社員旅行の費用を福利厚生費にする5大要件とは?税務調査で否認されない経費計上ガイド

【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介
株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。
この記事の目次はこちら
はじめに
日々の業務に勤しむ従業員への慰労と、組織の一体感醸成を目的として、社員旅行の実施を検討される経営者様・管理部責任者様は少なくありません。しかし、その企画段階で必ず直面するのが「社員旅行の費用は、どこまで経費として認められるのか?」という税務上の課題です。
「全額を福利厚生費として計上したいが、税務調査で否認されないか不安だ」 「どのようなルールを守れば、給与として課税されずに済むのか知りたい」 「過去に問題ないと聞いていたが、最新の基準ではどうなっているのか」
このような疑問や不安を抱えたままでは、安心して社員旅行を企画することはできません。社員旅行の費用は、一定の要件を満たせば「福利厚生費」として損金算入が認められますが、一つでも要件から外れると、従業員への「給与」と見なされ、源泉徴収義務が発生するだけでなく、追徴課税という大きなリスクを負うことになります。
この記事では、国税庁の見解に基づき、社員旅行の費用を福利厚生費として正しく計上するための「5つの明確な要件」を徹底的に解説します。さらに、具体的な会計処理や導入プロセス、判断に迷いやすいケーススタディを通じて、税務リスクを限りなくゼロに近づけるための知識を提供します。この記事を最後までお読みいただくことで、税務調査にも自信を持って対応できる、適切な社員旅行の企画・実行が可能になります。
【比較表】福利厚生のおすすめサービス
scroll →
サービス名 | 特長 | 費用 | 福利厚生の内容 |
---|---|---|---|
snaq.me office(スナックミーオフィス)
![]() |
|
初期費用:0円 月額費用:0円 送料・備品費:0円 商品代金:下記から選択 食べる分だけ都度決済「企業負担ゼロ」パターン 企業と従業員が一部負担する「一部負担」パターン 福利厚生費として企業が一括購入する「買取」パターン |
置き菓子やドリンクの提供 おやつ ドリンク コーヒー スイーツパン グラノーラ おつまみ プロテインバー ヴィーガン そうざい など |
TUKTUK
![]() |
|
要お問い合わせ ※福利厚生向けの従業員割引プランあり ※定価の25%オフ、50%オフにできるプランの他、要望に合わせたカスタマイズも対応 |
お弁当や軽食、ドリンクなどの提供 ※取り扱い商品は300種類以上 |
SANU 2nd Home for Business
![]() |
|
初期費用:0円 月額料金:9万円~(年間宿泊日数30泊~) 宿泊時の費用:宿泊費0円、清掃費3,300円、週末料金(土曜・日曜・祝前日)5,500円/室 ※ハイシーズン料金なし |
SANU 2nd Homeのシェア別荘(保養所)の利用 |
BeeNii
![]() |
|
初期費用:0円 月額料金:0円 ギフト代:有料 ※月次でまとめて請求 |
記念日に合わせて自動でギフトを贈る「ギフトスケジューリングサービス」 |
GALLEIDO
![]() |
|
電動歯ブラシ本体無料 <スタッフ自宅への個別配送> 替え歯ブラシ1本350円(税込) <会社への一括配送> 替え歯ブラシ1本308円(税込) |
電動歯ブラシ本体無料+選べる替え歯ブラシ(スタンダード/極細/フラット/子供用) |
Perk |
|
要問い合わせ | ビジネススキルの研鑚・プライベートの充実など社員の様々なニーズにフィットする1,000以上のサービスを提供 |
Resort Worx |
|
要問い合わせ | トラベル体験、リゾートワークの支援 |
OFFICE DE YASAI |
|
要問い合わせ |
置き型の社食サービス オフィスでやさい オフィスでごはん 健康指導・支援 |
SANU 2nd Home for Business |
|
・初期費用:0円 ・年間泊数 30泊 / 90,000円(/月)~ ・清掃費(1室1滞在) 3,300円 |
保養所の利用サービス |
オフィスおかん |
|
要お問い合わせ |
置き型の社食サービス おかず 副菜 汁物 ご飯・パン など |
チケットレストラン |
|
要お問い合わせ | ランチが実質半額になるチケットサービス |
WELBOX |
|
要お問い合わせ | 旅行、健康増進、介護、育児、自己開発、エンターテインメントなどの商品・サービスをパッケージで提供 |
ライフサポート倶楽部 |
|
要お問い合わせ | 宿泊・レジャー、介護、育児などの商品・サービスをパッケージで提供 |
ベネフィット・ステーション |
|
Netflix得々プラン:1,850円(月額/1名) Netflixプラン:1,350円(月額/1名) 学トクプラン:1,200円(月額/1名) 得々プラン:1,000円(月額/1名) |
グルメ、ショッピング、学習コンテンツ、育児、介護、引っ越しなどの商品・サービスをパッケージで提供 |
福利厚生倶楽部 |
|
要お問い合わせ | 余暇支援、育児、介護、学習などの商品・サービスをパッケージで提供 |
オフィスグリコ |
|
要お問い合わせ | グリコが提供するおかし、ドリンク、アイスの提供 |
1. なぜ社員旅行が「福利厚生費」になるのか?3つの重要メリット
社員旅行の費用計上ルールを学ぶ前に、まず「なぜ福利厚生費として計上することが、企業と従業員の双方にとって重要なのか」という根本的なメリットを再確認しておきましょう。この点を理解することが、適切な制度設計への第一歩となります。
会計上、企業が従業員のために支出する費用は、大きく「福利厚生費」と「給与手当」に分けられます。給与手当は、労働の対価として支払われるものであり、従業員にとっては所得税・住民税の課税対象となり、企業にとっては社会保険料の負担対象となります。一方、福利厚生費は、全従業員に公平に提供される福祉目的の費用であり、一定の要件下では、従業員は課税されず、企業側は法人税の計算上、損金として算入できます。
この違いを踏まえた上で、社員旅行を福利厚生費として計上するメリットは、以下の3つの視点から整理できます。
企業側の直接的なメリット:法人税の節税効果
費用が福利厚生費として認められれば、その全額を損金(経費)として計上できます。損金が増えれば、その分だけ企業の課税所得が減少し、結果として法人税の負担を軽減することができます。これは決裁者にとって非常に分かりやすいメリットと言えるでしょう。
従業員側のメリット:実質的な手取りの増加
もし社員旅行の費用が給与として課税された場合、例えば10万円の旅行であれば、その10万円が給与に上乗せされたと見なされ、従業員は所得税や住民税を追加で支払う必要があります。しかし、福利厚生費として認められれば、従業員は税負担なく旅行に参加できます。これは、従業員にとって実質的な手取り額が増えることと同じ効果を持ち、満足度向上に直結します。
経営的なメリット:組織エンゲージメントの向上
社員旅行は、普段の職場とは異なる環境でコミュニケーションを図る絶好の機会です。部署や役職を超えた交流は、相互理解を深め、組織の一体感を醸成します。風通しの良い職場環境は、従業員のエンゲージメントを高め、生産性の向上や離職率の低下にも繋がります。福利厚生費として計上することは、こうした組織力強化への投資を、税務上のメリットを享受しながら実行できることを意味します。
このように、社員旅行を福利厚生費として正しく計上することは、単なる経費処理の問題ではなく、節税、従業員満足度、組織力強化という複数のメリットを同時に実現するための、極めて重要な経営判断なのです。
2. 【要件1】旅行期間は4泊5日以内であること
社員旅行を福利厚生費として計上するための5つの要件のうち、最も明確で基本的なルールが「旅行期間」に関するものです。国税庁は、福利厚生として認められる旅行の期間を「4泊5日以内」と定めています。
この基準は、社会通念上、慰安旅行として妥当な範囲を示すためのものです。もし旅行期間がこれよりも長くなる場合、例えば1週間や10日間の旅行となると、それは単なる慰安の範囲を超えた「経済的利益の供与」、すなわち給与としての性質が強いと判断される可能性が高まります。
ここで実務上の疑問となるのが、海外旅行の場合の扱いです。特に時差のある国への旅行では、移動だけで多くの時間を要します。この点について、国税庁の見解では「目的地での滞在日数」を基準に判断します。つまり、日本と目的地の往復にかかる機中泊の日数は、この「4泊5日」のカウントには含まれません。
例えば、金曜の夜に日本を出発し、機中泊を経て土曜の朝に現地に到着。土、日、月、火と現地で4泊し、水曜の朝に現地を出発。木曜の朝に日本に帰国するというスケジュールの場合、現地での滞在は4泊5日であるため、この条件をクリアしていると判断されます。仮に全体の行程が6泊7日であっても、福利厚生費として認められる可能性は十分にあります。
ただし、注意すべきは、このルールは絶対的なものではなく、他の条件との総合判断の中で評価されるという点です。仮に4泊5日以内であっても、その内容が観光ではなく、ほぼ自由行動であったり、参加者が役員のみであったりした場合は、福利厚生費として認められない可能性があります。
まずは、この「4泊5日以内」という明確な基準を、社員旅行の企画を立てる際の絶対的な基本ルールとして念頭に置いてください。この日数を明らかに超えるような長期の旅行は、福利厚生費としての計上が困難になるため、計画段階での見直しが必要となります。この基準を守ることが、税務リスクを回避するための第一歩です。
3. 【要件2】参加人数が全従業員の50%以上であること
次に重要な要件が「参加率」です。社員旅行が特定の従業員だけでなく、全従業員を対象とした福利厚生施策であることを示すために、「全従業員(役員を除く)の50%以上が参加していること」が求められます。
この「50%以上」という基準は、その旅行が会社全体のための公平なイベントであり、一部の人間だけを優遇するためのものではない、という客観的な証拠となります。もし参加率が著しく低い場合、税務当局からは「特定の仲の良いグループのための私的な旅行に、会社が費用を負担したのではないか」と見なされ、給与課税の対象とされるリスクが高まります。
ここでポイントとなるのが、計算の母数となる「全従業員」の定義です。原則として、正社員だけでなく、契約社員、パートタイマー、アルバイトなど、企業に雇用されている全ての従業員が母数に含まれます。ただし、経営的な立場にある役員は、福利厚生を受ける側ではなく提供する側と見なされるため、この計算からは除外するのが一般的です。
実務上、判断に迷うのが支社や工場、店舗ごとに行う社員旅行の扱いです。この場合でも、原則として会社全体で50%以上の参加率を確保することが望ましいとされています。しかし、企業規模が大きく、全社一斉の実施が物理的に困難な場合もあるでしょう。そうしたケースでは、「各事業所ごとで参加率が50%を超えている」など、合理的な理由と公平性が担保されていれば、福利厚生費として認められる可能性はあります。ただし、特定の成績優秀な事業所だけを対象とするような旅行は、報奨的な意味合いが強くなり、給与と見なされるため注意が必要です。
企画段階で、できるだけ多くの従業員が参加できるよう、日程調整や行き先の選定に配慮することが重要です。アンケートを実施して従業員の希望を聞くのも良い方法です。そして、旅行の案内は必ず全従業員に対して行い、参加の機会が均等に与えられていることを明確に記録として残しておくことも、万が一の税務調査に備える上で有効な対策となります。この50%という参加率の基準は、福利厚生の「公平性」を担保するための生命線であると認識してください。
4. 【要件3】企業負担額が社会通念上、高額でないこと
5つの要件の中で、最も解釈に幅があり、判断が難しいのが「企業が負担する金額」に関するルールです。国税庁は、福利厚生費として認められるためには、その費用が「社会通念上、相当な金額」でなければならないとしています。
この「社会通念上」という言葉は非常に曖昧ですが、過去の判例や実務上の慣行から、従業員1人あたりの会社負担額が10万円前後であれば、一般的に妥当な範囲内と見なされることが多いです。ただし、これはあくまで目安であり、企業の規模や業績、旅行の内容によっても判断は変わります。例えば、海外旅行で豪華なホテルに宿泊し、費用が30万円、40万円となった場合、それは慰安の範囲を超えた過剰な経済的利益の供与と見なされ、給与として課税される可能性が極めて高くなります。
会社負担額を計算する際には、旅行会社に支払うツアー代金だけでなく、現地での食事代や交通費など、会社が負担する全ての費用を含めて算出する必要があります。逆に従業員から一部自己負担額を徴収する場合、その金額を差し引いた純粋な会社負担額で判断します。
適切な予算を設定するためには、まず旅行の目的を明確にし、それに見合ったプランを立てることが重要です。豪華さを追求するのではなく、従業員のリフレッシュやコミュニケーション促進という本来の目的に立ち返り、費用対効果を考える必要があります。
また、会社負担額が妥当であると主張するためには、その根拠を明確にしておくことが望ましいです。複数の旅行会社から見積もりを取り、一般的な相場から大きく逸脱していないことを示せるようにしておく、といった準備も有効です。
この金額基準は、税務調査で最も争点になりやすいポイントの一つです。10万円という目安を意識しつつも、「なぜこの金額が妥当なのか」を合理的に説明できる予算設定を心掛けることが、税務リスクを管理する上で非常に重要となります。決裁者としては、単に費用を承認するだけでなく、その金額が社会通念上妥当な範囲に収まっているかという視点を常に持つことが求められます。
5. 【要件4&5】目的と公平性の担保(慰安目的・不参加者への現金支給なし)
社員旅行の費用を福利厚生費として計上するためには、その「目的」と「公平性」が厳しく問われます。これは5つの要件の中でも特に本質的な部分であり、密接に関連しています。
要件4:旅行の主たる目的が「従業員の慰安」であること
福利厚生は、労働の対価ではなく、従業員の福祉向上を目的とするものです。したがって、社員旅行の目的は、慰安やレクリエーションでなければなりません。もし旅行の目的が、業務に関する研修、会議、あるいは取引先の接待である場合、その費用は福利厚生費ではなく、それぞれ「研修費」「会議費」「接待交際費」といった別の勘定科目で処理すべきです。研修と慰安が混在する旅行の場合は、その実態に応じて費用を合理的に按分するか、主たる目的がどちらであるかを明確にする必要があります。旅程表や議事録などで活動内容を記録し、客観的な証拠を残すことが重要です。
要件5:不参加者に対して「現金を支給しない」こと
これは「公平性」を担保するための極めて重要なルールです。福利厚生は、全従業員に均等な「機会」を提供するものであり、金銭の給付を目的とするものではありません。もし不参加者に対して「旅行費用の代わり」として現金を支給した場合、その現金は名目に関わらず、実質的に労働の対価の一部、すなわち「給与」であると税務上判断されます。
給与と見なされると、企業は源泉徴収義務を負い、従業員も所得税・住民税の課税対象となります。これは「留守番手当」などの名目であっても同様です。また、換金性の高い商品券やギフトカードの支給も、現金支給と同等と見なされる可能性が非常に高いため避けるべきです。
不参加者への不公平感を解消するためには、社員旅行を単体のイベントとして捉えるのではなく、企業全体の福利厚生体系の中で考える視点が有効です。例えば、カフェテリアプランのような選択型福利厚生制度があれば、旅行に参加しない従業員は、その分のリソースを別のメニュー(自己啓発や育児支援など)に利用できるため、公平感を保ちやすくなります。
この2つの要件は、社員旅行が「全従業員のための公平な慰安イベント」であるという本質を示すためのものです。この本質から外れると、福利厚生費としての計上は認められないと認識してください。
6. 【実践編】勘定科目・仕訳とコスト管理のポイント
社員旅行を福利厚生費として計上する際の、具体的な会計処理とコスト管理について、管理部門が押さえるべき実務ポイントを解説します。
勘定科目と仕訳の基本
社員旅行の費用が福利厚生費の要件を満たす場合、その費用は「福利厚生費」の勘定科目で処理します。
- 基本的な仕訳例: (借方)福利厚生費 1,000,000円 / (貸方)現金預金 1,000,000円
- 研修を併設する場合の按分: 旅行に研修プログラムが含まれる場合、その実態に応じて費用を合理的に按分します。例えば、研修時間や講師費用などを「研修費」として、残りのレクリエーション費用を「福利厚生費」として計上します。 (借方)研修費 400,000円 / (貸方)現金預金 1,000,000円 (借方)福利厚生費 600,000円 /
コスト管理と予算最適化のポイント
予算超過や無駄なコスト発生を防ぎ、費用対効果を高めるための手法です。
- 費用見込モデルの作成:単純な「参加人数×単価」だけでなく、早期申込割引や団体割引、キャンセル料の発生条件などを加味した、精度の高い費用シミュレーションを行います。
- 上限設定と参加率のリアルタイム監視:あらかじめ参加人数の上限を設定し、申込状況をリアルタイムで把握できる仕組みを整えます。これにより、確定人数に応じた柔軟な予約調整が可能になります。
- 費用配分の最適化:過去の旅行のアンケート結果や利用データを分析し、満足度の低かった項目(例:特定の食事)の予算を削り、需要の高い項目(例:宿泊施設のグレードアップや体験アクティビティ)に予算を再配分します。
- 予算実績管理の徹底:旅費交通費、宿泊費、食事代、レクリエーション費用などを科目別に細かく管理し、定期的に予算と実績の差異を分析します。これにより、次年度の予算策定の精度が向上します。
正確な会計処理と戦略的なコスト管理は、社員旅行という投資の効果を最大化し、経営の透明性を高める上で不可欠です。
7. 【実践編】失敗しない導入プロセスと税務調査への備え
社員旅行を福利厚生費として健全に運用するためには、計画的な導入プロセスと、税務調査を意識した記録管理が重要です。
失敗しないための導入プロセス
- 目的設定と社内合意形成:「離職率低減」「部門間コミュニケーションの活性化」など、経営目標と社員旅行の目的を明確に紐づけます。その上で、経営層や、必要に応じて労働組合・従業員代表の承認を得ます。
- 規程整備と周知:福利厚生規程などに、社員旅行の参加対象、費用負担、慶弔時の扱いといったルールを明記します。そして、社内ポータルや説明会などで全従業員に周知徹底します。
- 参加申請・請求フローの構築:申請から承認、費用精算までをワークフローシステムなどで効率化し、承認段階で要件(参加率、費用上限など)をチェックできる仕組みを整えます。
- 事後評価と改善:旅行後には必ずアンケート調査を実施し、従業員の満足度や改善要望を収集します。KPI(参加率、満足度、離職率の変化など)と合わせて効果を測定し、次回の企画に反映させます。
税務調査への備え
税務調査で指摘を受けないためには、社員旅行が福利厚生費の要件を満たしていることを客観的に証明できる「証拠」を残しておくことが極めて重要です。
- 保管すべき証憑書類:
- 企画段階の資料:社内稟議書、旅行会社のパンフレットや見積書
- 実施に関する資料:全従業員への案内文、参加者名簿、最終的な旅程表
- 費用に関する資料:旅行会社からの請求書、領収書、費用の内訳がわかる明細書
- 間違いやすいケースへの対応:
- 役員だけの旅行:役員賞与として処理します。福利厚生費にはなりません。
- 家族同伴:家族分の費用は従業員の給与として源泉徴収するか、従業員本人に負担してもらいます。
- 自由行動メインの旅行:団体行動としての実態がないと見なされ、給与課税のリスクが高まります。旅程に団体での食事や観光を組み込むことが重要です。
- 報奨旅行:成績優秀者など特定社員のみを対象とする場合は給与(賞与)として処理します。
- 旅行券の配布:換金性が高いため給与として課税されます。
これらの準備を怠ると、せっかくの社員旅行が後々の大きな税務リスクになりかねません。計画的なプロセスと徹底した記録管理が、企業を守ることに繋がります。
まとめ
本記事では、社員旅行の費用を税務上、正しく「福利厚生費」として計上するための5つの重要要件と、判断に迷う具体的なケース、そして実務上の運用ポイントについて詳しく解説しました。最後に、決裁者・管理部責任者様が押さえるべき点を改めて確認します。
福利厚生費として認められる5つの大要件
- 旅行期間は4泊5日以内であること
- 参加人数が全従業員の50%以上であること
- 企業負担額が社会通念上、高額でないこと(1人10万円前後が目安)
- 旅行の目的が従業員の慰安・レクリエーションであること
- 不参加者へ現金を支給しないこと
社員旅行は、これら5つの要件をすべて満たして初めて、企業にとっては節税効果のある損金として、従業員にとっては所得税が非課税となる福利厚生として成立します。一つでも要件から外れると、その費用は「給与」と見なされ、追徴課税という予期せぬコストが発生するリスクがあります。
企画段階でこれらのルールを織り込み、旅程表や参加者名簿、費用の内訳などを証拠としてきちんと保管しておくことが、税務リスクを回避し、企業のコンプライアンスを守る上で不可欠です。
社員旅行は、ルールを守れば節税と従業員満足度向上という二重のメリットを享受できる、非常に有効な経営施策です。本記事で得た知識を活用し、税務上の不安を解消した上で、従業員の心に残る、そして組織の力となるような素晴らしい社員旅行を企画・実行してください。
【比較表】福利厚生のおすすめサービス
scroll →
サービス名 | 特長 | 費用 | 福利厚生の内容 |
---|---|---|---|
snaq.me office(スナックミーオフィス)
![]() |
|
初期費用:0円 月額費用:0円 送料・備品費:0円 商品代金:下記から選択 食べる分だけ都度決済「企業負担ゼロ」パターン 企業と従業員が一部負担する「一部負担」パターン 福利厚生費として企業が一括購入する「買取」パターン |
置き菓子やドリンクの提供 おやつ ドリンク コーヒー スイーツパン グラノーラ おつまみ プロテインバー ヴィーガン そうざい など |
TUKTUK
![]() |
|
要お問い合わせ ※福利厚生向けの従業員割引プランあり ※定価の25%オフ、50%オフにできるプランの他、要望に合わせたカスタマイズも対応 |
お弁当や軽食、ドリンクなどの提供 ※取り扱い商品は300種類以上 |
SANU 2nd Home for Business
![]() |
|
初期費用:0円 月額料金:9万円~(年間宿泊日数30泊~) 宿泊時の費用:宿泊費0円、清掃費3,300円、週末料金(土曜・日曜・祝前日)5,500円/室 ※ハイシーズン料金なし |
SANU 2nd Homeのシェア別荘(保養所)の利用 |
BeeNii
![]() |
|
初期費用:0円 月額料金:0円 ギフト代:有料 ※月次でまとめて請求 |
記念日に合わせて自動でギフトを贈る「ギフトスケジューリングサービス」 |
GALLEIDO
![]() |
|
電動歯ブラシ本体無料 <スタッフ自宅への個別配送> 替え歯ブラシ1本350円(税込) <会社への一括配送> 替え歯ブラシ1本308円(税込) |
電動歯ブラシ本体無料+選べる替え歯ブラシ(スタンダード/極細/フラット/子供用) |
Perk |
|
要問い合わせ | ビジネススキルの研鑚・プライベートの充実など社員の様々なニーズにフィットする1,000以上のサービスを提供 |
Resort Worx |
|
要問い合わせ | トラベル体験、リゾートワークの支援 |
OFFICE DE YASAI |
|
要問い合わせ |
置き型の社食サービス オフィスでやさい オフィスでごはん 健康指導・支援 |
SANU 2nd Home for Business |
|
・初期費用:0円 ・年間泊数 30泊 / 90,000円(/月)~ ・清掃費(1室1滞在) 3,300円 |
保養所の利用サービス |
オフィスおかん |
|
要お問い合わせ |
置き型の社食サービス おかず 副菜 汁物 ご飯・パン など |
チケットレストラン |
|
要お問い合わせ | ランチが実質半額になるチケットサービス |
WELBOX |
|
要お問い合わせ | 旅行、健康増進、介護、育児、自己開発、エンターテインメントなどの商品・サービスをパッケージで提供 |
ライフサポート倶楽部 |
|
要お問い合わせ | 宿泊・レジャー、介護、育児などの商品・サービスをパッケージで提供 |
ベネフィット・ステーション |
|
Netflix得々プラン:1,850円(月額/1名) Netflixプラン:1,350円(月額/1名) 学トクプラン:1,200円(月額/1名) 得々プラン:1,000円(月額/1名) |
グルメ、ショッピング、学習コンテンツ、育児、介護、引っ越しなどの商品・サービスをパッケージで提供 |
福利厚生倶楽部 |
|
要お問い合わせ | 余暇支援、育児、介護、学習などの商品・サービスをパッケージで提供 |
オフィスグリコ |
|
要お問い合わせ | グリコが提供するおかし、ドリンク、アイスの提供 |