物流業界のM&Aの2026年最新動向!相場や売却のメリット、手続きの流れについて解説
【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介
株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。
物流業界は今、かつてない変革の時を迎えています。2024年問題を経て、ドライバー不足や燃料費の高騰が経営を圧迫する中、生き残りをかけたM&Aが活発化しているのです。自社の将来に不安を感じている経営者様にとって、会社売却や事業承継は有力な選択肢となりつつあります。本記事では、2026年の物流業界におけるM&Aの最新動向や相場、具体的な手続きの流れを徹底解説します。
中小企業向けM&A仲介会社 比較18選
scroll →
| 会社名 | 特長 | 手数料体系 | サービス対応範囲 |
|---|---|---|---|
株式会社M&Aコンサルティング
|
|
相談:無料 着手:無料 成功報酬:レーマン方式(M&A成立時) |
スケール型M&A 事業承継支援 不動産M&A |
株式会社 M&Aフォース
|
|
相談:無料 着手:無料 中間手数料:無料 成功報酬:レーマン方式 |
M&Aアドバイザリー 事業承継診断 成長戦略コンサルティング 債務・ビジネス分析 株価・企業価値算定 会社の雰囲気調査 |
日本事業承継支援機構株式会社
|
|
相談:無料 着手:無料 中間手数料:成功報酬の20% 成功報酬:レーマン方式(最低手数料100万円) |
M&A仲介 経営環境整備 投資運営 |
かえでファイナンシャルアドバイザリー
|
|
相談:無料 着手:無料 中間手数料:無料 成功報酬:株価レーマン方式(最低報酬500万円) |
事業承継M&A 事業再生M&A ベンチャー企業M&A プレM&Aコンサルティングサービス PMIコンサルティングサービス M&Aセカンドオピニオンサービス など |
株式会社T.CORPORATION
|
|
要お問い合わせ |
コンサルティング(M&A、事業承継、経営戦略、創業支援、監査など) 環境経営支援(環境マネジメント構築、CSR・SDGs支援など) BPO事業(事務処理代行、コールセンター、テレマーケティング、インサイドセールスなど) |
| 株式会社M&Aベストパートナーズ |
|
着手金:なし 中間報酬:あり 成功報酬型 手数料率:5% |
中堅中小企業におけるM&A仲介 |
| 株式会社fundbook |
|
相談:無料 着手金:無料 成功報酬:レーマン方式 |
譲渡サービス 譲受サービス |
| 株式会社CBパートナーズ |
|
着手金:なし 中間報酬:なし 完全成功報酬 |
M&A仲介事業 医療介護福祉業界M&A支援サービス 医師開業支援サービス |
| インテグループ株式会社 |
|
相談:無料 成功報酬:5億円以下の部分 5% 5億円超~10億円以下の部分 4% 10億円超~50億円以下の部分 3% 50億円超~100億円以下の部分 2% 100億円超の部分 1% (最低額1,500万円) |
M&A仲介アドバイザリー ディールファインディングサービス(買い手企業向け案件発掘サービス) MBO支援 |
| 株式会社経営承継支援 |
|
着手金:なし 成功報酬型:基本合意時 100万円 最終契約締結時 :合計から100万円を控除した残額 |
中堅中小企業の円滑な事業承継のためのコンサルティング業務 中堅中小企業の継続発展に資するM&A仲介助言業務 |
| 株式会社M&A DX |
|
- |
企業提携に関する仲介 企業提携に関するファイナンシャルアドバイザリー(FA) セカンドオピニオン(第三者視点のM&Aアドバイス) 財務税務調査業務(DD) 株式価値算定(Valuation) PMI(Post Merger Integration)支援 PPA(Purchase Price Allocation)支援 MBO(Management Buy Out)支援 CVC(Corporate Venture Capital)運営支援 スナイパーサービス(M&A戦略立案投資候補先開拓) 不正調査 相続相続税対策支援 富裕層向け財産サービス 資本政策策定支援 ストックオプション構築算定支援 組織再編プランニング実行支援 |
| Growthix Capital株式会社 |
|
基本合意の締結時:手数料の10% 受諾と決済時(クロージング):支払い:残額全て |
アドバイザリー契約の締結 M&A戦略の立案 対象企業へアプローチ 価格の条件交渉 基本合意の締結 買収監査(デューデリジェンス) 売買契約の締結 受諾と決済(クロージング) |
| Byside株式会社 |
|
着手金:なし 完全成功報酬型の手数料体系 |
M&Aアドバイザリー(FA業務) M&A仲介事業 |
| M&Aロイヤルアドバイザリー株式会社 |
|
着手金:なし 中間報酬:なし 完全成功報酬型 |
M&A仲介事業 M&Aアドバイザリーサービス(譲渡売却) セカンドオピニオンサービス MALAパートナープログラム |
| 株式会社NEWOLD CAPITAL |
|
着手金:なし 中間報酬:あり 成功報酬型 |
M&A仲介及びM&Aアドバイザリー事業 経営、プロフェッショナル人材の紹介事業 M&A業務及びM&A関連人材の教育研修事業 |
| ゴエンキャピタル株式会社 |
|
着手金:なし 中間報酬:なし 成功報酬型:譲渡価格の5% |
M&Aコンサルティング事業 PMIコンサルティング事業 プライベートエクイティファンドの運営 |
| 株式会社クラリスキャピタル |
|
着手金なし 成功報酬のみで200万円から |
M&A仲介アドバイザリー事業 |
| 株式会社INNOVATION LEADERS |
|
手数料 0円 中間手数料:報酬の10% 報酬(残りの90%) |
M&A仲介事業 |
業界特化 おすすめM&A仲介会社 16選
scroll →
| 会社名 | 特長 | 手数料体系 | サービス対応範囲 |
|---|---|---|---|
株式会社ウィルゲート
|
|
完全成功報酬型 着手金・中間手数料なし |
M&A仲介事業 |
M&Aクラウド
|
|
売り手企業:完全無料(着手金・中間手数料・成約手数料なし) 買い手企業:完全成功報酬 |
募集型M&Aマッチングプラットフォーム プロのアドバイザーがM&Aを支援 |
| 株式会社パラダイムシフト |
|
- |
M&Aアドバイザリー CVC運営支援 事業開発 金融イノベーション |
| 株式会社エイスリー |
|
着手金:なし |
アドバイザリー契約の締結 M&Aの戦略立案 M&Aサービス -マッチング- 買手候補を一社選定 成約クロージング |
| xxx(エイジィ)株式会社 |
|
成功報酬:レーマン方式(※成功報酬の最低額は1,000万円) |
簡易審査個別相談 M&Aスキームのご提案 必要書類の準備 買手候補の選定 買手候補への提案 面談設定 条件交渉成約 PMI(M&A後の更なる企業価値向上、成長支援策の提案) |
| 株式会社エムズ |
|
- |
秘密保持契約の締結 M&A事業承継の可能性の検討 提携仲介契約の締結 具体的資料の提出/法人の評価額の算定 マッチング 譲渡価格などの条件交渉 基本合意契約の締結 買収監査の実施 最終条件交渉と譲渡契約の締結 クロージング対価の授受 |
| 株式会社シードコンサルティング |
|
- |
中小企業への財務力強化、資金調達、コスト削減、経営全般に関するコンサルティング業 相続事業承継に関するコンサルティング業務 建設業特化型スモールM&Aアドバイザリー仲介業務、M&Aに関する調査コンサルティング業務 生命保険、損害保険代理店業務、各種金融商品、生命保険の活用法、資産運用、資産防衛に関するコンサルティング業務 |
| 株式会社 バシラックス |
|
売り手手数料 0円~ 書いて手数料 200万円~ 面談、基本合意手数料 0円~ |
条件交渉 TOP面談 契約締結 買収監査(デューデリジェンス) クロージング |
| MACアドバイザリー株式会社 |
|
原則有料(完全成功報酬型) 着手金:なし 中間金:なし |
調剤薬局ドラッグストア専門M&Aアドバイザリー 仲介事業企業再生再編支援コンサルティング業務 企業経営調剤薬局の運営に関するコンサルティング業務 薬価差の改善業務 |
| 株式会社アウナラ |
|
完全成果報酬型 仲介手数料200万円~ |
M&A仲介 薬剤師様独立支援 ドクター誘致支援 人材紹介事業 |
| 株式会社希望の星 |
|
- |
清掃経営(支援)コンサルティング 清掃独立開業支援 清掃業M&A 清掃技術研修 |
| 早稲田M&Aパートナーズ株式会社 |
|
初期相談料:無料 営業提案活動費:無料 着手金:無料 面談設定費:無料 完全成功報酬型 |
ベンチャー企業のM&A(株式譲渡売却資本提携事業譲渡等)の仲介業務 ベンチャー企業の資金調達支援及びファイナンシャルアドバイザリー業務 ベンチャー企業の株式価値算定及びデューデリジェンス業務 ベンチャー企業の経営コンサルティング業務 |
| 株式会社コルウスパートナーズ |
|
国内最大級のネットワークを活用し信頼性の高いマッチングを実現 完全成功報酬制+業界最安値水準の料金体系 専門コンサルタントによる安心のサポート |
M&AアドバイザリーM&A仲介 経営コンサルティング PMIコンサルティング その他、上記に付帯する業務 |
| 株式会社エクステンド |
|
着手金:なし 中間金:なし 成功報酬型:レーマン方式 |
お問い合わせヒアリング 提案 マッチング先の選定紹介 トップ面談 |
| 株式会社エスエムエス |
|
着手金:なし 中間報酬:なし 成約基本料 100万円 成功報酬型:レーマン方式 |
マッチング トップ面談 基本合意 デューデリジェンス(リスク調査) 最終合意 |
| 株式会社M&A Properties |
|
着手金:なし 中間報酬:なし 成功報酬型 |
ヒアリング初回面談 個別案件の初期検討 及び 意向表明書の提出 懸念点などのすり合わせ及び解消 投資回収シミュレーション 現地視察 デューディリジェンスのサポート 譲渡契約書の締結サポート クロージングのサポート |
この記事の目次はこちら
物流業界におけるM&Aの2026年最新動向と将来予測
物流業界におけるM&Aは、単なる企業の合併や買収という枠を超え、業界全体の構造改革を象徴する動きとなっています。特に2024年問題によって労働環境への規制が強化された結果、中小規模の運送会社単独での存続が難しくなりつつあるのが現状です。ここでは、なぜ今これほどまでにM&Aが増加しているのか、そして2026年に向けてこのトレンドがどのように推移していくのかを詳しく解説していきます。市場の需給バランスや大手企業の動向を知ることで、貴社の取るべき戦略が見えてくるはずです。
なぜ今、物流業界でM&Aが急増しているのか?
最大の要因は、深刻化するドライバー不足と後継者不在の問題です。働き方改革関連法の施行により、長時間労働に依存していた従来のビジネスモデルは崩壊しつつあります。加えて、経営者の高齢化が進む一方で親族内承継が難航するケースが増えており、第三者への事業承継を選択する企業が急増しているのです。会社を存続させ、従業員の雇用を守るための現実的な手段として、廃業ではなくM&Aが選ばれるようになっています。
物流M&Aは「売り手市場」が続く?2026年の需給バランス予測
2026年時点においても、物流M&Aは依然として売り手市場が続くと予測されます。大手企業やファンドは、安定した物流網を確保するために優良な地域密着型の運送会社を常に探しているからです。特に、特定の荷主と強固な関係を持つ企業や、独自の配送ネットワークを持つ企業は高く評価されます。ただし、コンプライアンス遵守が不十分な企業は買い手がつかないという二極化が進むため、早期の準備と改善が不可欠です。
大手物流企業による「囲い込み」と業界再編の動き
ヤマト運輸や佐川急便、日本通運といった業界大手は、ラストワンマイルの強化や幹線輸送の効率化を目的とした囲い込みを加速させています。また、SBSホールディングスのように積極的な買収戦略で急成長するグループも存在し、業界地図は塗り替えられつつあるのです。中小事業者が大手グループの傘下に入ることは、スケールメリットを享受できるだけでなく、DX化や採用力の強化といった経営課題を一気に解決する契機となります。
物流業界でM&Aを行うメリット(売り手・買い手別)
M&Aは売り手と買い手の双方に明確なメリットがあるからこそ成立する取引です。売り手にとっては、長年育ててきた会社を次世代に繋ぐ手段であり、買い手にとっては時間を買う成長戦略となります。しかし、それぞれの立場によって得られる果実は大きく異なります。ここでは、物流業界特有の事情を踏まえながら、譲渡企業と譲受企業がそれぞれどのような恩恵を受けられるのかを整理します。双方の視点を理解することは、交渉をスムーズに進めるための第一歩となります。
【売り手】M&Aによる後継者問題の解決と創業者利益の確保
売り手経営者にとって最大のメリットは、悩みの種である後継者問題を抜本的に解決できる点です。親族や社内に適任者がいない場合でも、M&Aを活用すれば意欲ある大手企業などに事業を引き継ぐことができます。また、株式譲渡によって創業者は創業者利益としてまとまった現金を得ることが可能です。この資金はハッピーリタイア後の生活資金や、新たな事業への投資資金として活用できるため、人生の選択肢が大きく広がります。
【売り手】採用難・ドライバー不足からの解放と従業員の雇用守備
日々の資金繰りや慢性的なドライバー不足によるプレッシャーから解放されることも大きな利点です。大手グループの傘下に入れば、ブランド力を活かした採用活動が可能となり、人材確保が容易になります。さらに、M&A契約時に従業員の雇用維持や処遇改善を条件に盛り込むことで、独力では守りきれなかったかもしれない従業員の生活を安定させることができます。これは経営者として最後の責任を果たすことにも繋がります。
【買い手】M&Aによる商圏(エリア)拡大と物流拠点の獲得
買い手企業にとって、自前で新たに物流拠点を立ち上げるには土地探しから倉庫建設まで膨大な時間とコストがかかります。しかし、M&Aであれば、既存の物流センターや営業所を即座に手に入れることができます。特に、自社が未進出のエリアに拠点を持つ企業を買収すれば、一気に商圏を拡大することが可能です。これは物流ネットワークの空白地帯を埋めるための最も効率的な戦略として、多くの企業が重視しています。
【買い手】車両・ドライバーの即時確保とスケールメリット
物流業界において、トラックとドライバーは事業の根幹をなす資産ですが、新規採用や車両納期の長期化により調達は困難を極めます。M&Aを実行すれば、稼働中の車両と経験豊富なドライバーをセットで即戦力として獲得できます。保有台数が増加することで燃料の共同購入や車両整備のコストダウンといったスケールメリットも働き、グループ全体の収益性が向上します。時間を買えるという点は、買い手にとって計り知れない価値があるのです。
物流会社のM&A相場と企業価値(売却価格)の決まり方
自社を売却する場合、一体いくらで売れるのかという疑問は経営者にとって最大の関心事でしょう。物流会社の企業価値は、単なる売上規模だけでなく、利益水準や保有資産、さらには目に見えないノレン代によって大きく変動します。ここでは、一般的に用いられる算出方法や、物流業界特有の評価ポイントについて解説します。相場観を正しく理解しておくことは、安売りを防ぎ、適正な価格で交渉を進めるための強力な武器となります。
| 算出方法 | 概要 | 物流業界での特徴 |
| 年買法 | 時価純資産 + 営業利益 × 1〜3年分 | 中小運送会社で最も一般的。わかりやすい指標。 |
| EBITDA倍率 | 企業価値 ÷ EBITDA(営業利益+減価償却費) | 設備投資が大きい物流業で重視される。相場は3〜6倍。 |
| DCF法 | 将来生み出すキャッシュフローを現在価値に割引く | 将来性が高い場合や大規模案件で使われる。 |
物流業界のM&A相場の目安(EBITDA倍率や年買法)
中小物流企業のM&Aでは、時価純資産に数年分の営業利益を足し合わせる年買法や、EBITDA倍率法がよく用いられます。一般的に物流業界のEBITDA倍率は3倍から6倍程度が目安とされていますが、これは企業の成長性や収益性によって上下します。例えば、安定した荷主を持ち高収益体質である場合や、特殊輸送などの強みがある場合は、相場以上の高い評価額がつくことも珍しくありません。客観的な数値をもとに交渉することが重要です。
トラック保有台数や拠点の立地は評価されるか?
トラックの保有台数や年式、そして物流拠点の立地条件は査定において極めて重要な要素です。特に、インターチェンジ付近の倉庫や、都心部へのアクセスが良い車庫は希少価値が高く、プラス評価に直結します。また、トラックに関しても、環境規制に適合した新しい車両を多く保有している場合は、買い手側の投資負担が減るため評価が上がります。これらは貸借対照表上の簿価だけでなく、実勢価格としての含み益も考慮されるべきポイントです。
赤字の運送会社でもM&A(売却)は可能か?
直近の決算が赤字であっても、M&Aが成立する可能性は十分にあります。買い手が重視するのは過去の結果よりも将来の収益性だからです。例えば、赤字の原因が役員報酬の取りすぎや一時的な修繕費であれば、実質的な収益力はあると判断されます。また、優良な顧客基盤や優秀なドライバーがいる場合、買い手の経営ノウハウを注入することで黒字化が見込めるため、再生案件として買収意欲を示す企業は少なくありません。
売却価格を高くするための「磨き上げ」ポイント
少しでも高く会社を売却するためには、事前の磨き上げが欠かせません。具体的には、決算書の見栄えを良くするだけでなく、業務フローの整理や契約関係の見直しが必要です。ここでは特に効果的な磨き上げの手法を具体的に紹介します。
不要資産の処分と契約単価の適正化
まず取り組むべきは、事業に関係のない社用車や遊休不動産などの不要資産を処分し、バランスシートをスリム化することです。これにより財務体質が健全に見えます。同時に、長年据え置かれている採算の合わない運送契約を見直し、適正単価への交渉を行うことで、収益性の改善を図りましょう。
物流業界のM&A成功事例と主要プレイヤーの戦略
実際のM&A事例を知ることは、自社の将来像をイメージするために非常に役立ちます。物流業界では、大手企業同士の統合から、地場の中小運送会社の事業承継まで、多種多様な事例が存在します。ここでは、業界を牽引する主要プレイヤーがどのような戦略で買収を進めているのか、また中小企業が実際にどのようにM&Aを成功させたのかを紹介します。成功事例だけでなく、そこから得られる教訓を学ぶことで、M&Aの成功確率は格段に高まります。
SBS・センコー・ニッコンなど大手物流企業のM&A戦略
SBSホールディングスは「M&Aで成長する」と公言し、東芝ロジスティクスなどの大型買収を成功させ、3PL事業を拡大してきました。センコーグループホールディングスも、物流だけでなく生活支援事業など多角化を進めるためのM&Aを積極的に行っています。ニッコンホールディングスは、国際物流の強化や倉庫機能の拡充を狙った戦略的な買収を展開しています。これらの大手は明確なビジョンのもとで買収先を選定しています。
中小運送会社の事業承継M&A成功事例
ある地方の運送会社では、社長が高齢で後継者が不在でしたが、隣県の物流会社に株式譲渡を行うことで事業承継に成功しました。両社は配送エリアが隣接していたため、共同配送による積載率の向上や、帰りの便の有効活用といったシナジー効果が早期に発現しました。社長は顧問として会社に残り、従業員もそのまま雇用されたため、現場の混乱もなくスムーズな統合が実現した理想的な事例といえます。
異業種(IT・建設・製造)からの物流業界参入M&A事例
物流業界への参入障壁を下げるために、異業種がM&Aを活用するケースも増えています。例えば、IT企業が物流会社を買収し、最新のシステムを導入して物流DXを推進する事例や、建設会社が資材運搬の内製化を目的に運送会社を傘下に収める事例があります。これらは、既存の物流機能に新たな付加価値を組み合わせることで、従来にはない競争力を生み出す新しい形のM&Aとして注目されています。
M&A後にシナジーを発揮するためのPMI(統合プロセス)
M&Aは契約締結がゴールではなく、その後の統合プロセス(PMI)こそが重要です。異なる企業文化を持つ会社同士が一緒になるため、人事制度の統合やシステムの統一、そして従業員の意識合わせを丁寧に行う必要があります。PMIが不十分だと、現場の反発を招き、最悪の場合は大量離職に繋がるリスクがあります。統合後のビジョンを共有し、時間をかけて融和を図ることがシナジー最大化の鍵となります。
物流業界のM&Aで注意すべきリスクとデューデリジェンス
物流業界のM&Aには、他業界とは異なる特有のリスクが潜んでいます。これらを事前に把握し、適切に対処しなければ、買収後に多額の損害賠償が発生したり、期待したシナジーが得られなかったりする事態になりかねません。買い手が行う買収監査(デューデリジェンス)では、財務面だけでなく、労務や法務の側面からも厳格なチェックが行われます。ここでは、物流M&Aにおいて特に注意すべきリスク要因と、その対策について詳しく解説します。
【重要】未払い残業代と労務コンプライアンスのチェック
物流業界のM&Aにおいて最も警戒されるのが、未払い残業代の問題です。長時間労働が常態化しやすい業界であるため、過去に遡って未払い賃金を請求されるリスク(簿外債務)が潜んでいることが多々あります。デューデリジェンスでは、勤怠管理が適切に行われているか、固定残業代の運用が法的に正しいかが厳しく精査されます。売り手企業は、事前に労務監査を行い、問題があれば是正しておくことがスムーズな成約への近道です。
車両の整備状況と交通事故歴のリスク評価
保有車両の状態も重要なチェック項目です。整備不良による事故リスクや、将来的な修繕コストが見落とされがちです。また、過去に重大事故を起こしている場合、行政処分による車両停止や事業停止のリスクが残っている可能性があります。自動車安全運転センターが発行する運転記録証明書などを確認し、安全管理体制が機能しているかを評価します。事故歴は保険料率にも影響するため、収益性を判断する上でも重要です。
名義借り・傭車契約などの法規制リスク
トラック運送業法に違反する「名義借り」や、実態の伴わない傭車契約が行われていないかも重要な論点です。名義借りは重大な法令違反であり、発覚すれば許可取り消しという最悪の事態を招きます。また、協力会社との契約内容が下請法に抵触していないかなど、コンプライアンス遵守の状況は徹底的に調査されます。健全な運営が行われていることが、M&A成立の前提条件となることを忘れてはいけません。
物流会社のM&Aを進める具体的な流れと手続き
実際にM&Aを進めるとなると、どのような手順でどれくらいの期間がかかるのでしょうか。一般的に、検討開始から最終契約の締結までは半年から1年程度の期間を要します。このプロセスは複雑であり、法務・税務・財務の専門知識が求められる場面が多々あります。ここでは、M&Aの一般的なフローを4つのフェーズに分けて解説します。全体の流れを把握しておくことで、各段階で必要な準備や心構えができ、交渉を有利に進めることができます。
M&A検討からアドバイザー選定・秘密保持契約(NDA)
まずは自社の売却方針を固め、M&A仲介会社などの専門アドバイザーを選定します。信頼できるパートナーを見つけたら、秘密保持契約(NDA)を締結し、自社の財務データや事業内容を開示します。この段階での情報漏洩は、従業員の動揺や取引先とのトラブルを招くため、情報の取り扱いには細心の注意が必要です。アドバイザーと共に「ノンネームシート」を作成し、匿名で買い手候補への打診を開始します。
トップ面談と基本合意契約の締結
関心を示した買い手候補と秘密保持契約を結び、詳細資料を開示した後、経営者同士のトップ面談を行います。ここでは条件面の交渉だけでなく、経営理念や企業文化が合うかどうかの相性確認が重要です。双方が前向きに進めることで合意すれば、基本合意契約(LOI)を締結します。ここには大まかな譲渡価格やスケジュール、独占交渉権などが盛り込まれますが、法的拘束力を持たせないケースが一般的です。
買収監査(デューデリジェンス)から最終契約・クロージングまで
基本合意後、買い手による買収監査(デューデリジェンス)が実施されます。公認会計士や弁護士が売り手企業を訪問し、財務・法務・ビジネス等のリスクを詳細に調査します。ここで大きな問題がなければ、最終的な譲渡価格や条件を確定させ、最終契約書(DA)を締結します。その後、株式の引き渡しと対価の決済を行うクロージングを経て、晴れてM&Aは完了となり、経営権が買い手に移転します。
M&A仲介会社の選び方と手数料の相場
M&Aを成功させるには、物流業界の知見が豊富な仲介会社を選ぶことが極めて重要です。業界特有の商慣習や法規制に精通していないと、適切なマッチングができません。手数料体系は会社によって異なり、着手金が必要な場合や、完全成功報酬型など様々です。一般的には譲渡価格の数%から10%程度が成功報酬の相場(レーマン方式など)となっています。複数の会社に相談し、実績や担当者との相性を比較検討しましょう。
まとめ
2026年に向けて、物流業界のM&Aはますます活発化し、業界再編が加速することは間違いありません。後継者問題の解決や事業の成長を目指す経営者にとって、M&Aは非常に有効な戦略です。しかし、成功させるためには、市場動向の把握、自社の磨き上げ、そしてリスク管理が不可欠です。まずは自社の企業価値を正しく理解することから始めましょう。専門家の助けを借りながら、早めの準備と情報収集を行うことが、納得のいくM&Aを実現する鍵となります。貴社の未来を切り拓く第一歩を踏み出してください。
中小企業向けM&A仲介会社 比較18選
scroll →
| 会社名 | 特長 | 手数料体系 | サービス対応範囲 |
|---|---|---|---|
株式会社M&Aコンサルティング
|
|
相談:無料 着手:無料 成功報酬:レーマン方式(M&A成立時) |
スケール型M&A 事業承継支援 不動産M&A |
株式会社 M&Aフォース
|
|
相談:無料 着手:無料 中間手数料:無料 成功報酬:レーマン方式 |
M&Aアドバイザリー 事業承継診断 成長戦略コンサルティング 債務・ビジネス分析 株価・企業価値算定 会社の雰囲気調査 |
日本事業承継支援機構株式会社
|
|
相談:無料 着手:無料 中間手数料:成功報酬の20% 成功報酬:レーマン方式(最低手数料100万円) |
M&A仲介 経営環境整備 投資運営 |
かえでファイナンシャルアドバイザリー
|
|
相談:無料 着手:無料 中間手数料:無料 成功報酬:株価レーマン方式(最低報酬500万円) |
事業承継M&A 事業再生M&A ベンチャー企業M&A プレM&Aコンサルティングサービス PMIコンサルティングサービス M&Aセカンドオピニオンサービス など |
株式会社T.CORPORATION
|
|
要お問い合わせ |
コンサルティング(M&A、事業承継、経営戦略、創業支援、監査など) 環境経営支援(環境マネジメント構築、CSR・SDGs支援など) BPO事業(事務処理代行、コールセンター、テレマーケティング、インサイドセールスなど) |
| 株式会社M&Aベストパートナーズ |
|
着手金:なし 中間報酬:あり 成功報酬型 手数料率:5% |
中堅中小企業におけるM&A仲介 |
| 株式会社fundbook |
|
相談:無料 着手金:無料 成功報酬:レーマン方式 |
譲渡サービス 譲受サービス |
| 株式会社CBパートナーズ |
|
着手金:なし 中間報酬:なし 完全成功報酬 |
M&A仲介事業 医療介護福祉業界M&A支援サービス 医師開業支援サービス |
| インテグループ株式会社 |
|
相談:無料 成功報酬:5億円以下の部分 5% 5億円超~10億円以下の部分 4% 10億円超~50億円以下の部分 3% 50億円超~100億円以下の部分 2% 100億円超の部分 1% (最低額1,500万円) |
M&A仲介アドバイザリー ディールファインディングサービス(買い手企業向け案件発掘サービス) MBO支援 |
| 株式会社経営承継支援 |
|
着手金:なし 成功報酬型:基本合意時 100万円 最終契約締結時 :合計から100万円を控除した残額 |
中堅中小企業の円滑な事業承継のためのコンサルティング業務 中堅中小企業の継続発展に資するM&A仲介助言業務 |
| 株式会社M&A DX |
|
- |
企業提携に関する仲介 企業提携に関するファイナンシャルアドバイザリー(FA) セカンドオピニオン(第三者視点のM&Aアドバイス) 財務税務調査業務(DD) 株式価値算定(Valuation) PMI(Post Merger Integration)支援 PPA(Purchase Price Allocation)支援 MBO(Management Buy Out)支援 CVC(Corporate Venture Capital)運営支援 スナイパーサービス(M&A戦略立案投資候補先開拓) 不正調査 相続相続税対策支援 富裕層向け財産サービス 資本政策策定支援 ストックオプション構築算定支援 組織再編プランニング実行支援 |
| Growthix Capital株式会社 |
|
基本合意の締結時:手数料の10% 受諾と決済時(クロージング):支払い:残額全て |
アドバイザリー契約の締結 M&A戦略の立案 対象企業へアプローチ 価格の条件交渉 基本合意の締結 買収監査(デューデリジェンス) 売買契約の締結 受諾と決済(クロージング) |
| Byside株式会社 |
|
着手金:なし 完全成功報酬型の手数料体系 |
M&Aアドバイザリー(FA業務) M&A仲介事業 |
| M&Aロイヤルアドバイザリー株式会社 |
|
着手金:なし 中間報酬:なし 完全成功報酬型 |
M&A仲介事業 M&Aアドバイザリーサービス(譲渡売却) セカンドオピニオンサービス MALAパートナープログラム |
| 株式会社NEWOLD CAPITAL |
|
着手金:なし 中間報酬:あり 成功報酬型 |
M&A仲介及びM&Aアドバイザリー事業 経営、プロフェッショナル人材の紹介事業 M&A業務及びM&A関連人材の教育研修事業 |
| ゴエンキャピタル株式会社 |
|
着手金:なし 中間報酬:なし 成功報酬型:譲渡価格の5% |
M&Aコンサルティング事業 PMIコンサルティング事業 プライベートエクイティファンドの運営 |
| 株式会社クラリスキャピタル |
|
着手金なし 成功報酬のみで200万円から |
M&A仲介アドバイザリー事業 |
| 株式会社INNOVATION LEADERS |
|
手数料 0円 中間手数料:報酬の10% 報酬(残りの90%) |
M&A仲介事業 |
業界特化 おすすめM&A仲介会社 16選
scroll →
| 会社名 | 特長 | 手数料体系 | サービス対応範囲 |
|---|---|---|---|
株式会社ウィルゲート
|
|
完全成功報酬型 着手金・中間手数料なし |
M&A仲介事業 |
M&Aクラウド
|
|
売り手企業:完全無料(着手金・中間手数料・成約手数料なし) 買い手企業:完全成功報酬 |
募集型M&Aマッチングプラットフォーム プロのアドバイザーがM&Aを支援 |
| 株式会社パラダイムシフト |
|
- |
M&Aアドバイザリー CVC運営支援 事業開発 金融イノベーション |
| 株式会社エイスリー |
|
着手金:なし |
アドバイザリー契約の締結 M&Aの戦略立案 M&Aサービス -マッチング- 買手候補を一社選定 成約クロージング |
| xxx(エイジィ)株式会社 |
|
成功報酬:レーマン方式(※成功報酬の最低額は1,000万円) |
簡易審査個別相談 M&Aスキームのご提案 必要書類の準備 買手候補の選定 買手候補への提案 面談設定 条件交渉成約 PMI(M&A後の更なる企業価値向上、成長支援策の提案) |
| 株式会社エムズ |
|
- |
秘密保持契約の締結 M&A事業承継の可能性の検討 提携仲介契約の締結 具体的資料の提出/法人の評価額の算定 マッチング 譲渡価格などの条件交渉 基本合意契約の締結 買収監査の実施 最終条件交渉と譲渡契約の締結 クロージング対価の授受 |
| 株式会社シードコンサルティング |
|
- |
中小企業への財務力強化、資金調達、コスト削減、経営全般に関するコンサルティング業 相続事業承継に関するコンサルティング業務 建設業特化型スモールM&Aアドバイザリー仲介業務、M&Aに関する調査コンサルティング業務 生命保険、損害保険代理店業務、各種金融商品、生命保険の活用法、資産運用、資産防衛に関するコンサルティング業務 |
| 株式会社 バシラックス |
|
売り手手数料 0円~ 書いて手数料 200万円~ 面談、基本合意手数料 0円~ |
条件交渉 TOP面談 契約締結 買収監査(デューデリジェンス) クロージング |
| MACアドバイザリー株式会社 |
|
原則有料(完全成功報酬型) 着手金:なし 中間金:なし |
調剤薬局ドラッグストア専門M&Aアドバイザリー 仲介事業企業再生再編支援コンサルティング業務 企業経営調剤薬局の運営に関するコンサルティング業務 薬価差の改善業務 |
| 株式会社アウナラ |
|
完全成果報酬型 仲介手数料200万円~ |
M&A仲介 薬剤師様独立支援 ドクター誘致支援 人材紹介事業 |
| 株式会社希望の星 |
|
- |
清掃経営(支援)コンサルティング 清掃独立開業支援 清掃業M&A 清掃技術研修 |
| 早稲田M&Aパートナーズ株式会社 |
|
初期相談料:無料 営業提案活動費:無料 着手金:無料 面談設定費:無料 完全成功報酬型 |
ベンチャー企業のM&A(株式譲渡売却資本提携事業譲渡等)の仲介業務 ベンチャー企業の資金調達支援及びファイナンシャルアドバイザリー業務 ベンチャー企業の株式価値算定及びデューデリジェンス業務 ベンチャー企業の経営コンサルティング業務 |
| 株式会社コルウスパートナーズ |
|
国内最大級のネットワークを活用し信頼性の高いマッチングを実現 完全成功報酬制+業界最安値水準の料金体系 専門コンサルタントによる安心のサポート |
M&AアドバイザリーM&A仲介 経営コンサルティング PMIコンサルティング その他、上記に付帯する業務 |
| 株式会社エクステンド |
|
着手金:なし 中間金:なし 成功報酬型:レーマン方式 |
お問い合わせヒアリング 提案 マッチング先の選定紹介 トップ面談 |
| 株式会社エスエムエス |
|
着手金:なし 中間報酬:なし 成約基本料 100万円 成功報酬型:レーマン方式 |
マッチング トップ面談 基本合意 デューデリジェンス(リスク調査) 最終合意 |
| 株式会社M&A Properties |
|
着手金:なし 中間報酬:なし 成功報酬型 |
ヒアリング初回面談 個別案件の初期検討 及び 意向表明書の提出 懸念点などのすり合わせ及び解消 投資回収シミュレーション 現地視察 デューディリジェンスのサポート 譲渡契約書の締結サポート クロージングのサポート |

