【健康経営戦略】運動系福利厚生10選!ジム・アプリ・ウォーキング施策で実現する生産性向上とROI最大化
【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介
株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。
現代のビジネス環境において、従業員の健康状態は企業の成長を左右する最重要の「人的資本」です。長時間のデスクワークやリモートワークの常態化は、社員の運動不足を深刻化させ、疲労、集中力低下、そして欠勤・離職リスクという形で企業の生産性に直接的な影響を及ぼしています。こうした状況下で、企業が戦略的に導入する「運動系福利厚生」は、単なる健康増進策ではなく、「健康経営」を推進し、企業の競争力と財務的な安定性を高めるための必須の投資となっています。
本コンテンツは、福利厚生サービスの導入を検討されている決裁者および管理部責任者の皆様を対象に、「福利厚生 運動」施策を「コスト」ではなく「未来への投資」と捉える戦略的な視点を提供します。具体的な運動施策10選の解説に加え、導入による経営指標への効果(ROI)、実効性を高めるためのKPI設計、そして法務・税務リスクを回避する運用設計までを網羅的に解説します。本情報を活用し、貴社の健康経営を加速させ、コストを上回る生産性向上というリターンを獲得してください。
【比較表】福利厚生のおすすめサービス
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| サービス名 | 特長 | 費用 | 福利厚生の内容 |
|---|---|---|---|
snaq.me office(スナックミーオフィス)
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初期費用:0円 月額費用:0円 送料・備品費:0円 商品代金:下記から選択 食べる分だけ都度決済「企業負担ゼロ」パターン 企業と従業員が一部負担する「一部負担」パターン 福利厚生費として企業が一括購入する「買取」パターン |
置き菓子やドリンクの提供 おやつ ドリンク コーヒー スイーツパン グラノーラ おつまみ プロテインバー ヴィーガン そうざい など |
オフィスコンビニTUKTUK
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要お問い合わせ ※予算に合わせて選べる3つのプランを用意 ※要望に応じたカスタマイズも可能 |
・お弁当 ・パスタ ・チャーハン ・お惣菜 ・お菓子 ・ドリンク ・おにぎり ・パン ・ヨーグルト ・豆腐バー ・アイスクリームなどの提供 ※取り扱い商品は300種類以上 |
BeeNii
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初期費用:0円 月額料金:0円 ギフト代:有料 ※月次でまとめて請求 |
記念日に合わせて自動でギフトを贈る「ギフトスケジューリングサービス」 |
Office Stand By You
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要お問い合わせ ※毎月届くスープの個数によって異なる ※64個・96個・128個から選択が可能 |
常温保存可能なスープの提供 |
| Perk |
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要お問い合わせ | さまざまなジャンルのサービスを特別価格で利用できる「割引き特典」とコンビニやカフェで利用できるチケットに交換できる「ポイント制度」を提供 |
| Resort Worx |
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要お問い合わせ |
旅行に特化した福利厚生サービス リゾートエリアの会員施設やホテルの宿泊を30~80%割引で利用可能 |
| OFFICE DE YASAI |
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要お問い合わせ | サラダやカットフルーツ、お惣菜など約140品目をオフィスに設置した冷蔵庫に常設、食事補助により従業員の健康をサポート |
| オフィスおかん |
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要お問い合わせ | 管理栄養士が監修した主食・主菜・副菜がオフィスに設置した冷蔵庫または自動販売機に届く置き型社食サービス |
| チケットレストラン |
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要お問い合わせ | 全国25万店以上の加盟飲食店で利用できる電子カード型の食事補助サービス |
| WELBOX |
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要お問い合わせ | 介護・育児・自己啓発・健康増進・旅行・エンタメなど幅広いラインナップから、企業の課題に応じてサービスを選べる |
| ライフサポート倶楽部 |
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要お問い合わせ | 宿泊・レジャーといった余暇支援から介護・育児のサポートまで幅広いメニューから自由にサービスを利用できる |
| ベネフィット・ステーション |
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Netflix得々プラン:1,850円(月額/1名) Netflixプラン:1,350円(月額/1名) 学トクプラン:1,200円(月額/1名) 得々プラン:1,000円(月額/1名) |
グルメやレジャー、ショッピングからeラーニング、育児・介護・引っ越しなどのライフイベントに関わるものまで、140万以上のサービスを勇退価格で利用できる |
| 福利厚生倶楽部 |
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要お問い合わせ | 余暇支援・日常支援・健康支援・学習支援の4軸を中心に、約12万・350万種以上のサービスを提供 |
| オフィスグリコ |
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要お問い合わせ | 職場にお菓子やドリンクなどの商品を届ける設置型サービス |
| TsugiTsugi |
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65,000円~/月 ※平日/土日、宿泊日数によって料金は異なります |
シティホテルからリゾートホテル、温泉旅館、グランピン施設など、定額で全国の宿泊施設に泊まれるサービス |
| ごちクルNow |
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初期費用:0円 月額費用:0円 配送料:0円 ※システム利用料はお弁当代に含まれます |
利用者とお弁当屋さんをつなぐ決裁システム。会社請求払いにすることで、食事補助の福利厚生として利用可能 |
| chocoZAP法人会員 |
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要お問い合わせ | chocoZAPを初めとするRIZAPの8つのブランドを特典的に利用できる、法人向け福利厚生サービス |
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| セラヴィリゾート泉郷 |
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| カフェテリアHQ |
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要お問い合わせ | 数問のアンケートからAIが適したアイテムを個別提案する福利厚生サービス |
この記事の目次はこちら
なぜ「運動系福利厚生」が健康経営の核となるのか?戦略的背景
運動系福利厚生への投資は、従業員の健康を維持することで、企業の生産性損失(プレゼンティイズム、アブセンティイズム)を最小化し、医療費負担の増加抑制という財務リスクの低減に直結するという明確な戦略的な論理に基づいています。運動施策の導入目的は、「企業の業績を向上させる」ことにあります。
運動不足が企業にもたらす経済的損失とリスク
従業員の運動不足や不健康な状態は、データに基づき、以下のような形で企業の損失に直結します。経済産業省の推計でも、運動不足による生産性損失は年間1兆円規模に達すると言われています。
- 生産性の低下(プレゼンティイズム):
- プレゼンティイズムとは、体調不良を抱えながら業務を行うことで、パフォーマンスが低下している状態を指します。欠勤(アブセンティイズム)よりも測定が難しいですが、企業の生産性に与える損失は甚大です。適度な運動習慣は、心身の健康を保ち、集中力や判断力、創造性を高めることで、このプレゼンティイズムの改善に最も効果を発揮します。
- 医療費負担の増加と高齢化への対応:
- 企業が加入する健康保険組合の医療費負担は、生活習慣病の増加や従業員の高齢化により年々増加しています。運動施策は、生活習慣病の予防に直結し、将来的な企業の医療費負担の増加を抑制するという、長期的な財務的効果をもたらします。
- メンタルヘルスの悪化と離職リスク:
- 運動には、ストレスホルモンの減少やメンタルヘルスの安定に寄与する効果が科学的に証明されています。運動不足はうつ病などのメンタルヘルス不調のリスクを高め、結果として優秀な人材の休職・離職という形で企業に深刻なダメージを与え、採用・教育コストの増大に繋がります。
運動施策導入で得られる「経営指標への具体的効果」とROI
運動系福利厚生への投資は、明確なROI(投資対効果)を生み出す可能性があります。決裁者は、その改善効果を以下の指標で測定し、コストと比較して評価する必要があります。
- エンゲージメントスコアの上昇と離職率低下: 企業が従業員の健康に積極的に投資しているというメッセージは、従業員の企業への愛着(ロイヤリティ)と信頼を高め、エンゲージメントスコアの向上、離職率の低下という形で現れます。健康経営を実施する企業では、「離職率−10%」といった成果が報告されています。
- 採用競争力の強化と企業ブランディング: 「健康経営への取り組み」は、求職者が企業を選択する際の重要な基準となっています。「健康経営優良法人」の認定取得や、先進的な運動施策は、採用活動におけるブランド力を強化し、健康意識の高い優秀な人材を引き付けます。
- ROI(投資対効果)の考え方: 運動施策への投資額が、欠勤率低下による人件費削減効果、医療費負担の抑制額、そして生産性向上による売上増加効果を上回れば、その投資は成功です。運動施策のKPIを経営指標と紐づけて測定することが、このROI評価の鍵となります。
運動促進のための「行動変容」を促す仕組みの重要性
福利厚生を成功させるには、単なる割引補助ではなく、「一過性のイベント」ではなく「継続的な行動変容」を促し、最も運動を必要とする層に届く仕組みの設計が不可欠です。
- 継続的なモチベーションとインセンティブ: 運動の実施や健康目標の達成に対して、社内ポイント、報奨金、特別休暇などの公平なインセンティブを付与する仕組みが必要です。競争や達成感を可視化することで、従業員の自主的な参加を促します。
- データによる可視化とフィードバック: ウォーキングアプリや健康管理プラットフォームを導入し、個人の運動量や健康データを匿名で可視化。データに基づき、高リスク者への個別指導や部署別対抗イベントを実施するなど、パーソナライズされたアプローチを可能にします。
【施策別】健康経営を加速させる運動系福利厚生10選
多様な働き方や従業員のニーズに対応するため、運動系福利厚生は多岐にわたります。ここでは、実効性が高く、幅広い層へのアプローチが可能な10の施策を、その導入メリットと適した企業を含めて解説します。
カテゴリA:施設利用支援(高効果・定着促進)
- 法人契約型フィットネスジム利用支援
- 施策概要: 全国展開する提携ジムを定額や割引で利用可能とする制度。または、特定の高価格帯ジムの利用費用を一部補助。最も一般的な運動系福利厚生です。
- 導入メリット: 充実した環境で本格的な運動を促し、運動習慣の定着率を高める。特に健康意識の高い層や管理職層の満足度が高く、社員の健康改善を促進し、医療費・欠勤リスクを軽減する効果が期待できます。
- 適した企業: 従業員数が多く、全国に拠点が分散している企業。運動を深く習慣化させたい企業。
- ゴルフ、テニスなど「特定スポーツ施設」の優待/サークル支援
- 施策概要: ゴルフ練習場、テニススクール、ボルダリングジムなど、特定の高額なスポーツ施設の利用費用を補助、またはスポーツ系サークル活動への支援を行う。
- 導入メリット: 経営層や高所得層のリフレッシュと健康促進に有効。また、社内交流や縦横連携を促進し、モチベーション向上とストレス緩和に繋がる。
- 適した企業: 管理職層のエンゲージメント向上を重視する企業。社員間の交流不足が課題となっている企業。
カテゴリB:デジタル・アプリ活用(低コスト・全社員対応)
- ウォーキング/健康管理アプリの導入とチャレンジ施策
- 施策概要: 運動量(歩数)、睡眠時間、食事記録などを一元管理できるアプリを全従業員に提供。アプリ内で部署対抗ウォーキング競争や健康目標達成に応じたインセンティブ付与を実施。
- 導入メリット: 初期費用・運用コストが比較的低く、リモートワーカーを含む全従業員が参加可能。体力差によるハードルが低く、競争を通じて運動習慣への行動変容を促しやすい。
- 適した企業: リモートワーク中心の企業。費用対効果を重視し、まずは小規模から試したい企業。
- オンラインフィットネス/動画配信型運動プログラムの提供
- 施策概要: ライブ配信型やオンデマンド型のフィットネス・ヨガ・ストレッチプログラムのサブスクリプションを全従業員に提供。
- 導入メリット: 運動初心者や女性など、ジムに抵抗がある層の参加を促しやすい。導入コストが低く、全国の社員が場所を問わず参加でき、自宅で手軽に運動できるため社員満足度が高い。
- 適した企業: 従業員の多様性(年齢層、性別)が高く、誰もが参加しやすい制度を求める企業。
カテゴリC:オフィス/社内活用(コミュニケーション促進)
- 社内ウォーキングイベント/スポーツ大会の開催
- 施策概要: 部署横断のチーム対抗ウォーキング大会、eスポーツ大会、ボウリング大会など、体を動かすイベントを定期的に開催。
- 導入メリット: 部署や役職を超えた交流を促進し、エンゲージメントとチームビルディングを強化。運動を「楽しいもの」として認識させることで、社内文化として定着できる。
- 適した企業: 社内コミュニケーションの希薄化が課題となっている企業。企業文化の醸成を重視する企業。
- 社内ジム・トレーニングスペース設置 / ストレッチ・ラジオ体操の習慣化
- 施策概要: 会社の空きスペースに簡易フィットネスエリアを設置。または、朝礼時や午後の休憩時間に、全従業員が一斉にストレッチやラジオ体操をルーティン化。
- 導入メリット: 費用ゼロまたは低コストで導入可能。休憩時間や終業後に気軽に利用でき、運動を“習慣化”しやすい。業務時間中の集中力低下を防止し、軽い運動で気分転換を促す。
- 適した企業: デスクワーク中心の企業。企業のPR・採用活動にも効果的。
カテゴリD:費用補助・柔軟なサポート
- 運動器具購入費用補助(在宅勤務者向け)
- 施策概要: バランスボール、ダンベル、ヨガマットなど、在宅勤務中に使用する簡易な運動器具の購入費用を補助。
- 導入メリット: リモートワーカーの運動環境の整備を公平に支援。運動不足解消だけでなく、在宅勤務手当の一部として従業員満足度向上に貢献。
- 適した企業: リモートワーク制度が定着している企業。在宅勤務者の健康管理を強化したい企業。
- スポーツイベント・マラソン大会参加費用補助
- 施策概要: 従業員が自主的に参加する地域のマラソン大会、トライアスロンなどの参加費、交通費、宿泊費を補助。
- 導入メリット: 従業員の自主的な健康意識を尊重し、社外活動を通じた自己成長とエンゲージメントを強化。運動とコミュニケーションによるストレス緩和を両立。
- 適した企業: 従業員に自律性を求める企業。スポーツ好きの社員が多い企業。
カテゴリE:専門家・予防医療連携
- 産業医/保健師による「運動習慣」個別指導
- 施策概要: 健康診断やストレスチェックの結果データに基づき、産業医や保健師が高リスク者に対し、運動習慣の改善に関するパーソナライズされた指導を個別実施。
- 導入メリット: データを活用したハイリスクアプローチにより、最も運動を必要とする層に確実に介入。投資対効果が高い。
- 適した企業: 健康診断の有所見率が高い企業。医療連携を重視する企業。
- 外部ヘルスケア専門家によるセミナー
- 施策概要: 栄養士、理学療法士、トレーナーなど外部の専門家を招き、正しい運動知識や栄養学に関するオンライン/オフラインセミナーを定期開催。
- 導入メリット: 間違った運動方法による怪我のリスクを低減し、運動習慣の継続を科学的に支援。知識の提供は、従業員の人生全体への貢献となる。
- 適した企業: 正しい知識の普及と予防医療を重視する企業。
実効性を高める運動系福利厚生の設計とKPI設定
運動系福利厚生は、導入後に「使われない」「効果が測定できない」という失敗に陥りがちです。実効性を高めるためには、目的を明確化し、以下の設計原則とKPI設定に基づき、戦略的な運用を行う必要があります。
施策導入を成功させるための4つの設計原則
- 目的の明確化と段階的導入: まず「なぜ運動施策を導入するのか」という目的(例:生産性向上、医療費削減、離職率改善)を明確化します。次に、無料・低コスト施策(ウォーキングイベント、アプリ)から始め、利用率と成果を可視化しながら、段階的に施設利用や高額なサービスへと拡張するフェーズ設計が効果的です。
- 多様性の担保(インクルーシブな設計): ジム利用補助のような特定の層に向けた施策だけでなく、リモートワーカー、運動初心者、高齢層など、全ての従業員が参加できるウォーキングアプリやオンラインヨガなどを組み合わせ、運動機会の格差を解消します。オンライン型運動プログラムとの併用は、利用格差を埋める効果的な対策です。
- 公平性とインセンティブ連動化: 運動の参加や継続に応じた公平な評価・報酬として、社内ポイント、報奨金、特別手当などを設定します。インセンティブは「運動する理由」を提供し、習慣化を後押しします。また、運動参加率を評価項目やポイント制度に反映させることで、行動定着を促進します。
- 継続性の担保と運用負荷の最小化: 一過性のイベントで終わらせず、リマインド機能、システム連携、ポイント付与などにより、運動を「会社の仕組み」として習慣化させます。同時に、申請・精算・データ集計といった運用業務を外部プラットフォームやアプリに委託し、管理部門の負荷を最小限に抑えます。
決裁者が評価すべき運動施策のKPI(効果測定指標)
運動施策の投資対効果(ROI)を経営層に説明するためには、効果を以下の3つのレベルで測定し、数値で語る必要があります。
- 行動変容レベル(施策の浸透度):
- 利用率/参加率: 制度ごとの利用率、ウォーキングイベントの参加率(50%以上を目標)。
- 運動量の変化: アプリで測定した平均歩数、運動実施時間(対前年比や部署別)の変化。
- 習慣化率: 制度を6ヶ月以上継続利用している従業員の割合。
- 健康指標レベル(健康状態の改善):
- 健康診断結果の改善率: メタボリックシンドローム該当者、血圧、脂質、血糖値などの有所見率の低下。
- 欠勤率/休職率: 体調不良による欠勤率、メンタルヘルス不調による休職率の低下。
- メンタルストレススコア: 制度導入前後でのストレススコアの改善。
- 経営指標レベル(ROI):
- 医療費削減率: 制度導入後の健康保険組合の医療費の対前年比削減率。
- 離職率の改善: 制度導入前後での離職率の改善(−5%以上改善を目標)。
- 生産性向上: プレゼンティイズムの改善による一人当たりの生産性向上の試算(労働時間当たり売上)。
導入失敗を回避するための注意点とベンダー選定の視点
運動系福利厚生を成功させるには、制度の設計だけでなく、運用面、法務・税務面、そしてベンダー選定において、以下の注意点を徹底する必要があります。
リスク・法的留意点と対策(法務・税務上の扱い)
- 法務・税務上の扱い: 福利厚生としての運動支援は、「全社員が公平に利用できること」が条件であり、特定の役職者や一部の従業員のみを対象にすると「給与課税対象」となる可能性があります。
- 対策: 対象者を限定せず、全社員が利用できる制度設計にする。支給額・補助率の上限を設定し、税務リスクを回避する。補助金額が社会通念上妥当であるか、税理士と連携して非課税要件を事前に確認する。
- 安全衛生・労災リスク: 運動中のけがや事故は、企業の責任範囲になる場合があります。特に社内ジムやイベント型運動は安全配慮が不可欠です。
- 対策: 利用規約・免責同意書を明文化する。事故防止ガイドラインを策定し、周知徹底する。運動イベント専用保険を導入するなど、保険会社と提携してリスクを最小化する。
運用面の失敗パターンと対策
- 失敗パターン1:制度の形骸化(利用率の低迷) 導入後に利用率が下がる最大の原因は「目的の曖昧化」と「運営主体の不在」です。
- 対策: 管理部門内に“運動推進担当”を明確化し、従業員代表・産業医を巻き込んだ改善サイクルを継続。イントラネット・チャットでの定期周知を徹底し、利用者の声を社内報などで紹介して「運動=楽しい・評価される」という文化を醸成する。
- 失敗パターン2:運用負荷が管理部門に集中する ジムの領収書精算、イベントの参加者管理、アプリデータの集計などが全て手作業になると、制度は長続きしません。
- 対策: 申請・精算・データ集計をワンストップで自動化できる外部プラットフォーム(福利厚生代行サービス、健康管理SaaS)を導入し、管理部門の負荷を最小限に抑える。
ベンダー選定の3つの視点
- データ連携性と拡張性: 健康診断データ、勤怠データ、ストレスチェック結果など、既存のデータとの連携可否を確認してください。データを統合してこそ、高リスク者へのパーソナライズされた介入が可能となります。また、企業の成長やニーズの変化に合わせたメニューの追加・変更が容易であるかという拡張性を重視します。
- 非課税要件への対応: ジム利用補助やイベント費用補助が、税制上の非課税要件を満たしているか、ベンダーが明確な法的根拠とアドバイスを提供できるかを確認します。税務リスクの回避は決裁者の責務です。
- インセンティブ設計の柔軟性: 運動習慣化のために不可欠なインセンティブ(ポイント、景品など)を、ベンダーのプラットフォーム内で柔軟に設計・付与・管理できる機能があるかを確認します。自社の評価制度や文化に合わせたインセンティブ設計を支援できるベンダーが理想的です。
まとめと次のアクション
「福利厚生 運動」施策は、もはや単なる福利厚生ではなく、健康経営を推進し、企業の生産性向上、医療費抑制、人材定着に直結する最も費用対効果の高い戦略的投資です。成功の鍵は、一過性の施策ではなく、「全従業員の行動変容」を促すインクルーシブな仕組みと、「データに基づいた効果測定」を組み合わせた運用にあります。
決裁者・管理部責任者の皆様には、この戦略的な視点に基づき、以下の3つのアクションから導入を直ちに着手されることを推奨します。
- 現状の健康課題の特定とニーズ調査: 健康診断結果、ストレスチェックデータ、欠勤率などを分析し、自社が抱える具体的な健康課題(例:特定の部署の運動不足、生活習慣病リスク)を特定する。
- 施策の選定と公平性の担保: 現状の課題と、本コンテンツで紹介した多様な施策10選を照らし合わせ、リモートワーカーにも公平に恩恵が届くよう、施設型とデジタル型の施策を組み合わせて選定する。
- KPI設定と導入ロードマップの策定: 選定した施策について、「利用率」「運動量変化」「欠勤率」などのKPIを設定し、3〜6ヶ月後の効果測定を前提とした具体的な導入ロードマップ(PoC)を策定する。
このロードマップを実行することで、貴社はコストを上回る健康と生産性のリターンを得て、持続的に成長できる企業基盤を確立できるでしょう。
【比較表】福利厚生のおすすめサービス
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