更新日:2025/06/16

CRMのメリットとは?導入前に知っておきたい機能・注意点・おすすめツールを解説

【監修】株式会社ジオコード クラウド事業 責任者
庭田 友裕
CRMの導入で本当に得られるメリットとは?
本記事では、基本機能や活用のポイント、導入時につまずきやすい注意点までをわかりやすく整理しました。
これからCRMを選ぶ方や運用に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次はこちら
CRMとは?メリットを理解するための基本
CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、日本語では「顧客関係管理」と訳されることが多い言葉です。
端的にいえば、顧客と長期的に良好な関係を築き、ビジネス成果につなげていくための考え方や仕組みのことを指します。
近年は、このCRMを効率的に実現するための「CRMツール(システム)」も広く活用されています。
ツールを活用することで、営業やカスタマーサポート、マーケティング部門などが顧客の情報を共有しやすくなり、部門をまたいだ連携がスムーズになります。
結果として、次のようなメリットが期待できます。
- 顧客の課題やニーズを正確に把握できる
- 適切なタイミングでアプローチができる
- 担当者が変わっても一貫した対応ができる
こうした積み重ねにより、顧客の満足度が向上し、LTV(顧客生涯価値)の最大化にもつながります。最終的には契約の継続率やリピート率が高まり、売上の安定化にも寄与します。
また、CRMとよく比較される概念として、SFA(営業支援)やMA(マーケティングオートメーション)がありますが、それぞれ役割が異なります。
ツール種別 | 主な役割 |
---|---|
CRM | 顧客情報の一元管理・関係構築の最適化 |
SFA | 営業活動の管理・効率化 |
MA | 見込み客への継続的なアプローチ自動化 |
CRMはこれらのツールと連携することで、より広い視点から顧客理解を深め、営業やマーケティングの精度を高める役割も果たしています。
メリットに直結するCRMの主な機能
CRMは単なる顧客データの管理ツールではなく、売上向上や顧客満足度の向上など、ビジネスの成果に直結する機能を数多く備えた仕組みです。
ここでは、代表的な5つの基本機能と、それぞれがどのようなメリットをもたらすのかをご紹介します。
顧客管理機能
顧客の企業情報や担当者の属性、過去のやりとり、契約履歴など、あらゆる顧客情報を一元管理できる機能です。
この機能により、営業・マーケティング・カスタマーサポートなど複数部門が同じ顧客情報をリアルタイムに共有できるようになります。
たとえば、
- 営業マネージャーが商談の進捗を把握し、的確なアドバイスができる
- マーケティング担当者が、受注に至ったタイミングやチャネルを分析できる
- サポート担当者が、過去の対応履歴を参照しながら、スムーズに顧客フォローができる
といったように、チーム全体の顧客対応レベルを底上げする役割を果たします。
メール配信機能
蓄積された顧客データをもとに、特定の属性や行動履歴に応じたセグメント配信が可能です。
- 新商品やキャンペーン情報の一括配信
- 直近で接点がない顧客へのフォローアップメール
- 購入履歴や閲覧履歴に応じたパーソナライズドメッセージ
といった形で、接点を持ち続けるための“きっかけづくり”として有効です。
また、開封率やクリック率などの配信結果を確認することで、配信のタイミングや内容の改善にもつなげやすくなります。
案件管理機能(SFA機能との連携)
見込み顧客との商談状況や、案件ごとの進捗を管理できる機能です。
もともとは営業支援ツール(SFA)に備わっていた機能ですが、最近ではCRM内にSFA機能を統合した一体型のシステムも増えています。
たとえば、
- どの案件がどのフェーズにあるのか
- 次にとるべきアクションは何か
- ボトルネックになっているのはどこか
といった情報が可視化されることで、営業チームのパフォーマンス改善にも貢献します。
問い合わせ対応やフォーム生成機能
CRMでは、フォーム作成機能を活用して顧客接点を自動化・効率化することも可能です。
- 資料請求フォーム
- セミナー申込フォーム
- アンケートやフィードバックフォーム
などを簡単に作成し、その回答データを顧客情報に紐づけて蓄積できます。
これにより、情報の手入力や集計の手間が省けるだけでなく、取得した情報をもとに素早く対応や提案に活かすことができます。
データ分析機能
CRMに蓄積されたさまざまなデータは、営業・マーケティング戦略の精度を高めるための資産になります。
たとえば、
- 月別の売上・問い合わせ件数・顧客層別の傾向
- フォーム回答内容と成約率の相関
- 開封率やクリック率から見るコンテンツの改善点
などを多角的に分析することで、成果の出やすいパターンを把握し、再現性のある戦略設計が可能になります。
API連携・拡張性にも注目
最近のCRMツールは、APIを活用した他システムとの連携性も進化しています。たとえば、
- MAツールやSFAとの連携によるデータ統合
- Slackやチャットツールとの連携による社内通知
- Googleカレンダーとの連動でスケジュール調整を自動化
など、CRMを中核とした業務オペレーションの最適化が実現しやすくなっています。
導入時は「どの業務とどのように連携したいか」を見据えて、拡張性の高いツールを選ぶことも検討のポイントになりそうです。
CRMがもたらす主なメリット3選
既存顧客を“ファン化”する仕組み
新規顧客の獲得がむずかしくなっている今、企業にとって「既存顧客との関係をどう深めるか」がますます重要になっています。
かつては市場全体が拡大していたため、新しい顧客を次々と取り込むことが比較的かんたんでした。ですが現在は、少子化や経済の停滞などの影響もあり、既存顧客との関係性を維持・強化することが売上を安定させる鍵になっています。
CRMを導入すれば、顧客の属性や過去のやりとり、購買履歴などを一元管理できます。その情報を活用して、一人ひとりの状況に合わせた提案やフォローができるようになり、「売って終わり」ではなく、「購入後も価値を感じてもらえる関係づくり」が可能になります。
リピート率の向上や、クロスセル・アップセルの機会を広げる上でも、CRMは有効な手段といえるでしょう。
顧客ニーズを素早く捉えられる理由
情報収集がかんたんになった現代では、顧客が自らサービスを比較・検討し、他社へ乗り換えることも日常的になっています。こうした状況では、“いかにタイムリーに相手のニーズを捉えられるか”が問われます。
CRMを活用すれば、顧客の行動履歴や問い合わせ内容、過去の購入傾向などを一元的に蓄積・分析できます。それにより、まだ顕在化していない“潜在ニーズ”にも気づきやすくなり、先回りした提案や情報提供が可能になります。
たとえば、「この商品を買った人は次にこれを求めていることが多い」といった傾向をもとに、次のアプローチを設計することも。こうした対応は、顧客の期待値を超える体験につながり、結果的にブランドへの信頼やロイヤリティを育てることにもつながります。
社内連携がスムーズになり、業務効率がアップ
CRMの導入は、顧客対応だけでなく社内の情報共有や連携の面でも大きなメリットがあります。
顧客対応に関わる情報が各部門に分散していると、引き継ぎがうまくいかなかったり、対応の重複が起きたりすることがあります。CRMを使えば、営業・カスタマーサポート・マーケティングといった各部門で同じ顧客情報にアクセスできる環境が整います。
結果として、「誰が」「いつ」「どのような対応をしたのか」がひと目で把握でき、対応ミスの防止や、社内の無駄なやり取りの削減にもつながります。
こうした部門横断のスムーズな連携は、顧客満足度の向上にも直結します。
CRM導入メリットと注意したい落とし穴
CRM導入のメリット
CRMの導入によって得られる大きなメリットのひとつが、顧客情報を一元的に管理できることです。
営業やサポートなど、これまで各担当者がバラバラに保有していた情報をCRM上に集約することで、部門をまたいだ情報共有がスムーズになります。これにより、
- 顧客対応の抜け漏れが防げる
- チーム全体で“顧客の現在地”を把握しながら提案できる
- 引き継ぎがスムーズに進み、属人化のリスクを減らせる
といったメリットが生まれます。
さらに、蓄積された顧客データをもとにニーズを分析し、最適なタイミングで提案できるようになるため、顧客満足度の向上にもつながります。
たとえば、過去の問い合わせ内容や購買履歴をもとに“次に求められる情報”を事前に提示することで、関係性をより深めることが可能です。
CRMでつまずきやすいポイントと回避策
一方で、CRM導入には注意が必要なポイントもあります。
中でも多くの企業が直面しやすいのが、コストと効果のギャップです。
【つまずき①】コストの見落とし
CRM導入には、システムの月額料金だけでなく、初期設定にかかる時間や社内運用の体制づくりといった「人件費・工数」も含まれます。導入計画の段階でこれらを見積もりに入れておかないと、「思ったより手間がかかる」という声が現場から上がる可能性があります。
\回避策/
事前に「どの部門が何を入力・活用するか」を整理し、入力ルールや運用フローを簡潔にまとめておくことが定着の第一歩になります。
【つまずき②】すぐに効果が見えにくい
CRMはあくまで「顧客との関係性を深めるための仕組み」であり、導入後すぐに売上が大きく伸びるというものではありません。
目に見える成果が出るまでには、ある程度の時間がかかることが一般的です。
\回避策/
初期段階では「入力率」「顧客対応履歴の記録率」といったKPIを小さく設定し、段階的に成果を見える化していくことが大切です。
また、運用に慣れてきた段階で「顧客満足度」「問い合わせ対応件数」「再購入率」など、事業成果につながる指標に切り替えていくと、社内の納得感も得やすくなります。
CRMは「導入して終わり」ではなく、使いこなすことで初めて価値を発揮する仕組みです。つまずきやすいポイントを事前に把握し、じっくりと定着させていくことで、メリットをしっかり実感できるようになります。
CRMのメリットを最大化する運用ポイント
CRMを導入する目的は、顧客との関係性を深め、売上や顧客満足度を高めていくこと。
ただし、その効果を最大限に引き出すためには、「どのCRMを選び、どう活用するか」が大きなカギになります。
このセクションでは、導入時に押さえておきたい基本ポイントと、CRMとSFAの役割の違いについて整理していきます。
導入時に押さえておきたい3つのポイント
1.使いやすさは現場の“使われる”を左右する
どれだけ高機能なツールでも、現場のメンバーが使いこなせなければ意味がありません。
CRMの導入でよくある失敗が、「画面が見づらい」「入力が面倒」など、操作性が原因で定着しないケースです。
たとえば、スマートフォンからでもアクセスできるUIや、簡単な入力フローが用意されているかなど、使いやすさは導入前に必ず確認しておきたいポイントです。
2.必要な機能が“過不足なく”揃っているか
「機能が多ければ多いほどいい」という考え方は、CRM選定においてはあまりおすすめできません。
あまりにも多機能だと、画面が複雑になり、使いこなせないまま形骸化してしまうことも。
重要なのは、自社の業務フローや目的に合った機能が、必要なぶんだけ備わっているかどうか。
たとえば、顧客管理だけでなく、簡単なレポート出力や通知機能も活用したい、といった具体的な要望を明確にしてから選ぶと、失敗を防ぎやすくなります。
3.サポート体制がしっかりしているか
CRMは導入して終わりではなく、「運用定着」がゴールです。
そのためには、ツール提供元のサポート体制も重要なチェックポイントになります。
たとえば、オンボーディング支援やカスタマーサクセス担当者の有無、活用支援セミナーの実施など、どれだけ手厚く導入後をフォローしてくれるかは、運用のスムーズさに直結します。
“ツールだけ提供して終わり”というベンダーではなく、中長期的に伴走してくれるパートナーかどうかを見極めて選ぶのがおすすめです。
SFAと併用すると広がるメリット
CRMとよく比較されるツールのひとつに、SFA(Sales Force Automation)があります。
CRMの導入を検討している方からは、「SFAも含まれているなら、CRMだけでいいのでは?」というご相談をいただくこともあります。
しかし実際には、CRMとSFAは似ているようで目的や役割が異なるツールです。
ツール | 主な目的 | 主な対象 |
CRM | 顧客との関係性を継続・深化させる | 顧客全体(新規・既存)/複数部門 |
SFA | 営業プロセスを可視化・効率化する | 営業チーム・個人の案件活動 |
CRMは、営業部門だけでなく、マーケティングやカスタマーサポートなど全社的に顧客を管理・活用するための仕組みです。一方で、SFAは営業担当者の活動を細かく記録・管理することで、案件管理や売上予測を支援するのが目的です。
つまり、営業強化が急務であればSFA、顧客接点全体の質を高めたいならCRMと、それぞれの役割に合わせて併用することが最適解となるケースも少なくありません。
主要なCRMサービス紹介
ネクストSFA|使いやすさと支援体制に強みのあるCRM/SFA
ネクストSFAは、顧客情報の一元管理と営業活動の“見える化”を同時に実現できる、国産のCRM/SFAツールです。
現場での使いやすさにこだわったUIと、導入後の手厚い支援体制により、無理なく社内に定着しやすい設計になっています。
主な特長
- 国産ならではの使いやすいUI/UX設計
- 顧客情報・商談メモ・対応履歴の一元管理
- カスタマーサクセスによる丁寧な導入サポート
- ノーコードで柔軟カスタマイズ対応
「現場で実際に“使われる”ツールを選びたい」
「CRMとSFAをまとめて運用したい」
そんなニーズにフィットする、実用性重視のCRM/SFAです。
Zoho CRM
URL:https://www.zoho.com/jp/crm/
金額が比較的安価で、顧客管理に必要な機能は一通り備えられているため、
中小企業やベンチャー企業によく利用されています。
Salesforce
URL:https://www.salesforce.com
クラウド型CRMのシェア率No.1。
特にSales Cloud、Service Cloudが主流です。
また、顧客管理だけでなく、生産性の向上や分析のための
便利な機能も搭載されています。
SugerCRM
URL:https://www.sugarcrm.com/jp/
売上拡大の支援を目的として、営業支援システム・
見込み客管理システム・コールセンター・FAQの仕組み・
メールマガジン・ダイレクトメールなどのシステムがあります。
【あわせて読みたい:CRMツール比較】
以下の記事では企業で導入されているCRMツール製品の特長について、わかりやすくご紹介しています。「どんなCRMがあるか知りたい!」という方はぜひご覧ください。
まとめ
CRMを導入していない企業でもエクセルやスプレッドシートを使って、
顧客情報を蓄積しているはずです。しかし、それでは共有が難しかったり、
集計や分析にまた新しいエクセルのシートを作って管理するなどの手間がかかります。
これでは、蓄積した顧客情報を有効に活用することは容易ではありません。
CRMを導入している企業と、エクセルなどで管理をしている企業では、
蓄積している顧客に関する情報量やデータの分析方法に大きな差があります。
売上最大化のために、ぜひ「導入時の注意点」に気をつけながら、
導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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以下の記事では近年のBtoBビジネスに必須の営業支援ツールSFAについて紹介しています。合わせてご覧ください。