BtoBサービス、SaaS、IT製品を徹底比較!企業のDX推進、課題を解決!

SFA JOURNAL by ネクストSFA

【企業向け】身体障害者の雇用ガイド|障害別の仕事内容・必要な配慮・助成金を徹底解説

小島 伸介

【監修】株式会社ジオコード 管理部長
小島 伸介

株式会社ジオコード入社後、Web広告・制作・SEOなどの事業責任者を歴任。
上場準備から上場まで対応した経験を生かし、サービス品質の改善を統括する品質管理課を立ち上げ。その後、総務人事・経理財務・情報システム部門を管掌する管理部長に就任。

障害者雇用と聞いて、多くの人事担当者がまず思い浮かべるのが「身体障害」のある方かもしれません。しかし、そのイメージは「車椅子を利用している方」といった一部の姿に留まってはいないでしょうか。一口に身体障害といっても、その種類や程度、そして一人ひとりの能力や個性は千差万別です。

「身体障害」をひとくくりに捉えてしまうと、採用のミスマッチや、入社後の定着に繋がらないばかりか、多くの優秀な人材を見過ごす機会損失にもなりかねません。成功の鍵は、多様な障害特性を正しく理解し、それぞれの方に合った「環境」と「仕事」を適切に提供することにあります。

本記事では、企業の決裁者・人事責任者様が、身体障害のある方の雇用を成功させ、彼らを真の「戦力」として迎え入れるための完全ガイドとして、障害の多様性から、具体的な仕事内容、必要な配慮、そして活用できる助成金まで、網羅的に解説していきます。

おすすめの障がい者雇用支援・就労支援サービス

scroll →

会社名 特長 費用 対応地域
株式会社JSH 株式会社JSH 詳細はこちら
  • 継続率99.9%! グロース市場上場企業が提供する農園型支援サービス
  • 全国の企業に対応! 地方在住の障がいのある方を採用し、雇用機会の創出を通じて社会貢献を実現
  • 170社以上の導入実績あり! 完全屋内型の農園で、熱中症などの健康リスクが少ない
  • 複数人の看護師が常駐、万が一のときもすぐにサポートを受けられる
要お問い合わせ(初期費用+月額費用) 全国
株式会社エスプールプラス 株式会社エスプールプラス 詳細はこちら
  • 大手企業700社が選ぶ、農園型障がい者雇用支援サービスのリーディングカンパニー
  • 5,000名以上の雇用創出実績と92%の定着率を実現
  • 障がい者の採用から定着に向けた支援や、農園でのダイバーシティ研修をはじめ社内D&I推進への貢献に向けた支援を実施
  • 障がい者がモチベーション高く仕事に取組み、会社にも貢献する仕組みを提案
要お問い合わせ 全国
(関東・東海・関西エリアを中心に58カ所の農園を展開)
株式会社KOMPEITO 株式会社KOMPEITO 詳細はこちら
  • 【農園型障がい者雇用サービス】継続率はなんと100%! 初期費用は人材紹介料のみ、低コストで始めやすい
  • 障がい者の定着率は92%! 雇用前の実習で適性を判断するので採用ミスマッチが少ない
  • 雇用した方は農場で勤務! 農業の人手不足解消に貢献しつつ、勤務先からは委託料も受け取れる
  • 指示出しや出勤管理はサポーターに全てお任せ! 万が一1年以内に辞めてしまっても追加料金なしで人材を紹介してもらえる
要お問い合わせ 全国
株式会社HANDICAP CLOUD 株式会社HANDICAP CLOUD 詳細はこちら
  • 業界最大級のデータベースを活用! 1名から数百名まで適した人材をワンストップで紹介
  • 専属スタッフが付く! 企業のニーズや状況に合わせて無償で業務切り出し案・業務プロセス案を提示
  • 入社後も手厚い定着支援! ジョブコーチや支援員の他に看護師も常駐しており、医療の観点からも徹底サポート
要お問い合わせ 全国(人材紹介・採用支援・定着支援・サテライトオフィス)
株式会社ワークスバリアフリー(DYMグループ) 株式会社ワークスバリアフリー(DYMグループ) 詳細はこちら
  • 圧倒的な紹介スピード! 契約から20日以内で6名の入社が決まった実績あり
  • 全国の就労移行支援事業所と提携、即戦力を紹介できる
  • どんな依頼をすればよいか分からない場合でもOK! 企業と候補者に適した業務の切り出し方を提案
  • 産業医による月1回の面談もあり! 管理工数を削減しながら専門的なアドバイスをもらえる
要お問い合わせ 全国
特定非営利活動法人
ウェルメント 特定非営利活動法人ウェルメント 詳細はこちら
  • 【障がい者の方向け】就労継続支援A型とB型の事業所を運営! 意欲や能力に応じたステップアップ制度無料の送迎もあり
  • 毎日通えない方は在宅訓練を受けられる! A型は自給1,017円~、B型は時給500円~自宅でもリサイクルや組付け作業を行える
  • 利用時の行政手続きも安心! スタッフが徹底サポートするので不明点を解消できる
要お問い合わせ 滋賀県
株式会社スタートライン
  • 農園型やロースタリー型などの障がい者雇用支援サービスを提供
  • 1,460名以上の障害者の採用に関わってきた実績あり
  • 管理者向け・障害者向け研修を提供
要お問い合わせ 要お問い合わせ
株式会社エンカレッジ
  • 障がい者雇用に関する企業の課題に応じて、適切なサポートを実施
  • 新卒障害者採用サポートや定着支援などに対応
要お問い合わせ 要お問い合わせ
株式会社ゼネラルパートナーズ
  • 障がい者雇用支援は20年以上で、1万人以上の就職や転職サポートを行った実績あり
  • 人材紹介を始め、企業の障がい者雇用に関する業務設計や業務創出などのサービスを提供
  • 視覚障害者向けの「ヘルスキーパー雇用」などにも対応
要お問い合わせ 全国
マンパワーグループ株式会社
  • 実務経験あり、障がい種別の異なる100名ほどの人材が在籍
  • 260を超える支援機関と提携し、採用後の定着を支援
  • 障がい者のテレワーク導入の支援も可能
要お問い合わせ 全国
パーソルダイバース株式会社
  • 障害者雇用にまつわるさまざまなコンサルティングや支援が可能
  • 人材紹介や採用代行、定着・活躍支援なども可能
  • 群馬・神奈川・千葉の各地域と連携し、農福連携や焼菓子製造、カフェ運営などを実施
要お問い合わせ 要お問い合わせ
株式会社パレット
  • サテライトオフィスに専門のサポートスタッフが常駐し、就労者の定着を多方面からサポート
  • リスト作成
要お問い合わせ 要お問い合わせ
レバレジーズ株式会社
  • 障がい者雇用の採用課題に関するノウハウをレクチャーするセミナー実施
  • 就業に関するマインドの高い人材を紹介
  • 経理や営業、労務などの業務を任せられる
要お問い合わせ 要お問い合わせ
サンクスラボ株式会社
  • テレワーク&サテライトオフィスによる地方創生型の障がい者雇用サービス
  • 「IT×福祉」を掲げ、一人一台のパソコンを支給
  • 専門のコンサルタントが業務内容をヒアリング
初期費用0円
詳細については要お問い合わせ
要お問い合わせ(サテライトオフィスは沖縄と九州)

一括りにはできない身体障害の多様性

身体障害者雇用を検討する上で、まず不可欠なのが、その多様性を正しく理解することです。身体障害は、大きく「外部障害」と「内部障害」の二つに大別されます。

外部障害とは 

これは、外見から障害の存在が比較的わかりやすいものを指します。具体的には、以下のような障害が含まれます。

  • 視覚障害:全く見えない「全盲」から、見える範囲が狭い「視野狭窄」、光や色の識別が困難、視力が極端に低い「ロービジョン(弱視)」まで、その状態は様々です。
  • 聴覚・平衡機能障害:音が聞こえにくい「難聴」の方や、全く聞こえない「ろう」の方、また体のバランスを保つのが難しい平衡機能障害も含まれます。
  • 肢体不自由:上肢(腕・手指)、下肢(脚)、体幹など、身体の一部または広範囲にわたり、運動機能に永続的な困難がある状態です。車椅子の利用だけでなく、杖の使用や、特定の動作が難しいなど、一人ひとり状況は異なります。

内部障害とは 

一方、こちらは外見からは障害の存在が分かりにくいため、「見えない障害」とも呼ばれます。体内の臓器や器官の機能不全によるもので、以下のような障害が含まれます。

  • 心臓、じん臓、呼吸器、ぼうこう・直腸、小腸、肝臓の機能障害
  • ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫機能障害 ペースメーカーや人工関節を使用している方、人工透析を受けている方も内部障害者に含まれます。彼らは、疲れやすさ(易疲労性)を抱えていたり、定期的な通院や服薬、食事制限が必要だったりする場合があります。業務遂行能力には全く問題がなくても、こうした目に見えない配慮が必要なことを理解し、「外見で判断しない」という姿勢が極めて重要になります。この多様性の理解が、適切な業務設計と職場環境整備の基礎となるのです。

【業務設計編】身体障害のある方が「戦力」として活躍できる仕事とは?

身体障害のある方を雇用する際、「どんな仕事を任せればいいのか」と悩む必要はありません。「できないこと」に着目するのではなく、その方の残存機能や得意なこと、持っているスキルを「どう活かすか」という視点で業務を設計することが、彼らを「戦力化」する鍵となります。障害の種類別に、活躍が期待できる仕事の具体例を見ていきましょう。

視覚障害のある方 

視覚情報に頼らない業務や、PCスキルが求められる業務で高い能力を発揮することがあります。

  • 聴覚や対話能力を活かす仕事:コールセンターのオペレーター、電話での営業やカスタマーサポート、カウンセラー
  • 高いPCスキルを活かす仕事:音声読み上げソフト(スクリーンリーダー)を使いこなし、プログラマー、システムエンジニア、データ入力、Webライターとして活躍する方は多数います。

聴覚障害のある方 

音声コミュニケーションに制約がある一方、静かな環境で高い集中力を発揮したり、視覚情報を正確に処理したりすることを得意とする方が多いです。

  • 集中力・正確性を活かす仕事:データ分析、経理・会計、研究開発、プログラミング、CADオペレーター、精密機器の組み立てや検品
  • 視覚情報処理能力を活かす仕事:Webデザイン、DTPオペレーター、画像加工、動画編集

肢体不自由のある方 

移動や特定の身体動作に制約がある場合でも、PCスキルや専門知識を活かせるデスクワーク全般で活躍の場は無限に広がっています。

  • デスクワーク全般:一般事務、人事、総務、経理、営業事務、Webマーケティング、ITサポートなど、PCを使用するほとんどの業務が対象となります。在宅勤務との親和性も非常に高いです。

内部障害のある方 

多くの場合、業務遂行能力そのものに直接的な影響はありません。そのため、基本的には一般社員と同様の幅広い業務が可能です。ただし、疲れやすさや定期的な通院への配慮が重要となるため、勤務時間や働き方に柔軟性を持たせやすいデスクワーク系の職種が望ましい場合があります。本人の希望と体調を丁寧にヒアリングし、業務量を調整することが重要です。

【採用編】ミスマッチを防ぎ、自社に合う人材を見極めるポイント

適切な人材を採用することは、定着と活躍の第一歩です。身体障害のある方の採用プロセスでは、一般の採用とは異なる視点での工夫が求められます。

求人票には「職場のリアル」を具体的に記載する 

業務内容や給与といった基本的な情報に加え、身体障害のある方が応募を判断する上で重要となる物理的な環境情報を積極的に開示しましょう。例えば、「オフィスはビルの3階(エレベーター有り)」「最寄り駅からオフィスまで徒歩5分(坂道なし)」「多目的トイレ設置済み」といった情報は、応募者にとって非常に価値のある判断材料となります。また、在宅勤務やフレックスタイム、時差出勤といった柔軟な働き方が可能であれば、それを明確に記載することで、より多くの優秀な人材からの応募が期待できます。

面接では「できないこと」ではなく「どうすればできるか」を確認する 

面接は、応募者の能力を試す場ではなく、相互理解を深める場と位置づけましょう。「この障害で、この作業はできますか?」といった聞き方は、応募者に圧迫感を与え、不利益な取り扱いに繋がりかねません。代わりに、「この業務を行う上で、何か会社として配慮が必要なことはありますか」というように、本人が能力を発揮するために必要なサポートは何か、という視点で質問することが重要です。また、実務的な観点から、「通勤手段と通勤時間の負担はどの程度ですか」「定期的な通院の頻度はどのくらいですか」「体調が優れない場合の緊急連絡先や、会社に伝えておくべきことはありますか」といった点は、事前に確認しておくことで、入社後のスムーズな就労に繋がります。

双方の安心に繋がる「職場見学」の実施 

ミスマッチを防ぐ上で極めて有効なのが、選考段階での職場見学です。実際に執務を行うデスク周りや、毎日使用するトイレ、休憩室、また可能であれば通勤経路などを本人に直接確認してもらいましょう。これにより、本人は物理的な障壁がないか、安心して働ける環境かを事前に判断できます。同時に、企業側も、スロープの設置や机の高さ調整など、想定される具体的な配慮をイメージしやすくなるという大きなメリットがあります。この事前のすり合わせが、採用後の「こんなはずではなかった」を防ぎます。

【環境整備編】ハード・ソフト両面から考える「合理的配慮」の具体例

「合理的配慮」とは、障害のある社員が他の社員と平等に能力を発揮できるよう、企業が提供する調整や変更のことです。これは、物理的な設備を整える「ハード面」と、ルールや運用方法を工夫する「ソフト面」の両輪で考える必要があります。

◆ハード面の配慮(設備・機器)の具体例 

設備投資にはコストがかかるイメージがありますが、後述する助成金の活用も可能です。

  • 肢体不自由のある方向け:段差をなくすスロープの設置、手すりの取り付け、誰でも利用しやすい多目的トイレの整備、高さを調整できる電動昇降デスク、アームレスト付きの椅子、自動ドアの設置、専用駐車場の確保など。
  • 視覚障害のある方向け:文字を拡大して表示する拡大読書器、PC画面を音声で読み上げるスクリーンリーダーソフト、点字ディスプレイ、 glare(まぶしさ)を抑える照明の調整やフィルターの設置など。
  • 聴覚障害のある方向け:コミュニケーションを補助する筆談ボードやタブレット端末、PCでのチャットツール、電話の着信などを光や振動で知らせる通知機器の導入など。

◆ソフト面の配慮(ルール・運用)の具体例 

コストをかけずに、今すぐ始められる配慮も数多くあります。

  • 全般:定期的な通院のための中抜けや有給休暇の柔軟な運用、ラッシュを避ける時差出勤や在宅勤務制度の導入、産業医や相談窓口との連携体制の構築。
  • 視覚障害のある方向け:会議で使う資料の事前共有とテキストデータでの提供、データ入力時のダブルチェック体制、書類の代理読み上げや記入補助。
  • 聴覚障害のある方向け:会議での文字通訳者・手話通訳者の配置(オンライン会議では字幕機能の活用)、複数人が同時に話さないといったコミュニケーションルールの設定、業務連絡を口頭だけでなくチャットやメールで徹底。
  • 内部障害のある方向け:体調に応じて気兼ねなく利用できる休憩スペースの確保、業務中の定期的な休憩取得の推奨、緊急時の対応フロー(連絡先、対応者)の作成と関係者への事前共有。

設備投資や支援の不安を解消!身体障害者雇用で活用できる助成金

合理的配慮に伴う環境整備には、少なからずコストが発生する場合があります。企業の経済的な負担を軽減し、積極的な雇用を後押しするため、国は様々な助成金制度を用意しています。これらを戦略的に活用することで、企業の持ち出しを最小限に抑えながら、理想的な職場環境を構築することが可能です。

  • 職場環境の整備(ハード面)に活用できる助成金
    • 障害者作業施設設置等助成金:障害のある方が作業を容易に行えるようにするための設備(例:段差解消のスロープ、昇降装置、作業台)の設置や改造にかかる費用の一部を助成します。
    • 障害者福祉施設設置等助成金:保健施設、給食施設、教養文化施設といった、障害のある方の福祉の増進を図るための福利厚生施設の設置・整備費用の一部が対象となります。
  • 人的な支援(ソフト面)に活用できる助成金
    • 障害者介助等助成金:業務遂行に不可欠な支援者を配置する際の費用を助成します。具体的には、手話通訳担当者の委嘱、業務指導員の配置、通勤を援護するガイドヘルパーの委嘱などが対象です。
    • 職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援事業:助成金とは少し異なりますが、専門的な知識を持つジョブコーチが無料で企業を訪問し、本人と企業の双方に助言を行う、非常に心強い公的サービスです。
  • 採用そのものに対する助成金
    • 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース):ハローワーク等の紹介により、身体障害のある方を継続して雇用する労働者として雇い入れた場合に、賃金の一部が一定期間助成されます。採用コストを直接的に補填できる、非常にインパクトの大きい制度です。

これらの制度は、申請に際して一定の要件があります。まずは管轄のハローワークや労働局に相談し、自社が活用できる制度を最大限に活用する計画を立てましょう。

まとめ:適切な環境整備は、身体障害のある社員と企業の双方を成長させる「投資」

本記事では、身体障害のある方の雇用を成功させるためのポイントを、障害の多様性の理解から、業務設計、採用、環境整備、そして活用できる助成金に至るまで、網羅的に解説しました。

重要なのは、「身体障害」と一括りにせず、視覚、聴覚、肢体、内部といった多様な障害特性を正しく理解し、一人ひとりと真摯に対話しながら、必要な配慮を個別に見極めていく姿勢です。

ハード・ソフト両面での適切な環境整備は、一見すると「コスト」に思えるかもしれません。しかし、それは障害のある社員が持つ能力を最大限に引き出し、企業の生産性を高めるための、極めて合理的な「投資」です。そして、バリアフリー化されたオフィスや、誰にでも分かりやすいマニュアル、柔軟な働き方を認め合う文化は、障害の有無にかかわらず、全ての社員にとっての働きやすさに繋がり、組織全体のエンゲージメントと企業価値を向上させます。

とはいえ、専門的な設備導入や助成金の活用、個別の配慮事項の検討には、専門的な知識とノウハウが不可欠です。自社だけで全てを抱え込まず、障害者雇用支援の専門サービスをパートナーとして活用することが、成功への最も確実な近道となるでしょう。

ページ先頭へ戻る