更新日:2024/11/27
営業報告書(営業日報)の目的は?記載すべき内容や作成例、作成するメリットやポイントなどを解説
【監修】株式会社ジオコード マーケティング責任者
渡辺 友馬
営業報告書は、営業担当者が実施した営業活動を管理者や上司に報告するための文書です。単に報告を目的に作成されているケースも多いですが、営業報告書は営業担当者個人の成長促進や営業チーム全体の成長促進、営業戦略の見直しや情報共有など、さまざまな活用方法があります。営業報告書を作成すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。
本記事では営業報告書の概要や作成する目的、記載すべき内容や作成例、営業報告書のメリット・デメリット、効果的な営業報告書を作成するためのポイントなどをまとめました。営業報告書を作成する負担を軽減し、効果的に活用するには、ツールを導入するのも一つの方法です。営業報告書作成におすすめのツールもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次はこちら
営業報告書(営業日報)とは?
営業報告書(営業日報)とは、営業担当者が営業活動の内容をまとめ、管理者や上司に報告するための文書です。
企業には多くの営業担当者がおり、それぞれが異なる営業活動を行っています。企業やチームとして一つの目標の達成を目指すには、チームや個人でどのような活動を行っているのかを管理者が把握し、その内容から今後の課題や改善点を導き出さなければなりません。
しかし口頭で営業活動の内容を報告すると、説明が十分でなかったり、伝達ミスが出たりして、認識のズレが起こってしまうことも多いです。営業報告書を作成して内容を正確かつ簡潔にまとめれば認識のズレが起きにくくなるので、状況に応じた対応や改善ができるようになるでしょう。管理者や上司が全体の営業活動を把握できる他、営業担当者同士での情報共有もスムーズにできます。
営業報告書の作成方法は企業によってさまざまです。メールで報告しているケースもあれば、エクセルなどを使って管理している企業もあります。近年は営業報告書専用のアプリケーションや、その他のツールを使って管理する企業も増えてきました。
営業報告書は営業日報と呼ばれることもあり、基本的に毎日作成して提出するものです。また週ごとに作成する「週報」や、月ごとに作成する「月報」を作成するケースもあります。日報は毎日の営業活動の詳細を伝えるのに役立つ文書ですが、週報や月報はより広い視点で営業活動を見直せるため、どちらも作成することで営業活動のさらなる改善に役立てることができるでしょう。
営業報告書(営業日報)を作成する目的
営業報告書(営業日報)を作成する目的を大きく分けると、管理者視点での目的と営業担当者視点での目的があります。より効果的な営業報告書を作成するために、二つの視点から見る目的をそれぞれ把握しておきましょう。
管理者視点での目的
管理者視点で見た営業報告書作成の目的は、各営業担当者の営業活動を把握するためです。
部下をマネジメントし、チームや企業としての目標を達成するには、管理者が各営業担当者の営業活動の内容や課題、現状などを把握しなければなりません。しかし営業は個人の裁量が比較的大きいため、意識して管理していなければ、トラブルが起きた際に対応が遅れ、大きな損失を被ってしまうことがあります。
適切な営業戦略を遂行するためには、管理者が営業報告書を通して各営業担当者の活動内容を知り、逐一問題点を把握しておくことが大切です。必要に応じて適切な対応が取りやすくなるため、トラブルが未然に防ぎやすくなる他、万が一損失が出たとしても最小限で抑えやすくなるでしょう。営業活動内容を把握しておけば、個人に対して改善のアドバイスを行うこともできます。
また営業報告書を見ると、どの営業担当者が成果を出しているかも一目で分かります。その営業担当者が実践しているアプローチをチーム内で共有すれば、他の営業担当者の営業力の底上げにつながり、チームとしての力も高めることができるでしょう。
営業担当者視点での目的
営業担当者視点での営業報告書作成の目的は、自身の営業活動を振り返ることです。
日々さまざまな商談を行っていると、一つひとつの商談の管理が曖昧になってしまいやすいです。日々の営業活動を営業報告書にまとめておけば、自身がどのような内容の商談を行い、その結果どのような成果を得られたのか、どこに課題があったのかなどを振り返りやすくなります。次の商談に生かすべきポイントや見直すべきポイントが明確になるので、より質の高い営業活動につなげられるでしょう。
また文書として営業活動をまとめることで、顧客が抱える課題も浮き彫りになります。顧客が抱える課題を分析し、どのようなニーズがあるかを把握すれば、より顧客にマッチした商談や顧客対応が行えるようになるはずです。
自身が行った営業活動の良かった点や改善すべき点を営業報告書としてまとめ、チーム内で共有すれば、前述した通りチームとしての営業力の向上にもつながります。個人プレーになりがちな営業ですが、営業報告書を他の営業担当者と共有すればチームにもしっかりと貢献できるでしょう。
営業担当者の中には、営業報告書の作成を「煩雑で手間がかかるもの」「上司に指示されて仕方なく作成しているもの」と認識している方もいるかもしれません。しかし自身やチームの営業活動に生かすためという目的をきちんと把握し、自身の成果につなげられれば、営業報告書の作成によって感じるストレスを軽減しやすいはずです。
営業報告書(営業日報)に記載すべき内容
営業報告書(営業日報)に記載する内容は企業によっても異なりますが、ここでは基本的に記載すべき内容を解説します。成果につながる営業報告書を作成するために、どのような内容が必要になるのかをしっかり把握しておきましょう。
基本情報
営業報告書に記載すべき基本情報は、以下の通りです。
- 作成日時
- 作成者の所属
- 作成者の名前
- 件名
- 報告先(上司の名前)
誰が誰に報告する目的で作成したどのような営業報告書なのかが一目で分かるように、以上の情報をまとめておきましょう。
訪問先・日時
営業報告書には、いつどこに訪問し、先方の担当者が誰であったのかもまとめておく必要があります。
訪問先の企業名は、いつ誰が見てもすぐに理解できるように正式名称で記載するのがおすすめです。
日時は訪問した日時をそのまま記載します。近年はオンラインで営業活動を行うケースも多いですが、その場合もオンラインで商談を行った日時を記入しておきましょう。
担当者情報
自社と先方の担当者情報も、忘れずに記載しましょう。
商談内容などによっては、一人ではなく複数の担当者で訪問を行うこともあるはずです。万が一商談内容や責任の所在を確認する必要が出てきたときのために、自社の担当者全員の名前を記載しておきましょう。
また先方の担当者に関しては、名前に加えて役職も記載しておきます。名前と役職を記入しておけば、次の訪問で担当者が変わった際、前回誰と話をしたのかを先方に伝えられるため、話がスムーズに進みやすいです。異動などで担当者が変わった際も、誰にコンタクトを取るべきかを後任の担当者がすぐに把握できます。
訪問目的
営業報告書には、どのような目的で先方を訪問したのかも分かりやすく記載します。
ヒアリングや商談、契約後のフォローアップなど、どのような目的で訪問したかを記載しておけば、営業報告書を見た管理者が現在の状況や次に取るべき行動を把握しやすいです。併せて訪問に至った理由も書き添えておけば、その訪問が目的を達成できたのかを判断する材料にもなります。
実施した内容
営業報告書には、訪問で実施した内容も詳しく記載しましょう。
先方の課題やニーズ、自身が先方に提案した内容、提案に対する先方のリアクションなどをできるだけ具体的に書きます。先方からの質問内容や、それに対してどう回答したのかも記載しておくとよいでしょう。
単にどのような内容を実施したのかだけでなく、商談中の雰囲気、手応えなどもまとめておくと、管理者が状況を把握しやすくなり、適切なアドバイスを行いやすくなります。
結果
訪問や商談を行って具体的にどのような結果に至ったのかも、営業報告書に記載しましょう。
例えば商談の結果、受注できた場合は、受注内容を詳しく記載しておきます。また商談の結果、次回までに用意すべき資料や情報があった場合、営業報告書にまとめておくことで対応漏れが防げるはずです。今回は提案できなかったものの、次回の提案で併せて提案できそうなものがあれば、それも併せて記載しておきます。
他にも商談で決定した内容に関して、自身やチームが行わなければならないことがあれば、それもまとめて書き記しておきましょう。
商談直後は記憶がはっきりとしているはずですが、時間が経つとどのような内容だったのかが曖昧になりやすいです。今回の訪問・商談で得られた結果を次回に生かせるように、具体的な内容を書くことを心掛けてください。
課題・対策
訪問や商談を終えて見えた課題や、今後取るべき対策も営業報告書にまとめましょう。
例えば、「製品に興味を持ってもらえたが十分なアプローチができなかった」という課題が残った場合、「次回の訪問時は事例や製品詳細をまとめた資料を持参し、先方の課題解決につながる点をアピールできるようにする」といった対策が取れます。
営業活動は必ずしも毎回うまくいくわけではありませんが、うまくいかなかったとしてもそこから得られるものがあるはずです。実施した内容や結果を振り返って課題を見つけた上で、それに対する具体的な対策を検討してみましょう。
所感
最後にその営業活動を通しての所感をまとめます。
先方への訪問や商談を通して自身が感じたこと、気付きなどを自分なりにまとめておき、次回の訪問や商談の前に見直せば、何を意識して訪問や商談に望むべきかが明らかになりやすいです。また、実践したことのうち、成果につながったと思われることを記しておけば、他の営業担当者とのノウハウの共有がしやすくなるので、チーム力向上にもつながるでしょう。
加えて、所感を書いておくと管理者や上司は状況がより把握しやすくなるため、営業活動に対する適切なアドバイスやフィードバックをもらえる可能性も高くなります。
営業報告書(営業日報)の作成例
前章で解説した営業報告書(営業日報)に記載すべき内容を基に、営業報告書の作成例をご紹介します。あくまで一例ですが、作成の際の参考にしてみてください。
作成日 2024年10月30日(水)
営業報告書 | |||
所属 | 法人営業第一部 | 氏名 | 山田 太郎 |
件名 | 10月30日の商談実施結果に関して | ||
報告先 | 法人営業第一部 田中部長 | ||
基本情報 | |||
訪問先 | 株式会社◯◯◯◯ | ||
訪問日時 | 2024年10月30日 14:00 | ||
訪問者 | 佐藤課長、山田 | ||
訪問先担当者 | 広報部 部長 伊藤さま、中田さま | ||
詳細 | |||
訪問目的 | 先方がシステムの乗り換えを検討しているため、自社のシステムを提案するために訪問。 | ||
実施した内容 | 現在使用されているシステムとの違いや共通点、当社システムの強み、導入後のアフターフォローなどを詳しくご提案した。また先方がシステムにどのような機能を求めているかをお伺いし、必要な機能がカスタマイズできることも説明した。 | ||
結果 | 現在先方は、複数の他社製品と比較している最中。自社製品のシステムの強みである操作性や視認性の高さ、カスタマイズして利用できる点には興味を持っていただいたが、カスタマイズが簡単にできるのかという点に関して懸念されていた。他社との商談はまだの状態なので、もう少し比較に時間をかけたいとの意向。 | ||
課題・対策 | 自社製品の魅力はしっかり伝えられたと思うが、カスタマイズのしやすさに関しての説明が不十分だった。次回システム開発部の担当者と一緒に訪問し、より詳しい説明を行うことをお約束した。また先方が必要としている機能に関してさらに深掘りし、詳細を説明する。 | ||
所感 | 先方は誰でも使いやすいかどうかをシステム選びで重視されているようだったので、自社製品の直感的な操作性には興味を示されていたように感じる。前向きに検討いただけそうな雰囲気だったため、優先的かつ重点的にアプローチを続ける。カスタマイズのしやすさに関しては、今後自身でも的確な説明ができるように知識を深める必要がある。 |
こちらはあくまで一例なので、参考にしながら作成してみてください。部署や部門によって項目を調整しつつ、必要な情報を一枚にまとめられるようにしておきましょう。
営業報告書(営業日報)を作成するメリット
営業報告書(営業日報)を作成するとどのようなメリットが得られるのでしょうか。管理者視点でのメリット、営業担当者視点でのメリットに分けて詳しく解説します。
管理者視点でのメリット
まずは管理者視点での営業報告書を作成するメリットを3つご紹介します。
数字では見えない内容が評価できる
管理者視点で営業報告書を作成するメリットの一つは、数字では見えない営業活動の内容が評価できることです。
管理者は部下の評価を行わなければなりません。多くの場合、売上額やノルマの達成度合いなど、数値化できる定性的なデータを基に評価を下すことになりますが、営業報告書があれば数字では見えない部下の取り組みに対しても評価ができます。
それほど能力に差がない複数の営業担当者が同じ製品を販売する場合でも、取引先や地域、時期などによって売上額やノルマの達成度合いに差が出てくることは少なくありません。営業報告書を基にした定量的なデータも加味すれば、より多角的に評価を行うことができ、納得感の高い評価が行えるようになります。
自社の強み・弱みの把握につながる
自社の強み・弱みの把握につながることも、管理者視点の営業報告書を作成するメリットの一つです。
営業報告書に記載されている実施した内容や結果、課題・対策、所感などを基にすれば、顧客や見込み顧客が自社や自社製品に対してどのようなイメージを持っているかが浮き彫りになります。自社や自社製品の強みや弱みが見えてくるので、強みを生かした営業戦略を見直したり弱みを改善するための対策を立てたりできるでしょう。
またチーム全体の営業報告書を見ると、チームとしての強み・弱みも見えてくるはずです。強みを伸ばしつつ、弱みをカバーできるように研修や個別のアドバイスなどを実施すれば、チームとしての力を向上させられるでしょう。
営業活動をデータベース化できる
営業活動をデータベース化できることも、管理者視点の営業報告書を作成するメリットです。
長期間にわたって営業活動ごとに営業報告書を作成し続ければ、膨大な量のデータが蓄積できます。どのようなアプローチで手応えが感じられたか、どのようなアプローチが成果につながったのかなどをデータベース化すれば、今後の営業戦略の策定や営業方針の決定に活用できるでしょう。アプローチすべき顧客や顧客が潜在的に抱えるニーズも見えてくるため、顧客対応の質も高められます。
また営業活動をデータベース化しておくと、データマイニングや機械学習による分析の実施も可能です。分析の実施にはある程度の期間をかけて大量のデータを蓄積しなければなりませんが、将来的にはより精度の高い営業活動の実施に役立てられるでしょう。
営業担当者視点でのメリット
次に営業担当者視点での営業報告書を作成するメリットを3つご紹介します。
業務の振り返りができる
営業担当者視点での営業報告書を作成するメリットの一つは、業務の振り返りができることです。
自身が商談でどのようなアプローチをしたのか、どのような点で手応えを感じたのか、逆にどのような点に不足を感じたのかなどを営業報告書に記録しておけば、後々業務の振り返りができます。いくら大事な商談でも記憶できる内容には限界がありますが、営業報告書があれば時間が経っても振り返りやすく、次回の商談に生かすことができるでしょう。
自身で作成した営業報告書が増えれば増えるほど、自身の成功パターンやクセを見つけやすくなります。意識的に成功パターンを実践し、マイナスに影響してしまうクセを改善しやすくなるので、より良い営業活動が行えるようになるはずです。顧客の傾向やよくある質問なども可視化されるため、今後どのような点を重視して商談を行うべきかも見えてくるでしょう。
また訪問や商談での決定事項など、重要な内容は記憶に残りやすい反面、ちょっとした雑談などは記憶から薄れてしまいがちです。しかし、ちょっとした雑談の中により効果的な営業活動につながるヒントが隠されていることもあります。先方企業や担当者に関する些細な情報を覚えておけば、信頼関係の構築にもつながるでしょう。
情報の共有が容易になる
情報の共有が容易になることも、営業担当者にとっての営業報告書を作成するメリットです。
営業活動を成果につなげるには、リアルタイムでの情報共有が欠かせません。日頃から情報共有が適切にできていれば、他の営業担当者の協力が必要な状況になった場合でも、スムーズな連携が取れます。また顧客に関するデータを担当者だけしか知らない状況では、問題が潜んでいてもなかなか気付けないケースも少なくありませんが、きちんと情報共有していれば、未然にトラブルを防げる可能性も高くなるでしょう。
普段、それぞれで独自に営業活動を行っているため、時間を作って情報共有を行うことは難しいかもしれません。しかし営業報告書を作成しておけば、手間をかけずに情報共有を行えます。日々の営業活動で身に付けたノウハウも同時に共有できるので、属人化を防ぎやすくなり、チームとしても成長できるでしょう。
引き継ぎが円滑に行える
引き継ぎが円滑に行えることも、営業担当者視点での営業報告書を作成するメリットの一つです。
異動などで営業担当者が変わる場合、顧客対応の質を落とさないためには、しっかりと引き継ぎを行うことが大切です。引き継ぎ前後はさまざまな業務が発生するので、前任者も後任者も多忙を極めやすいですが、営業報告書があればそれを読むだけでこれまでのやりとりや商談の内容、状況が把握できるため、引き継ぎがスムーズに行えます。
営業担当者が変わる際、きちんと引き継ぎができていないと、せっかくここまで築き上げてきた信頼関係が壊れてしまう可能性も考えられます。営業報告書を日頃から作成しておくことで、顧客ごとに状況に応じた適切な対応ができるでしょう。
営業報告書(営業日報)のデメリット
管理者にも営業担当者にもメリットがある営業報告書(営業日報)ですが、デメリットもいくつかあります。どのようなデメリットがあるのかも把握しておきましょう。
作成に工数がかかる
営業報告書のデメリットは、作成に工数がかかることです。
営業報告書を作成するには、日々行っている営業活動の詳細を整理しながら記入していく必要があります。多忙な中で営業報告書を作成しなければならなくなると、負担に感じて、ストレスの原因になる可能性も高いです。
また、営業報告書作成に時間がかかり過ぎてしまって、営業が本来行うべきである商談や顧客対応などがおろそかになっては本末転倒です。管理者側が項目を絞ったフォーマットを作成したりツールを活用したりして、工数ができるだけかからないように工夫し、商談や顧客対応に集中できるようにする必要があるでしょう。
営業活動の全貌を把握しづらい
営業活動の全貌を把握しづらいことも、営業報告書のデメリットです。
前述した通り、営業報告書の作成には工数がかかります。営業活動の内容を残すことだけを考えれば、できるだけ詳細な内容の営業報告書にしたいところですが、商談や顧客対応に支障をきたさないためには、重要な項目に絞った内容にしなければなりません。
そのため、営業活動の概要は把握できたとしても、全体像の把握は難しいでしょう。書き方によっては必要な情報が漏れてしまい、せっかく営業報告書を書いても適切な対応が取れなくなってしまう恐れもあります。
作成することが目的になってしまいやすい
作成することが目的になってしまいやすいことも、営業報告書のデメリットです。
営業報告書は作成することが目的ではなく、それを管理者や営業担当者が活用し、より良い営業戦略への見直しや、営業活動の質向上、チーム力向上などにつなげることが目的です。しかし情報の活用方法やデータベース化の方法を構築しないまま運用を開始してしまい、ただ単に作成しているだけの状態に陥ってしまうケースも少なくありません。
営業報告書が活用されて何かしらの効果や変化が感じられれば、営業担当者の作成に対するモチベーションも維持しやすいですが、活用されていることが実感できなければ、負担から来るストレスはより大きくなってしまうでしょう。どのように営業報告書を活用・運用するのかを検討し、営業担当者にも目的を理解してもらった上で導入することが大切です。
過去の営業報告書との紐付けが難しいケースがある
営業報告書のフォーマットや管理方法によっては、過去の営業報告書との紐付けが難しいケースがあります。
例えば、1日の活動をまとめて1枚の報告書に記載する形式の場合、複数の顧客に関する情報が混在してしまうため、特定の顧客に関する過去の営業活動を追跡することは困難です。その都度過去の情報を探すのに手間がかかるので、結局情報を活用できないままになってしまう可能性が高いです。
これまでの営業活動を振り返った上で、次回の訪問や商談に生かすには、顧客ごとに営業報告書を作成し、顧客情報と紐付けて管理しておく必要があります。
データ分析に活用しづらい
データ分析に活用しづらいことも、営業報告書のデメリットと言えるでしょう。
営業報告書には、自社や自社製品、顧客に関する重要なデータが詰まっています。しかしこれらのデータの多くは定性的なデータなので、そのまま定量的なデータ分析に活用するのは難しいです。データ分析をするためには、営業報告書から定量的なデータを抜き出し、エクセルなどを使って管理しなければならず、さらに手間がかかってしまいます。
また営業報告書は重要な項目のみに絞っているため、営業報告書だけでデータ分析に必要なデータを全て収集するのは難しいでしょう。
効果的な営業報告書(営業日報)を作成するためのポイント
効果的な営業報告書(営業日報)を作成するために、これからご紹介する4つのポイントを押さえておきましょう。
事実と主観を分けて記載する
効果的な営業報告書を作成するためには、事実と主観を分けて書き記すことが大切です。
営業報告書の中で、客観的な事実と主観的な意見を混同して記載してしまうと、何が事実で何が意見なのかが分かりにくくなってしまいます。例えば「先方のニーズに合う自社の新製品を提案した」という記載は事実ですが、「手応えがあったので次の商談で契約に進めそうだ」という記載は希望的観測で、主観的な意見です。何が事実かが分からなければ、管理者や上司は事実に基づいた適切な対応やアドバイスができません。
所感の項目では主観的な意見を書くことになりますが、基本的には事実ベースの内容を記載するようにしましょう。
以下を参考にして事実と主観を分けて記載し、客観性が高い営業報告書が作成できます。
事実 | 主観的な意見 |
---|---|
問い合わせのあった顧客を訪問し、ニーズや課題のヒアリングを行った。 | ニーズや課題のヒアリングを行った結果、自社の製品がマッチしていると感じた。 |
追加の発注があったため、売上が前月比よりも20%増え、今年度の目標達成に至った。 | 売上が増えたのは、定期的な顧客訪問やフォローアップを実施した結果だと考えられる。 |
「所感」と「感想」を混同しない
「所感」を記入する際は、「感想」を混同しないようにしましょう。
前述した通り、事実だけでは見えてこない手応えや商談時の雰囲気などは所感の項目に記載します。所感は物事に触れて感じたことや気付いたことに加え、考察や洞察を行った上での自身の意見を含めたものを指す言葉です。一方、感想は単に感じたことを述べることを指すため、似た意味ですが性質が異なります。
所感の項目が感想になってしまわないように、気付きや感じたことを述べることに加え、その結果自分がどう思ったのか、今後どのようなことを意識すれば自分の成長につながるのかなどをまとめるようにしましょう。
要点をまとめて誰が見ても分かるように書く
要点をまとめて誰が見ても分かるように書くことも、効果的な営業報告書を作成するために欠かせないポイントです。
営業報告書は作成者だけでなく、管理者や上司、同僚なども目を通します。そのため、要点がまとめられており、誰が見ても瞬時に理解できるよう書くことが重要です。
項目によっては具体的に内容を書かなければならないものもありますが、まずは結論を書き、その他の内容は補足としてまとめましょう。一つの項目で記載すべき内容が複数あるときは、優先順位を付けて順番に記載したり箇条書きにしたりすることで、理解しやすい内容にまとめられます。
場合によっては、作成者が異動や退職で担当を外れてしばらく経ってから、後任者が過去の営業報告書を目にするケースもあるはずです。口頭で説明できなかったとしても、営業報告書を見ただけで理解できる内容に仕上げられるよう意識してみてください。
結果や課題だけでなく対策も書く
営業報告書は結果や課題だけでなく、対策も書くようにしましょう。
営業報告書は結果や課題を書き、それを管理者や上司に報告するためのものです。そのため、結果や報告を書き記すも重要ですが、次のアクションにつなげるためには、それに基づいた対策をまとめておくことも欠かせません。
対策を書き、今後具体的にどのような行動を取るかをまとめておけば、管理者や上司も方針を把握しやすくなります。対策へのアドバイスやフォローも得られるようになるため、より良い営業活動や顧客対応が行えるようになるでしょう。
顧客情報や関連資料と紐付けて管理する
営業報告書と顧客情報や関連資料を紐付けて管理することも、効果的な営業報告書を作成する上で重要なポイントです。
前述した通り、顧客情報と営業報告書が紐付いていないと、過去の営業報告書を今後の営業活動や顧客対応に活用できません。顧客情報と紐付けておけば、これまでの営業活動や顧客対応の履歴、やりとりの内容が一目で分かるので、顧客のニーズにマッチしたアプローチがしやすくなり、顧客との関係構築や顧客満足度向上につなげられます。
また顧客への提案に活用した資料などを一緒に管理しておけば、誰が見てもどのような提案を行ったのかを正確に把握できるでしょう。資料がバラバラに保管されていると探し出すのに手間がかかるため、併せて管理しておくことをおすすめします。
営業報告書(営業日報)作成におすすめのツール
作成した営業報告書(営業日報)を今後の営業活動や顧客活動、営業戦略に効果的に活用するには、ツールを活用するのも一つの方法です。ツールを活用すれば、営業報告書の作成や管理も容易になり、データベース化もしやすくなります。
営業報告書の作成におすすめのツールを2つご紹介するので、営業報告書の運用方法にお悩みの方は導入を検討してみましょう。
SFA(営業支援)ツール
SFA(営業支援)とはSales Force Automationの略称で、SFAツールは顧客や見込み顧客に関する情報を一元化して記録・管理し、効率的な営業活動を支援してくれるツールのことです。
商談から受注、売上管理までが行えるツールで、効率的な営業報告をサポートしてくれる機能も搭載されています。SFAツールを活用すれば、工数を削減しながら営業報告書を作ることが可能です。また作成した営業報告書は、自動でデータベース化され、管理者はもちろん、業務に携わる人なら誰でも自由に閲覧できるため、情報共有にも簡単に活用できます。
各種データと連携できるツールもあり、営業活動の進捗状況や訪問数、売上などを見える化することもできます。データの分析も容易になるので、より効果的な営業活動を行えるようになるでしょう。
加えて、SFAツールを使うと各営業担当者の状況が一目で分かるため、管理者はリアルタイムで状況を把握できるようになります。状況に応じたフィードバックやアドバイスがしやすくなるので、質の高い営業活動が行いやすいです。作成した営業報告書が活用されていることを実感できるため、営業担当者のモチベーションも維持しやすくなります。
CRM(顧客関係管理)ツール
CRM(顧客管理関係管理)はCustomer Relationship Managementの略称で、CRMツールは顧客に関するあらゆる情報を一元管理できるツールのことです。顧客の氏名や住所などの基本情報をはじめ、商談や取引の履歴、やりとりの内容の詳細、取引の進捗や売上額、顧客への情報発信、問い合わせ内容のデータなどをまとめて管理できます。
さらに、一部のCRMツールには営業報告書作成のための日報機能も搭載されており、手間をかけずに営業報告書を作成できるだけでなく、顧客情報や関連する情報との紐付けも可能です。蓄積したデータは分析に活用でき、より効果的なマーケティングや営業戦略の立案に役立てることができます。
このように、CRMツールを活用することで、顧客ニーズに応じた柔軟な対応が可能となり、顧客満足度と信頼性の向上につながります。結果として、顧客ロイヤルティが強化され、売上向上も期待できるでしょう。
SFAもCRMも網羅したツールならネクストSFAがおすすめ
SFAツールもCRMツールも導入したいと考えているのなら、株式会社ジオコードが提供する「ネクストSFA」もおすすめです。
ネクストSFAは、SFA機能やCRM機能に加え、MA機能も搭載したツールです。MAとはMarketing Automationの略称で、MAツールは新規顧客獲得やリード育成のためのマーケティング活動を自動化し、円滑な業務を支援するツールを指します。「ネクストSFA」なら、一つのツールで新規顧客獲得から営業活動の効率化、商談成立後の顧客管理を行うことが可能です。
SFA機能の一部である日報・週報・月報作成機能は、日付を選んで履歴を登録するだけで営業報告書を自動作成でき、作成したデータに資料などのファイルを添付して提出できます。また項目はカスタマイズできるため、自社に必要な項目だけに絞って営業報告書を作成できるのが特徴です。対応などの抜け漏れ、今後の対応などの行動管理もできるので、営業報告書の内容を効果的に営業活動や顧客対応に活用できます。
初期設計が不要で全ての機能を使うことができ、ノーコードでさまざまな設定やカスタマイズができるのが特徴です。操作性や視認性を重視したUI・UXのため、誰でも直感的に利用できます。もちろんスマートフォンからもアクセスできるので、いつでもどこからでも情報のインプットやアウトプットが行えます。
営業活動にまつわるさまざまな業務を効率化したい方、業務の質を高めたい方は、ぜひ「ネクストSFA」の無料トライアルをお試しください。
効果的に営業報告書を活用して営業力を高めよう
営業報告書は単に営業活動の内容や結果を報告するためだけのものではなく、活用することによって、管理者による多角的な評価や営業戦略の見直し、ノウハウの共有、営業担当者個人やチームの成長に役立てられる文書です。営業報告書のデータを蓄積すれば、企業の資産にもなるでしょう。導入の際は、運用目的や活用方法を明確にし、ご紹介した作成のポイントを参考にしてみてください。
営業報告書の作成を効率化し、効果的に活用するにはツールの導入もおすすめです。株式会社ジオコードの「ネクストSFA」は、営業報告書作成を支援する機能はもちろん、リード育成から顧客管理まで営業活動をまとめて支援するツールです。MA機能・SFA機能・CRM機能の全てを搭載しており、大手有名企業をはじめとした多くの企業にご利用いただいています。無料トライアルも実施していますので、まずはお気軽にお問い合わせください。