クラウド型DLPとは?低コストで情報漏洩を防ぐセキュリティ

【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介
株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。
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1. はじめに
情報漏洩は、企業にとって最も深刻なセキュリティリスクの一つです。顧客情報、企業秘密、技術データなどが外部に流出することは、信頼の喪失や法的・財務的な大きな影響を引き起こします。特に、デジタル化の進展と共にクラウドサービスの利用が広がる中で、情報漏洩を防ぐための新たなセキュリティ対策が求められています。
従来のオンプレミス型セキュリティ対策は、企業の内部ネットワークに対する防御を強化するものですが、現在のビジネス環境では、クラウド型セキュリティの方が効果的である場合が増えてきました。そこで注目されているのが、クラウド型DLP(Data Loss Prevention)です。
クラウド型DLPは、企業の機密データや個人情報を保護するために、低コストで効果的な対策を提供します。本記事では、クラウド型DLPの基本的な仕組みから、そのメリット・デメリット、選定時のポイントまで、WEBセキュリティサービスを導入しようとしている管理部門や決裁者向けに分かりやすく解説します。
おすすめの不正侵入検知サービス一覧
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会社名 | サービス名 | 特長 | 費用 | 主なサービス |
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株式会社サイバーセキュリティクラウド
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攻撃遮断くん |
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1サイト月額11,000円~ ※別途、初期導入費用がかかる お問い合わせ |
攻撃検知AIエンジン搭載 サイバー攻撃対策 サイバー保険付帯 |
株式会社AndGo
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Aikido Security |
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ベーシック:52,500円/月 プロ:105,000円/月 カスタム:要お問い合わせ |
Webアプリケーション診断 プラットフォーム診断 クラウド診断 手動脆弱性診断 伴走サポート |
株式会社スリーシェイク
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Securify(セキュリファイ) |
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ASMプラン:お見積り BASICプラン:10万円/月額 STARTERプラン:5万円/月額 Freeプラン:0円/月額 ※契約は年単位 お問い合わせ |
ASM Webアプリケーション診断 Wordpress診断 SaaS診断 |
トレンドマイクロ株式会社 | TippingPoint |
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要お問い合わせ | 要お問い合わせ |
株式会社東計電算 | Total Security Function Service |
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月額600円~/1台 | ウィルス対策機能 マルウェア対策機能 ファイアウォール ヒューリスティック分析 デバイス制御 など |
Broadcom Inc. | Symantec Endpoint Security |
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要お問い合わせ | 脆弱性の修復 デバイス制御 マルウェアの防止 ファイアウォール 分析・調査 など |
エクスジェン・ネットワークス株式会社 | L2Blocker |
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オンプレミス版:25,000円~ クラウド版:月額3,000円~ |
社内端末の管理機能 利用状況の可視化 不正に接続した端末への通知 未登録機器の利用申請 レポート分析 など |
株式会社セキュアソフト | SecureSoft Sniper IPS |
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要お問い合わせ | リアルタイムモニター 統合報告書 システム監査 環境設定 セキュリティ設定 など |
ソフォス株式会社 | Sophos Firewall |
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要お問い合わせ | ディープパケットインスペクション ゼロデイ対策 SD-WAN接続 セグメンテーション機能 レポート機能 など |
株式会社IDCフロンティア | 不正侵入検知/防御サービス |
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要お問い合わせ | 検知レポート 機器監視 設定管理 故障時機器交換 変更監視 など |
ソースネクスト株式会社 | ZERO スーパーセキュリティ |
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4,950円~ |
マルウェア検出 メール検査 ファイアウォール 迷惑メール対策 詐欺対策 など |
フォーティネットジャパン合同会社 | FortiGuard IPS |
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要お問い合わせ | ネットワーク保護 OT保護 リアルタイム展開 IOT保護 保護ライフサイクル など |
NTTスマートコネクト株式会社 | クラウド型UTM |
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月額38,500円~(税込) ※初期費用110,000円(税込) |
ファイアウォール機能 IPS(不正侵入防御)機能 アンチウィルス(アンチマルウェア)機能 アンチスパム機能 Webフィルタリング機能 など |
サクサ株式会社 | サクサのUTM |
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要お問い合わせ | Webフィルタリング機能 アンチウイルス機能 迷惑メールブロック機能 侵入検知・防止機能 |
パロアルトネットワークス株式会社 | PA-SERIES |
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要お問い合わせ | 脅威防御 SD-WAN URLフィルタリング WildFireマルウェア分析 DNSセキュリティ など |
Google LLC | Google Cloud IDS |
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要お問い合わせ | ネットワークベースの脅威検出 トラフィックの公開設定 コンプライアンス目標の支援 脅威警告の優先順位の提供 アプリのマスカレード検出 など |
情報漏洩対策が重要な理由
企業が情報漏洩対策を強化するべき理由は、単に法律に準拠するためだけではありません。顧客や取引先からの信頼、企業ブランドの維持、そして企業の運営そのものに大きな影響を与えるからです。情報漏洩が発生すれば、訴訟リスクや規制違反による罰金、さらには株価下落など、短期的な影響に加え、長期的にも企業価値の低下を引き起こす可能性があります。
また、現在のビジネス環境では、テレワークやBYOD(Bring Your Own Device)による働き方の変化が情報漏洩のリスクを増大させています。これらのリスクに対応するためには、従来のセキュリティ対策だけでは不十分で、クラウド環境を前提としたセキュリティ強化が求められています。
2. クラウド型DLPの基本概念
クラウド型DLPとは、クラウド環境におけるデータ漏洩を防止するためのセキュリティ技術です。企業が所有する機密情報や個人情報をクラウドサービス上で安全に管理し、不正アクセスやデータ流出を未然に防ぐことを目的としています。
従来のオンプレミス型DLPは、企業内部のネットワークを監視し、外部への不正なデータ送信を防ぐものでした。しかし、クラウド型DLPは、インターネット経由でデータのやり取りを監視し、クラウドサービス上で発生する情報漏洩を防ぐことができます。
クラウド型DLPの主な機能
クラウド型DLPには、情報漏洩を防止するための様々な機能が備わっています。主な機能は以下の通りです:
- データ監視
データの送受信を監視し、設定したセキュリティポリシーに基づいて情報漏洩を防ぐためのルールを適用します。例えば、機密データを社外に送信しようとする際に警告やブロックを行うことができます。 - アクセス制御
特定のユーザーやグループに対してアクセス権限を管理します。これにより、機密情報にアクセスできる人を制限し、不正アクセスを防ぐことができます。 - コンテンツの検出
個人情報や機密情報を自動的に検出し、その情報が不適切に利用されないように制御します。例えば、特定の種類のデータ(顧客の個人情報や企業の機密文書など)を監視し、不正に送信されることを防ぎます。
クラウド型DLPは、これらの機能を組み合わせることにより、企業の情報を多層的に保護します。さらに、クラウド環境で運用されるため、特にリモートワークや多拠点勤務の普及に適したソリューションとなります。
3. クラウド型DLPとオンプレミス型DLPの違い
クラウド型DLPとオンプレミス型DLPには、いくつかの重要な違いがあります。これらの違いを理解し、自社のニーズに合った選択をすることが重要です。
導入コスト
クラウド型DLPは、オンプレミス型に比べて初期導入コストが低く、特に中小企業や予算に限りがある企業にとっては、手軽に導入できる大きなメリットです。クラウド型は、物理的なサーバーの設置や保守作業が不要で、サブスクリプション型で提供されるため、初期投資を抑えることができます。
一方で、オンプレミス型DLPは、専用のハードウェアやソフトウェアのライセンス購入、サーバーの設置・管理などのコストが発生します。これらの初期投資は高額になりがちで、運用にも時間と労力が必要です。
運用コスト
クラウド型DLPは、サービス提供者がインフラの管理やソフトウェアのアップデートを行うため、企業側の運用負担が軽減されます。定期的なパッチ適用や障害対応、バックアップなどの作業はクラウドベンダーが代行するため、IT部門のリソースを他の業務に振り向けることができます。
オンプレミス型は、サーバーの管理や更新作業、セキュリティパッチの適用など、企業側の負担が大きく、専任のIT担当者を配置する必要がある場合もあります。
スケーラビリティ
クラウド型DLPは、企業の成長に応じてスケールアップや機能追加が容易です。新しい拠点を追加したり、業務が拡大した場合でも、必要なリソースを即座に追加できます。これに対して、オンプレミス型は、スケールアップには新たなハードウェアの購入や設定が必要となり、柔軟に対応することが難しい場合があります。
4. クラウド型DLPの導入メリット
クラウド型DLPの導入には多くのメリットがありますが、特にコスト効率と運用負荷軽減の観点から、企業にとって非常に魅力的な選択肢となります。特に、限られたリソースで最大の効果を求める管理部門や決裁者にとって、その利点を理解することは重要です。
4.1 低コストでの導入と運用
クラウド型DLPの最大の魅力の一つは、その低コストでの導入と運用が可能である点です。オンプレミス型DLPでは、専用のサーバーやソフトウェアライセンス、インフラの設置が必要となり、高額な初期投資が必要です。しかし、クラウド型DLPはサブスクリプションベースで提供され、ユーザー数やデータ量に応じて料金が決まるため、初期投資を大幅に削減できます。さらに、クラウドベンダーがインフラを管理するため、サーバーの維持費や運用コストが発生しません。
運用コストも抑えられ、特に企業の成長に合わせたスケーラビリティが強みです。必要なリソースやライセンスを柔軟に追加でき、予算の範囲内でセキュリティ対策を強化することができます。
4.2 リモートワーク環境への適応
近年、テレワークやBYOD(Bring Your Own Device)が普及し、企業のセキュリティ環境は大きく変化しました。従業員がオフィス外で業務を行う機会が増える中、クラウド型DLPはその特性を活かして、どこからでも情報のセキュリティを一貫して守ることができます。
クラウド型DLPは、インターネット接続があればどこからでも利用可能で、社内外問わず、全てのエンドポイントに対して同じセキュリティポリシーを適用することができます。これにより、テレワーク中や出張先でも、企業の情報資産を守るための対策が徹底されます。
4.3 高い拡張性と柔軟性
クラウド型DLPのもう一つの大きなメリットは、その拡張性と柔軟性です。企業の規模や業務の変化に応じて、必要なリソースや機能を迅速に追加できる点が非常に重要です。オンプレミス型の場合、新たな拠点や事業規模の拡大に合わせて、サーバーの増設やインフラの追加が必要になり、時間とコストがかかります。
一方、クラウド型DLPは、サーバーやインフラの制約を受けることなく、サービス提供者が持つリソースを活用して柔軟にスケールアップできます。これにより、企業は成長に合わせたセキュリティ強化をスムーズに行え、無駄なコストを削減できます。
4.4 コンパクトで迅速な導入
クラウド型DLPは、導入の速さも大きな魅力です。オンプレミス型では、サーバーの設置やインフラの構築に時間がかかり、その間にセキュリティリスクが発生する可能性があります。しかし、クラウド型DLPは契約後すぐに利用を開始でき、短期間でセキュリティ対策を実施できます。
管理コンソールはWebブラウザからアクセス可能で、直感的なインターフェースを備えているため、専門知識が少ない担当者でも容易に運用できます。さらに、ソフトウェアのアップデートやセキュリティパッチの適用もクラウドベンダーが自動的に行うため、常に最新のセキュリティ対策が提供されます。
5. クラウド型DLPの導入における課題と注意点
クラウド型DLPは多くのメリットを提供しますが、導入時にはいくつかの課題や注意点も存在します。これらを理解し、対策を講じることで、より効果的にクラウド型DLPを運用できるようになります。
5.1 法規制への適応
クラウド型DLPは、国内外の規制に適応する必要があります。特に、個人情報保護法やGDPR(EU一般データ保護規則)、CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)など、企業が遵守すべき法律は日々厳格化されています。クラウド型DLPを選定する際には、これらの規制に適合する機能が備わっているかを確認することが重要です。
選定時には、DLPソリューションがどのようにコンプライアンスをサポートするかを理解し、企業の法的リスクを回避できるかどうかを評価する必要があります。
5.2 サードパーティサービスとの連携
クラウド型DLPは、他のクラウドサービスや社内システムとの連携が必要になる場合があります。例えば、クラウドストレージサービスやメールサービス、CRMシステムなどとの連携において、セキュリティを維持しながらスムーズにデータのやり取りができるかを事前に確認することが大切です。
サードパーティ製品との連携に問題が生じると、セキュリティの効果が制限される可能性があるため、DLPソリューションの互換性をしっかりと確認しておくことが必要です。
5.3 ユーザー教育と社内文化
DLPソリューションの効果を最大限に発揮するためには、従業員への教育が不可欠です。DLPがどのように機能するのか、どのように運用されるのかを理解し、従業員が適切に使用できるようにすることが重要です。特に、社内文化として情報セキュリティを重視し、従業員全体でセキュリティ意識を高めることが求められます。
6. クラウド型DLP導入後の運用と管理
クラウド型DLPは、導入後の運用と管理が重要です。導入時には一定の初期設定やポリシーの設計が必要ですが、運用を始めてからも継続的な監視と改善が求められます。以下では、クラウド型DLP導入後の運用における重要なポイントを解説します。
6.1 監視とアラート機能の活用
クラウド型DLPは、リアルタイムでデータの漏洩リスクを監視する機能を提供します。これにより、問題が発生する前に迅速に対応できます。アラート機能を設定して、特定の条件が満たされた場合に通知を受けることで、リスクを未然に防ぐことができます。
6.2 継続的なポリシーの見直し
DLPソリューションのポリシーは、常に進化するセキュリティ環境に対応するために見直しが必要です。新たなセキュリティ脅威や業務変更に応じて、ポリシーを定期的に更新し、最適化することが重要です。
6.3 利用状況の分析とレポート
クラウド型DLPは、利用状況に関する詳細なレポートを生成する機能を提供します。このデータを活用して、情報の取扱いやアクセス権限について見直しを行い、より強力なセキュリティ対策を構築できます。
7. まとめと今後の展望
クラウド型DLPは、現代のビジネス環境における情報漏洩リスクを効果的に管理するための強力なツールです。テレワークやBYOD(Bring Your Own Device)が一般化し、クラウドサービスが広く利用される現在、従来のオンプレミス型セキュリティでは十分に対応しきれない部分があります。クラウド型DLPは、このような新しい働き方や技術的な課題に柔軟に対応でき、企業が抱えるセキュリティリスクを低コストで抑える手段となります。
クラウド型DLPの主なメリットは、低コストでの導入と運用、リモートワーク環境での適応性、そしてスケーラビリティの高さです。これらの利点により、企業はセキュリティ対策を迅速に強化し、ビジネス環境の変化に対応することができます。特に、クラウド型DLPは、従業員がどこからでもアクセス可能なため、どのような働き方をしている企業でも、安心して機密情報を守ることができます。
一方で、導入時にはネットワーク環境への依存やカスタマイズ性の制限、クラウドサービス提供者への依存など、いくつかの課題もあります。しかし、これらの課題を事前に認識し、選定時にしっかりと比較検討することで、クラウド型DLPを最大限に活用することが可能です。
今後、クラウド型DLPはさらに多機能化・高度化していくことが予想されます。AIや機械学習を活用した予測的なデータ保護技術が進化し、より精度高くリスクを検出・管理できるようになるでしょう。企業にとって、情報セキュリティはもはや単なるコストではなく、企業価値を守るための投資と捉えるべき時代です。
本記事で紹介した情報を基に、クラウド型DLPの導入を検討し、セキュリティ強化と業務効率化を実現するための一歩を踏み出してください。適切なセキュリティ対策を講じることで、安心してビジネスを進め、企業の成長を支える基盤を築くことができます。