レピュテーションリスクとは? 原因・企業への影響・対応策を解説
従業員の不適切な投稿や根拠のない噂などによって、企業が積み重ねてきた信頼が損なわれることがあります。SNSなどで情報が広がれば、顧客離れや取引の見直しにつながる可能性もあるため、日頃からの備えが欠かせません。
本記事では、レピュテーションリスクの意味や原因、企業への影響を事例とともに解説します。予防策や問題発生後の対応も紹介するので、自社が抱えるリスクを整理し、必要な対策を検討する際の参考にしてください。
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レピュテーションリスクとは?
レピュテーションリスクとは、企業に対する評判や信頼が低下し、売り上げや事業の継続などに悪影響が及ぶおそれを指します。「レピュテーション(reputation)」は、周囲からの「評判」や「評価」を意味する言葉です。
例えば、商品の品質に対する悪い評判を耳にした顧客が、購入を見送るケースが挙げられます。このように、企業への評価が顧客や取引先の判断を変え、経営上の損失につながる可能性を捉えた概念です。
そのため、評判の原因となる情報が事実かどうかにかかわらず、リスクは生じます。実際の問題への対応に加え、自社が周囲からどのように受け止められているかを把握することも大切です。
風評被害・炎上との違い
風評被害とは、根拠のない噂や誤情報、誤解などによって生じる被害を指します。これに対し、レピュテーションリスクには、実際の不祥事や品質問題によって評判が低下し、経営に影響するおそれも含まれます。
また、炎上とは、SNSなどで特定の企業や人物、言動に批判が集中し、拡散する現象です。炎上が「批判の集中・拡散」を指すのに対し、レピュテーションリスクは、それに伴う信用低下が顧客離れや取引停止などにつながる可能性に着目しています。
このように、3つの言葉は意味が異なりますが、風評被害や炎上をきっかけに、レピュテーションリスクが顕在化することがあります。
風評被害やSNS炎上の詳しい意味、対策については、以下の記事もご覧ください。
※内部リンク:「風評被害とは」「SNS 炎上」
レピュテーションリスクが注目される背景
レピュテーションリスクが注目される背景には、SNSの普及によって、企業に関する情報が広まりやすくなったことがあります。顧客や従業員など、誰もが気軽に発信でき、一人の投稿でも短時間で多くの人に共有される時代です。さらに、ニュースサイトなどに取り上げられることで、SNSを利用していない人にも情報が届きます。
一度広まった情報を、インターネット上から完全に削除するのは困難です。問題への対応を終えても、過去の投稿や記事が残り、企業への印象に影響し続ける場合があります。
また、企業への評価を左右するのは、商品・サービスの品質だけではありません。従業員の働く環境や企業倫理も、消費者や取引先が注目する要素です。そのため、情報の拡散に備えるとともに、日頃の業務や従業員への対応を見直し、信頼を損なう問題を防ぐことが求められます。
レピュテーションリスクを高める主な原因

レピュテーションリスクは、自社の不祥事や業務上の問題だけでなく、外部から広まる誤情報によっても生じます。また、問題発生後の対応により評判をさらに悪化させてしまうケースも珍しくありません。
ここでは、レピュテーションリスクを高める主な原因を5つに分けて解説します。
不祥事や法令違反
経営陣の不正や品質偽装、ハラスメント、不適切な労働環境などは、企業への信頼を損なう原因です。特定の役員や従業員による行為であっても、会社の管理体制や問題に向き合う姿勢が問われ、企業全体への不信につながります。
こうした問題は、内部告発をきっかけに明らかになることもあります。ただし、根本的な原因は告発そのものではありません。社内で行われていた不正や、改善されずに残っていた職場環境の問題が、評判を損なう要因です。
商品・サービスの品質や顧客対応の問題
商品の不具合や期待を下回るサービス、問い合わせへの不誠実な対応などは、顧客の不満を招きます。その不満が口コミやSNSで共有されれば、個別の商品や担当者だけでなく、企業全体への評価にも影響しかねません。
企業間取引でも、納品物の品質不足や納期の遅れ、担当者の対応などが信頼を損なう要因になります。特に、苦情への説明や改善が不十分な場合は、不満がさらに強まるおそれがあります。提供するものの品質と、その後の対応の両方が、企業の評判を左右するのです。
情報漏えいやSNSへの不適切な投稿
顧客の個人情報や取引先の機密情報が流出すると、企業の情報管理に対する信頼が揺らぎます。また、従業員が職場で撮影した不適切な写真や、他者を傷つける発言をSNSに投稿したことが、企業への批判につながる場合もあります。
個人のアカウントからの投稿でも、勤務先が分かれば、会社の教育や管理体制が問われかねません。公式アカウントの運用だけでなく、従業員による情報の取り扱いやSNS利用にも目を向ける必要があります。
誤情報や根拠のない噂の拡散
事実と異なる投稿や根拠のない噂が広まり、自社に落ち度がなくても信用が低下することがあります。情報を見た人が真偽を確認せずに共有すれば、誤った内容が事実であるかのように受け止められかねません。
また、同じ社名の企業と取り違えられたり、同業他社や取引先の問題から、自社にも不安の目が向けられたりする場合もあります。社内の管理を徹底していても、こうした外部からの影響を完全に防ぐことは困難です。自社に問題がないことだけで安心はできません。
不十分な説明や初動対応の遅れ
問題が発生した際、事実確認や関係者への説明が遅れると、顧客や取引先の不安・不信感が強まります。企業から十分な説明がないまま情報だけが広がれば、憶測や誤解を招くこともあるでしょう。
説明が曖昧だったり、発表する内容が食い違ったりすることも、信頼を損なう要因です。当初の問題に加え、「誠実に対応していない」といった批判を受ける可能性があります。このように、説明不足や初動対応の遅れによって、問題そのものだけでなく対応の姿勢も問われ、企業の評判がさらに悪化するおそれがあります。
レピュテーションリスクが企業に与える影響
企業への評判が低下すると、顧客や取引先、従業員、投資家などの判断や行動が変わり、経営に影響が及びます。売り上げの減少に加え、人材の確保や資金調達、日々の業務にも支障が生じかねません。
ここでは、企業に与える主な影響を4つ紹介します。
顧客離れや取引停止による売り上げの減少
企業や商品に悪い評判が広がると、顧客が購入を控えたり、他社の商品・サービスに切り替えたりする可能性があります。新規顧客を獲得しにくくなるだけでなく、既存顧客との契約更新にも影響するため、売り上げの減少につながりかねません。
企業間取引でも、取引先が自社の信用や事業の継続性に不安を抱き、発注の縮小や取引停止を判断する場合があります。商談中の案件が保留になるなど、将来の売り上げにつながる機会を失うおそれもあります。
応募者の減少や従業員の離職
企業の悪い評判は、採用活動にも影響します。労働環境や経営姿勢に不安を感じた求職者が応募を控えたり、内定を辞退したりすると、必要な人材の確保が難しくなるでしょう。
影響を受けるのは、入社を検討している人だけではありません。働いている従業員も会社への信頼や仕事への誇りを失い、意欲の低下や離職につながる場合があります。採用が難しくなる一方で人材の流出も進めば、業務に必要な人員を維持しにくくなるおそれもあります。
株価や企業価値の低下
企業への信頼が揺らぐと、投資家が将来の業績や経営の安定性を不安視し、投資を見直す可能性があります。上場企業では、株式を売却する動きが広がり、株価の下落につながることもあるでしょう。
こうした影響は、非上場企業も無関係ではありません。金融機関や出資者からの信用が低下すれば、融資や出資を受けにくくなったり、条件が厳しくなったりする場合があります。評判が悪化すると将来性への評価も下がり、事業に必要な資金を確保しにくくなるおそれがあります。
信頼回復にかかる費用や業務負担の増加
失った信頼を取り戻すには、原因調査や顧客・取引先からの問い合わせ対応、広報活動などに人員と費用を充てる必要があります。弁護士や風評被害対策の専門会社に支援を依頼する場合は、その費用も負担となるでしょう。
また、批判が落ち着いたからといって、対応が終わるとは限りません。改善策の実施や、顧客・取引先への進捗の説明などを継続する必要があります。対応が長引けば、通常業務に使える時間が減り、担当者の負担も増すなど、日々の業務にも影響が残ります。
レピュテーションリスクが顕在化した事例
ここでは、レピュテーションリスクが顕在化した3つの事例を紹介します。それぞれの経緯や企業への影響を、自社の対策に生かせるポイントとともに見ていきましょう。
| 事例 | 起きたこと | 企業への影響・学べる点 |
| 船場吉兆 | 賞味期限や食品産地の偽装などが発覚。従業員や納入業者に責任があるとする説明も、信用を失う結果となった | 相次ぐ不祥事によって信頼を失い、廃業に至った。不正を防ぐ管理体制に加え、問題発覚後の説明や対応も重要 |
| ローソンの加盟店 | 店員が店内の冷蔵ケースに寝転がった写真がSNSで拡散し、衛生面などへの批判が集まった | 当該店舗とのフランチャイズ契約が解除された。従業員個人の行動でも店舗の営業に影響するため、日頃の教育が不可欠 |
| 豊川信用金庫 | 友人同士の冗談が、経営状態を不安視する噂に変わって広まり、預金の引き出しが相次いだ | 根拠のない噂でも、人々の不安が実際の行動につながることを示す事例。誤情報を早期に把握し、正確に説明できる備えが必要 |
船場吉兆やローソンの加盟店は実際の問題が評判を損なった事例であり、豊川信用金庫は根拠のない噂による被害です。原因を区別したうえで、自社にも起こり得るリスクとして備えることが大切です。
風評被害の事例を詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
※内部リンク:「風評被害事例」
自社のレピュテーションリスクを把握するチェック項目
自社のリスクを把握するには、社内の業務や従業員の行動、社外の投稿など、発生源ごとに確認すると整理しやすくなります。以下を参考に、問題の兆候や対策が不足している項目を確認しましょう。
| 発生源 | 想定されるリスク | 確認方法 |
| 経営・職場環境 | 不正、ハラスメント、不適切な労働環境 | 社内の点検結果や従業員アンケート、相談内容を確認する |
| 商品・サービス・顧客対応 | 品質への不満、対応の不備 | 苦情や問い合わせの履歴、顧客アンケートを確認する |
| 情報管理・SNS利用 | 情報漏えい、不適切な投稿 | 情報の取り扱いルールやSNS利用・運用の実態を確認する |
| 社外の投稿・報道 | 誤情報や根拠のない噂の拡散 | 社名・商品名で検索し、SNSや口コミ、報道の内容を調べる |
| 問題発生時の対応体制 | 報告・判断の遅れ、説明の食い違い | 緊急連絡先や役割分担、対応手順が共有されているか確認する |
悪い口コミがあるだけで判断せず、事実関係や具体的な内容も確かめることが大切です。確認結果から懸念点と現在の対策を整理し、不足している取り組みの検討につなげましょう。
レピュテーションリスクへの対策

企業への評判を把握し、業務改善や関係者とのコミュニケーションを通じて信頼の維持・向上を図る取り組みを「レピュテーションマネジメント」といいます。問題発生後の対応に加え、日頃の管理や教育、情報収集も重要です。
業務上の問題を防ぐ管理・コンプライアンス体制を整える
品質管理や情報管理、労働環境など、業務上の問題を防ぐための社内ルールとチェック体制を整えましょう。確認する項目や担当者を明確にし、現場だけでなく、管理部門なども業務の実態を点検できるようにします。
また、不正やハラスメントなどを相談・通報できる窓口を設けることも大切です。従業員が安心して声を上げられれば、問題の早期把握につながります。ルールや窓口を設けるだけで終わらせず、寄せられた情報を調べ、必要な改善まで進めることで、評判低下の原因となる問題を減らしていきましょう。
SNS利用・運用のルールを定め、従業員研修を行う
従業員個人のSNS利用については、機密情報や個人情報の取り扱い、職場での撮影などに関するルールを定めます。その上で、個人の投稿が企業への批判につながる可能性を、研修で具体的に伝えましょう。
企業アカウントでは、投稿内容の確認・承認の手順や、コメントへの対応方針を明確にすることが大切です。問題が起きた際の報告先も決めておけば、担当者が一人で判断を抱え込まずに済みます。
ルールは周知して終わりにせず、事例を交えた研修を継続しましょう。研修で扱うテーマや内容については、以下の記事も参考にしてください。
※内部リンク:「SNS研修ネタ」
Webサイト・SNSを継続的にモニタリングする
社名や商品名などを検索し、SNSの投稿、口コミ、検索結果、報道を継続して確認しましょう。自社への不満や誤情報を早期に把握できれば、事実確認や対応の判断を進めやすくなります。
確認する担当者と報告先を決め、気になる情報を見つけた際に共有できるようにしておくことも大切です。情報を集めるだけでなく、対応の必要性を判断する流れまで整えましょう。
対象が多く、自社だけでの確認が難しい場合は、監視ツールや外部支援の利用も選択肢です。ツールの機能や特徴を比較したい方は、以下の記事をご覧ください。
※内部リンク:「SNS監視ツール比較」
顧客・取引先の声を把握し、正確な情報を発信する
問い合わせやアンケート、日常の取引で寄せられる意見から、顧客・取引先の不満や要望を把握しましょう。担当者だけで抱え込まず、関係部署で共有し、商品・サービスや対応方法の改善に生かすことが大切です。
寄せられた疑問や懸念には、事実を確認した上で回答します。また、意見を受けて改善したことがあれば、変更点やその後の状況も伝えましょう。
相手の声に耳を傾け、改善と説明を重ねることが、信頼関係を保つ上で欠かせません。企業から一方的に発信するだけでなく、相手の声を聞く機会を持つことも重要です。
危機管理の体制と対応手順を整える
問題が起きたときに迅速に動けるよう、経営層・広報・法務・人事などの役割と、対応方針を決める責任者を明確にしましょう。緊急連絡先や社外への発信窓口も、関係者に共有しておく必要があります。
対応マニュアルには、休日を含む連絡方法、事実確認の進め方、公表の要否を判断する手順などをまとめます。実際の問題を想定した訓練を行い、連絡や判断が滞る箇所を見直すことも大切です。
また、社内だけでは判断が難しい事態も考えられます。弁護士や危機管理の専門家など、外部の相談先もあらかじめ確保しておくとよいでしょう。
レピュテーションリスクが顕在化したときの対応
自社への批判や評判の低下が表面化したら、あらかじめ定めた体制に沿って対応を始めましょう。事実確認、関係者への説明、情報発信は、状況に応じて並行して進めます。以下では、対応時に押さえたいポイントを解説します。
事実関係と情報の広がりを確認する
まずは関係部署から情報を集め、問題の経緯を調べましょう。社内で把握した内容と、SNSや報道で伝えられている内容を照らし合わせ、確認できた事実と未確認の情報を整理します。憶測による否定や謝罪を避けるためにも、対応に関わる部署で認識をそろえることが大切です。
併せて、情報が掲載されている媒体や、投稿が共有されている範囲も確認しましょう。何がどこまで広まっているかを把握することで、対応の優先順位を判断しやすくなります。
関係者への説明と適切な情報発信を行う
顧客や取引先などには、確認できた事実と今後の対応方針を速やかに説明しましょう。調査中の事項はその旨を伝え、分からない部分を推測で補わないことが重要です。
自社に問題がある場合は、被害や迷惑をかけた相手への謝罪と改善方針の説明が必要になります。一方、誤情報による被害の場合は、事実に基づく訂正を中心に説明します。
また、個別に伝える内容と、公式サイト・SNSで公表する内容に食い違いがないよう注意しましょう。どの窓口でも一貫した説明を行うことが、関係者の混乱を防ぐ上で大切です。
誤情報や誹謗中傷には内容に応じて対処する
誤情報を訂正する際は、誤りが確認できた箇所と、それを裏付ける根拠を具体的に示しましょう。単に否定するだけでなく、読み手が事実を理解できるよう説明することが大切です。
誹謗中傷など、権利侵害が疑われる投稿については、WebサイトやSNSの運営者への削除相談や、弁護士への相談を検討します。削除の可否は投稿内容によって異なるため、判断に迷う場合は専門家に相談しましょう。
投稿の監視や状況整理には、風評被害対策の専門会社の支援も活用できます。依頼前に、自社が必要とする業務を任せられるか、対応範囲を確認しておくとよいでしょう。
原因を改善し、再発防止策を継続する
自社に問題があった場合は、その原因に応じて管理体制や業務手順を見直しましょう。誤情報による被害の場合も、発見や連絡の遅れなど、今回の対応で明らかになった課題を改善することが大切です。
改善策を実行した後は、進捗を確認し、必要に応じて顧客や取引先にも伝えます。謝罪や方針の発表だけで終わらせず、実際に何を変えたのかを示しましょう。
対応後も評判や問い合わせの変化を追い、得られた気付きを社内ルールや研修、監視項目に反映します。こうした取り組みを継続することが、再発の防止と信頼の回復につながります。
まとめ
レピュテーションリスクとは、企業への評判や信頼が低下し、経営に悪影響が及ぶおそれのことです。不祥事や品質問題だけでなく、根拠のない噂によっても生じるため、自社に落ち度がない場合も備えは欠かせません。
まずは自社が抱えるリスクと現在の対策を整理し、管理体制の整備や従業員研修、モニタリングなど、必要な取り組みを進めましょう。問題が表面化した際は、事実に基づいて対応を判断し、関係者への説明と、その後の改善を続けることが大切です。
社内だけでは監視や状況整理に手が回らない場合は、外部支援の活用も検討できます。以下の記事では風評被害対策サービスを比較して紹介しています。各社の特徴や対応範囲を確認し、自社の課題に合う相談先を探してみてください。

