更新日:2024/09/18
リファレンスチェックは新卒採用に向いていない?実施の注意点や代案をご紹介
【監修】株式会社ジオコード マーケティング責任者
渡辺 友馬
リファレンスチェックは海外や外資系の企業で一般的な選考方法であり、近年日本の一般企業でも導入が進んでいます。リファレンスチェックの導入を検討している企業担当者の方の中には、どのような場面で実施すべきか迷っている場合もあるかもしれません。
本記事では、新卒採用におけるリファレンスチェックについて解説します。また企業がリファレンスチェックを実施するメリットや、リファレンスチェックを実施する流れなどもご紹介します。
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また、おすすめのリファレンスチェックサービスの比較は、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
この記事の目次はこちら
新卒採用におけるリファレンスチェックの効果は期待できない
結論から述べると、新卒採用ではリファレンスチェックの効果は期待できません。新卒採用にリファレンスチェックが向いていない理由は、推薦者の少なさと、推薦者と採用候補者の関係性の曖昧さが挙げられます。
リファレンスチェックとは、採用候補者と実際に働いたことのある第三者(推薦者)に対して、以下に挙げるような内容を確認する調査のことです。
- 採用候補者が企業に提示している経歴や実績が事実なのか
- 採用候補者の業務姿勢や勤務態度、人柄などがどのようなものか。
※関連記事:「リファレンスチェックとは?やり方と内容を解説【2024年1月更新】」
リファレンスチェックの推薦者は、採用企業ではなく採用候補者自身が指名します。リファレンスチェックで確認されるのは、仕事に関する内容のみで、プライベートやその他仕事と関係ない内容は調査されません。
中途採用でリファレンスチェックを行う場合では、現職または前職の上司や同僚、部下が推薦者となります。しかし新卒採用の場合、そもそも職歴がほとんどないので対象となる推薦者が少ない傾向にあります。新卒採用では、親族や友人、大学の先生、アルバイト先の関係者が候補となるでしょう。
親族や友人など採用候補者と近い関係の人物を推薦者とする場合、採用候補者を応援したいがためにリファレンスチェックで良い面ばかり答えてしまい、採用に関わる情報としては信憑性に欠ける可能性もあります。
同じアルバイト先の関係者が推薦者になる場合も同様です。実際にどの程度採用応募者の業務内容やスキル、人柄を把握できているのか曖昧なため、正確な情報を得られるとは限りません。
リファレンスチェックには、忖度のない第三者の観的な視点が求められます。採用候補者と近い人物や、関係性が曖昧な人物が推薦者となる新卒採用では、本来のリファレンスチェックの目的を果たせないでしょう。そのためリファレンスチェックは新卒採用に向いていません。
リファレンスチェックを実施する企業側のメリットは3つ
リファレンスチェックを企業が実施するメリットは、主に以下の3つです。詳細について解説していきます。
- 1. 採用活動の効率化
- 2. ミスマッチによる早期離職の防止
- 3. 経歴詐称の防止
1. 採用活動の効率化
1つ目のメリットは、採用活動を効率化できる点です。リファレンスチェックによって、効率的に自社が求める人材かどうかを確認することが可能です。また採用候補者のストレス耐性やコミュニケーション能力など、書類や面接だけでは確認しにくい面も把握できます。
またリファレンスチェックはオンライン上でも実施できます。リファレンスチェックのWebサービスを利用すれば、採用担当者が推薦者に電話での聞き取りをする工数も省けるので、スムーズに採用活動を進められるでしょう。
2. ミスマッチによる早期離職の防止
2つ目のメリットは、採用候補者が入社した後に早期離職を防ぎやすいことです。 採用候補者のスキルや経験が採用条件を満たしていたとしても、社風に合わなければすぐに離職されてしまう可能性もゼロではありません。リファレンスチェックを実施することで、採用候補者の人柄や仕事中の様子、行動パターンなどを具体的に把握できます。企業文化や環境を照らし合わせることで、採用候補者と企業の相性を見極められるようになるでしょう。
3. 経歴詐称の防止
3つ目のメリットは、経歴詐称対策になる点です。採用候補者から聞いていた実績や学歴、勤務年数などを推薦者に確認することで万が一、経歴を詐称されていた場合に見抜けるようになります。リファレンスチェック以外で採用候補者の提示する情報を確認する手段は限られているため、リファレンスチェックは経歴詐称対策に大きな役割を果たします。
リファレンスチェックを実施する流れ
リファレンスチェックは、一般的に以下の順に沿って実施します。
- 1. 採用企業:採用候補者からリファレンスチェックの同意を得る
- 2. 採用候補者:推薦者候補リストを作成する
- 3. 採用候補者:リファレンスチェックに協力してもらう推薦者を決める
- 4. 採用企業:推薦者への質問事項を作成する
- 5. 採用企業:採用候補者へリファレンスチェックの案内を送付する
- 6. 採用候補者:推薦者へリファレンスチェックの協力を依頼する
- 7. 採用企業と推薦者:リファレンスチェックを実施する
リファレンスチェックを実施する前の推薦者のリストアップや依頼は採用候補者自身に行ってもらいます。時間が合わない、忙しいという理由で推薦者に協力を断られてしまう可能性も考慮しておきましょう。採用候補者には、リファレンスチェックを実施する人数の2倍の推薦候補者をリストアップしておいてもらうと、柔軟に対応しやすくなります。一般的に、リファレンスチェックで必要となる推薦者は、候補者1人につき2〜4人です。
新卒採用でリファレンスチェックを実施する際の注意点
新卒採用でリファレンスチェックを実施する場合には、以下の点に注意が必要です。それぞれについて詳細を解説します。
- 採用候補者の同意を得る
- 他の選考結果と合わせて判断する
- 内定を出す前に実施する
採用候補者の同意を得る
1つ目の注意点は、採用候補者の同意を得ることです。中途採用や新卒採用に限らず、リファレンスチェックの実施には採用候補者の同意が必要です。個人情報に関わるため、企業側の独断で進めることはできません。
採用候補者の同意なしにリファレンスチェックを進めることは個人情報保護法に抵触することになり、違法になります。リファレンスチェックの実施方法を細かく説明し、入社前にミスマッチを防げるなどメリットがあることを説明した上で、採用候補者に同意を得てから進めるようにしましょう。
他の選考結果と合わせて判断する
2つ目の注意点は、他の選考結果と合わせて判断することです。リファレンスチェックの結果だけで判断するのではなく、面接や書類選考の結果と合わせて採用候補者の合否を見極めましょう。特に新卒採用はポテンシャル採用となるため、慎重に採用候補者を評価する必要があります。
また前述した通り、職歴のない採用候補者のリファレンスチェックを実施しても、その結果の信憑性は定かではありません。リファレンスチェックの結果に過度に頼るのではなく、採用候補者を見極めるための情報の一つとして扱い、選考全体を通して総合的に判断することが重要です。
内定を出す前に実施する
3つ目の注意点が、内定を出す前にリファレンスチェックを実施することです。内定後にリファレンスチェックを行ったとしても、経歴詐称や犯罪歴などが発覚した場合以外は原則、内定を取り消すことはできません。
認められていない理由で内定を取り消した場合、事実が拡散して企業イメージが下がるだけでなく、内定を取り消された採用候補者から損害賠償を求める訴訟問題まで発展する可能性もあります。そのためリファレンスチェックは内定前に実施し、合否を見極める判断材料としましょう。
新卒採用にはリファレンスチェックよりもバックグラウンドチェックやSNSチェックの方が適している
新卒採用では、リファレンスチェックよりバックグラウンドチェックを導入する方が適しています。
バックグラウンドチェックでは、採用候補者の身元照会・調査を行えます。バックグラウンドチェックで調査できるのは主に以下の3点です。
- 学歴や資格、表彰歴などの経歴
- 金融機関の信用調査
- 暴力団やそれに準ずる団体などの反社チェック
リファレンスチェックとは異なり、推薦者を立てる必要はありません。学校や信用情報機関などへの調査を依頼するのみで完結し、新卒採用でも実施できます。
また現代では、SNSをチェックして採用候補者の素行調査もできます。不適切な発言をしていないか、企業に対する不満を記載していないかなど、SNSは日常の振る舞いを評価する貴重な資料です。
バックグラウンドチェックやSNSチェックなど、リファレンスチェック以外の選択肢も検討した上で、新卒採用に効果的な手段を選択することが大切です。
新卒採用ではバックグラウンドチェックが有効
中途採用なのか新卒採用なのかによって、リファレンスチェックの実施が適切かどうか異なります。
中途採用ではリファレンスチェックによって、効率的に採用を進められるだけでなく採用候補者と採用企業のミスマッチを防げるなど、さまざまなメリットがあります。
しかし新卒採用では、客観的に採用候補者の勤務態度や人柄などを共有できる推薦者を集めにくいためリファレンスチェックは不向きです。採用候補者の身近な人を推薦者に指名すると採用候補者にプラスとなる意見ばかり集まり、アルバイト先など関係性が曖昧な人の場合には情報の信憑性が疑われます。
新卒採用では推薦者が不要なバックグラウンドチェックがおすすめです。バックグラウンドチェックでは採用候補者の経歴の確認や信用情報、反社チェックなどを行えます。SNSチェックによっても、不適切な言動がないか、伏せなければならない情報を公開していないかなど、採用候補者の人柄や普段の振る舞いを確認できるので実施を検討してみてください。
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