福利厚生を充実させる方法8選!|導入メリット・人気制度・おすすめサービスを徹底解説
【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介
株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。
「優秀な人材を確保したい」「従業員の定着率を上げたい」多くの企業が抱えるこの課題、実は「福利厚生の充実」が解決の鍵を握っているかもしれません。単なる給与以外の報酬と捉えられがちな福利厚生ですが、現代の働き手は、自身のライフプランや価値観に合った制度を重視する傾向にあります。貴社は従業員のニーズに応え、彼らが本当に「働き続けたい」と思える環境を提供できているでしょうか。本記事では、福利厚生を充実させる具体的な方法から、人気の制度、導入メリット、おすすめのサービスまでを網羅的に解説します。
【比較表】福利厚生のおすすめサービス
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| サービス名 | 特長 | 費用 | 福利厚生の内容 |
|---|---|---|---|
snaq.me office(スナックミーオフィス)
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初期費用:0円 月額費用:0円 送料・備品費:0円 商品代金:下記から選択 食べる分だけ都度決済「企業負担ゼロ」パターン 企業と従業員が一部負担する「一部負担」パターン 福利厚生費として企業が一括購入する「買取」パターン |
置き菓子やドリンクの提供 おやつ ドリンク コーヒー スイーツパン グラノーラ おつまみ プロテインバー ヴィーガン そうざい など |
オフィスコンビニTUKTUK
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要お問い合わせ ※予算に合わせて選べる3つのプランを用意 ※要望に応じたカスタマイズも可能 |
・お弁当 ・パスタ ・チャーハン ・お惣菜 ・お菓子 ・ドリンク ・おにぎり ・パン ・ヨーグルト ・豆腐バー ・アイスクリームなどの提供 ※取り扱い商品は300種類以上 |
BeeNii
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初期費用:0円 月額料金:0円 ギフト代:有料 ※月次でまとめて請求 |
記念日に合わせて自動でギフトを贈る「ギフトスケジューリングサービス」 |
Office Stand By You
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要お問い合わせ ※毎月届くスープの個数によって異なる ※64個・96個・128個から選択が可能 |
常温保存可能なスープの提供 |
| Perk |
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要お問い合わせ | さまざまなジャンルのサービスを特別価格で利用できる「割引き特典」とコンビニやカフェで利用できるチケットに交換できる「ポイント制度」を提供 |
| Resort Worx |
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要お問い合わせ |
旅行に特化した福利厚生サービス リゾートエリアの会員施設やホテルの宿泊を30~80%割引で利用可能 |
| OFFICE DE YASAI |
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要お問い合わせ | サラダやカットフルーツ、お惣菜など約140品目をオフィスに設置した冷蔵庫に常設、食事補助により従業員の健康をサポート |
| オフィスおかん |
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要お問い合わせ | 管理栄養士が監修した主食・主菜・副菜がオフィスに設置した冷蔵庫または自動販売機に届く置き型社食サービス |
| チケットレストラン |
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要お問い合わせ | 全国25万店以上の加盟飲食店で利用できる電子カード型の食事補助サービス |
| WELBOX |
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要お問い合わせ | 介護・育児・自己啓発・健康増進・旅行・エンタメなど幅広いラインナップから、企業の課題に応じてサービスを選べる |
| ライフサポート倶楽部 |
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要お問い合わせ | 宿泊・レジャーといった余暇支援から介護・育児のサポートまで幅広いメニューから自由にサービスを利用できる |
| ベネフィット・ステーション |
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Netflix得々プラン:1,850円(月額/1名) Netflixプラン:1,350円(月額/1名) 学トクプラン:1,200円(月額/1名) 得々プラン:1,000円(月額/1名) |
グルメやレジャー、ショッピングからeラーニング、育児・介護・引っ越しなどのライフイベントに関わるものまで、140万以上のサービスを勇退価格で利用できる |
| 福利厚生倶楽部 |
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要お問い合わせ | 余暇支援・日常支援・健康支援・学習支援の4軸を中心に、約12万・350万種以上のサービスを提供 |
| オフィスグリコ |
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要お問い合わせ | 職場にお菓子やドリンクなどの商品を届ける設置型サービス |
| TsugiTsugi |
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65,000円~/月 ※平日/土日、宿泊日数によって料金は異なります |
シティホテルからリゾートホテル、温泉旅館、グランピン施設など、定額で全国の宿泊施設に泊まれるサービス |
| ごちクルNow |
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初期費用:0円 月額費用:0円 配送料:0円 ※システム利用料はお弁当代に含まれます |
利用者とお弁当屋さんをつなぐ決裁システム。会社請求払いにすることで、食事補助の福利厚生として利用可能 |
| chocoZAP法人会員 |
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要お問い合わせ | chocoZAPを初めとするRIZAPの8つのブランドを特典的に利用できる、法人向け福利厚生サービス |
| yui365 |
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要お問い合わせ | 従業員の好みに合わせた世界に一つのオリジナルデジタルカタログを作成するサービス |
| セラヴィリゾート泉郷 |
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要お問い合わせ | 宿泊施設が運営する余暇支援の福利厚生サービス |
| カフェテリアHQ |
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要お問い合わせ | 数問のアンケートからAIが適したアイテムを個別提案する福利厚生サービス |
この記事の目次はこちら
1. そもそも福利厚生が「充実している」とは?
多くの企業が福利厚生の充実に力を入れていますが、そもそも「充実している」とはどのような状態を指すのでしょうか。単に制度の数が多ければ良いというわけではありません。重要なのは、その内容が従業員の多様なニーズに応えられているか、そして企業の目指す方向性と一致しているかという点です。従業員のエンゲージメントを高め、企業文化を醸成するような戦略的な福利厚生こそが、真に「充実している」状態と言えるでしょう。この章では、従業員視点での「充実」の定義と、その鍵を握る「法定外福利厚生」の基本について詳しく掘り下げていきます。
1-1. 従業員が本当に求める「充実した福利厚生」の定義
従業員が福利厚生を「充実している」と感じるかどうかは、個々のライフステージや価値観に大きく左右されます。例えば、育児中の従業員にとっては育児支援制度が重要ですし、自己成長を重視する若手社員はスキルアップ支援を求めるでしょう。そのため、画一的な制度を提供するだけでは、全従業員の満足度を高めることは困難です。真に充実した福利厚生とは、従業員の多様なニーズを的確に捉え、選択肢の幅広さを提供できる制度です。アンケート調査などを通じて従業員の声に耳を傾け、自社の従業員構成に合った柔軟な制度設計を行うことが、満足度の高い福利厚生を実現するための第一歩となります。
1-2. 充実度を分ける「法定外福利厚生」の基本
福利厚生には、法律で義務付けられている「法定福利厚生」と、企業が任意で設ける「法定外福利厚生」の2種類があります。社会保険などが含まれる法定福利厚生は、どの企業にも共通して提供されるため、他社との差別化にはつながりません。企業の魅力や従業員への配慮が表れるのが、この「法定外福利厚生」です。住宅手当や食事補助、特別休暇など、企業が独自に設計できる制度であり、ここをいかに充実させるかが従業員満足度を大きく左右します。企業の理念や従業員のニーズを反映させた独自の制度は、企業のブランディングにも繋がり、採用活動においても大きなアピールポイントとなるのです。
2. 福利厚生の充実が企業にもたらす3つのメリット
福利厚生を充実させることは、単に従業員への利益還元に留まらず、企業経営そのものに多大な好影響をもたらします。従業員の生活を支え、働きやすい環境を整備することは、彼らの仕事に対するモチベーションや生産性の向上に直結します。また、魅力的な制度は企業の採用力を高め、優秀な人材の獲得と定着を促進する重要な要素となります。まさに「人」を資本と考える現代の企業経営において、福利厚生は不可欠な戦略的投資と言えるでしょう。ここでは、福利厚生の充実がもたらす具体的な3つのメリットについて、詳しく解説していきます。
2-1. 従業員満足度とエンゲージメントの向上
充実した福利厚生は、従業員満足度(ES)とエンゲージメントを向上させる直接的な要因となります。企業が従業員の生活や健康、キャリアを大切にしているというメッセージが伝わることで、従業員は自社への信頼と愛着を深めます。特に、食事補助や健康支援といった日常的に利用できる制度は、従業員の満足度に大きく貢献します。満足度が高まることで、仕事へのモチベーションが向上し、自社の目標達成に自発的に貢献しようとするエンゲージメントの高い組織風土が醸成されます。結果として、組織全体の生産性向上にも繋がり、企業の持続的な成長を支える強固な基盤となるのです。
2-2. 採用競争力の強化と人材の定着
今日の労働市場において、福利厚生の充実は採用競争力を大きく左右する要素です。特に優秀な人材ほど、給与だけでなく働きがいや働きやすさを重視する傾向にあります。住宅手当や育児支援、自己啓発支援など、魅力的な福利厚生制度を整備している企業は、求職者にとって魅力的に映り、応募者数の増加や質の向上が期待できます。また、既存の従業員にとっても、充実した制度は離職率の低下に繋がります。自身のライフプランに合わせて働き続けられる環境が整っていることは、長期的なキャリア形成を促し、貴重な人材の流出を防ぐ上で極めて重要な役割を果たします。
2-3. 企業のイメージアップと生産性向上
福利厚生の充実は、社内外に対する企業のイメージアップにも大きく貢献します。「健康経営優良法人」の認定など、従業員の健康や働きやすさに配慮している企業として社会的に評価されることは、企業のブランド価値を高めます。これは、顧客や取引先からの信頼獲得にも繋がるでしょう。さらに、従業員の心身の健康をサポートする制度は、業務のパフォーマンス向上に直結します。例えば、健康診断の補助やフィットネスクラブの利用割引は、従業員の健康維持・増進を促し、欠勤率の低下や集中力の向上をもたらします。結果的に、組織全体の生産性が高まり、企業の業績向上という形で大きなリターンが期待できるのです。
3. 【目的別】福利厚生を充実させる人気の制度8選
自社の福利厚生を充実させたいと考えても、具体的にどのような制度を導入すれば良いか迷う担当者の方は多いでしょう。重要なのは、企業の課題や目指す組織像に合わせて、目的別に制度を検討することです。例えば、「従業員の健康をサポートしたい」「コミュニケーションを活性化させたい」「スキルアップを支援したい」など、目的に応じて最適な制度は異なります。ここでは、従業員から特に人気が高く、多くの企業で導入されている福利厚生制度を目的別に分類し、その内容や導入メリットを具体的に解説します。自社のニーズに合った制度を見つけるための参考にしてください。
3-1. 【食事】社員食堂、食事補助サービス
食事に関する福利厚生は、全従業員が利用しやすく、満足度を直接的に高めることができるため非常に人気があります。代表的なものに社員食堂の設置がありますが、スペースやコストの課題から導入が難しい企業も少なくありません。そこで注目されているのが、食事補助サービスです。専用のICカードやアプリを使って、提携先のコンビニや飲食店での食事代を補助する仕組みで、手軽に導入できるのが魅力です。栄養バランスの取れた食事を促すことは、従業員の健康増進、いわゆる健康経営にも繋がり、午後の業務パフォーマンス向上も期待できます。日々の生活に密着した支援は、従業員のエンゲージメント向上に大きく貢献します。
3-2. 【住宅】家賃補助、社宅制度
住宅関連の福利厚生は、従業員の生活基盤を支える上で非常に重要な役割を果たします。特に、家賃補助や住宅手当は、毎月の固定費である住居費の負担を軽減するため、従業員から高い人気を誇ります。可処分所得が実質的に増えるため、金銭的な満足度に直結しやすいのが特徴です。また、企業が物件を借り上げて提供する社宅制度も有効な選択肢です。相場より安い家賃で提供することで、特に若手社員や転勤者の経済的負担を大幅に軽減し、人材の定着を促進する効果が期待できます。これらの制度は、企業の財産形成支援の一環としても位置づけられ、従業員の長期的なライフプランを支えるという企業の姿勢を示すことができます。
3-3. 【健康】人間ドック補助、スポーツジム割引
従業員の健康は、企業の生産性を支える最も重要な資本です。そのため、健康支援に関する福利厚生の充実は、健康経営の観点からも極めて重要視されています。法定の健康診断に加えて、人間ドックの費用を補助する制度は、病気の早期発見・早期治療を促し、従業員の長期的な健康維持に貢献します。また、スポーツジムの利用料金割引や、社内にトレーニングスペースを設けるといった取り組みも人気です。運動習慣の定着をサポートすることで、生活習慣病の予防やメンタルヘルスの向上に繋がり、従業員が心身ともに健康な状態で業務に取り組める環境を整備することができます。
3-4. 【休暇】リフレッシュ休暇、アニバーサリー休暇
法定の年次有給休暇とは別に、企業が独自に設定する特別休暇制度は、ワークライフバランスの実現に大きく貢献し、従業員の満足度を高めます。勤続年数に応じて長期休暇を付与するリフレッシュ休暇は、心身の疲労回復や自己啓発の機会を提供し、仕事への新たなモチベーションを喚起します。また、従業員本人や家族の誕生日に休暇を取得できるアニバーサリー休暇は、「従業員を大切にする」という企業の姿勢を示す象徴的な制度です。これらの休暇制度は、従業員がプライベートの時間を充実させることを奨励し、仕事と生活の調和を図ることで、結果的に組織全体の生産性向上や離職率の低下に繋がります。
3-5. 【育児・介護】時短勤務、ベビーシッター補助
育児や介護と仕事の両立支援は、多様な人材が活躍し続けるために不可欠な福利厚生です。法定の制度を上回る柔軟な時短勤務制度や、リモートワークの選択肢を提供することは、従業員がライフステージの変化に対応しながらキャリアを継続するための強力なサポートとなります。また、ベビーシitterや病児保育サービスの利用補助は、突発的な事態にも対応しやすく、特に子育て世代の従業員から高いニーズがあります。これらの制度を充実させることは、優秀な女性従業員の定着や管理職登用を促進する上でも重要です。介護に関しても同様の支援を提供することで、全従業員が安心して長く働ける環境を構築できます。
3-6. 【自己啓発】資格取得支援、書籍購入補助
従業員の成長は企業の成長に直結します。そのため、スキルアップや自己啓発を支援する福利厚生は、非常に価値の高い投資と言えます。業務に関連する資格の取得費用や、受験料を会社が負担する資格取得支援制度は、従業員の専門性向上を直接的に後押しします。また、ビジネス書や専門書の購入費用を補助する制度も、手軽に導入でき、従業員の学習意欲を高める効果があります。これらの制度を通じて、従業員は自身の市場価値を高めることができ、企業は組織全体の知識レベルや技術力を向上させることができます。従業員の学びたいという意欲に応えることは、エンゲージメントの向上にも繋がるでしょう。
3-7. 【財産形成】財形貯蓄、確定拠出年金
従業員の経済的な安定と将来設計をサポートすることも、福利厚生の重要な役割の一つです。財形貯蓄制度は、給与からの天引きで計画的に貯蓄ができる仕組みであり、着実な資産形成を支援します。特に、住宅取得や教育資金など、明確な目的を持つ従業員にとって魅力的な制度です。また、企業型確定拠出年金(企業型DC)は、企業が掛金を拠出し、従業員自身が運用を行う年金制度です。従業員の老後の資産形成を企業が支援するものであり、税制上の優遇措置もあるため、従業員・企業双方にメリットがあります。これらの財産形成支援制度は、従業員の生活設計を長期的な視点で支え、企業への定着率を高める効果が期待できます。
3-8. 【その他】人気のユニークな福利厚生
近年、法定外福利厚生は多様化しており、企業の個性を反映したユニークな制度が増えています。例えば、従業員のプライベートな活動を支援する「推し活休暇」や、ペットとの時間を大切にするための「ペット慶弔休暇」などが話題を集めています。また、オフィス環境の充実も重要で、高品質なコーヒーが楽しめるコーヒーサーバーの設置や、栄養バランスを考えた社食の提供も人気です。これらのユニークな制度は、従業員の多様な価値観に応えるだけでなく、企業のカルチャーを社内外に発信する強力なメッセージとなります。他社との差別化を図り、採用活動における魅力的なアピールポイントとしても機能するでしょう。
4. 福利厚生が充実している企業の特徴とユニークな導入事例
従業員から「福利厚生が充実している」と評価される企業には、いくつかの共通した特徴が見られます。それは単に多くの制度を導入しているだけでなく、従業員の視点に立った制度設計と、それを効果的に運用する仕組みが整っている点です。また、他社の成功事例から学ぶことは、自社の福利厚生をより良くするための大きなヒントになります。この章では、従業員満足度の高い企業が持つ特徴を分析するとともに、メディアでも話題になるようなユニークな福利厚生の導入事例を紹介します。自社に合った制度を見つけるための考え方についても触れていきます。
4-1. 従業員から「充実している」と評価される企業の特徴
従業員から福利厚生が充実していると評価される企業は、制度の「公平性」と「透明性」を重視しています。全従業員がライフステージや職種に関わらず、何らかの恩恵を受けられるように制度が設計されており、利用条件や申請方法が明確に周知されています。また、従業員のニーズを定期的に調査し、その結果を制度に反映させる仕組みを持っていることも特徴です。経営層が福利厚生の重要性を理解し、それを戦略的な投資と位置づけているため、継続的な見直しと改善が行われます。結果として、従業員は「会社が自分たちのことを考えてくれている」と感じ、エンゲージメントが高まるのです。
4-2. 【事例】すぐに真似したい!ユニークな福利厚生
他社との差別化を図るため、多くの企業がユニークな福利厚生を導入しています。例えば、あるIT企業では、社員の健康増進を目的に、サイクリングやランニングの距離に応じてポイントを付与し、健康グッズと交換できる制度を設けています。また、ある食品メーカーでは、自社製品を割引価格で購入できる社内販売制度に加え、家族に自社製品を贈る「親孝行支援制度」が人気です。これらの事例に共通するのは、企業の事業内容や文化と関連性があり、従業員の共感を呼ぶストーリーがある点です。単に奇抜なだけでなく、自社の理念を体現するような制度こそが、従業員の心に響き、効果を発揮します。
4-3. 自社に合った福利厚生を見つけるヒント
自社に最適な福利厚生を見つけるためには、まず現状の課題を明確にすることが重要です。「離職率が高い」「従業員の健康意識が低い」といった課題に対して、福利厚生がどのように貢献できるかを考えます。次に、アンケートやヒアリングを通じて、従業員がどのような制度を求めているのか、生の声を収集します。その際、年代や部署、役職など、属性ごとのニーズの違いを把握することがポイントです。そして、収集したニーズと企業の予算、導入・運用の手間を総合的に比較検討し、優先順位を決定します。最初から完璧を目指すのではなく、まずはスモールスタートで導入し、従業員の反応を見ながら改善していく姿勢が成功の鍵となります。
5. 実際に福利厚生を充実させるための5ステップ
福利厚生の充実化は、思いつきで制度を導入するだけでは成功しません。企業の理念や従業員のニーズに基づいた、戦略的なアプローチが不可欠です。目的を明確にし、計画的に導入プロセスを進めることで、従業員満足度と企業成長の両立を実現できます。ここでは、実際に福利厚生制度を導入し、効果的に運用していくための具体的な5つのステップを解説します。現状分析から効果測定まで、各段階で押さえるべきポイントを理解し、自社の福利厚生改革を一歩ずつ着実に進めていきましょう。
5-1. ① 従業員のニーズを正確に把握する
福利厚生を充実させる最初のステップは、従業員が何を求めているかを正確に把握することです。経営層や人事担当者の思い込みで制度を導入しても、利用されなければ意味がありません。全従業員を対象としたアンケート調査や、年代・部署別のグループインタビューなどを実施し、具体的なニーズを収集しましょう。その際、「住宅」「健康」「育児」といったカテゴリーごとに希望をヒアリングすると、潜在的な要望が見えやすくなります。従業員構成(年齢、性別、家族構成など)のデータを分析し、どのような層にどのような支援が必要かを客観的に把握することも、効果的な制度設計の基礎となります。
5-2. ② 導入の目的と予算を明確化する
従業員のニーズを把握したら、次に福利厚生を導入する「目的」を明確にします。例えば、「若手社員の定着率向上」「女性管理職の育成支援」「全社の健康意識の向上」など、具体的な目標を設定します。この目的が、後の制度選定や効果測定の基準となります。目的が定まったら、それに合わせて予算を確保します。導入時の初期費用だけでなく、月々の運用コストや管理にかかる人件費まで含めて、現実的な予算計画を立てることが重要です。費用対効果を意識し、企業の経営状況に見合った範囲で、最もインパクトの大きい制度から検討していくことが成功のポイントです。
5-3. ③ 制度を設計し、サービスを選定する
目的と予算が明確になったら、具体的な制度の設計に入ります。自社で独自に制度を運用するのか、あるいは外部のアウトソーシングサービスを利用するのかを決定します。アウトソーシングサービスには、豊富なメニューから選べるパッケージプランや、従業員が好きなサービスを選べるカフェテリアプランなど、様々な形態があります。複数のサービスを比較検討し、自社の目的や従業員のニーズ、予算に最も合ったものを選定しましょう。サービスの選定にあたっては、提供されるメニューの魅力だけでなく、導入後のサポート体制や管理画面の使いやすさなども重要な判断基準となります。
5-4. ④ 社内へ周知し、利用を促進する
素晴らしい福利厚生制度を導入しても、従業員に知られていなければ利用されません。制度の導入後は、社内ポータルやメール、社内報などを活用し、全従業員に対して繰り返し周知することが不可欠です。その際、単に制度の概要を伝えるだけでなく、導入の背景にある企業の想いや、制度を利用することで従業員にどのようなメリットがあるのかを丁寧に説明しましょう。具体的な利用方法や申請手順を分かりやすくまとめたマニュアルを作成したり、説明会を実施したりすることも有効です。利用率を定期的にモニタリングし、利用が少ない部署には個別に働きかけるなど、積極的な利用促進策を講じましょう。
5-5. ⑤ 定期的な効果測定と見直しを行う
福利厚生制度は、導入して終わりではありません。導入した制度が、当初設定した目的の達成に貢献しているかを定期的に評価する「効果測定」が重要です。制度の利用率や従業員満足度調査の結果、離職率の変化などを指標として、その効果を客観的に分析します。従業員から制度に関するフィードバックを収集する仕組みを設けることも有効です。効果測定の結果や従業員の声に基づき、必要に応じて制度内容の見直しや改善を行います。社会情勢や従業員のニーズの変化に合わせ、福利厚生を常にアップデートしていく姿勢が、持続的に「充実している」と評価される企業であり続けるための鍵となります。
6. 福利厚生の充実におすすめのアウトソーシングサービス3選
自社だけで多様な福利厚生制度を企画・運用するには、多大な手間とコストがかかります。特に人事・総務部門のリソースが限られている企業にとって、福利厚生のアウトソーシングサービスは非常に有効な選択肢です。専門のサービスを利用することで、豊富なメニューを低コストで導入できるだけでなく、煩雑な管理業務からも解放されます。ここでは、福利厚生の充実を目指す企業におすすめのアウトソーシングサービスの代表的な3つのタイプを紹介します。それぞれの特徴を理解し、自社の課題解決に最も適したサービスを見つけましょう。
6-1. パッケージプランで手軽に充実させる
パッケージプランは、福利厚生代行会社が提供する様々なサービスを、定額制で利用できるプランです。旅行、レジャー、グルメ、自己啓発、育児・介護支援など、数万から数十万点にも及ぶ豊富なメニューがパッケージ化されており、導入するだけで一気に福利厚生を充実させることができます。企業側は月額費用を支払うだけで済むため、制度を一つひとつ探して契約する手間が省け、コスト管理も容易です。特に、これから福利厚生を本格的に整備したいと考えている中小企業や、多くの従業員に公平なサービスを提供したい企業にとって、非常にコストパフォーマンスの高い選択肢と言えるでしょう。
6-2. カフェテリアプランで満足度を高める
カフェテリアプランは、企業が従業員一人ひとりに対して一定のポイント(補助金)を付与し、従業員はそのポイントの範囲内で、会社が用意したメニューの中から好きなものを自由に選んで利用できる制度です。従業員が自身のニーズに合わせてサービスを選択できるため、画一的な制度に比べて満足度が格段に高まるのが最大のメリットです。育児支援を重視する従業員、自己啓発に力を入れたい従業員など、多様な価値観に応えることができます。企業にとっては、年間の補助費用の上限を管理しやすく、予算コントロールが容易であるという利点もあります。
6-3. 目的特化型サービスで課題を解決する
企業の特定の課題解決に特化したアウトソーシングサービスも増えています。例えば、「食事補助」に特化したサービス、「健康支援(ヘルスケア)」に特化したサービス、「社宅管理」に特化したサービスなどです。全般的なメニューを揃えるパッケージプランとは異なり、特定の分野で専門性の高いサービスを受けられるのが特徴です。「従業員の健康増進を最優先したい」「転勤者の住宅手配の負担を軽減したい」といった明確な目的がある場合に非常に有効です。自社の課題がはっきりしている場合は、こうした目的特化型のサービスを導入することで、より効果的に課題解決を図ることができます。
7. 福利厚生を充実させる上での注意点
従業員満足度を高め、企業の成長を促進する福利厚生ですが、制度を導入・運用する際にはいくつかの注意点があります。特に、税務上のルールや従業員間の公平性への配慮は、後々のトラブルを避けるために不可欠です。これらのポイントを見落としてしまうと、せっかくの制度が意図した効果を発揮しないばかりか、かえって従業員の不満を招くことにもなりかねません。ここでは、福利厚生を充実させる上で、人事・総務担当者が必ず押さえておくべき2つの重要な注意点について詳しく解説します。
7-1. 課税・非課税になるルールの違い
福利厚生費として企業が支出した費用は、原則として経費(損金)として扱われますが、従業員側で給与として課税対象になるかならないかのルールを正しく理解しておく必要があります。国税庁が定める要件を満たせば、従業員の給与所得とはならず非課税として扱われますが、この要件を満たさない場合は給与と見なされ、所得税の課税対象となります。例えば、食事補助では「従業員が費用の半分以上を負担」し「企業の補助額が月額3,500円(税抜)以下」であることなどが非課税の要件です。こうしたルールを遵守しないと、後から追徴課税が発生する可能性もあるため、専門家にも相談しながら慎重に制度設計を行うことが重要です。
7-2. 全従業員が公平に利用できる制度設計
福利厚生制度を設計する上で最も重要なことの一つが、全従業員に対して公平な機会を提供することです。「特定の役職や部署の従業員しか利用できない」「都市部の従業員は恩恵を受けやすいが、地方の従業員は利用しにくい」といった不公平感は、従業員の不満やモチベーション低下に直結します。正社員だけでなく、契約社員やパートタイマーといった多様な雇用形態の従業員にも配慮した制度設計が求められます。全従業員が何らかの形で利用できるような多様なメニューを用意したり、居住地に関わらず利用できるオンラインサービスを導入したりするなど、公平性を担保するための工夫が不可欠です。
8. まとめ
本記事では、企業の福利厚生を充実させるための具体的な方法やメリット、人気の制度について網羅的に解説しました。福利厚生の充実は、単に従業員の生活を支援するだけでなく、従業員満足度やエンゲージメントを高め、採用競争力の強化や人材の定着に繋がる、極めて重要な経営戦略です。成功の鍵は、自社の課題と従業員の多様なニーズを正確に把握し、それに応える制度を計画的に導入・運用していくことにあります。今回ご紹介した人気の制度や導入ステップ、アウトソーシングサービスの活用法を参考に、ぜひ自社の福利厚生の見直しに着手してみてください。従業員一人ひとりが「この会社で働き続けたい」と思える環境を整えることが、企業の持続的な成長の礎となるでしょう。
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