法人向け福利厚生サービスとは? 気になるコスト面・メリット・種類を徹底解説
【監修】株式会社ジオコード マーケティング責任者
渡辺 友馬
企業の成り立ちとともに、従業員を底支えする制度として運用されるようになった福利厚生は、時代とともに質も種類も大きく変わってきました。従業員のニーズに合わせ、「この企業にいて良かった」と感じてもらえる福利厚生の必要性が高まっている昨今、注目されているのが法人向け福利厚生サービスです。本記事では法人向け福利厚生サービスとはどのようなものなのか、メリットやデメリットとともに詳しく解説します。
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法人向け福利厚生サービスとは?
福利厚生とは給与や賞与、また現金やすぐに換金できるもの以外で、全ての従業員に会社から提供する施策や取り組みのことです。従業員のモチベーション向上や会社への信頼感アップ、健康維持、リフレッシュなどが目的です。近年働き方改革が推進されたことで、従業員一人ひとりへの支援が重視されるようになりました。魅力的な福利厚生があることは、良い人材を確保し、維持するためにも欠かせない要素となっています。
そこで新たな課題として浮き彫りになったのが「福利厚生をどうやって充実させるか」という点です。福利厚生の導入には当然ながら費用がかかります。独自の福利厚生を創出すること、また利用に関連する手続き、管理などを考えると、企業の総務部が請け負う負担は、福利厚生の幅が広がれば広がるほど増えることになります。
そうした流れの中で注目されているのが、法人向け福利厚生サービスです。これまで社内で行っていた福利厚生に関するさまざまな業務をアウトソーシングできるため、種類豊富な福利厚生を利用できるだけでなく、本来総務部などが担う事務的負担を軽減できます。自社に合った魅力的な福利厚生を導入したい、しかし負担は減らしたい、と考えているなら法人向け福利厚生サービスはとても魅力的なサービスといえるでしょう。
福利厚生サービスの利用にかかるコスト
法人向け福利厚生サービスの多くは月額料金制で、内容に応じて金額は変わりますが、従業員1人当たり月額300円~1,200円程度が相場です。
厚生労働省が発表した「令和3年就労条件総合調査の概況」によると、常用労働者 1人1カ月当たりの平均法定外福利費は4,882円となっていました。法定外福利厚生費とは、社会保険などの企業に支払いの義務がある福利厚生費以外の福利厚生にかかる費用のことです。
つまり企業が独自に導入する福利厚生にかかっている費用は、法人向け福利厚生サービスを利用した場合よりはるかに高いことが示されたわけです。コストを抑え、企業だけでは導入が難しいさまざまな種類の福利厚生を利用できる点で、法人福利厚生サービスの魅力度はかなり高いといえるでしょう。
※参考:厚生労働省.「令和3年就労条件総合調査の概況」.
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/21/dl/gaikyou.pdf ,(2024-11-10).
福利厚生サービスを利用するメリット
法人が福利厚生サービスを利用することには次のようなメリットがあります。
- 企業のイメージアップにつながる
- 求職者が集まりやすい
- 法人税を節約できる
法人向け福利厚生サービスは多様化しており、近年の健康志向に合わせたメニューを用意しているサービスも多くなりました。また育児、介護に関連した福利厚生など働く子育て世代、介護世代をターゲットにしたメニューを提供しているサービスもあります。
こうした福利厚生サービスの導入は、経営基盤のアピールになるだけでなく、従業員のことを考えている企業と印象づけられ、イメージアップにつながるメリットがあります。求職者も集まりやすくなるため、良い人材を確保したいと考えている企業にも有利に働くでしょう。さらに福利厚生のために支払った費用は、福利厚生費として経費計上できます。非課税となるため、節税効果も期待できるメリットがあります。
福利厚生サービスを利用するデメリット
一方で法人向け福利厚生サービスを利用する際には、知っておくべきデメリットもあります。
- 全ての従業員の要望に応えるのは難しい
- 制度廃止の際に従業員の理解を得る必要がある
- コストがかかる
いくら多様なサービスを備えている法人向け福利厚生サービスを利用したとしても、全ての従業員の要望に応えられるわけではありません。また経営サイドの方針で福利厚生サービスを廃止する場合には、従業員の理解を得る必要があります。導入・廃止いずれのタイミングでも、従業員から不満が出る可能性がある点はデメリットでしょう。
法人向け福利厚生サービスは、企業が独自に導入する福利厚生と比べて低予算で導入できる傾向にあるとはいえ、一定の費用がかかる点も押さえておく必要があります。
福利厚生サービスは本当に必要? 導入するメリットとデメリットを徹底解説
福利厚生のトレンドは変わりつつある
福利厚生が多様化する中で、そのトレンドは年々変化しつつあります。従業員から必要とされ、求職者から注目される福利厚生を導入するには、時代のトレンドに合わせて福利厚生の内容を選ぶことが必要です。
ハコモノからヒトモノへ
明治時代から導入されたといわれる福利厚生は、もともと「労働者の面倒を見る」という側面が強い制度でした。工場勤務の労働者が病気などで働けなくなった場合の補填として、手当などを支給していたのです。そうしたいわば“企業の恩恵”という形を持っていた福利厚生が徐々に制度化され、バブル期になると娯楽の側面が強いものも登場してきます。いわゆる「ハコモノ」と呼ばれた、社宅や保養施設などです。
しかし近年ではこのハコモノにメリットを見出す従業員は減り、「ヒトの支援」が重視されるようになってきました。記事内でも紹介した育児や介護に関連するサービスはその代表例ともいえるでしょう。健康志向の高まりを受けて、スポーツジムなどを安く利用できるサービスや、スキルアップを支援する制度を福利厚生として導入する企業も多くなっています。
これらは従業員一人ひとりを大切に考える福利厚生として、ハコモノに対して「ヒトモノ」と呼ばれます。よりニーズに合った福利厚生を導入すれば、人材確保を狙うだけでなく、人材育成によって人手不足解消を狙うこともできるでしょう。「ヒト」を支援する「モノ」つまり福利厚生サービスが、現代のトレンドの傾向なのです。
おすすめの法人向け福利厚生サービスの種類
法人向け福利厚生サービスには大きく分けて2種類あります。それぞれの特徴を詳しく解説します。
パッケージプラン型
法人向け福利厚生サービスの種類の一つに「パッケージプラン」があります。パッケージプランではリゾート施設宿泊、レストラン、レジャー、フィットネス、保育、介護など暮らしのサポート、スキルアップのための教育サービスなど、さまざまな福利厚生メニューがパッケージ化されています。個別に契約する必要がないため、コストを抑えられるのも特長。ただパッケージの中身が変更できない場合、利用されない不要なメニューが入り込む可能性もあります。
パッケージプランが適している企業の特長
パッケージプランが向いているのは、以下のような特長がある企業です。
- 従業員層が多様な企業
- コストを抑えて豊富な福利厚生を導入したい企業
- 福利厚生運用に必要な社内リソースを抑えたい企業
- スケールメリットを得たい企業
パッケージプランには複数のメニューが含まれているため、従業員層が多様でさまざまなニーズがある企業が導入するのに向いています。比較的低価格で導入できるため、コストを抑えたいと考えている場合にも有効でしょう。
福利厚生の運用はサービス提供会社に任せられるため、管理の手間を大きく減らせます。またトレンドの福利厚生を取り入れやすいため、スケールメリットを得ることにもつながります。
カフェテリアプラン型
カフェテリアプラン型では、従業員のニーズを加味した自社に合ったメニューを自由に選択できます。従業員には一定期間ごとにポイントが支給され、ポイントを消費して好きな福利厚生メニューを利用します。ポイントの付与で利用を促せるため、福利厚生に対する平等性を維持しやすいのも特長です。一方でカフェテリアプランの場合、従業員のニーズを正しく聞き取り、予算などと合わせて適切なメニューを選択しなければいけません。また付与されたポイントを翌年度に持ち越せない場合、使い切れない可能性があります。
カフェテリアプランが向いている企業の特長
カフェテリアプランが向いているのは、以下のような特長がある企業です。
- 従業員のニーズを反映させた福利厚生を導入したい企業
- 福利厚生を効率的に利用したい
- 他社との差別化を図りたい
- 人材確保や従業員のモチベーション向上を狙いたい企業
企業独自に福利厚生メニューをカスタマイズできるため、従業員のニーズをくんで反映させたいと考えている企業に向いています。ポイントの消費で福利厚生が利用できるため利便性が高く、効率的な運用が見込めます。また独自の福利厚生を導入しやすいので他社との差別化が図りやすく、人材確保を狙う企業にも向いているでしょう。従業員のニーズを反映することで、モチベーション向上にも寄与しやすいプランです。
まとめ
法人向け福利厚生サービスは、自社で独自にさまざまな福利厚生施設などを契約し管理しなくても、豊富な福利厚生メニューを利用できるアウトソーシングサービスです。企業の特長に合わせて、パッケージプランとカフェテリアプランから選び、従業員の満足度向上や人材確保、人材流出防止に役立つ魅力的な福利厚生の導入を検討しましょう。
【比較表】福利厚生のおすすめサービス
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要問い合わせ | トラベル体験、リゾートワークの支援 |
OFFICE DE YASAI |
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SANU 2nd Home for Business |
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・初期費用:0円 ・年間泊数 30泊 / 90,000円(/月)~ ・清掃費(1室1滞在) 3,300円 |
保養所の利用サービス |
オフィスおかん |
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置き型の社食サービス おかず 副菜 汁物 ご飯・パン など |
チケットレストラン |
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