工場のM&A・売却の成功ガイド!不動産処分との違いや相場、リスク対策を徹底解説
【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介
株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。
多くの製造業経営者が、後継者不足や事業の将来性に悩み、工場の閉鎖や売却を検討する時期が訪れています。しかし、単に工場を不動産として売却するのか、それとも事業譲渡(M&A)として会社ごと引き継ぐのかによって、手元に残る資金や従業員の未来は大きく異なります。本記事では、工場のM&Aと通常の不動産売却の違い、それぞれのメリットやデメリット、そして工場特有の土壌汚染リスクへの対策までを網羅的に解説します。最適な出口戦略を見つけるための第一歩としてご活用ください。
中小企業向けM&A仲介会社 比較18選
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| 会社名 | 特長 | 手数料体系 | サービス対応範囲 |
|---|---|---|---|
株式会社M&Aコンサルティング
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相談:無料 着手:無料 成功報酬:レーマン方式(M&A成立時) |
スケール型M&A 事業承継支援 不動産M&A |
株式会社 M&Aフォース
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相談:無料 着手:無料 中間手数料:無料 成功報酬:レーマン方式 |
M&Aアドバイザリー 事業承継診断 成長戦略コンサルティング 債務・ビジネス分析 株価・企業価値算定 会社の雰囲気調査 |
日本事業承継支援機構株式会社
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相談:無料 着手:無料 中間手数料:成功報酬の20% 成功報酬:レーマン方式(最低手数料100万円) |
M&A仲介 経営環境整備 投資運営 |
かえでファイナンシャルアドバイザリー
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相談:無料 着手:無料 中間手数料:無料 成功報酬:株価レーマン方式(最低報酬500万円) |
事業承継M&A 事業再生M&A ベンチャー企業M&A プレM&Aコンサルティングサービス PMIコンサルティングサービス M&Aセカンドオピニオンサービス など |
株式会社T.CORPORATION
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要お問い合わせ |
コンサルティング(M&A、事業承継、経営戦略、創業支援、監査など) 環境経営支援(環境マネジメント構築、CSR・SDGs支援など) BPO事業(事務処理代行、コールセンター、テレマーケティング、インサイドセールスなど) |
| 株式会社M&Aベストパートナーズ |
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着手金:なし 中間報酬:あり 成功報酬型 手数料率:5% |
中堅中小企業におけるM&A仲介 |
| 株式会社fundbook |
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相談:無料 着手金:無料 成功報酬:レーマン方式 |
譲渡サービス 譲受サービス |
| 株式会社CBパートナーズ |
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着手金:なし 中間報酬:なし 完全成功報酬 |
M&A仲介事業 医療介護福祉業界M&A支援サービス 医師開業支援サービス |
| インテグループ株式会社 |
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相談:無料 成功報酬:5億円以下の部分 5% 5億円超~10億円以下の部分 4% 10億円超~50億円以下の部分 3% 50億円超~100億円以下の部分 2% 100億円超の部分 1% (最低額1,500万円) |
M&A仲介アドバイザリー ディールファインディングサービス(買い手企業向け案件発掘サービス) MBO支援 |
| 株式会社経営承継支援 |
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着手金:なし 成功報酬型:基本合意時 100万円 最終契約締結時 :合計から100万円を控除した残額 |
中堅中小企業の円滑な事業承継のためのコンサルティング業務 中堅中小企業の継続発展に資するM&A仲介助言業務 |
| 株式会社M&A DX |
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企業提携に関する仲介 企業提携に関するファイナンシャルアドバイザリー(FA) セカンドオピニオン(第三者視点のM&Aアドバイス) 財務税務調査業務(DD) 株式価値算定(Valuation) PMI(Post Merger Integration)支援 PPA(Purchase Price Allocation)支援 MBO(Management Buy Out)支援 CVC(Corporate Venture Capital)運営支援 スナイパーサービス(M&A戦略立案投資候補先開拓) 不正調査 相続相続税対策支援 富裕層向け財産サービス 資本政策策定支援 ストックオプション構築算定支援 組織再編プランニング実行支援 |
| Growthix Capital株式会社 |
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基本合意の締結時:手数料の10% 受諾と決済時(クロージング):支払い:残額全て |
アドバイザリー契約の締結 M&A戦略の立案 対象企業へアプローチ 価格の条件交渉 基本合意の締結 買収監査(デューデリジェンス) 売買契約の締結 受諾と決済(クロージング) |
| Byside株式会社 |
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着手金:なし 完全成功報酬型の手数料体系 |
M&Aアドバイザリー(FA業務) M&A仲介事業 |
| M&Aロイヤルアドバイザリー株式会社 |
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着手金:なし 中間報酬:なし 完全成功報酬型 |
M&A仲介事業 M&Aアドバイザリーサービス(譲渡売却) セカンドオピニオンサービス MALAパートナープログラム |
| 株式会社NEWOLD CAPITAL |
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着手金:なし 中間報酬:あり 成功報酬型 |
M&A仲介及びM&Aアドバイザリー事業 経営、プロフェッショナル人材の紹介事業 M&A業務及びM&A関連人材の教育研修事業 |
| ゴエンキャピタル株式会社 |
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着手金:なし 中間報酬:なし 成功報酬型:譲渡価格の5% |
M&Aコンサルティング事業 PMIコンサルティング事業 プライベートエクイティファンドの運営 |
| 株式会社クラリスキャピタル |
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着手金なし 成功報酬のみで200万円から |
M&A仲介アドバイザリー事業 |
| 株式会社INNOVATION LEADERS |
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手数料 0円 中間手数料:報酬の10% 報酬(残りの90%) |
M&A仲介事業 |
業界特化 おすすめM&A仲介会社 16選
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| 会社名 | 特長 | 手数料体系 | サービス対応範囲 |
|---|---|---|---|
株式会社ウィルゲート
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完全成功報酬型 着手金・中間手数料なし |
M&A仲介事業 |
M&Aクラウド
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売り手企業:完全無料(着手金・中間手数料・成約手数料なし) 買い手企業:完全成功報酬 |
募集型M&Aマッチングプラットフォーム プロのアドバイザーがM&Aを支援 |
| 株式会社パラダイムシフト |
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M&Aアドバイザリー CVC運営支援 事業開発 金融イノベーション |
| 株式会社エイスリー |
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着手金:なし |
アドバイザリー契約の締結 M&Aの戦略立案 M&Aサービス -マッチング- 買手候補を一社選定 成約クロージング |
| xxx(エイジィ)株式会社 |
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成功報酬:レーマン方式(※成功報酬の最低額は1,000万円) |
簡易審査個別相談 M&Aスキームのご提案 必要書類の準備 買手候補の選定 買手候補への提案 面談設定 条件交渉成約 PMI(M&A後の更なる企業価値向上、成長支援策の提案) |
| 株式会社エムズ |
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秘密保持契約の締結 M&A事業承継の可能性の検討 提携仲介契約の締結 具体的資料の提出/法人の評価額の算定 マッチング 譲渡価格などの条件交渉 基本合意契約の締結 買収監査の実施 最終条件交渉と譲渡契約の締結 クロージング対価の授受 |
| 株式会社シードコンサルティング |
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中小企業への財務力強化、資金調達、コスト削減、経営全般に関するコンサルティング業 相続事業承継に関するコンサルティング業務 建設業特化型スモールM&Aアドバイザリー仲介業務、M&Aに関する調査コンサルティング業務 生命保険、損害保険代理店業務、各種金融商品、生命保険の活用法、資産運用、資産防衛に関するコンサルティング業務 |
| 株式会社 バシラックス |
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売り手手数料 0円~ 書いて手数料 200万円~ 面談、基本合意手数料 0円~ |
条件交渉 TOP面談 契約締結 買収監査(デューデリジェンス) クロージング |
| MACアドバイザリー株式会社 |
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原則有料(完全成功報酬型) 着手金:なし 中間金:なし |
調剤薬局ドラッグストア専門M&Aアドバイザリー 仲介事業企業再生再編支援コンサルティング業務 企業経営調剤薬局の運営に関するコンサルティング業務 薬価差の改善業務 |
| 株式会社アウナラ |
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完全成果報酬型 仲介手数料200万円~ |
M&A仲介 薬剤師様独立支援 ドクター誘致支援 人材紹介事業 |
| 株式会社希望の星 |
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清掃経営(支援)コンサルティング 清掃独立開業支援 清掃業M&A 清掃技術研修 |
| 早稲田M&Aパートナーズ株式会社 |
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初期相談料:無料 営業提案活動費:無料 着手金:無料 面談設定費:無料 完全成功報酬型 |
ベンチャー企業のM&A(株式譲渡売却資本提携事業譲渡等)の仲介業務 ベンチャー企業の資金調達支援及びファイナンシャルアドバイザリー業務 ベンチャー企業の株式価値算定及びデューデリジェンス業務 ベンチャー企業の経営コンサルティング業務 |
| 株式会社コルウスパートナーズ |
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国内最大級のネットワークを活用し信頼性の高いマッチングを実現 完全成功報酬制+業界最安値水準の料金体系 専門コンサルタントによる安心のサポート |
M&AアドバイザリーM&A仲介 経営コンサルティング PMIコンサルティング その他、上記に付帯する業務 |
| 株式会社エクステンド |
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着手金:なし 中間金:なし 成功報酬型:レーマン方式 |
お問い合わせヒアリング 提案 マッチング先の選定紹介 トップ面談 |
| 株式会社エスエムエス |
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着手金:なし 中間報酬:なし 成約基本料 100万円 成功報酬型:レーマン方式 |
マッチング トップ面談 基本合意 デューデリジェンス(リスク調査) 最終合意 |
| 株式会社M&A Properties |
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着手金:なし 中間報酬:なし 成功報酬型 |
ヒアリング初回面談 個別案件の初期検討 及び 意向表明書の提出 懸念点などのすり合わせ及び解消 投資回収シミュレーション 現地視察 デューディリジェンスのサポート 譲渡契約書の締結サポート クロージングのサポート |
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工場のM&A・売却の現状と業界動向
日本の製造業は今、大きな転換期を迎えています。高度経済成長期に建設された多くの工場が設備の老朽化に直面していると同時に、熟練技術を持つ経営者の高齢化が進行しているのです。これまでは親族内承継が一般的でしたが、少子化や職業観の変化により、親族に後継者がいないケースが急増しました。その結果、廃業を選択せざるを得ない企業も多い一方で、技術や販路を次世代に残すための手段として第三者への承継、すなわちM&Aを選択する事例が年々増加傾向にあります。ここでは、なぜ今工場のM&Aが注目されているのか、その背景にある社会的な課題と市場の動きについて詳しく解説していきます。
製造業・工場業界でM&Aが増加している背景
製造業においてM&Aが増加している最大の要因は、経営者の高齢化と後継者不在の問題です。黒字経営であっても後継者が見つからずに廃業を検討する「黒字廃業」の予備軍は多く、これを回避するために第三者への譲渡が選ばれています。また、買い手企業にとっても、ゼロから工場を建設し人材を育成するよりも、既存の設備と技術を持つ企業を買収するほうが、時間とコストを大幅に削減できるという合理的な判断が働いています。
2025年問題と後継者不足の影響
いわゆる2025年問題とは、多くの中小企業経営者が70歳を超える時期を迎え、事業承継のタイムリミットが迫っている状況を指します。経済産業省の試算によれば、放置すれば数百万人の雇用と多額のGDPが失われる可能性があるとされており、国もM&A支援機関の整備や補助金制度の拡充などを通じて事業承継を後押ししています。この流れを受け、工場を持つ経営者の間でも、早めにM&Aによる承継準備を始める意識が高まっています。
工場を「売却」する方法:不動産売却とM&Aの違い
工場を手放す際には、大きく分けて二つの方法が存在します。一つは土地や建物、機械設備などを個別の資産として売却する「不動産売却」であり、もう一つは事業そのものを会社ごと第三者に譲り渡す「M&A(事業譲渡や株式譲渡)」です。これらは手続きの流れが異なるだけでなく、売却によって得られる対価の大きさや税金の仕組み、さらには従業員の雇用継続の可否にも決定的な違いをもたらします。経営者は自社の状況や優先すべき事項、例えば「現金を最大化したいのか」あるいは「従業員を守りたいのか」といった目的に合わせて、最適な手法を選択する必要があります。
不動産として売却する場合(土地・建物・設備)
工場を単なる不動産として売却する場合、取引の対象は土地や建物、場合によっては機械設備などの有形資産に限られます。この方法のメリットは、権利関係が整理しやすく、買い手が見つかれば比較的短期間で現金化できる点です。しかし、事業そのものは廃業することになるため、従業員を解雇しなければならない場合が多く、取引先との関係も終了します。また、老朽化した工場の場合は建物の解体費用が売り手負担となることもあり、手残り額が減る可能性があります。
M&Aとして事業譲渡する場合(株式譲渡・事業譲渡など)
M&Aを選択した場合、工場という資産だけでなく、従業員の雇用、取引先との契約、保有する技術やノウハウ、ブランド力といった「見えない資産(のれん代)」も含めて譲渡することになります。一般的に株式譲渡や事業譲渡といったスキームが用いられ、会社が存続するため従業員の雇用が守られる可能性が高くなります。また、不動産価値に事業の収益力が上乗せされて評価されるため、単なる資産売却よりも高い価格で売却できるケースが多く見られます。
【比較】廃業・解体とかかる費用の違い
廃業を選択して工場を処分する場合、機械の処分費や建物の解体費、廃棄物処理費などがかさみ、場合によっては売却益よりも処分コストが上回るリスクがあります。一方でM&Aによる譲渡であれば、工場や設備をそのまま買い手が引き継ぐため、売り手が解体費用や原状回復費用を負担する必要がなくなります。結果として、M&Aの方が廃業コストを削減でき、創業者利益を確保しやすいという金銭的なメリットが生まれるのです。
| 項目 | 不動産売却(廃業) | M&A(事業承継) |
| 売却対象 | 土地、建物、設備のみ | 株式、事業、従業員、技術 |
| 価格評価 | 資産価値(時価) | 資産価値 + 事業収益力(のれん) |
| 従業員 | 原則解雇 | 原則継続雇用 |
| コスト | 解体費・処分費がかかる可能性大 | 処分費は不要(買い手が承継) |
工場のM&A・売却のメリット・デメリット
工場のM&Aは、売り手である経営者、そこで働く従業員、そして買い手企業の「三方よし」を実現できる可能性を秘めていますが、当然ながらメリットばかりではありません。それぞれの立場において享受できる利益と、想定されるリスクやデメリットを正しく理解しておくことが、交渉をスムーズに進めるための鍵となります。ここでは、売り手、従業員、買い手のそれぞれの視点から見た具体的なメリットと、税務面での効果についても触れながら、多角的に分析していきます。
売り手(経営者)のメリット:創業者利益と個人保証の解除
経営者にとって最大のメリットは、長年育て上げた事業を現金化し、創業者利益を得てリタイア後の生活資金を確保できる点です。また、中小企業の経営者を悩ませる金融機関からの借入金に対する「経営者保証(個人保証)」を、買い手企業に引き継ぐことで解除できる点も大きな利点です。これにより、廃業した場合に残るかもしれない負債の返済義務から解放され、精神的な重圧を取り除くことができます。
従業員のメリット:雇用の維持と技術の承継
廃業による工場閉鎖は従業員の失業を意味しますが、M&Aであれば雇用契約は原則として買い手企業に引き継がれます。従業員は慣れ親しんだ職場環境や業務内容を維持したまま働き続けることができ、生活の安定が守られます。また、熟練工が持つ高度な技術やノウハウが散逸することなく、次世代の若手社員や買い手企業の従業員へと伝承されていくことは、日本のモノづくり産業全体にとっても大きな意義があります。
買い手のメリット:設備・技術・販路の即時獲得
工場を新設するには、土地の選定から建設、許認可の取得、設備の導入、そして人材の採用・育成まで膨大な時間とコストがかかります。M&Aによって既存の工場を買収すれば、稼働可能な設備と熟練した人材、さらには既存の取引先や販路を一括して手に入れることができ、「時間を買う」ことができます。これにより、市場の変化に素早く対応し、事業拡大のスピードを劇的に加速させることが可能となります。
節税効果:M&Aを活用した税負担の軽減
M&Aの手法として株式譲渡を選んだ場合、売り手である株主(個人)にかかる税金は、譲渡益に対して一律20.315%の申告分離課税となります。これは、役員退職金として受け取る場合の税制優遇と組み合わせることで、さらに手取り額を増やせる可能性があります。一方、不動産として売却し、法人税や配当課税などを経て個人の手元に資金を残す場合、税率が総合課税で最大55%近くになることもあり、M&Aの方が税務上のメリットが大きいケースが多いです。
工場売却における特有のリスクと重要調査項目
工場は一般的なオフィスビルや住宅とは異なり、製造過程で使用した薬品や廃棄物、あるいは施設の構造そのものに由来する特有のリスクを抱えています。これらのリスクは売却価格に大きな影響を与えるだけでなく、売却後に発覚した場合には契約不適合責任を問われ、損害賠償請求に発展する恐れすらあります。トラブルを未然に防ぐためには、売却活動を本格化させる前に、専門的な調査を行い、自社工場の状態を正確に把握しておくことが不可欠です。
土壌汚染調査・地中埋設物の確認義務
工場跡地の売却において最も注意すべきリスクの一つが土壌汚染です。特定有害物質を使用していた特定施設を廃止する場合、土壌汚染対策法に基づき調査が義務付けられることがあります。もし汚染が発覚すれば、浄化費用として数千万円から億単位のコストが発生し、売却価格から差し引かれることになります。また、過去の建物基礎などの地中埋設物が残っている場合も撤去費用が必要になるため、事前の地歴調査やボーリング調査が重要です。
アスベスト(石綿)調査と解体費用の見積もり
古い工場建屋では、断熱材や屋根材などにアスベスト(石綿)が使用されている可能性があります。解体や改修を行う際には、大気汚染防止法などに基づいた事前の調査と、飛散防止措置を講じた上での適正な処理が義務付けられています。アスベストが含まれている場合、通常の解体工事に比べて費用が大幅に高騰し、工期も長くなる傾向があります。売却価格の算定においてこれらの除去費用を見込んでおかないと、後で資金計画が狂う原因となります。
用途地域・都市計画法・建築確認済証の確認
工場が立地している場所の用途地域によっては、操業できる工場の種類や規模に制限がある場合があります。また、増改築を繰り返している工場では、建築基準法上の手続きが適切に行われておらず、「検査済証」が存在しない違反建築物となっているケースも少なくありません。適法性が証明できない物件は、買い手が融資を受けにくくなるため売却が難航したり、価格が大幅に下がったりする要因となるため、早期の現状確認が必要です。
借地権や近隣との権利関係の整理
工場が借地の上に建っている場合、売却や譲渡には地主の承諾が必要となり、承諾料(名義書換料)が発生することが一般的です。また、長年の操業において敷地境界が曖昧になっていたり、騒音や振動、臭気などで近隣住民とトラブルになっていたりすることもあります。M&Aや売却を行う際には、こうした権利関係や近隣トラブルを隠さずに開示し、可能な限り解消しておくことが、スムーズな取引成立に向けた前提条件となります。
工場・製造業のM&A成功事例と失敗事例
理論や手続きだけでなく、実際にどのような企業がM&Aを行い、どのような結果になったのかを知ることは、自社の将来をイメージする上で非常に役立ちます。成功した事例では、単なる存続にとどまらず、大手企業の傘下に入ることで資金力が強化され、設備投資や福利厚生が充実したケースなどが多々あります。一方で、準備不足や相性の不一致により、M&A後に組織が混乱してしまった失敗事例も存在します。ここでは具体的な事例パターンを通じて、成功のポイントを探ります。
大手・中堅企業による買収事例
大手企業や中堅企業が、特定の技術やニッチなシェアを持つ中小工場を買収する事例は枚挙にいとまがありません。例えば、ある地域密着型の金属加工工場が、全国展開する建材メーカーに買収されたケースでは、メーカーの安定した発注を受けることで工場の稼働率が劇的に向上しました。買い手側も内製化によるコストダウンを実現し、売り手側は経営基盤の安定と従業員の待遇改善を達成するという、相互補完的な成功モデルとなっています。
中小工場の事業承継成功パターン
後継者がいない町工場が、近隣の同業者に事業譲渡を行った事例もあります。このケースでは、商圏や顧客層が重なっているため統合効果が出やすく、従業員同士の顔が見える関係であったことから、組織の融合(PMI)もスムーズに進みました。また、異業種からの参入希望者に譲渡したケースでは、新しい経営視点が持ち込まれたことで、従来の工場にはなかったデジタル技術の導入や新商品の開発が進み、V字回復を遂げた例もあります。
失敗しないためのパートナー選びと注意点
M&Aにおける失敗の多くは、企業文化の違いやデューデリジェンス(買収監査)の不足から生じます。例えば、利益優先の買い手が現場の職人気質を理解せず、急激な改革を行って従業員が大量離職してしまった事例があります。こうした事態を避けるためには、単に提示金額が高い相手を選ぶのではなく、自社の理念や従業員の働き方を理解し、尊重してくれるパートナーを見極めることが重要です。そのためには、信頼できるM&Aアドバイザーの助言が欠かせません。
工場売却・M&Aの具体的な流れ(Step別解説)
実際に工場のM&Aを進めることになった場合、どのような手順で進行するのでしょうか。準備から成約までには、一般的に半年から1年程度の期間を要します。各ステップでやるべきことを理解し、計画的に進めることが成功への近道です。ここでは、最初の資料準備から、相手先との交渉、最終的な契約締結、そして経営統合に至るまでのプロセスを5つのステップに分けて解説します。全体の流れを把握することで、いつどのような判断が必要になるかの心構えができます。
Step1:事前準備・資料整理(決算書・資産リスト)
まずは自社の現状を正確に把握するための資料作りから始まります。直近3期分の決算書、工場の土地・建物の登記簿謄本、保有設備のリスト、従業員名簿、主要な取引先一覧などを整理します。この段階で、先述した土壌汚染やアスベストなどのリスク要因についても洗い出しを行い、解決が必要な課題を明確にしておきます。整理された情報は「企業概要書」としてまとめられ、買い手候補への提案資料の基礎となります。
Step2:アドバイザー選定とバリュエーション
M&Aを自力で行うのは困難なため、M&A仲介会社や専門のアドバイザーと契約を結ぶのが一般的です。専門家は提供された資料を基に、企業の収益力や資産価値を分析し、適正な売却価格の目安(バリュエーション)を算出します。この査定額を参考に、売り手としての希望価格や譲渡条件を決定します。信頼できるアドバイザーを選ぶことは、適切な買い手を見つけ、交渉を有利に進める上で極めて重要な要素となります。
Step3:買い手候補の探索とトップ面談
アドバイザーを通じて、ノンネームシート(社名を伏せた概要書)を用いて買い手候補を探します。関心を示した企業とは秘密保持契約を結んだ上で詳細情報を開示し、さらに興味を持ってもらえれば、経営者同士の「トップ面談」を行います。ここでは条件面の交渉だけでなく、互いの経営理念や将来のビジョン、人間としての相性を確認し合います。条件よりも信頼関係の構築が、後のプロセスを円滑にする鍵となります。
Step4:基本合意とデューデリジェンス(買収監査)
双方が大枠の条件に合意したら「基本合意書」を締結し、独占交渉権を付与します。その後、買い手側によるデューデリジェンス(買収監査)が行われます。これは、弁護士や公認会計士などの専門家が、財務、法務、人事、設備などの詳細な調査を行うプロセスです。売り手は資料の開示やヒアリングに誠実に対応する必要があります。ここで簿外債務や重大なリスクが発覚すると、価格の減額や破談につながる可能性があります。
Step5:最終契約・クロージング・統合作業(PMI)
デューデリジェンスの結果を踏まえて最終的な条件交渉を行い、「最終譲渡契約書」を締結します。その後、株式や事業の引き渡しと対価の決済を行う「クロージング」を経て、晴れてM&Aは成立となります。しかし、これで終わりではありません。成約後は、異なる企業文化を持つ二つの会社を融合させる統合作業(PMI)が始まります。新体制の周知や業務フローの統合など、従業員が安心して働ける環境を整えることが、M&Aの真の成功には不可欠です。
関連する業界・業種のM&A動向
工場のM&Aは、製造業単体で完結するものではなく、サプライチェーンに関わる周辺業界とも密接に関連しています。近年では、業界の垣根を超えたM&Aも活発化しており、相乗効果(シナジー)を狙った戦略的な買収が増えています。ここでは、工場のM&Aと関連性の高い建設・物流業界の動向や、特にM&Aが活発な製造業の業種別トレンドについて触れ、より広い視野での市場環境を解説します。
建設・土木・運送・物流業界との関連性
製造業と密接な関係にある建設業や運送・物流業界でも、M&Aによる再編が進んでいます。例えば、建設会社が鉄骨加工工場を買収して内製化を図るケースや、物流会社が食品工場を買収して製造から配送までを一貫して行う「製販物流」モデルを構築するケースなどが見られます。このように、川上から川下までのサプライチェーンを統合することで、コスト競争力を高めようとする動きが加速しており、異業種からの買収オファーも珍しくありません。
食品・電子部品・金属加工など業種別の傾向
製造業の中でも、業種によってM&Aの人気度や傾向は異なります。食品製造業は景気の影響を受けにくく、安定したキャッシュフローが見込めるため、買い手からの人気が常に高い分野です。また、半導体関連や電子部品製造は、技術革新が速く設備投資負担が大きいため、大手資本への傘下入りを選ぶケースが増えています。金属加工などの基盤技術産業では、特定の高度な加工技術を持つ企業が、技術獲得を目的とした買収のターゲットになりやすい傾向にあります。
まとめ:工場を高く・スムーズに売却するために
工場のM&A・売却は、経営者人生の集大成とも言える重大な決断です。不動産として処分するか、事業として譲渡するかによって、手元に残る資金も従業員の未来も大きく変わります。重要なのは、土壌汚染や権利関係などの特有のリスクを事前に把握し、早めに対策を講じることです。そして、自社の価値を正しく評価してくれるパートナーを見つけるためには、専門的な知見が不可欠です。まずはM&Aの専門家に相談し、自社の現在価値を査定してもらうことから始めてみてください。早めの行動が、納得のいく事業承継と、貴社の技術を未来へつなぐ鍵となります。
中小企業向けM&A仲介会社 比較18選
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| 会社名 | 特長 | 手数料体系 | サービス対応範囲 |
|---|---|---|---|
株式会社M&Aコンサルティング
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相談:無料 着手:無料 成功報酬:レーマン方式(M&A成立時) |
スケール型M&A 事業承継支援 不動産M&A |
株式会社 M&Aフォース
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相談:無料 着手:無料 中間手数料:無料 成功報酬:レーマン方式 |
M&Aアドバイザリー 事業承継診断 成長戦略コンサルティング 債務・ビジネス分析 株価・企業価値算定 会社の雰囲気調査 |
日本事業承継支援機構株式会社
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相談:無料 着手:無料 中間手数料:成功報酬の20% 成功報酬:レーマン方式(最低手数料100万円) |
M&A仲介 経営環境整備 投資運営 |
かえでファイナンシャルアドバイザリー
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相談:無料 着手:無料 中間手数料:無料 成功報酬:株価レーマン方式(最低報酬500万円) |
事業承継M&A 事業再生M&A ベンチャー企業M&A プレM&Aコンサルティングサービス PMIコンサルティングサービス M&Aセカンドオピニオンサービス など |
株式会社T.CORPORATION
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要お問い合わせ |
コンサルティング(M&A、事業承継、経営戦略、創業支援、監査など) 環境経営支援(環境マネジメント構築、CSR・SDGs支援など) BPO事業(事務処理代行、コールセンター、テレマーケティング、インサイドセールスなど) |
| 株式会社M&Aベストパートナーズ |
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着手金:なし 中間報酬:あり 成功報酬型 手数料率:5% |
中堅中小企業におけるM&A仲介 |
| 株式会社fundbook |
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相談:無料 着手金:無料 成功報酬:レーマン方式 |
譲渡サービス 譲受サービス |
| 株式会社CBパートナーズ |
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着手金:なし 中間報酬:なし 完全成功報酬 |
M&A仲介事業 医療介護福祉業界M&A支援サービス 医師開業支援サービス |
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相談:無料 成功報酬:5億円以下の部分 5% 5億円超~10億円以下の部分 4% 10億円超~50億円以下の部分 3% 50億円超~100億円以下の部分 2% 100億円超の部分 1% (最低額1,500万円) |
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| 株式会社経営承継支援 |
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着手金:なし 成功報酬型:基本合意時 100万円 最終契約締結時 :合計から100万円を控除した残額 |
中堅中小企業の円滑な事業承継のためのコンサルティング業務 中堅中小企業の継続発展に資するM&A仲介助言業務 |
| 株式会社M&A DX |
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基本合意の締結時:手数料の10% 受諾と決済時(クロージング):支払い:残額全て |
アドバイザリー契約の締結 M&A戦略の立案 対象企業へアプローチ 価格の条件交渉 基本合意の締結 買収監査(デューデリジェンス) 売買契約の締結 受諾と決済(クロージング) |
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| M&Aロイヤルアドバイザリー株式会社 |
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着手金:なし 中間報酬:なし 完全成功報酬型 |
M&A仲介事業 M&Aアドバイザリーサービス(譲渡売却) セカンドオピニオンサービス MALAパートナープログラム |
| 株式会社NEWOLD CAPITAL |
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着手金:なし 中間報酬:あり 成功報酬型 |
M&A仲介及びM&Aアドバイザリー事業 経営、プロフェッショナル人材の紹介事業 M&A業務及びM&A関連人材の教育研修事業 |
| ゴエンキャピタル株式会社 |
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着手金:なし 中間報酬:なし 成功報酬型:譲渡価格の5% |
M&Aコンサルティング事業 PMIコンサルティング事業 プライベートエクイティファンドの運営 |
| 株式会社クラリスキャピタル |
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着手金なし 成功報酬のみで200万円から |
M&A仲介アドバイザリー事業 |
| 株式会社INNOVATION LEADERS |
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手数料 0円 中間手数料:報酬の10% 報酬(残りの90%) |
M&A仲介事業 |
業界特化 おすすめM&A仲介会社 16選
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| 会社名 | 特長 | 手数料体系 | サービス対応範囲 |
|---|---|---|---|
株式会社ウィルゲート
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完全成功報酬型 着手金・中間手数料なし |
M&A仲介事業 |
M&Aクラウド
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売り手企業:完全無料(着手金・中間手数料・成約手数料なし) 買い手企業:完全成功報酬 |
募集型M&Aマッチングプラットフォーム プロのアドバイザーがM&Aを支援 |
| 株式会社パラダイムシフト |
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M&Aアドバイザリー CVC運営支援 事業開発 金融イノベーション |
| 株式会社エイスリー |
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着手金:なし |
アドバイザリー契約の締結 M&Aの戦略立案 M&Aサービス -マッチング- 買手候補を一社選定 成約クロージング |
| xxx(エイジィ)株式会社 |
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成功報酬:レーマン方式(※成功報酬の最低額は1,000万円) |
簡易審査個別相談 M&Aスキームのご提案 必要書類の準備 買手候補の選定 買手候補への提案 面談設定 条件交渉成約 PMI(M&A後の更なる企業価値向上、成長支援策の提案) |
| 株式会社エムズ |
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秘密保持契約の締結 M&A事業承継の可能性の検討 提携仲介契約の締結 具体的資料の提出/法人の評価額の算定 マッチング 譲渡価格などの条件交渉 基本合意契約の締結 買収監査の実施 最終条件交渉と譲渡契約の締結 クロージング対価の授受 |
| 株式会社シードコンサルティング |
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中小企業への財務力強化、資金調達、コスト削減、経営全般に関するコンサルティング業 相続事業承継に関するコンサルティング業務 建設業特化型スモールM&Aアドバイザリー仲介業務、M&Aに関する調査コンサルティング業務 生命保険、損害保険代理店業務、各種金融商品、生命保険の活用法、資産運用、資産防衛に関するコンサルティング業務 |
| 株式会社 バシラックス |
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売り手手数料 0円~ 書いて手数料 200万円~ 面談、基本合意手数料 0円~ |
条件交渉 TOP面談 契約締結 買収監査(デューデリジェンス) クロージング |
| MACアドバイザリー株式会社 |
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原則有料(完全成功報酬型) 着手金:なし 中間金:なし |
調剤薬局ドラッグストア専門M&Aアドバイザリー 仲介事業企業再生再編支援コンサルティング業務 企業経営調剤薬局の運営に関するコンサルティング業務 薬価差の改善業務 |
| 株式会社アウナラ |
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完全成果報酬型 仲介手数料200万円~ |
M&A仲介 薬剤師様独立支援 ドクター誘致支援 人材紹介事業 |
| 株式会社希望の星 |
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清掃経営(支援)コンサルティング 清掃独立開業支援 清掃業M&A 清掃技術研修 |
| 早稲田M&Aパートナーズ株式会社 |
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初期相談料:無料 営業提案活動費:無料 着手金:無料 面談設定費:無料 完全成功報酬型 |
ベンチャー企業のM&A(株式譲渡売却資本提携事業譲渡等)の仲介業務 ベンチャー企業の資金調達支援及びファイナンシャルアドバイザリー業務 ベンチャー企業の株式価値算定及びデューデリジェンス業務 ベンチャー企業の経営コンサルティング業務 |
| 株式会社コルウスパートナーズ |
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国内最大級のネットワークを活用し信頼性の高いマッチングを実現 完全成功報酬制+業界最安値水準の料金体系 専門コンサルタントによる安心のサポート |
M&AアドバイザリーM&A仲介 経営コンサルティング PMIコンサルティング その他、上記に付帯する業務 |
| 株式会社エクステンド |
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着手金:なし 中間金:なし 成功報酬型:レーマン方式 |
お問い合わせヒアリング 提案 マッチング先の選定紹介 トップ面談 |
| 株式会社エスエムエス |
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着手金:なし 中間報酬:なし 成約基本料 100万円 成功報酬型:レーマン方式 |
マッチング トップ面談 基本合意 デューデリジェンス(リスク調査) 最終合意 |
| 株式会社M&A Properties |
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着手金:なし 中間報酬:なし 成功報酬型 |
ヒアリング初回面談 個別案件の初期検討 及び 意向表明書の提出 懸念点などのすり合わせ及び解消 投資回収シミュレーション 現地視察 デューディリジェンスのサポート 譲渡契約書の締結サポート クロージングのサポート |

