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SFA JOURNAL by ネクストSFA

AIリーガルチェックは違法? 法務省発表のガイドラインの内容について解説

小島 伸介

【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介

株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。

リーガルチェックとは、契約書やその他業務上の文書が法律に適合しているかを確認する作業です。近年ではAIを活用したリーガルチェックサービスが登場し、導入する企業が増えています。しかし法律に違反する可能性があるケースも存在するため、ガイドラインを遵守して適切に使用することが重要です。

この記事では、AIリーガルチェックの違法性に関して解説します。サービスの導入を検討している担当者は、ぜひ参考にしてください。

【比較】おすすめのリーガルチェックツール一覧

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サービス名 特長 費用 主な機能
LegalForce
  • AIによるリスクの見落とし・必要条項の抜け漏れ防止をサポート
  • 参考条文が瞬時に見つかるので、リサーチにかかる手間と時間を減らす
  • ナレッジを活かした契約審査を可能とし、属人化を防ぐ
要お問い合わせ
(初期費用+月額費用)
リスク検知支援、リサーチ、文書編集、ナレッジ共有、案件受付・管理機能など
GVA assist
  • 契約上のリスクを瞬時に検知
  • 契約上の立場に応じた修正例と豊富な譲歩案を提示
  • 弁護士監修の契約書ひな型が数百種類あり
要お問い合わせ
(アカウント費用(月額)+初期費用,オプション費用)
不足条文、推奨条文、チェックポイント/解説、条文検索、表記ゆれの一括置換、条番号の統一、新旧文書比較、ひな型ダウンロード/ドラフトなど
LeCHECK
  • 法律のプロが監修した「契約書自動AIレビュー支援機能」あり
  • 英文契約書のレビューを支援可能
  • 専門弁護士作成のひな型を使用できる
要お問い合わせ
(ライトプラン
基本プラン
プロフェッショナルプラン)
契約書AIチェック機能、契約書作成支援機能、契約書保管管理機能、英文契約書対応機能、オプション機能など
LAWGUE
  • 直感的でシンプルな画面操作
  • 様々な業界・事業規模での導入実績
  • 万全の導入サポート
要お問い合わせ
(初期費用+月額費用)
データベース化、クラウド編集機能、AI検索、AIレビューアシスト、ナレッジ管理、AI-OCRなど
LawFlow
  • AIによる条項の抜け落ちも瞬時にチェックし、必要な条項を指示
  • 43類型 の契約に対応
要お問い合わせ 文書比較機能、ノウハウ共有、法務部を超えた審査フロー、取引先フィルターなど
インテリジェント契約チェッカー
  • 契約書のチェック箇所をAIが瞬時にピックアップ
  • 誰でも契約書のチェックが可能
  • 支社や部門ごとのチェックレベルを均一化
要お問い合わせ 必要な条項の有無、注意すべき条項などチェック項目表示機能、リスク判定など
ContractS CLM
  • 事業部とのコミュニケーションコスト削減
  • 契約書のステータスが可視化され誰がいつ何をすればよいか分かる
  • 契約に関するあらゆる業務を一つで完結
要お問い合わせ
(初期費用+月額基本料金+オプション)
契約書の作成・交渉・レビュー、承認・締結、更新・変更・管理など
CLOUDSIGN
  • 契約締結から契約書管理まで可能
  • 官民を含めた膨大な導入実績あり
  • 法務に関する知識や経験が少なくても使いやすい
要お問い合わせ AIリスクチェック、自社基準チェック、文書比較、テンプレートなど
リーガレッジ
  • 契約書の管理と活用にまつわる課題を解決
  • 働き方の多様化を支援
要お問い合わせ 契約書自動解析・登録、契約書検索、条文検索、Wordアドイン、契約更新管理、ロール管理、電子サインサービス連携など
MNTSQ CLM
  • 法務リスクの見える化
  • 定型業務の自動化
  • 最適なナレッジをAIによる提案
要お問い合わせ 案件検索・リスト表示、案件担当状況の可視化、ステータス管理、依頼フォームの作成、更新時のメール通知、参考ナレッジ提案、台帳/契約書の一覧表示、関連契約書の紐づけなど

リーガルチェックとは?

リーガルチェックとは、法律の専門家や法務担当者が書類の内容に目を通し、法律に違反する部分や不利益条項などがないか確認するプロセスです。ビジネスの現場では契約書といった重要な書類のやり取りが行われるので、弁護士や法務担当者などのチェックが求められます。

契約書や業務上の文書に記載されている内容は、必ずしも法律に適合しているとは限りません。しかし専門知識のない担当者が確認すると、潜在的なリスクを見落とす可能性があります。その結果トラブルに発展し、契約が無効になるかもしれません。

そこで法律に詳しい専門家や担当者がリーガルチェックを行い、円滑にビジネスを遂行できるようにする必要があるのです。

AIによる契約書チェックは違法?

昨今は生成AIの性能が向上しており、簡単に文章をチェックできるようになりました。しかし契約書や業務上の文書をAIでチェックすると違法になる可能性があるため、慎重に判断しなければなりません。

AIによるリーガルチェックは違法の可能性がゼロではない

2022年に法務省が公表した見解によると、AIによる契約書のチェックは違法となる可能性があります。弁護士が補助的にAIを使うなら問題ないものの、AIが主体となってリーガルチェックを行う場合は、弁護士法72条が定める非弁行為の禁止に抵触する恐れがあります。

第72条弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件および審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

2024年12月の時点では明確な結論が出ていないとはいえ、AIによるリーガルチェックは慎重に実施すべきでしょう。

参考:法令リード.「弁護士法」.
https://hourei.net/law/324AC1000000205 ,(2020-05-29).

違法だとされた背景

法務省がAIによるリーガルチェックの違法性に言及したきっかけは、弁護士ドットコムが「グレーゾーン解消制度」による照会を行ったことでした。法務省は「AIが契約書レビューをするのは、弁護士法72条にある非弁行為に抵触する可能性がある」と回答し、すでにAIリーガルチェックを利用していた企業や業界に衝撃を与えました。

革新的な技術の登場は人々に恩恵を与える反面、混乱を招く場合もあります。AIのリーガルチェックサービスも同様で、世間に浸透するには時間がかかるでしょう。

弁護士法72条に抵触する可能性があるケース

法務省は2023年8月に新たなガイドラインを発表し、弁護士法72条に抵触する場合とそうでない場合の判断基準を示しました。ここでは弁護士法に違反する可能性のある3つのケースを解説します。

  1. 報酬を得る目的がある
  2. 事件性がある
  3. 「鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務」に該当する

法務省は「事件性のない一般的な契約であれば非弁行為に当たらない」としており、通常の商取引はこちらに該当する場合が多いでしょう。

報酬を得る目的がある

企業がリーガルチェックの対価として金銭の支払いを受けて契約書のレビューを行う場合は「非弁行為」に当たり、報酬を得る目的があるとみなされます。リーガルチェックサービスを提供する企業は利用料を請求するのが通常であり、ガイドラインの基準に該当するでしょう。

非弁行為とは、弁護士でない方が法律に関する業務を行うことです。法律の問題を解決するには高度な専門知識が必要なため、無資格者が行うと依頼者に不利益をもたらすリスクがあります。そのため弁護士法72条により禁止されています。

参考:法務省大臣官房司法法制部.「AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第 72 条との関係について」.
https://www.moj.go.jp/content/001400675.pdf ,(2024-08).

事件性がある

弁護士法72条が定める「その他一般の法律事件」の判断を、法務省は事件性の有無を個別に判断する必要があるとしています。

【事件性のないケースの一例】

  • 企業間で取引の契約書を締結する場合
  • 社員の雇用契約を結ぶ場合
  • 親子会社やグループ会社の間で商品・資金を移動させる場合
  • 以前から取引している会社と同じ条件で契約を締結する場合

事件性があると判断される可能性があるのは、当事者間で紛争が生じた後に和解契約を締結するような場合です。和解書を作成するためのリーガルチェックを行うサービスを提供するようなケースでは、事件性のあるその他一般の法律事件に該当すると考えられます。

「鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務」に該当する

AIによる契約書のリーガルチェックは、必ずしも「鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務」に該当するとは限りません。サービスの内容により、判断が分かれるところです。

【具体的な該当例】

契約書の修正提案・特定の条文について修正案を出す
・契約の解釈や適用に関して助言する
法律に基づくアドバイスの提供・法的なリスクや義務について助言する
・特定の条項の法的問題を判断する
紛争解決のための仲裁や和解の提案・具体的な解決策を提示する
・当事者間の合意形成をサポートする
訴訟の代理・訴訟手続きを代行する
・訴状の作成や提出などを行う

AIが契約書とひな形の違いを指摘するだけなら、原則として弁護士法72条に抵触しません。ただしガイドラインの内容は一般論であり、最終的な判断は裁判所が行います。

ガイドラインの発表により注目される今後の動向

法務省が発表したガイドラインによって、AIによる契約審査サービスが適法と判断される領域が明確になりつつあり、業界に新たな展開をもたらしています。このガイドラインはAI契約審査が弁護士法第72条に抵触しない範囲を示しており、新規事業者の参入が期待されています。契約書のレビューやリスクの指摘が合法的に行えることで、企業の法務業務の効率化が進むでしょう。

また開発事業者向けのガイドラインの策定が進んでおり、新規参入者にとっての安心材料が増えると考えられます。AI契約審査は将来的に法務の標準ツールとして位置付けられる可能性が高く、今後の動向が気になるところです。法務省のガイドライン整備により、AI契約審査サービスの機能が充実し、法務業界全体に革新をもたらすことが期待されています。

リーガルチェックが必要な契約書の一例

リーガルチェックが必要な契約書は以下の4つです。

  • 業務委託契約書
  • 秘密保持契約書
  • 売買契約書
  • 金銭消費貸借契約書

それぞれ解説しますので、業務としてリーガルチェックを行う方は参考にしてください。

業務委託契約書

業務委託契約書とは、委託者が受託者に特定の業務の遂行を依頼するために取り交わす書類です。業務内容と報酬が契約の基礎となるため、依頼する側はこれらを書面に明記する必要があります。例えば「ソフトウェアの開発を社外に依頼する」「人材紹介や研修などを専門家に依頼する」といった場面を想像すると分かりやすいでしょう。

一般的な業務委託では業務の範囲が曖昧になることが多く、当事者間で認識の相違が生じるかもしれません。委託者が事前に契約書のリーガルチェックを行い、きちんと確認すれば想定外のトラブルを防止できるでしょう。

秘密保持契約書

秘密保持契約書(NDA)は、特定の情報を第三者に開示することを禁止し、情報の利用目的や取り扱いのルールなどを明確に定める書類です。自社の利益を守るだけでなく、顧客の情報を管理する・自社の信頼性を高めるといった役割もあります。

秘密保持契約書は業務委託と一緒に締結される場合が多く、自社と初めて取引する相手に提示します。秘密情報の範囲は多岐に渡り、業務の範疇により広くも狭くも設定可能です。必要に応じて範囲を決めましょう。

また秘密事項とされる期間も重要なので、取引終了後の情報の取り扱いも決めておくことを推奨します。

売買契約書

売買契約書とは、商品の売買取引をする際に作成する書類を指します。住宅や自動車の売り買い、債務の履行に関する危険負担や引き渡し方法などを規定する契約書です。

売買契約書の作成は必須ではないものの、口約束の契約には危険が伴います。トラブルが発生するかもしれないため、契約内容を証明するための文書が必要です。企業間の取引では、売買契約書を作成するのが慣習となっています。

円滑な商取引を実現するには、あらかじめ契約書に履行内容と条件を明記しなくてはなりません。契約書を作成する際は、記載漏れがないか確認しましょう。

金銭消費貸借契約書

お金の貸し借りをする際には、金銭消費貸借契約書を作成して締結します。例えば「甲は乙に対して○○万円を貸し付ける」というように、貸借関係を明らかにしておくのです。

金銭消費貸借契約書には、返済方法や返済期限の他、遅延時の対処法や利息に加えて連帯保証人などの重要事項を記載します。とりわけ重要なのは返済に関する規定で、法務担当者や弁護士などのアドバイスを元に慎重に作成する必要があります。

なお借用書と金銭消費貸借契約書は別物であり、借用書はあくまで借り主が金銭を受け取ったことを証明する書類です。

AIによるリーガルチェックを選ぶポイント

AIによるリーガルチェックを選ぶポイントは、以下の7つです。

  1. 機能が充実しているか
  2. 費用はどのくらいか
  3. 使用頻度の高い契約のタイプや準拠法に沿っているか
  4. 自社のポリシーとマッチするか
  5. 契約書のファイル形式が合っているか
  6. 複数の言語に対応しているか
  7. セキュリティが確保されているか

自社のニーズを満たす機能があるかどうかは重要で、契約する前に必ずチェックしましょう。導入費用やランニングコストに加え、対応言語やセキュリティなども確認してください。

まとめ

AIはリーガルチェックの分野にも進出しており、昨今はさまざまなサービスが登場しています。本来は専門知識がないと難しい業務でしたが、AIの発達により法律に詳しくない方でもある程度の判断ができるようになりました。

AIは確かに便利ですが、中には弁護士法に違反する可能性のあるケースも見受けられます。あくまで補助ツールとして活用し、最終的には有資格者の意見を参考にするとよいでしょう。

株式会社ジオコードでは、Webマーケティングやクラウドセールステック事業などのご相談を随時受け付けています。集客や営業管理でお困りなら、お気軽にお問い合わせください。

リーガルチェックサービスについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

【比較】おすすめのリーガルチェック・AI契約書レビュー10選! 選び方のポイントを徹底解説 | SFA JOURNAL

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