従業員が「あると嬉しい」と感じる福利厚生12選！　生産性や採用力を高める制度とは？

従業員満足度の高い福利厚生は生産性を向上させる他、離職の防止や採用力の強化にもつながります。また一口に福利厚生といっても、近年では健康促進や休暇制度、食事補助や住宅手当など多様なニーズに合わせたものが増えています。

そこで本記事では、従業員が「あると嬉しい」と感じる12の福利厚生をご紹介。従業員に喜ばれる福利厚生の特徴や導入のメリットもお伝えするので、企業担当者の方はぜひ参考にしてください。

※本記事の情報は2025年10月時点の情報です

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あると嬉しい福利厚生12選

ここからは従業員が「あると嬉しい」と感じる12の福利厚生をご紹介します。

1. 法定外の健康診断

法定福利厚生で義務付けられている健康診断の他に、人間ドックやメタボチェックなどを企業負担で受診できる福利厚生制度は、多くの従業員から支持されています。これらは本来、個人負担での受診が一般的なため、福利厚生として補助があると従業員にとって大きなメリットになるでしょう。

また健康維持は業務のパフォーマンスにも直結するため、従業員の生産性向上や欠勤リスクの軽減にもつながります。企業にとっても「従業員の健康を重視する姿勢」を示すことができる制度といえます。

2. 特別休暇

特別休暇とは、法定で定められた有給休暇とは別に企業が独自に設ける休暇制度のことです。代表的なものには、以下のような休暇があります。

• バースデー休暇
• リフレッシュ休暇
• アニバーサリー休暇
• 生理休暇
• 子どもの看護休暇
• ボランティア休暇

なお、生理休暇は法定休暇として企業に付与義務がありますが、休暇分を賃金として付与するかどうかは各企業に委ねられます（※）。福利厚生で生理休暇を有給にすることで、女性がより働きやすい環境づくりにつながるでしょう。

またバースデー休暇やリフレッシュ休暇、ボランティア休暇といったユニークで従業員が取得しやすい特別休暇は、企業文化を象徴する制度にもなりブランディングにも効果的です。

※参考：厚生労働省.「働く女性と生理休暇について」.https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001150877.pdf ,（2023-09-28）.

3. 住宅手当（家賃補助・社宅制度など）

住宅手当は、従業員の住まいに関する費用を補助する制度です。生活に直結するため、福利厚生の中でも従業員に喜ばれやすいでしょう。一口に住宅手当といってもさまざまな種類があります。主な住宅手当は以下の通りです。

• 家賃補助：企業が従業員の賃貸住宅の家賃を一部負担
• 社宅制度：企業が従業員の住宅を用意し、低コストで貸与
• 住宅ローン補助：企業が従業員の住宅ローンの返済を一部補助
• 引っ越し手当：従業員が転勤する際の引っ越し費用を補助

導入に当たっては、賃貸・持ち家など住居形態による不公平が生まれないように注意が必要です。従業員全員が恩恵を受けられる仕組みを整えることで、より公平で満足度の高い制度になります。

4. 冠婚葬祭の慶弔金

冠婚葬祭は、従業員やその家族にとって人生の節目といえます。そうしたタイミングで慶弔金を支給することで、従業員の人生に寄り添う姿勢を示せるでしょう。

主な慶弔金は以下の通りです。

• 結婚祝い金：従業員本人や従業員の家族の結婚に際して支給する
• 出産祝い金：従業員本人や従業員の配偶者が出産する際に支給する
• 弔慰金：従業員本人の死亡に際して支給したり、従業員家族が死亡した際に支給したりする
• 傷病見舞金：従業員本人が病気やけがで療養する際に支給する
• 災害見舞金：台風や火事などの災害に遭った場合に支給対象となる

金額の大小にかかわらず、こうした制度があること自体が従業員の心の支えにつながります。最近では子どもの入学祝いやペットの弔慰金など、ライフスタイルに合わせた柔軟な制度を導入する企業も増えています。

5. 食事補助

食事補助は、従業員の健康と生活の両面を支える福利厚生です。昼食代の一部を補助したり、社員食堂や設置型の社食サービスを導入したりするなど、形態はさまざまです。主な社食サービスは以下の通りです。

• 設置型：オフィスに食料品をストックした冷蔵庫や冷凍庫、ラックなどを設置するタイプの社食サービス
• お弁当型：指定した時間にオフィスにお弁当が配達されるタイプや、オフィスでお弁当が販売されるタイプの社食サービス
• 提供型：オフィスの一部のスペースを活用して、決まった時間に食事が提供されるタイプの社食サービス
• 外食補助型（食費チケット型）：レストランやコンビニエンスストアなどで利用できる電子チケットやお金をチャージしたICカードが配布される社食サービス

特に社員食堂を設けにくい中小企業では、設置型やお弁当型、外食補助型の社食サービスが人気です。業務の合間に手軽に栄養バランスの取れた食事を取れる環境を整えることで、従業員のリフレッシュや集中力の維持にもつながります。日常的に利用されやすい制度として、満足度の高い福利厚生の一つです。

6. 財形貯蓄

財形貯蓄は、企業と国が協力して従業員の資産形成を支援する福利厚生制度です。給与やボーナスから毎月一定額を天引きして自動的に積み立てていく仕組みのため、従業員が計画的に貯蓄をしやすい点が特長です。

財形貯蓄には、以下の3種類があります。

• 一般財形貯蓄：資金の用途を自由に決められる
• 財形住宅貯蓄：マイホーム購入やリフォームのための貯蓄ができる
• 財形年金貯蓄：老後資金として積み立てられる

金銭管理が苦手な従業員でも、無理なく貯蓄を継続できる制度として人気があります。

7. 資格取得・スキルアップ支援

資格取得やスキルアップを支援する制度は、従業員の成長意欲を高めるとともに、企業全体の生産性向上にも寄与します。受験料や研修費用の一部、または全額を補助する形で運用する企業が多いです。

このような制度を設けることで、従業員が自発的に学び続ける環境を整えられます。学びを通じて専門性を高めた従業員は幅広い業務ができるようになり、会社に新たな価値をもたらしてくれるかもしれません。モチベーションの向上にもつながります。

8. レジャー・旅行の優待

レジャー・旅行の優待は、従業員の休日を充実させるための福利厚生です。特定のレジャー施設や宿泊施設などを割引料金で利用できるようになります。

こうした制度は、従業員のリフレッシュやストレス軽減に効果的です。また従業員本人だけではなく家族も利用できるケースが多く、家庭との時間を大切にできる点も喜ばれます。オン・オフの切り替えを促進し、働きやすい環境づくりに貢献する福利厚生です。

9. 自己啓発支援

自己啓発支援は、従業員が自ら学び成長することを後押しする制度です。外部セミナーへの参加費や書籍購入費の補助、社内勉強会の開催など、学びの機会を広く提供します。

この制度を通じて、従業員は新しい知識やスキルを身に付け、自身のキャリア形成を主体的に進められます。結果として、成長意欲の高い人材を育成できる環境づくりを整えられるでしょう。

10. 社内親睦会の補助

社内親睦会の補助は、従業員同士の交流を促進し、組織としての一体感を高める福利厚生です。懇親会やランチミーティングなどの費用を一部負担する形で実施されるケースが多いです。

職場以外の場でコミュニケーションを取ることで、業務上の連携が円滑になり、チーム全体のパフォーマンス向上につながります。特に部署間の交流が活発になると社内の雰囲気も良好になり、従業員満足度の向上が期待できます。

11. 通勤手当

通勤手当は、従業員の自宅から職場までの通勤にかかる費用を、企業が全額または一部負担する制度です。多くの企業で導入されており、厚生労働省の調査では2019年11月時点で92.3%の企業が通勤手当を支給しています（※）。

通勤にかかる交通費の支給はもちろん、駐車場代や駐輪場代も補助対象とすることで、より幅広い従業員のニーズに応えられるでしょう。

※参考：厚生労働省.「令和2年就労条件総合調査の概況」.https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/20/dl/gaikyou.pdf ,（2020-10-30）.

12. フィットネスクラブ・ジムの利用補助

フィットネスクラブやジムの利用補助は、従業員の健康維持を目的とした福利厚生です。運動不足の解消やストレスの軽減に役立ち、心身ともに健やかな状態で働ける環境づくりを支援します。

スポーツジムの法人契約や利用補助券の配布など、導入形態はさまざまです。仕事終わりや休日に気軽に利用できる環境を整えることで、従業員のモチベーション向上や生産性アップにもつながります。

従業員満足度が高い福利厚生の特徴

従業員満足度が高い福利厚生には、いくつかの特徴があります。ここからは従業員が「あると嬉しい」と感じる福利厚生の特徴をご紹介します。

女性が利用しやすい

内閣府の調査によると、近年は出産を理由に退職する女性が減少傾向にあるものの、依然として約23％の女性が出産を機に職場を離れています（※）。出産や育児を経ても長く働き続けられるよう、企業は制度や職場環境を整えることが重要です。

女性が利用しやすい福利厚生の代表的な制度には、以下のようなものがあります。

• 育児・介護休暇
• 短時間勤務制度
• 不妊治療補助金
• 子どもの看護休暇
• 社内託児所や提携保育施設の設置

なお、女性だけではなく男性も利用できる制度として設計することで、より公平な職場環境を実現できます。

※参考：内閣府男女共同参画局.「男女共同参画白書 令和7年版 全体版」.https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r07/zentai/pdf/r07_06.pdf ,（参照2025-10-27）.

多様な価値観や働き方に合っている

性別や年齢、家族構成、ライフステージに関係なく、誰もが利用できる福利厚生を設けることが大切です。近年は、在宅勤務手当や副業支援制度など、多様な働き方に対応する取り組みが増えています。

画一的な制度ではなく、従業員一人ひとりの価値観や生活スタイルに合わせた柔軟な制度を整えることで働きやすさが高まり、従業員の定着率の向上にもつながります。

従業員の業務効率化・ストレス軽減につながる

従業員が「あると嬉しい」と感じる福利厚生の特徴として、業務効率化・ストレス軽減につながる制度である点が挙げられます。例えば、リモートワーク環境の整備や特別休暇、スキルアップ支援などが代表的です。

また従業員一人ひとりの働きやすさを尊重する取り組みは、企業への信頼を高める要素にもなります。結果として、離職率の防止や組織全体の活性化を図れるでしょう。

従業員満足度の高い福利厚生を導入するメリット

従業員満足度の高い福利厚生を導入する、主なメリットをご紹介します。

従業員の生産性が向上する

福利厚生を充実させることで、先述した通り従業員のモチベーションや集中力が高まり、生産性の向上につながります。例えばスキルアップ支援や特別休暇などは、学びと休息のバランスを取ることで従業員のパフォーマンスを高められます。

また職場環境が整うことで仕事への満足度も向上し、自発的に課題解決へ取り組む従業員が増えるかもしれません。結果として、企業全体の成果向上につながる可能性があります。

採用時の差別化につながる

福利厚生は、採用活動における企業のブランディングの一つになります。求職者は給与や仕事内容だけではなく、福利厚生の内容を確認します。従業員の生活や働く環境を支える柔軟な制度がある企業は、他社との差別化ができるでしょう。

特に働きやすさを重視する若年層にとって、福利厚生は「企業の価値観を示す指標」の一つです。制度の充実は、優秀な人材の採用・定着にもつながります。

企業のイメージアップにつながる

福利厚生が充実している企業は、従業員を大切にしているという印象を与えます。福利厚生を通じて健康経営や働き方改革などの取り組みを積極的に行うことで企業のイメージアップにつながり、社会的にも信頼されやすくなるでしょう。

節税効果がある

福利厚生にかかる費用は条件を満たせば経費として計上できるため、法人税の節税につながります。福利厚生費を損金に算入することで、企業の利益を圧縮し税負担を軽減可能です。

また全従業員を対象とした妥当な内容・金額であれば、従業員側にも非課税のメリットが生まれます。例えば、住宅手当や食事補助などは、条件を満たせば社会保険料や住民税、所得税の負担が増えません。

まとめ

福利厚生は従業員の満足度を高めるだけではなく、企業の生産性や採用力の強化にも直結する重要な制度です。健康や生活、キャリアといった多様な側面を支援する制度を整えることで、従業員一人ひとりが長く働ける環境を実現できます。

自社に合った福利厚生を選ぶ際は、従業員の声を取り入れながら柔軟に制度設計を行うことが大切です。人気の高い制度の詳細を把握した上で、自社の目的や方向性に合うものを検討しましょう。

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