きてしまいやすいです。
労務管理システムを導入すれば複雑な業務を自動化でき、さまざまな手続きもシステム上で完結できるようになります。業務の効率化が実現し、担当者の負担は大幅に軽減されるでしょう。
まとめ
本記事では労務管理の概要や目的、基本業務、労務管理で押さえておくべきポイントを解説しました。労務管理は働きやすい職場環境づくりに欠かせない業務ですが、さまざまな業務が発生するため、担当者の負担が大きくなってしまいやすいです。正確かつ効率良く業務を行うには、労務管理システムの導入を検討してみると良いでしょう。
労務管理システムにはさまざまなものがあり、システムによって搭載している機能や他のシステムとの連携の可否などが異なります。システムを導入する際は、システムごとの機能や特徴の違いを比較し、自社に合ったシステムを選ぶことが大切です。こちらのページではおすすめの労務管理システムを比較してご紹介しているので、ぜひシステム選びの参考にしてみてください。
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