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SFA JOURNAL by ネクストSFA

人事評価における能力評価とは? タイプ別人事評価システムをご紹介

人事評価における能力評価とは? タイプ別人事評価システムをご紹介

【監修】株式会社ジオコード マーケティング責任者
渡辺 友馬

能力評価は、人事評価の評価項目の一つです。従業員一人ひとりが持つ資質や才能などの能力や、能力を生かした業務パフォーマンスを適切に評価すると、従業員の業務適性にあった配属ができたり、業務へのモチベーションアップにつながったりします。

しかし、数字で結果が可視化できる業績とは異なり、能力は目に見えにくいので評価がしにくいでしょう。人事評価で公正な能力評価を行うには、どのようなポイントに気を付ければ良いのでしょうか。

そこで本記事では、能力評価の項目や評価方法、能力評価がもたらすメリットやデメリットなどを解説します。また、人事評価を運営するためのポイントなどにも触れますので、より効果的な人事評価や能力評価の実現のために、ぜひ参考にしてください。

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人事評価における能力評価とは

人事評価における能力評価は、従業員個人が持つ能力を評価する手法です。業績評価や情意評価と並ぶ主要な評価要素の一つで、職務遂行に必要な知識や技能を対象とします。

能力評価の特徴には、従業員の長期的な育成を目的とし、潜在能力を評価対象とすることが挙げられます。この評価プロセスにより、従業員の適性を把握し、適材適所の人材配置や効果的な育成が可能となるでしょう。

業務上の能力とスキルの違いとは

人事評価において、社員の「能力」と「スキル」を区別しておくことは大切です。両者の違いを把握しておくことで、より効果的な人事評価が可能になるでしょう。

  • 能力:

個人が持つ資質や才能を指します。例えば、業務の中で状況を正確に判断して決断を下す、新しいアイデアやか解決策を生み出すなどです。長期的な視点で評価して、じっくりと伸ばしていく必要があります。

  • スキル:

個人が後天的に習得した技術を指します。例えば、プログラミング、プレゼンテーション、語学などのスキルです。短期的に習得や向上ができるので具体的な結果に直結しやすいのが特徴です。

能力評価の項目と主な評価内容

能力評価の項目や評価内容は、企業や職種によってさまざまですが、ここでは個人の能力を評価する基本的な6つの項目を紹介します。

  1. 企画力:課題解決に向けての取り組み方を評価します。業務の課題を見抜き、解決策につなげるアイデアや能力が含まれます。
  1. 実行力:自ら立案・計画したことを最後までやり遂げる能力を評価します。
  1. コミュニケーション力:業務関係者に自分の考えや提案をスムーズに伝える能力を評価します。なお、利害関係者との交渉能力もここに含まれることがあります。
  1. 指導力:部下や後輩の個性を把握し、適切に指導して成長を促す能力を評価します。
  1. 判断力:トラブルやイレギュラー業務に対する正確・迅速な判断力を評価します。
  1. 改善力:業務上の課題に気付き改善する力を評価します。顧客からのクレーム対応能力も含まれます。

これらの項目は、職務に応じて適切に選択され、企業の特性や目標に合わせてカスタマイズされることが一般的です。

人事評価における能力評価以外の基準

人事評価を行う際は、能力評価単独ではなく、他の評価基準と組み合わせることで、より適切で総合的な評価が実現できます。ここでは、人事評価における能力評価以外の基準を3つ紹介します。

業績評価

業績評価とは、企業全体の目標達成度や業務の成果を評価する人事評価基準です。定められた期間中の実績や客観的な数値を用いて行うため、成果が出せていないと評価が低くなってしまいます。なお、能力評価は長期的な視点で行われますが、業績評価は短期的な視点を持っているのが大きな違いです。

情意評価

情意評価とは、従業員の人物像に特化した人事評価基準です。一人ひとりの従業員が持つ職務への姿勢や、勤怠に関する部分を評価します。従業員が持っている能力やスキルの評価と異なり、考え方や人格、やる気などを評価する点が大きく異なっています。

行動評価(コンピテンシー評価)

行動評価はコンピテンシー評価とも呼ばれる人事評価です。成果を出している優秀な従業員の行動特性をモデルに設定し、人事評価の基準にします。一般的にこのモデルは、企業や職種などに応じて変化します。

従業員の行動した結果を評価していくため、能力よりも成果に対する評価を行う点が能力評価との違いです。

能力評価のメリットとは</h2>

人事評価の中で適切な能力評価を行うと、さまざまなメリットがあります。ここでは、企業が能力評価を行う主なメリットを3つ見ていきましょう。

業務適性が分かる

従業員の業務適性を把握でき、業務と能力のミスマッチを防ぎやすくなるのが能力評価のメリットの一つです。

従業員が担当する業務のレベルと能力が合っていないと、仕事で結果を出しにくいでしょう。その結果、従業員がストレスや不満を感じやすくなり、早期退職につながってしまうケースもあります。

人事評価の中で能力評価を行うと、従業員一人ひとりの先天的な業務適性を細かく確認できるので、適材適所の人員配置が可能になり、従業員のモチベーション向上にもつながりやすくなるでしょう。

人材育成につながる

能力評価の結果を長期的な成長やキャリア開発などの人材育成に活かすことができるのも、能力評価のメリットの一つです。

能力評価では、従業員個人が持つどの能力が業務や企業に重視されやすいかが明確になります。そのため、従業員が自分の持つ資質や才能を伸ばして業務に取り組みやすいでしょう。

公正な人事評価だと感じやすい

従業員が「公正な人事評価をされている」と感じやすいのも、能力評価を行うメリットの一つです。

業務の成果や売り上げなどは数字に現れますが、能力評価は個人が本来持つ能力なので目に見えにくいのが特徴です。そのため、処遇が不透明になると、従業員が不満を感じる原因につながってしまいます。

しかし、明確な基準に基づく能力評価を導入できれば、今の能力がどれくらい業務に還元できているか可視化できるため、企業と従業員の間で共通認識を持ちやすくなります。その結果、従業員が評価結果に納得しやすく、公正な人事評価だと感じやすくなるでしょう。

能力評価のデメリットとは

メリットの多い能力評価ですが、その仕組みがきちんと確立できていないと、デメリットが生じる恐れがあります。ここでは、基準が不明慮な能力評価がもたらす2つのデメリットについて解説します。

従業員エンゲージメントの低下が起こる

不明慮な能力評価を導入する主なデメリットの一つ目は、従業員エンゲージメントの低下です。能力評価の評価項目が不明確だと、従業員が評価結果に不信感を持つ原因につながります。その結果、従業員が「自分の能力が認められていない」や「他に自分をより理解してくれる企業があるかもしれない」と思い、離職につながるケースも考えられるでしょう。

年功序列制が影響してしまう

能力評価が不明確な場合、年功序列制の影響を受けやすいというデメリットも生じます。年功序列制は、勤続年数や年齢に応じて賃金が上昇する制度で、高度経済成長期に広く普及しました。

当時は、企業の長期的な人材確保と従業員の生活安定に寄与する利点がありましたが、近年は人件費上昇などを背景に、多くの企業がこの制度を見直し始めています。とはいえ、依然としてその影響が根強く残る企業も少なくありません。

この年功序列制の影響が強い環境では、勤続年数が長い従業員や年配の従業員が優遇される傾向があります。その結果、実際の能力が評価に適切に反映されにくくなり、能力評価本来の意義が失われてしまう恐れがあります。

人事評価で能力評価を効果的に運営するためのポイント

能力評価の公平性を保って人事評価を効果的に運営するためには、具体的なポイントを抑えて対策を行いましょう。ここでは、効果的に人事評価を行うための5つのポイントを解説します。

能力評価シートを活用する

能力評価シートを活用すると、人事評価をより効果的に行えます。能力評価シートは、評価基準になる項目が書かれたシートです。企業や職種、役職によって業務遂行内容や求められる能力に沿った項目を採り入れましょう。

より効果的な能力シートの作り方を知りたい方は、厚生労働省のWebサイトで無料のテンプレートを提供しているため、参考にするのがおすすめです。能力評価シートの評価運用導入に関するマニュアルなどの情報も掲載されているので、必要に応じて活用しましょう(※)。

能力評価シートの項目は客観性の高い評価基準を定め、達成ができた・できないの2択ではなく、段階別にレベル分けをして評価できるようにします。徐々に評価のレベルが上がっていくと、従業員も成長を感じやすくなるでしょう。

また、改善策やアドバイスだけではなく「良かった点」を記入できるようなシートにしておくのもポイントです。どれだけ低い評価であっても、ポジティブな評価があるとモチベーションにつながります。従業員が、今後どのように頑張れば良いかを理解できる能力評価シートを作成するようにしましょう。

※参考:厚生労働省.「職業能力評価基準」.https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/ability_skill/syokunou/index.html,(参照2024-09-11).

明確な評価基準を定める

人事評価をより効果的に運営するためには、能力評価シートの評価基準を明確に定めましょう。

能力評価の評価項目や基準は、企業が求める人材像や具体的な能力などをバランス良く採り入れたものが理想です。評価者によって偏りが出ないように、多角的な面から評価基準を定めるようにしましょう。

また、評価基準を定める際は、従業員目線を忘れないことも大切です。従業員として納得できる能力評価基準か、努力すれば達成できる内容か、などにも着目して精査しましょう。

能力評価制度の導入を従業員に周知する

企業が能力評価制度を新しく導入する際は、従業員へ以下のポイントを周知するのもポイントです。

  • 能力評価を導入する目的
  • 評価項目と評価内容の詳細
  • 評価基準

上司から評価をされるのは、従業員にとってプレッシャーになりかねません。従業員が能力評価の目的を理解していなければ、評価されることに抵抗や不信感を持ってしまう恐れがあります。

そのため、能力評価制度を新しく導入する際は、あらかじめその旨を従業員に周知し、「これは私たちにとってプラスに働く制度だ」ということを理解してもらえるように努めましょう。

評価者の育成を行う

より適切な能力評価を行うためには、評価者の育成もしっかりと行うようにしましょう。

評価者も人間なので、無意識に評価を行ってしまうと心理的な「人事評価エラー」が発生しやすくなります。主な人事評価エラーには、以下のようなものがあります。

  • ハロー効果:

従業員に突出した経歴や能力がある場合に、他の評価項目が影響を受けてしまう心理現象です。光(halo)に目が眩んで見えにくくなる現象からこの名前が付けられています。良い特徴だけでなく、悪い特徴が影響を与えることもあります。

  • 中心化傾向:

どの従業員にも無難で平均的な評価を行ってしまう傾向です。評価者が自分が下す人事評価に自信がない場合や、配慮をしすぎている際に起こりやすくなります。

  • 親近効果:

従業員と評価者の間に、趣味や出身地などの共通点やプライベートでの接点があり、親近感があるので良い評価をしてしまうケースを指します。

  • 逆算化傾向:

評価者が先に総合評価を決めてしまうことで、他の項目の評価を調節してしまう傾向です。昇進が決まっているから全体を通して高い評価にしてしまう、など実際とは異なる評価になります。

評価者が先入観や主観を排除して人事評価を行えるように、評価者への研修をきちんと実施しましょう。

人事評価システムを導入する

人事評価で能力評価を効果的に運営するには、人事評価システムを導入するのもおすすめです。

人事評価システムを導入すると、従業員の能力評価、フィードバックなどの情報をクラウドなどのシステム上で一元管理できるので便利です。また、従業員の目標進捗などの管理もよりスムーズに行えます。

なお、人事評価システムには、さまざまなツールが存在します。システムの特徴だけでなく、導入コストや運用費用なども視野に入れて選ぶようにしましょう。

人事評価システムの4つの主要タイプ

効果的な業務評価を実現する人事評価システムには、主に4種類あります。各タイプには独自の特徴があるため、自社の要望や運用スタイルに最適なものを選択することが重要です。

ここでは、これらの主要な人事評価システムを分類して解説します。

人事評価特化タイプ

人事評価特化タイプは、その名の通り、人事評価業務に焦点を当てたシステムです。このタイプの最大の特徴は、人事評価に関する全プロセスを一つのシステムで完結できる点にあります。

従業員情報の一元管理をはじめ、人事評価シートの作成・配布・回収、さらには目標設定や進捗管理といった基本機能を網羅しています。なお、評価業務に特化しているため、そのインターフェースはシンプルで使いやすく設計されており、多くの場合、直感的な操作が可能です。

人事情報対応タイプ

人事情報対応タイプは、幅広い人事関連機能を備えた総合的なシステムです。このタイプの特徴は、単に従業員の基本情報を管理するだけにとどまらない点にあります。

多くのシステムでは、詳細な人事台帳の作成機能を提供しており、さらに先進的なものになると、BI(Business Intelligence)機能も搭載。この機能により、従業員の基本情報を深く分析し、効果的な人材配置などの戦略的人事判断に活用することが可能となります。

タレントマネジメント対応タイプ

タレントマネジメント対応タイプは、人材の効果的な活用と育成を目指す企業にとって理想的なシステムです。このタイプの特徴は、従業員データの高度な分析機能、詳細な育成計画の管理機能、そして精密な人材配置シミュレーション機能にあります。

これらの機能により、企業は従業員の基本情報と人事評価データを統合的に分析し、各個人の適性や潜在能力を深く理解することができ、その結果、従業員一人ひとりに最適な業務配置や、個々の能力を最大限に引き出すための教育・指導計画を立案することが可能となります。

1on1ミーティング対応タイプ

1on1ミーティング対応タイプは、上司と部下の個別面談を重視する組織向けに設計されたシステムです。このタイプの最大の特徴は、1対1のコミュニケーションを促進し、その効果を最大化するための機能が充実している点にあります。

具体的には、ビデオ会議機能やメッセージ機能などの基本的なコミュニケーションツールに加え、ミーティングの内容を詳細に記録する機能、フィードバックを効果的に共有する機能、さらには面談の日時を適切に通知するリマインド機能などが統合されています。これらの機能により、上司は部下との定期的かつ効果的な1on1ミーティングを容易に実施し、その内容を追跡することが可能です。

人事評価システムを導入して効果的な能力評価を行おう

能力評価とは、従業員が先天的に持つ能力や、能力を生かした業務パフォーマンスを評価し、組織全体の成長に生かしていく人事評価の一部です。能力評価を効果的に行うと、従業員の業務適正に合わせて配属をしたり、人材育成につながったりする効果が期待できます。

また、効率良く会社の人事評価や能力評価を整備・運営するには、人事評価システムの導入がおすすめです。

「どの人事評価システムを使えば良いか分からない」とお悩みの方は、無料トライアルの有無や、システム導入の初期費用、基本使用料なども詳しくまとめてある、以下の記事を参考にして、人事評価システムを比較してみましょう。

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