更新日:2024/07/26
PDCAとは?目標達成に近づくPDCAサイクルの回し方
【監修】株式会社ジオコード マーケティング責任者
渡辺 友馬
田村さん
しっかりしている人- ・趣味:ゴルフ、DJ
・的確なコンサルでクライアントからの信頼が厚い
・感情は子宮に忘れてきたらしい
もりくん
田村さんの後輩- ・趣味:海鮮、テレビゲーム
・どこにでもいる普通の平社員のクローン。
うっとうしいから聞いてあげるよ。
仕事が終わらないっす…
じゃなくて、お客さんからの問い合わせが多すぎるんですよ!
一応聞くけど、実は似たような内容の問い合わせが多いんじゃない?
はっ!実は田村さんがけしかけて…
でもその悩みなら、今回話す業務改善のフレームワーク「PDCA」で改善できるかもしれないね。
この記事の目次はこちら
PDCAサイクルとは?いまさら聞けないPDCAの意味
上記4ステップを1サイクルとし、繰り返し実施することで継続的に業務を改善していきます。
元々は生産・品質管理の現場で実践されていたと言われていますが、現在では様々なシーンで活用されています。
見て分かる通り、循環して継続的に改善していくフレームワークですね。
開始地点が自由であることも画像からわかる、っていうメッセージですね…
Aで開始とか、ただのノープラン…
(僕の基本戦術「ノープラン特攻」が全面否定されたなぁ)
どこ開始でもいいけど、ちゃんと回すこと。
次、お願いします。
P:Plan(計画)
- 「目標」の設定
- 「目標達成のための行動」の策定
まずは目標と行動指針を決めましょう。
ここで早速ですが注意点があります。
①:目標は定量指標を設定し、客観的に計測できるものにする
②:行動は5W1Hを大切にする
まず目標はシンプルで、数字で測れるようにしましょう。
定性指標では客観的な評価・分析はどうしても難しくなります。
行動は5W1Hを基準に、具体的に動けるように設定しておきましょう。
「いつ(when)」「どこで(where)」「誰が(who)」「何を(what)」「なぜ(why)」「どうやって(how)」ですね。
「how much」を加えて「5W2H」で考えてもOKです。
具体的に計画しておくと、この後の「行動」の際に設定通りに動けばいいので、スムーズに進みます。
また、実行結果の評価軸もPlanの段階で考えておくことをおすすめします。
D:Do(実行)
- Planで計画した内容の実行
- 行動結果の記録
立てた計画を実行する段階
計画に沿って行動し、その行動結果の記録をあわせて行います。
ここでのポイントは下記の2点。
①:成功失敗問わず、成果分析のための記録を残す
②:進捗は都度更新(全部終わって後から記入にしないこと)
計画通りに進められない場合も発生しますが、ここでは結果は気にせず行動に集中してください。
また、記録の際に成否や効果をわかりやすくしておくと、次のステップがスムーズになります。
C:Check(評価)
- 計画に対する行動(実行)の進捗確認
- 目標に対する達成の進捗確認
- 予想と結果の乖離の確認・分析
チェックでは成功要因と失敗要因の両方を分析します。
評価は、以下のような観点から行います。
①:評価・分析はPlanのときに立てた指標を使う
②:目標・行動ともに「進捗」を確認する
注意点は「結果の確認」ではない点です。
・計画どおり実行できたのか
・実行できなかったとしたらその要因は?
・目標数字に到達できたのか
・到達できなかったとしたらその要因は?
といったように、目標と行動を「改善に活かせるように」評価します。
数字はあくまでも記録に残したデータです。
「何故そうなったのか」、因果関係を考えて次の行動につなげることが、Checkでは重要です。
A:Action(改善)
- 「継続」「改善」「中止」の判断
- 次のスタートラインの決定
同じ内容を継続すべきか、改善を加えるべきか、それとも中止するか。
といった内容を考えるステップです。
もちろんCheckで出した結果に基づいて行います。
改善点は修正し、成功点はさらに生かせるように改善策を作ります。
ここで出した結果を元に、改めてPlan(計画)を行います。
あとは繰り返し実施すれば、着実に良くなっていくはず、ですね!
ここからが大事だから。
POINT
PDCAサイクルの概要についてここまでの内容をおさらいしてみましょう。
- PDCAサイクルは業務改善のフレームワーク
- PDCAでは、良い点・悪い点両方を「定量的に」分析する
PDCAサイクル成功のポイント
この後田村さんからもお話がありますが「何のためにやっているのか」を意識しましょう。
目的が明確になっていれば、達成のための「行動」や「評価指標」の設定も簡単になるはずです。
また、「1回で終わらせずに継続させること」も成功には必要になります。
サイクルとして各段階を継続して回していく(1回で終わらせない)
この2つが大事なの。1個ずつ説明するよ。
Plan(計画)立案時に意識する「目的」と「目標」
「目的」を明確にすること。
僕のようなクローン平社員としては、何も考えずに仕事がしたいのですが。
目的が曖昧だと成功・失敗の判断が難しいんだ。
ここが曖昧だと以降の段階でも、価値の無い作業を続けることになりかねない。
2時間も敵を倒し続けたのに、獲得アイテムに使い道がなかったあの徒労感…
そうだね、目的を考えずに敵を倒した結果だね。
PDCAは「何を」「何で」「どれぐらい」を明確に決めることが大切なんだ。
あとで具体例を話すから、見てみるとわかりやすいと思うよ。
大事なのはPDCAサイクルを継続して回すこと
P→D→C→Aまでやったら、またPを行うという様にサイクルを継続させる感じだね。
改善していく様は、らせん状に『スパイラルアップ』とも呼ばれているよ。
こんな感じで
要は、このサイクルを繰り返していくことで、
よりよい状況にもっていくことができるって感じですね。
POINT
では、成功のポイントをおさらいしてみましょう。
- 目的・目標を明確にする
- 1回で終わらせずに(途切れさせずに)継続してサイクルを回す
各ステップの失敗要因を次で紹介しますね。
ステップごとの失敗要因
ですが、「なんとなく」で行うとうまく回らないのも事実です。
上手に回すために、各ステップでの失敗要因を把握しておきましょう。
Plan:大きくしすぎず、具体的な計画にする
大きな計画は、実行の労力や心理的障壁が上がります。
実行しても止まるリスクが高く、そもそも実行に移せない可能性もあります。
✕:『月の受注件数を10件増やす』
〇:『受注率を上げるために、日のテレアポ件数を3件増やす』
前者は難しいですが、後者なら抵抗なしに行動に移れのではないでしょうか。
不明確で大きな計画でなく、現実的に実行できる計画をたてましょう!
Do :行動結果を記録できる環境を作る
実行した状況を記録しておかないと、正しい振り返りができない可能性があります。
何をやったかを正しく記録出来る環境が重要です。
例えば営業系の職種であれば、『外出先の営業活動の記録』が必須になります。
エクセル・スプレッドシート・SFAなど何でもOKですが、必ず環境を用意しましょう。
記録が曖昧だと、次のCheckの段階で判断材料が足りず、十分な評価・分析ができなくなります。
Check:客観的な判断をする
頑張って実行した結果なので、良かった点をフォーカスしてしまったり、
思考がネガティブな人は悪かった点にとらわれてしまうこともあります。
会議での『実行内容の共有』や、上長や同僚をまじえた『第三者の判断』など、
客観的な判断をできるようにしましょう。
Action:1度で終わらせない
Actionで作成した改善プランは、必ず実行するようにしましょう。
Checkの内容を踏まえて、良かった点は継続し、悪かったところは改善します。
『次の計画をいつから始める』など、改善後のスケジュールを決め、サイクルを回すことが大切です。
Plan・Do・Checkのいずれかが曖昧だと、Actionでまともな改善案が出ずに1回で終わってしまう可能性があります。
良い改善案が出なかった場合は、それまでの経緯に問題がないか、見直してみましょう。
PDCAの具体例
ですが、実際動き出すには具体的なイメージが必要です。
ここからは具体例を見ながら解説を進めます。
皆さんが自身で計画を建てる際の参考にしてみてください。
営業担当者のAさんは、同僚と同じくらいの案件数は確保できているが受注率が低い
・以下の通りに行動
When:翌月1日から2週間
Why:受注率向上(10% → 15%を目標に)
Where(どこで):会社で
What:新規案件開拓の電話を行う
how:新しいトークスクリプトで電話
▽受注率向上のため、2週間新しいトークスクリプトで、新規開拓の営業電話を行う。
トークスクリプトの変更は以下3パターン
・パターンB:自社の実績を追加
・パターンC:話すよりもヒアリングメインに変更
Do:
・Planで立てた通りに、行動を実施
・「電話件数」「受注率」「使用トークパターン」をSFA(営業支援ツール)に記録
Check:
・トークスクリプト変更による、受注率への影響を振り返る
▽パターンごとの分析を行った結果、
・パターンB:受注率8%
・パターンC:受注率20%
Action:
振り返りの結果、以下の判断。
パターンA:継続(定期的な実施)
パターンB:トークスクリプトから実績を除外
パターンC:採用
次のPlan:
・ヒアリング重視のトークスクリプトの作成
・不要な内容の精査
上記を踏まえて、次の計画を策定(次のPDCAに続く)
僕の場合はありえるんですよ、そういうミラクルが。
小さいサイクルを早いペースで回していくイメージで、回数をこなすといいよ。
1回1課題として、100周で100課題も直りますね、楽勝な気がしてきました!
PDCAサイクルを回せていない?よくある間違いサイクル
PDCAサイクルの間違い例1:DDDD
ぼくもこんな状況だったのかな。
振り返りも無いから、正しくない行動の修正や中止もできないね。
じゃあ、次はこれね。
PDCAサイクルの間違い例2:PPAP
計画して、その計画を改善して、また計画を練り直してってサイクルなんだけど、これは、実行してないってことが問題。
難しく考えてしまう人とかはこうなりがち。
精度を上げるのは正しいけど、ある程度計画したら1歩踏み出さないとね。
POINT
PDCA各段階での注意点をまとめて見てみましょう。
各段階の役割や注意事項を確認して、失敗しない改善を実現しましょう!
■Plan(計画)
・無理のある計画を立てない
・計画は具体的に
■Do(実行)
・行動内容を記録に残せるよう環境を準備する
■Check(評価)
・主観を含む評価はNG、可能な限り具体的で客観的な評価を行う
■Action(改善)
・継続すること・改善すること・やめることを明確にし、次のプランを組む
・具体的なスケジュールを組み、次のサイクルを回す
注意事項 – PDCAが向かないケース
実施を考えている場合は以下の2点に該当しないかどうか、予め確認するようにしましょう。
・緊急性の高い対応が必要
ぼくの時間を返してくださいよ。
PDCAを覚えて使うことは、基本的には有意義だから。
でも具体的にはどんなケースが向いてないんですか?
例えば、もりくん担当のシステムが原因不明のエラーで止まったとしよう。
状況に応じて顧客にも臨機応変に対応する必要があるよね。
そ、それはそうですね。
なんてやってられないよね?
逆に対応が送れてて悪化しちゃうかもしれない。
そうすると、こんな感じですね!
PDCA△ :トラブルが起きたときに、状況に応じて動く
「成果がでない」「同じミスをしている」と思った時にはぜひ実践してみてね。
フレームワークOODA(ウーダ)について
OODAは戦場で生まれたフレームワークで、PDCAと比べると、課題が不明確な状況に向いており、臨機応変で迅速な対応が可能です。
「Observe(観察)」「Orient(状況判断)」「Decide(意思決定)」「Act(行動)」の頭文字をとったもので、PDCA同様繰り返し実施するフレームワークです。
OODAは「柔軟性」が高く、スピード感のある実行が可能です。
一つ一つ見てみましょう。
Observe(観察)
市場や顧客を観察するステップです。
戦場では「相手を観察する」意だったと思われますが、ビジネスにおいては市場や顧客、競合といった、とりまく環境(自身を除く外部状況)の観察があてはまります。
Orient(状況判断)
Observeで集めたデータを元に、置かれた状況を把握します。
ビジネスでは「情勢への適応」とされる場合もあります。
データの持つ意味や価値を認識し、置かれている状況を明確にしていくステップです。
Decide(意思決定)
Orientの結果に基づき、具体的な行動を決めるステップです。
行動のための手段や方法、場合によっては方針や計画の策定も行います。
このステップに入った段階では「次の行動」は未定で、場合によっては「観察にもどる」可能性もあります。
Act(行動)
Decideの決定事項に基づいて、行動します。
行動後はまたObserveに戻って、観察を行います。
敵に囲まれてるのにのんびりPDCAしてたらやられちゃいますよ!
だからPDCAとOODAは使い分けが大切なんだ。
変化が激しく、急な対応を求められる環境ではOODAを使うのがオススメかな。
フレームワークはあくまで手段、使う側が最適なものを選べばいいわけだね。