SaaS営業で成果を伸ばすには何が必要か|受注につながる考え方と進め方を解説
【監修】株式会社ジオコード クラウド事業 責任者
庭田 友裕
SaaS営業は、単にサービスを提案して売る営業ではありません。継続利用を前提とした商材だからこそ、顧客課題の理解や提案の進め方だけでなく、導入後の活用や定着まで見据えた関係づくりが求められます。サブスクリプション型のビジネスでは、契約後の継続率やチャーンが収益に大きく影響するため、受注だけで完結する営業とは考え方が大きく異なります。
この記事では、SaaS営業の特徴や難しさ、成果を出すために押さえたい考え方を整理しながら、役割分担や見るべき指標、失敗しやすい進め方までわかりやすく解説します。

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SaaS営業とは何か

契約だけでなく継続利用まで見据える営業
SaaS営業とは、クラウド型サービスを提案し、契約だけでなく継続利用や成果創出も見据えながら顧客との関係を築く営業のことです。SaaSはサブスクリプション型で提供されることが多く、受注時点の売上だけでなく、その後も継続して利用されるかどうかが重要になります。そのためSaaS営業では、一度売って終わるのではなく、顧客が導入後に価値を実感しやすい状態を見据えて提案することが求められます。
売り切り型ではなく継続利用が前提になる
SaaS営業の大きな特徴は、契約して終わりではなく、その後も継続利用されることが前提になっている点です。買い切り型の商材であれば受注がひとつのゴールになりやすいですが、SaaSでは解約されずに使い続けてもらうことが重要になります。Stripeは、サブスクリプションビジネスではチャーンが継続収益に直接影響すると説明しています。つまり、SaaS営業では受注時点の売上だけでなく、導入後に顧客が価値を実感できるかまで意識した提案が重要になります。
顧客課題への理解が特に重要になる
SaaS営業では、機能の説明だけで受注につながることは多くありません。顧客が求めているのはツールそのものではなく、自社の業務課題をどう改善できるかだからです。そのためSaaS営業では、顧客が今どの業務で困っているのか、どのような非効率や損失が発生しているのかを丁寧に把握する必要があります。課題理解が浅いままだと、提案が価格や機能比較に寄りやすくなります。
導入後の成功につながる入口になる
SaaS営業では、営業担当が受注後の活用を直接担うとは限りませんが、少なくともその後の定着や成果創出につながる期待値設計と情報共有は重要です。オンボーディングや継続支援が弱いと、価値実感が進まずチャーンにつながりやすいとStripeやPaddleは説明しています。だからこそ営業段階から、顧客がどのように使い始め、どのような成果を目指すのかをすり合わせておくことが重要です。

SaaS営業が難しいと言われる理由
顧客が比較検討しやすく差別化しにくい
SaaSはWeb上で情報収集しやすく、競合との比較も進みやすい商材です。そのため、機能一覧や価格だけで勝負すると、似たサービスとの違いが伝わりにくくなります。SaaS営業が難しいのは、顧客がすでに一定の情報を持っていることが多く、表面的な説明では価値を感じてもらいにくいからです。単なる紹介ではなく、自社サービスがどの課題にどう効くのかまで落とし込んで伝える必要があります。
顧客ごとに課題の見え方が違う
同じ業種や同じ規模の企業でも、現場で抱えている課題はまったく同じとは限りません。ある企業は情報共有に困っていて、別の企業は管理工数や属人化に悩んでいることがあります。SaaS営業では、サービスの強みを一方的に伝えるより、顧客ごとの課題に合わせて提案を変えることが求められます。この個別最適の難しさが、SaaS営業のハードルを高くしています。
導入判断に複数人が関わりやすい
SaaS営業では、実際の利用部門だけでなく、上司や管理部門、情報システム部門など複数の関係者が導入判断に関わることがあります。現場は使いたいと思っていても、費用対効果や運用面の不安で承認が進まないこともあります。そのためSaaS営業では、一人の担当者を説得するだけでは足りず、関係者ごとに異なる懸念を整理しながら提案する必要があります。これは単発商材よりも、導入後の運用や継続利用が重視されるSaaSで特に起こりやすい構造です。
受注前に期待値を上げすぎると継続利用に悪影響が出やすい
SaaS営業では受注を急ぐあまり、できることを広く見せすぎたり、導入後の成果を大きく伝えすぎたりすると、後からギャップが生まれやすくなります。契約時の期待値が高すぎると、導入後に「思ったほど活用できない」と感じられ、満足度や継続率に悪影響が出ることがあります。継続型ビジネスでは、最初の期待値設計とオンボーディングが特に重要だとHubSpotやStripeも整理しています。
スピードと丁寧さの両立が求められる
SaaS営業では、商談スピードも重要ですが、顧客理解や社内調整を省きすぎると失注や導入後のミスマッチにつながります。一方で慎重になりすぎると、競合に先を越されたり、検討が止まったりすることもあります。継続利用を前提とするSaaSでは、早く進めることと丁寧に進めることの両方が必要になります。このバランスの難しさが、SaaS営業を単純ではない仕事にしています。

SaaS営業で成果を出すために重要なポイント

顧客課題を具体的に言語化する
SaaS営業では、顧客自身も課題をうまく整理できていないことがあります。そのため営業担当者は、表面的な悩みを聞くだけでなく、何が非効率なのか、どこで損失が発生しているのかまで具体的に整理する必要があります。課題が曖昧なままだと、提案も機能説明に寄りやすくなります。成果を出すSaaS営業は、顧客が抱える問題を明確にし、その解決策としてサービスを位置づけています。
機能ではなく導入後の変化を伝える
SaaS営業でありがちな失敗は、機能の多さや便利さばかりを説明してしまうことです。しかし顧客が本当に知りたいのは、その機能で自社の業務がどう変わるのかという点です。たとえば管理工数がどれだけ減るのか、情報共有がどう改善するのか、判断がどれだけ速くなるのかといった変化を伝えることで、導入イメージを持ってもらいやすくなります。機能紹介よりも、価値実感のイメージづくりが重要です。
導入ハードルを先回りして解消する
SaaS営業では、サービスに興味を持ってもらえても、実際の導入段階で止まることがあります。理由は、現場への定着不安や運用変更への抵抗、社内説明の難しさなどです。そのため営業段階から、どう運用を始めるのか、負担はどれくらいか、どのように社内展開しやすいかまで整理して伝える必要があります。オンボーディングが継続率に大きく影響するとStripeやPaddleが説明していることからも、この視点は重要です。
関係者ごとの関心に合わせて提案する
SaaS営業では、現場担当者、管理者、決裁者で重視するポイントが異なります。現場は使いやすさ、管理者は業務改善、決裁者は費用対効果を気にすることが多いです。そのため、同じ提案内容を全員にそのまま伝えるだけでは不十分です。成果を出すSaaS営業は、誰が何を判断基準にしているかを整理し、それぞれに合った伝え方を行っています。
受注後につながる情報共有を意識する
SaaS営業は受注して終わりではなく、その後の定着や継続利用につながる入口でもあります。そのため、商談で把握した課題や導入目的、期待されている成果を正確に残し、次の担当へ共有することが重要です。ここが曖昧だと、導入後の支援と営業時の期待値がずれやすくなります。成果を出すSaaS営業は、目の前の受注だけでなく、継続利用まで見据えて情報をつないでいます。
SaaS営業の主な役割分担
SaaS営業では、営業活動が分業されていることも少なくありません。
たとえば、見込み顧客との最初の接点づくりや商談機会の創出をインサイドセールスが担い、具体的な提案やクロージングをフィールドセールスが担い、受注後の活用支援や継続利用をカスタマーサクセスが担う形です。HubSpotが顧客ライフサイクルを獲得、転換、維持、ロイヤルティの流れで整理しているように、SaaSでは一つの部門だけで顧客体験を完結させるのではなく、複数の役割でつないでいく考え方が重要です。
この分業体制の中では、自分の担当範囲だけを最適化するのではなく、次の工程に何を残すべきかを理解することが大切です。営業段階で把握した課題や期待値が正しく共有されれば、導入後の支援もしやすくなります。

SaaS営業で見られやすい指標
SaaS営業では、受注件数や売上だけでなく、継続利用に関わる指標も重要になります。
代表的なのは、商談化率、受注率、平均受注単価、継続率、チャーン率、アップセル率などです。Stripeは、チャーン率がサブスクリプションビジネスの健全性を見るうえで重要だと説明しています。継続型モデルでは、新規受注だけでなく、既存顧客がどれだけ残るかが成長に大きく影響するためです。
そのためSaaS営業では、商談の取り方だけでなく、継続利用につながる提案ができているかも指標の見方に影響します。営業単体の数字だけでなく、受注後の定着や更新まで見える形で考えることが大切です。
SaaS営業で失敗しやすい進め方
SaaS営業で失敗しやすいのは、機能説明に寄りすぎることです。
機能が多いことや価格が安いことだけを訴求しても、顧客の業務改善イメージにつながらなければ受注しにくくなります。さらに、導入後の運用や定着の話ができないと、社内説明が進まず、検討が止まりやすくなります。
また、期待値を上げすぎる進め方も危険です。受注時点では魅力的に見えても、導入後に価値を実感できなければ継続率が下がりやすくなります。StripeやPaddleが、オンボーディングや継続支援を重視しているのはこのためです。
さらに、営業とカスタマーサクセスの連携が弱いと、受注前に把握していた課題や期待値が引き継がれず、導入後の支援の質が落ちやすくなります。SaaS営業では、受注率だけを追う進め方よりも、継続率まで見据えた進め方のほうが結果的に強くなります。
「SaaS営業でなかなか受注率が上がらない」「提案は進むのに継続利用につながらない」と感じている場合は、営業の進め方そのものを見直す必要があります。

ジオコードが提供するネクストSFA/CRMとは?営業情報を一元管理しやすいクラウド型ツール
営業活動を一元管理し、成果につなげるクラウドツール
ネクストSFA/CRMは、見込み顧客の獲得から育成、商談管理、顧客管理までを一つに統合した営業支援ツールです。
SFA・CRMを中心に、MAも含めた営業情報の一元管理を進めやすい構成になっています。
情報の分散と属人化を防ぐ
Excelや個人管理に依存している状態では、営業情報がブラックボックス化しやすくなります。
ネクストSFA/CRMでは、すべての顧客・商談情報を一元管理することで、誰でも状況を把握できる環境を実現します。
管理だけ増えて成果につながらない問題を解消
入力負担が大きいツールは現場に定着しません。
ネクストSFA/CRMは、現場で使いやすい設計と無料サポートにより、入力・運用の定着を図りやすい点が特長です。
MA・SFA・CRMを一体で活用しやすい構成
リード獲得から受注、顧客管理までを一つのツールで完結。
複数ツールを併用する必要がなく、データの分断や連携ミスを防ぎます。
ノーコードで柔軟にカスタマイズ可能
専門的な知識がなくても、自社の営業フローに合わせて項目や管理画面を調整できます。
導入時の設計負担を最小限に抑えつつ、現場にフィットした運用が可能です。
AI機能によって、商談内容の記録や見える化を支援
商談内容の記録や要約、分析をAIがサポート。
属人化しがちな営業ノウハウをデータとして蓄積し、組織全体の営業力向上につなげます。
導入から定着までの手厚いサポート
専任担当による導入支援・運用サポートが提供されるため、ツール導入で終わらず、実際の活用・定着まで伴走します。

まとめ

SaaS営業は、単にサービスを契約してもらう営業ではありません。継続利用が前提となるからこそ、顧客課題を正しく捉え、導入後にどのような変化が起こるのかまで伝えることが重要です。サブスクリプション型ビジネスでは、受注だけでなく継続率やチャーンが収益に大きく影響するため、営業段階から価値実感や定着を見据えた提案が求められます。
また、SaaS営業が難しいと言われるのは、比較されやすく差別化しにくいこと、顧客ごとに課題が異なること、導入判断に複数人が関わりやすいこと、期待値設計が継続率に影響することなど、単なる受注テクニックでは解決しにくい要素が多いからです。
そのため成果を出すには、顧客課題の言語化、導入後の変化の提示、関係者ごとの提案最適化、受注後につながる情報共有まで一貫して考える必要があります。SaaS営業で成果を伸ばすには、売ることだけを目的にするのではなく、顧客が継続して成果を出せる入口をつくる視点が欠かせません。

