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SFA JOURNAL by ネクストSFA

法定外福利厚生とは?経営視点で導く導入と成功のロードマップ

小島 伸介

【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介

株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。

はじめに

少子高齢化による労働力人口の減少、そして働き方の多様化が進む現代の企業経営において「人材」に関する課題は、その重要性を増すばかりです。優秀な人材の獲得競争は激化し、従業員の定着率向上が経営の安定に直結する時代となりました。

このような状況下で、企業の競争力を左右する重要な戦略の一つとして、今あらためて「福利厚生」が注目されています。特に、法律で義務付けられていない企業独自の「法定外福利厚生」は、他社との差別化を図り、従業員のエンゲージメントを高めるための強力な武器となり得ます。

しかし、いざ導入を検討しようにも

  • どのような種類があるのか
  • 自社にとって本当にメリットがあるのか
  • コストに見合う効果は得られるのか
  • 導入や運用の具体的なプロセスが分からない

といった疑問や不安を抱える決裁者様や管理部門の責任者様も多いのではないでしょうか。

この記事では、法定外福利厚生の基本的な知識から、経営視点での導入メリット、失敗しないための導入ロードマップ、そして担当者が押さえておくべき税務上の注意点まで、網羅的かつ体系的に解説します。企業の持続的成長に向けた戦略的人事の一環として、福利厚生の可能性を最大限に引き出すための知識をぜひご活用ください。

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替え歯ブラシ1本350円(税込)
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電動歯ブラシ本体無料+選べる替え歯ブラシ(スタンダード/極細/フラット/子供用)
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30泊 / 90,000円(/月)~
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  • 日本全国で約150,000人が活用
  • 非課税を活用してランチが実質半額になる
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要お問い合わせ ランチが実質半額になるチケットサービス
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  • 多様なニーズに応じた幅広いメニューを、会員価格で提供
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要お問い合わせ 旅行、健康増進、介護、育児、自己開発、エンターテインメントなどの商品・サービスをパッケージで提供
ライフサポート倶楽部
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  • 全国に対応したサービスにより地域間格差が解消され平等な制度の構築が可能
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1. 法定外福利厚生の基本:法定福利との違いと重要性

法定外福利厚生を戦略的に活用するためには、まずその定義と、法律で定められた法定福利厚生との違いを明確に理解することが不可欠です。

法定外福利厚生とは、法律で実施が義務付けられている社会保険制度など(法定福利厚生)以外に、企業が任意で、独自の判断に基づき従業員やその家族に提供する福利厚生サービス全般を指します。法律による設置義務がないため、企業理念の反映や経営戦略の実現に向けた自由な制度設計が可能な点が最大の特徴です。

これに対して法定福利厚生は、法律で企業に実施が義務付けられている福利厚生であり、以下のものが該当します。

  • 健康保険
  • 厚生年金保険
  • 介護保険
  • 雇用保険
  • 労災保険
  • 子ども・子育て拠出金の拠出

これらは従業員の生活を保障する最低限のセーフティネットであり、企業の意思で内容を変更したり廃止したりすることはできません。つまり、法定福利厚生が「守りの福利厚生」であるならば、法定外福利厚生は企業の魅力を高め、組織を強化するための「攻めの福利厚生」と言えるでしょう。

近年、この法定外福利厚生の重要性が高まっている背景には、深刻な人材不足と働き手の価値観の変化があります。終身雇用が当たり前ではなくなり、個人はより良い労働条件や働きがいを求めて転職するようになりました。特に若年層や優秀なスキルを持つ人材ほど、給与や役職といった伝統的な報酬だけでなく、働きやすさや自己成長の機会、プライベートの充実といった要素を重視する傾向が強いです。

企業が従業員の多様なニーズに応え、選ばれる存在となるためには、画一的な制度ではなく、個々のライフステージや価値観に寄り添った法定外福利厚生の提供が極めて効果的なのです。これは単なるコストではなく、人材という最も重要な経営資源に対する戦略的投資であり、そのリターンは企業の成長という形で明確に現れます。

2. 【一覧】法定外福利厚生の主な種類とポイント

法定外福利厚生は企業が自由に設計できるため、その種類は多岐にわたります。ここでは代表的なカテゴリと、導入時に検討すべきポイントを合わせてご紹介します。

1. 健康・医療支援 

従業員の心身の健康は、組織の生産性の基盤です。健康経営の観点からも重要視されています。

  • 施策例: 人間ドック・各種がん検診の費用補助、インフルエンザ予防接種の費用負担、産業医やカウンセラーによるメンタルヘルス相談窓口の設置、フィットネスクラブの利用料補助など。
  • ポイント: 利用率が低い場合は、社内での啓蒙活動や利用促進策を講じることが重要です。長期的な医療費削減効果も見込めます。

2. 育児・介護支援 

仕事と家庭の両立支援は、多様な人材が活躍し続けるために不可欠な制度です。

  • 施策例: 法定を上回る短時間勤務制度や時差出勤、子の看護休暇や介護休暇の有給化・対象範囲拡大、ベビーシッターや介護サービスの利用料補助、企業内保育所の設置など。
  • ポイント: 従業員のライフステージの変化に対応できる柔軟な制度設計が求められます。

3. 住宅関連支援 

従業員の生活基盤を支えることで、経済的な安心感を提供し、定着率向上に繋げます。

  • 施策例: 家賃補助や住宅手当の支給、社員寮や社宅の提供、住宅ローン利子補給制度など。
  • ポイント: 税務上の扱いが複雑なため、現金支給か現物支給(社宅など)かによって課税関係が変わる点に注意が必要です。支給基準を明確化し、不公平感を生ない設計が求められます。

4. 休暇制度の拡充 

ワークライフバランスの向上に直結し、従業員の満足度を高めます。

  • 施策例: リフレッシュ休暇、アニバーサリー休暇、ボランティア休暇、失恋休暇など、法定外のユニークな特別休暇制度の創設。
  • ポイント: 制度を作るだけでなく、従業員が気兼ねなく取得できるような風土醸成もセットで進めることが成功の鍵です。休暇申請フローの整備と取得率の管理も重要となります。

5. 自己啓発・スキルアップ支援 

従業員の成長意欲に応え、組織全体の能力向上を図ります。

  • 施策例: 書籍購入費の補助、資格取得支援制度や報奨金、外部セミナーや研修への参加費用負担、eラーニングサービスの提供など。
  • ポイント: 費用対効果を把握するため、研修後のレポート提出や業務への活用状況をフォローする体制を構築することが望ましいです。

6. 食事補助 

従業員の満足度に直結しやすく、コミュニケーション活性化にも繋がる人気の施策です。

  • 施策例: 社員食堂の運営、食事券の配布、設置型の社食サービス(オフィスコンビニなど)、提携レストランでの割引など。
  • ポイント: 運営コストと利用率のバランスを定期的に見直す必要があります。非課税枠の適用など、税務上の要件を正しく理解しておくことが重要です。

3. 経営にもたらす5つの導入メリット

法定外福利厚生への投資は、企業に多岐にわたる具体的なメリットをもたらします。これらを経営視点で理解することは、的確な意思決定の基盤となります。

1. 人材の定着と離職率の低下 

魅力的な福利厚生は、従業員が自社で働き続ける強力なインセンティブとなります。特に、育児や介護といったライフイベントを支える制度は、「この会社なら長く働ける」という安心感を生み、優秀な人材の流出を防ぎます。離職率の低下は、採用コストや再教育コストの大幅な削減に直結し、経営効率の改善に大きく寄与します。

2. 採用活動における競争力の強化 

求職者、特に新卒者や若手層は、企業の福利厚生を重視する傾向が顕著です。給与や事業内容が同程度の企業が複数ある場合、福利厚生の充実度が最終的な決め手となるケースは少なくありません。自社独自のユニークな制度は、採用サイトや面接での強力なアピールポイントとなり、他社との差別化を図り、優秀な人材を引きつける磁力となります。

3. 従業員エンゲージメントと生産性の向上 

企業が従業員の働きやすさや生活の質に関心を持ち、具体的な支援策を講じる姿勢は、従業員に「大切にされている」という実感を与えます。これにより、自社への帰属意識や貢献意欲、すなわちエンゲージメントが高まります。エンゲージメントの高い従業員は、自発的に業務改善に取り組むなど、質の高いパフォーマンスを発揮する傾向があり、組織全体の生産性向上に繋がります。

4. 企業のブランドイメージと社会的評価の向上 

従業員を大切にする「ホワイト企業」や「健康経営優良法人」といった社会的評価は、顧客や取引先、投資家からの信頼を高めます。良好な企業イメージは、製品やサービスの価値向上、金融機関からの融資、さらには企業価値全体の向上にも繋がるでしょう。採用マーケティングや広報施策にも活用可能な、重要な無形資産です。

5. 従業員の健康促進と組織活力の向上 

健康診断の充実やフィットネス補助などは、従業員の健康維持・増進に直接的に貢献します。心身ともに健康な従業員は、欠勤率が低く、集中力や創造性も高いため、結果として組織全体の生産性を底上げします。これはアブセンティーイズム(欠勤)やプレゼンティーイズム(出勤しているが不調で生産性が低い状態)の改善にも繋がり、医療費の長期的な削減効果も期待できます。

4. 導入前に知るべきデメリットと回避策

法定外福利厚生の導入は多くのメリットをもたらす一方で、計画段階で認識し、対策を講じるべきデメリットも存在します。

課題1:コストの発生と管理工数 

福利厚生の提供には、直接的な費用と、制度の導入準備、日々の運用、問い合わせ対応など、人事・総務部門の業務負担(管理工数)が発生します。

  • 回避策:
    • コストシミュレーションの実施: 導入予定の制度ごとに初期コスト・運用コストを算出し、ROI(投資利益率)を明確化します。
    • 段階的な導入: まずはインパクトの大きい施策や、コストを抑えられるものからスモールスタートすることも有効です。
    • 外部サービス(アウトソーシング)の活用: 福利厚生代行サービスを利用すれば、管理工数を削減しつつ、多種多様で公平性の高いサービスを効率的に提供できる場合があります。

課題2:従業員間の不公平感 

家族向けの制度は独身の従業員には恩恵がなく、特定の施設を利用する制度は勤務地や居住地によって利用しやすさに差が出ることがあります。一部の従業員しか利用できない制度は、かえって他の従業員の不満を招くリスクがあります。

  • 回避策:
    • 公平な制度設計: 全従業員が何らかの形で恩恵を受けられるような制度設計を心掛けます。
    • カフェテリアプランの導入: 従業員が自分に付与されたポイントの範囲内で必要なサービスを選択できる形式は、個々のニーズに応えつつ公平性を担保する上で非常に有効です。
    • 支給基準の明確化: 利用要件や申請フローを社内規程に明確に落とし込み、透明性を確保します。

課題3:制度の形骸化 

従業員のニーズは多様であり、時代とともに変化します。一度導入した制度が、数年後には陳腐化してしまったり、利用率が低迷したりするケースは少なくありません。

  • 回避策:
    • 定期的なニーズ調査: 従業員へのアンケート調査などを定期的に実施し、利用状況や満足度を把握します。
    • PDCAサイクルの実践: 調査結果に基づき、制度内容を柔軟に見直していく継続的な改善活動が、福利厚生を形骸化させないために不可欠です。
    • 社内への周知徹底: 制度開始時の説明会や、イントラネット、社内報での継続的な情報発信を行い、利用率の向上をサポートします。

5. 失敗しない導入プロセスと成功の鍵(ロードマップ)

法定外福利厚生を成功させるためには、計画的な導入プロセスが不可欠です。以下のロードマップを参考に、自社の状況に合わせて進めてください。

STEP 1:現状分析と目的設定

  • 既存制度の棚卸し: 現在ある福利厚生制度をリストアップし、利用状況やコストを整理します。
  • 従業員ニーズの把握: アンケートやヒアリングを実施し、従業員の現状の満足度や潜在的な要望を把握します。
  • 目的の明確化: 「なぜ福利厚生を導入・見直しするのか」を経営課題と結びつけます。「若手の離職率を3年で10%改善する」「女性管理職比率を5年で15%にする」など、具体的なKPIを設定します。

STEP 2:制度設計と計画策定

  • メニューの具体化: STEP1で設定した目的に基づき、具体的な福利厚生メニューと支給基準、利用条件を策定します。
  • 予算の確保とROI試算: 必要なコストを算出し、予算計画を立てます。期待される効果(ROI)を明確にし、経営層の理解を得ます。
  • 税務・法務チェック: 設計した制度が税務上・法務上の要件を満たしているか、専門家(税理士など)を交えて必ず確認します。

STEP 3:社内合意形成と体制構築

  • 経営層へのプレゼンテーション: 導入計画、予算、期待効果をまとめ、経営会議で承認を得ます。
  • 運用体制の整備: 誰が、いつ、どのように運用するのかを決めます。総務・人事だけでなく、財務・法務とも連携し、一貫して管理できる体制を構築します。必要に応じて労働組合や従業員代表との協議も実施します。
  • 社内規程の作成: 運用ルールを福利厚生規程として明文化します。

STEP 4:運用開始と社内浸透

  • 全従業員への周知: 説明会を実施し、イントラネットや社内報、ポスターなどで新制度を徹底的に周知します。利用マニュアルやQ&Aも整備しましょう。
  • システム・申請フォームのローンチ: 専用システムや申請フォームを準備し、運用を開始します。
  • 利用状況のモニタリング: 利用状況をリアルタイムで把握できる仕組み(ダッシュボードなど)を整えます。

STEP 5:効果測定と改善

  • KPIの定点観測: 設定したKPI(利用率、満足度、離職率変化など)を定期的にモニタリングします。
  • フィードバックの収集: 従業員から制度に関する意見や改善要望を収集する仕組みを作ります。
  • 制度のブラッシュアップ: 収集したデータやフィードバックを基に、PDCAサイクルを回して制度を継続的に改善していきます。

6. 【最重要】担当者が押さえるべき税務・会計上の注意点

法定外福利厚生を運用する上で、税務・会計上の取り扱いは避けて通れない重要なポイントです。誤った処理は、追徴課税などのリスクに繋がります。

福利厚生費の非課税要件 

提供する福利厚生が税法上「福利厚生費」として認められれば、企業側は損金として計上でき、従業員側は給与所得として課税されないという双方にとってのメリットがあります。福利厚生費として非課税で処理するためには、以下の2つの大原則を満たす必要があります。

  • 機会の均等: 全ての従業員が対象であり、役員や特定の従業員だけが利用できるものではないこと。
  • 社会通念上の相当な金額: 提供される利益が常識の範囲を超えて高額なものではないこと。

この原則を基に、個別のケースで課税か非課税かが判断されます。

具体的な注意点

法定外の福利厚生を検討する際は、以下の点に注意する必要があります。

  • 現金支給の原則課税: 住宅手当や食事手当など、現金で支給されるものは基本的に給与として課税対象となります。使途が限定されないためです。
  • 食事補助の非課税要件: 非課税となるためには「従業員が食事代の半分以上を負担」かつ「企業の負担額が月額3,500円(税抜)以下」という明確な基準があります。
  • 社宅の扱い: 従業員から一定額の家賃(賃料相当額の50%以上が目安)を徴収していれば、福利厚生費として非課税とされるのが一般的です。
  • 社会保険料への影響: 福利厚生費が給与扱いと判断された場合、所得税だけでなく社会保険料の算定基礎にも含まれ、企業・従業員双方の負担が増加するケースがあります。制度設計時に総負担額をシミュレーションすることが重要です。
  • 会計処理の一貫性: 記帳ルールを明確化し、年度変更時の処理や未払計上などを含む運用フローを整備します。外部監査にも対応できる帳票管理が求められます。

制度設計の段階でこれらの税務上のルールを十分に確認し、不明な点があれば税理士などの専門家に必ず相談することが、後の税務リスクを回避するために極めて重要です。

まとめ

本記事では、法定外福利厚生の基本から具体的な導入プロセス、そして運用上の注意点まで、経営者や管理部門の責任者様が知るべきポイントを解説しました。法定外福利厚生は、もはや単なるコストではありません。企業の理念やビジョンを反映し、組織の未来を形作るための「戦略的投資」です。

人材獲得競争が激化し、従業員の価値観が多様化する現代において、この戦略的投資をいかに効果的に実行するかが、企業の競争力そのものを左右します。

重要なのは、明確な目的意識を持ち、従業員の真のニーズに耳を傾け、公平性と継続性に配慮して制度を設計・運用することです。そうすることで、その投資は従業員エンゲージメントの向上、離職率の低下、採用力の強化といった形で、必ずや大きなリターンとなって企業に返ってくるでしょう。この記事が、貴社にとって最適な福利厚生制度を構築し、持続的な成長を実現するための一助となれば幸いです。

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  • 制度導入の費用対効果の検証が可能
要お問い合わせ 宿泊・レジャー、介護、育児などの商品・サービスをパッケージで提供
ベネフィット・ステーション
  • 約140万件以上のメニュー
  • 従業員の家族も使用できる
  • 導入企業法人約16,000団体
  • 法人会員数約1,100万人
Netflix得々プラン:1,850円(月額/1名)
Netflixプラン:1,350円(月額/1名)
学トクプラン:1,200円(月額/1名)
得々プラン:1,000円(月額/1名)
グルメ、ショッピング、学習コンテンツ、育児、介護、引っ越しなどの商品・サービスをパッケージで提供
福利厚生倶楽部
  • 人材確保・定着に役立つ
  • 低コストで育児介護・研修・旅行・グルメ・遊び・スポーツ・健康など約350万種以上の豊富なサービスを業界最安水準の価格で提供
  • 導入後のアフターフォローが充実
要お問い合わせ 余暇支援、育児、介護、学習などの商品・サービスをパッケージで提供
オフィスグリコ
  • 設置費用、ランニングコスト0円
  • 数名規模から1000名超まで、幅広い企業の導入実績あり
  • 江崎グリコのお菓子や飲み物をオフィスで手軽に購入できる
要お問い合わせ グリコが提供するおかし、ドリンク、アイスの提供
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