人事評価アプリとは?メリットや選び方、注意点について解説!

【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介
株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。
人材こそが企業の持続的成長を支える最大の資産である——この認識は今や多くの企業で共有されています。しかし、その人材の価値を最大限に引き出すための「人事評価」のあり方については、いまだ多くの課題が残されています。Excelや紙による従来の評価運用は非効率で、主観や不公平感を招くリスクも高く、従業員のエンゲージメントや定着率にも影響を与えかねません。テレワークや働き方の多様化が進む中、評価制度のデジタル化と可視化は、もはや選択肢ではなく必然です。
本記事では、人事戦略の中核を担う「人事評価アプリ」の導入メリットや選定ポイントを、経営層・人事担当者の皆様に向けて詳しく解説します。
【比較】おすすめの人事評価システム
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サービス名称 | 特長 | 初期費用 | 月額費用 | 無料トライアル |
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ジンジャー人事評価
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要お問い合わせ |
月額利用料×利用者数 ※詳細は要お問い合わせ |
〇 |
MONJU
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無し |
20,000円~ ※年払い(240,000円~)必須 ※社員数に応じて変動 お問い合わせ |
〇 |
人事評価ナビゲーター
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110,000円~ | 5,500円~ お問い合わせ |
〇 |
スマカン |
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要お問い合わせ | 50,000円~ | 〇 |
HRMOSタレントマネジメント |
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要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 〇 |
あしたのクラウドHR |
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要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 〇 |
タレントパレット |
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要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 〇 |
HRBrain |
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要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 〇 |
カオナビ |
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要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 〇 |
sai*reco |
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400,000円 |
220円~ ※1名あたりの目安金額 ※従業員規模100名程度〜 |
〇 |
HITO-Talent |
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要お問い合わせ | 要お問い合わせ | ✖ |
シナジーHR |
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0円 |
200円~ ※基本料金のみ ※1名あたり |
〇 |
評価ポイント |
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要お問い合わせ | 要お問い合わせ | ✖ |
CYDAS PEOPLE |
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要お問い合わせ | 要お問い合わせ | ✖ |
Resily |
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要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 〇 |
この記事の目次はこちら
人事評価アプリとは?
人事評価アプリとは、従業員のパフォーマンスやスキル、目標達成度などを可視化・管理するためのツールです。従来は紙やExcelで行われていた評価業務をデジタル化することで、評価の透明性や公平性を高め、業務効率を大幅に向上させます。多くのアプリでは、目標設定・自己評価・上司評価・フィードバックなどのプロセスを一元管理でき、リアルタイムで進捗確認も可能。人事部門だけでなく、評価を受ける従業員側にもメリットがあり、納得感のある人事制度の運用に寄与します。評価制度の見直しや属人化の排除を目指す企業にとって、導入効果の高いツールと言えるでしょう。
人事評価システムアプリの経営・人事戦略上のメリット
人事評価システムアプリの導入は、人事部門の業務効率化という直接的な効果に加え、企業の経営基盤強化や戦略的人事の実現に貢献する多大なメリットをもたらします。決裁者の皆様にとっても、その投資価値は十分に理解いただけるはずです。
圧倒的な業務効率化とコスト削減
従来、多くの時間と労力を費やしてきた以下の作業が劇的に効率化されます。
- 評価シート作成・配布・回収・督促
- 評価結果の手入力・集計・分析
- 評価進捗管理
これにより、人事担当者や管理職は煩雑な事務作業から解放され、1on1ミーティングの質の向上、人材育成計画の策定、組織開発など、より戦略的で付加価値の高い業務にリソースを集中できます。人件費削減効果に加え、組織全体の生産性向上にも寄与します。
評価の公平性・透明性向上と従業員エンゲージメント強化
システム上で評価基準やプロセスが明確化・共有されるため、評価者による解釈の違いや評価のブラックボックス化を防ぎます。従業員は自身の評価根拠を理解しやすくなり、評価結果への納得感が高まります。公正な評価は、従業員のモチベーション向上、組織への信頼感、エンゲージメント(貢献意欲)の強化に不可欠であり、結果として離職率の低下にも繋がります。これは優秀な人材の獲得・維持が経営課題となる現代において極めて重要なメリットです。
データ駆動型の人材活用・育成(戦略人事の核)
従業員の評価データ、スキル、目標達成度、キャリア志向などの人材データを一元的に蓄積・分析できます。これにより、以下のような戦略人事を客観的なデータに基づいて推進できます。
- ハイパフォーマー分析と育成施策の最適化
- 次世代リーダー候補(サクセッションプラン)の特定と計画的育成
- スキルギャップの可視化と効果的な研修企画
- データに基づいた適材適所の配置・異動 経験や勘だけに頼らない、科学的な人材マネジメントの基盤が構築されます。
目標管理(MBO/OKR)支援と組織目標達成への貢献
MBOやOKRといった目標管理フレームワークの運用を効果的に支援します。会社・部門・個人の目標を連動させ、進捗状況を可視化し、システム上でレビューを行うことで、従業員の組織目標への意識と達成意欲(コミットメント)を高めます。組織全体のベクトルを合わせ、業績向上に貢献します。
コンプライアンス強化とリスク管理
評価プロセスや面談記録などをシステム上に正確に記録・保管することで、労働関連法規の遵守を徹底し、万が一の労務トラブル発生時のリスクを低減します。適切なアクセス権限管理により、情報セキュリティも強化されます。
人事評価システムアプリ選び 5つの重要ステップ
最適な人事評価システムアプリを選定し、導入効果を最大化するためには、慎重かつ計画的なプロセスが不可欠です。ここでは、導入後に後悔しないための具体的な選定ステップを5つご紹介します。人事担当者だけでなく、決裁者の方もぜひご確認ください。
Step 1:導入目的・達成目標(KGI/KPI)の明確化
最重要ステップです。「なぜ導入するのか?」「導入によって何を実現したいのか?」を具体的かつ明確に定義します。「流行っているから」といった曖昧な理由では失敗します。可能な限り定量的な目標(KGI/KPI)を設定しましょう。
- 例: 評価業務工数〇%削減、評価公平性スコア〇%向上、1on1実施率〇%以上、データに基づく研修計画策定など。 これらの目標は、自社の経営課題や人事戦略課題(生産性向上、離職率低減、人材育成強化など)と直結している必要があります。目的が明確であれば、必要な機能の特定や費用対効果の判断が的確になります。
Step 2:自社の評価制度・運用との適合性確認
導入検討中のシステムが、自社の現行または将来の評価制度(MBO, OKR, コンピテンシー評価, 360度評価など)に適合しているかを確認します。
- 確認ポイント:
- 対応制度: 自社制度に対応可能か?
- カスタマイズ性: 評価項目、段階、ウェイトなどを柔軟に設定・変更できるか?
- ワークフロー再現性: 自社の評価プロセスや承認ルートをシステム上で再現できるか?
- 拡張性: 将来の制度変更や組織変更に対応できるか? 「システムに合わせる」のではなく、「自社制度に合わせられるか」が重要です。既存運用からのスムーズな移行が可能か見極めましょう。
Step 3:必須機能の洗い出しと優先順位付け
Step 1の目的に基づき、必要な機能を具体的に洗い出し、優先順位(Must/Want)をつけます。多機能=最適とは限りません。
- 洗い出し方法:
- 後述の「おすすめ重要機能」を参考に、自社目的との関連性を検討。
- 人事部門、管理職、従業員の意見をヒアリング。
- 「必須(Must Have)」と「あれば尚可(Want/Nice to Have)」に分類。 例えば「効率化」が最優先ならワークフロー機能が、「人材育成」なら目標管理やフィードバック支援機能が「必須」となります。必要十分な機能を見極めることがコスト最適化にも繋がります。
Step 4:セキュリティとサポート体制の徹底検証
機密性の高い個人情報を扱うため、セキュリティ対策の堅牢性は最重要確認項目です。
- セキュリティ確認項目:
- データの暗号化(通信・保管)
- アクセス権限管理の詳細度
- 不正アクセス対策、脆弱性対策
- 第三者認証(ISMS/ISO27001、Pマークなど)の取得状況
- データセンターの安全性、バックアップ体制、BCP また、導入から運用定着までを支えるベンダーのサポート体制も重要です。
- サポート体制確認項目:
- 導入支援(初期設定、データ移行など)の内容
- マニュアル、FAQ、問い合わせ対応(手段、時間、質)
- 活用促進支援(セミナーなど)の有無 特にシステム導入に不慣れな場合は、手厚いサポートがあるベンダーが安心です。
Step 5:費用対効果(ROI)とプラン比較
総コスト(TCO)を把握し、それに見合う効果(ROI)が得られるかを試算・比較します。
- コスト確認項目: 初期費用、月額/年額利用料(料金体系:ID課金か機能課金か等)、オプション費用、保守費用など。
- 効果の試算: Step 1の目標達成による効果(人件費削減、生産性向上、採用コスト削減など)を数値化。
- 比較検討: 複数候補の機能、セキュリティ、サポート、コストを総合的に評価。無料トライアルやデモを活用し、実際の使用感を確認。 価格だけで判断せず、「自社の目的達成に最も貢献し、コストパフォーマンスが高いシステムはどれか」という視点で選びましょう。
人事評価システムアプリ おすすめ重要機能
人事評価システムアプリには多様な機能がありますが、ここでは代表的な導入目的である「効率化・標準化」「公平性・納得感向上」「データ活用・戦略人事推進」「利便性向上・社内浸透」の4つの観点から、特に重要となるおすすめ機能とその価値を解説します。自社の優先課題に合わせてご確認ください。
1. 効率化・標準化を加速する機能
煩雑な評価業務から解放され、コア業務に集中するために役立ちます。
- ワークフロー設定機能:
- 価値: 自社独自の評価プロセス(承認ルート含む)をシステム上で定義・自動化。タスク割当、進捗管理、通知が自動で行われ、評価業務の大幅な効率化と標準化を実現。遅延や抜け漏れも防止。
- 評価シート自動作成・配布・回収機能:
- 価値: 評価項目等を設定したテンプレートに基づき、評価シートをオンラインで一括作成・配布・回収・集計。手作業によるミスや工数を削減し、評価者・被評価者双方の負担を軽減。
- リマインダー・通知機能:
- 価値: 締切日や面談依頼などをシステムが自動通知。担当者のリマインド負荷をなくし、評価プロセスの円滑な進行を支援。
2. 公平性・納得感を高める機能
従業員のエンゲージメント向上と評価制度への信頼確保に不可欠です。
- 目標設定・管理(MBO/OKR対応)機能:
- 価値: 組織目標と個人目標を連動させ、設定・共有・進捗管理。目標と評価基準が明確化され、従業員の納得感と組織貢献意識を向上。
- 評価基準(ルーブリック)設定機能:
- 価値: 評価項目ごとに具体的な達成レベルを定義・登録。評価者の主観によるブレを抑制し、評価の公平性を担保。
- フィードバック記録・1on1支援機能:
- 価値: 日々のフィードバックや1on1での対話内容を記録・蓄積。継続的なコミュニケーションと成長支援を促進し、評価への納得感を醸成。
- 360度評価(多面評価)機能:
- 価値: 上司・同僚・部下など多角的な視点からのフィードバックを収集。客観性・公平性を高め、本人の気づきを促進。
3. データ活用・戦略人事を推進する機能
人事データを経営資源として活用し、戦略的な意思決定を支援します。
- データ集計・分析・可視化(ダッシュボード)機能:
- 価値: 評価データを自動集計・分析し、評価傾向や個人の成長度をグラフ等で可視化。データに基づいた課題発見と改善策の検討を迅速化。甘辛調整機能も有用。
- レポート出力機能:
- 価値: 分析結果を用途に応じたフォーマットで簡単に出力。経営報告や部門フィードバック資料作成の工数を削減。
- 人材データベース(タレントプロファイル)機能:
- 価値: 従業員の評価履歴、スキル、経歴などを一元管理。適材適所の配置、サクセッションプラン、人材発掘など、高度なタレントマネジメントの基盤を提供。
- 他システム連携(API連携)機能:
- 価値: 人事給与システム、労務管理システム等とデータ連携。二重入力の手間を省き、データの一貫性を担保。複数システム情報を統合した高度な分析が可能に。
4. 利便性向上・社内浸透を促進する機能
システムのスムーズな導入と積極的な利用を促します。
- 直感的なUI/UX:
- 価値: 誰でも分かりやすく、迷わず操作できるデザインと操作感。システム利用への心理的ハードルを下げ、定着を促進。問い合わせコストも削減。
- モバイルアプリ対応:
- 価値: スマートフォン等から場所を選ばずアクセス可能。利便性を大幅に向上させ、現代の多様な働き方に対応。
- シングルサインオン(SSO)対応:
- 価値: 一度の認証で複数システムにログイン可能。利便性とセキュリティを向上。
人事評価システムアプリを選定する際の注意点
最適な人事評価システムアプリを選定しても、導入プロセスや運用設計を誤ると期待した効果は得られません。ここでは、導入プロジェクトを成功に導くための重要な注意点を5つ挙げます。
導入目的の共有と関係者(特に経営層・IT部門)の巻き込み
システム導入は人事部だけで進めず、「なぜ導入するのか」「何を目指すのか」を経営層、管理職、従業員、IT部門など関係者全員で共有し、理解と協力を得ることが不可欠です。特に経営層のコミットメントはプロジェクト推進の大きな力となります。IT部門とはセキュリティや連携について早期に協議しましょう。関係者を巻き込むことで、導入後の利用促進と定着がスムーズになります。
デモ・トライアルによる徹底的な操作性・適合性検証
資料や説明だけでは実際の使用感は分かりません。候補システムを絞り込んだら、必ずデモや無料トライアルを活用し、人事担当者だけでなく、実際に利用する管理職や従業員代表にも操作してもらいましょう。自社の評価シート再現、ワークフロー設定、レポート出力など、リアルな利用シーンを想定して徹底的に検証することが、導入後のミスマッチを防ぐ鍵です。
ベンダーの信頼性・将来性(実績、安定性、ロードマップ)の確認
システムは長期的に利用するものです。提供ベンダーの事業継続性、安定性、導入実績、サポート評判などを確認しましょう。機能アップデートの頻度や今後の開発計画、法改正への対応方針も重要です。長期的なパートナーとして信頼できるか見極めが必要です。
スモールスタートの検討(リスク低減と効果検証)
全社一斉導入に不安がある場合、特定の部署や機能に限定して導入を開始するスモールスタートも有効です。初期投資や混乱を抑えつつ、効果測定や課題洗い出しを行い、改善しながら段階的に拡大することで、リスクを低減し着実な導入定着を図れます。ただし、最終的な全社展開を見据えた計画が必要です。
導入後の運用体制・ルールの事前設計
システム導入はゴールではありません。誰がシステムを管理するのか、評価基準や運用ルールをどう周知徹底するか、評価者トレーニングはどうするか、問い合わせ窓口はどこかなど、導入後の具体的な運用体制とルールを事前にしっかり設計しておくことが、システムの形骸化を防ぎ、活用を促進する上で極めて重要です。効果測定と運用見直しの仕組みも計画しましょう。
まとめ
本稿では、人事評価システムアプリの戦略的な必要性から、具体的な導入メリット、失敗しないための選定ステップ、目的別の重要機能、そして導入成功のための注意点までを解説しました。人事評価システムアプリは、単なる業務効率化ツールではなく、公正な評価、従業員エンゲージメント向上、データに基づいた人材育成・活用を実現し、企業の持続的成長を支える戦略的な経営基盤です。最適なシステム選定には、導入目的の明確化を起点とし、自社制度との適合性、必須機能の見極め、セキュリティ・サポート体制の確認、費用対効果といった多角的な視点での比較検討が不可欠です。そして、システム導入は始まりに過ぎません。関係者を巻き込み、運用体制を整え、継続的に活用・改善していくことが、その価値を最大化する鍵となります。本記事が、貴社の人事評価改革の一助となれば幸いです。