更新日:2022/01/20
アウトソーシングとは?メリットやデメリット、有効活用すべき理由を紹介
【監修】株式会社ジオコード マーケティング責任者
渡辺 友馬
みなさんはアウトソーシングという言葉はご存じでしょうか?ビジネスシーンで耳にすることもあるかもしれません。企業の業務内容によってはアウトソーシングを前提として業務が組まれていることもあります。もしかしたら、ご自身の企業も導入を検討することで普段の業務効率ががらっと変わるかもしれません。
ここでは、アウトソーシングについて、メリット、デメリット、活用方法などをご紹介していきます。
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アウトソーシングとは?
アウトソーシングとは、文字を分解して見ると、「アウト(OUT)=外」に「ソーシング(Sourcing)=資源利用」するという意味で、【 外部委託 】をあらわした和製英語です。
直訳してしまうと「社外から購入する」といったような意味合いになりますが、一般的には「外部から人やサービスを調達する」際に使われます。
つまり、外部の人やサービスを社内に取り入れて効率的に業務を行うことです。
業務を専門の外部業者に委託することで、すべて自社でまかなうよりもコスト削減や品質の向上が期待できますし、人手が足りなくてもアウトソーシングを活用することによって、社内のリソースを新規事業の立ち上げ等に振りわけることができます。アウトソーシングとは、社内リソースを重要な企業活動に最大限生かし、業務の効率化する経営手法なのです。因みに、対義語は「インハウス」で、社内の人員によって業務を運営・完結させるという意味になります。
ビジネス用語としての使い方
では、ビジネス用語としては実際にどのように使うのでしょうか?
2種類の例文から使い方をみていきましょう。
例①「アウトソーシングの依頼をしましょう」
これは言い換えれば「業務を外部企業に委託しましょう」ということです。
自社のリソースを使うよりも外部企業のリソースを使ったほうがコスト削減や品質の向上に繋がる、と判断した際に使うかもしれません。
例②「アウトソーシング先を探してください」
こちらは「業務を委託できる企業を探してください」という意味合いになります。
上記同様、外部委託したほうがと良いと判断された場合にこんな言葉を上司から投げかけられるかもしれません。
アウトソーシングを実施している企業が増えている理由
今まで、アウトソーシングというのは、付加価値の低い事務作業などを外注することがほとんどでしたが、最近では様々な高い付加価値を生むことを目指してアウトソーシングを活用する企業が増えてきました。
実はアウトソーシングは元々、システム開発や運用など情報システム関連の業務を外部委託する際に使われていた言葉です。それが最近では、経理・人事・購買・生産・開発・物流など、様々な業務の外部委託に、「アウトソーシング」という言葉が使われるようになりました。
昨今では、若年層の労働人口の減少によって、人手不足に悩んでいる企業が多くなっています。その補完として「アウトソーシング」を積極的に取り入れる企業が増えてきたのです。たとえば社員が急に退職してしまうこともあるかと思いますが、そんな時でも、新たな社員の採用費や教育コスト、採用までの期間を考えると、費用感が見積もることができ、スケジュールにもある程度柔軟に対応できるアウトソーシングが魅力的なのです。
アウトソーシングのメリット・デメリット
メリット
時代の変化に迅速に対応することができる
絶えず変化を遂げる時代において、それに対応するために新しい業務が必要になることは多々ありますが、アウトソーシングを活用すれば柔軟に対応できることもあります。
社員を採用して、しっかりと育てていくにはコストも時間もかかってしまうので、外部業者に依頼したほうがスピーディーに対応できるかもしれません。
重要な業務に集中することができる。
自社の貴重なリソースである社員を、より重要な業務に専念させるために、それ以外の付加価値の低い業務をアウトソースすることも有効です。
もちろんその業務も自社で行うに越したことはありませんが、時間と資金と人員は無限にあるわけではありませんので、そういった資源をどれにどう割り当てるかという選択肢の1つにアウトソーシングの活用があるということになります。アウトソーシングを有効に使うことができれば、単純作業を排除して、企業成長に向けて本来やるべき業務に時間を割く事ができるかもしれません。
高品質を実現できる
外注先はほとんどの場合がその専門企業です。その業務の専門知識を持っているプロに任せること ができるので、社内で非効率に回していた業務も効率的かつ高品質に対応してくれるでしょう。
経験を積んできている専門家はスピードや仕事の精度など様々な点において優れていますので、社 内だと複数人で行っているような業務でもプロなら1人で遂行できてしまうかもしれません。
ベンチャー企業などの変化の早い業界では、経理や財務管理にそれなりの専門性が必要になります ので、企業を急成長させるためにアウトソースを選択肢にいれても良いでしょう。
コストパフォーマンスが良い
非効率で高コストになっている業務があるならば、比較的安価な料金で請け負う企業を探して、アウトソーシングを依頼することで企業のコスト削減につながります。
人手の確保ができる
突然社員が辞めてしまう、というのは残念ながら少なくないと思いますが、その人がやっていた業務の埋め合わせはそう簡単に社内で対応できないことが多いかと思いますし、すぐに新しい社員を採用することも実際難しいかと思います。
そのような、担当者が退職してしまった時の応急処置としてアウトソーシングを有効活用して不足分の人員を確保するのも手です。
また、新規事業等で全くわからない業務を担当しなければならない状況になっても、その対応を専門の外注に任せるといったような使い方もできます。
企業の再構築ができる
大企業は組織が肥大化しやすい傾向があります。その解決策の1つに、アウトソーサーとして間接部門を分社化させる方法があります。こうすることで、親企業は身軽になり、結果的にコスト削減へ繋げることができるのです。実際このような対応をしている大手企業は多く、特にIT関係の企業で散見されます。
デメリット
特有の業務には対応できない
他社にはあまりない、自社特有の作業には対応できないかもしれません。なぜなら、基本はアウトソース先での手順に沿って業務を遂行するからです。もし対応できたとしても、その分多大な初期コストやランニングコストがかかってしまう可能性がありますので、活用するかは慎重に判断すべきでしょう。
社内情報を外部に出すリスクがある
社内の業務をそのまま外部へ委託する、ということは、同時に社内のデータを他の企業に提供するということです。社員や顧客の個人情報など、重要なデータの漏洩に十分に注意する必要があります。
社内にノウハウを蓄積することができない
外部に専門性の高い業務を委託することで、社内でその技術を蓄積することは難しくなります。
委託先との業務のすり合わせは、定期的に行ったほうが良いでしょう。
アウトソーサーが何をやっているのか把握できない部分がある
外部に任せている状態なので、当然業務フローで見えない細かな部分があります。
どのような工程で進めたのかが分からないので、もし余計なコストがかかっていたとしても、発見や指示をすることができません。
派遣との違いは?
アウトソーシングと派遣の違いは、「依頼するものが何か」というところにあります。
アウトソーシングは「業務」を、派遣は「人材」を依頼します。
また、アウトソーシングは業務をすべて外部企業へ委託するための契約であり、派遣は一時的に人員が足りない業務へ補充するための契約となります。
そのため、派遣契約では業務指示などは派遣先で行うので、派遣先の社員と一緒に業務を行いますが、アウトソーシングでは、業務を対応する社員もアウトソーシング先ですので、場所や設備もアウトソーシング先の物を活用することになります。
また、仕事内容や期間の制限にも違いがあります。
アウトソーシングでは、仕事内容や期間の制限はありませんが、派遣では建設業務、港湾運送業務、警備業務などの、危険を伴う仕事内容は禁じられており、派遣期間も最長で3年という制限があります。
ですから、長期間、定形的な業務が大量にある場合はアウトソーシング、継続的な業務ではなく断続的なイレギュラー業務が多い場合は派遣にした方が良いでしょう。
さまざまな種類のアウトソーシング
アウトソーシングは、業務内容によっていくつかの種類に分類することができます。
BPO(Business Process Outsourcing)
ビジネスにおける業務を外部に委託という意味です。
業務の中には、ルーティーン業務と呼ばれる「作業内容がある程度固定された業務」が存在します。
すべてではないですが、管理業務と呼ばれる人事・労務・総務・経理部門などにこのような業務が存在していることがよくあります。このような業務に既存社員のリソースを費やしてしまうと、より重要度の高い業務に手が回らず非効率となってしまうため、そのような場合に外部に業務を委託することがあります。その対応のことをBPOと呼びます。
ITO(IT Outsourcing)
自社の情報システムに関する業務をまとめて外部に委託するという意味です。
汎用性が高く、定期的に行われる業務が適しています。
KPO(Knowledge Process Outsourcing)
知的業務委託という意味です。
情報データの分析解析に関する業務におけるアウトソーシングを指します。
主に①データの集計・加工②データの分析・解析が機能として挙げられます。
低賃金で雇えるインドや中国にサービスの拠点を構えていることが多いです。
まとめ
昨今ではアウトソーシングを積極的に活用する経営戦略が広く普及してきており、アウトソーシングを正しく活用することで、売上拡大、事業を拡大できる可能性が大いにあります。
しかし逆に、アウトソーシング導入の目的、効果目標をしっかり立て、現状把握、調査、業務の棚卸、問題点を把握しなければ、アウトソーシングの活用が逆効果になってしまうこともあります。
ただ闇雲にアウトソーシングを取り入れたからといって必ずしもうまくいくというわけではないという事を意識した上で、メリットデメリットなどをしっかり理解して検討するようにしましょう。