会社を売りたい経営者必見!相場・税金・相談先の選び方を徹底解説
【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介
株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。
経営者の皆様にとって、手塩にかけて育ててきた会社を売りたいと考える瞬間は、人生における非常に大きな決断の時です。後継者不足による事業承継の悩みや、アーリーリタイアによる第二の人生の充実など、売却を検討する動機は多岐にわたります。しかし、実際に売却を進めるとなると、自社の適正な相場や複雑な手続き、発生する税金など、専門的な知識が必要な場面が多く存在します。本記事では、会社売却を成功させるために必要な基礎知識から、信頼できる相談先の選び方、手取り額を最大化するためのポイントまでを網羅的に解説します。漠然とした不安を解消し、納得のいく事業承継を実現するための一歩を踏み出しましょう。
中小企業向けM&A仲介会社 比較18選
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| 会社名 | 特長 | 手数料体系 | サービス対応範囲 |
|---|---|---|---|
株式会社M&Aコンサルティング
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相談:無料 着手:無料 成功報酬:レーマン方式(M&A成立時) |
スケール型M&A 事業承継支援 不動産M&A |
株式会社 M&Aフォース
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相談:無料 着手:無料 中間手数料:無料 成功報酬:レーマン方式 |
M&Aアドバイザリー 事業承継診断 成長戦略コンサルティング 債務・ビジネス分析 株価・企業価値算定 会社の雰囲気調査 |
日本事業承継支援機構株式会社
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相談:無料 着手:無料 中間手数料:成功報酬の20% 成功報酬:レーマン方式(最低手数料100万円) |
M&A仲介 経営環境整備 投資運営 |
かえでファイナンシャルアドバイザリー
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相談:無料 着手:無料 中間手数料:無料 成功報酬:株価レーマン方式(最低報酬500万円) |
事業承継M&A 事業再生M&A ベンチャー企業M&A プレM&Aコンサルティングサービス PMIコンサルティングサービス M&Aセカンドオピニオンサービス など |
株式会社T.CORPORATION
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要お問い合わせ |
コンサルティング(M&A、事業承継、経営戦略、創業支援、監査など) 環境経営支援(環境マネジメント構築、CSR・SDGs支援など) BPO事業(事務処理代行、コールセンター、テレマーケティング、インサイドセールスなど) |
| 株式会社M&Aベストパートナーズ |
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着手金:なし 中間報酬:あり 成功報酬型 手数料率:5% |
中堅中小企業におけるM&A仲介 |
| 株式会社fundbook |
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相談:無料 着手金:無料 成功報酬:レーマン方式 |
譲渡サービス 譲受サービス |
| 株式会社CBパートナーズ |
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着手金:なし 中間報酬:なし 完全成功報酬 |
M&A仲介事業 医療介護福祉業界M&A支援サービス 医師開業支援サービス |
| インテグループ株式会社 |
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相談:無料 成功報酬:5億円以下の部分 5% 5億円超~10億円以下の部分 4% 10億円超~50億円以下の部分 3% 50億円超~100億円以下の部分 2% 100億円超の部分 1% (最低額1,500万円) |
M&A仲介アドバイザリー ディールファインディングサービス(買い手企業向け案件発掘サービス) MBO支援 |
| 株式会社経営承継支援 |
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着手金:なし 成功報酬型:基本合意時 100万円 最終契約締結時 :合計から100万円を控除した残額 |
中堅中小企業の円滑な事業承継のためのコンサルティング業務 中堅中小企業の継続発展に資するM&A仲介助言業務 |
| 株式会社M&A DX |
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- |
企業提携に関する仲介 企業提携に関するファイナンシャルアドバイザリー(FA) セカンドオピニオン(第三者視点のM&Aアドバイス) 財務税務調査業務(DD) 株式価値算定(Valuation) PMI(Post Merger Integration)支援 PPA(Purchase Price Allocation)支援 MBO(Management Buy Out)支援 CVC(Corporate Venture Capital)運営支援 スナイパーサービス(M&A戦略立案投資候補先開拓) 不正調査 相続相続税対策支援 富裕層向け財産サービス 資本政策策定支援 ストックオプション構築算定支援 組織再編プランニング実行支援 |
| Growthix Capital株式会社 |
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基本合意の締結時:手数料の10% 受諾と決済時(クロージング):支払い:残額全て |
アドバイザリー契約の締結 M&A戦略の立案 対象企業へアプローチ 価格の条件交渉 基本合意の締結 買収監査(デューデリジェンス) 売買契約の締結 受諾と決済(クロージング) |
| Byside株式会社 |
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着手金:なし 完全成功報酬型の手数料体系 |
M&Aアドバイザリー(FA業務) M&A仲介事業 |
| M&Aロイヤルアドバイザリー株式会社 |
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着手金:なし 中間報酬:なし 完全成功報酬型 |
M&A仲介事業 M&Aアドバイザリーサービス(譲渡売却) セカンドオピニオンサービス MALAパートナープログラム |
| 株式会社NEWOLD CAPITAL |
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着手金:なし 中間報酬:あり 成功報酬型 |
M&A仲介及びM&Aアドバイザリー事業 経営、プロフェッショナル人材の紹介事業 M&A業務及びM&A関連人材の教育研修事業 |
| ゴエンキャピタル株式会社 |
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着手金:なし 中間報酬:なし 成功報酬型:譲渡価格の5% |
M&Aコンサルティング事業 PMIコンサルティング事業 プライベートエクイティファンドの運営 |
| 株式会社クラリスキャピタル |
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着手金なし 成功報酬のみで200万円から |
M&A仲介アドバイザリー事業 |
| 株式会社INNOVATION LEADERS |
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手数料 0円 中間手数料:報酬の10% 報酬(残りの90%) |
M&A仲介事業 |
この記事の目次はこちら
会社を売りたいと思ったら?まず確認すべき「売れる会社」の条件
会社を売りたいと真剣に考え始めたとき、多くの経営者が最初に抱く疑問は、自分の会社が本当に売れるのかという点に尽きます。一般的に、黒字で業績が右肩上がりの企業でなければ買い手がつかないと思われがちですが、M&Aの現場では必ずしもそうとは限りません。買い手企業は、財務上の数値だけでなく、独自の技術力や優秀な人材、強固な顧客基盤など、将来的なシナジー効果を生み出す「見えざる資産」を高く評価する傾向にあります。したがって、現状の決算書だけで諦める必要はありません。ここでは、どのような状態の会社が売却可能なのか、また売却に最適なタイミングはいつなのかといった、売却活動を始める前に知っておくべき前提条件について詳しく解説していきます。
赤字や債務超過でも会社を売ることは可能か
経営状態が赤字や債務超過であっても、会社を売却できる可能性は十分にあります。買い手企業が重視するのは過去の決算数値そのものではなく、買収後にその事業がどれだけの利益を生み出せるかという将来性だからです。たとえば、赤字の原因が役員報酬の取りすぎや一時的な投資によるものであれば、実質的な収益力は高いと判断されます。また、独自の技術や特許、好立地の店舗物件、優秀な有資格者の従業員などを保有していれば、それ自体が高い価値を持ちます。再生案件として安価で買収し、自社のノウハウを投入して黒字化を目指す買い手も存在するため、まずは専門家に相談し、自社の潜在的な価値を客観的に評価してもらうことが重要です。
会社を売りたいタイミングはいつがベスト?
会社を最も高く、かつスムーズに売却できるベストなタイミングは、一般的に会社の業績が好調で将来の見通しが明るい時期です。右肩上がりの成長曲線を描いている段階であれば、買い手からの評価も高まり、希望価格での交渉がしやすくなります。しかし、経営者の高齢化や体調不良など、個人的な事情により「売りたい」と感じたその瞬間もまた、重要なタイミングの一つです。判断を先送りにして業績が悪化したり、経営者の健康問題が深刻化したりすると、交渉力が弱まり足元を見られるリスクがあります。市場環境の変化や競合の動向も影響するため、売りたいという意思が固まった段階で、早めに準備を開始することが成功への鍵となります。
会社売却(M&A)と廃業・清算のどちらを選ぶべきか
事業を終了させる選択肢として、会社売却以外に廃業や清算を検討される方もいますが、経済的なメリットと社会的な影響の両面から、まずは売却を優先して検討すべきです。廃業を選択した場合、在庫の処分費用や店舗の原状回復費、従業員への退職金支払いなど、多額のコストが発生し、最終的に経営者の手元に資産がほとんど残らないケースも少なくありません。一方で会社売却を選択すれば、創業者利益として現金を手にできるだけでなく、従業員の雇用を守り、取引先との関係も維持することができます。地域経済への貢献や長年築き上げたブランドの存続という観点からも、廃業を選ぶ前にM&Aによる第三者承継の可能性を模索することが推奨されます。
会社を売りたい経営者が得られる3つの大きなメリット
会社を第三者に譲渡することは、単に事業を手放すということ以上の大きな価値を経営者にもたらします。長年の経営のプレッシャーから解放される精神的な安らぎや、創業者としての金銭的な対価、そして何よりも会社が存続することによる安心感は、M&Aならではの利点です。特に近年では、後継者不足に悩む中小企業にとって、M&Aは廃業を回避するための最も有効な手段として定着しつつあります。ここでは、会社を売りたいと考えた際に、売り手となる経営者が具体的にどのような恩恵を受けられるのか、金銭面、事業承継面、そして個人の生活面という3つの主要な観点から、そのメリットを掘り下げていきます。
創業者利益(現金)の確保とハッピーリタイア
会社売却によって得られる最大の金銭的メリットは、創業者利益としての多額の現金を一括で確保できることです。長年会社に再投資し続けてきた利益や、育て上げた事業価値を現金化することで、経営者は引退後の生活資金や、新たな挑戦のための原資を得ることができます。特に株式譲渡という手法を用いた場合、税率は約20パーセントと比較的低く抑えられるため、役員報酬として長期間かけて受け取るよりも手取り額が多くなるケースが一般的です。この資金を元手に、趣味に没頭したり、家族との時間を大切にしたりするハッピーリタイアを実現できる点は、多くの経営者にとって非常に魅力的な動機となっています。
後継者問題の解決と従業員の雇用維持
日本の中小企業の多くが直面している深刻な課題である後継者不在の問題を、M&Aは一挙に解決することができます。親族や社内に適任者がいない場合でも、広く外部から買い手を探すことで、意欲と資金力のある企業に経営のバトンを渡すことが可能です。これにより、会社を廃業させることなく存続させられるため、長年苦楽を共にしてきた従業員の雇用を守ることができます。従業員にとっても、資本力のある大手企業の傘下に入ることで、福利厚生の充実やキャリアアップの機会が増えるなど、労働環境が改善する可能性があります。経営者としての最後の責任を果たすという意味でも、事業承継型のM&Aは非常に有効な選択肢です。
社長の「個人保証(連帯保証)」からの解放
中小企業経営者の多くが、会社の借入金に対して個人保証(連帯保証)を入れており、これが精神的な重圧となっていますが、会社売却によってこの個人保証から解放されることは極めて大きなメリットです。通常、株式譲渡によって経営権が買い手に移転する場合、会社の借入金とともに連帯保証契約も新しいオーナーや買い手企業へ引き継がれることが一般的です。万が一の倒産時に私財を失う恐怖から解放されることで、経営者は安心してリタイア生活を送ることができます。ただし、保証の解除には金融機関の承諾が必要となるため、最終契約の段階で確実に保証解除が実行されるよう、M&A仲介会社などを通じて慎重に調整を行う必要があります。
私の会社はいくらで売れる?会社を売りたい時の相場と計算方法
会社を売りたいと考えた際、最も気になるのは「一体いくらで売れるのか」という金額の部分でしょう。上場企業のように株価が公開されているわけではない中小企業の企業価値は、財務状況や収益力、保有資産などを総合的に判断して算出されます。提示価格が安すぎれば損をしてしまいますし、逆に相場からかけ離れた高値を希望すれば買い手がつかず、交渉が長期化する原因となります。適正な売却価格を知ることは、満足のいくM&Aを実現するための第一歩です。ここでは、中小企業のM&A実務でよく使われる簡易的な計算方法や、業種ごとの相場観、評価を高めるためのポイントについて解説します。
中小企業の売却価格はどう決まる?簡易的な計算式(年買法)
中小企業のM&Aにおいて、売却価格の目安を算出する際によく用いられるのが「年倍法(年買法)」と呼ばれる計算式です。これは、「時価純資産 + 営業権(のれん代)」というシンプルな考え方に基づいています。時価純資産とは、会社の全資産から負債を差し引いた純資産を時価で評価し直したもので、いわば会社の解散価値を表します。そこに、直近の営業利益や経常利益の約3年分から5年分を「営業権」として加算します。この営業権こそが、その会社が将来生み出す収益力を意味しており、独自の技術やブランド力が強ければ、より多くの年数が加算される傾向にあります。この計算式を使うことで、おおよその売却可能額を把握することができます。
【簡易計算式のイメージ】
| 項目 | 計算内容 | 意味 |
| 時価純資産 | 資産(時価) - 負債 | 今すぐ会社をたたんだ時に残る価値 |
| 営業権(のれん) | 営業利益 × 3年〜5年 | 将来の収益力への期待値 |
| 売却想定価格 | 上記2つの合計額 | 株式譲渡の目安となる価格 |
業種別に見る会社売却の相場観と評価ポイント
会社売却の相場は、属している業界の市場環境やトレンドによって大きく変動します。例えば、IT・ソフトウェア業界やヘルスケア業界などは、成長性が高く多くの買い手が参入しているため、営業権(のれん代)が純資産の5倍以上に評価されるケースも珍しくありません。一方で、設備産業や建設業などの成熟産業では、保有している不動産や機械設備の資産価値が重視される傾向にあり、営業利益の1年から3年分程度の評価が一般的です。また、調剤薬局や運送業のように許認可ビジネスの場合は、許認可そのものや地域の独占性が評価され、安定した相場で取引されることが多いです。自社の属する業界のM&A事例を調査し、相場観を養うことが大切です。
会社を売りたい時の相談先は?仲介会社・銀行・公的機関の比較
会社売却は高度な専門知識と交渉力が求められるため、経営者が独力で進めることは現実的ではありません。そこで重要になるのが、信頼できるパートナー(相談先)の選定です。主な相談先としては、M&A仲介会社、取引のある金融機関、税理士、そして国が設置している公的機関などがありますが、それぞれに得意分野や費用体系、サポートの範囲が異なります。自社の規模や売却の目的、予算に合わせて最適な依頼先を選ばなければ、成約までの期間が長引いたり、不利な条件で契約してしまったりするリスクがあります。ここでは、代表的な3つの相談先について、それぞれの特徴と選び方のポイントを比較しながら解説します。
M&A仲介会社・アドバイザリー(FA)の特徴と選び方
M&A仲介会社やファイナンシャルアドバイザー(FA)は、会社売却のプロフェッショナルであり、買い手候補の探索から契約交渉、事務手続きまでを一貫してサポートしてくれます。最大のメリットは、豊富なネットワークを活かしたマッチング力であり、自社に最適な買い手を広く探すことができる点です。選び方のポイントとしては、自社の業界での成約実績が豊富か、担当者との相性が良いか、そして料金体系が明確かを確認することが重要です。特に中小企業のM&Aでは、売り手と買い手の間に立って調整を行う「仲介形式」が一般的ですが、利益相反のリスクを避けるために売り手のみの利益を追求する「FA形式」を選ぶ場合もあります。
取引銀行や税理士に相談する場合の注意点
日頃から付き合いのある取引銀行や顧問税理士への相談は、会社の内情を深く理解してくれているため、心理的なハードルが低く、話が早いというメリットがあります。信頼関係が既に構築されているため、財務状況や経営課題に基づいたアドバイスを受けやすいでしょう。しかし、M&A専門の部署を持たない金融機関や税理士事務所の場合、買い手の紹介先が既存の取引先や顧問先に限定されてしまい、マッチングの選択肢が狭まる可能性があります。また、銀行の場合は融資継続の観点から売却に慎重になるケースや、逆に自行の利益のために無理な合併を勧める「利益相反」が懸念される場合もあるため、セカンドオピニオンを持つことが推奨されます。
事業承継・引継ぎ支援センター(公的機関)の活用
コストを極力抑えたい場合や、小規模な事業の売却を検討している場合は、「事業承継・引継ぎ支援センター」などの公的機関を活用するのが有効です。これは国が全国の都道府県に設置している相談窓口で、専門家が無料で相談に乗ってくれるほか、M&A専門業者の紹介や、後継者人材バンクを通じたマッチング支援を行っています。営利を目的としていないため、無理な営業をかけられる心配がなく、安心して相談できる点が大きなメリットです。ただし、民間の仲介会社に比べるとスピード感に欠ける場合や、手厚い交渉代行までは期待できないこともあるため、まずは初期的な相談や情報収集の場として利用するのが賢明です。
会社を売りたい場合の具体的な手順・流れ
会社を売りたいと決意してから、実際に売却が完了して代金を受け取るまでには、一般的に半年から1年程度の期間を要します。このプロセスはいくつかのフェーズに分かれており、各段階で適切な対応を行うことが成功への近道です。全体像を把握せずに見切り発車で進めてしまうと、途中で交渉が頓挫したり、予期せぬトラブルに巻き込まれたりする可能性があります。ここでは、M&Aの検討段階から最終的なクロージングに至るまでの標準的なフローを、4つのステップに分けて解説します。流れを理解しておくことで、先を見通した計画的な行動が可能になり、買い手との交渉も有利に進めることができるようになります。
1. 事前準備と必要書類の整理(磨き上げ)
売却活動のスタートは、自社の情報を整理し、買い手に提示するための資料を作成することから始まります。これを「企業概要書(ノンネームシートやIM)」と呼びます。決算書や税務申告書はもちろん、定款、登記簿謄本、従業員名簿、取引先リストなどの基本資料を漏れなく準備します。また、この段階で「磨き上げ」を行うことも重要です。例えば、節税のために計上していた過度な経費を削減して本来の利益が見えるように修正したり、不要な在庫を処分して資産をスリム化したりすることで、企業価値を高める努力をします。この準備の質が、後のマッチング精度や価格交渉に直結するため、専門家のアドバイスを受けながら入念に行います。
2. 買い手探し(マッチング)とトップ面談
準備が整ったら、M&A仲介会社などを通じて買い手候補を探すマッチングのフェーズに入ります。最初は社名を伏せた「ノンネームシート」で打診し、興味を持った候補先と秘密保持契約を結んだ上で詳細情報を開示します。複数の候補の中から有力な買い手が絞り込まれたら、経営者同士が直接会って話す「トップ面談」が行われます。ここでは、条件面の交渉よりも、お互いの経営理念やビジョン、企業風土の相性を確認することが主な目的となります。売り手としての想いや、従業員への配慮を誠実に伝えることで、買い手の信頼を獲得し、その後の交渉をスムーズに進めるための人間関係を構築する重要な場となります。
3. デューデリジェンス(買収監査)への対応
基本合意契約を締結した後、買い手側による詳細な企業調査、いわゆる「デューデリジェンス(DD)」が実施されます。これは、財務、税務、法務、人事、ビジネスなどの側面から、売り手企業のリスクや資産価値を精査するプロセスです。公認会計士や弁護士などの専門家が会社を訪問し、帳簿の閲覧や経営陣へのヒアリングを行います。売り手にとっては負担の大きい作業ですが、ここで隠し事をしたり、資料の提出が遅れたりすると、不信感を買って破談になる恐れがあります。都合の悪い情報も含めて誠実にすべてを開示し、質問に対して迅速かつ的確に回答することが、最終契約への信頼をつなぐ鍵となります。
4. 最終契約の締結とクロージング(代金決済)
デューデリジェンスの結果を踏まえ、最終的な譲渡価格や条件の調整を行い、双方が合意すれば「最終譲渡契約書」を締結します。この契約書には、売買価格、従業員の処遇、引き継ぎ期間、表明保証(開示内容に虚偽がないことの保証)などの重要事項が記載されます。契約締結後、株式や事業の引き渡しと引き換えに、譲渡代金の決済が行われることを「クロージング」と呼びます。着金が確認され、会社の実印や通帳、重要書類などを買い手に引き渡した時点で、M&Aの手続きは完了となります。その後は、一定期間の引き継ぎ業務を行い、新しい体制への移行をサポートすることで、経営者としての役割を終えることになります。
手取りはいくら残る?会社を売った際にかかる税金と手数料
会社売却の成功を判断する上で、「いくらで売れたか」という表面的な価格以上に重要なのが、「最終的にいくら手元に残るか」という手取り額です。売却代金からは、国に納める税金や、仲介会社に支払う手数料などが差し引かれます。これらのコストを事前に把握し、適切な対策を講じておかなければ、想定よりも手元資金が大幅に減ってしまう事態になりかねません。特に税金は、どのような手法(スキーム)で売却するかによって税率や計算方法が大きく異なります。ここでは、会社を売りたい経営者が知っておくべき税金の仕組みと、M&A仲介手数料の相場、そして合法的に手取りを増やすための節税テクニックについて詳しく解説します。
株式譲渡と事業譲渡で異なる税金(所得税・法人税)
会社売却にかかる税金は、売却手法によって大きく異なります。中小企業のM&Aで最も一般的な「株式譲渡」の場合、売り手である株主(個人)に対して、売却益の20.315%(所得税・住民税・復興特別所得税)が課税されます。これは分離課税であるため、給与所得など他の所得と合算されず、税率が一定である点がメリットです。一方、会社の一部を売る「事業譲渡」の場合は、売り手である法人に税金がかかります。売却益は法人税の課税対象となり、実効税率は約30%から34%程度となります。さらに、消費税の課税対象にもなるため、手取り額を計算する際は、どのスキームを選択するかによる税負担の違いを慎重にシミュレーションする必要があります。
会社を売りたい時に知っておくべきM&A仲介手数料の相場
M&A仲介会社を利用する場合、着手金、中間金、成功報酬といった手数料が発生します。多くの仲介会社では、成功報酬の計算に「レーマン方式」を採用しています。これは取引金額に応じて料率が逓減していく仕組みで、一般的に取引額の5億円以下の部分は5%、5億円超から10億円以下の部分は4%といったように設定されています。ただし、会社によっては「最低報酬額」を1,000万円や2,000万円に設定している場合があり、小規模な売却案件では手数料の割合が割高になる可能性があります。また、完全成功報酬型の会社もあれば、着手金が必要な会社もあるため、契約前にトータルコストとサービス内容のバランスを比較検討することが不可欠です。
退職金を活用して手取り額を最大化する節税テクニック
会社売却時の手取り額を最大化するための代表的な節税策として、「役員退職金」の活用があります。これは、売却代金の一部を会社から経営者への退職金として支払う方法です。退職金には「退職所得控除」という大きな非課税枠が設けられており、さらに控除後の金額を2分の1にしてから課税されるため、株式譲渡益として受け取るよりも税負担を大幅に軽減できる場合があります。買い手にとっても、退職金を支払うことで買収対象会社の純資産を圧縮し、株式の購入価格を下げられるというメリットがあります。ただし、不相当に高額な退職金は税務署から否認されるリスクがあるため、功績倍率法などの規定に基づき、税理士と相談して適正額を設定する必要があります。
少しでも高く会社を売りたい!成功率を上げるポイント
せっかく会社を売るのですから、誰しもが「少しでも高く売りたい」と願うのは当然のことです。しかし、ただ単に高い希望額を提示するだけでは、買い手に見向きもされません。高値での売却を成功させるためには、買い手が魅力を感じる要素を積極的にアピールし、同時にリスク要因を排除しておくという、戦略的な準備が必要です。会社は生き物であり、その価値は磨けば光ります。受け身の姿勢で買い手を待つのではなく、自ら能動的に企業価値を高めるアクションを起こすことが重要です。ここでは、M&Aの交渉を有利に進め、相場以上の価格を引き出すために経営者が実践すべき3つの具体的なポイントを紹介します。
自社の強み(無形資産・ノウハウ)を整理してアピールする
決算書の数値には表れない「無形資産」こそが、高値売却の鍵を握っています。例えば、長年取引を続けている優良顧客のリスト、熟練した従業員の技術力、特定のニッチ市場での高いシェア、社内で体系化された業務マニュアルなどは、買い手にとって喉から手が出るほど欲しい資源です。これらの強みをただ漠然と伝えるのではなく、具体的なデータや資料として可視化し、企業概要書(IM)に盛り込むことが大切です。「この会社を買収すれば、どのようなシナジー効果が得られるか」を買い手が具体的にイメージできるようにプレゼンテーションすることで、営業権(のれん代)の評価を上乗せさせることが可能になります。
簿外債務や訴訟リスクなどのネガティブ情報を隠さない
高く売りたいからといって、自社にとって都合の悪い情報を隠すことは絶対に避けるべきです。未払いの残業代、回収不能な売掛金、係争中の訴訟トラブル、土壌汚染の可能性といったリスク情報は、デューデリジェンス(買収監査)の段階で必ず発覚します。もし後から発覚した場合、交渉決裂や大幅な価格減額の原因になるだけでなく、売却後に損害賠償請求(表明保証違反)を受けるリスクもあります。ネガティブな情報は最初の段階で正直に開示し、それに対する対策や解決の道筋をセットで説明することで、かえって経営者としての誠実さをアピールでき、買い手からの信頼獲得につながります。信頼関係こそが、スムーズな交渉の土台となります。
複数の買い手候補と交渉して条件を比較する
一社だけの買い手候補と交渉を進めると、どうしても相手のペースに巻き込まれ、足元を見られた価格提示になりがちです。高く売るためには、複数の買い手候補と並行して交渉を行い、競争環境(オークション状態)を作り出すことが有効です。「他社からも良い条件でのオファーが来ている」という状況は、買い手に対して「早く決めなければ他社に奪われてしまう」という心理的な焦りを生じさせ、より良い条件や価格を引き出すための強力なカードになります。M&A仲介会社のネットワークを最大限に活用し、同業他社だけでなく、異業種やファンドなども含めた幅広い候補先から関心を募ることが、好条件での成約への近道です。
まとめ:会社を売りたいと考えたら、まずは無料の簡易査定から
本記事では、会社を売りたいと考える経営者に向けて、売却の条件やメリット、相場の計算方法、そして具体的な手順について解説してきました。会社売却は、後継者問題を解決し、経営者に相応の創業者利益をもたらす前向きな選択肢です。しかし、成功のためには適切なタイミングでの決断と、信頼できるパートナー選びが欠かせません。一人で悩んで時間を浪費してしまうと、企業価値が下がり、売るチャンスを逃してしまう可能性もあります。まずは、M&A仲介会社や公的機関が提供している「無料相談」や「簡易査定」を利用し、自社の市場価値を客観的に把握することから始めてみてください。その小さな一歩が、会社の未来とあなたのセカンドライフを輝かせるための大きな転機となるはずです。
中小企業向けM&A仲介会社 比較18選
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| 会社名 | 特長 | 手数料体系 | サービス対応範囲 |
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株式会社M&Aコンサルティング
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相談:無料 着手:無料 成功報酬:レーマン方式(M&A成立時) |
スケール型M&A 事業承継支援 不動産M&A |
株式会社 M&Aフォース
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相談:無料 着手:無料 中間手数料:無料 成功報酬:レーマン方式 |
M&Aアドバイザリー 事業承継診断 成長戦略コンサルティング 債務・ビジネス分析 株価・企業価値算定 会社の雰囲気調査 |
日本事業承継支援機構株式会社
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相談:無料 着手:無料 中間手数料:成功報酬の20% 成功報酬:レーマン方式(最低手数料100万円) |
M&A仲介 経営環境整備 投資運営 |
かえでファイナンシャルアドバイザリー
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相談:無料 着手:無料 中間手数料:無料 成功報酬:株価レーマン方式(最低報酬500万円) |
事業承継M&A 事業再生M&A ベンチャー企業M&A プレM&Aコンサルティングサービス PMIコンサルティングサービス M&Aセカンドオピニオンサービス など |
株式会社T.CORPORATION
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要お問い合わせ |
コンサルティング(M&A、事業承継、経営戦略、創業支援、監査など) 環境経営支援(環境マネジメント構築、CSR・SDGs支援など) BPO事業(事務処理代行、コールセンター、テレマーケティング、インサイドセールスなど) |
| 株式会社M&Aベストパートナーズ |
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着手金:なし 中間報酬:あり 成功報酬型 手数料率:5% |
中堅中小企業におけるM&A仲介 |
| 株式会社fundbook |
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相談:無料 着手金:無料 成功報酬:レーマン方式 |
譲渡サービス 譲受サービス |
| 株式会社CBパートナーズ |
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着手金:なし 中間報酬:なし 完全成功報酬 |
M&A仲介事業 医療介護福祉業界M&A支援サービス 医師開業支援サービス |
| インテグループ株式会社 |
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相談:無料 成功報酬:5億円以下の部分 5% 5億円超~10億円以下の部分 4% 10億円超~50億円以下の部分 3% 50億円超~100億円以下の部分 2% 100億円超の部分 1% (最低額1,500万円) |
M&A仲介アドバイザリー ディールファインディングサービス(買い手企業向け案件発掘サービス) MBO支援 |
| 株式会社経営承継支援 |
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着手金:なし 成功報酬型:基本合意時 100万円 最終契約締結時 :合計から100万円を控除した残額 |
中堅中小企業の円滑な事業承継のためのコンサルティング業務 中堅中小企業の継続発展に資するM&A仲介助言業務 |
| 株式会社M&A DX |
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企業提携に関する仲介 企業提携に関するファイナンシャルアドバイザリー(FA) セカンドオピニオン(第三者視点のM&Aアドバイス) 財務税務調査業務(DD) 株式価値算定(Valuation) PMI(Post Merger Integration)支援 PPA(Purchase Price Allocation)支援 MBO(Management Buy Out)支援 CVC(Corporate Venture Capital)運営支援 スナイパーサービス(M&A戦略立案投資候補先開拓) 不正調査 相続相続税対策支援 富裕層向け財産サービス 資本政策策定支援 ストックオプション構築算定支援 組織再編プランニング実行支援 |
| Growthix Capital株式会社 |
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基本合意の締結時:手数料の10% 受諾と決済時(クロージング):支払い:残額全て |
アドバイザリー契約の締結 M&A戦略の立案 対象企業へアプローチ 価格の条件交渉 基本合意の締結 買収監査(デューデリジェンス) 売買契約の締結 受諾と決済(クロージング) |
| Byside株式会社 |
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着手金:なし 完全成功報酬型の手数料体系 |
M&Aアドバイザリー(FA業務) M&A仲介事業 |
| M&Aロイヤルアドバイザリー株式会社 |
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着手金:なし 中間報酬:なし 完全成功報酬型 |
M&A仲介事業 M&Aアドバイザリーサービス(譲渡売却) セカンドオピニオンサービス MALAパートナープログラム |
| 株式会社NEWOLD CAPITAL |
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着手金:なし 中間報酬:あり 成功報酬型 |
M&A仲介及びM&Aアドバイザリー事業 経営、プロフェッショナル人材の紹介事業 M&A業務及びM&A関連人材の教育研修事業 |
| ゴエンキャピタル株式会社 |
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着手金:なし 中間報酬:なし 成功報酬型:譲渡価格の5% |
M&Aコンサルティング事業 PMIコンサルティング事業 プライベートエクイティファンドの運営 |
| 株式会社クラリスキャピタル |
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着手金なし 成功報酬のみで200万円から |
M&A仲介アドバイザリー事業 |
| 株式会社INNOVATION LEADERS |
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手数料 0円 中間手数料:報酬の10% 報酬(残りの90%) |
M&A仲介事業 |

