更新日:2024/07/26
LTVとは?意味や計算方法、高める方法を紹介
【監修】株式会社ジオコード マーケティング責任者
渡辺 友馬
良い顧客か判断する指標の一つに「LTV」というものがあり、注目されています。
すごくざっくり言うと「そのお客さんとの契約でいくら儲かったか」ということですね。
※後程詳しく説明します。
ですが皆さん、LTVをご自身で計算したことってありますか?
今回は、LTVの意味、計算方法に加えて、LTVを高める方法まで紹介いたします!
LTVとは
LTVは「Life Time Value」の略で、「ある1人(もしくは1社)の顧客が取引を始めてから終わるまで、一生のうちにもたらす利益の合計金額」を指します。
日本語で「生涯顧客価値」と言われることもあります。
LTVは一般的に、顧客の製品やサービスに対する愛着が深ければ深いほど高くなると言われています。
例えば、あなたが使用中のシャンプーを使い切ったとします。
店頭にある数種類のシャンプーから新しいものを購入する際、「同じもの」と「別のもの」のどちらを選びますか?
これは凄く単純な話で、使用中のシャンプーに愛着があれば同じものを、なければ他のでも良いですよね。
前者はLTVの高い顧客、後者が低い顧客になります。
どちらが企業にとって良い顧客かは一目瞭然ですね。
ビジネスモデルにもよりますが、一般には前者を増やせるような戦略を立てることがLTV向上につながります。
すなわち、顧客との優良な関係を築くことが重要になります。
後で詳しく解説しますが、LTVが注目を集めている要因として、顧客関係管理(CRM)がメジャーになり、広く実施されていることがあげられます。
LTVの計算方法
LTVの計算方法は複数存在します。
代表的な例は下記になります。
- LTV=平均購入単価×1年間あたりの購入頻度×継続購入年数
- LTV=年間購入金額×収益率×継続購入年数
- LTV=平均購入単価×平均購入回数
- LTV=(売上高-売上原価)÷購入者数
- LTV=利益×取引期間×割引率
- LTV=(平均購入単価×購入頻度×継続購入期間)-(新規顧客獲得費用+顧客維持費用)
先ほど例に挙げたA社製のシャンプーで考えてみましょう。
- 販売価格:1,000円
- 購入頻度:2か月に1回(1年に6回)
- 購入年数:10年間
「LTV:平均購入単価×1年間あたりの購入頻度×継続購入年数」で計算した場合を考えてみます。
LTVは1,000(円)×6(回)×10年=60,000(円)で、この顧客が10年間で企業にもたらした「価値」は60,000円となります。
ですが上記の方法は「コスト」が計算されていません。
商品そのものをはじめ、顧客獲得や維持にかかった費用もあるので、純粋な利益とはなりません。
先ほど挙げた計算式の中であれば、2・5・6は収益率などのコストを加味しているので、純粋な利益を求めることができます。
LTVは、どの計算方法を用いるかで「得られるデータ」が変わってきます。
マイナス項目の抽出や成功法則の検証など、複数の計算方法・様々な視点から実施してみるといいですね。
LTVを高めるためには?
LTVを高める方法
LTVを高めるためには、以下のような方法が考えられます。
1.平均購入単価を上げる
複数製品購入時の特典をつける、関連商品のまとめ売り、クレジットカード払いの導入など単価アップの施策は身近なところでも行われています。
継続サービスでしたらプランのアップグレード(アップセル)や、自社が扱う他商材との新規契約(クロスセル)などによって、購入単価を上げます。
既存製品の売値をただ上げるなどの強引な手法は、顧客の心が離れてしまう可能性があるため極力避けましょう。
値上げする場合にはそれ相応の付加価値をつけるなど、顧客が納得感をもてる工夫が必要です。
2.購入頻度を上げる
割安な定期購入プラン、新商品のリリース、提供時間や場所の拡大、会員割引やポイントサービス・クーポンなどで購入頻度を上げます。
既存顧客へのアプローチは比較的コストがかかりにくく、また既に自社への信頼があるため成果が表れやすいです。
また、継続して商品やサービスを利用している顧客は、動きを把握することも大切です。
「何が良くていつもご利用いただいているか」、わかっていれば製品やサービスの品質改善に役立ちますよね?
3.継続購入年数を伸ばす
わかりやすい例は「継続購入期間に応じたオプションの提供」などですね。
使い続けることにメリットを与えて、継続購入年数を伸ばします。
これは最近流行りの「サブスクリプション」(一定期間の利用料を支払う方式)で考えるとわかりやすいです。
例えば、私(筆者)はネットフリックスを結構長いこと使っています。
私の場合は便利さや作品数の多さといった、UIの品質やサービスの品質が継続理由として大きいです。
また、ネットフリックスは「長期間利用していないユーザーへの継続確認」といった施策を行いました。
自社の不利益を認識しつつも行ったこの施策は、とても好印象でした。
※調べたところ「継続購入オプション」みたいなのはなかったですが…
このように、直接的でなくても「いかにして続けてもらうか」を考え、実行し、満足してもらうことが重要です。
4.新規顧客獲得単価を下げる
新規顧客獲得の方法としては、SEO、WEB広告、展示会、テレアポなどが考えられます。
いずれも人件費や委託費等を考えると、それなりにコストがかかる施策です。
新顧客を獲得するのは、既存顧客を維持するのに比べ5倍の費用がかかるなんていう説もありますので、下げられるに越したことはないですよね。
ただし、費用を下げたことにより新規顧客の獲得が止まってしまっては、大きな機会損失となる場合があります。
せっかくLTVが上がったとしても新たな顧客が増えないのでは、意味がありません。
最優先に取り組むべきではない場合が多いので、よく考えてから実行しましょう。
5.顧客維持費用を下げる
顧客維持の方法としては、会員や顧客限定のキャンペーン、契約期間に伴う値引き、SNS等での双方のコミュニケーションなどが考えられます。
しかし、こちらも費用を節約し過ぎるとせっかく関係を築いたLTVの高い顧客を手放してしまうことになりかねません。
そうすると新規顧客の獲得に予算がかかり、本末転倒になってしまいます。
一般的には、購入頻度と継続購入年数の改善が優先度が高いとされています。
新規顧客獲得費用同様、費用対効果を見ながら予算の調整をしてみてください。
CRMの活用
先程の紹介した、LTVを高めるための1~5の方法を行う際に有効なのが、CRMを駆使することです。
CRMとは「Customer Relationship Management(=顧客関係管理)」の略で、顧客との関係管理に特化したマネジメントの手法です。
CRMのツールはたくさんあり、LTV向上に役立つ顧客情報を管理するのに適しています。
前述した通り、CRMによるデータ分析・改善が定着したことは、1顧客の価値を高めることに大きく影響しました。
「LTV」という言葉がメジャーになり、注目を集めた大きな要因の一つと言えます。
顧客管理はエクセルやSFAで行うこともできますが、データが増えるにつれ、管理が難しくなってきます。
コストはかかりますが、しっかりやるならCRMツールを活用するのがおすすめです。
まとめ
今回はLTVの計算方法や改善方法をご紹介いたしました。
LTVにおいて大切なのは、「長期的な視点をもつこと」です。
例えば、「1本1,000円のシャンプーを1,500円の販促費で売った」とします。
一見損してるようにも見えますが、長期的な視点を持てば「2本目以降はプラス」ですよね!
目先の利益にとらわれるのではなく、「将来的に収益が見込めるのか」といった先々のことまで考える概念ですので、有効活用してみてください。
まだこの記事の執筆者