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SFA JOURNAL by ネクストSFA

“採れる”スタートアップの福利厚生|低コストで採用を加速させる施策5選

小島 伸介

【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介

株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。

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はじめに

「給与や知名度では、どうしても大企業との採用競争に勝てない」 「初期メンバーとしてジョインしてくれる、優秀な人材をどう惹きつければいいのか」 「事業の急成長の中で、会社のカルチャーをどう作ればいいか分からない」

これらは、事業の成長に日々奮闘されているスタートアップ企業の経営者様や創業メンバーの方々が、共通して抱える深刻な悩みではないでしょうか。ヒト・モノ・カネといったリソースが限られる中で、いかにして優秀な人材を惹きつけ、組織一丸となってミッションを達成していくか。その答えの一つが「戦略的な福利厚生」にあります。

「福利厚生は大企業がコストをかけてやるもの」という考えは、もはや過去のものです。現代のスタートアップにとって、福利厚生は単なる待遇ではなく、会社のビジョンを体現し、採用を有利にし、組織文化を醸成するための「最強の武器」となり得ます。

この記事では、「カネがないなら、頭を使え」の精神で、スタートアップならではの福利厚生戦略を徹底的に解説します。大企業とは異なる目的設定から、低コストで効果絶大なユニークな施策例、そして企業の成長フェーズに合わせた導入の考え方まで、明日からのアクションに繋がる実践的な知識を網羅しました。この記事を最後までお読みいただくことで、貴社「らしさ」を武器に変え、採用競争を勝ち抜くための道筋が見えるはずです。

【比較表】福利厚生のおすすめサービス

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サービス名 特長 費用 福利厚生の内容
snaq.me office(スナックミーオフィス) snaq.me office(スナックミーオフィス) 詳細はこちら
  • 管理栄養士が監修した、無添加でヘルシーなおやつをオフィスへ提供!
  • 従業員の心とお腹を満たしつつ、健康にも配慮できるうれしいメニュー!
  • 導入企業の満足度98%、福利厚生の充実や従業員のコミュニケーション活性化、出社率向上にも寄与!
  • 什器・電源不要、スペース確保のみでOK最短5日で導入可能!
初期費用:0円
月額費用:0円
送料・備品費:0円
商品代金:下記から選択
食べる分だけ都度決済「企業負担ゼロ」パターン
企業と従業員が一部負担する「一部負担」パターン
福利厚生費として企業が一括購入する「買取」パターン
置き菓子やドリンクの提供
おやつ
ドリンク
コーヒー
スイーツパン
グラノーラ
おつまみ
プロテインバー
ヴィーガン
そうざい など
TUKTUK TUKTUK 詳細はこちら
  • 顧客満足度98.8%!300種類以上の中から補充されたお弁当や軽食、ドリンクなどを24時間いつでもキャッシュレスで購入できる
  • 納品数の縛りなし! 売れ残り商品の買い取りも不要で中小~大企業まで継続しやすい
  • スマートロック×カメラ付き! セキュリティ対策が万全で安心できる
  • 商品補充や集金の手間0! 在庫管理を任せられるから手離れがいい
要お問い合わせ
※福利厚生向けの従業員割引プランあり
※定価の25%オフ、50%オフにできるプランの他、要望に合わせたカスタマイズも対応
お弁当や軽食、ドリンクなどの提供
※取り扱い商品は300種類以上
SANU 2nd Home for Business SANU 2nd Home for Business 詳細はこちら
  • 軽井沢や軽井沢や那須、富士五湖エリア、伊豆など31拠点189室を月額9万円から保養所にできる
  • 従業員の85%が魅力を実感、リフレッシュや仕事へのモチベーションアップにつながる
  • チームビルディングや研修合宿にも利用可能、有給消化の促進や社員満足度の向上が期待できる
初期費用:0円
月額料金:9万円~(年間宿泊日数30泊~)
宿泊時の費用:宿泊費0円、清掃費3,300円、週末料金(土曜・日曜・祝前日)5,500円/室
※ハイシーズン料金なし
SANU 2nd Homeのシェア別荘(保養所)の利用
BeeNii BeeNii 詳細はこちら
  • 初期費用・月額費用0円で、従業員の誕生日や入社日といった記念日に合わせてギフトを送れる! 家にギフトが届くので家族のエンゲージメントも向上
  • 記念日の管理やプレゼントの手配といった負担の多い作業をまるっとお任せ!
  • さまざまな知識を持ったギフトコンシェルジュが、悩みがちな商品選定を徹底サポート
初期費用:0円
月額料金:0円
ギフト代:有料
※月次でまとめて請求
記念日に合わせて自動でギフトを贈る「ギフトスケジューリングサービス」
GALLEIDO GALLEIDO 詳細はこちら
  • オーラルケアを通じて健康経営をサポートする、独特かつ斬新なサービス!
  • 高機能な電動歯ブラシを格安サブスクで利用可! 無料サンプルも提供可能!
  • 歯科医師、歯科衛生士によるデンタルサポート付き! 従業員の口内環境改善をサポート!
  • 継続率99.9%! お客さまからの高評価
電動歯ブラシ本体無料
<スタッフ自宅への個別配送>
替え歯ブラシ1本350円(税込)
<会社への一括配送>
替え歯ブラシ1本308円(税込)
電動歯ブラシ本体無料+選べる替え歯ブラシ(スタンダード/極細/フラット/子供用)
Perk
  • オフィスに来なくても受けられる福利厚生
  • それぞれのメンバーが選べる特典あり
  • サービス導入後、メンバーを招待するだけで簡単に利用を開始できる
要問い合わせ ビジネススキルの研鑚・プライベートの充実など社員の様々なニーズにフィットする1,000以上のサービスを提供
Resort Worx
  • 宿泊施設が30~80%割引
  • 従業員の2親等以内の親族まで利用可能
  • 合宿・社員旅行の予約手配を代行
要問い合わせ トラベル体験、リゾートワークの支援
OFFICE DE YASAI
  • オフィスでいつでも好きな時に健康的な食事ができる
  • 従業員は1つ100円~手軽に購入可能
  • 冷蔵庫を設置するだけ!低コストですぐにスタート可能
要問い合わせ 置き型の社食サービス
オフィスでやさい
オフィスでごはん
健康指導・支援
SANU 2nd Home for Business
  • 日本中の自然豊かな立地を自由に選んで滞在できる
  • 初期費用0円・利用日数を30泊単位で選べるので、導入しやすい
  • 従業員の85%が魅力的と答える福利厚生
・初期費用:0円
・年間泊数
30泊 / 90,000円(/月)~
・清掃費(1室1滞在)
3,300円
保養所の利用サービス
オフィスおかん
  • ランチに限らず24時間活用できる
  • 従業員数10名未満から10万名超まで対応
  • 従業員満足度や健康経営の取り組みにも活用できる
要お問い合わせ 置き型の社食サービス
おかず
副菜
汁物
ご飯・パン など
チケットレストラン
  • 日本全国で約150,000人が活用
  • 非課税を活用してランチが実質半額になる
  • 内勤・外勤など勤務環境を問わず公平に利用できる
  • 利用できるお店は全国25万店舗以上
要お問い合わせ ランチが実質半額になるチケットサービス
WELBOX
  • 多様なニーズに応じた幅広いメニューを、会員価格で提供
  • 従業員の利用状況を随時把握できる
  • 業界最長の受付時間のコールセンターや24時間365日利用できる会員専用ホームページが充実
  • 内定者にも、現役社員と同様の福利厚生を提供
要お問い合わせ 旅行、健康増進、介護、育児、自己開発、エンターテインメントなどの商品・サービスをパッケージで提供
ライフサポート倶楽部
  • 手間なく低コストで充実
  • 全国に対応したサービスにより地域間格差が解消され平等な制度の構築が可能
  • 制度導入の費用対効果の検証が可能
要お問い合わせ 宿泊・レジャー、介護、育児などの商品・サービスをパッケージで提供
ベネフィット・ステーション
  • 約140万件以上のメニュー
  • 従業員の家族も使用できる
  • 導入企業法人約16,000団体
  • 法人会員数約1,100万人
Netflix得々プラン:1,850円(月額/1名)
Netflixプラン:1,350円(月額/1名)
学トクプラン:1,200円(月額/1名)
得々プラン:1,000円(月額/1名)
グルメ、ショッピング、学習コンテンツ、育児、介護、引っ越しなどの商品・サービスをパッケージで提供
福利厚生倶楽部
  • 人材確保・定着に役立つ
  • 低コストで育児介護・研修・旅行・グルメ・遊び・スポーツ・健康など約350万種以上の豊富なサービスを業界最安水準の価格で提供
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要お問い合わせ 余暇支援、育児、介護、学習などの商品・サービスをパッケージで提供
オフィスグリコ
  • 設置費用、ランニングコスト0円
  • 数名規模から1000名超まで、幅広い企業の導入実績あり
  • 江崎グリコのお菓子や飲み物をオフィスで手軽に購入できる
要お問い合わせ グリコが提供するおかし、ドリンク、アイスの提供

1. スタートアップこそ「福利厚生」を経営戦略に据えるべき理由

福利厚生を「社員が数名のうちはまだ早い」「事業が軌道に乗ってから考えよう」と後回しにしているスタートアップは少なくありません。しかし、それは大きな機会損失です。スタートアップという特殊な環境だからこそ、早期に福利厚生を戦略的に導入すべき3つの明確な理由が存在します。

理由①:給与以外の「魅力」で採用競争を勝ち抜くため 

スタートアップの採用は、多くの場合、給与や安定性といった条件面で大企業に劣ります。この不利な状況で優秀な人材を惹きつけるには、「この会社でしか得られない独自の価値」を提示する必要があります。福利厚生は、その価値を具体的に示すための絶好のツールです。「書籍購入費全額補助」は“学習する組織”であることを、「PC選択制度」は“個々のパフォーマンスを最大化する”という思想を、「ユニークな休暇制度」は“社員の人生に寄り添う”という姿勢を、それぞれ雄弁に物語ります。これらは、単なる待遇ではなく、候補者の心に響く「ビジョンへの共感」を生み出すための強力な採用ブランディングなのです。

理由②:「ビジョン」を制度に落とし込み、カルチャーを醸成するため 

スタートアップの最も貴重な資産の一つが、独自の「カルチャー」です。しかし、創業者の頭の中にあるビジョンや価値観は、意識的に仕組みに落とし込まなければ、組織の拡大と共に薄れていってしまいます。福利厚生は、そのカルチャーを全従業員が日々体感できる「装置」として機能します。「オープンなコミュニケーション」を掲げるなら「シャッフルランチ制度」、「成果へのこだわり」を重視するなら「ストックオプション制度」といったように、福利厚生は企業のDNAを従業員に浸透させ、組織の求心力を高める役割を果たします。特にメンバーが少ない初期段階でこの土台を築くことが、後の組織崩壊を防ぐ上で極めて重要です。

理由③:初期メンバーの生産性とエンゲージメントを最大化するため

 スタートアップの初期メンバーは、一人ひとりが事業の成否を左右する重要な存在です。彼らが最高のパフォーマンスを発揮できるよう、業務に集中できる環境を整えることは、経営者の最優先事項と言えるでしょう。食事補助やドリンクの無料提供で健康を支える、ハイスペックなPCを支給して開発効率を上げる、通勤ストレスをなくすために近距離住宅手当を出す。これらの福利厚生は、従業員のパフォーマンスに直結する直接的な投資です。また、「会社は自分のために投資してくれている」という実感は、従業員のエンゲージメントを飛躍的に高め、厳しい局面を共に乗り越えるための強い信頼関係を築きます。

2.【施策5選】“採れる会社”になるための戦略的福利厚生パッケージ

では、具体的にどのような福利厚生が、スタートアップにとって有効なのでしょうか。ここでは、多くの成功企業が導入している施策を、スタートアップが重視すべき5つの戦略的テーマに分類し、具体的なアイデアと共に解説します。

1.【成長支援】:「学び」を最大化し、成長意欲の高い人材を惹きつける 

スタートアップにジョインする人材は、自身の成長と事業の成長を重ね合わせています。彼らの学習意欲を支援することは、最高の魅力付けとなります。

  • 施策例:書籍購入費・技術書サブスクリプション費用の全額補助、国内外のカンファレンス・セミナー参加費の支援、資格取得費用の補助、従業員主催の勉強会への費用支援など。
  • なぜ効くのか:「私たちは個人の成長に最大限投資します」という強いメッセージになります。会社と共に成長したいと考える、自律的で優秀な人材を惹きつけ、組織全体の知識レベルを底上げします。

2.【生産性向上】:「集中」できる環境を提供し、最高のパフォーマンスを引き出す 

少数精鋭で成果を出すためには、従業員が業務以外のストレスなく、仕事に没頭できる環境が不可欠です。

  • 施策例:最新・ハイスペックPCや周辺機器(モニター、キーボード等)の選択・購入補助制度、生産性向上ツールの積極導入、オフィスでの食事・軽食・ドリンクの無料提供など。
  • なぜ効くのか:「最高の仕事をするために、最高の道具と環境を用意する」という会社の姿勢が伝わります。従業員のパフォーマンスに直接貢献し、事業の成長スピードを加速させます。

3.【カルチャー形成】:「一体感」と「心理的安全性」を育むコミュニケーション施策 

組織の拡大に伴うコミュニケーションの希薄化を防ぎ、一体感を醸成します。

  • 施策例:部署や役職を超えた「シャッフルランチ」制度、共通の趣味で集まる「部活動・サークル活動」への補助、感謝や称賛をポイントと共に送り合える「ピアボーナス」制度、入社時の「ウェルカムランチ」など。
  • なぜ効くのか:業務外の偶発的なコミュニケーションが、部門間の連携を円滑にし、イノベーションの土壌となります。誰もが安心して発言・挑戦できる心理的安全性の高い組織文化を形成します。

4.【働き方の柔軟性】:「信頼」を象徴する自律的なワーキングスタイル 

従業員を管理するのではなく、信頼して裁量を与える姿勢を示すことは、特に優秀な人材にとって魅力的です。

  • 施策例:フルリモートワーク制度、コアタイムなしのフルフレックス制度、働く場所を自由に選べるワークスペース利用補助、理由を問わない特別休暇制度など。
  • なぜ効くのか:「私たちはプロセスではなく成果で評価します」というメッセージになります。従業員の自律性を尊重し、ライフステージの変化にも柔軟に対応できる働きやすい環境は、採用における強力な差別化要因となります。

5.【健康と安心】:「心身の資本」を守り、持続可能な成長を支える 

スタートアップのハードな環境下でも、従業員が心身ともに健康でいられるようサポートします。

  • 施策例:人間ドックや婦人科検診の費用補助、外部の専門家によるメンタルヘルス相談窓口(EAP)の設置、フィットネスクラブ利用補助、家事代行やベビーシッターサービスの利用補助など。
  • なぜ効くのか:従業員を「資本」として大切にする姿勢を示し、長期的な就労への安心感を与えます。バーンアウトを防ぎ、持続可能な組織成長の基盤を築きます。

3. 福利厚生は「いつから」始めるべきか?成長フェーズ別導入ガイド

スタートアップ経営者が最も悩む問いの一つが「福利厚生は、いつから始めるべきか」です。答えは、企業の成長フェーズによって異なります。ここでは、組織の成長段階に合わせて、福利厚生を戦略的に導入・拡充していくためのガイドを示します。

1. シード期(従業員数:~10名程度) 

創業メンバーが中心となり、プロダクト・マーケット・フィット(PMF)を目指して無我夢中で働くフェーズです。

  • 組織課題:ビジョン・ミッションの共有、カルチャーの原型作り、創業メンバーのモチベーション維持。
  • 福利厚生の目的:創業メンバーへの感謝と、会社の思想を共有すること。
  • 有効な施策
    • 食事・ドリンク補助:長時間労働になりがちなメンバーの健康を支え、共に食事をすることで一体感を醸成する。
    • 書籍購入補助:全員が常に学び、知識を共有するカルチャーの土台を作る。
    • ストックオプション:会社の成功と個人の成功を直結させ、圧倒的な当事者意識を生む(広義の福利厚生)。
    • このフェーズでは、高額な制度よりも、経営者の想いがダイレクトに伝わる、手触り感のある支援が重要です。制度というより「文化」として始めるのが良いでしょう。

2. シリーズA(従業員数:10~50名程度) 

事業モデルが確立し、本格的に人材採用を強化して組織をスケールさせていくフェーズです。

  • 組織課題:採用競争力の強化、初期の仕組み化、新メンバーへのカルチャー浸透。
  • 福利厚生の目的:採用市場で他社と差別化し、優秀な人材を惹きつけること。組織拡大に伴うコミュニケーションロスを防ぐこと。
  • 有効な施策
    • 採用に直結するユニークな制度:PC選択制度やユニークな休暇など、採用面接で語れる制度を導入する。
    • コミュニケーション施策:シャッフルランチや部活動支援を制度として開始する。
    • 外部サービスの導入検討:属人的な運用から脱却し、管理工数を削減するため、福利厚生代行サービスの導入を検討し始める時期です。
    • このフェーズでは、「採用の武器」としての機能と、「仕組み化」の第一歩が求められます。

3. シリーズB以降(従業員数:50名~)

 事業が急成長し、多様なバックグラウンドを持つ人材が急増。組織としての成熟が求められるフェーズです。

  • 組織課題:多様な人材の定着、マネジメント層の育成、制度の公平性の担保。
  • 福利厚生の目的:従業員の多様なニーズに応え、長期的なキャリアを支援すること。エンゲージメントを維持し、離職を防ぐこと。
  • 有効な施策
    • 選択型福利厚生(カフェテリアプラン):多様な価値観に応える公平な仕組みを導入する。
    • ライフサポートの拡充:育児・介護支援や家事代行補助など、ライフステージの変化に対応する制度を手厚くする。
    • 学習支援制度の体系化:個人のスキルアップと組織の成長を連動させるための研修体系などを整備する。
    • このフェーズでは、公平性とスケーラビリティ(拡張性)を重視した制度設計への進化が必要です。

4. 導入から運用までの具体ステップと失敗しないためのポイント

戦略的な福利厚生を導入し、採用力強化という目的を達成するためには、計画的な準備と、ベンチャーならではの失敗を避けるためのポイント理解が不可欠です。

導入・運用実践ステップ

  1. 社内課題の可視化とKPI設定:「なぜ福利厚生を導入するのか」という目的(採用力強化、カルチャー浸透など)を明確にし、「応募数+20%」「離職率-10%」といった測定可能なKPIを設定します。
  2. ニーズ調査と施策の優先順位付け:経営者の思い込みで進めるのではなく、アンケートやヒアリングで従業員のリアルな声を収集します。その上で、自社のフェーズと課題に最適な施策の優先順位をつけます。
  3. ROI試算と予算確保:コストモデル(初期投資、月額運用費)を算出し、KPI達成による効果(採用コスト削減など)と比較して投資対効果(ROI)を可視化します。これを基に経営層の承認を得て、予算を確保します。
  4. ベンダー選定または自社運用設計:外部サービスを利用する場合は、複数社を比較検討します。自社で運用する場合は、具体的な申請・承認フローを設計します。
  5. 社内周知とトレーニング:全社説明会や社内チャットなどで、制度導入の背景や目的、利用方法を丁寧に周知します。
  6. 試行導入と改善(PDCA):まずはパイロットグループで試行し、フィードバックを収集します。KPIをモニタリングし、効果が見られない制度はためらわずに見直したり、やめたりする柔軟性も重要です。

導入で失敗しないための鉄則

  • 経営理念・ビジョンと一貫性を持たせる:福利厚生は会社の思想を反映するツールです。「自律」を掲げるなら成長支援を、「チームワーク」を重視するなら交流促進を、というように、ビジョンと制度をリンクさせましょう。
  • 見栄を張らない:大企業の模倣は見栄の表れです。身の丈に合わない制度は長続きしません。低コストでも、自社らしさが光る制度の方が、従業員にも求職者にも響きます。

5. 外部サービスの賢い活用と法務・税務上の留意点

特にリソースが限られるスタートアップにとって、福利厚生の制度設計から運用までを全て自社で行うのは大きな負担です。福利厚生代行サービスを賢く活用することは、極めて有効な戦略となります。

なぜスタートアップこそ外部サービスを使うべきなのか

スピードと柔軟性が求められるスタートアップにとって、限られた人的・時間的リソースをいかに本業に集中させるかは重要な経営課題です。そんな中で、福利厚生の整備に外部サービスを活用することは、大企業並みの制度を低コストで即時に実現できる、極めて合理的な選択肢となります。

  • 多様な選択肢の即時実現:契約するだけで、大企業並みの豊富なメニュー(レジャー、グルメ、育児、介護、自己啓発など)を従業員に提供でき、採用市場で即効性のあるアピールが可能になります。
  • 導入・運用工数の劇的な削減:提携先開拓、予約受付、精算業務といった煩雑な作業から管理部門を解放し、より戦略的な業務に集中させることができます。
  • スケールへの柔軟な対応:従業員数の増減に合わせて契約内容を柔軟に変更できるため、企業の急成長にも制度がスムーズに対応できます。
  • 高い費用対効果:自社で施設を所有したり、個別にサービス契約を結んだりするのに比べ、従業員1人あたり月額数百円からという低コストで導入でき、高い費用対効果を実現します。本業にリソースを集中させたいスタートアップにとって、福利厚生のプロに任せるのは非常に合理的な経営判断です。

法務・税務上の留意点 

福利厚生を導入する際は、最低限のルールを遵守する必要があります。

  • 機会均等:制度は原則として全従業員が利用できるものでなければなりません。特定の従業員だけを優遇する制度は、給与と見なされる可能性があります。
  • 社会通念上の相当性:提供する利益(金額)が、常識的に見て高額すぎないことが求められます。
  • 食事補助の非課税要件:特に導入しやすい食事補助には、「従業員が半額以上を負担」かつ「企業の月額負担が3,500円以下」という明確な非課税ルールがあります。

制度設計の際には、これらの点を考慮し、必要に応じて顧問税理士や社労士に相談することをお勧めします。

まとめ

本記事では、スタートアップ企業が採用競争を勝ち抜き、持続的に成長するための「戦略的な福利厚生」について、その考え方から具体的な施策、導入のポイントまでを網羅的に解説しました。

スタートアップの福利厚生は、大企業の模倣であってはなりません。それは、資金力で劣る部分を、知恵と工夫で補い、自社の理念とビジョンを反映した、採用とカルチャー形成のための鋭い武器です。重要なのは、豪華さや網羅性ではなく、その制度に込められた「思想」です。

本記事でご紹介した、低コストで効果絶大なユニークな施策や、企業の成長フェーズに合わせた考え方は、そのための具体的なヒントとなるはずです。

  • 目的を絞る:採用、カルチャー、生産性向上など、何のためにやるのかを明確にする。
  • 「らしさ」を込める:自社のビジョンと一貫性のある制度を設計する。
  • 賢く始める:低コストな施策から始め、外部サービスも積極的に活用する。
  • 常に見直す:効果を測定し、柔軟に改善し続ける。

これらの要点を押さえることで、福利厚生は単なるコストから、企業の成長を加速させる「未来への投資」へと昇華します。この記事が、貴社が自社の「らしさ」を最強の武器に変え、優秀な人材と共に未来を切り拓くための一助となれば幸いです。

【比較表】福利厚生のおすすめサービス

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オフィスグリコ
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